特許第6054692号(P6054692)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6054692
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】ステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/06 20060101AFI20161219BHJP
【FI】
   B62D1/06
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-213973(P2012-213973)
(22)【出願日】2012年9月27日
(65)【公開番号】特開2014-65463(P2014-65463A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】藤田 直洋
【審査官】 鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−045275(JP,A)
【文献】 特開2005−126934(JP,A)
【文献】 特開平11−351218(JP,A)
【文献】 実開平07−030671(JP,U)
【文献】 実開昭58−104773(JP,U)
【文献】 特開平9−277942(JP,A)
【文献】 特開平11−268652(JP,A)
【文献】 特開平11−91588(JP,A)
【文献】 特開昭60−110567(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略一定の断面積より形成されてなるグリップ部芯金と、該グリップ部芯金に対して原液注入口が一側に、ガス抜き口が他側に位置し、原液の発泡により成形されてなることで前記グリップ部芯金を覆うリム部とより形成されてなるステアリング装置において、
前記リム部のガス抜き口を含む前記ガス抜き口近傍箇所の前記リム部の断面積が他の箇所の断面積より小さく略一定であることを特徴とするステアリング装置。
【請求項2】
請求項1記載のステアリング装置であって、
前記グリップ部芯金は、ホイール状のリング部からなり、
前記リム部の断面積が他の箇所の断面積より小さい手段として、前記リム部のガス抜き口を含む略90度をなす長さに形成されてなるスペーサーを用いることを特徴とすることを特徴とするステアリング装置。
【請求項3】
請求項2記載のステアリング装置であって、
前記スペーサーは、前記リング部芯金を挟持する二つ割りよりなることを特徴とするステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、航空機、船舶、鉄道車両などの乗り物で使用されるステアリング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のステアリング装置としては、例えば、原液注入口が下部に、ガス抜き口が上部に位置するように型を設置し、この型内には、ガス抜き口に位置する部分の断面積が大きく且つ原液注入口側に向かって断面積が漸減する形状のグリップ部芯金を収容し、原液注入口から発泡原液を注入して発泡成形させるもの(先行技術文献1)が、従来技術として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭59−045275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かかる従来技術は、グリップ部芯金の断面積が、原液注入口側は小さく、ガス抜き口側は大きくなるように変化させているので、グリップ部芯金の断面積の増大による重量の増加や、グリップ部芯金の断面積が変化することによる製造原価の高騰の恐れがある。それに、リム部が高比重の合成樹脂であると、発泡圧が不足し、発泡時に発生した泡がガス抜き口から逃げていかない恐れがある。この問題を解決するために、発泡圧を高めれば、密度が下がってしまうと言う新しい課題が発生する恐れがある。
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は、ガス流速及びガス抜き効率を損なわずに、略一定の断面積のグリップ部芯金により、軽量化、原価の低減などの効果を有するステアリング装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1記載のステアリング装置は、略一定の断面積より形成されてなるグリップ部芯金と、該グリップ部芯金に対して原液注入口が一側に、ガス抜き口が他側に位置し、前記原液の発泡により成形されてなることで前記グリップ部芯金を覆うリム部とより形成されてなるステアリング装置において、前記リム部のガス抜き口を含む前記ガス抜き口近傍箇所の前記リム部の断面積が他の箇所の断面積より小さく略一定であることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2記載のステアリング装置は、請求項1記載の前記グリップ部芯金は、ホイール状のリング部からなり、前記リム部の断面積が他の箇所の断面積より小さい手段として、前記リム部のガス抜き口を含む略90度をなす長さに形成されてなるスペーサーを用いることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3記載のステアリング装置は、請求項2記載の前記スペーサーは、前記グリップ部芯金を挟持する二つ割りよりなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、前記リム部のガス抜き口を含むグリップ部芯金近傍に、前記リム部の断面積が他の箇所の断面積より小さいため、ガス流速が速くなり、ガス抜き効率を損なわない。それに、前記グリップ部芯金の断面積が略一定のため、ステアリング装置の軽量化、原価の低減などの効果を奏する。
【0010】
また、請求項2記載の発明によれば、前記グリップ部芯金は、ホイール状のリング部からなるため、原液の流動がスムースとなる。また、前記リム部の断面積が他の箇所の断面積より小さい手段として、前記リム部のガス抜き口を含む略90度をなす長さに形成されてなるスペーサーを用いるため、前記原液注入口より注入された原液の発泡時に発生するガスが効率よく抜くことができ、リム部の表面に凹凸等のボイドが形成されない、という効果を奏する。
【0011】
更に、請求項3記載の発明によれば、前記スペーサーは、前記リング部芯金を挟持する二つ割りよりなるため、前記リング部芯金にスペーサーを支持する組み立てが著しく容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例1に係るステアリング装置の正面図。
図2図1のステアリング装置からリム部を除いた状態を示す斜視説明図。
図3図2のスペーサーの斜視図。
図4図1のSA−SA線に沿う断面図。
図5図1のSB−SB線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。本発明において、ガス流速及びガス抜き効率を損なわずに、均一の断面積のグリップ部芯金により、軽量化、原価の低減などの効果を有するステアリング装置を提供するという目的を、略一定の断面積より形成されてなるグリップ部芯金と、該グリップ部芯金に対して原液注入口が原液の流動の上流側である一側に、ガス抜き口が前記原液の流動の下流側である他側に位置するように型に設置し、前記原液の発泡により成形されてなることで前記グリップ部芯金を覆うリム部とより形成されてなるステアリング装置において、前記リム部のガス抜き口を含む前記ガス抜き口近傍箇所の前記リム部の断面積が他の箇所の断面積より小さいことで、実現した。以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0014】
本発明の実施例1に係る構造を、図1図5を用いて説明する。自動車のステアリング装置1は、ステアリングポスト(図示省略)の上端部に支持可能なるボス部2と、ホイール状のリム部7と、両者2、7を連結したマグネシュウムを鋳込むことによりなる第1スポーク部3、3及び第2スポーク部4、4と、前記ボス部2及び第1スポーク部3、3及び第2スポーク部4、4を覆うと共にホーン(図示省略)を吹鳴可能なるホーンカバー5とより構成されてなる。前記第1スポーク部3、3は、左右に延びる形状であり、前記第2スポーク部4、4は、上下に延びる形状である。
【0015】
前記リム部7は、無端的な中空鉄骨よりなるグリップ部芯金6を覆うことで形成されてなる。前記グリップ部芯金6は、略一定の断面積より形成されてなる。符号6aは、前記グリップ部芯金6の中空部である。前記リム部7の成形時には、原液注入口9が下部に、ガス抜き口10が上部に位置する型11、12内に、前記リング部芯金6を図2に示すような上下関係で設置する。つまり、この実施例の「下部」は、位置に意味があるのではなく、原液の流動の上流側であることに意味がある。また、この実施例の「上部」は、位置に意味があるのではなく、原液の流動の下流側であることに意味がある。次に、前記リム部7のガス抜き口10を含む近傍のグリップ部芯金6の最上部、つまり、最下流位置には、前記リム部7より断面積の小さなスペーサー8を、図2に示すリム部7に支持する。次に、原液注入口9から、発泡倍率が2であるポリウレタンなどの原液を注入することにより、前記グリップ部芯金6と、前記リム部7の表面7aとなる型の面(図示省略)との間の空間に原液が充填されて、下部から上部、置換すると、原液注入口9を含む上流側からガス抜き口10を含む下流側に向けて充填される。原液は、発泡することにより、例えば、成形時の比重が0.8〜0.85の高比重を得られる。こうして、前記グリップ部芯金6及びスペーサー8を覆うことで、前記リム部7が形成されてなる。原液の注入量は、スペーサー8の長さ方向の端部に係る位とする。
【0016】
上部に設けられたガス抜き口10を含む位置の前記グリップ部芯金6には、前記スペーサー8の前記グリップ部芯金6を挟持する上部スペーサー8a及び下部スペーサー8bより二つ割りされていて、該スペーサー8は、前記リム部7のガス抜き口10を含む角度θが90度をなす長さに形成されてなる。前記スペーサー8は、摂氏100度のポリウレタンなどの原液によって溶けず、ポリウレタンに接着する合成樹脂であり、例えば、ABS樹脂である。上部スペーサー8aは、断面が真円を半分に切った形状で、下側に溝がある。下部スペーサー8bは、断面が真円を半分に切った形状で、上側に溝がある。図5の符号8aaと8baとは、上部スペーサー8a及び下部スペーサー8bそれぞれの端部である。上部スペーサー8a及び下部スペーサー8bは、合わさってリング状をなす。
【0017】
従って、本実施例1によれば、グリップ部芯金6に対して原液注入口9が下部に、ガス抜き口10が上部に位置するように型11、12に設置し、原液注入口9に発泡材を含む原液を注入することで、原液注入口9に入った原料は、注入圧力でグリップ部芯金6と、リム部7の外周面7aとの間に充填され且つ発泡を始める。前記リム部7は、ホイール状をなしているので、原液がスムースに流れるが、前記リム部7のガス抜き口10を含む近傍のグリップ部芯金6に、前記リム部7より、断面積の小さなスペーサー8をリム部7の成形前に支持してなるため、スペーサー8の配されてなる部位の空いた空間寸法14は、一般の空いた空間寸法13に比較してリム部7の断面積がスペーサー8分狭められ、小さくなる。具体的な一例として、リム部7の空間寸法13がスペーサー8の配されない部位の12.4mmからスペーサー8の配される境目から空間寸法14が7.65mmへと縮小されることで、原料の充填時の流速が急激に上がり、グリップ部芯金6の上部までの充填が速くなるし、流れに乗った微小な気泡を多く含むポリウレタンの原液もガス抜き口10から速やかに排出されるようになるため、ガス抜き効率も向上する。それに、グリップ部芯金6の断面積が均一のため、ステアリング装置1の軽量化、原価の低減などの効果を奏する。発泡時の泡も型外へ押し出すことができる。空間寸法13及び14は、成形後は、リム部7の薄肉部及び厚肉部となる。
【0018】
また、前記スペーサー8は、前記リム部7のガス抜き口10を含む90度をなす長さに形成されてなるため、前記原液注入口9より注入された原液が発泡する過程で、ガスが効率よく抜くことができ、リム部7の表面に凹凸等ガスの跡(ボイドという。)が形成されない、という効果を奏する。
【0019】
更に、前記スペーサー8は、前記グリップ部芯金6を挟持する二つ割りよりなる上部スペーサー8a及び下部スペーサー8bよりなるため、前記グリップ部芯金6にスペーサー8を支持する組み立てが著しく容易となる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
前記実施例1では、自動車に配されてなることを例にして説明したが、これに限定せず、飛行機や船舶、鉄道車両などの乗り物に配されても良い。また、前記リム部7のガス抜き口10を含む前記ガス抜き口10近傍箇所の前記リム部7の断面積が他の箇所の断面積より小さい手段として、スペーサー8を用いることを例にして説明したが、これに限定されない。また、スペーサー8は、摂氏100度のポリウレタンなどの原液によって溶けず、ポリウレタンに接着する合成樹脂であり、例えば、ABS樹脂であると説明したが、これに限定せず、ポリプロピレンでも良いし、第1スポーク部3、3及び第2スポーク部4、4を鋳込む際に同様にマグネシウムを鋳込むことにより成形しても良い。しかしながら、原価的には、ABS樹脂の方が安価である。更に、グリップ部芯金6は、中空鉄骨よりなると説明したが、これに限定せず、マグネシウムのみでの成形でも良い。
【符号の説明】
【0021】
1 ステアリング装置
6 グリップ部芯金
7 リム部
8 スペーサー
9 原液注入口
10 ガス抜き口
図1
図2
図3
図4
図5