(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、
図1を用いて、本発明の実施の一形態に係る電力供給システム1の構成について説明する。
【0020】
電力供給システム1は、住宅に設けられ、商用電源200からの電力及び太陽光を利用して発電された電力を負荷へと適宜供給するものである。電力供給システム1は、主として太陽光発電部10、第一パワーコンディショナ20、車載型蓄電装置30、スイッチ部40、第一分電盤50、定置型蓄電装置60、第二パワーコンディショナ70、第一負荷80、第二分電盤90、燃料電池100、遮断器110及び第二負荷120を具備する。
【0021】
太陽光発電部10は、太陽光を利用して発電する装置であり、太陽電池パネル等により構成される。太陽光発電部10は、例えば、住宅の屋根の上等の日当たりの良い場所に設置される。
【0022】
第一パワーコンディショナ20は、電力を適宜変換するものである。具体的には、第一パワーコンディショナ20は太陽光発電部10に接続され、当該太陽光発電部10において発電された直流電力を交流電力に変換して出力する。
第一パワーコンディショナ20には、停電時(商用電源200からの電力が供給不能な場合)における「自立運転モード」のONとOFFとを切り替えるための運転切替スイッチ(不図示)が設けられる。
また、第一パワーコンディショナ20には、停電時(非常時)において「自立運転モード」がONに切り替えられた場合に、太陽光発電部10からの電力を取り出すための非常用コンセント(不図示)が設けられる。当該非常用コンセントは、後述する第二パワーコンディショナ70と接続される。
【0023】
車載型蓄電装置30は、本発明に係る第二蓄電装置の一実施形態である。車載型蓄電装置30は、リチウムイオン電池等により構成されると共に走行体である電気自動車(EV : Electric Vehicle)に搭載され、当該電気自動車が走行するための電力を供給する、比較的大型(大容量)の蓄電装置である。車載型蓄電装置30は、電力を充電することができると共に、当該充電された電力を放電することができる。
【0024】
スイッチ部40は、電力の流通経路を切り替えるものである。スイッチ部40は、切替スイッチ41を具備する。
【0025】
切替スイッチ41は、商用電源200、第一パワーコンディショナ20、後述する第一分電盤50及び後述する第二分電盤90にそれぞれ接続されると共に、車載型蓄電装置30に接続可能とされ、これらの間での電力の流通経路を切り替えることができる。
【0026】
第一分電盤50は、供給される電力を後述する第一負荷80・80・・・へと分配するものである。第一分電盤50は、スイッチ部40及び後述する第二パワーコンディショナ70にそれぞれ接続される。また、第一分電盤50は、後述する第一負荷80・80・・・にそれぞれ接続され、当該第一負荷80・80・・・の要求に応じて電力を分配することができる。
【0027】
定置型蓄電装置60は、本発明に係る第一蓄電装置の一実施形態である。定置型蓄電装置60は、リチウムイオン電池等により構成され、前記住宅に設置される蓄電装置である。定置型蓄電装置60は、電力を充電することができると共に、当該充電された電力を放電することができる。
【0028】
第二パワーコンディショナ70は、電力を適宜変換するものである。具体的には、第二パワーコンディショナ70は定置型蓄電装置60に接続され、当該定置型蓄電装置60からの直流電力を交流電力に変換して出力する。また、第二パワーコンディショナ70は第一パワーコンディショナ20及び第一分電盤50に接続され、当該第一パワーコンディショナ20及び第一分電盤50からの交流電力を直流電力に変換して定置型蓄電装置60へと供給することができる。
【0029】
第一負荷80・80・・・は、本発明に係る負荷の一実施形態である。第一負荷80・80・・・は、前記住宅において電力が消費される電化製品等が接続される回路であり、特に、停電時(非常時)に電力を供給する必要性が高いものである。例えば、住宅の場合、リビングに設けられるコンセントや照明、冷蔵庫等に電力を供給する回路を第一負荷80・80・・・として選定することができる。第一負荷80・80・・・は、例えば部屋ごとや、大きな電力を消費する機器専用のコンセントごとに設けられる。第一負荷80・80・・・は、それぞれ第一分電盤50に接続される。
【0030】
第二分電盤90は、供給される電力を後述する第二負荷120・120・・・へと分配するものである。第二分電盤90は、商用電源200、太陽光発電部10、スイッチ部40及び後述する遮断器110にそれぞれ接続される。また、第二分電盤90は、後述する第二負荷120・120・・・にそれぞれ接続され、当該第二負荷120・120・・・の要求に応じて電力を分配することができる。
【0031】
燃料電池100は、固体酸化物形燃料電池(SOFC : Solid Oxide Fuel Cell)等により構成され、前記住宅に設置される燃料電池である。燃料電池100は、供給される燃料(例えば、水素等)を用いて発電することが可能である。また、燃料電池100は図示せぬ貯湯ユニットを備え、発電時に発生する熱を用いて当該貯湯ユニット内で湯を沸かすことができる。燃料電池100は、後述する遮断器110に接続される。
【0032】
また、燃料電池100は停電時においても発電が可能な停電対応型燃料電池として構成される。
具体的には、燃料電池100により発電する際には多少の電力が必要であり、当該電力は商用電源200から供給される。このため、商用電源200が停電した場合には、通常の(停電対応型でない)燃料電池は発電することができない。そこで本実施形態に係る燃料電池100は、図示せぬ蓄電装置を具備し、商用電源200が停電した場合であっても当該蓄電装置からの電力を用いて発電することが可能とされている。
【0033】
また、燃料電池100は特定コンセント101を具備する。特定コンセント101は、本発明に係る電力出力部の一実施形態であり、燃料電池100において発電された電力、及び第二分電盤90から供給される電力を出力することができる。当該特定コンセント101には、居住者が使用したい電気機器を任意に接続することができる。
【0034】
遮断器110は、電力の流通の可否を切り替えるものである。遮断器110は、第二分電盤90と燃料電池100(及び特定コンセント101)との間に介設される。
【0035】
第二負荷120・120・・・は、本発明に係る負荷の一実施形態である。第二負荷120・120・・・は、前記住宅において電力が消費される電化製品等が接続される回路であり、特に、停電時(非常時)に電力を供給する必要性が低いものである。例えば、住宅の場合、リビング以外の部屋に設けられるコンセント等に電力を供給する回路を第二負荷120・120・・・として選定することができる。第二負荷120・120・・・は、例えば部屋ごとや、大きな電力を消費する機器専用のコンセントごとに設けられる。第二負荷120・120・・・は、それぞれ第二分電盤90に接続される。
【0036】
以下では、上述の如く構成された電力供給システム1における電力の供給態様について説明する。
【0037】
なお、以下の説明におけるスイッチ部40の切り替え操作、第一パワーコンディショナ20及び第二パワーコンディショナ70による電力の変換や流通方向の変更、並びに遮断器110による電力の流通の可否の切り替えは、図示しないホームサーバ等の制御手段により制御される構成とすることや、スイッチ部40や各パワーコンディショナ等が有する制御部によりそれぞれ制御される構成とすることが可能であり、本発明はこれを限定するものではない。
【0038】
まず、
図2を用いて、商用電源200からの電力が問題なく供給可能(すなわち、停電していない状態)であり、かつ、車載型蓄電装置30がスイッチ部40に接続されていない場合(例えば、住宅の居住者が電気自動車(EV)に乗って外出している場合等)における電力の供給態様(以下、この電力の供給態様を、単に「第一供給態様」と記す)について説明する。
【0039】
第一供給態様においては、スイッチ部40の切替スイッチ41は、太陽光発電部10(第一パワーコンディショナ20)及び商用電源200からの電力を第一分電盤50へと供給可能となるように切り替えられている。また、遮断器110は、第二分電盤90と燃料電池100との間の電力の流通が可能となるように切り替えられている。
【0040】
通常、すなわち商用電源200からの電力が問題なく供給可能な場合、第一パワーコンディショナ20の運転切替スイッチは居住者によってOFFに切り替えられている。この場合、第一パワーコンディショナ20の自立運転モードはOFFとされ、当該第一パワーコンディショナ20から第二パワーコンディショナ70への電力の取り出しはできない。
【0041】
この状態においては、太陽光発電部10において発電された直流電力は、第一パワーコンディショナ20において交流電力に変換される。当該変換された電力は、スイッチ部40を介して第一分電盤50へと供給されると共に、第二分電盤90へも供給される。また、商用電源200からの交流電力も、スイッチ部40を介して第一分電盤50へと供給されると共に、第二分電盤90へも供給される。
【0042】
定置型蓄電装置60に充電されている電力は、第二パワーコンディショナ70において交流電力に変換され、第一分電盤50へと供給される。
【0043】
燃料電池100において発電された電力は、遮断器110を介して第二分電盤90へと供給されると共に、特定コンセント101へも供給される。
【0044】
太陽光発電部10、商用電源200及び定置型蓄電装置60から第一分電盤50に供給された電力は、第一負荷80・80・・・に供給可能とされる。すなわち、居住者は、太陽光発電部10、商用電源200及び定置型蓄電装置60からの電力によって、リビングに設けられるコンセントや照明、冷蔵庫等を使用することができる。
【0045】
また、太陽光発電部10、商用電源200及び燃料電池100から第二分電盤90に供給された電力は、第二負荷120・120・・・に供給可能とされる。すなわち、居住者は、太陽光発電部10、商用電源200及び燃料電池100からの電力によって、リビング以外の部屋に設けられるコンセントに接続された電気機器等を使用することができる。
【0046】
さらに、燃料電池100において発電された電力は、特定コンセント101からも取り出すことができる。すなわち、居住者は、当該特定コンセント101に任意の電気機器を接続することで、当該電気機器を使用することができる。
【0047】
また、太陽光発電部10及び商用電源200から第一分電盤50に供給された電力は、第二パワーコンディショナ70において直流電力に変換され、適宜の時間帯に定置型蓄電装置60に充電される。当該充電する時間帯は予め任意に設定することができ、前記制御手段等によって第二パワーコンディショナ70の運転を制御することで当該設定された時間帯に定置型蓄電装置60を充電することができる。例えば深夜に充電するように設定すれば、料金の安い深夜電力を定置型蓄電装置60に充電することができる。また、昼間の太陽光が十分に照射される時間帯に太陽光発電部10からの電力を充電するように設定すれば、当該太陽光発電部10において自然エネルギー(太陽光)を利用して発電された電力を定置型蓄電装置60に充電することができる。
【0048】
また、負荷(第一負荷80・80・・・及び第二負荷120・120・・・)で消費する電力が、太陽光発電部10からの電力だけで十分まかなえる場合は、商用電源200及び燃料電池100からの電力を用いないようにすることも可能である。これによって、電力料金及び燃料費を節約することができる。
【0049】
さらに、太陽光発電部10からの電力が余る場合、当該余った電力(余剰電力)を商用電源200へと逆潮流させ、電力会社に売却(売電)することができる。
【0050】
次に、
図3及び
図4を用いて、商用電源200からの電力が問題なく供給可能(すなわち、停電していない状態)であり、かつ、車載型蓄電装置30がスイッチ部40に接続されている場合における電力の供給態様(以下、この電力の供給態様を、単に「第二供給態様」と記す)について説明する。
【0051】
図3に示すように、第二供給態様においては、例えば、電気自動車(EV)が住宅に設けられたコンセントに接続される等して、車載型蓄電装置30がスイッチ部40に接続される。この第二供給態様においては、スイッチ部40の切替スイッチ41は、車載型蓄電装置30からの電力を第一分電盤50へと供給可能となるように切り替えられている。また、遮断器110は、第二分電盤90と燃料電池100との間の電力の流通が可能となるように切り替えられている。
【0052】
この状態においては、車載型蓄電装置30に充電されている電力はスイッチ部40(切替スイッチ41)を介して第一分電盤50へと供給される。
【0053】
車載型蓄電装置30から第一分電盤50に供給された電力は、第一負荷80・80・・・に供給可能とされる。すなわち、居住者は、車載型蓄電装置30からの電力によって、リビングに設けられるコンセントや照明、冷蔵庫等を使用することができる。
【0054】
このように、車載型蓄電装置30は、商用電源200に代わって第一負荷80・80・・・へ多くの電力を供給することになる。
【0055】
一方、太陽光発電部10及び商用電源200からの電力は、第二分電盤90へと供給される。
【0056】
また、燃料電池100において発電された電力は、遮断器110を介して第二分電盤90へと供給されると共に、特定コンセント101へも供給される。
【0057】
太陽光発電部10、商用電源200及び燃料電池100から第二分電盤90に供給された電力は、第二負荷120・120・・・に供給可能とされる。すなわち、居住者は、太陽光発電部10、商用電源200及び燃料電池100からの電力によって、リビング以外の部屋に設けられるコンセントに接続された電気機器等を使用することができる。
【0058】
また、
図4に示すように、第一負荷80・80・・・で消費される電力(消費電力)が車載型蓄電装置30から供給可能な電力(最大出力)を超えた場合には、当該超えた分(不足分)の電力が定置型蓄電装置60から第一負荷80・80・・・へと供給される。
【0059】
より詳細には、定置型蓄電装置60に充電されている電力も、第一分電盤50へと供給される。このようにして、車載型蓄電装置30からの電力に加えて、定置型蓄電装置60からの電力も、第一負荷80・80・・・に供給可能とされる。
【0060】
このように、第一負荷80・80・・・で消費される電力に応じて定置型蓄電装置60から当該第一負荷80・80・・・へと供給される電力量を調節する運転(いわゆる、負荷追従運転)は、第二パワーコンディショナ70によって制御される。
【0061】
定置型蓄電装置60が負荷追従運転を行うことによって、第一負荷80・80・・・の消費電力が車載型蓄電装置30から供給可能な電力(最大出力)を超えた場合であっても、切替スイッチ41を切り替えて商用電源200からの電力を使用する必要がない。
【0062】
なお、第一負荷80・80・・・の消費電力が、車載型蓄電装置30及び定置型蓄電装置60から供給可能な電力(最大出力)を超えた場合には、スイッチ部40の切替スイッチ41が太陽光発電部10(第一パワーコンディショナ20)及び商用電源200からの電力を第一分電盤50へと供給可能となるように切り替えられる(前述の
図2に示した状態と同様)。これによって、第一負荷80・80・・・が必要とする電力を、当該商用電源200及び太陽光発電部10から確実に供給することができる。
【0063】
また、第二負荷120・120・・・で消費する電力が、太陽光発電部10からの電力だけで十分まかなえる場合は、商用電源200及び燃料電池100からの電力を用いないようにすることも可能である。これによって、電力料金及び燃料費を節約することができる。
【0064】
さらに、太陽光発電部10からの電力が余る場合、当該余った電力(余剰電力)を商用電源200へと逆潮流させ、電力会社に売却(売電)することができる。
【0065】
次に、
図5を用いて、停電時(商用電源200からの電力が供給不能な場合)であり、かつ、車載型蓄電装置30がスイッチ部40に接続されている場合における電力の供給態様(以下、この電力の供給態様を、単に「第三供給態様」と記す)について説明する。
【0066】
第三供給態様においては、第二供給態様(
図3及び
図4参照)と同様に、スイッチ部40の切替スイッチ41は、車載型蓄電装置30からの電力を第一分電盤50へと供給可能となるように切り替えられている。また、遮断器110は、第二分電盤90と燃料電池100との間の電力の流通が不可能となるように切り替えられている。
【0067】
停電時(非常時)においては、電力会社の電力復旧作業を妨げないように、原則として、商用電源200及び第一パワーコンディショナ20からスイッチ部40及び第二分電盤90への電力系統に電力が流されることがない。
【0068】
この停電時(非常時)においては、居住者は、第一パワーコンディショナ20の運転切替スイッチをONに切り替える。これによって、第一パワーコンディショナ20の自立運転モードがONとされ、当該第一パワーコンディショナ20から第二パワーコンディショナ70への電力の取り出しが可能となる。
【0069】
なお、当該運転切替スイッチは、第一パワーコンディショナ20が停電を検出し、当該第一パワーコンディショナ20によって自動的にONに切り替えられるように構成することも可能である。
【0070】
この状態においては、太陽光発電部10において発電された電力は、第一パワーコンディショナ20を介して第二パワーコンディショナ70へと供給される。当該電力は、第二パワーコンディショナ70を介して定置型蓄電装置60に充電される。
【0071】
また、車載型蓄電装置30に充電されている電力は、第二供給態様(
図3参照)と同様に、第一負荷80・80・・・へと供給可能とされる。
【0072】
また、
図5に示すように、商用電源200が停電した場合、燃料電池100は自身が備える蓄電装置からの電力を用いて発電を行い、当該発電された電力を特定コンセント101から出力可能とする。従って、当該特定コンセント101に接続された電機機器は継続して使用することが可能となる。また、燃料電池100は発電を行うことができるため、当該発電と同時に湯を沸かすこともできる。
【0073】
この場合において、遮断器110を介する電力の流通は不可能であるため、燃料電池100において発電された電力は、商用電源200へと逆潮流されることはない。また、商用電源200、太陽光発電部10及び燃料電池100から第二分電盤90への電力の供給は断たれるため、第二負荷120・120・・・の電気機器を使用することはできない。
【0074】
次に、
図6を用いて、停電時(商用電源200からの電力が供給不能な場合)であり、かつ、車載型蓄電装置30に充電されていた電力が空になった場合における電力の供給態様(以下、この電力の供給態様を、単に「第四供給態様」と記す)について説明する。
【0075】
第四供給態様においては、スイッチ部40の切替スイッチ41は、太陽光発電部10(第一パワーコンディショナ20)、商用電源200及び車載型蓄電装置30それぞれからの電力が第一分電盤50へ供給不能となるように切り替えられている。また、遮断器110は、第二分電盤90と燃料電池100との間の電力の流通が不可能となるように切り替えられている。
【0076】
この状態においては、定置型蓄電装置60に充電されている電力が、第二パワーコンディショナ70において交流電力に変換され、第一負荷80・80・・・へと供給される。これによって、停電時に車載型蓄電装置30の充電が空になっても、停電時(非常時)に電力を供給する必要性が高い第一負荷80・80・・・には電力を供給することができる。
【0077】
また、第一供給態様及び第二供給態様(
図2から
図4までを参照)においては、定置型蓄電装置60から出力される電力の電圧が高くなって当該電力が商用電源200、車載型蓄電装置30及び燃料電池100に流れてしまう(逆潮流が発生する)のを防止するために、当該定置型蓄電装置60から出力される電力の電圧は第二パワーコンディショナ70によって(例えば、100Vに)抑制されている。
【0078】
しかし、第四供給態様(
図6参照)においては、定置型蓄電装置60と商用電源200、車載型蓄電装置30及び燃料電池100とは切替スイッチ41によって切り離されているため、当該定置型蓄電装置60から出力される電力の電圧が高くなっても、当該電力が商用電源200、車載型蓄電装置30及び燃料電池100に流れるおそれがない。このため、第四供給態様においては、定置型蓄電装置60から出力される電力の電圧を、第二パワーコンディショナ70によって高く(例えば、200Vに)設定することができる。
【0079】
さらに、第三供給態様(
図5参照)と同様に、燃料電池100によって発電された電力は、特定コンセント101から出力可能とされる。
【0080】
なお、第四供給態様(
図6参照)は、停電時(商用電源200からの電力が供給不能な場合)であり、かつ、車載型蓄電装置30に充電されていた電力が空になった場合における電力の供給態様であるものとしたが、停電時であり、かつ、車載型蓄電装置30がスイッチ部40に接続されていない場合(
図7参照)にも同様に電力を供給することが可能である。
【0081】
上述の如く、電力供給システム1の第一供給態様(
図2参照)においては、商用電源200、太陽光発電部10、定置型蓄電装置60及び燃料電池100からの電力を適宜第一負荷80・80・・・及び第二負荷120・120・・・に供給すると共に、適宜定置型蓄電装置60に充電することができる。また、余剰電力が発生する場合には、当該余剰電力を商用電源200へと逆潮流させ、売電することができる。
【0082】
車載型蓄電装置30がスイッチ部40に接続されると(第二供給態様(
図3及び
図4)参照)、商用電源200及び太陽光発電部10からの電力に代わって、当該車載型蓄電装置30からの電力を第一負荷80・80・・・に供給することができる。一方、第二負荷120・120・・・へは、商用電源200、太陽光発電部10及び燃料電池100から電力が供給される。このように、車載型蓄電装置30と燃料電池100とを切り離すことで、当該車載型蓄電装置30からの電力と燃料電池100からの電力の干渉を防止しながら、これらからの電力を有効に利用することができる。
【0083】
また、この状態で停電が発生しても(第三供給態様(
図5)参照)、当該車載型蓄電装置30からの電力は問題なく第一負荷80・80・・・に供給することができる。また、この場合、太陽光発電部10からの電力は定置型蓄電装置60に充電される。このように、停電時に逆潮流(売電)することができない太陽光発電部10からの電力を定置型蓄電装置60に充電することで、当該電力を後に有効に利用することが可能となる。さらに、この場合、燃料電池100において発電された電力を特定コンセント101から取り出すことができ、停電時であっても当該燃料電池100からの電力を有効に利用することができる。
【0084】
さらに、この状態で車載型蓄電装置30に充電された電力が空になった場合(第四供給態様(
図6)参照)、定置型蓄電装置60からの電力が第一負荷80・80・・・に供給される。これによって、車載型蓄電装置30の充電が空になった場合に、前述の第三供給態様(
図5参照)において定置型蓄電装置60に充電された電力を用いて第一負荷80・80・・・を使用することができる。このように、本実施形態に係る電力供給システム1においては、停電が発生した場合であっても、第三供給態様及び第四供給態様に亘って第一負荷80・80・・・を継続して長時間使用することが可能となる。
【0085】
以上の如く、本実施形態に係る電力供給システム1は、
太陽光を受けて発電可能な太陽光発電部10と、
商用電源200及び太陽光発電部10にそれぞれ接続され、負荷(第一負荷80・80・・・及び第二負荷120・120・・・)へと電力を分配する第一分電盤50及び第二分電盤90と、
第一分電盤50と接続され、当該第一分電盤50と電力のやり取りが可能な定置型蓄電装置60(第一蓄電装置)と、
第一分電盤50と接続可能な車載型蓄電装置30(第二蓄電装置)と、
第二分電盤90と接続され、当該第二分電盤90へと電力を供給可能な燃料電池100と、
を具備し、
車載型蓄電装置30が第一分電盤50と接続され、当該車載型蓄電装置30から第一分電盤50へと電力を供給可能とされた場合、第一分電盤50が商用電源200及び太陽光発電部10から切り離されるものである(第二供給態様(
図3)参照)。
このように構成することにより、車載型蓄電装置30からの電力と燃料電池100からの電力とが互いに干渉することがなく、定置型蓄電装置60、車載型蓄電装置30、商用電源200、太陽光発電部10及び燃料電池100からの電力を適宜負荷へと供給することができ、利便性の高い電力供給システム1を提供することができる。
【0086】
また、車載型蓄電装置30は走行体に備えられ、
車載型蓄電装置30から第一分電盤50へと電力を供給可能とされた場合、
定置型蓄電装置60は、
第一分電盤50に接続された負荷での消費電力が車載型蓄電装置30から供給可能な電力を超えた場合に、当該超えた分の電力を当該第一分電盤50に接続された負荷へと供給する負荷追従運転を行うものである(第二供給態様(
図4)参照)。
このように構成することにより、第一分電盤50に接続された負荷での消費電力が車載型蓄電装置30から供給可能な電力を超えた場合であっても、極力商用電源200及び太陽光発電部10からの電力を使用しないようにすることができる。これによって、定置型蓄電装置60及び車載型蓄電装置30に充電された電力を有効に利用することができ、利便性の高い電力供給システム1を提供することができる。
【0087】
また、電力供給システム1は、
商用電源200が停電した場合、
太陽光発電部10からの電力を定置型蓄電装置60に充電するものである(第三供給態様(
図5)参照)。
このように構成することにより、停電時において太陽光発電部10で発電された電力を有効に利用することができ、利便性の高い電力供給システム1を提供することができる。
【0088】
また、燃料電池100は、
外部からの電力の供給がない場合であっても発電可能であると共に、特定コンセント101(電力出力部)から当該発電した電力を取り出すことが可能となるように構成されるものである(第三供給態様(
図5)及び第四供給態様(
図6及び
図7)参照)。
このように構成することにより、商用電源200から燃料電池100への電力の供給がなされない停電時においても、当該燃料電池100で発電を行うことが可能であると共に、当該発電した電力を特定コンセント101から取り出すことができ、利便性の高い電力供給システム1を提供することができる。
【0089】
また、電力供給システム1は、
商用電源200が停電し、かつ、車載型蓄電装置30から第一分電盤50への電力供給が不可能となった場合、
定置型蓄電装置60からの電力を第一負荷80・80・・・へと供給するものである(第四供給態様(
図6及び
図7)参照)。
このように構成することにより、車載型蓄電装置30からの電力供給がなくなった場合であっても、第一負荷80・80・・・に電力を供給することができる。これによって、当該第一負荷80・80・・・を継続して使用することができ、利便性の高い電力供給システム1を提供することができる。
【0090】
なお、上記実施形態においては、電力供給システム1は住宅に設けられるものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、その他(例えば、工場等)の種々の建築物に適用することが可能である。
また、上記実施形態においては、車載型蓄電装置30が搭載される走行体の一例として電気自動車(EV)を例示したが、本発明に係る走行体はこれに限るものではない。すなわち、走行体としては各種の車両を適用することが可能であり、例えばプラグインハイブリッド車やその他二輪車等であっても良い。
また、上記実施形態においては、車載型蓄電装置30(本発明に係る第二蓄電装置の一実施形態)は走行体に備えられるものとしたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、本発明に係る第二蓄電装置は第一分電盤50と接続可能(接続、及び当該接続の解除が可能)なものであれば良い。例えば、一定の範囲の土地に建てられた複数の分譲住宅が、共同で利用する大型の定置型蓄電装置等であっても良い。
また、上記実施形態において、車載型蓄電装置30及び定置型蓄電装置60はリチウムイオン電池等により構成されるものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、例えばニッケル水素電池等により構成されるものであっても良い。
また、上記実施形態において、燃料電池100は固体酸化物形燃料電池(SOFC)により構成されるものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、例えば固体高分子形燃料電池(PEFC)、りん酸形燃料電池(PAFC)、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)等により構成されるものであっても良い。
また、上記実施形態においては、本発明に係る燃料電池の電力出力部の一実施形態として、居住者が使用したい電気機器を任意に接続することができる特定コンセント101を例に挙げたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、本発明に係る電力出力部は、燃料電池で発電された電力を取り出すことが可能な部分であれば良い。例えば、予め外部の回路と接続された(居住者が任意に接続を解除できない)部分であっても良い。