特許第6054802号(P6054802)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社KCMの特許一覧

特許6054802作業機械のピン支持構造およびホイールローダ
<>
  • 特許6054802-作業機械のピン支持構造およびホイールローダ 図000002
  • 特許6054802-作業機械のピン支持構造およびホイールローダ 図000003
  • 特許6054802-作業機械のピン支持構造およびホイールローダ 図000004
  • 特許6054802-作業機械のピン支持構造およびホイールローダ 図000005
  • 特許6054802-作業機械のピン支持構造およびホイールローダ 図000006
  • 特許6054802-作業機械のピン支持構造およびホイールローダ 図000007
  • 特許6054802-作業機械のピン支持構造およびホイールローダ 図000008
  • 特許6054802-作業機械のピン支持構造およびホイールローダ 図000009
  • 特許6054802-作業機械のピン支持構造およびホイールローダ 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6054802
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】作業機械のピン支持構造およびホイールローダ
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/38 20060101AFI20161219BHJP
   F16C 11/04 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   E02F3/38 B
   F16C11/04 S
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-80397(P2013-80397)
(22)【出願日】2013年4月8日
(65)【公開番号】特開2014-202003(P2014-202003A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】509241041
【氏名又は名称】株式会社KCM
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100167748
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輝
(72)【発明者】
【氏名】矢田 裕昭
(72)【発明者】
【氏名】竹山 剛史
(72)【発明者】
【氏名】武樋 公志
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−311924(JP,A)
【文献】 特開2006−104954(JP,A)
【文献】 特開2009−185937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/38
F16C 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の部材と、前記第1および第2の部材をピン結合によって互いに回動可能に結合するピンとを備える作業機械のピン支持構造において、
前記第1の部材は、前記ピンが挿通する第1の挿通孔を有する板状の主部材と、前記主部材の両側面にそれぞれ接合され、前記ピンが挿通する第2の挿通孔をそれぞれ有する一対のボス部材と、前記第1および第2の挿通孔に嵌挿されて、前記ピンとの間に介在するブッシュとを備え、
前記一対のボス部材のうちの少なくとも一方のボス部材は、前記主部材に面した前記第2の挿通孔の端部が面取りされた面取部と、前記面取部から前記一方のボス部材の外周面に向かって延在する給脂孔とを有し、
前記主部材は、前記第1の挿通孔の内周面に設けられて前記第1の挿通孔の軸線方向に沿って延在するとともに前記面取部と連通する溝部を有することを特徴とする作業機械のピン支持構造。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械のピン支持構造において、
前記一方のボス部材における前記面取部に面した円錐面と、前記一方のボス部材と面した前記主部材の側面と、前記ブッシュの外周面とで囲まれた環状の給脂路が形成されていることを特徴とする作業機械のピン支持構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の作業機械のピン支持構造において、
前記ブッシュは、略円筒形状を成し、前記第1の挿通孔に面した外周面と、内周面とを連通する連通孔を有し、
前記連通孔は、前記外周面側の端面が、前記溝部に面していることを特徴とする作業機械のピン支持構造。
【請求項4】
リフトアームと、前記リフトアームに請求項1または請求項2に記載の作業機械のピン支持構造で支持されるバケットとを備えたホイールローダにおいて、
前記第1の部材は、前記リフトアームであり、
前記第2の部材は、前記バケットであることを特徴とするホイールローダ。
【請求項5】
請求項4に記載のホイールローダにおいて、
前記バケットから受ける作業負荷が前記ピンを介して前記第1の挿通孔に対して前記ピンの径方向に作用し、
前記溝部は、前記作業負荷が最も大きくなる前記リフトアームおよび前記バケットの姿勢において前記作業負荷が前記第1の挿通孔に作用する位置とは異なる位置に設けられていることを特徴とするホイールローダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械のピン支持構造およびホイールローダに関する。
【背景技術】
【0002】
ホイールローダを含む各作業機械では、各部をピン結合にて互いに回転可能に支持するピン支持構造が用いられている。ピン支持構造によって摺動する部分に潤滑剤を導くために、たとえばピン側に加工を施した給脂構造が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−49021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献に記載の給脂構造では、ピン側に給脂する必要がある。そのため、互いに回転可能な部材のうち給脂用の配管に対して回動する部材を跨ぐように、給脂用の配管をピン側の給脂部分に接続する必要があり、配管の配設上で制約があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1) 請求項1の発明による作業機械のピン支持構造は、第1および第2の部材と、第1および第2の部材をピン結合によって互いに回動可能に結合するピンとを備える作業機械のピン支持構造において、第1の部材は、ピンが挿通する第1の挿通孔を有する板状の主部材と、主部材の両側面にそれぞれ接合され、ピンが挿通する第2の挿通孔をそれぞれ有する一対のボス部材と、第1および第2の挿通孔に嵌挿されて、ピンとの間に介在するブッシュとを備え、一対のボス部材のうちの少なくとも一方のボス部材は、主部材に面した第2の挿通孔の端部が面取りされた面取部と、面取部から一方のボス部材の外周面に向かって延在する給脂孔とを有し、主部材は、第1の挿通孔の内周面に設けられて第1の挿通孔の軸線方向に沿って延在するとともに面取部と連通する溝部を有することを特徴とする。
(2) 請求項2の発明は、請求項1に記載の作業機械のピン支持構造において、一方のボス部材における面取部に面した円錐面と、一方のボス部材と面した主部材の側面と、ブッシュの外周面とで囲まれた環状の給脂路が形成されていることを特徴とする。
(3) 請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の作業機械のピン支持構造において、ブッシュは、略円筒形状を成し、第1の挿通孔に面した外周面と、内周面とを連通する連通孔を有し、連通孔は、外周面側の端面が、溝部に面していることを特徴とする。
(4) 請求項4の発明によるホイールローダは、リフトアームと、リフトアームに請求項1または請求項2に記載の作業機械のピン支持構造で支持されるバケットとを備えたホイールローダにおいて、第1の部材は、リフトアームであり、第2の部材は、バケットであることを特徴とする。
(5) 請求項5の発明は、請求項4に記載のホイールローダにおいて、バケットから受ける作業負荷がピンを介して第1の挿通孔に対してピンの径方向に作用し、溝部は、作業負荷が最も大きくなるリフトアームおよびバケットの姿勢において作業負荷が第1の挿通孔に作用する位置とは異なる位置に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ボス部材の給脂孔からピン結合のためのピンが挿通する挿通孔まで連通するように構成したので、給脂用配管の配設時の制約をなくすことができ、給脂配管に係る設計コストや製造コストを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】作業機械の一例であるホイールローダの側面図である。
図2】アームおよびバケットの斜視図である。
図3】アームの斜視図である。
図4】ボス部材が取り付けられる前のリフトアーム主部材の先端(前部)近傍の側面図である。
図5】内側ボス部材の外観を示す図である。
図6】右側のリフトアーム主部材におけるバケットヒンジ部の斜視図である。
図7】ブッシュが嵌挿された後の右側のリフトアーム主部材におけるバケットヒンジ部の断面図である。
図8】バケットヒンジ部近傍の断面図である。
図9】挿通孔における溝部の配設位置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1〜9を参照して、本発明による作業機械のピン支持構造およびホイールローダの一実施の形態を説明する。図1は、本実施の形態に係る作業機械の一例であるホイールローダの側面図である。ホイールローダ100は、リフトアーム(アーム)111,バケット112,タイヤ113等を有する前部車体110と、運転室121,機械室(エンジン室)122,タイヤ123等を有する後部車体120とで構成される。エンジン室122は、上方がエンジンフード140で、側方が開閉可能な建屋カバー130で覆われている。後部車体120の後方にはカウンタウェイト124が取り付けられている。エンジン室122の前方には、作動油タンク125が設けられている。
【0009】
アーム111はアームシリンダ117の駆動により上下方向に回動(俯仰動)し、バケット112はバケットシリンダ115の駆動により上下方向に回動(ダンプまたはクラウド)する。前部車体110と後部車体120はセンタピン101により互いに回動自在に連結され、ステアリングシリンダ116の伸縮により後部車体120に対し前部車体110が左右に屈折する。説明の便宜上、本実施の形態では各図に記載するように前後左右方向および上下方向を規定する。なお、図1における紙面の奥行き方向が車幅方向であり、紙面奥側が右方向であり、紙面手前側が左方向である。また、本実施の形態では、各図において、ホイールローダ100を構成する部材のうち説明のために記載を省略する必要があるものについては、その一部または全部についての記載を省略している。
【0010】
図2は、アーム111およびバケット112の斜視図であり、図3は、アーム111の斜視図である。アーム111は、左右一対のリフトアーム主部材10,10と、左右のリフトアーム主部材10,10を連結する連結部材11とを備えている。左右それぞれのリフトアーム主部材10,10は、ホイールローダ100の前後方向に延在して、バケット112を俯仰動する板状の部材であり、先端のバケットヒンジ部12と、基端の基端ヒンジ部13と、アームシリンダ連結部14とを備えている。
【0011】
バケットヒンジ部12は、ピン70によってバケット112とピン結合され、バケット112を回動可能に支持する。基端ヒンジ部13は、前部車体110とピン結合される。アームシリンダ連結部14は、アームシリンダ117のシリンダロッドの先端とピン結合される。
【0012】
図4は、ボス部材30,40が取り付けられる前のリフトアーム主部材10の先端(前部)近傍の側面図である。バケットヒンジ部12は、リフトアーム主部材10の先端近傍で左右方向に貫通する挿通孔20と、挿通孔20の両端側に設けられた一対のボス部材30,40とを有する。図4に示すように、挿通孔20の内周面には、挿通孔20の軸線方向、すなわち左右方向に延在する溝部21が、たとえば2箇所に設けられている。加工の都合上、溝部21は、ボス部材30,40をリフトアーム主部材10に取り付ける前に設けておくことが望ましい。
【0013】
ボス部材30,40は、バケットヒンジ部12に設けられるボス部材である。リフトアーム主部材10の左右方向(車幅方向)外側に設けられるボス部材30を外側ボス部材30と呼び、リフトアーム主部材10の車幅方向内側に設けられるボス部材40を内側ボス部材40と呼ぶ。外側ボス部材30は、リフトアーム主部材10の挿通孔20と略同一径の挿通孔31を有するリング状の部材である。
【0014】
図5は、内側ボス部材40の外観を示す図である。内側ボス部材40は、リフトアーム主部材10の挿通孔20と略同一径の挿通孔41と、外部から給脂するための給脂孔42とを有する部材である。また、挿通孔41の左右の端部のうち、リフトアーム主部材10に面する側(すなわち車幅方向外側)の端部には、挿通孔41の内周面から内側ボス部材40の側方端面にかけて面取りされた面取部43が設けられている。給脂孔42は、面取部43と連通している。なお、面取部43は、内側ボス部材40において面取られた空間を指す。内側ボス部材40における面取部43に面した円錐面を円錐面43aと呼ぶ。
【0015】
給脂孔42および面取部43の加工は、内側ボス部材40をリフトアーム主部材10に取り付ける前に施されている。また、各ボス部材30,40は、溶接によってリフトアーム主部材10,10にそれぞれ取り付けられる。
【0016】
図6は、右側のリフトアーム主部材10におけるバケットヒンジ部12の斜視図であり、図7は、ブッシュ50が嵌挿された後の右側のリフトアーム主部材10におけるバケットヒンジ部12の断面図である。ブッシュ50が挿通孔20,31,41に嵌挿されて取り付けられると、内側ボス部材40の円錐面43aと、内側ボス部材40と面したリフトアーム主部材10の側面のうち挿通孔20の端部の周縁部分と、ブッシュ50の外周面とで囲まれた環状の給脂路60が形成される。すなわち、バケットヒンジ部12が組み立てられると、面取部43が環状の給脂路60となる。なお、図7における符号71を付した部材はシール部材である。
【0017】
上述したように、給脂孔42が面取部43(給脂路60)と連通している。また、上述したように、挿通孔20の内周面には、挿通孔20の軸線方向に延在する溝部21が設けられている。溝部21の両端部のうち、内側ボス部材40に面する側(すなわちホイールローダ100の車幅方向の内側)の端部(内側端部21a)は、面取部43に面している。したがって、溝部21は、給脂路60と連通している。
【0018】
バケットヒンジ部12には、2つのブッシュ50が挿通孔20,31,41に嵌挿されている。すなわち、バケットヒンジ部12には、1つのブッシュ50が外側ボス部材30側から挿通孔31,20に嵌挿され、もう1つのブッシュ50が内側ボス部材40側から挿通孔41,20に嵌挿されている。これらのブッシュ50は、挿通孔20の内部でそれぞれの端面が離間した状態で固定されている。そのため、2つのブッシュ50が離間して対向した端面同士の間に環状の溝51が形成される。溝51の底面は、挿通孔20の内周面であり、挿通孔20の円周方向に沿って延在する。したがって、溝51は、挿通孔20の軸線方向に延在する溝部21と交差する。すなわち、溝51と溝部21とは連通している。以下の説明では、溝51における溝部21との連通箇所を連通孔52と呼ぶ。なお、説明の便宜上、図7および図8では、給脂孔42と給脂路60との接続部の位置と、溝部21の内側端部21aの位置とが一致しているように描かれているが、実際には、図9に示すように、挿通孔20の周面方向に沿ってずれている。挿通孔20における溝部21の配設位置については、後に詳述する。
【0019】
このように構成されるバケットヒンジ部12では、バケットヒンジ部12でバケット112を保持するピン70の外周面に外部から給脂できる。すなわち、内側ボス部材40の給脂孔42へ供給された潤滑剤は、給脂孔42から給脂路60へ到達し、その後、溝部21から連通孔52を介して溝51に到達する。溝51に到達した潤滑剤はピン70の摺動によってピン70の全周に行き渡る。
【0020】
給脂孔42の入口に給脂用のニップルを取り付けることで、グリスガン等によってバケットヒンジ部12への給脂が可能となる。また、図8に示すように、ホイールローダ100に搭載される自動給脂装置80と給脂孔42の入口と自動給脂用の配管81で接続すれば、バケットヒンジ部12へ自動的に給脂できる。ここで、給脂孔42の入口が、リフトアーム主部材10の車幅方向の内側に設けられているため、ホイールローダ100を車幅方向の外側から見たときに、自動給脂用の配管81がリフトアーム主部材10等に隠れるため、見栄えがよい。
【0021】
挿通孔20には、ブッシュ50およびピン70を介して、バケット112からの作業負荷が作用する。具体的には、バケット112から受ける作業負荷がピン70を介して挿通孔20に対してピン70の径方向に作用する。そのため、挿通孔20における溝部21の配設位置は、バケット112からの作業負荷による影響を受け難い位置とすることが望ましい。本実施の形態では、作業負荷が最も大きくなるリフトアーム111およびバケット112の姿勢において、挿通孔20に最大の作業負荷が作用する方向(最大負荷方向)は、おおよそ、図9の矢印に示した方向となる。そこで、本実施の形態では、図9に示すように、挿通孔20に最大負荷が作用する位置から離れた位置に溝部21を2箇所設けることで、溝部21やブッシュ50に負荷が集中しないようにしている。
【0022】
上述した本実施の形態のホイールローダ100では、次の作用効果を奏する。
(1) 内側ボス部材40に給脂孔42と面取部43とを設けた。この面取部43は、バケットヒンジ部12が組み立てられると環状の給脂路60となるように構成した。この給脂路60に挿通孔20の内周面に設けた溝部21が連通するように構成した。これにより、ピン側に潤滑油の供給口を設けた場合のような給脂用配管の配設時の制約をなくすことができる。すなわち、ピン側に潤滑油の供給口を設けた場合のように、ピン支持構造によって支持されていて給脂用の配管に対して回動する部材を跨ぐように給脂用の配管を配設する必要がなくなる。したがって、給脂配管に係る設計コストや製造コストを削減できる。
【0023】
(2) ボス部材30,40をリフトアーム主部材10に取り付ける前に溝部21を設けるように構成した。そして、給脂孔42および面取部43の加工を施した内側ボス部材40をリフトアーム主部材10に取り付けるように構成した。これにより、リフトアーム10の製缶前の部材の段階で給脂構造に係る加工を行うことができるので、生産性が向上する。
【0024】
(3) ブッシュ50に、溝51、および、溝51の底面とブッシュ50の外周面とを連通する連通孔52とを設けるように構成した。これにより、リフトアーム主部材10の溝部21に供給された潤滑剤を、簡単な構成でピン70とブッシュ50の内周面との間に導くことができ、ピン70とブッシュ50との摺動面を良好に潤滑できるので、コスト増を抑制できる。
【0025】
(4) 挿通孔20に最大負荷が作用する位置から離れた位置に溝部21を2箇所設けるように構成した。これにより、作業負荷によって溝部21やブッシュ50に過大な負荷が掛かることが防止でき、挿通孔20やブッシュ50の摩耗を抑止して、バケットヒンジ部12の信頼性、耐久性を向上できる。
【0026】
なお、上述の説明では、バケットヒンジ部12について説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、上述したバケットヒンジ部12に係るピン支持構造を基端ヒンジ部13やアームシリンダ連結部14など、他のピン支持部分に適用してもよい。
【0027】
また、上述の説明では、リフトアーム主部材10の車幅方向内側の内側ボス部材40から給脂するように構成したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、リフトアーム主部材10の車幅方向外側の外側ボス部材30から給脂するように構成してもよい。
【0028】
また、上述の説明では、挿通孔20の内周面に溝部21を2箇所設けるように構成したが、本発明はこれに限定されず、たとえば1箇所だけ設けることとしてもよく、3箇所以上に設けてもよい。
【0029】
また、上述の説明では、バケットヒンジ部12において、離間したブッシュ50とブッシュ50との間に溝51を設けるように構成したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、ブッシュ50に燒結金属等のようにブッシュ50の外周面から内周面にかけて連続している空孔を多く含有する材料を用いた場合には、溝51を設けることは必須ではない。
【0030】
また、上述の説明では、バケットヒンジ部12において、離間したブッシュ50とブッシュ50との間に溝51を設けるように構成したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、バケットヒンジ部12に嵌挿するブッシュ50を1つのブッシュ50とし、ブッシュ50の内周面に、上述した溝51のように、円周方向に沿った溝を設けてもよい。そして、ブッシュ50に、溝の底面とブッシュの外周面とを連通する連通孔を2箇所に設けてもよい。なお、ブッシュ50の2箇所の連通孔は、ブッシュ50がリフトアーム主部材10の挿通孔20に装着された際に、それぞれ挿通孔20の溝部21の位置と一致するように設ける。
【0031】
また、上述の説明では、作業機械の一例としてホイールローダを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、油圧ショベルやクレーンなど、ピン支持構造を有する各種作業機械に適用できる。
なお、上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。
【0032】
なお、本発明は、上述した実施の形態のものに何ら限定されず、第1および第2の部材と、第1および第2の部材をピン結合によって互いに回動可能に結合するピンとを備える作業機械のピン支持構造において、第1の部材は、ピンが挿通する第1の挿通孔を有する板状の主部材と、主部材の両側面にそれぞれ接合され、ピンが挿通する第2の挿通孔をそれぞれ有する一対のボス部材と、第1および第2の挿通孔に嵌挿されて、ピンとの間に介在するブッシュとを備え、一対のボス部材のうちの少なくとも一方のボス部材は、主部材に面した第2の挿通孔の端部が面取りされた面取部と、面取部から一方のボス部材の外周面に向かって延在する給脂孔とを有し、主部材は、第1の挿通孔の内周面に設けられて第1の挿通孔の軸線方向に沿って延在するとともに面取部と連通する溝部を有することを特徴とする各種構造の作業機械のピン支持構造、および、このピン支持構造を備えた各種の作業機械を含むものである。
【符号の説明】
【0033】
10 リフトアーム主部材、12 バケットヒンジ部、20 挿通孔、21 溝部、30 ボス部材(外側ボス部材)、40 ボス部材(内側ボス部材)、41 挿通孔、42 給脂孔、43 面取部、43a 円錐面、50 ブッシュ、51 溝、52 連通孔、60 給脂路、70 ピン、100 ホイールローダ、111 リフトアーム(アーム)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9