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特許6054906電子機器、そのバッテリ制御方法、及びコンピュータが実行可能なプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6054906
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】電子機器、そのバッテリ制御方法、及びコンピュータが実行可能なプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/04 20060101AFI20161219BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20161219BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20161219BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20161219BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   H02J7/04 B
   H01M10/44 P
   H01M10/48 P
   H02J7/02 F
   H02J7/00 302C
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-85628(P2014-85628)
(22)【出願日】2014年4月17日
(65)【公開番号】特開2015-208063(P2015-208063A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2015年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100132595
【弁理士】
【氏名又は名称】袴田 眞志
(72)【発明者】
【氏名】塚本 泰通
(72)【発明者】
【氏名】山口 弘光
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 裕一郎
【審査官】 古河 雅輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−207269(JP,A)
【文献】 特開2009−240154(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0284225(US,A1)
【文献】 特開平06−217464(JP,A)
【文献】 特開2012−210077(JP,A)
【文献】 特開2010−035361(JP,A)
【文献】 米国特許第06452362(US,B1)
【文献】 特開2000−134811(JP,A)
【文献】 取扱説明書 基本ガイド,日本,パナソニック株式会社,2012年,P.13, 23, 24, 52,CF-AX2Aシリーズ(Windows 8),URL,http://pc-dl.panasonic.co.jp/public/s_manual/sx2nx2b11mk3ax2mk2-kihonguide_system-dfqw5739za-8-nonlogo-j-p20120647.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26− 1/32
H01M 10/42−10/48
H02J 7/00− 7/12
H02J 7/34− 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に内蔵され、外部から着脱できないように構成された第1のバッテリと、
前記筐体の外部から着脱可能に構成された第2のバッテリと、
前記第1のバッテリ及び前記第2のバッテリの充電及び放電を制御するバッテリ制御手段と、
を備え、
前記バッテリ制御手段は、前記第1のバッテリの残容量が第1の閾値より大きい場合に、前記第1のバッテリの残容量が前記第1の閾値になるまで前記第1のバッテリを放電させる初期放電処理を実行し、
前記バッテリ制御手段は、前記第2のバッテリの容量が所定容量より大きい場合に、前記初期放電処理を実行することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記バッテリ制御手段は、前記第2のバッテリの容量が所定容量より大きい場合には、 第1に、前記第2のバッテリの残容量が第2の閾値より大きい場合に前記第2のバッテリの残容量が第2の閾値になるまで前記第2のバッテリを放電させ、
第2に、前記初期放電処理を実行し、
第3に、前記第2のバッテリの残容量が第3の閾値(但し、第3の閾値<第2の閾値)になるまで前記第2のバッテリを放電させ、
第4に、前記第1のバッテリの残容量が第4の閾値(但し、第4の閾値<第1の閾値)になるまで前記第1のバッテリを放電させることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記バッテリ制御手段は、前記第2のバッテリの容量が所定容量より大きい場合には、
第1に、前記初期放電処理を実行し、
第2に、前記第2のバッテリの残容量が第3の閾値(第3の閾値<第1の閾値)になるまで前記第2のバッテリを放電させ、
第3に、前記第1のバッテリの残容量が第4の閾値(但し、第4の閾値<第1の閾値)になるまで前記第1のバッテリを放電させることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記バッテリ制御手段は、前記第2のバッテリの容量が所定容量より大きくない場合には、前記初期放電処理を実行しないで、前記第2のバッテリの残容量が第3の閾値(但し、第3の閾値<第1の閾値)になるまで前記第2のバッテリを放電させ、次に、前記第1のバッテリの残容量が第4の閾値(但し、第4の閾値<第1の閾値)になるまで前記第1のバッテリを放電させることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の電子機器。
【請求項5】
前記電子機器は、ノートPC又はタブレットであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の電子機器。
【請求項6】
筐体に内蔵され、外部から着脱できないように構成された第1のバッテリと、前記筐体の外部から着脱可能に構成された第2のバッテリと、を備えた電子機器のバッテリ制御方法であって、
前記第1のバッテリ及び前記第2のバッテリの充電及び放電を制御する工程を含み、
前記制御する工程では、前記第1のバッテリの残容量が第1の閾値より大きい場合に、前記第1のバッテリの残容量が前記第1の閾値になるまで前記第1のバッテリを放電させる初期放電処理を実行し、
前記制御する工程では、前記第2のバッテリの容量が所定容量より大きい場合に、前記初期放電処理を実行することを特徴とする電子機器のバッテリ制御方法。
【請求項7】
筐体に内蔵され、外部から着脱できないように構成された第1のバッテリと、前記筐体の外部から着脱可能に構成された第2のバッテリと、を備えた電子機器に搭載されるプログラムであって、
前記第1のバッテリ及び前記第2のバッテリの充電及び放電を制御する工程をコンピュータに実行させ、
前記制御する工程では、前記第1のバッテリの残容量が第1の閾値より大きい場合に、前記第1のバッテリの残容量が前記第1の閾値になるまで前記第1のバッテリを放電させる初期放電処理を実行し、
前記制御する工程では、前記第2のバッテリの容量が所定容量より大きい場合に、前記初期放電処理を実行することを特徴とするコンピュータが実行可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、そのバッテリ制御方法、及びコンピュータが実行可能なプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ノートPC、タブレット、スマートフォン、及び携帯電話端末等の各種電子機器にはバッテリが搭載されている。その中でもリチウムイオン電池は、体積エネルギー密度及び重量エネルギー密度が高く小型で軽量であるため広く利用されている。かかるリチウムイオン電池は、サイクル回数や満充電での放置により劣化が進むことが知られている。満充電での放置による劣化は、主として、リチウムイオンが移動して炭素電極に結合すると炭素電極の立体構造が膨化して結晶構造が壊れることが原因となっている。
【0003】
また、リチウムイオン電池は、円筒型が主流であったが、近時、フィルム型も普及してきており、フィルム型を使用することでデバイスの薄型化が可能となっている。
【0004】
例えば、ノートPCやタブレットでは、外部からノートPCの筐体に着脱可能(交換可能)なバッテリパックを搭載するものが一般的であるが、近時、筐体にバッテリパックを内蔵して、外部から交換できないタイプのものもある(例えば、動作保証上、ユーザ交換が禁止され、サービスセンター等で交換する必要がある)。
【0005】
さらに、バッテリ駆動時間をさらに向上させるため、交換できない内蔵のバッテリに加えて、外部から交換可能なバッテリを搭載したノートPCがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−8370号公報
【特許文献2】特開2011−227753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、交換できないバッテリと、交換可能なバッテリとを備えた電子機器において、交換できないバッテリの劣化を可及的に防止可能な電子機器、そのバッテリ制御方法、及びコンピュータが実行可能なプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、筐体に内蔵され、外部から着脱できないように構成された第1のバッテリと、前記筐体の外部から着脱可能に構成された第2のバッテリと、前記第1のバッテリ及び前記第2のバッテリの充電及び放電を制御するバッテリ制御手段と、を備え、前記バッテリ制御手段は、前記第1のバッテリの残容量が第1の閾値より大きい場合に、前記第1のバッテリの残容量が前記第1の閾値になるまで前記第1のバッテリを放電させる初期放電処理を実行することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記バッテリ制御手段は、前記第2のバッテリの容量が所定容量より大きい場合に、前記初期放電処理を実行することが望ましい。
【0010】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記バッテリ制御手段は、前記第2のバッテリの容量が所定容量より大きい場合には、第1に、前記第2のバッテリの残容量が第2の閾値より大きい場合に前記第2のバッテリの残容量が第2の閾値になるまで前記第2のバッテリを放電させ、第2に、前記初期放電処理を実行し、第3に、前記第2のバッテリの残容量が第3の閾値(但し、第3の閾値<第2の閾値)になるまで前記第2のバッテリを放電させ、第4に、前記第1のバッテリの残容量が第4の閾値(但し、第4の閾値<第1の閾値)になるまで前記第1のバッテリを放電させることが望ましい。
【0011】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記バッテリ制御手段は、前記第2のバッテリの容量が所定容量より大きい場合には、第1に、前記初期放電処理を実行し、第2に、前記第2のバッテリの残容量が第3の閾値(第3の閾値<第1の閾値)になるまで前記第2のバッテリを放電させ、第3に、前記第1のバッテリの残容量が第4の閾値(但し、第4の閾値<第1の閾値)になるまで前記第1のバッテリを放電させることが望ましい。
【0012】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記バッテリ制御手段は、前記第2のバッテリの容量が所定容量より大きくない場合には、前記初期放電処理を実行しないで、前記第2のバッテリの残容量が第3の閾値(但し、第3の閾値<第1の閾値)になるまで前記第2のバッテリを放電させ、次に、前記第1のバッテリの残容量が第4の閾値(但し、第4の閾値<第1の閾値)になるまで前記第1のバッテリを放電させることが望ましい。
【0013】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記電子機器は、ノートPC又はタブレットであることが望ましい。
【0014】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、筐体に内蔵され、外部から着脱できないように構成された第1のバッテリと、前記筐体の外部から着脱可能に構成された第2のバッテリと、を備えた電子機器のバッテリ制御方法であって、前記第1のバッテリ及び前記第2のバッテリの充電及び放電を制御する工程を含み、前記制御する工程では、前記検出した第1のバッテリの残容量が第1の閾値より大きい場合に、前記第1のバッテリの残容量が前記第1の閾値になるまで前記第1のバッテリを放電させる初期放電処理を実行することを特徴とする。
【0015】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、筐体に内蔵され、外部から着脱できないように構成された第1のバッテリと、前記筐体の外部から着脱可能に構成された第2のバッテリと、を備えた電子機器に搭載されるプログラムであって、前記第1のバッテリ及び前記第2のバッテリの充電及び放電を制御する工程をコンピュータに実行させ、前記制御する工程では、前記第1のバッテリの残容量が第1の閾値より大きい場合に、前記第1のバッテリの残容量が前記第1の閾値になるまで前記第1のバッテリを放電させる初期放電処理を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、交換できないバッテリと、交換可能なバッテリとを使用する場合に、交換できないバッテリの劣化を可及的に防止可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本実施の形態にかかる電子機器を適用したノートPCの外観を示す斜視図及び本体側筐体の底面を示す平面図である。
図2図2は、標準タイプの補助電池パックの概略の外観構成及び本体側筐体に装着した場合を示す図である。
図3図3は、大容量タイプの補助電池パックの概略の外観構成及び本体側筐体に装着した場合を示す図である。
図4図4は、上記ノートPCのブロック構成図である。
図5図5は、電源回路の概略の構成を示す機能ブロック図である。
図6図6は、エンベデッド・コントローラによる主電池パック及び補助電池パックの充電制御の一例を説明するためのフローチャートである。
図7図7は、エンベデッド・コントローラによる主電池パック及び補助電池パックの充電制御の一例を説明するための説明図である。
図8図8は、エンベデッド・コントローラによる主電池パック及び補助電池パックの放電制御を説明するためのフローチャートである。
図9図9は、第1の放電制御の一例を説明するためのフローチャートである。
図10図10は、第1の放電制御の一例を説明するための説明図である。
図11図11は、第2の放電制御を説明するためのフローチャートである。
図12図12は、第2の放電制御の一例を説明するための説明図である。
図13図13は、第1の放電制御の他の例を説明するためのフローチャートである。
図14図14は、第1の放電制御の他の例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、この発明に係る電子機器、そのバッテリ制御方法、及びコンピュータが実行可能なプログラムを図面に基づいて詳細に説明する。本発明の構成要素は、本明細書の図面に一般に示してあるが、様々な構成で広く多様に配置し設計してもよいことは容易に理解できる。したがって、本発明の装置、システム及び方法の実施形態についての以下のより詳細な説明は、特許請求の範囲に示す本発明の範囲を限定するものではなく、単に本発明の選択した実施形態の一例を示すものであって、特許請求の範囲に示す本発明と矛盾無く装置、システム及び方法についての選択した実施形態を単に示すものである。当業者は、特定の細目の1つ以上が無くても、又は他の方法、部品、材料でも本発明を実現できることが理解できる。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの又は実質的に同一のものが含まれる。
【0019】
図1は、本実施の形態にかかる電子機器を適用したノートPCの概略構成を示しており、図1(a)はノートPCの外観を示す斜視図、図1(b)はノートPCの本体側筐体の底面を示す平面図である。図1に示すように、ノートPC1は、ディスプレイ側筐体2と本体側筐体3が一対のヒンジ4を介して開閉可能に接続されている。
【0020】
ディスプレイ側筐体2は、LCD(液晶ディスプレイ)18を収納する。本体側筐体3は、内部に主電池パック101及び図2に示すような各種のシステム・デバイスを収納すると共に、表面にキーボードおよびポインティング・デバイスからなる入力デバイス17を実装している。主電池パック101は、本体側筐体3に内蔵された構成(Built in)であり、ユーザが交換(着脱)できない構成となっている(例えば、主電池パック101は、メーカーのサービスセンター等で本体側筐体13を分解して交換する必要があり、ユーザが交換できない構成となっている。)。主電池パック101は、例えば、シートタイプのリチウムイオン電池である。
【0021】
本体側筐体3の裏面には、交換可能な(Replaceable)補助電池パック102が装着される。補助電池パック102に近接した位置には、補助電池パック102を本体側筐体3にロックしたり、リリースしたりするためのイジェクト・スイッチ31が設けられている。補助電池パック102は、容量の異なるものを装着可能となっており、大容量タイプ(例えば、60WH)のものや標準容量タイプ(例えば、30WH)のもの等がある。補助電池パック102は、例えば、シリンダータイプのリチウムイオン電池である。補助電池パック102は、容量に拘わらず本体側筐体3と係合する部分の形状は同じであり、容量の大きいものは本体側筐体3の底面からその一部が突出する形状となっている。
【0022】
図2は、標準容量タイプの補助電池パック102の概略の外観構成及び本体側筐体3に装着した状態の一例を示す図である。図2に示すように、標準容量タイプの補助電池パック102は、本体側筐体3の底面と略面一に収納される。図3は、大容量タイプの補助電池パック102の概略の外観構成及び本体側筐体3に装着した状態の一例を示す図である。図3に示すように、大容量タイプの補助電池パック102は、本体側筐体3の底面から一部が突出した状態で収納される。
【0023】
本実施の形態は、交換できない内蔵タイプの主電池パック101と交換可能な補助電池パック102とを備えた構成においては、主電池パック101はユーザが交換できないため、ユーザが交換可能な補助電池パック102よりも可及的に主電池パック101の寿命を延ばす必要があるという着想に基づいている。
【0024】
バッテリは満充電による放置により劣化が早まるため、主電池パック101の長期間の満充電状態を避けることが重要である。そこで、本実施の形態では、主電池パック101の残容量が第1の閾値より大きい場合に、その残容量が第1の閾値になるまで主電池パック101を放電させる初期放電処理を実行することで、主電池パック101の劣化を防止している。
【0025】
また、本実施の形態では、補助電池パック102の容量に応じて、異なる放電制御を行っている。より具体的には、補助電池パック102の容量が大きい場合は、主電池パック101の使用頻度が少なくなるため、上述の初期放電処理を実行して主電池パック101の長期間の満充電状態を避けるようにしている。他方、補助電池パック102の容量が小さい場合は、主電池パック101の使用率が高くなるため、初期放電処理を実行しないで、通常のように補助電池パック102を優先して使用する。
【0026】
図4は、ノートPC1の概略の構成を示す機能ブロック図である。CPU11はメモリ・コントローラとPCI Expressコントローラを内蔵しており、メイン・メモリ16、ビデオ・カード25およびチップ・セット12に接続されている。ビデオ・カード25は、画像表示に関連する機能を実現するためのサブシステムであり、ビデオコントローラを含んでいる。このビデオコントローラは、CPU11からの描画命令を処理し、処理した描画情報をビデオメモリに書き込むと共に、ビデオメモリからこの描画情報を読み出して、LCD(液晶ディスプレイ)18に描画データとして出力している。
【0027】
メイン・メモリ16は、CPU11の実行プログラムの読み込み領域として、あるいは実行プログラムの処理データを書き込む作業領域として利用される書き込み可能メモリである。例えば、複数個のDRAMチップで構成される。この実行プログラムには、ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)に基づく電力制御が可能なOS(例えば、Windows(登録商標)XP、Vista、7、8等)、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ、ユーティリティプログラム、特定業務を実行するためのアプリケーションプログラム等が含まれる。これら実行プログラムは、HDD20に格納されている。
【0028】
チップ・セット12は、SATA、USB、PCI Express、LPCなどのコントローラおよびRTC(Real Time Clock)を内蔵している。SATAコントローラにはHDD20が接続され、PCI ExpressコントローラにはLANカード13が接続され、USBコントローラにはUSBレセプタクル19が接続される。LANカード13には、RJ45レセプタクル15が接続されている。LPCコントローラには、エンベデッド・コントローラ22が接続されている。
【0029】
エンベデッド・コントローラ22は、CPU、ROM、及びRAMなどで構成されたマイクロ・コンピュータであり、さらに複数チャネルのA/D入力端子、D/A出力端子、タイマ、およびディジタル入出力端子を備えている。エンベデッド・コントローラ22は、ノートPC1の内部の動作環境の管理にかかるプログラムをCPU11とは独立して実行することができる。エンベデッド・コントローラ22は、入力デバイス17のキーボードやタッチパッドの制御を行う。
【0030】
また、エンベデッド・コントローラ22は、電源回路40を制御する。電源回路40は、主として、AC/DCアダプタ41、主電池パック101、補助電池パック102、パワーコントローラ42,充電器43、及びDC/DCコンバータ44で構成されている。
【0031】
エンベデッド・コントローラ22は、AC/DCアダプタ41が商用電源に接続されている場合には、AC/DCアダプタ41から供給される直流電圧を複数の電圧に変換してシステム・デバイスに電力を供給するように制御し(AC駆動)、また、充電器43を制御して、主電池パック101及び補助電池パック102を充電する。他方、エンベデッド・コントローラ22は、AC/DCアダプタ41が商用電源に接続されていない場合には、主電池パック101又は補助電池パック102から供給される直流電圧を複数の電圧に変換してシステム・デバイスに電力を供給するように制御する(バッテリ駆動)。
【0032】
エンベデッド・コントローラ22は、パワーコントローラ42を介してDC/DCコンバータ44を制御して、ノートPC1に実装されたシステム・デバイスに電力を供給する。パワーコントローラ42は、エンベデッド・コントローラ22およびDC/DCコンバータ44に接続され、エンベデッド・コントローラ22からの指示に基づいてDC/DCコンバータ44を制御する。DC/DCコンバータ44は、主電池パック101若しくは補助電池パック102又はAC/DCアダプタ41から供給される直流電圧を複数の電圧に変換してシステム・デバイスに電力を供給する。
【0033】
エンベデッド・コントローラ22は、主電池パック101及び補助電池パック102の状態を監視して充電器43の動作を制御する。主電池パック101は、スマート・バッテリィ・システム(SBS)の規格に適合し、本体側筐体3の内部にユーザが交換できない態様で実装される。補助電池パック102は、スマート・バッテリィ・システム(SBS)の規格に適合し、本体側筐体3にユーザが交換可能な態様で実装される。
【0034】
エンベデッド・コントローラ22は、主電池パック101及び補助電池パック102の充電電流の設定値および充電電圧の設定値を充電器43に設定する。充電器43は、エンベデッド・コントローラ22により設定された充電電流の設定値および充電電圧の設定値に基づいて、定電流定電圧制御方式(CCCV)で主電池パック101及び補助電池パック102を充電する。
【0035】
図5は、電源回路100の概略の構成を示す機能ブロック図である。AC/DCアダプタ41は、一次側が商用電源のアウトレットに接続され、二次側がノートPC1の本体側13に接続される。AC/DCアダプタ41は、ノートPC1の内部に組み込んでもよい。AC/DCアダプタ41は交流電圧を直流電圧に変換してDC/DCコンバータ44に電力を供給し、さらに充電器43に電力を供給して主電池パック101または補助電池パック102を充電する。
【0036】
FET111は、主電池パック101または補助電池パック102からDC/DCコンバータ44に電力を供給するときにオフに制御されて、放電電流がAC/DCアダプタ41に流れ込むのを防止する。充電器43は、CHGコントローラ46、ハイ・サイドFET、ロー・サイドFET、インダクタ、およびキャパシタを含み、主電池パック101および補助電池パック102を充電する。充電器43のCHGコントローラ46にはエンベデッド・コントローラ22が接続されている。エンベデッド・コントローラ22は、充電電流および充電電圧をCHGコントローラ46に設定する。
【0037】
CHGコントローラ46は、ハイ・サイドFETとロー・サイドFETを交互にオン、オフを繰り返すようにスイッチング制御して同期整流方式を実現し、AC/DCアダプタ41の出力電圧をエンベデッド・コントローラ22により設定された所定の電圧に制御する。インダクタとキャパシタは、ハイ・サイドFETがオフでロー・サイドFETがオンの期間にそれぞれに蓄えられたエネルギーを放出することにより出力電流を平滑化する。
【0038】
DC/DCコンバータ44は、入力電圧をノートPC1のシステム・デバイスの動作に適した安定した複数の電圧に変換する。DC/DCコンバータ44は、ノートPC1をACPIに規定された複数の電源状態(パワー・ステート)に遷移させるために、適切に区分された範囲のシステム・デバイスに電力を供給できるように構成されている。検出回路47は、AC/DCアダプタ41の出力電圧を検出してパワー・コントローラ42のレジスタを設定する。
【0039】
FET118は、AC/DCアダプタ41の出力電圧が充電器43を経由して、主電池パック101又は補助電池パック102に供給されるように充電時はオフに制御されるスイッチである。FET118は、また、AC/DCアダプタ41が電圧を出力しないときは、主電池パック101または補助電池パック102からDC/DCコンバータ44に電力を供給するためにオンに制御されるスイッチである。FET114〜FET117は、主電池パック101及び補助電池パック102に対する充電および放電の動作を制御するためのスイッチである。
【0040】
主電池パック101は、放電制御用FET114と充電制御用FET115で構成された充放電パスで充電器43の出力およびFET118に接続されている。補助電池パック102は、放電制御用FET116と充電制御用FET117で構成された充放電パスで充電器43の出力およびFET118に接続されている。放電制御用FET114、116はPチャネル型MOSFETであり、充電制御用FET115、117はNチャネル型MOSFETである。これらのFETの内部にはいずれも図示する方向に寄生ダイオードが形成されている。
【0041】
パワーコントローラ42は、論理回路、レジスタ、およびタイマなどを含むICチップでエンベデッド・コントローラ22により制御される。パワーコントローラ42は、エンベデッド・コントローラ22の指示に基づいてFET111、FET114〜118の動作を制御したり、DC/DCコンバータ44の動作を制御したりする。
【0042】
主電池パック101および補助電池パック102は、いずれもバスを通じてエンベデッド・コントローラ22に接続されている。エンベデッド・コントローラ22は、バスを通じて各電池パックの充電電圧、充電電流、容量、および残容量などの情報を取得し、充電器43の動作および必要なFETの動作を制御する。エンベデッド・コントローラ22は、また、補助電池パック102がノートPC1に装着されたときに、それらの内部にある抵抗器の存在を検出してそれらの装着状態を検出する。
【0043】
図6及び図7を参照して、エンベデッド・コントローラ22による主電池パック101及び補助電池パック102の充電制御を説明する。図6は、エンベデッド・コントローラ22による主電池パック101及び補助電池パック102の充電制御の一例を説明するためのフローチャートである。図7は、エンベデッド・コントローラ22による主電池パック101及び補助電池パック102の充電制御の一例を説明するための説明図である。
【0044】
図6において、まず、エンベデッド・コントローラ22は、主電池パック101の残容量≧所定の閾値(例えば、80%)であるか否かを判断する(ステップS1)。主電池パック101の残容量≧所定の閾値の場合(ステップS1の「Yes」)は、ステップS2に移行する。主電池パック101の残容量≧所定の閾値でない場合には(ステップS1の「No」)、エンベデッド・コントローラ22は、主電池パック101の残容量≧所定の閾値となるまで主電池パック101の充電を行う(ステップS4)。
【0045】
ステップS2では、エンベデッド・コントローラ22は、補助電池パック102の残容量=100%であるか否かを判断し、補助電池パック102の残容量=100%である場合には(ステップS2の「Yes」)、ステップS3に移行する。補助電池パック102の残容量=100%でない場合には(ステップS2の「No」)、エンベデッド・コントローラ22は、補助電池パック102の残容量=100%となるまで補助電池パック102の充電を行う(ステップS5)。
【0046】
ステップS3では、エンベデッド・コントローラ22は、主電池パック101の残容量=100%であるか否かを判断し、主電池パック101の残容量=100%である場合には(ステップS3の「Yes」)、当該フローを終了する。主電池パック101の残容量=100%でない場合には(ステップS3の「No」)、エンベデッド・コントローラ22は、主電池パック101の残容量=100%となるまで主電池パック101の充電を行う(ステップS6)。
【0047】
例えば、図7に示すように、充電制御では、主電池パック101と補助電池パック102の残容量が共に0%の場合には(A)、まず、主電池パック101を残容量が80%となるまで充電し(B)、つぎに、補助電池パック102の残容量が100%となるまで充電し(C)、さらに、主電池パック101の残容量が100%となるまで充電する(D)。
【0048】
図8図14を参照して、エンベデッド・コントローラ22による主電池パック101及び補助電池パック102の放電制御を説明する。エンベデッド・コントローラ22は、主電池パック101の残容量が第1の閾値(例えば、90%)より大きい場合に、主電池パック101の残容量が第1の閾値になるまで、主電池パック101を放電させる。エンベデッド・コントローラ22は、例えば、以下に示すように、装着される補助電池パック102の容量に応じて異なる放電制御を行うことにしてもよい。
【0049】
図8は、エンベデッド・コントローラ22による主電池パック101及び補助電池パック102の放電制御を説明するためのフローチャート、図9は、図8の第1の放電制御の詳細な処理を説明するためのフローチャート、図10は、第1の放電制御の一例を説明するための説明図、図11は、図8の第2の放電制御の詳細な処理を説明するためのフローチャート、図12は、第2の放電制御の一例を説明するための説明図である。
【0050】
図8において、まず、エンベデッド・コントローラ22は、補助電池パック102の容量>所定容量(例えば、30Wh)であるか否かを判断する(ステップS11)。補助電池パック101の容量>所定容量である場合は(ステップS11の「Yes」)、エンベデッド・コントローラ22は第1の放電制御を実行する(ステップS12)。第1の放電制御では、主電池パック101の残容量が第1の閾値より大きい場合に、その残容量が第1の閾値になるまで主電池パック101を放電させる初期放電処理(図9参照)を実行する。補助電池パック102の容量>所定容量でない場合は(ステップS11の「No」)、第2の放電制御を実行する(ステップS13)。第2の放電制御では、初期放電処理を実行しない。
【0051】
つぎに、上記第1の放電制御(図8のステップS12)の詳細な処理を、図9を参照して説明する。図9において、まず、エンベデッド・コントローラ22は、補助電池パック102の残容量≦第2の閾値(例えば、80%)であるか否かを判断する(ステップS21)。補助電池パックの残容量≦第2の閾値である場合には(ステップS21の「Yes」)、ステップS22に移行する。補助電池パック102の残容量≦第2の閾値でない場合には(ステップS21の「No」)、エンベデッド・コントローラ22は、補助電池パック102の残容量≦第2の閾値となるまで補助電池パック102の放電を行う(ステップS26)。
【0052】
ステップS22では、エンベデッド・コントローラ22は、主電池パック101の残容量≦第1の閾値(例えば、90%)であるか否かを判断し、主電池パック101の残容量≦第1の閾値である場合には(ステップS22の「Yes」)、ステップS23に移行する。主電池パック101の残容量≦第1の閾値でない場合には(ステップS22の「No」)、エンベデッド・コントローラ22は、上述の初期放電処理を実行して、主電池パック101の残容量≦第1の閾値となるまで主電池パック101の放電を行う(ステップS27)。
【0053】
ステップS23では、エンベデッド・コントローラ22は、補助パック102の残容量≦第3の閾値(例えば、5%)であるか否かを判断し、補助電池パック102の残容量≦5%である場合には(ステップS23の「Yes」)、ステップS24に移行する。補助電池パック102の残容量≦第3の閾値でない場合には(ステップS23の「No」)、エンベデッド・コントローラ22は、補助電池パック102の残容量≦第3の閾値となるまで補助電池パック102の放電を行う(ステップS28)。
【0054】
ステップS24では、エンベデッド・コントローラ22は、主電池パック101の残容量≦第4の閾値(例えば、5%)であるか否かを判断し、主電池パック101の残容量≦第4の閾値である場合には(ステップS24の「Yes」)、ステップS25に移行する。主電池パック101の残容量≦第4の閾値でない場合には(ステップS24の「No」)、エンベデッド・コントローラ22は、主電池パック101の残容量≦第4の閾値となるまで主電池パック101の放電を行う(ステップS29)。
【0055】
ステップS25では、エンベデッド・コントローラ22は、補助池パック102と主電池パック101の残容量=0%となるまで交互に放電する。
【0056】
例えば、図10に示すように、第1の放電制御では、主電池パック101と補助電池パック102の残容量が共に100%の場合には(A)、まず、補助電池パック102を残容量が80%となるまで使用(放電)し(B)、つぎに、主電池パック101の残容量が90%となるまで使用し(C)、補助電池パック102の残容量が5%となるまで使用し(D)、主電池パック101の残容量が5%となるまで使用し(E)、この後、補助電池パック102と主電池パック101の残容量が0%となるまで交互に使用する(F)。
【0057】
上記第2の放電制御(図8のステップS13)の詳細な処理を、図11を参照して説明する。図11において、まず、エンベデッド・コントローラ22は、補助電池パック102の残容量≦第3の閾値(例えば、5%)であるか否かを判断する(ステップS31)。補助電池パック102の残容量≦第3の閾値の場合(ステップS31の「Yes」)は、ステップS32に移行する。補助電池パック102の残容量≦第3の閾値でない場合には(ステップS31の「No」)、補助池パック102の残容量≦第3の閾値となるまで補助電池パック102の放電を行う(ステップS34)。
【0058】
ステップS32では、エンベデッド・コントローラ22は、主電池パック101の残容量≦第4の閾値(例えば、5%)であるか否かを判断し、主電池パック101の残容量≦第4の閾値である場合には(ステップS32の「Yes」)、ステップS33に移行する。主電池パック101の残容量≦第4の閾値でない場合には(ステップS12の「No」)、エンベデッド・コントローラ22は、主電池パック101の残容量≦第4の閾値となるまで主電池パック101の放電を行う(ステップS35)。
【0059】
ステップS33では、エンベデッド・コントローラ22は、補助電池パック102と主電池パック101の残容量=0%となるまで交互に放電を行う。
【0060】
例えば、図12に示すように、第2の放電制御では、主電池パック101と補助電池パック102の残容量が共に100%の場合には(A)、まず、補助電池パック101を残容量が5%となるまで使用(放電)し(B)、つぎに、主電池パック101の残容量が5%となるまで使用し(C)、この後、補助電池パック102と主電池パック101の残容量が0%となるまで交互に使用する(D)。
【0061】
図13は、上記第1の放電制御(図8のステップS12)の他の例を説明するためのフローチャート、図14は、上記第1の放電制御の他の例を説明するための説明図である。図13において、エンベデッド・コントローラ22は、主電池パック101の残容量≦第1の閾値(例えば、90%)であるか否かを判断する(ステップS41)。主電池パック101の残容量≦第1の閾値である場合には(ステップS41の「Yes」)、ステップS42に移行する。主電池パック101の残容量≦第1の閾値でない場合には(ステップS41の「No」)、エンベデッド・コントローラ22は、上述の初期放電処理を実行して、主電池パック101の残容量≦第1の閾値となるまで主電池パック101の放電を行う(ステップS45)。
【0062】
ステップS42では、エンベデッド・コントローラ22は、補助電池パック102の残容量≦第3の閾値(例えば、5%)であるか否かを判断し、補助電池パック102の残容量≦第3の閾値である場合には(ステップS42の「Yes」)、ステップS43に移行する。補助電池パック102の残容量≦第3の閾値でない場合には(ステップS43の「No」)、エンベデッド・コントローラ22は、補助電池パック102の残容量≦第3の閾値となるまで補助電池パック102の放電を行う(ステップS46)。
【0063】
ステップS43では、エンベデッド・コントローラ22は、主電池パック101の残容量≦第4の閾値(例えば、5%)であるか否かを判断し、主電池パック101の残容量≦第4の閾値である場合には(ステップS43の「Yes」)、ステップS44に移行する。主電池パック101の残容量≦第4の閾値でない場合には(ステップS44の「No」)、エンベデッド・コントローラ22は、主電池パック101の残容量≦第4の閾値となるまで主電池パック101の放電を行う(ステップS47)。
【0064】
ステップS44では、エンベデッド・コントローラ22は、補助電池パック102と主電池パック101の残容量=0%となるまで交互に放電を行う。
【0065】
例えば、図14に示すように、第2の放電制御の他の例では、主電池パック101と補助電池パック102の残容量が共に100%の場合には(A)、まず、主電池パック101を残容量が90%となるまで使用(放電)し(B)、つぎに、補助電池パック102の残容量が5%となるまで使用し(C)、主電池パック101の残容量が5%となるまで使用し(D)、この後、補助電池パック102と主電池パック101の残容量が0%となるまで交互に使用する(E)。
【0066】
以上説明したように、本実施の形態によれば、本体側筐体3に内蔵され、外部から着脱できないように構成された主電池パック101と、本体側筐体3の外部から着脱可能に構成された補助電池パック102と、を備え、エンベデッド・コントローラ22は、主電池パック101の残容量が第1の閾値より大きい場合に、主電池パック101の残容量が第1の閾値になるまで主電池パック101を放電させる初期放電処理を実行することとしたので、交換できないバッテリと、交換可能なバッテリとを備えた構成において、交換できないバッテリの劣化を可及的に防止することが可能となる。
【0067】
また、本実施の形態によれば、エンベデッド・コントローラ22は、補助電池パック102の容量が所定容量より大きい場合に初期放電処理を実行することとしたので、補助電池パック102の容量に応じて好適な放電制御を行うことが可能となる。
【0068】
なお、上記実施の形態では、電子機器としてノートPCを例示して説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、バッテリで駆動するタブレット、スマートフォン、携帯電話端末等の他の電子機器にも適用可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 ノートPC
2 ディスプレイ側筐体
3 本体側筐体
4 ヒンジ
11 CPU
12 チップ・セット
16 メイン・メモリ
17 入力デバイス
18 LCD
19 USB
20 HDD
22 エンベデッド・コントローラ
25 ビデオ・カード
31 イジェクト・スイッチ
40 電源回路
41 AC/DCアダプタ
42 パワーコントローラ
43 充電器
44 DC/DCコンバータ
46 CHGコントローラ
101 主電池パック
102 補助電池パック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14