(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の鳥害防止具は、上述したように、支持部と針状部とが電線の上方に位置するように電線に対して取り付けられるので、その重心は電線より上方に位置することになる。
【0006】
そのため、従来の鳥害防止具は、風、その他の影響により電線の軸回りに倒れてしまいやすく、倒れてしまうと針状部が下を向いてしまうので、鳥が電線にとまることを防止できなくなるおそれがあり、また、従来の鳥害防止具は、支持部が電線の上方に単に配置されていただけなので、鳥害防止具が取り付けられると、電線は、支持部の肉厚分だけ受風面積が単純に増えてしまい、鳥害防止具が取り付けられていないときに比べ大きな風圧荷重を受けることとなってしまっていた。
【0007】
本発明は、上記点に鑑み、電線の軸回りに倒れてしまうことがなく、また、電線に取り付けても風圧荷重の増加を抑制することができる鳥害防止具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の鳥害防止具は、電線の軸方向に沿った形状に形成された窪部(32)
と、前記窪部内に電線の少なくとも一部を位置させ
たときに、前記窪部内に入った電線が前記窪部から抜け出ないように抜け止めする2つの抜止部とを有する支持部(30)と、窪部の開口部からみて窪部の底部側とは反対側に向かって支持部から立設されるとともに、窪部を挟んだ両側で窪部に沿って並べられた状態で立設された複数の針状部(40)とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の鳥害防止具は、架線された電線に窪部が対向するようにして支持部を電線の下方から近づけ、この窪部内に電線の少なくとも一部が位置するようにすると支持部を介して電線に取り付けられる。
【0010】
また、本発明の鳥害防止具は、このようにして取り付けられると、窪部を挟んだ両側に針状部が設けられ、これら各針状部は、窪部の開口部からみて窪部の底部側とは反対側に向かって支持部から立設されているので、電線の上方に向かって突設された状態となる。
【0011】
そのため、本発明の鳥害防止具を上記のようにして電線に取り付けると、複数の針状部によって電線にとまろうとする鳥を忌避することができる。
また、本発明の鳥害防止具は、上記のようにして電線に取り付けると、重心が、従来の鳥害防止具と比較して下方に位置することとなる。
【0012】
そのため、本発明の鳥害防止具は、電線に取り付けても電線の軸回りに倒れにくくなるので、電線の軸回りに倒れてしまうことを防止できる。
また、本発明の鳥害防止具は、支持部に設けられた窪部内に電線の少なくとも一部が位置するように電線に取り付けられるので、電線が風圧荷重を直接受ける受風面の少なくとも一部に、支持部が風圧荷重を受ける受風面、すなわち、電線が風圧荷重を間接的に受ける受風面が重なる。
【0013】
そのため、本発明の鳥害防止具は、電線に取り付けても、電線が受ける風圧荷重の増加を抑制することができる。
ところで、本発明の鳥害防止具は、複数の針状部が、窪部の両側に並べられて立設されているので、この鳥害防止具を電線に取り付けるため、電線を、これら針状部の間を通して支持部まで導こうとしても、窪部の片側に並んでいる針状部と針状部の間に電線が入り込んでしまい、上手く導けないことが想定される。
【0014】
そこで、請求項2に記載したように、支持部については、窪部を挟んだ両側に配置された針状部の先端が開閉する方向に折曲可能に形成されているとよい。
このようにすると、針状部の先端が支持部の折曲地点を支点に開くので、この鳥害防止具を電線に取り付けるとき、電線を、これら針状部の間に通して支持部までスムーズに導くことができる。
【0015】
次に、請求項3に記載したように、支持部が、窪部を挟んだ両側に引掛部(38)を備えており、把持部(52)を有するとともに、引掛部が引っ掛けられた支持部を、針状部の先端を開く第1位置から、針状部の先端を閉じる第2位置まで案内する案内部(50b、50c)、及び、第2位置に案内された支持部を固定する固定部(51)を備えるストッパ(5)を備えるとよい。
【0016】
この鳥害防止具は、電線に取り付けるとき、支持部に設けられた引掛部が案内部の第1位置に位置するように引っ掛けられる。このようにすると、支持部が折り曲げられて針状部の先端が開いた状態となるので、把持部を持って鳥害防止具を電線に近づけると、電線が支持部に設けられた窪部内に位置するように取り付けることができるからである。
【0017】
そして、把持部を介して鳥害防止具を押すなどして、引掛部が引っ掛けられた支持部を、第1位置から第2位置まで案内に案内させる。すると、針状部の先端が閉じられるとともに、固定部によってストッパと支持部とが固定され、鳥害防止具は支持部を介して電線に取り付けられる。
【0018】
そのため、本発明の鳥害防止具を用いると、把持部を持って鳥害防止具を電線に近づけるだけで、電線に簡単に取り付けることができる。
次に、請求項4に記載したように、支持部は、折曲位置を挟んだ両側に設けられ、針状部の先端を閉じると互いに係止される係止部(46)を備えることが好ましい。支持部が開くことが防止されるためである。
【0019】
次に、請求項5に記載したように、支持部同士を連結する連結部(37)を備えることが好ましい。この連結部を用いれば、複数の鳥害防止具を連結することで、長尺な電線の全体に本発明の鳥害防止具を設置することができる。
【0020】
因みに、上記各手段等の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記各手段等の括弧内の符号に示された具体的手段等に限定されるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
本実施形態の鳥害防止具1は、架線された電線に取り付けて使用するものであり、
図1に示すように、主に、本体部3と2つのストッパ5とで構成されている。
【0023】
このうち本体部3は、電線の軸方向に沿った細長い形状の支持部30と、この支持部30から立設された2列に並んだ複数の針状部40とを備えている。
そして、この本体部3をなす支持部30は、割目31で割れ、折曲支点部33を支点とすることで、各列の針状部40の先端が開く方向に折り曲げることができる。
【0024】
ストッパ5は、支持部30を挟む形状に形成されており、支持部30を挟むと各列の針状部40の先端が閉じて並列に並ぶ位置まで支持部30が折りたたまれ、このとき、ストッパ5に固定されると支持部30は折りたたまれた状態が維持されるとともに、本実施形態の鳥害防止具1は支持部30を介して電線に取り付けられる。
【0025】
以下、本実施形態の鳥害防止具1を構成する本体部3およびストッパ5について詳細に説明する。
まず、本体部3について説明する。
【0026】
この本体部3は、前述のように、支持部30と針状部40とを備えている。
このうち支持部30は、細長い円筒を、その筒の中心軸を通る平面で切断したような形状に形成されており、
図2に示すように、正面から見ると電線の軸方向に沿った細長い形状に形成され、
図3(a)に示すように、その長手方向に垂直な断面でみると、略半円形状に形成されている。
【0027】
また、支持部30は、一定程度の剛性を得るため、径方向に厚みαを有する。
この支持部30は、上述のようにその断面形状が略半円形状に形成されることによって、内側に略半円形状の窪部32が形成される。そして、この窪部32は、その径が、本実施形態の鳥害防止具1を取り付ける対象となる電線の径よりも大きい径となる大きさに形成されている。
【0028】
また、この支持部30は、窪部32の底部に、支持部30の長手方向に沿って割目31が形成されており、この割目31によって2つの部品に分割することができる。尚、以下、必要に応じ、この割目31によって2つに分割された支持部30の一方を第1部品30a、他方を第2部品30bと呼ぶ。
【0029】
また、この支持部30の外側表面側の底部には、
図2に示すように、割目31に沿って等間隔に折曲支点部33が4つ設置されている。
この折曲支点部33は、
図3(a)に示すように、第1部品30a側に設けられた第1折曲支点部34と、第2部品30b側に設けられた第2折曲支点部35とからなる。
【0030】
第1折曲支点部34は、支持部30の径方向であって、割目31が通る径上に中心軸が位置するとともに、支持部30の外部表面から一定距離離れた位置に、割目31と平行に配置された支柱部34aと、第1部品30aの外部表面から突設され、支柱部34aの両端を支持する一対の本体部34bとを備えている。
【0031】
第2折曲支点部35は、支柱部34aに引っ掛けられると、支柱部34aの軸周りに回動可能な鈎状部35aと、第2部品30bの外部表面から突設され、鈎状部35aを支持する本体部35bとを備えている。
【0032】
支持部30は、各折曲支点部33の各鈎状部35aを各支柱部34aに引っ掛けると、各支柱部34aを支点に第1部品30a及び第2部品30bが回動可能となり、このように回動可能となった支持部30を割目31で2つに割ることで、窪部32を開くように折り曲げることができる。
【0033】
また、この支持部30は、厚みαを有することによって、その長手方向に垂直な断面でみたとき、支持部30が形成する半円の両端部に、支持部30の長手方向に沿って長尺な、厚みαと同じ幅を有する縁部36が形成される。
【0034】
そして、
図2に示すように、これら各縁部36上であって、支持部30の長手方向の両端には、縁部36から一定程度盛り上げられた第1盛上部36aが形成されている。また、同様に各縁部36上であって、各第1盛上部36aの近傍であって両端の各第1盛上部36aの内側には、縁部36から一定程度盛り上げられた第2盛上部36bが形成されている。
【0035】
これら第1盛上部36a及び第2盛上部36bは、窪部32の軸方向に沿った開口部32a(
図3(a)参照)から見て、この窪部32の底部側とは反対側の上方側に向かって縁部36から盛り上げられている。また、これら第1盛上部36a及び第2盛上部36bは、支持部30の長手方向に沿った一定の長さを有する形状に形成されている。尚、以下、開口部32a(
図3(a)参照)から見て、この窪部32の底部側を下方と呼ぶ。
【0036】
支持部30は、
図2に示すように、第1盛上部36aが形成された部分であって、その長手方向の両端に、他の支持部30と連結するための連結部37を備えている。
各連結部37は、支持部30の第1盛上部36aを形成する部分の外部表面上に設けられた連結片37a、37bからなる。
【0037】
一方の連結片37aは、支持部30の長手方向に沿って長尺状に形成され、この連結片37aが設けられた側の支持部30の端部から突出するように第2部品30b側の第1盛上部36a上から延設されている。そして、連結片37aの先端(支持部30から突出した側の端部)には、他の支持部30に設けられた連結片37bの図示しない通し孔に挿入されると引っ掛かる鈎部が形成されている。
【0038】
他方の連結片37bは、第1部品30a側の第1盛上部36aを形成する部分に設けられ、他の支持部30に設けられた連結片37aの先端が挿入されると引っ掛けることができる大きさの図示しない通し孔が形成されるように、ブリッジ状に形成されている。
【0039】
そのため、一の本体部3の支持部30の長手方向端部と、他の本体部3の支持部30の長手方向端部とを、
図4(a)に示すように突き合わせると、各支持部30に設けられた連結部37同士が連結されるので、
図4(b)に示すように、これら支持部30同士、ひいては本実施形態の鳥害防止具1同士を連結することができる。
【0040】
支持部30は、
図3(b)に示すように、各第2盛上部36bが形成された部分であって、支持部30の外側表面上に、後述するストッパ5の第1案内片部50bを通すことができる通し孔38aを形成する引掛部38を備えている。
【0041】
この引掛部38は、各第2盛上部36bに一対ずつ設けられ、各第2盛上部36b上では、各引掛部38は、それぞれ上下方向に並んだ状態で設けられる。
本体部3は、上述した支持部30の各縁部36から上方に向かって立設された複数の針状部40を備えている。
【0042】
これら針状部40は、支持部30の長手方向に沿って等間隔に設けられており、各第1盛上部36a及び各第2盛上部36bからはそれぞれ一本ずつ立設されている。
これら針状部40は、窪部32の開口部32aからみて上方に向かって支持部30の縁部36から立設されるとともに、窪部32を挟んだ両側で窪部32に沿って並べられた状態で2列に立設されることとなる。
【0043】
本体部3は、窪部32内に入った電線が窪部32から抜け出ないように抜け止めする2つの抜止部42を備えている。
各抜止部42は、支持部30の第1部品30a側及び第2部品30b側のそれぞれに設けられた各抜止片42aによって構成されており、支持部30の長手方向に垂直な断面に沿った略三角形状に形成されている。
【0044】
各抜止片42aは、三角形の底辺部分が、第1部品30a側及び第2部品30b側でそれぞれ第2盛上部36b及びこの第2盛上部36bから立設された針状部40に固定されており、針状部40が閉じられると、三角形の底辺に対向する頂点部分が互いに接触する大きさに形成されている。
【0045】
各抜止片42aの頂点が突き合わされると、窪部32に位置する電線が、窪部32から抜け出ることが防止される。
次に、ストッパ5について説明する。
【0046】
このストッパ5は、
図5(a)に示すように、本体部50と、把持部52とを有している。
本体部50は、略U字形状に形成されるとともに、各端部が上方に向かうほど開いた形状に形成されている。
【0047】
具体的には、この本体部50は、半円形状に形成された底部50aと、底部50aが形成する半円の各縁部から、各縁部の接線方向に沿って延設された各第1案内片部50bと、各第1案内片部50bの上端からハの字に開く第2案内片部50cを有する形状に形成されている。
【0048】
このうち、底部50aは、支持部30の径よりも大きい径の半円形状となるように形成されている。また、各第2案内片部50cの遊端部(各第1案内片部50bとは反対側の端部)には、鈎状部50dが形成されている。
【0049】
把持部52は、底部50aの中央から下方(底部50aから第1案内片部50bが設けられる方向とは反対方向)に向かって延設されており、その下端には、他の部分よりも厚みを有する引掛部52aが形成されている。
【0050】
また、本体部50の各第1案内片部50b及び各第2案内片部50cは、
図5(b)に示すように、同じ幅で構成され、本体部50の底部50a及び把持部52は、各第1案内片部50b及び各第2案内片部50cよりも幅広に形成されている。
【0051】
また、本体部50の各第1案内片部50bの外側(対向する第1案内片部50bとは反対側)であって、各第2案内片部50cとの接続部分近傍と、その接続部分から一定距離だけ底部50aよりの部分に、各第1案内片部50bから突設された固定部51が形成されている。
【0052】
以上のように構成された鳥害防止具1を組み立てるとき、
図6(a)に示すように、本体部3は、窪部32を挟んだ両側の針状部40の先端が開く方向に、割目31で支持部30を割って折り曲げられる。
【0053】
また、各ストッパ5は、折り曲げられた本体部3の各引掛部38に各第2案内片部50cが通されることによって本体部3に組み付けられる。
このとき、第2案内片部50cが各第1案内片部50bの上端からハの字に開く形状に形成されているので、各引掛部38が第2案内片部50cに通されることによって、本体部3は、針状部40が広げられた状態に保持される。
【0054】
次に、このように組み付けられた鳥害防止具1を電線に取り付ける場合、ストッパ5の把持部52をヤットコ(活線作業用工具)で把持して、
図6(b)に示すように、広げられた各針状部40の間から支持部30の窪部32内で電線が接触するように、鳥害防止具1を電線の下方から電線に近づけて電線に押し付ける。
【0055】
すると、引掛部38が第2案内片部50cから第1案内片部50bに案内され、本体部3がストッパ5を押し広げながらストッパ5の底部50a側に移動し、この移動に伴って、開いていた針状部40が徐々に閉じる。
【0056】
そして、各引掛部38が、固定部51が設けられた部分を通ると、
図6(c)に示すように、固定部51に止められる。これによって、各引掛部38が第1案内片部50b側から第2案内片部50c側に移動しない状態となり、その状態で、本体部3がストッパ5に固定される。
【0057】
また、針状部40が閉じ、抜止部42を構成する各抜止片42aの頂点が突き合わされることで窪部32が閉じ、電線が窪部32から抜け出ないように抜け止めされる。
このように各引掛部38が各固定部51に引っ掛けられ、窪部32から電線が抜け出ないように抜け止めされることで、本実施形態の鳥害防止具1は電線に取り付けられる。
【0058】
また、抜止部42を構成する各抜止片42aの頂点は、上下方向の高さ位置でみた場合、縁部36と第2盛上部36bの上端との間の位置で接触し、これによって電線は、その位置よりも下方に位置する部分が窪部32内に位置することとなる。
【0059】
そのため、電線は、電線の軸方向に平行で、かつ、針状部40が延設される上下方向に平行な面であって電線及び支持部30が風圧荷重を受ける面(
図6(c)の紙面に垂直な面)でみると、電線が風圧荷重を受ける受風面の一部が、支持部30が風圧荷重を受ける受風面と重なる位置に位置することとなる。
【0060】
さらに、鳥害防止具1は、窪部32の内径が電線の径よりも大きいので、抜止部42によって電線が窪部32内に位置するように電線に取り付けられると、電線に対して揺動可能に取り付けられる。
【0061】
また、上述したように本実施形態の鳥害防止具1は、連結部37を備えているので、この連結部37を用いて各鳥害防止具1を連結することで、
図4(b)に示すように、電線の長手方向に沿った一定長さ分だけ連続して電線に取り付けることができる。
【0062】
(本実施形態の鳥害防止具の特徴的な作用効果)
以上説明した鳥害防止具1を電線に取り付けると、電線上に針状部40が林立することとなるので(
図1(a)参照)、複数の針状部40によって電線にとまろうとする鳥を忌避することができる。
【0063】
また、この鳥害防止具1は、電線の下方に支持部30が位置するように電線に取り付けられるため(
図6(c)参照)、重心が、従来の鳥害防止具と比較して下方に位置することとなるので、電線に取り付けても電線の軸回りに倒れてしまうことを防止できる。
【0064】
また、この鳥害防止具1は、支持部30に設けられた窪部32内に電線の一部が位置するように電線に取り付けられるので、電線が風圧荷重を受ける受風面に、支持部30が風圧荷重を受ける受風面、すなわち、電線が間接的に風圧荷重を受ける受風面の一部が重なる。
【0065】
そのため、本実施形態の鳥害防止具1は、電線に取り付けても、風圧荷重の増加を抑制することができる。
本実施形態の鳥害防止具1は、針状部40を広げることで(
図6(a)参照)、この鳥害防止具1を電線に取り付けるとき、電線を、これら針状部40の間に通して支持部30までスムーズに導くことができる。
【0066】
本実施形態の鳥害防止具1は、電線に取り付けるとき、支持部30に設けられた引掛部38が第2案内片部50cに引っ掛けられる。このようにすると、支持部30が折り曲げられて針状部40の先端が開いた状態が保持されるので、把持部52を持って鳥害防止具1を電線に近づけると、電線が支持部30に設けられた窪部32内に位置するように取り付けることができる。
【0067】
そして、電線が窪部32内に位置するように電線に対して鳥害防止具1が配置されたら、把持部52を介して鳥害防止具1を押して電線に押し付け、引掛部38が引っ掛けられた支持部30を、第2案内片部50cに引っ掛けられる第1位置から、第1案内片部50bに引っ掛けられる第2位置まで案内させる。すると、針状部40の先端が閉じられるとともに、固定部51によってストッパ5と支持部30とが固定され、抜止片42aによって窪部32から電線が抜け出ないようにされることによって、鳥害防止具1は電線に取り付けられる。
【0068】
そのため、本実施形態の鳥害防止具1を用いると、把持部52を持って鳥害防止具1を電線に近づけるだけで、電線に簡単に取り付けることができる。
また、本実施形態の鳥害防止具1は、支持部30同士を連結する連結部37を備えているので、この連結部37を用いれば、長尺な電線の全体に本実施形態の複数の鳥害防止具1を連結して設置することができるからである。
【0069】
[他の実施形態]
以上、実施形態について説明したが、特許請求の範囲に記載された発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0070】
(1)上記実施形態で説明した鳥害防止具1はあくまでも一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態の鳥害防止具1は、本体部3として、長手方向の端部から1番目と2番目の針状部40の間から、2番目と3番目の針状部の間までの幅を有する第2盛上部36bを備え、4つの連結部37を備えるものについて説明したが、
図7に示すように、第2盛上部36bは、2番目の針状部40から3番目の針状部までの幅を有するものとしてもよい。
【0071】
また、ストッパ5の把持部52については、
図8に示すように、波状に形成されていてもよい。ヤットコ等で把持部52を掴んだときに、滑らないようにするためである。
また、上記実施形態では、窪部32内に位置する電線が窪部32内から抜けでないようにするため、一対の抜止片42aからなる抜止部42を備える支持部30について説明したが、
図9に示すように、抜止部42の下方で窪部32内から電線が抜け出ることを防止する第2抜止部45を備えてもよい。
【0072】
この場合、第2抜止部45は、窪部32の開口部32aの下方近傍で、支持部30を構成する第1部品30a及び第2部品30bのそれぞれから立設され、針状部40が閉じられたとき、頂点が当接する大きさの三角形状に形成するとよい。
【0073】
また、
図9に示すように、針状部40の先端を閉じると互いに係止される係止部46を備えるようにしてもよい。
この係止部46は、折曲位置を挟んだ支持部30の両側に設けられており、支持部30の一方の側から延設され、円筒の先端に、この円筒よりも大きい径の笠状の引掛部が備えられたボタン凸部46aと、支持部30の他方の側に設けられ、ボタン凸部46aの笠状の引掛部が挿入されると、引掛部が抜けないように抜止するボタン凹部46bとで構成されているものである。
【0074】
この係止部46を用いると、支持部30が開いて、電線に取り付けた鳥害防止具1が電線から脱落することを、確実に防止することができる。
(2)電線とは、例えば、電力を送電するための電線の他に、通信線、架空地線など、も含まれる。
【0075】
(3)本発明の針状部については、上記実施形態に示すような直線的な形成されたものだけでなく、曲線的なものでもよいし、先端が複数に分かれているものや、こぶが設けられているなど、必ずしも、針と同様に直線的な形状に形成されていなくてもよい。
【0076】
(4)本発明の各構成要素は概念的なものであり、上記実施形態に限定されない。例えば、1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。