(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6054955
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】マイクロ回路モジュールおよびマイクロ回路モジュールを有するチップカード
(51)【国際特許分類】
G06K 19/077 20060101AFI20161219BHJP
B42D 25/305 20140101ALI20161219BHJP
【FI】
G06K19/077 188
B42D15/10 307
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-514138(P2014-514138)
(86)(22)【出願日】2012年6月8日
(65)【公表番号】特表2014-517410(P2014-517410A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】FR2012051292
(87)【国際公開番号】WO2012168666
(87)【国際公開日】20121213
【審査請求日】2015年5月22日
(31)【優先権主張番号】1155132
(32)【優先日】2011年6月10日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】513183393
【氏名又は名称】オベルトゥル テクノロジ
【氏名又は名称原語表記】OBERTHUR TECHNOLOGIES
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100108383
【弁理士】
【氏名又は名称】下道 晶久
(74)【代理人】
【識別番号】100141162
【弁理士】
【氏名又は名称】森 啓
(72)【発明者】
【氏名】オリビエ ボスケ
【審査官】
月野 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−183776(JP,A)
【文献】
特開2005−235127(JP,A)
【文献】
特表2002−535784(JP,A)
【文献】
特開平02−194998(JP,A)
【文献】
特開2004−133843(JP,A)
【文献】
米国特許第05126548(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/077
B42D 25/305
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体的に矩形の支持フィルムを有するチップカード用マイクロ回路モジュールであって、該支持フィルムは、第1の面上に外部要素と接触するよう適応された合計8つの接点パッドと、第2の面上に該支持フィルムを通して前記接点パッドが接続される接続端子を有する電子コンポーネントと、を有し、
前記8つの接点パッドは、3つの接点パッドからなる2つの平行な列と、該2つの平行な列の間に位置づけされた他の2つの接点パッドで配置され、
前記接点パッドの列は、それぞれ前記支持フィルムの同じ方向に平行に配列されることによって、前記列のうちの一方の接点パッドがそれぞれ前記方向を横断して前記列のうちの他方の接点パッドに対面し、
前記他の2つの接点パッドは、それぞれ、前記列のそれぞれの端部を形成する接点パッドに近接して位置づけされ、
前記接点パッドは、それぞれ、前記方向に平行に少なくとも1.7mmの大きさと、前記方向を横断して少なくとも2mmの大きさと、を有し、
前記2つの平行な列の接点パッドは、ISO規格7816においてC1〜C3およびC5〜C7と記されたパッドに関して前記規格の配置を遵守し、
前記8つの接点パッドは、全体で前記支持フィルムの各辺に沿っている、マイクロ回路モジュール。
【請求項2】
前記コンポーネントは、フリップチップ式で取付けられ、
前記支持フィルムは、前記他の面上に、それぞれ前記支持フィルムを通して前記8つの接点パッドに接続され、前記コンポーネントの前記接続端子に対面し固定されている接続パッドを有する導電性トラックを有することを特徴とする、請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
電気接続により確保される機械的結合は、前記支持フィルムと前記コンポーネントの面との間の空間を充填する挿入材料によって補完されることを特徴とする請求項2に記載のモジュール。
【請求項4】
前記支持フィルムは、前記支持フィルムの前記第1の面上に、前記フィルムを通して前記コンポーネント全体に対面する補強ゾーンを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項5】
前記支持フィルムの第1の面上に配置された前記接点パッドは、金属層内に形成され、
前記補強ゾーンは、前記接点パッドと同じ厚みおよび同じ組成を有することを特徴とする請求項4に記載のモジュール。
【請求項6】
前記補強ゾーンは、前記他の接点パッドの1つと一続きになっていることを特徴とする請求項4または5に記載のモジュール。
【請求項7】
前記補強ゾーンは、前記列の1つの接点パッドのうちの1つと一続きになっていることを特徴とする請求項4または5に記載のモジュール。
【請求項8】
前記補強ゾーンは、前記接点パッドのそれぞれに対して電気的に絶縁されていることを特徴とする請求項4または5に記載のモジュール。
【請求項9】
前記補強ゾーンは、前記支持フィルムの前記方向に対して平行に、前記接点パッドの列の中央に位置する前記接点パッドの大きさより大きいことを特徴とする請求項8に記載のモジュール。
【請求項10】
前記他の2つの接点パッドは、USB通信機能専用であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のモジュール。
【請求項11】
前記8つの接点パッドが接続されている前記コンポーネントの接続端子は、4つの接続端子からなる2つの平行な列に分布していることを特徴とする請求項1〜10のいずか一項に記載のモジュール。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のモジュールを有するチップカードであって、
カード本体を有し、該カード本体内には、前記電子コンポーネントを収容するよう適応された深い部分を有する1つのキャビティが設けられ、該深い部分は、より浅い周囲部分によって取り囲まれ、前記モジュールは、該浅い周囲部分に該浅い周囲部分の周囲で固定されている、チップカード。
【請求項13】
前記8つの接点パッドのセットは、前記周囲部分に向かい合うことを特徴とする請求項12に記載のカード。
【請求項14】
前記本体の大きさが3FFフォーマットの大きさよりも小さい、請求項12または13に記載のカード。
【請求項15】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のモジュールの前記他の接点パッドの少なくとも1つに接続されるように構成された読取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップカードモジュールおよびこのチップカードモジュールを有する外部接点付きチップカードに関する。
【背景技術】
【0002】
公知の通り、チップカードモジュールは、(このモジュールが装備されるチップカードの外部からアクセス可能となるように意図されているために)外部面と呼ばれる一方の面に十分に規定された構成にしたがった接点ゾーンが含まれており、(モジュールを収容するためのカード内に設けられたキャビティの内部に向かって配向されるように意図されているために)内部面と呼ばれる他方の面に外部面の接点ゾーンの少なくとも一部に対して電気的に接続された接触子を有するマイクロ回路が支持されている薄層支持フィルムを有している。
【0003】
外部面の接点ゾーンの構成は、通常ISO規格7816に適合しており、この規格では、規定された機能を有する4つの接点ゾーンからなる平行な2つの列で分布した8つの接点ゾーンの存在が規定されており、これらの接点ゾーンは通常、参照番号C1〜C8で呼称される。すなわち、
− 接点ゾーンC1は、Vcc(またはVdd)と記された電源電圧を受けるよう意図され、
− 接点ゾーンC2は、RSTと記された初期化信号を受信するよう意図され、
− 接点ゾーンC3は、CLKと記されたクロック信号を受信するように意図され、
− 接点ゾーンC4は、目的の利用分野に応じた信号を受信するよう意図され(規格は、将来の利用分野を考慮に入れている)、
− 接点ゾーンC5は、GND(またはVss)と記されたグランド電圧を受入れるよう意図されており、
− 接点ゾーンC6は、VPPと記されたメモリーカードのプログラミング用電圧を受入れるよう意図されており、
− 接点ゾーンC7は、データ交換入/出力信号を受信するよう意図されており、
− 接点ゾーンC8は、目的とされる利用分野に応じてゾーンC4と協働するよう意図されている。
【0004】
接点ゾーンC4およびC8は、過去においては常に使用されていたわけではないが、特にUSB通信またはSPI通信のために使用される頻度が高くなってきている。
【0005】
実際、ISO規格7816の最新版(7816−2&10&12版)では、パッドC4が、リセット、書込みまたは読取り機能、あるいはUSB機能向けのD+端子機能を有することができ、一方パッドC8はUSB機能向けのD−端子機能を有することができる、ということが明記されている。
【0006】
ISO規格7816は、さらに、さまざまな接点ゾーンの相互位置ならびにこれらの接点ゾーンの最小の大きさ、すなわち幅2mmおよび高さ1.7mmを定めている(慣例上、パッドは、(丸味を帯びたコーナーを伴う全体的に矩形の形状を有する)支持フィルムの短辺近くに、垂直方向の列で配置されている)。
【0007】
チップカードは、このようなモジュールを収容するために内部にキャビティが設けられている本体を有する。ISO規格7816は、同様に、このようなカード本体内部でのこのようなモジュールの構成についても明記している。
【0008】
このカード本体は、同様に規格化された複数のフォーマットを有することができる。こうして、以下の呼称で知られている標準化された3つの重要なフォーマットが使用される(特にETSI規格TS102221、ISO規格7816を参照のこと)。
− 長さ85.6mm、幅54mmおよび厚み0.76mmのID−1。このフォーマットは、1FF(「第1フォームファクター」の略)と呼称される場合がある。
− 長さ25mm、幅15mmおよび同じ厚み0.76mmのID−000(プラグインUICCまたはSIM GSM(登録商標)カードとも呼ばれる)。このフォーマットは、2FF(第2フォームファクターの略)と呼称される場合がある。
− 長さ15mm、幅12mmおよび同じ厚み0.76mmのMini−UICC(新SIMカードと呼ばれる場合もある)。このフォーマットは、3FF(第3フォームファクターの略)と呼称される場合がある。
【0009】
長さおよび幅の概念は、マイクロ回路の配向を基準にして定義されるという点を明記しておかなければならない。
【0010】
チップカードは小型化の傾向にあり、さらに一層小さい第4のフォーマットが話題になり始めており、これは4FFと呼称されるはずである。
【0011】
ただし、この小型化アプローチは、上述の規格を可能なかぎり長期にわたり遵守することが望まれているという事実、そして、常に増大する数の機能をチップカードに付与することを望むことでモジュールの背面に固定されるべきコンポーネントの小型化が著しく妨げられるという事実による制限を受けている。
【0012】
その上、チップカード内に埋込まれる機能をこのように増やそうとすることは、ISO規格7816によって定義されている8つの接点ゾーンを超えて、接点パッド数を増大させたいという願望をもたらす。
【0013】
こうして、欧州特許第0409141号(EP−0409141)(東芝)から、通常のゾーン列と重複してあるいはそれらと代替する形で追加の接点ゾーンを配置する原理が公知である。
【0014】
同様に、国際公開第2000/043951号(WO−2000/043951)(Bull他)から、下にある回路に接続されるよう意図された2つの接点ゾーン列を有する構成において、2つの接点ゾーンがこれらの2つの接点ゾーン列の間に配置され、カード本体内に配置されたアンテナに接続されるよう意図されている構成が公知である。
【0015】
さらに、米国特許第6634565号(US−6634565)(Gray)から、ISO規格7816に適合する2つの接点ゾーン列の間に、追加の入/出力接続または追加の機能を可能にするよう意図された中央接点ゾーン列を配置する原理が公知である。電子コンポーネントのフリップチップ実装と組み合わせて、モジュールのフィルムの背面上に配置されたプリント回路の適切な設計により、通常の接点ゾーン列の間に配置された空間を利用してそこに追加の接点ゾーンを配置することが可能になる。
【0016】
さらに、欧州特許第1816593号(EP−1816593)(Axalto)から、接点パッドの平行な2つの列と、これらの2つの列の間に設置され、これらの列のうちの1つの列の1つのパッドの延長部分内でこれらの列から等距離のところに位置する中線の方向に延在しかつこの中線を超えることのない少なくとも1つの追加の接点パッドとを有し、こうして従来のカード読取り装置との良好な整合性が可能となっている、チップカードコネクタが公知である。
【0017】
さらに、米国特許出願公開第2010/038438号(US−2010/038438)(Kim他)から、多様な電子コンポーネントとの間での容易な接続を可能にする複雑な幾何形状の接点パッド構成が公知である(ここには、ISO規格7816に適合した接点パッドのみならず、2つの接点パッド列セットの外側に配置されたアンテナ式接続向けの追加のパッドも存在する)。
【0018】
より機械的なアプローチ(特に追加の接点ゾーンの獲得を目的としない)によると、米国特許第6054774号(SU−6054774)(Ohmori他)から、2つの接点ゾーン列の間に、隔離されたまたはこれらのゾーンの1つに連結された1つまたは2つのゾーンを配置して、ゾーンセットを横断する全てのラインが必然的にそれらのうちの1つを横断するようにし、こうして全体の剛性に寄与するという原理が公知である(接点ゾーンの構成は特定の規格にしたがうことを目指していると思われない)。
【0019】
引用した文書のいずれも、現行の規格によって定められている構成の制約条件を可能なかぎり遵守しようとしながら、モジュールの大きさを減少させることを勘案していないという点を指摘しておくべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、ISO規格7816などの規格によって定められた制約条件を可能なかぎり遵守し、付帯的に優れた機械的強度に有利に作用しながら、3FFフォーマットを超える縮小を可能にするチップカードモジュールを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、この目的で、支持フィルムを有するチップカード用マイクロ回路モジュールであって、このフィルムは、第1の面上に外部要素と接触するよう適応された8つの接点パッドと、第2の面上に支持フィルムを通して接点パッドが接続される接続端子を有する電子コンポーネントと、を有し、これらの8つの接点パッドは、3つの接点パッドからなる2つの平行な列と、これらの列の間に位置づけされた他の2つの接点パッドで配置され、これらの接点パッドの列は、それぞれ支持フィルムの同じ方向に平行に配列されることによって、列のうちの一方の接点パッドがそれぞれ該方向を横断して列のうちの他方の接点パッドに対面し、他の2つの接点パッドは、それぞれ、列のそれぞれの端部を形成する接点パッドに近接して位置づけされ、接点パッドは、それぞれ、上記方向に平行に少なくとも1.7mmの大きさと、この方向を横断して少なくとも2mmの大きさと、を有し、2つの平行な列の接点パッドは、ISO規格7816においてC1〜C3およびC5〜C7と記されたパッドに関してこの規格の配置を遵守し、8つの接点パッドは、全体で支持フィルムの各辺に沿っている、マイクロ回路モジュールを提案している。
【0022】
ここで、支持フィルムと呼ばれているものは、場合によって、絶縁基板、ステッカー(vignette)または可撓性小プレートとも呼ばれるという点を指摘しておきたい。
【0023】
8つの接点パッドが全体で支持フィルムの各辺に沿っているというのは、各パッドが、これらのパッド間の間隔と同じ規模の距離だけこのような縁部から離れて位置していることを意味する。換言すると、8つの接点パッドは、それらの外周が支持フィルムの各縁の直近に位置する短形を形成するような構成を有している。こうして、支持フィルム上の接点パッドの外形の大きさは、支持フィルムの表面のほぼ全て(少なくとも80%、さらには90%)を占める。
【0024】
したがって、本発明は、ISO規格7816の多くの幾何学的規定を保持しながら、4つの接点ゾーンの列というこの規格が課している従来の配置を放棄することを教示している。確かに、規格は、(この規格にしたがって)C4およびC8と記された接点パッドを「将来の」応用に強く関連づけていたため、中にはこれらのパッドをオプションとみなすことができると考えた者もいた。こうして欧州特許第1819593号(EP−1819593)は、非常にあいまいな形でそれを企図しているが、追加のパッドを付加しながらいわゆるオプションのパッドを削除する原理の正当化を全く提供していない。この件に関しては、推奨される追加のパッドの数の例において、この文書が1、3または4個に言及しているものの2という数には言及していないことを指摘することができる。しかしながら、3つの接点パッドからなる2列のみを伴うこのような構成は、パッドC4およびC8の役割を有する他のパッドと組合せた形では公知ではない。実際、本発明は、一方ではC1〜C3、他方ではC5〜C7という3つのパッドからなる列の間で、パッドC4およびC8を特定の方法で移動させることを教示しているとみなすことができる。
【0025】
このような配置により、モジュールに対し、現在の8つの接点パッドモジュールよりもコンパクトな形状を付与し、しかもこれらの接点パッドの個別の表面を縮小する結果とならないようにすることができる、ということが分かる。その結果、本発明は、ISO規格7816の大部分を遵守しながらモジュールの大きさの削減を可能にし、こうして、製造に関する現在の多数の実践的慣行を保持しながら、このようなモジュールを有するチップカードのサイズの縮小を企図できるようにする。
【0026】
その上、たとえISO規格7816の多くの規定から逸脱するとしても、当業者であれば、接点パッドを移動させるのではなく、むしろ相似変換プロセスによって接点パッドの表面積を削減することを意識的に考慮したはずである。
【0027】
それでも、本発明によると、接点パッドのサイズを縮小させないという事実には、モジュールサイズを縮小する場合であっても、現在の製造プロセスに比べてコンポーネントの取付け作業における精度の制約を増大させないという利点がある。
【0028】
チップカードを小型化するという現在の傾向と組み合わせて、3FF、さらにはそれより大きい現在のフォーマットとの整合性を可能なかぎり保証する必要性が強く感じられるという点を付加することができる。この点に関して、本発明により教示されている構成が、GSMカードのフォーマットを管理するETSI規格102221v8.20に適合していることを指摘しておくことが有利である。
【0029】
好ましくは、コンポーネントは、フリップチップ式で取付けられ、支持フィルムは、他方の面上に、それぞれ支持フィルムを通して8つの接点パッドに接続され、コンポーネントの接続端子に対面し固定されている接続パッドを有する導電性トラックを有する。
【0030】
モジュール内のコンポーネントのフリップチップ実装は、ワイヤボンディングと呼ばれるワイヤ接続式取付けよりもかなり頻度が低いという点を指摘しておくことが重要である。これは、このワイヤボンディングが、後に固定されるべき電子コンポーネントの幾何形状とは独立して支持フィルムをその接点パッドと共に調製できるようにし、こうして非常に高い加工個数が可能となり、ワイヤ接続内のパラメータを変更するだけでコンポーネントのタイプを変更できるという大きな利点を有するからである。これに対して、フリップチップ実装の場合には、トラックに関しては将来の電子コンポーネントの接続端子の幾何形状を考慮しなければならないことから、モジュールの生産の早い段階での支持フィルムの特殊化が関与する。さらに、こうして大部分の場合において、コンポーネントの取付けがワイヤ接続で行なわれることから、これらのコンポーネントの接続端子の構成は、このタイプの取付けを容易にするようにそのメーカーによって選択される。ただし、この構成は、フリップチップ実装のために支持フィルムの背面上に有すべきトラックの設計を複雑なものにする(このとき、コンポーネントは、ワイヤ接続式取付けとは逆転させた状態で取付けられる。こうして、当業者であればひと目見て、ワイヤ接続を保存することを可能にするのであれば4つのパッドからなる平行な2列でモジュールの8つの接点パッドの配置を維持しようとする傾向にあったことが分かる。
【0031】
実際、接点パッドの配置は、その各々が支持フィルムの縁部の近位にくるようなものであることから、こうして各接点パッドは、コンポーネントにより被覆されておらずかくしてワイヤ接続式取付けのために利用可能である後方ゾーンと支持フィルムを通して対面した状態となるために、ワイヤ接続による取付けを維持することは可能であったはずである。しかし、フリップチップ実装は、厚みにおいて優れたコンパクト性をモジュールについて可能にする。
【0032】
コンポーネントは、唯一その接続端子とフィルムの背面上に対面して位置づけされた接続パッドとを通して支持フィルムに固定されるように企図されてもよい。ただし、電気接続により確保されるこの機械的結合は、この支持フィルムとコンポーネントの面との間の空間を充填する挿入材料によって補完することが好ましい(この材料は従来、アンダーフィラーと呼ばれる)。それ自体公知の通り、この材料は必要性に応じて、電気絶縁性または導電性(異方的に、唯一電気結合に対し平行に)であってよい。このような挿入材料の存在が、コンポーネントの場所におけるモジュールの優れた剛性を保証するのに寄与することが分かる。
【0033】
好ましくは、支持フィルムは、その第1の面上に、このフィルムを通してコンポーネント全体に対面する補強ゾーンを有している。こうして将来のチップカードに加えられる可能性のある応力がコンポーネントまたはモジュール内でその固定を曲げにより劣化させる危険性が全くなくなることから、このことには機械的観点から見て重要な利点がある。モジュールおよびチップカードの小型化アプローチの中で、モジュールがチップカードの表面積の最も大きい部分を占める傾向にあるということを理解すべきである。実際の製造においてカードは、破壊可能な結合を破断することでその後分離されるより大きな本体の内部で製造されることから、この小型化によって、これらの分離応力の適用の際にモジュールが大きな外力を受ける可能性が増大することになる。
【0034】
有利には、支持フィルムの第1の面上に配置された接点パッドは、金属層内に形成され、補強ゾーンは接点パッドと同じ厚みおよび同じ組成を有する。こうして、接点パッドは従来、金属層の厚み全体にわたるエッチングにより画定されていることから、この補強ゾーンの形成は好ましくは同時にかつ同じ方式で行なうことができる。接続パッドのこの画定作業には、接続パッドの厚みに比べて補強ゾーンの厚みを増大させるような形で補足部分を形成する段階が随伴していてよいという点を指摘しておくべきである。
【0035】
本発明の一実施形態によると、補強ゾーンは、前記他の接点パッドの1つと一続きになっている、すなわち、補強ゾーンとこのパッドは、中断無く互いの中に延長され得る。変形形態では、補強ゾーンは、列の1つの接点パッドのうちの1つ、例えばアースを形成するパッドと一続きになっていてよい(補強ゾーンとこのようなパッドの間の機械/電気的接続は、直角ゾーンまたは丸味を帯びたゾーンによって行なわれ得る)。しかしながら、好ましくは、補強ゾーンは、接点パッドのそれぞれに対して電気的に絶縁されている。実際には、このような電気的絶縁に随伴して、この補強ゾーンは、(接続パッドまたは補強ゾーンの構成材料によって)被覆されていない支持フィルムの細い帯状物により接点パッドから分離されることになり、その結果、このとき補強ゾーンは接続パッドから機械的に独立し、これらの細い帯状物は容易に曲がるゾーンを形成し、こうして補強ゾーンひいては支持フィルムの他方の側のコンポーネントが必然的に受ける可能性のある曲げ応力を最小限に抑えることに寄与することになる。有利には、補強ゾーンは、支持フィルムの前記方向に対して平行に、接点パッドの列の中央に位置する接点パッドの大きさより(例えば数パーセント)大きく、このことは、上述の機械的強度の利点を可能にしながら、逆にモジュール全体に一定の剛性を付与することに貢献する。
【0036】
有利には、他の2つの接点パッドは、USB通信機能専用であり、これは実用上有利性の増している一つの機能を構成する。
【0037】
3−2−3個のパッドの列での接点パッドの構成は、8つの接点パッドが接続されているコンポーネントの接続端子は、4つの接続端子からなる2つの平行な列に分布しているという事実と全く矛盾しない、という点を指摘しておくべきである。すなわち、これは、本発明の実施には、8つの接点パッドの構成変更にも関わらず、現在のコンポーネント構成の変更が関与しないということに等しい。実際、本発明に係る接点パッドの構成は、接続端子の場所に関し一切制約を課すものではない。
【0038】
本発明は同様に、カード本体を有し、このカード本体内には、電子コンポーネントを収容するよう適応された深い部分を有する1つのキャビティが設けられ、この深い部分は、より浅い周囲部分によって取り囲まれ、モジュールは、この浅い周囲部分にその周囲で固定されている、上述のタイプのモジュールを有するチップカードをも提案している。
【0039】
好ましくは、8つの接点パッドのセットは、この周囲部分に向かい合っている(その結果、キャビティの深い部分は、コンポーネントに比べて、モジュールの支持フィルムに対して平行に、わずかに大きくなる)。こうして、カード本体がモジュールに比べて(支持フィルムに対して平行に)わずかにしか大きくない場合でさえ、チップカードの良好な剛化が可能となる。さらにこのことは、接点パッドとコンポーネントとの間のこのような応力の帰結を支持フィルムの曲げの形で局在化させる効果を有することを理由として、応力付加時、特により大きな支持体からそれを分離する際のカードの機械的強度に貢献する。これは、補強ゾーンが存在しそれが接続パッドから機械的に独立している場合に、特に顕著である。この利点は、コンポーネントがフリップチップ式で取付けられている場合でさえ存在し、その場合、トラックは、この浅い周囲部分と支持フィルムの周囲との間に部分的に挟持されている(これらのトラックは、接点パッドとコンポーネントとの間にある細い帯状部のレベルにおける曲げに耐えることができるよう充分な可撓性を有する)。
【0040】
上述の特徴は、本体の大きさが3FFフォーマットよりも小さい、すなわち15mm×12mmよりも小さいチップカードを実施するために特に有利である(このとき、モジュールはこれらの大きさの80%超(さらには90%超)を占めることができる)。
【0041】
モジュールまたはカードの接点パッドの配置が、このようなモジュールまたはこのようなカードに接続されるように適合させられた読取り装置の接触器の配置の中に、向かい合わせで再び見出されることが分かる。したがって、本発明は、上述の通りのモジュール(さらにはカードの)の少なくとも前記2つの他の接点パッドの少なくとも1つに接続されるように適合された読取り装置をさらに提案している。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明に係る第1のモジュールを有するチップカードの上面図である。
【
図2】コンポーネントおよび接続用トラックが透視で示されている、本発明に係る第2のモジュールを有する他のチップカードの上面図である。
【
図3】
図2のラインA−Aに沿った部分断面図である。
【
図5】圧縮応力が加わった場合の
図2および3のカードの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の目的、特徴および利点は、添付図面に対比して提供される非限定的な一例として記される以下の説明から、明らかになる。
【0044】
これらの図面は、明瞭さを期して、一定の縮尺となっていない。詳細には、モジュールの厚みはその横方向の大きさよりはるかに小さく、特に
図3〜5におけるモジュールの両側に中断ゾーンの存在している理由はここにある。
【0045】
一般に、図には、本発明に適合するチップカードの実施例が表わされており、したがって、これらの例には同じく本発明に係るモジュールが含まれている。
図1に表わされているカードは、全体的に番号100で呼称されており、一方
図2、3および5に表わされているカードは200という番号で呼称され、
図4の変形形態は、先行図で使用されたものに関連して「ダッシュ記号」の添えられた参照番号を有する。
【0046】
より厳密には、各カード100または200は、全体的に矩形の支持フィルムを有するチップカードのためのマイクロ回路モジュールを有し、このフィルムは、
− 第1の面上に外部要素と接触するように適応された8つの接点パッドと、
− 第2の面上に支持フィルムを通して接点パッドが接続されている接続端子を有する電子コンポーネントと、を有する。
【0047】
本発明によると、これらの8つの接点パッドは、3つの接点パッドからなる2つの平行な列とその間に位置づけされている他の2つの接点パッドとで配置されている。これらの接点パッド列は、各々、支持フィルムの同じ方向に平行に配列され、こうして一方の列の各接点パッドがそれぞれ前記方向を横断して他方の列の接点パッドに対面するようになっている。他の2つの接点パッドは、それぞれ、各列の端部を形成する接点パッドに近接して位置づけされている。接点パッドは、各々前記方向に対して平行に、少なくとも1.7mmの大きさを有し、この方向を横断して少なくとも2mmの大きさを有する。平行な2列の接点パッドは、ISO規格7816においてC1〜C3およびC5〜C7と記されたパッドに関してこの規格の規定を遵守している。これらの8つの接点パッドは、全体で支持フィルムの各辺に沿っている。
【0048】
こうして、カード100は、モジュールの外部面と呼ばれる面、すなわちモジュールがカードの内部に取付けられ固定された場合に外部から目に見える支持フィルムの面上に配置された接点パッド103を有する支持フィルム102を有する、101という番号の付されたモジュールを有する。これらの接点パッドは、実際にはカード読取り装置(図示せず)である外部要素と接触するように適応されている。
【0049】
このモジュール101は、モジュールよりわずかに大きいと指摘できる104という番号のカード本体に固定される。
【0050】
支持フィルムの外部面上に支持されている接点パッド103は、ISO規格7816にしたがったモジュールの場合のように、数が8個であるが、これらのパッドのうちの2つに関してはこの規格から逸脱する規定にしたがう(以下参照)。
【0051】
その反対側の面(外部から見えない面)上では、支持フィルムは、支持フィルムを通して接点パッドが接続される接続端子を有する電子コンポーネント(この
図1では見えない)を支持している(これについては、
図2の実施例に関連して以下で説明する)。
【0052】
8つのパッド103は、3つの接点パッドからなる2つの平行な列と2つのパッドからなる1つの中間の列で分布している。
【0053】
前記2つの列の接点パッドは、左側がC1、C2およびC3と、右側がC5、C6およびC7と記されている。これらの接点パッド列は、各々、(
図1では垂直方向である)支持フィルムの同じ方向に平行に配列されており、こうして、一方の列の接点パッドは、前記方向を横断して、他方の列の接点パッドにそれぞれ対面している。換言すると、パッドC1は、垂直方向を横断してパッドC5に対面しており、パッドC2はパッドC6に対面しており、パッドC3はパッドC7に対面している。
【0054】
一方、他の2つの接点パッドは、それぞれ、各列の端部を形成する接点パッドに近接して位置づけされている。8パッドの通常の組合せにおいてパッドC4およびC8が果たすことができると考えられるものと同じ機能を果たすことができる。この類似性を連想させることができるようにC’4およびC’8と記されており、「ダッシュ記号」の添字は、それらがそれでもこのようなパッドC4およびC8と(それらの場所を理由として)完全には同じでないということを表わしている。
【0055】
ここで考慮されている実施例において、パッドC’4およびC’8は、USB通信機能専用であり、これは、ISO規格7816−12の最新版の中で定義されている通りのパッドC4およびC8の用途に適合している。この用途は、これらのパッド上にある記載D+およびD−によって表示されている。
【0056】
8つの接点パッドは各々、前記方向に対し平行に少なくとも1.7mmの大きさを、そしてこの方向を横断して少なくとも2mmの大きさを有する。さらに、2つの平行な列の接点パッドは、ISO規格7816の中でC1〜C3およびC5〜C7と記されたパッドに関してこの規格の規定を遵守している。その結果、8つのパッドはパッドC’4とC’8の場所に関して以外、ISO規格7816の規定を遵守していることになる。
【0057】
これら8つの接点パッドは、全体で支持フィルムの各辺に沿っている。換言すると、8つのパッドの外形の大きさはこの支持フィルムの面積よりもわずかに小さく、8つの接点パッドセットは、3つの接点パッドの縁部がステッカーの各辺に沿うことになる。
【0058】
接点パッドC’4およびC’8が、平行な列のパッド間に存在する離隔距離と同規模(最大2倍程度)の離隔距離を呈することを、指摘することができる。
【0059】
大きさの一例として、接点パッドの内部に表現されている矩形は、ISO規格7816によって規定されている最小の大きさを象徴している。
【0060】
本発明の枠から逸脱することなく、接点パッドC’4およびC’8の表面積を(逆方向に)変動させることができるということが分かる。詳細には(後続する図に関して後で解説する通り)、パッドのうちの1つは、2つの側部の接点パッドの1群の(ステッカーの垂直方向に沿った)外形の大きさに包括的に対応する大きさまで延長可能である。例えば、パッドC’8を、対C2〜C3またはC6〜C7のものと類似する垂直方向の外形の大きさを有するまで延長させることができる。
【0061】
図2は、本発明に係るチップカードのもう1つの実施例、ひいては本発明に係るモジュールのもう1つの実施例を表わす。
【0062】
図1の要素に類似するこの図の要素には、(ISO規格7816が定めるまたはこの規格から演繹される、接点パッドに対し与えられた名称を除いて)、
図1の参照番号から100という数字を加えて演繹される参照番号が割当てられている。
【0063】
こうしてカード200は、モジュールの外部面と呼ばれる面上に配置された接点パッド203を有する支持フィルム202を有する201という番号の付されたモジュールを有しており、このモジュールは、それよりもわずかに大きいものとして指摘できる204という番号のカード本体に固定される。
【0064】
前述の通り、支持フィルムの外部面上に支持された接点パッド103は、数が8個あり、
図1の実施例の場合と同様に、
図1のパッドと同じISO規格7816の規定を遵守して、パッドC’4およびC’8の両側で2つの平行な列C1−C2−C3およびC5−C6−C7の形で分布している。
【0065】
前述の通り、パッドC’4およびC’8は、有利には、USB通信機能専用である。
【0066】
前述の通り、これら8つの接点パッドは、全体で支持フィルムの各辺に沿っている。換言すると、8つのパッドの外形の大きさは、この支持フィルムの面積よりもわずかに小さく、8つの接点パッドセットは、3つの接点パッドの縁部がステッカーの各辺に沿うことになる。
【0067】
その反対側の面(外部から見えない面)上では、支持フィルムは、支持フィルムを通して接点パッドが接続される接続端子を有する電子コンポーネント205を支持している。
【0068】
図1とは異なり、
図2は、接点パッドC’4とC’8との間に位置するゾーンZを示す。
【0069】
この
図2は、支持フィルムを通過する透視図でコンポーネント205ならびにその接続端子206を表わしている。同様に、208という番号で示された端部ゾーン(ここでは拡大され丸味がついている)を有する接続用トラック207を示している。
【0070】
この実施例においては、電子コンポーネントは、実際、フリップチップ式で取付けられている。すなわち、その接続端子206は支持フィルムに対面するコンポーネントの面上に位置づけされており、これらの端子は各々トラック207により接点パッドの下に位置する端部ゾーン208に連結されている。フリップチップ実装に関してそれ自体は公知の方法で、これらの端部ゾーンは、ビア209により、支持フィルムの前面に向き合って位置する接点パッドに連結されている(
図3参照)。周知の通り、これらのビアは、これらの端部ゾーンとこれらの接点パッドとの間の電気的接続を確保するためにメッキされた壁を有する支持フィルムを貫通する穴である。これらの穴は、支持フィルムを貫通するものの接点パッドを貫通しないという意味において、不完全な穴である。
【0071】
部分的に規格にしたがって、
− Vddと呼ばれる端子がパッドC1に接続され、
− RST端子がパッドC2に接続され、
− CLK端子がパッドC3に接続され、
− Vss端子がパッドC5に接続され、
− SWP端子がパッドC6に接続され、
− I/O端子がパッドC7に接続されること、を確認することができる。
【0072】
ISO規格7816から類推して、
・ D+端子はパッドC’4に接続され
・ D−端子はパッドC’8に接続される。
【0073】
接点パッドは3−2−3の接点パッドからなる3つの列で配置されているものの、コンポーネントはその2つの相対する辺に沿って4つの接続端子からなる2つの列という従来の構成を有することができるという点を指摘することができる(実際、コンポーネント上の端子の構成はさほど重要なことではない)。
【0074】
コンポーネントの接続端子と接点パッドの間のワイヤ接続による取付けは、コンポーネントの取付けの1つの代替案であるということを指摘しておかなければならない。
【0075】
有利には、ゾーンZは、それが支持フィルムを通してコンポーネント全体に対面することになるような場所および表面積を有する。
【0076】
このゾーンZは、ここで表わす実施例において、接点パッドの厚みに等しい厚み(
図3参照)を有する。実際、このゾーンZおよび接点パッドの実用的な一実施方法は、支持フィルムの面上に導電性層を形成し、この層をエッチングしてそこに接点パッドとゾーンZを画定することからなる。同様にこのゾーンZのためにより大きな(またはより小さな)厚みを規定することも可能であることが分かる。
【0077】
図5に関して解説される通り、このゾーンZは、コンポーネントに対する補強の役割を有する。
【0078】
図3に示された実施例において、(接続パッド211と呼ばれる)トラックの端部に接続されるコンポーネントの端子は、バンプ210と呼ばれる脚部によって具現されている。
【0079】
それ自体公知の方式で、これらのバンプは、先の細くなった(コンポーネントから減少する断面を有する)形状を有することができ、こうして、取付けのための圧縮応力が加わった際に対応するパッド209の中に進入できるようになっている。
【0080】
この進入だけで、コンポーネントと支持フィルムの背面上に位置するトラック207との間の電気的接続ならびにこのコンポーネントとこの支持フィルムとの間の良好な機械的結合を確保するのに充分であり得る。
【0081】
しかしながら、有利には、さらに、この支持フィルムとそれに対面するコンポーネントの面との間に挟持された状態で、機械的強度を強化する(従来アンダーフィラーと呼ばれる)充填材料212が存在する。このようなアンダーフィラーは、導電性粒子を有することができる。
【0082】
図4は、上述のバンプのみによって、すなわちアンダーフィラーなしで支持フィルムに固定されたモジュールを表わしている。
図3の要素に類似したものであるこの
図4の要素は、この
図4では、
図3のものに由来する参照番号に「ダッシュ記号」を添えたもので呼称されている。
【0083】
図示されていない変形形態(同様にそれ自体公知のもの)においては、電気的接続は、電解バンプすなわち電気分解により形成されほぼ一定の断面を有するという特徴を有するバンプによって行なうことができる。このような場合、アンダーフィラーの存在は、実際、所望される機械的強度を保証するために必要である。
【0084】
図3に示された通り、カード本体204は、接点パッドがこの本体の上部面と同じ平面にくるような形で、モジュールを収容するキャビティを有する。このようなキャビティは従来、深い部分とこの部分をとり囲みそれよりも浅い周囲部分とで形成されている。実際には、中央部分は、コンポーネントを収納するために充分な深さを有し、一方周囲部分は、支持フィルムの周囲を収容し接着剤(あるいは他のあらゆる固定要素)によってそこに連結させるのにちょうど充分なだけの深さを有する。
【0085】
有利には、204Aと記されたこの周囲部分は、ゾーンZには対面せず、8つの接点パッドセットに対面して延在している(換言すると、キャビティの深い部分は、コンポーネントよりもわずかだけ大きい)。
【0086】
図5は、補強ゾーンZの存在の利点を視覚化することを可能にしている。モジュールをそのキャビティの底面に向かって押込む応力が発生した場合、ゾーンZは、一方ではこの応力を支持フィルムの有意な部分上に分布させ、支持フィルムが劣化する危険性を最小限に抑えるという利点を有する。さらに、このゾーンZは、コンポーネントおよび支持フィルムとのその電気的接続部に対して課せられる曲げ応力を最小限におさえるという利点を有し、これは保護に大きな役割を果たす。
【0087】
補足的に接点パッドがキャビティの周囲部分に対面している場合、支持フィルムはキャビティのこの周囲部分に固定されていることから、結果として接点パッドはかなり頑丈にこの周囲部分に固定されることになり、こうしてこの接点パッドに課せられる曲げ応力も最小限になることが理解される。
【0088】
実際、モジュールが受けることになる押込み応力の大半は、補強ゾーンZに対するさまざまな接点パッドを分離する被覆されていない細い帯状部のレベルでの曲げ応力という形で現われる。これらのゾーンは被覆されていないことから、このような曲げ応力に劣化無く耐えるように適応された支持フィルムの最も可撓性の高い部分を構成する。
【0089】
この補強ゾーンZは、(
図3の平面に対して垂直な)3つのパッドからなる列の方向に対して平行に、このゾーンZが間に位置している接点パッドC2およびC6と類似の大きさに比べ有利には少し大きい。このことは、モジュールの剛性および押込みの場合の可撓性のニーズ間の優れた妥協点を確立するのに貢献する。
【0090】
このような押込み応力は、特に、カードが内部に形成されたより大きい支持体からカード本体を分離する瞬間に加えられる。押込み応力は、一本の指先の柔らかい部分によって加えられることもあるが、工具によって加えられることもあり、このことにより優れた機械的強度を確保する配慮が正当化される。
【0091】
モジュールの目に見える面の表面積のほぼ全てが接点パッドおよびゾーンZにより被覆されているという事実には、一定数の外部的攻撃から支持フィルムを保護するという付帯的利点がある、という点を指摘することができる。
【0092】
ゾーンZは、変形形態において、パッドの1つと一続きになっていてもよい。すなわち、ゾーンZは、支持フィルムの目に見える面の中央の部分に向かって中断なく延長される接点パッドの1つ、好ましくはパッドC’4またはC’8の1つによって構成され得る(換言すると、接点パッドを形成する部分と補強を形成する部分の間には境界がない)ということが分かる。このとき、接点パッドとして役立つ部分と補強として役立つ部分との間の可撓性が比較的低いにも関わらず、曲げ応力に対するコンポーネントの保護および機械的補強の役割も同様に得られると考えられる。変形形態においては、ゾーンZは、1つの列の接点パッドのうちの1つ、例えばアースであるパッドC5に連結され得る(このためには、
図2上のパッドC’4の水平方向の大きさを削減するだけでよい)。中間的選択肢は、このゾーンを形成する層の狭窄部をその補強部分と接点パッドを形成する部分との間に設けるというものである。
【0093】
一例として、支持フィルムは、PET、さらにはFR4またはPI製であり、その厚みはおよそ50ミクロン(さらにはそれ以上、例えば50〜100ミクロン)であり得、接点パッドならびに接続用トラックは、銅製で、数ミクロンの厚みを有する。
【0094】
本発明は、3FFと呼ばれるフォーマットより小さい、すなわち15mm×12mmより小さいチップカードの場合に極めて有利であることが分かる。
【0095】
特に、モジュールまたはカードの前記他の接点ゾーンC’4またはC’8の1つに対面して少なくとも1つの接点ゾーンを配置することによって、本発明に係るモジュールまたはカードに接続可能となるようにカード読取り装置の接点ゾーンの構成を適応させることは、当業者にとって理解可能なことである(ニーズに応じて、ゾーンC’4またはC’8のいずれか一方を使用しないこと、あるいは反対に両方を使用することが可能である)。こうして、読取り装置は、少なくとも前記他の接点パッドのうちの少なくとも1つに接続されるように適合される。好ましくは、それぞれが前記他の接点ゾーンの各々に対面する2つの接点ゾーンが存在する。このためには、例えば、接点ゾーンC1〜C3、C5〜C7に接続されるように意図された接点ゾーンの場所を変更することなく、ゾーンC’4に意図された接点ゾーンおよび/またはゾーンC’8に意図された接点ゾーンを移動させるだけで充分であり得る。換言すると、このような読取り装置は、モジュールの複数の接点ゾーンに接続されるように適応された複数の接点ゾーンを有し、読取り装置の接点ゾーンに関係する配置は、ミラー効果により、モジュールの接点ゾーンの配置の結果としてもたらされる。