特許第6054720号(P6054720)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6054720
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】光学ユニット、撮像装置、および移動体
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20060101AFI20161219BHJP
   G03B 17/02 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   G02B7/02 D
   G02B7/02 A
   G03B17/02
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-259467(P2012-259467)
(22)【出願日】2012年11月28日
(65)【公開番号】特開2014-106387(P2014-106387A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100153017
【弁理士】
【氏名又は名称】大倉 昭人
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(72)【発明者】
【氏名】大原 直人
(72)【発明者】
【氏名】森島 理洋
【審査官】 登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−282071(JP,A)
【文献】 特開2012−034947(JP,A)
【文献】 特開2007−025390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
G03B 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側方向の面の外周の周辺および側面の少なくとも一方に第1の封止領域を有するレンズと、
前記第1の封止領域とともに封止空間を画定する第2の封止領域を有し、前記レンズを物体側方向の面から鏡筒内に固定する固定部と、
前記封止空間に介在し、前記第1の封止領域および前記第2の封止領域のそれぞれ一部に密着する封止部とを備え、
前記鏡筒の外部側から内部側に亘って画定される前記封止空間における前記第1の封止領域および前記第2の封止領域の間隔は、前記内部側の少なくとも一部において、前記外部側よりも狭く、前記封止空間は、前記封止部が前記封止空間に介在する状態で、前記封止部より前記内部側に空隙を有し、前記固定部は前記鏡筒の内面から前記レンズの光軸方向に延びる保持部と、当該保持部の前記光軸側の端部において前記レンズの結像側方向に延びる環状の壁を形成する係合部とを有する
ことを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の光学ユニットであって、前記封止部は、接着剤、シーリング材、コーキング材の少なくともいずれかを有することを特徴とする光学ユニット。
【請求項3】
請求項に記載の光学ユニットであって、前記封止部は、前記接着剤、シーリング材、コーキング材の少なくともいずれかを、前記第1の封止領域および前記第2の封止領域の複数の位置に密着した部材であることを特徴とする光学ユニット。
【請求項4】
請求項または請求項に記載の光学ユニットであって、前記接着剤、シーリング材、コーキング材の少なくともいずれかの量は、前記第1の封止領域および前記第2の封止領域の間隔が相対的に狭い部位よりも相対的に広い部位において多いことを特徴とする光学ユニット。
【請求項5】
請求項から請求項のいずれか1項に記載の光学ユニットであって、前記接着剤、シーリング材、コーキング材の少なくともいずれかは硬化状態で弾性を有することを特徴とする光学ユニット。
【請求項6】
請求項から請求項のいずれか1項に記載の光学ユニットであって、前記接着剤、シーリング材、コーキング材の少なくともいずれかは吸湿硬化性または熱硬化性を有することを特徴とする光学ユニット。
【請求項7】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の光学ユニットと、
当該光学ユニットを介して結像する被写体像を撮像する撮像素子とを備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項に記載の撮像装置を搭載することを特徴とする移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過酷な使用環境において高い環境性能を維持する光学ユニット、撮像装置、および移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
車載カメラおよび監視カメラなどのように、屋外環境に曝される頻度の高いカメラが知られている。このような屋外向けのカメラに用いる光学ユニットには、防水性などの耐環境性能の向上が求められる。
【0003】
高い耐環境性能をもたせるために、レンズの周辺にリング円状平坦部を形成し、当該平坦部に対面するリング状段部を有する押さえ部材によって、当該レンズを物体側から鏡筒内に固定する撮像装置が提案されている(特許文献1参照)。当該撮像装置においては、リング状平坦部とリング状段部の間にシーリングを介在させ、リング状段部をリング状平坦部に押圧することでシーリングを変形させ、開口が封止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−295119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、屋外向けのカメラに用いられる光学ユニットにおいては、対環境性能を維持することも要求される。例えば、当該カメラは高圧の水流で洗浄されることがある。光学ユニットが高圧の水流に曝されると、表面のレンズが鏡筒内に押圧されることに起因して、鏡筒内への漏水が生じ得、要求される防水性の維持が困難となることがある。
【0006】
したがって、かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、高圧の水流による洗浄などの過酷な使用環境においても高い環境性能を維持する光学ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した諸課題を解決すべく、第1の観点による光学ユニットは、
物体側方向の面の外周の周辺および側面の少なくとも一方に第1の封止領域を有するレンズと、
前記第1の封止領域とともに封止空間を画定する第2の封止領域を有し、前記レンズを物体側方向の面から鏡筒内に固定する固定部と、
前記封止空間に介在し、前記第1の封止領域および前記第2の封止領域のそれぞれ一部に密着する封止部とを備え、
前記鏡筒の外部側から内部側に亘って画定される前記封止空間における前記第1の封止領域および前記第2の封止領域の間隔は、前記内部側の少なくとも一部において、前記外部側よりも狭く、前記封止空間は、前記封止部が前記封止空間に介在する状態で、前記封止部より前記内部側に空隙を有し、前記固定部は前記鏡筒の内面から前記レンズの光軸方向に延びる保持部と、当該保持部の前記光軸側の端部において前記レンズの結像側方向に延びる環状の壁を形成する係合部とを有する
ことを特徴とするものである。
【0009】
また、第の観点による光学ユニットにおいて、
前記封止部は、接着剤、シーリング材、コーキング材の少なくともいずれかを有する、ことが好ましい。
また、第の観点による光学ユニットにおいて、
前記封止部は、前記封止部は、前記接着剤、シーリング材、コーキング材の少なくともいずれかを、前記第1の封止領域および前記第2の封止領域の複数の位置に密着した部材である、ことが好ましい。
【0010】
また、第の観点による光学ユニットにおいて、
前記接着剤、シーリング材、コーキング材の少なくともいずれかの量は、前記第1の封止領域および前記第2の封止領域の間隔が相対的に狭い部位よりも相対的に広い部位において多い、ことが好ましい。
【0011】
また、第の観点による光学ユニットにおいて、
前記接着剤、シーリング材、コーキング材の少なくともいずれかは硬化状態で弾性を有する、ことが好ましい。
【0012】
また、第の観点による光学ユニットにおいて、
前記接着剤、シーリング材、コーキング材の少なくともいずれかは吸湿硬化性または熱硬化性を有する、ことが好ましい。
【0013】
また、第の観点による撮像装置は、
物体側方向の面の外周の周辺および側面の少なくとも一方に第1の封止領域を有するレンズと、前記第1の封止領域とともに封止空間を画定する第2の封止領域を有し、前記レンズを物体側方向の面から鏡筒内に固定する固定部と、前記封止空間に介在し、前記第1の封止領域および前記第2の封止領域に密着する封止部とを有し、前記鏡筒の外部側から内部側に亘って画定される前記封止空間における前記第1の封止領域および前記第2の封止領域の間隔は、前記内部側の少なくとも一部において、前記外部側よりも狭く、前記封止空間は、前記封止部が前記封止空間に介在する状態で、前記封止部より前記内部側に空隙を有し、前記固定部は前記鏡筒の内面から前記レンズの光軸方向に延びる保持部と、当該保持部の前記光軸側の端部において前記レンズの結像側方向に延びる環状の壁を形成する係合部とを有する光学ユニットと、
当該光学ユニットを介して結像する被写体像を撮像する撮像素子とを備える
ことを特徴としている。
【0014】
また、第の観点による移動体は、
物体側方向の面の外周の周辺および側面の少なくとも一方に第1の封止領域を有するレンズと、前記第1の封止領域とともに封止空間を画定する第2の封止領域を有し、前記レンズを物体側方向の面から鏡筒内に固定する固定部と、前記封止空間に介在し、前記第1の封止領域および前記第2の封止領域に密着する封止部とを有し、前記鏡筒の外部側から内部側に亘って画定される前記封止空間における前記第1の封止領域および前記第2の封止領域の間隔は、前記内部側の少なくとも一部において、前記外部側よりも狭く、前記封止空間は、前記封止部が前記封止空間に介在する状態で、前記封止部より前記内部側に空隙を有し、前記固定部は前記鏡筒の内面から前記レンズの光軸方向に延びる保持部と、当該保持部の前記光軸側の端部において前記レンズの結像側方向に延びる環状の壁を形成する係合部とを有する光学ユニットと、当該光学ユニットを介して結像する被写体像を撮像する撮像素子とを備える撮像装置を搭載する
ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
上記のように構成された本発明に係る発光ユニット、撮像装置、および移動体によれば、過酷な使用環境においても高い耐環境性能を維持可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態に係る光学ユニットを有する撮像装置の移動体内における設置場所を示す配置図である。
図2図1における光学ユニットの光軸に沿った断面図である。
図3】光学ユニットとして組立て後の鏡筒の断面図である。
図4図2における第2の固定部周辺の部分拡大図である。
図5】光学ユニットとして組立て前の鏡枠の断面図である。
図6】光学ユニットの組立て時における硬化性を有する部材の塗布方法を示す、第2の固定部周辺の部分拡大図である。
図7】複数の封止部が形成された状態を示す、第2の固定部周辺の部分拡大図である。
図8】第2の封止領域を中心軸に垂直にした場合における漏水発生のメカニズムを説明するための第2の固定部周辺の部分拡大図である。
図9】光学ユニットの組立て時において、硬化性を有する部材を1回だけ塗布した状態を示す、第2の固定部周辺の部分拡大図である。
図10】第2の実施形態における第2の固定部周辺の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
まず、本発明の第1の実施形態に係る光学ユニットを有する撮像装置について説明する。図1は、第1の実施形態に係る光学ユニットを有する撮像装置の移動体における搭載位置を示す配置図である。
【0019】
図1に示すように、光学ユニット10を有する撮像装置11は、表示装置12とともに、移動体13に設けられる。撮像装置11は、移動体13の何処に設けてもよいが、第1の実施形態では、後方の視界の周辺画像を撮像するために、移動体13の後方外部に固定される。表示装置12は、運転席から視認可能に設けられる。
【0020】
光学ユニット10は、移動体13後方の被写体像を撮像装置11内の撮像素子14に結像させる。撮像装置11は撮像素子14を用いて被写体像を撮像し、表示装置12に伝達する。表示装置12は、撮像素子14から取得する被写体像を表示する。
【0021】
光学ユニット10の構成について、図2を用いて説明する。図2は光学ユニット10の光軸に沿った断面図である。光学ユニット10は、鏡筒15、光学系16、スペーサ17および、封止部18を含んで構成される。
【0022】
鏡筒15は、図3に示すように、外壁部19および収容部20を有する。収容部20は、中心軸CXに関して回転対称に形成される。鏡筒15においては、中心軸CXに沿った一方の方向が物体側方向、他方の方向が結像側方向に定められる。
【0023】
収容部20は、内部に光学系16を収容する(図2参照)。収容部20の内面は、内径が一定である円筒内面状に形成される(図3参照)。収容部20の両方の開口端には、第1の固定部21および第2の固定部22が形成される。
【0024】
第1の固定部21は、結像側方向の開口端に形成される。第1の固定部21は、例えば収容部20の結像側方向の開口を、光学系16の収容後に内側に変形させたカシメである。または、光学系16の収容後に、収容部20の結像側方向の開口に螺合などの任意の結合方法により収容部20に結合し、スペーサ17を介して光学系16の結像側の面の一部と係合するリテーナである。第1の固定部21は、結像側方向から収容部20、すなわち鏡筒15内に、光学系16を固定する。
【0025】
第2の固定部22は、物体側方向の開口端に予め形成される。図4に示すように、第2の固定部22は、保持部23および係合部24を有する。保持部23は、収容部20の円筒内面から中心軸CX方向に延び、且つ結像側方向の面が中心軸CX方向に傾斜するように形成される。保持部23の、結像側方向の面は、後述する第2の封止領域25として機能する。保持部23は、後述するように、第1のレンズ26とともに、封止部18を介在させ、保持する。係合部24は保持部23の中心軸CX側の端部において、結像側方向に延びる環状の壁である。第2の固定部22は、物体側方向から収容部20、すなわち鏡筒15内に、光学系16を固定する。
【0026】
図2において、光学系16は、第1のレンズ26および複数の光学素子27によって構成される。光学素子27は、レンズおよび開口絞りなどの光学部材である。光学系16が、例えば焦点距離および被写界深度などの所望の光学特性を備えるように、第1のレンズ26および各光学素子27が形成され、組合される。
【0027】
第1のレンズ26は、光学系16の中で最も物体側に配置される。第1のレンズ26は本体28から径方向外側に延びる鍔部29を有する(図4参照)。鍔部29の物体側方向の面は、光軸に対して垂直且つ平坦であり、第1の封止領域30として機能する。したがって、第1のレンズ26は物体側の面の外周の周辺に第1の封止領域30を有する。本体28の外径は第2の固定部22の内径と実質的に同じ長さである。また、鍔部29の外径は第2の固定部22の内径より長く、収容部20(図3参照)の内径より短い。
【0028】
複数の光学素子27の最外縁の外径は、収容部20の内径と実質的に同じ長さである。
【0029】
図2において、スペーサ17は、中心の孔部の内径が、最も像側の光学素子27の光学的に機能する部位の外径よりも大きくなるように、リング状に形成された、金属製の部材である。また、スペーサ17の外径は、収容部20の内径と実質的に同じ長さである。
【0030】
封止部18は、第1の封止領域30および第2の封止領域25が画定する封止空間Sの間に介在し(図4参照)、第1の封止領域30および第2の封止領域25に密着する。封止部18は、第1の封止領域30および第2の封止領域25に密着することにより、鏡筒15内部への漏水を抑制する。封止部18は、硬化性を有する部材によって形成される。硬化性を有する部材とは、例えば接着剤、シーリング材、およびコーキング材である。硬化性を有する部材は、吸湿硬化性あるいは熱硬化性を有し且つ硬化後も弾性を有することが好適である。
【0031】
以上のような光学ユニット10の組立て方法を、以下に説明する。図5に示すように、光学ユニット10の組立て前には、収容部20の結像側方向の開口端に第1の固定部21は形成されず、収容部20は一定の内径のまま結像側方向の開口端まで連続している。
【0032】
図6に示すように、硬化性を有する部材31を、第2の封止領域25に、複数回、例えば2回同心円状に塗布する。複数回に亘る塗布位置は、互いに近接していることが好ましい。硬化性を有する部材31は、第2の封止領域25から係合部24の高さを超えるように塗布される。硬化性を有する部材31の、中心軸CX側の部位すなわち第1の封止領域30および第2の封止領域25の間隔が相対的に広い部位の塗布量(符号“A”参照)は、収容部20内部側の部位すなわち当該間隔が相対的に狭い部位の塗布量(符号“B”参照)より多い。また、硬化性を有する部材31は、封止空間Sの容積よりも硬化後の封止部18の体積が小さくなるように、すなわち封止部18が介在した状態で封止空間Sが空隙を有するように塗布される。
【0033】
硬化性を有する部材31の塗布後に、第1のレンズ26が、収容部20の結像側方向から挿入される。鍔部29が第2の固定部22に係合するまで、第1のレンズ26の本体28が第2の固定部22に嵌込まれる(図4参照)。
【0034】
第2の固定部22への嵌込み時には、第1の封止領域30および第2の封止領域25は対向する。鏡筒15の外部側から内部側に亘って確定される封止空間における両者の間隔は、収容部20の内壁側すなわち鏡筒15の内部側において、中心軸CX側すなわち鏡筒15の外部側よりも狭い。また、第2の固定部22への嵌込み時には、硬化性を有する部材31が第1の封止領域30および第2の封止領域25によって押潰され、単一(図4参照)または複数(図7参照)の封止部18に変形する。
【0035】
次に、複数の光学素子27が、収容部20に嵌合するように、順番に挿入される。最も像側の光学素子27を収容部20内に挿入した状態で、スペーサ17が挿入される。スペーサ17の挿入後、収容部20の結像側方向の開口を内側に折り曲げることにより、前述の第1の固定部21が形成される。
【0036】
以上のような構成の第1の実施形態の光学ユニットによれば、封止部18を密着させる第1の封止領域30および第2の封止領域25の間隔が、鏡筒15の内部側において、鏡筒15の外部側よりも狭いので、以下に説明するように、過酷な使用環境においても耐環境性能、特に防水性を維持可能である。
【0037】
第1の封止領域30および第2の封止領域25’の間隔が一定である場合には、第1のレンズ26が高圧水流により結像側方向に押圧されると、第1のレンズ26が微小に結像側方向に変位し(図8(a)参照)、封止部18を押圧する圧力が低下する。この状態において、高圧水流は第1の封止領域30および第2の封止領域25’に侵入し、封止部18を鏡筒15’の内側方向に押圧する(図8(b)参照)。第1の封止領域30および第2の封止領域25’による封止部18を押圧する圧力が低下しているので、封止部18は第1の封止領域30および第2の封止領域25’から剥離する可能性が高まり、漏水が生じ得る。
【0038】
一方、第1の実施形態においては、封止部18が剥離した場合であっても、水流により封止部18が間隔の狭くなる方向に変位することにより、第1の封止領域30および第2の封止領域25から封止部18を押圧する反力が増加する。反力の増加により、封止部18と第1の封止領域30および第2の封止領域25との密着性が再び高まるので、漏水を抑止することが可能である。すなわち、過酷な使用環境においても防水性を維持可能である。
【0039】
また、第1の実施形態においては、光学ユニット10の組立て時に、硬化性を有する部材31を複数回塗布するので、以下に説明するように、封止部18の接着強度の光学ユニット10毎の固体差を低減化可能である。
【0040】
硬化性を有する部材31の塗布時には、表面張力によって断面が球状になる(図6参照)。それゆえ、中心軸CX方向とは垂直な幅方向に封止部18が所定の長さを有するように、塗布量を定めると、幅方向だけでなく、中心軸CX方向に平行な高さ方向の長さも長くなる。このような現象に対して、図9に示すように、1回の塗布では、硬化性を有する部材31の高さ方向の長さが長いため、押圧による変形量が大きく、変形後の封止部18の断面形状は光学ユニット10の固体毎に大きく変動し得る。一方、第1の実施形態のように複数回の塗布によれば、1回の塗布の場合と全体で同じ塗布量であっても、硬化性を有する部材31の高さ方向の長さが抑えられるので、押圧による変形量が小さくなる。それゆえ、接着強度の固体差を低減化可能である。
【0041】
また、第1の実施形態においては、第1の封止領域30および第2の封止領域25の間隔が相対的に広い部位の塗布量は当該間隔が相対的に狭い部位の塗布量より多いので、塗布部位毎に硬化性を有する部材31の高さ方向の長さが抑えられる。それゆえ、封止部18の接着強度の光学ユニット10毎の固体差をさらに低減化可能である。
【0042】
また、第1の実施形態においては、封止空間Sの容積よりも、硬化後の封止部18の体積が小さいので、硬化性を有する部材31の使用量の抑制、ならびに収容部20内および本体28のレンズ面側への硬化性を有する部材31の流出を抑えることが可能である。
【0043】
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。第2の実施形態では第2の封止領域の形状が第1の実施形態と異なっている。以下に、第1の実施形態と異なる点を中心に第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ機能および構成を有する部位には同じ符号を付す。
【0044】
図10に示すように、第2の実施形態における鏡筒150の第2の封止領域250は、第1の実施形態と異なり、中心軸CX側から収容部20内部側に向かって、第1の段の面320および第2の段の面330を有する。係合部24の結像側の端部を基準とした深さは、第1の段の面320の方が第2の段の面330より深い。
【0045】
光学ユニット10の組立て時には、第1の段の面320および第2の段の面330に、硬化性を有する部材31を同心円状に塗布する。第1の実施形態と同様に、第1の段の面320および第2の段の面330における塗布位置は、互いに近接していることが好ましい。
【0046】
第2の実施形態において、第2の封止領域250以外の光学ユニット10の各部位の構成および機能、ならびに第2の封止領域250における硬化性を有する部材31の塗布以外の光学ユニット10の組立て方法は、第1の実施形態と同じである。
【0047】
以上のような構成の第2の実施形態の光学ユニットによっても、第1の実施形態と同様に、封止部18を密着させる第1の封止領域30および第2の封止領域250の間隔が、鏡筒150の内部側において鏡筒150の外部側よりも狭いので、過酷な使用環境においても耐環境性能、特に防水性を維持可能である。また、第2の実施形態の光学ユニットによっても、第1の実施形態と同様に、光学ユニット10の組立て時に、硬化性を有する部材31を複数回塗布するので、封止部18の接着強度の光学ユニット10毎の固体差を低減化可能である。また、第2の実施形態の光学ユニットによっても、第1の実施形態と同様に、第1の封止領域30および第2の封止領域250の間隔が相対的に広い部位の塗布量は当該間隔が相対的に狭い部位の塗布量より多いので、封止部18の接着強度の光学ユニット10毎の固体差をさらに低減化可能である。また、第2の実施形態の光学ユニットによっても、第1の実施形態と同様に、第1の封止領域30および第2の封止領域250によって画定される封止空間Sの容積よりも、硬化後の封止部18の体積が小さいので、硬化性を有する部材31の使用量の抑制、ならびに収容部20内および本体28のレンズ面側への硬化性を有する部材31の流出を抑えることが可能である。
【0048】
さらに、第2の実施形態の光学ユニットによれば、第2の封止領域250が中心軸CXに垂直な方向から傾斜していないので、物体側方向を鉛直下方にした光学ユニット10の組立てにおいて硬化性を有する部材31の傾斜面に沿った流動が抑止される。それゆえ、封止部18の形成位置が塗布位置から変動することが無いため、封止部18の接着強度の光学ユニット10毎の固体差を低減化可能である。
【0049】
本発明を諸図面や実施形態に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
【0050】
例えば、第1の実施形態では、第2の封止領域25が中心軸CX方向に傾斜する構成であるが、第1の封止領域30が中心軸CX方向に傾斜する構成であってもよい。また、第2の実施形態においては、第2の封止領域250が第1の段の面320および第2の段の面330を有する構成であるが、第1の封止領域30が第1の段の面および第2の段の面を有する構成であってもよい。
【0051】
また、第1の実施形態および第2の実施形態において、第1の封止領域30および第2の封止領域25の間隔が、鏡筒15の外部側から内部側に向かって狭くなるよう構成であるが、全体に亘って狭くなる構成でなくてもよい。外部側から内部側に向かって間隔が狭くなる部位を有すれば、さらにその内部側において間隔が広くなっても、第1の実施形態および第2の実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0052】
また、第1の実施形態および第2の実施形態では、封止部18は硬化性を有する部材31を硬化させることにより形成される構成であるが、例えばOリングのような弾性を有する部材によって形成してもよい。
【0053】
また、第1の実施形態および第2の実施形態では、鍔部29の物体側方向の面を第1の封止領域30として機能させているが、鍔部29の側面を第1の封止領域30として機能させてもよい。例えば、収容部20の円筒内面に連続する、第2の固定部22の側面の一部を、鏡筒15内部側から外部側に向かって拡径するように形成し第2の封止領域として機能させることにより、第2の封止領域に対向する、鍔部29の側面を第1の封止領域30として機能させることが可能である。
【符号の説明】
【0054】
10 光学ユニット
11 撮像装置
12 表示装置
13 移動体
14 撮像素子
15、150 鏡筒
16 光学系
17 スペーサ
18 封止部
19 外壁部
20 収容部
21 第1の固定部
22 第2の固定部
23 保持部
24 係合部
25、250 第2の封止領域
26 第1のレンズ
27 光学素子
28 本体
29 鍔部
30 第1の封止領域
31 硬化性を有する部材
320 第1の段の面
330 第2の段の面
CX 中心軸
S 封止空間
図1
図2
図3
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図10