特許第6054823号(P6054823)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧

<>
  • 特許6054823-内燃機関の排気浄化装置 図000002
  • 特許6054823-内燃機関の排気浄化装置 図000003
  • 特許6054823-内燃機関の排気浄化装置 図000004
  • 特許6054823-内燃機関の排気浄化装置 図000005
  • 特許6054823-内燃機関の排気浄化装置 図000006
  • 特許6054823-内燃機関の排気浄化装置 図000007
  • 特許6054823-内燃機関の排気浄化装置 図000008
  • 特許6054823-内燃機関の排気浄化装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6054823
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】内燃機関の排気浄化装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/023 20060101AFI20161219BHJP
   F01N 3/025 20060101ALI20161219BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20161219BHJP
   B01D 46/42 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   F01N3/023 K
   F01N3/025 101
   B01D53/94 241
   B01D46/42 BZAB
【請求項の数】2
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-151550(P2013-151550)
(22)【出願日】2013年7月22日
(65)【公開番号】特開2015-21455(P2015-21455A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2014年8月7日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清藤 高宏
(72)【発明者】
【氏名】横井 辰久
(72)【発明者】
【氏名】阿知波 朝士
【審査官】 山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−064148(JP,A)
【文献】 特開2010−190120(JP,A)
【文献】 特開2009−257293(JP,A)
【文献】 特開2006−316727(JP,A)
【文献】 特開2008−202574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00−3/38
B01D 46/42
B01D 53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路に配設され、内燃機関から排出される排気ガスに含まれる粒子状物質を捕集するフィルタと、前記フィルタの前後差圧を検出する差圧センサとを備え、
前記フィルタに堆積した粒子状物質の堆積量を推定し、その粒子状物質の推定堆積量が予め設定された閾値に達した場合には、前記フィルタに堆積した粒子状物質を燃焼する燃焼制御を行う内燃機関の排気浄化装置において、
前記フィルタに堆積した粒子状物質の堆積量を推定する推定手段として、内燃機関の排出した粒子状物質の量から前記堆積量を推定する第1の推定手段と、前記フィルタの前後差圧から前記堆積量を推定する第2の推定手段とを備え、
前記閾値として、前記第1の推定手段用の第1の閾値と、前記第2の推定手段用の第2の閾値とがそれぞれ設けられ、前記第2の閾値は、前記第1の閾値よりも大きい値に設定されており、
前記第2の推定手段による前記堆積量の推定は、前記フィルタの前後差圧の活用条件が成立した累積時間が予め設定された閾値以上のとき許可され、
前記累積時間は、平均車速が所定値未満であるという条件、1トリップでの走行距離が所定値未満であるという条件、および前記差圧センサによる差圧検出頻度が所定値未満であるという条件のうち、少なくとも1つの条件が満たされている場合にはクリアされることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置において、
前記第2の推定手段による前記堆積量の推定は、前記堆積量が予め設定された閾値以上のとき許可されることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関から排出される排気ガスに含まれる粒子状物質を捕集するフィルタを備える内燃機関の排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関(主に、ディーゼルエンジン)から排出される排気ガスには、カーボンを主成分とする粒子状物質(Particulate Matter:以下「PM」という。)が含まれる。排気ガス中のPMを、排気通路に設けたDPF(Diesel Particulate Filter)等のフィルタによって捕集することで、排気ガスの浄化が図られている。また、フィルタ(DPF)に捕集されたPMの捕集量(PM堆積量)が所定の判定値(閾値)に到達したとき、フィルタ上のPMを燃焼・除去するPM燃焼制御(フィルタ再生制御)を行うことで、フィルタの詰りが抑制される。
【0003】
従来では、フィルタの上流側圧力と下流側圧力との差圧(フィルタ前後の差圧)に基づいてフィルタのPM堆積量を推定する第1推定手段と、内燃機関のPM排出量に基づいてフィルタのPM堆積量を推定する第2推定手段とを備え、第1推定手段または第2推定手段を選択して使用することによってPM堆積量を推定する排気浄化装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−132468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の排気浄化装置では、PM燃焼制御へ移行する閾値(移行用閾値)として、第1、第2推定手段に同一の閾値が用いられていたので、次のような問題があった。すなわち、第1、第2推定手段のうち推定誤差の大きいほうを考慮して、上記閾値を低めの値に設定する必要があった。このため、各推定手段による推定PM堆積量に基づくPM燃焼制御への移行判定の精度が悪化し、これに起因してPM燃焼制御の頻度が多くなって、燃費が悪化するという問題があった。
【0006】
本発明はそのような実情を考慮してなされたもので、フィルタに堆積したPMを除去するPM燃焼制御の頻度を抑え、燃費悪化を抑制することが可能な排気浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、本発明は、内燃機関の排気通路に配設され、内燃機関から排出される排気ガスに含まれる粒子状物質(PM)を捕集するフィルタと、前記フィルタの前後差圧を検出する差圧センサとを備え、前記フィルタに堆積した粒子状物質の堆積量(PM堆積量)を推定し、その粒子状物質の推定堆積量(推定PM堆積量)が予め設定された閾値に達した場合には、前記フィルタに堆積した粒子状物質を燃焼する燃焼制御(PM燃焼制御)を行う内燃機関の排気浄化装置であって、前記フィルタに堆積した粒子状物質の堆積量を推定する推定手段として、内燃機関の排出した粒子状物質の量から前記堆積量を推定する第1の推定手段と、前記フィルタの前後差圧から前記堆積量を推定する第2の推定手段とを備え、前記閾値として、前記第1の推定手段用の第1の閾値と、前記第2の推定手段用の第2の閾値とがそれぞれ設けられ、前記第2の閾値は、前記第1の閾値よりも大きい値に設定されており、前記第2の推定手段による前記堆積量の推定は、前記フィルタの前後差圧の活用条件が成立した累積時間が予め設定された閾値以上のとき許可され、前記累積時間は、平均車速が所定値未満であるという条件、1トリップでの走行距離が所定値未満であるという条件、および前記差圧センサによる差圧検出頻度が所定値未満であるという条件のうち、少なくとも1つの条件が満たされている場合にはクリアされることを特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、第1の推定手段用の第1の閾値と、この第1の閾値よりも大きい第2の推定手段用の第2の閾値とをそれぞれ設定しているので、各推定手段による推定PM堆積量に基づくPM燃焼制御への移行判定を精度よく行うことが可能になり、これにより、PM燃焼制御の頻度を低減して、燃費の悪化を抑制することが可能になる。また、フィルタの前後差圧とPM堆積量との相関が悪化する可能性がある場合(平均車速が所定値未満である場合、1トリップでの走行距離が所定値未満である場合、差圧センサによる差圧検出頻度が所定値未満である場合)、累積時間をクリアすることによって、実PM堆積量と、推定PM堆積量PMdとの乖離を小さくすることが可能になり、PM燃焼制御の頻度を低減して、燃費の悪化を抑制することが可能になる。
【0011】
本発明において、前記第2の推定手段による前記堆積量の推定は、前記堆積量が予め設定された閾値以上のとき許可されることが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、実PM堆積量と、第2の推定手段による推定PM堆積量との乖離を小さくすることが可能になり、PM燃焼制御の頻度を低減して、燃費の悪化を抑制することが可能になる。つまり、フィルタのPM堆積量が少ない場合、フィルタのPM堆積量に対し、フィルタ前後差圧の差圧センサによる検出値が急激に変化する可能性があり、第2の推定手段による推定PM堆積量の推定精度が確保できない可能性がある。しかし、上記構成では、第2の推定手段によるPM堆積量の推定が、フィルタのPM堆積量が閾値以上のときに限定して行われるので、実PM堆積量と、第2の推定手段による推定PM堆積量との乖離を小さくすることが可能になり、PM燃焼制御の頻度を低減して、燃費の悪化を抑制することが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、第1の推定手段用の第1の閾値と、この第1の閾値よりも大きい第2の推定手段用の第2の閾値とをそれぞれ設定しているので、各推定手段による推定PM堆積量に基づくPM燃焼制御への移行判定を精度よく行うことが可能になり、これにより、PM燃焼制御の頻度を低減して、燃費の悪化を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明を適用するディーゼルエンジンの一例を示す概略構成図である。
図2】ECU等の制御系の構成を示すブロック図である。
図3】PM排出量を求める際に参照されるマップの一例を示す図である。
図4】DPFの差圧活用条件が成立した累積時間と、DPFのフィルタ前後差圧との関係を示す図である。
図5】DPFのPM堆積量と、DPFのフィルタ前後差圧との関係を示す図である。
図6】ECUが実行するDPF差圧の参照許可フラグの算出制御の一例を示すフローチャートである。
図7】ECUが実行する第1、第2の推定処理の切替制御の一例を示すフローチャートである。
図8】ECUが実行するDPF差圧の参照許可フラグの算出制御の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を具体化した実施形態について添付図面を参照しながら説明する。以下では、自動車に搭載されたコモンレール式筒内直噴型多気筒ディーゼルエンジン(圧縮自着火式内燃機関)に本発明を適用した場合について説明する。
【0020】
−エンジン−
本発明を適用するディーゼルエンジン(以下、単に「エンジン」という)の概略構成について、図1を参照して説明する。図1に示すように、エンジン1は、直列型の4気筒エンジンであって、エンジン1の各気筒の燃焼室1aには、燃焼室1a内での燃焼に供される燃料を噴射するインジェクタ(燃料噴射弁)2がそれぞれ配置されている。各気筒のインジェクタ2は、コモンレール11に接続されている。コモンレール11には、サプライポンプ10が接続されている。
【0021】
サプライポンプ10は、燃料タンクから燃料を汲み上げ、汲み上げられた燃料を高圧にした後に燃料通路10aを介してコモンレール11に供給する。コモンレール11は、サプライポンプ10から供給された高圧燃料を所定圧力に保持(蓄圧)する蓄圧室としての機能を有し、この蓄圧した燃料を各インジェクタ2に分配する。インジェクタ2は、所定電圧が印加されたときに開弁して、燃焼室1a内に燃料を噴射供給する電磁駆動式の開閉弁である。インジェクタ2の開閉(燃料噴射量および燃料噴射時期)は、ECU(Electronic Control Unit)100によってデューティ制御される。
【0022】
エンジン1には、吸気通路3および排気通路4が接続されている。吸気通路3には、吸入空気の流れの上流側から下流側に向けて順に、エアクリーナ9、エアフローメータ33、ターボチャージャ6のコンプレッサインペラ63、インタークーラ8、および、スロットルバルブ5が配設されている。スロットルバルブ5は、吸入空気量を調整するバルブであって、スロットルモータ51によってスロットルバルブ5の開度であるスロットル開度が調整される。スロットルバルブ5のスロットル開度は、スロットル開度センサ41によって検出される。なお、吸気通路3は、スロットルバルブ5の下流側に配設された吸気マニホールド3aにおいて各気筒に対応して分岐されている。
【0023】
排気通路4は、エンジン1の各気筒の燃焼室1aと繋がる排気マニホールド4aによって各気筒毎に分岐した状態から1つに集合するように構成されており、排気通路4には、燃焼室1aにおける燃料の燃焼によって生じた排気ガスが送り込まれる。排気通路4には、排気ガスの流れの上流側から下流側に向けて順に、排気ガス中に含まれるHC(炭化水素)およびCO(一酸化炭素)を酸化して浄化するCCO21(酸化触媒コンバータ)と、PMを捕集するDPF22(フィルタ)とが配設されている。DPF22は、例えば多孔質セラミック構造体で成り、排気ガスが多孔質の壁を通過する際に、この排気ガス中に含まれるPMを捕集するようになっている。このDPF22には、PM燃焼制御時に、捕集したPMを燃焼除去するための触媒(例えば白金等の貴金属を主成分とする酸化触媒)が担持されている。
【0024】
CCO21の上流側(排気ガス流れの上流側)であって、後述するターボチャージャ6のタービンホイール62よりも下流側の排気通路4には、燃料添加弁23が配設されている。燃料添加弁23には、サプライポンプ10から添加燃料通路24を介して燃料が供給されるようになっている。燃料添加弁23は、電子制御式の開閉弁により構成されており、燃料添加弁23の開閉をECU100によって制御することで、排気通路4への燃料添加量および添加タイミングが制御される。燃料添加弁23から排気通路4へ噴射された未燃燃料は、CCO21において酸化反応を起こし、その反応熱により排気ガス温度を昇温させる。さらに、燃料添加弁23から噴射された未燃燃料は、DPF22においても酸化反応を起こし、その反応熱により排気ガス温度を昇温させてDPF22に捕集されているPMを燃焼除去する。なお、燃料添加弁23を排気マニホールド4aに設ける構成としてもよい。
【0025】
また、CCO21の上流側(排気ガス流れの上流側)の排気通路4には、A/Fセンサ36および第1排気温センサ37が配設されている。A/Fセンサ36は、CCO21に流入する排気ガスの空燃比(A/F)を検出するセンサであり、第1排気温センサ37は、CCO21に流入する排気ガスの温度を検出するセンサである。CCO21とDPF22との間の排気通路4には、第2排気温センサ38が配設されている。第2排気温センサ38は、DPF22に流入する排気ガスの温度(フィルタ温度)を検出するセンサである。また、DPF22の上流側圧力と下流側圧力との差圧(フィルタ前後差圧)ΔPを検出する差圧センサ39が配設されている。A/Fセンサ36、第1排気温センサ37、第2排気温センサ38、および差圧センサ39の各出力信号はECU100に入力される。
【0026】
エンジン1には、ターボチャージャ6が配設されている。ターボチャージャ6は、ロータシャフト61を介して連結されたタービンホイール62とコンプレッサインペラ63とを備えている。コンプレッサインペラ63は、吸気通路3内部に臨んで配置され、タービンホイール62は、排気通路4内部に臨んで配置されている。ターボチャージャ6は、タービンホイール62が受ける排気流(排気圧)を利用してコンプレッサインペラ63を回転させることによって吸入空気を過給する。ターボチャージャ6は、例えば、可変ノズル式ターボチャージャであって、タービンホイール62側に可変ノズルベーン機構64が設けられており、この可変ノズルベーン機構64の開度を調整することによって、エンジン1の過給圧を調整することができる。なお、ターボチャージャ6での過給によって昇温した吸入空気は、吸気通路3に配置したインタークーラ8によって強制冷却される。
【0027】
また、エンジン1には、EGR装置7が配設されている。EGR装置7は、排気通路4を流れる排気ガスの一部を吸気通路3に還流させて、各気筒の燃焼室1aへ再度供給することにより燃焼温度を低下させ、これによってNOx発生量を低減させる装置である。EGR装置7は、吸気マニホールド3aと排気マニホールド4aとを接続するEGR通路71を備えている。EGR通路71には、EGRガスの流れの上流側から下流側に向けて順に、EGR通路71を通過(還流)するEGRガスを冷却するためのEGRクーラ73、および、EGRバルブ72が配設されている。EGRバルブ72の開度を調整することによって、排気通路4(排気マニホールド4a)から吸気通路3(吸気マニホールド3a)に導入されるEGRガス量(排気還流量)を調整することができる。
【0028】
−ECU−
上述のように構成されたエンジン1の各種動作は、ECU100により制御される。ECU100は、図2に示すように、CPU101、ROM102、RAM103、バックアップRAM104などを備えている。ROM102には、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPU101は、ROM102に記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。また、RAM103は、CPU101での演算結果や、各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAM104は、エンジン1の停止時、あるいはイグニッションオフ時に、保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。CPU101、ROM102、RAM103、および、バックアップRAM104は、双方向性バス107を介して相互に接続されるとともに、入力インターフェース105および出力インターフェース106と接続されている。
【0029】
入力インターフェース105は、各センサからの検出信号に対してA/D変換等の処理を行い、CPU101が処理可能な検出情報に変換するものである。入力インターフェース105には、エンジン回転数センサ31、水温センサ32、エアフローメータ33、吸気温センサ34、吸気圧センサ35、A/Fセンサ36、第1排気温センサ37、第2排気温センサ38、差圧センサ39、レール圧センサ40、スロットル開度センサ41、アクセル開度センサ42、車速センサ43等が通信可能に接続されている。
【0030】
エンジン回転数センサ31は、エンジン1の出力軸であるクランクシャフトの回転数を検出するセンサである。水温センサ32は、エンジン水温(冷却水温)を検出するセンサである。エアフローメータ33は、吸入空気量を検出するセンサである。吸気温センサ34は、吸気マニホールド3aに配置され、吸入空気の温度を検出するセンサである。吸気圧センサ35は、吸気マニホールド3aに配置され、吸入空気の圧力を検出するセンサである。レール圧センサ40は、コモンレール11内の高圧燃料の圧力を検出するセンサである。アクセル開度センサ42は、運転者によるアクセルペダルの踏み込み量を検出するセンサである。車速センサ43は、車両の速度を検出するセンサである。
【0031】
出力インターフェース106は、CPU101が出力する指示情報等の情報に対してD/A変換等の処理を行い、各装置(または機器)が受け付け可能な指示信号等に変換するものである。出力インターフェース106には、インジェクタ2、サプライポンプ10、燃料添加弁23、スロットルモータ51、可変ノズルベーン機構64、EGRバルブ72等が通信可能に接続され、これらがエンジン1の運転状態等に応じて制御されるようになっている。すなわち、上記各種センサの出力信号に基づいて、エンジン1のスロットルバルブ5の開度制御、インジェクタ2の開閉制御(燃料噴射量制御・燃料噴射時期制御)を含むエンジン1の各種制御が実行される。また、以下に述べるようなPM燃焼制御(フィルタ再生制御)が実行される。
【0032】
−PM燃焼制御−
ECU100は、DPF22に堆積しているPMの堆積量を推定し、その推定量が所定の閾値(DPF22においてPM燃焼処理が必要となる値)に到達した場合、PM燃焼フラグをオン状態にし、PM燃焼モードに移行する。PM燃焼モードにおいては、DPF22に堆積したPMを除去すべくPM燃焼制御が実行される。このPM燃焼制御においては、DPF22に堆積したPMを燃焼除去させるために、燃料添加弁23から排気通路4内に燃料が噴射される。この燃料添加弁23からの燃料噴射(燃料添加)によってDPF22の触媒床温が上昇し、DPF22に堆積したPMが燃焼除去される。なお、DPF22に堆積していると推定されるPMの量が所定の閾値未満の場合、PM燃焼フラグがオフ状態となり、PM燃焼モードへの移行は行われない。
【0033】
燃料添加弁23から排気通路4への燃料添加は、燃料添加弁23の開度を制御することによって行われる。詳細には、エンジン回転数センサ31の出力信号から得られるエンジン回転数NEに基づいて、予め実験・計算等により作成されたマップを参照して要求添加量および添加タイミングを算出し、その算出結果に応じて燃料添加弁23の開度を制御する。
【0034】
<PM堆積量推定>
上述したようなPM燃焼制御への移行の要否を判定する際、ECU100は、DPF22に堆積しているPMの堆積量を、エンジン1の運転状態に基づいて推定する。この実施形態では、ECU100は、DPF22のPM堆積量の推定処理として、2通りの推定処理を行うようにしている。
【0035】
(1)PM排出量に基づくPM堆積量の推定処理
まず、第1の推定処理(第1の推定手段)として、エンジン1からのPM排出量pmeに基づいてDPF22の推定PM堆積量PMeを算出する。PM排出量pmeは、単位時間当たり(例えば推定処理の1制御周期の間)にエンジン1の全燃焼室から排出されるPMの量である。PM排出量pmeは、例えば、エンジン回転数センサ31の出力信号から得られるエンジン回転数NEおよび燃料噴射量Qv(指令値)に基づいて算出することが可能である。例えば、図3に示すようなマップを参照して、エンジン回転数NEおよび燃料噴射量Qvに基づいて、PM排出量pmeを求めることが可能である。図3のマップは、エンジン回転数NEおよび燃料噴射量Qvをパラメータとし、PM排出量pmeを実験・計算等によって求めた値をマップ化したものであって、ECU100のROM102内に記憶されている。なお、図3のマップにおいて、エンジン回転数NEおよび燃料噴射量Qvがマップ上の各ポイント間の値になるときには、補間処理にてPM発生量pmeが算出される。そして、エンジン回転数NEおよび燃料噴射量Qvに基づいて算出されたPM排出量pmeを積算することによって、DPF22の推定PM堆積量PMeが算出される。なお、DPF22の推定PM堆積量PMeは、DPF22のPM燃焼制御が正常に完了した場合には、初期値(例えば0)にリセットされる。
【0036】
(2)フィルタ前後差圧に基づくPM堆積量の推定処理
次に、第2の推定処理(第2の推定手段)として、DPF22のフィルタ前後差圧ΔPに基づいてDPF22の推定PM堆積量PMdを算出する。ここで、DPF22へのPMの堆積が進行するにしたがって、DPF22に堆積したPMが排気ガスの流れの妨げとなり、排気ガスの流通抵抗が増加する。そして、フィルタ前後差圧ΔPは、DPF22に堆積したPM堆積量が増大するにしたがって大きくなる。一方、フィルタ前後差圧ΔPは、DPF22に堆積したPMの燃焼除去が進行して、DPF22に堆積したPM堆積量が減少するにしたがって小さくなる。このようにDPF22のフィルタ前後差圧ΔPとDPF22に堆積したPM堆積量との間に相関があるので、フィルタ前後差圧ΔPからDPF22のPM堆積量を推定することができる。
【0037】
このような点を利用し、排気通路4に設けた差圧センサ39の出力信号から得られるフィルタ前後差圧ΔPに基づいてマップを参照して、DPF22に堆積したPM堆積量(推定PM堆積量PMd)を推定する。なお、推定PM堆積量PMdの算出に用いるマップは、上述したフィルタ前後差圧ΔPとPM堆積量との相関関係を考慮して、実験・計算等によって適合した値をマップ化したものであって、ECU100のROM102内に記憶されている。
【0038】
<PM燃焼制御>
この実施形態では、上述のような2通りの推定処理によってDPF22のPM堆積量を推定しているが、各推定処理ごとにPM燃焼制御への移行の要否を判定するための閾値(移行用閾値)が設定されている。つまり、第1の推定処理(PM排出量に基づくPM堆積量の推定処理)用の第1の閾値Th1と、第2の推定処理(フィルタ前後差圧に基づくPM堆積量の推定処理)用の第2の閾値Th2とが、それぞれ異なる値として設定されている。そして、第1の推定処理用の第1の閾値Th1よりも、第2の推定処理用の第2の閾値Th2のほうが大きい値に設定されている(Th1<Th2)。
【0039】
ところで、DPF22のフィルタ前後差圧ΔPの差圧センサ39による検出値と、実差圧とのバラつきが大きくなるような状況では、第2の推定処理によるDPF22の推定PM堆積量PMdの推定精度が悪化する可能性がある。この実施形態では、第2の推定処理によるDPF22の推定PM堆積量PMdの推定精度が確保できるような状況では、第2の推定処理を許可して、この第2の推定処理による推定PM堆積量PMdに基づいてPM燃焼制御への移行の要否を判定している。一方、第2の推定処理によるDPF22の推定PM堆積量PMdの推定精度が確保できないような状況では、第2の推定処理を禁止して、第1の推定処理による推定PM堆積量PMeに基づいてPM燃焼制御への移行の要否を判定している。また、このような第1、第2の推定処理の切り替えにともなって、移行用閾値として用いる閾値の切り替え、つまり、第1、第2の閾値Th1、Th2の切り替えも併せて行うようにしている。以下、この実施形態のPM燃焼制御について、図4図7を参照して説明する。
【0040】
まず、第2の推定処理によるDPF22の推定PM堆積量PMdの推定精度が悪化するような状況、言い換えれば、DPF22のフィルタ前後差圧ΔPのバラつきが大きくなるような状況としては、次のような場合がある。例えば、DPF22の差圧活用条件が成立した累積時間Tsum(図4参照)が所定時間Ta未満の場合や、DPF22のPM堆積量PM1(図5参照)が所定値PMa未満の場合などがある。以下、それぞれの場合について説明する。
【0041】
DPF22の差圧活用条件は、第2の推定処理によるDPF22の推定PM堆積量PMdの推定精度を確保するための前提条件であり、この前提条件(DPF22の差圧活用条件)が成立していない場合には、差圧センサ39によるDPF22のフィルタ前後差圧ΔPのバラつきが大きくなり、第2の推定処理によるDPF22の推定PM堆積量PMdの推定精度が悪化する可能性が高くなる。また、DPF22の差圧活用条件が成立したとしても、差圧活用条件が成立した累積時間Tsumが所定時間未満の場合には、差圧センサ39によるDPF22のフィルタ前後差圧ΔPのバラつきが大きくなり、第2の推定処理によるDPF22の推定PM堆積量PMdの推定精度が悪化する可能性が高くなる。
【0042】
DPF22の差圧活用条件は、例えば次の[a1]〜[a7]のような条件であり、[a1]〜[a7]の条件が全て満たされている場合、DPF22の差圧活用条件が成立していると判断される。一方、[a1]〜[a7]の条件のうち少なくとも1つが満たされていない場合、DPF22の差圧活用条件が成立していないと判断される。なお、[a1]〜[a7]の条件は一例であって、[a1]〜[a7]の条件のうち一部だけをDPF22の差圧活用条件として採用してもよい。また、DPF22の差圧活用条件として、[a1]〜[a7]の条件以外のその他の条件を採用してもよい。
【0043】
[a1]排気ガス流量検出手段によって検出される排気ガス流量が所定値以上であるという条件。[a2]差圧センサ39によるDPF22のフィルタ前後差圧ΔPの変化量(単位時間当たり)が所定値以下であるという条件。[a3]第2排気温センサ38によって検出されるDPF22に流入する排気ガスの温度が所定値以上であるという条件。[a4]DPF22内への水入りに起因するフィルタ前後差圧ΔPの上昇の影響がないという条件。[a5]DPF22およびその関連部品(燃料添加弁23、エアフローメータ33、第2排気温センサ38、差圧センサ39など)に異常が発生していないという条件。[a6]燃料添加弁23による燃料添加制御を現在行っていないという条件。[a7]差圧センサ39のゼロ点学習が現在完了しているという条件。
【0044】
そして、DPF22の差圧活用条件が成立していると判断された場合(例えば、上記の[a1]〜[a7]の条件が全て満たされている場合)、DPF22の差圧活用条件が成立した累積時間Tsumがカウントされる。なお、累積時間Tsumは、DPF22のPM燃焼制御が正常に完了した場合には、初期値(例えば0[s])にリセットされる。
【0045】
DPF22の差圧活用条件が成立した累積時間Tsumと、DPF22のフィルタ前後差圧ΔPとの間には、図4に示すような関係がある。図4では、DPF22のフィルタ前後差圧ΔPの実差圧と、差圧センサ39によるフィルタ前後差圧ΔPの検出値との比を破線で示している。図4に示すように、上記累積時間Tsumと、DPF22のフィルタ前後差圧ΔPとの間には、累積時間Tsumが長くなるほど、上記比の値が1(図4では実線で示す)に近づいていき、DPF22のフィルタ前後差圧ΔPの差圧センサ39による検出値が、実差圧に近づいていく(収束していく)ような関係がある。例えば、累積時間Tsumが、0[s]のとき、DPF22のフィルタ前後差圧ΔPの差圧センサ39による検出値は、実差圧の1/3程度の値しかなく、フィルタ前後差圧ΔPの差圧センサ39による検出値は、実差圧と大きく乖離している。しかし、累積時間Tsumが長くなるにしたがって、DPF22のフィルタ前後差圧ΔPの差圧センサ39による検出値が、実差圧に徐々に近づいていくような特性を示す。そして、累積時間Tsumが、1200[s]以上のとき、上記比の値が略1となり、DPF22のフィルタ前後差圧ΔPの差圧センサ39による検出値は、実差圧と略一致する値となる。
【0046】
そして、DPF22の差圧活用条件が成立した累積時間Tsumが所定時間Ta(例えば、1200[s])未満の場合には、第2の推定処理によるDPF22の推定PM堆積量PMdの推定精度が悪化するような状況であると判断される。一方、DPF22の差圧活用条件が成立した累積時間Tsumが所定時間Ta以上の場合には、第2の推定処理によるDPF22の推定PM堆積量PMdの推定精度が確保できるような状況であると判断される。
【0047】
次に、DPF22のPM堆積量PM1と、DPF22のフィルタ前後差圧ΔPの差圧センサ39による検出値との間には、図5に示すような関係がある。この場合、DPF22のPM堆積量PM1として、第2の推定処理による推定PM堆積量PMdを用いることが可能である。図5に示すように、DPF22のPM堆積量PM1(第2の推定処理による推定PM堆積量PMd)が、2[g/unit]未満のとき、DPF22のPM堆積量PM1に対し、DPF22のフィルタ前後差圧ΔPの差圧センサ39による検出値が急激に変化している。しかし、DPF22のPM堆積量PM1が、2[g/unit]以上のとき、DPF22のフィルタ前後差圧ΔPの差圧センサ39による検出値は、DPF22のPM堆積量PM1に対し略リニアに変化するような特性を示す。
【0048】
このため、DPF22のPM堆積量PM1が所定値PMa(例えば、2[g/unit])未満の場合には、第2の推定処理によるDPF22の推定PM堆積量PMdの推定精度が悪化するような状況であると判断される。一方、DPF22のPM堆積量PM1が所定値PMa以上の場合には、第2の推定処理によるDPF22の推定PM堆積量PMdの推定精度が確保できるような状況であると判断される。
【0049】
このように、DPF22の差圧活用条件が成立した累積時間Tsumが所定時間Ta未満の場合、もしくは、DPF22のPM堆積量PM1が所定値PMa未満の場合には、第2の推定処理によるDPF22の推定PM堆積量PMdの推定精度が悪化するような状況であると判断される。この場合、第2の推定処理が禁止され、第1の推定処理によるDPF22の推定PM堆積量PMeに基づいてPM燃焼制御への移行の要否が判定される。この際、PM燃焼制御への移行の要否を判定するための移行用閾値は、第1の閾値Th1に設定される。そして、第1の推定処理によって推定されたDPF22の推定PM堆積量PMeが、第1の閾値Th1以上の場合、PM燃焼フラグがオン状態となり、PM燃焼モードに移行して、PM燃焼制御が実行される。
【0050】
一方、DPF22の差圧活用条件が成立した累積時間Tsumが所定時間Ta以上の場合、かつ、DPF22のPM堆積量PM1が所定値PMa以上の場合には、第2の推定処理によるDPF22の推定PM堆積量PMdの推定精度が確保できるような状況であると判断される。この場合、第2の推定処理が許可され、この第2の推定処理による推定PM堆積量PMdに基づいてPM燃焼制御への移行の要否が判定される。この際、PM燃焼制御への移行の要否を判定するための移行用閾値は、第2の閾値Th2に設定される。そして、第2の推定処理によって推定されたDPF22の推定PM堆積量PMdが、第2の閾値Th2以上の場合、PM燃焼フラグがオン状態となり、PM燃焼モードに移行して、PM燃焼制御が実行される。
【0051】
次に、この実施形態のPM燃焼制御の一例について、図6図7のフローチャートを参照して説明する。図6は、ECU100が実行するDPF差圧の参照許可フラグの算出制御の一例を示すフローチャートである。図7は、ECU100が実行する第1、第2の推定処理の切替制御の一例を示すフローチャートである。なお、図6図7のフローチャートの処理を、単一のフローチャートにまとめて行うようにしてもよい。
【0052】
まず、図6に示すDPF差圧の参照許可フラグの算出制御について説明する。図6の処理ルーチンは、ECU100において所定の制御周期(例えば数msec〜数十msec程度)ごとに繰り返し実行される。
【0053】
ステップST11において、DPF22の差圧活用条件が成立したか否かが判定される。そして、ステップST11の判定結果が肯定判定である場合には、ステップST12へ進み、否定判定である場合には、リターンする。DPF22の差圧活用条件は、上述した[a1]〜[a7]のような条件であり、[a1]〜[a7]の条件が全て満たされている場合には、DPF22の差圧活用条件が成立していると判定される。一方、[a1]〜[a7]の条件のうち少なくとも1つが満たされていない場合には、DPF22の差圧活用条件が成立していないと判定される。
【0054】
ステップST12において、DPF差圧の参照許可累積カウンタをカウントアップする。DPF差圧の参照許可累積カウンタは、上述したDPF22の差圧活用条件が成立した累積時間Tsumをカウントするもので、次の式(1)に示すように、今回のカウンタ値dpsum(i)は、前回のカウンタ値dpsum(i−1)に1制御周期(例えば数msec〜数十msec程度)を加算することによって算出される。つまり、式(1)によって算出されたカウンタ値dpsum(i)が、累積時間Tsumに相当する値となっている。
【0055】
dpsum(i)←dpsum(i−1)+1制御周期 ・・・(1)
次に、ステップST13において、PM燃焼制御が正常に終了したか否かが判定され、その判定結果が否定判定である場合には、ステップST15へ進む。一方、ステップST13の判定結果が肯定判定である場合には、ステップST14を経由した後、ステップST15へ進む。ステップST14においては、DPF差圧の参照許可累積カウンタのカウンタ値dpsum(i)がクリアされる(dpsum(i)←0)。このように、PM燃焼制御が正常に完了するたびにカウンタ値dpsum(i)をクリアすることによって、カウンタ値dpsum(i)が無制限に増加することが防止でき、DPF22のフィルタ前後差圧ΔPの差圧センサ39による検出精度を向上できる。
【0056】
ステップST15において、DPF差圧の参照許可累積カウンタのカウンタ値dpsum(i)が所定値dpa(閾値)以上である否かが判定される。このステップST15の判定は、上述した累積時間Tsumが所定時間Ta以上か否かの判定と同様の判定であり、ステップST15の所定値dpaは、上述した所定時間Ta(例えば、1200[s])に対応する値に設定されている。
【0057】
そして、ステップST15の判定結果が肯定判定である場合には(dpsum(i)≧dpa)、ステップST16へ進み、否定判定である場合には(dpsum(i)<dpa)、ステップST17へ進む。
【0058】
ステップST16においては、DPF差圧の参照許可フラグdpflgがオン状態とされる(dpflg←1)。一方、ステップST17においては、DPF差圧の参照許可フラグdpflgがオフ状態とされる(dpflg←0)。
【0059】
次に、図7に示す第1、第2の推定処理の切替制御(第1、第2の閾値の切替制御)について説明する。図7の処理ルーチンは、ECU100において所定の制御周期(例えば数msec〜数十msec程度)ごとに繰り返し実行される。
【0060】
ステップST21において、DPF差圧の参照許可フラグdpflgがオン状態であるか否かが判定される。つまり、図6のDPF差圧の参照許可フラグの算出制御によって求められたDPF差圧の参照許可フラグdpflgが、オン状態であるか否かが判定される。そして、ステップST21の判定結果が肯定判定である場合には(dpflg=1)、ステップST22へ進み、否定判定である場合には(dpflg=0)、ステップST23へ進む。
【0061】
ステップST22において、DPF22のPM堆積量gpmが所定値(閾値)ga以上であるか否かが判定される。このステップST22の判定は、上述したDPF22のPM堆積量PM1が所定値PMa以上であるか否かの判定と同様の判定であり、ステップST22の所定値gaは、上述した所定値PMa(例えば、2[g/unit])に対応する値に設定されている。また、この判定では、DPF22のPM堆積量PM1として、第2の推定処理によるDPF22の推定PM堆積量PMdが用いられる。
【0062】
そして、ステップST22の判定結果が肯定判定である場合には(gpm≧ga)、ステップST24へ進み、否定判定である場合には(gpm<ga)、ステップST23へ進む。
【0063】
ステップST23において、PM燃焼制御への移行の要否を判定するためのDPF22のPM堆積量の推定処理を第1の推定処理に切り替えるとともに、移行用閾値pmlmtを第1の閾値Th1に切り替える(pmlmt←Th1)。このように、DPF差圧の参照許可フラグdpflgがオフ状態のとき、もしくは、DPF22のPM堆積量gpmが所定値ga未満のとき、第2の推定処理が禁止される。そして、第1の推定処理によるDPF22の推定PM堆積量PMeに基づいてPM燃焼制御への移行の要否が判定される。
【0064】
ここで、第1の閾値Th1は、例えば次の[b1]〜[b3]ような要因を考慮して設定された値となっている。[b1]エンジン1のPM排出量のバラつき。[b2]DPF22のPM燃え残り量のバラつき。[b3]排気系部品へのPM付着によるバラつき。
【0065】
ステップST24において、PM燃焼制御への移行の要否を判定するためのDPF22のPM堆積量の推定処理を第2の推定処理に切り替えるとともに、移行用閾値pmlmtを第2の閾値Th2に切り替える(pmlmt←Th2)。このように、DPF差圧の参照許可フラグdpflgがオン状態のとき、かつ、DPF22のPM堆積量gpmが所定値ga以上のとき、第2の推定処理が許可される。そして、第2の推定処理によるDPF22の推定PM堆積量PMdに基づいてPM燃焼制御への移行の要否が判定される。なお、第1の推定処理は、第2の推定処理の実行中にも行うことが可能である。
【0066】
ここで、第2の閾値Th2は、例えば次の[c1]〜[c9]ような要因を考慮して設定された値となっており、上記第1の閾値Th1よりも大きい値に設定されている(Th1<Th2)。[c1]排気ガスの差圧脈動による差圧センサ39の検出バラつき。[c2]差圧センサ39自体の検出バラつき(温度特性、劣化など)。[c3]差圧センサ39のゼロ点のバラつき。[c4]第2排気温センサ38の検出バラつき(差圧の温度補正を行う場合)。[c5]排気ガスの流量バラつき。[c6]DPF22の公差(壁厚、細孔径など)による差圧バラつき。[c7]DPF22のPM堆積状態のバラつき(PMの燃え残り、堆積部位のバラつき)。[c8]DPF22におけるアッシュの堆積量および堆積部位のバラつき。[c9]排気系部品へのPM付着によるバラつき。
【0067】
以上のように、この実施形態では、第1の推定処理用の第1の閾値Th1と、この第1の閾値Th1よりも大きい第2の推定処理用の第2の閾値Th2とを、第1、第2の閾値Th1、Th2のバラつきを考慮して設定しているので、第1、第2の推定処理による推定PM堆積量PMe、PMdに基づくPM燃焼制御への移行判定を精度よく行うことが可能になり、これにより、PM燃焼制御の頻度を低減して、燃費の悪化を抑制することが可能になる。
【0068】
そして、第2の推定処理は、DPF22の差圧活用条件が成立した累積時間Tsumが所定時間Ta以上のとき(DPF差圧の参照許可フラグdpflgがオン状態のとき)許可されるので、実PM堆積量と、推定PM堆積量PMdとの乖離を小さくすることが可能になり、PM燃焼制御の頻度を低減して、燃費の悪化を抑制することが可能になる。具体的には、DPF22の差圧活用条件が成立した累積時間Tsumが所定時間Ta未満のとき(DPF差圧の参照許可フラグdpflgがオフ状態のとき)、図4に示すように、DPF22のフィルタ前後差圧ΔPの差圧センサ39による検出値と、実差圧との乖離が大きくなるため、このような状況では、第2の推定処理を禁止している。そして、第2の推定処理を、DPF22の差圧活用条件が成立した累積時間Tsumが所定時間Ta以上のときに限定して行うので、実PM堆積量と、推定PM堆積量PMdとの乖離を小さくすることが可能になり、PM燃焼制御の頻度を低減して、燃費の悪化を抑制することが可能になる。
【0069】
また、第2の推定処理は、DPF22のPM堆積量PM1が所定値PMa以上のとき許可されるので、実PM堆積量と、推定PM堆積量PMdとの乖離を小さくすることが可能になり、PM燃焼制御の頻度を低減して、燃費の悪化を抑制することが可能になる。具体的には、DPF22のPM堆積量PM1が所定値PMa未満のとき、図5に示すように、DPF22のPM堆積量PM1に対し、DPF22のフィルタ前後差圧ΔPの差圧センサ39による検出値が急激に変化するため、このような状況では、第2の推定処理を禁止している。そして、第2の推定処理を、DPF22のPM堆積量PM1が所定値PMa以上のときに限定して行うので、実PM堆積量と、推定PM堆積量PMdとの乖離を小さくすることが可能になり、PM燃焼制御の頻度を低減して、燃費の悪化を抑制することが可能になる。
【0070】
−他の実施形態−
図8のフローチャートを参照して、ECU100が実行するDPF差圧の参照許可フラグの算出制御の変形例について説明する。図8のフローチャートでは、ステップST33の処理が、図6のステップST13の処理と異なっているが、それ以外のステップST31、ST32、ST34〜ST37の各処理は、図6のステップST11、ST12、ST14〜ST17の各処理と同様となっている。
【0071】
具体的に、図6のステップST13では、ステップST14のDPF差圧の参照許可累積カウンタのカウンタ値dpsum(i)をクリアするための判定として、PM燃焼制御が正常に終了したか否かを判定した。この変形例では、ステップST34のDPF差圧の参照許可累積カウンタのカウンタ値dpsum(i)をクリアするための判定として、ステップST33の判定を行うようにしている。すなわち、ステップST33では、DPF差圧−PM堆積量の相関異常フラグがオン状態であるか否かが判定され、その判定結果が否定判定である場合には、ステップST35へ進む。一方、ステップST33の判定結果が肯定判定である場合には、ステップST34を経由した後、ステップST35へ進む。
【0072】
ステップST33のDPF差圧−PM堆積量の相関異常フラグは、次のようなものである。上述したように、DPF22のフィルタ前後差圧ΔPとDPF22に堆積したPM堆積量との間に相関がある。しかし、両者の相関は、例えば次の[d1]〜[d3]のような条件が満たされている場合に悪化する可能性がある。
【0073】
[d1]都市部の渋滞時等における低速走行が繰り返し行われる場合(言い換えれば、平均車速が、所定値未満であるという条件)。[d2]短距離送迎や宅配等のショートトリップが繰り返し行われる場合(言い換えれば、1トリップでの走行距離が、所定値未満であるという条件)。[d3]アイドル状態での放置や差圧検出が困難な状況での走行が継続して行われる場合(言い換えれば、差圧センサ39による差圧検出頻度が、所定値未満であるという条件)。
【0074】
上記[d1]〜[d3]の条件のうち少なくとも1つの条件が満たされている場合、DPF差圧の参照許可累積カウンタのカウンタ値dpsum(i)が所定値dpa以上であっても(DPF22の差圧活用条件が成立した累積時間Tsumが所定時間Ta以上であっても)、第2の推定処理によるDPF22の推定PM堆積量PMdの推定精度が悪化する可能性がある。そこで、この変形例では、上記[d1]〜[d3]の条件のうち少なくとも1つの条件が満たされている場合には、DPF差圧−PM堆積量の相関異常フラグがオン状態となり、上記[d1]〜[d3]の条件の全てが満たされていない場合には、DPF差圧−PM堆積量の相関異常フラグがオフ状態となるようにする。
【0075】
そして、ステップST33において、DPF差圧−PM堆積量の相関異常フラグがオン状態であるか否かを判定し、その判定結果が肯定判定である場合には、ステップST34において、DPF差圧の参照許可累積カウンタのカウンタ値dpsum(i)をクリアするようにしている。このように、DPF差圧の参照許可累積カウンタのカウンタ値dpsum(i)をクリアする条件として、DPF差圧−PM堆積量の相関が悪化する可能性がある条件(走行パターン)を採用することで、実PM堆積量と、推定PM堆積量PMdとの乖離を小さくすることが可能になり、PM燃焼制御の頻度を低減して、燃費の悪化を抑制することが可能になる。
【0076】
上記実施形態では、排気ガスに含まれるPMを捕集するフィルタとしてDPF22を用いたが、これに限らず、排気ガスに含まれるPMを捕集するフィルタとして、その他のフィルタ(例えばDPNR触媒など)を用いる構成としてもよい。
【0077】
上記実施形態では、DPF22の差圧活用条件が成立した累積時間Tsumが所定時間Ta以上の場合、および、DPF22のPM堆積量PM1が所定値PMa以上の場合の両方が満たされている場合に、第2の推定処理によるDPF22の推定PM堆積量PMdの推定精度が確保できるような状況であると判断した。しかし、これに限らず、DPF22の差圧活用条件が成立した累積時間Tsumが所定時間Ta以上の場合、および、DPF22のPM堆積量PM1が所定値PMa以上の場合のうちいずれか一方が満たされる場合に、第2の推定処理によるDPF22の推定PM堆積量PMdの推定精度が確保できるような状況であると判断してもよい。
【0078】
上記実施形態では、DPF22の上流側に燃料添加弁23を設け、この燃料添加弁23による燃料添加によってPM燃焼制御を行ったが、これに限らず、エンジン運転のための燃料噴射(インジェクタ2から燃焼室1aへの燃料噴射)である主燃料噴射(メイン噴射)を行った後に、インジェクタ2から燃焼室1aへの燃料噴射(ポスト噴射)を行うことによってPM燃焼制御を行ってもよい。また、燃料添加弁23による燃料添加と、インジェクタ2によるポスト噴射とを組み合わせてPM燃焼制御を行うようにしてもよい。
【0079】
以上では、本発明の排気浄化装置を筒内直噴4気筒ディーゼルエンジンに適用した例を示したが、本発明はこれに限られることなく、例えば筒内直噴6気筒ディーゼルエンジンなど他の任意の気筒数のディーゼルエンジンにも適用できる。さらに、本発明の排気浄化装置は、高い空燃比(リーン雰囲気)の混合気を燃焼に供して機関運転を行う運転領域が、全運転領域の大部分を占める希薄燃焼式ガソリンエンジンにも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、内燃機関(主に、ディーゼルエンジン)から排出される排気ガスに含まれる粒子状物質を捕集するフィルタを備える内燃機関の排気浄化装置に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 ディーゼルエンジン(内燃機関)
4 排気通路
22 DPF(フィルタ)
23 燃料添加弁
39 差圧センサ
100 ECU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8