特許第6054985号(P6054985)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6054985電気エネルギー貯蔵セル、及び、電気エネルギー貯蔵セルを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6054985
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】電気エネルギー貯蔵セル、及び、電気エネルギー貯蔵セルを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/26 20060101AFI20161219BHJP
   H01M 2/30 20060101ALI20161219BHJP
   H01M 2/34 20060101ALI20161219BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20161219BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20161219BHJP
   H01M 2/02 20060101ALI20161219BHJP
   H01M 2/06 20060101ALI20161219BHJP
   H01G 11/76 20130101ALI20161219BHJP
   H01G 11/84 20130101ALI20161219BHJP
【FI】
   H01M2/26 A
   H01M2/30 D
   H01M2/34 B
   H01M10/0585
   H01M10/0587
   H01M2/02 A
   H01M2/06 A
   H01G11/76
   H01G11/84
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-547793(P2014-547793)
(86)(22)【出願日】2012年11月14日
(65)【公表番号】特表2015-507324(P2015-507324A)
(43)【公表日】2015年3月5日
(86)【国際出願番号】EP2012072574
(87)【国際公開番号】WO2013092009
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2014年8月5日
(31)【優先権主張番号】102011089088.2
(32)【優先日】2011年12月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100128587
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 一騎
(72)【発明者】
【氏名】ケスラー、マルティン
(72)【発明者】
【氏名】デーゲ、フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】ティーフェンバッハ、アンディ
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、アレクサンダー
【審査官】 正 知晃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−246007(JP,A)
【文献】 特開2006−261008(JP,A)
【文献】 特開2002−324571(JP,A)
【文献】 特開2010−135340(JP,A)
【文献】 特開2010−080081(JP,A)
【文献】 特開2007−335814(JP,A)
【文献】 特開2002−093402(JP,A)
【文献】 特開2002−075322(JP,A)
【文献】 特開2007−200850(JP,A)
【文献】 特開2000−082486(JP,A)
【文献】 米国特許第05227267(US,A)
【文献】 特開2007−220372(JP,A)
【文献】 特開2003−168627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/02 − 2/08
H01M 2/20 − 2/34
H01M 10/058−10/0587
H01G 11/76
H01G 11/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
面的に互いに平行な複数の第1の電極要素(1)と、
前記第1の電極要素(1)に対して面的に平行に伸び前記第1の電極要素(1)とは直流電気的に分離された、面的に互いに平行な複数の第2の電極要素(2)と、
前記複数の第1の電極要素(1)と電気的に接触する第1の平坦な接触要素(3)と、
前記複数の第2の電極要素(2)と電気的に接触する第2の平坦な接触要素(4)と、
前記第1の平坦な接触要素(3)と電気的に接触し、前記第1の電極要素及び前記第2の電極要素(1;2)に対して面的に平行に伸びる少なくとも1つの第1の平坦な接触式コネクタ(5a)と、
前記第2の平坦な接触要素(4)と電気的に接触し、前記第1の電極要素及び前記第2の電極要素(1;2)に対して面的に平行に伸び、かつ、前記第1の平坦な接触式コネクタ(5a)に対して面的に平行に、隣り合う電極要素(1;2)間の間隔よりも小さい所定のコネクタ間隔を取って伸びる少なくとも1つの第2の平坦な接触式コネクタ(5b)と、
前記第1の平坦な接触式コネクタ(5a)と電気的に接触する第1の極接触子(8)と、
前記第2の平坦な接触要素(4)と電気的に接続され、前記第2の平坦な接触式コネクタ(5b)と電気的に接触し、前記第1の極接触子(8)と平行に案内される第2の極接触子(9)と、を備え、
前記第1の平坦な接触要素(3)は、前記複数の第1の電極要素(1)の一端の全体に対して接触し、前記第2の平坦な接触要素(4)は、前記複数の第2の電極要素(2)の一端の全体に対して接触する、電気エネルギー貯蔵セル(10;20;30)。
【請求項2】
前記電気エネルギー貯蔵セル(10;20;30)は、前記第1の平坦な接触式コネクタ(5a)と前記第2の平坦な接触式コネクタ(5b)との間に配置され前記第1の平坦な接触式コネクタ(5a)と前記第2の平坦な接触式コネクタ(5b)とを互いに直流電気的に分離する第1の絶縁層を更に備える、請求項に記載の電気エネルギー貯蔵セル(10;20;30)。
【請求項3】
前記第1の極接触子(8)及び前記第2の極接触子(9)は平坦に形成される、請求項1又は2に記載の電気エネルギー貯蔵セル(10;20;30)。
【請求項4】
前記電気エネルギー貯蔵セル(10;20;30)は、前記第1の極接触子(8)と前記第2の極接触子(9)との間に配置され前記第1の極接触子(8)と前記第2の極接触子(9)とを互いに直流電気的に分離する第2の絶縁層を更に備える、請求項に記載の電気エネルギー貯蔵セル(10;20;30)。
【請求項5】
前記第1の電極要素及び前記第2の電極要素(1;2)は、電極スタックとして構成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気エネルギー貯蔵セル(10;20;30)。
【請求項6】
前記第1の電極要素及び前記第2の電極要素(1;2)は、螺旋状に巻かれる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気エネルギー貯蔵セル(10;20;30)。
【請求項7】
前記電気エネルギー貯蔵セル(10;20;30)は、前記第1の電極要素及び前記第2の電極要素(1;2)と、前記第1の平坦な接触要素及び前記第2の平坦な接触要素(3;4)と、前記第1の平坦な接触式コネクタ(5a)と、を収容するハウジング(7)を更に備え、
前記第1の極接触子及び前記第2の極接触子(8;9)は、前記電気エネルギー貯蔵セル(10;20;30)の電気接続部として、前記ハウジング(7)から出されて案内される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気エネルギー貯蔵セル(10;20;30)。
【請求項8】
前記第1の平坦な接触要素(3)と、前記第2の平坦な接触要素(4)と、前記第1の平坦な接触式コネクタ(5a)と、という構成要素のうちの少なくとも1つの構成要素は、前記ハウジング(7)の一部として構成される、請求項に記載の電気エネルギー貯蔵セル(10;20;30)。
【請求項9】
面的に互いに平行な複数の第1の電極要素(1)の一端の全体と、第1の平坦な接触要素(3)と、を電気的に接触させる工程(41)と、
前記第1の電極要素(1)に対して面的に平行に伸び前記第1の電極要素(1)とは直流電気的に分離された、面的に互いに平行な複数の第2の電極要素(2)の一端の全体と、第2の平坦な接触要素(4)と、を電気的に接触させる工程(42)と、
前記第1の平坦な接触要素(3)と、前記第1の電極要素及び前記第2の電極要素(1;2)に対して面的に平行に伸びる少なくとも1つの第1の平坦な接触式コネクタ(5a)と、を電気的に接触させる工程(43)と、
前記第1の平坦な接触式コネクタ(5a)と、第1の極接触子(8)と、を電気的に接触させる工程(44)と、
前記第2の平坦な接触要素(4)と、前記第1の電極要素及び前記第2の電極要素(1;2)に対して面的に平行に伸び、かつ、前記第1の平坦な接触式コネクタ(5a)に対して面的に平行に、隣り合う電極要素(1;2)間の間隔よりも小さい所定のコネクタ間隔を取って伸び、前記第2の平坦な接触要素(4)に対して電気的に接触する少なくとも1つの第2の平坦な接触式コネクタ(5b)と電気的に接触して前記第1の極接触子(8)と平行に案内される第2の極接触子(9)と、を電気的に接続する工程(45)と、
を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電気エネルギー貯蔵セル(10;20;30)を製造する方法(40)。
【請求項10】
前記方法(4)は、
前記第1の電極要素及び前記第2の電極要素(1;2)と、前記第1の平坦な接触要素及び前記第2の平坦な接触要素(3;4)と、前記第1の平坦な接触式コネクタ(5a)と、をハウジング(7)内に収容する工程を更に有し、
前記第1の極接触子と前記第2の極接触子(8;9)は、互いに平行に案内され、前記電気エネルギー貯蔵セル(10;20;30)の電気接続部として前記ハウジング(7)から出されて案内される、請求項に記載の方法(40)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギー貯蔵セル、及び電気エネルギー貯蔵セルを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常は、電気エネルギー貯蔵セルから直流電流が取得され、又は、電気エネルギー貯蔵セルに直流電流が供給される。従って、従来公知のエネルギー貯蔵セルの構造は、エネルギー貯蔵セルのオーム内部抵抗、及び、固有のエネルギー密度又は電力密度の最適化を目指して決定される。
【0003】
米国特許公開第2007/0148542号明細書は、例えば、組み込まれた極接触子を介して電極面を介して接続された電極スタックによるバッテリ電極の設計を開示している。
【0004】
米国特許公開第2009/0029240号明細書は、それぞれがバッテリの末端で接触片(Kontakttab)を介して互いに接続された電極コイルを有する円筒形状のバッテリセルを開示している。
【0005】
電気エネルギー貯蔵セルの多くの適用において、総電圧、電圧範囲、エネルギー含有量、又は電力密度のような所望の出力パラメータを設定するために、貯蔵セルは、直列構成又は並列構成でバッテリモジュールへと互いに接続される。このようなエネルギー貯蔵セルから、交流成分が増大した電流が取得される場合には、周波数に依存して、エネルギー貯蔵セルの誘導性の影響が大きくなる。エネルギー貯蔵セルの誘導損失は、電極と、極接続部と、ハウジング内での電極構成と、の損失寄与の個別部分から成る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、高周波数の交流電流の取得に関して損失がより少なく、エネルギー貯蔵セルを使用するシステムの効率を改善するエネルギー貯蔵セルに対する必要性が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある観点によれば、本発明は、面的に互いに平行な複数の第1の電極要素と、第1の電極要素に対して面的に(flaechig)平行に伸び第1の電極要素とは直流電気的(galvanisch)に分離された、面的に互いに平行な複数の第2の電極要素と、複数の第1の電極要素と電気的に接触する第1の平坦な接触要素と、複数の第2の電極要素と電気的に接触する第2の平坦な接触要素と、第1の接触要素と電気的に接触する少なくとも1つの第1の平坦な接触式コネクタと、第1の平坦な接触式コネクタと電気的に接触する第1の極接触子と、第2の平坦な接触要素と電気的に接続された第2の極接触子と、を備えた電気エネルギー貯蔵セルを創出する。
【0008】
他の観点によれば、本発明は、面的に互いに平行な複数の第1の電極要素と、第1の平坦な接触要素と、を電気的に接触させる工程と、第1の電極要素に対して面的に平行に伸び第1の電極要素とは直流電気的に分離された、面的に互いに平行な複数の第2の電極要素と、第2の平坦な接触要素と、を電気的に接触させる工程と、第1の接触要素と少なくとも1つの第1の平坦な接触式コネクタとを電気的に接触させる工程と、第1の平坦な接触式コネクタと第1の極接触子とを電気的に接触させる工程と、第2の平坦な接触要素と第2の極接触子とを電気的に接続する工程と、を有する、電気エネルギー貯蔵セルを製造する方法を創出する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の思想は、電気エネルギー貯蔵セルの駆動時の誘導損失を、内部のセルの誘導性が可能な限り小さいエネルギー貯蔵セルの適切な構造によって低減するということである。このために、エネルギー貯蔵セルの内部の通電導体要素は、一方では、通電導体要素が可能な限り小さな面を包囲し、他方では、電流経路が、電流密度が最大限に均等に分散した状態で可能な限り短くなるように、適切な形態で配置され、従って、エネルギー貯蔵セルの誘導性の内部インピーダンスが最小化される。
【0010】
大きな利点は、特にエネルギー貯蔵セルから高周波の交流電流を取得する際の、損失エネルギーが著しく削減されうることである。特に、インバータ、即ち、電圧を変更するためのバッテリモジュールによって電流供給の変更を迅速に行う所謂バッテリダイレクトインバータ(BDI:Battery Direct Inverter)が組み込まれたバッテリシステムでは、この損失エネルギーの低減は大きな利点である。
【0011】
更なる別の利点は、エネルギー貯蔵セルのエネルギー出力又は負荷放電の遅延が負荷変動の後で最小化されることで、このようなエネルギー貯蔵セルの超高速ダイナミクス(Kurzzeitdynamik)が改善されることにある。これにより有利に、例えばバッファコンデンサのような、他の可能な形態で平滑化を行う構成要素を省略することが可能であり、エネルギー貯蔵セル又はエネルギー貯蔵セルを使用する構成要素の製造コスト及び必要な設置空間を削減することが可能となる。
【0012】
更に、エネルギー貯蔵セルによる誘導損失の部分を予防することによって、電磁両立性(EMV)が改善される。なぜならば、発せられる電磁場が低減されて、隣接する電子部品への干渉の影響が低下するからである。
【0013】
本発明に係るエネルギー貯蔵セルの一実施形態によれば、第1の極接触子と第2の極接触子とは、互いに平行に案内されてもよい。
【0014】
本発明に係るエネルギー貯蔵セルの他の実施形態によれば、第1の平坦な接触式コネクタは、第1の電極要素及び第2の電極要素に対して面的に平行に伸びていてもよい。
【0015】
更なる別の実施形態によれば、本発明に係るエネルギー貯蔵セルは、第2の接触要素と電気的に接触し第1の電極要素及び第2の電極要素に対して面的に平行に伸びる少なくとも1つの第2の平坦な接触式コネクタを更に有してもよい。その際に、第2の極接触子は、第2の平坦な接触式コネクタと電気的に接触してもよい。第2の平坦な接触式コネクタによって、有利に、大きな面を創出することが可能であり、この大きな面を介して、電流が、エネルギー貯蔵セル内で、第1の平坦な接触式コネクタと第2の平坦な接触式コネクタとに沿って平行に流れる。これにより、エネルギー貯蔵セルの電気的な内部抵抗が低減される。更にこれにより、例えば表皮効果のような望まぬ効果の影響が低減される。
【0016】
本発明に係るエネルギー貯蔵セルの他の実施形態によれば、第2の平坦な接触式コネクタは、第1の平坦な接触式コネクタに対して面的に平行に、所定のコネクタ間隔を取って伸びていてもよい。例えば、一実施形態において、所定のコネクタ間隔は、隣り合う電極要素間の間隔よりも小さくてもよい。コネクタ間隔を縮小することによって、エネルギー貯蔵セルの誘導的な内部インピーダンスと関連する、通電導体要素の間の起磁力面を有利に縮小することが可能である。
【0017】
更なる別の実施形態によれば、本発明に係るエネルギー貯蔵セルは、第1の平坦な接触式コネクタと第2の平坦な接触式コネクタとの間に配置され第1の平坦な接触式コネクタと第2の平坦な接触式コネクタとを互いに直流電気的に分離する第1の絶縁層を更に備えてもよい。これにより、所定の間隔を維持した状態で、簡単なやり方で、エネルギー貯蔵セル内部の接触式コネクタ間の電気的遮断を保証することが可能である。
【0018】
本発明に係るエネルギー貯蔵セルの更なる別の実施形態によれば、第1の極接触子及び第2の極接触子は、平坦に形成されてもよい。これには、エネルギー貯蔵セルの入力インピーダンス又は出力インピーダンスが小さいという利点がある。
【0019】
更なる別の実施形態によれば、本発明に係るエネルギー貯蔵セルは、第1の極接触子と第2の極接触子との間に配置され第1の極接触子と第2の極接触子とを互いに直流電気的に分離する第2の絶縁層を更に備えてもよい。この第2の絶縁層は、第1の絶縁層と一体に構成されてもよく、所定の極接触子間隔を維持した状態で、簡単なやり方で極接触子間の電気的遮断を保証する。
【0020】
本発明に係るエネルギー貯蔵セルの更なる別の実施形態によれば、第1の電極要素及び第2の電極要素は、電極スタックとして構成されてもよい。本発明に係るエネルギー貯蔵セルの代替的な実施形態によれば、第1の電極要素と第2の電極要素とは、螺旋状に巻かれてもよい。これにより、円筒形状の捲回型セル(Wickelzelle)又はポーチセルのような、流通している様々な貯蔵セルの形状のために、誘導性の内部インピーダンスが小さいエネルギー貯蔵セルを実現することが可能である。
【0021】
更なる別の実施形態によれば、本発明に係るエネルギー貯蔵セルは、第1の電極要素及び第2の電極要素と、第1の接触要素及び前記第2の接触要素と、第1の接触式コネクタと、を収容するハウジングを更に備えてもよい。その際に、第1の極接触子及び第2の極接触子は、エネルギー貯蔵セルの電気接続部としてハウジングから出されて案内されてもよい。
【0022】
本発明に係るエネルギー貯蔵セルの更なる別の実施形態によれば、第1の接触要素と、第2の接触要素と、第1の接触式コネクタと、という構成要素のうちの少なくとも1つの構成要素は、ハウジングの一部として構成されてもよい。これにより、エネルギー貯蔵セルを、有利な形態によりコンパクトに、機械的に安定させて、外界に対して直流電気的に分離して形成することが可能である。
【0023】
本発明の実施形態の更なる別の特徴及び利点は、添付の図面に関連する以下の明細書の記載から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る電気エネルギー貯蔵セルの概略図である。
図2】本発明の更なる別の実施形態に係る電気エネルギー貯蔵セルの概略図を示す。
図3】本発明の更なる別の実施形態に係る電気エネルギー貯蔵セルの概略図を示す。
図4】本発明の更なる別の実施形態に係る電気エネルギー貯蔵セルの概略図を示す。
図5】本発明の更なる別の実施形態に係る電気エネルギー貯蔵セルを製造する方法の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の意味における電気エネルギー貯蔵セルは、所定の期間に渡って電気エネルギーを蓄え、更なる別の期間に渡って当該電気エネルギーを再び出力することが可能な全ての装置を含む。その際に、本発明の意味におけるエネルギー貯蔵セルは、全ての形態による二次的エネルギー貯蔵器及び一次的エネルギー貯蔵器を含み、特に、電気容量的な貯蔵器、電気化学的(ファラデー的、faradaysch)貯蔵器、及び、これらが組み合わさって機能するタイプの貯蔵器を含む。その際に、検討される期間は、数秒から数時間、数日、数年を含んでもよい。電気エネルギー貯蔵セルは、例えば、リチウムイオンセル、リチウムポリマーセル、ニッケル・メタルハイドライドセル、ウルトラキャパシタ、スーパーキャパシタ、パワーキャパシタ、BatCap、蓄電池(鉛、亜鉛、ナトリウム、リチウム、マグネシウム、硫黄、又は、他の金属、元素、若しくは合金を使用)、又は、類似したシステムを含んでもよい。その際に、本発明が内包する電気エネルギー貯蔵セルの機能は、水性電解質、非プロトン性電解質、又は高分子電解質と組み合わされた挿入電極、反応性電極、合金電極に基づいてもよい。
【0026】
その際に、本発明の意味における電気エネルギー貯蔵セルの構造は、例えば、角柱形状、円筒形状又は所謂「ポーチ」(Pouch)形状のような様々な外形の構造形態、及び、例えば、巻回された構造、積み重ねられた構造、折り畳まれた構造、又はその他の構造のような、様々な電極構造を含んでもよい。
【0027】
本発明の意味における電極要素は、導電性の様々な材料、例えば金属材料で製造されてもよい。本発明の意味における電極要素は、層状に積み重ねられてもよく、三次元的に充填されてもよく、及び/又は、大きな活性表面を有して製造されてもよい。その際に、平坦な電極要素は、貯蔵器の技術に応じて様々な寸法を有してもよく、例えば、電極要素の厚さは、数μmから数mmであってもよい。電極要素は、折り畳まれてもよく、積み重ねられてもよく、又は巻回されてもよく、電極要素を互いに直流電気的に分離する絶縁層又は分離層を、電極要素の間に形成することが構想されうる。両極性の形態による電極要素を構成するということも可能でありうる。電極要素の平坦な形状は、正方形、長方形、円形、楕円形、又は任意の他の形状により構成されてもよい。
【0028】
図1は、電気エネルギー貯蔵セル100の概略図を示す。エネルギー貯蔵セル100は、面的に互いに平行な複数の第1の電極要素1と、第1の電極要素1に対して面的に平行に伸び第1の電極要素1とは直流電気的に分離された、面的に互いに平行な複数の第2の電極要素2と、を備える。電極要素1及び電極要素2は、例えば、導電性材料から成る平坦な層であって、くし形状の構造により面的に(flaechig)互いに噛み合った上記平坦な層であってもよい。層状の電極要素のテープが巻回され又は折り畳まれることにより、電極要素1及び電極要素2が、図1に示されるように交互に重ねられた形態になっているということも可能でありうる。例えば、第1の電極要素1及び第2の電極要素2は、電極スタックとして形成されてもよい。代替的に、第1の電極要素1及び第2の電極要素2は、螺旋状に巻かれていてもよい。その際に、電極要素1と電極要素2とを互いに関連させて配置するための選択肢は種々あり、構成の選択は、利用される貯蔵器の技術、エネルギー貯蔵セル100の外形に関する限定条件、及び/又は、エネルギー貯蔵セル100の実現すべき電気的特徴に依存しうるということは明確であるべきであろう。例えば、エネルギー貯蔵セル100の内部容積が最大限に利用されるように電極要素1及び電極要素2を配置することは有利でありうる。
【0029】
エネルギー貯蔵セル100は、複数の第1の電極要素1と電気的に接触する第1の平坦な接触要素3を有する。同様に、複数の第2の電極要素2と電気的に接触する第2の平坦な接触要素4が設けられる。接触要素3及び接触要素4は、例えば、面的に互いに平行な層の対向するサイドで電極要素1又は電極要素2と接触する、導電性材料から成る平坦なテープ又は層であってもよい。このような形態の接触によって、効果的な電力経路のための最小の長さ、及び/又は、電極要素1又は電極要素2の層構造に渡る最大限に均等な電流密度が得られる。接触要素3及び接触要素4の面的な接触は、例えば、電極要素1又は電極要素2との溶接処理、噴霧処理、スパッタリング処理、又は接着処理によって実現されてもよい。代替的に、電極要素1及び電極要素2、並びに、接触要素3及び接触要素4の形状を構成するために、しっかりした外面を有する三次元的に充填された特別な構造を使用してもよい。その際に、余剰の電流経路を予防するために、電極要素1又は2の各層の垂直方向の伸長を超える接触要素3及び接触要素4の突出を可能限り小さく抑えることが構想されうる。
【0030】
図2は、エネルギー貯蔵セル10の概略図を示す。エネルギー貯蔵セル10は、第1の接触要素3と電気的に接触し第1の電極要素1又は第2の電極要素2に対して面的に平行に伸びる第1の平坦な接触式コネクタ5aが設けられるという趣旨で、図1のエネルギー貯蔵セル100とは異なっている。第1の平坦な接触式コネクタ5aは、例えば、導電性材料から成る層であって、電極要素1と直接的には直流電気的に接触していないが、第1の接触要素3を介して電極要素1と間接的に直流電気的に接触する上記層であってもよい。その際に、第1の接触要素3と第1の平坦な接触式コネクタ5aとは、別々の構成要素で構成されてもよく、例えば、電気的に互いに接続された2個以上の構成要素を有する調整された導線区間(Leitungsstrecke)で構成されてもよい。エネルギー貯蔵セル10は、第1の平坦な接触式コネクタ5aと電気的に接触する第1の極接触子8を更に有する。同様に、第2の平坦な接触要素4と電気的に接続された第2の極接触子9が設けられる。第1の極接触子8と第2の極接触子9とは、互いに平行に案内される。第1の極接触子8と第2の極接触子9とは、例えば、層領域6内で互いに平行に案内される平坦な層又は平らな層状要素を有してもよい。第1の極接触子8と第2の極接触子9との間には、例えば、第1の極接触子8と第2の極接触子9とを直流電気的に分離する第1の絶縁層(図示せず)が配置されてもよい。これは、例えば、気体区間(Gasstrecke)であってもよいが、固体絶縁層を利用することを構想してもよい。
【0031】
図2に示される構成要素は、図2で示されるエネルギー貯蔵セル10の投影面(Zeichenebebe)へと、面的に互いに平行に、奥に向かって伸びていてもよい。このことは、例えば、エネルギー貯蔵セル10の全幅に渡って生じてもよく、その際に原則的に、極接触子8又は9の部分範囲のみを、面的に重ねて奥に向かって案内するということが可能であってもよい。その際に、極接触子8と極接触子9とは、エネルギー貯蔵セル10の予め定められた区間内で、外に向かって案内されてもよい。エネルギー貯蔵セル10は、第1の電極要素1及び第2の電極要素2と、第1の接触要素3及び第2の接触要素4と、第1の接触式コネクタ5aと、を収容するハウジング7を有してもよい。その際に、第1の極接触子8及び第2の極接触子9は、エネルギー貯蔵セル10の電気接続部として、ハウジング7から出されて案内されてもよい。例えば、第1の極接触子8と第2の極接触子9とは、又は代替的に、この2つの第1の極接触子8と第2の極接触子9とのうちの少なくとも1つは、ハウジング7に対して電気的に絶縁されてもよい。ハウジング7が導電性材料から成り又は少なくとも導電性の部分領域を有する場合には、この2つの第1の極接触子8と第2の極接触子9とのうちの少なくとも1つをハウジング7と接触させるということが可能であってもよい。ハウジング7が絶縁材料、例えばプラスチックから成る場合には、第1の極接触子8と第2の極接触子9との両方が直接的に、即ち、更なる絶縁無しに、ハウジング7のハウジング壁を貫通して案内されてもよい。
【0032】
その際に、例えば、エネルギー貯蔵セル10の内部に存在する構成要素の少なくとも1つを、ハウジング7の一部として構成することが可能であってもよい。例えば、ハウジング7は、電極要素1及び電極要素2の上方の領域の部分領域内に導電性を有して形成されてもよく、従って、例えば、別体の第1の接触式コネクタ5aの代わりに、ハウジング7の一部としての第1の接触式コネクタ5aが形成されてもよい。類似したやり方で、例えば、ハウジング7の側面に隣接する層領域6内で、1個以上の極接触子8又は9を形成するためにハウジング7の部分領域を利用することが可能である。その際には、エネルギー貯蔵セル10全体の機能を保証するために、ハウジング7自体が、対応する導電性の部分領域間で、直流電気的に十分な絶縁を有することに注意されたい。
【0033】
図3は、電気エネルギー貯蔵セル20の概略図を示している。エネルギー貯蔵セル20は、第2の接触要素4と電気的に接触し第1の電極要素1及び第2の電極要素2に対して面的に平行に伸びる第2の平坦な接触式コネクタ5bが設けられるという趣旨で、図2のエネルギー貯蔵セル10とは異なっている。その際に、第2の極接触子9は、第2の平坦な接触式コネクタ5bと電気的に接触する。第2の平坦な接触式コネクタ5bは、第1の平坦な接触式コネクタ5aに対して面的に平行に、所定のコネクタ間隔を取って伸びている。例えば、所定のコネクタ間隔は、隣り合う電極要素1と電極要素2との間の間隔よりも短くてもよい。対応して、接触式コネクタ5aと5bとを直流電気的に互いに分離する第2の絶縁層(図示せず)が、第1の平坦な接触式コネクタ5aと第2の平坦な接触式コネクタ5bとの間に配置されてもよい。
【0034】
極接触子8及び極接触子9は、エネルギー貯蔵セル20のハウジング7から出されて、互いに平行に案内される。例えば、極接触子9と第1の平坦な接触式コネクタ5aとの間の対応する直流電気的な絶縁を保証しうるために、第2の平坦な接触式コネクタ5bを、電気的に絶縁させるように(elektrisch isoliert)貫き通す(durchstossen)ことが必要となる可能性がある。極接触子8及び極接触子9は、例えば、互いに所定の極接触間隔を取った平坦な層状要素、テープ、又は導線であってもよい。この場合、極接触子8及び9は、ハウジング7を通る極(Pol)の貫通部(Durchfuehrung)であって、対応するハウジング側面の全長に渡って又は部分領域に渡って引き出されて案内される上記貫通部と見なしてもよい。
【0035】
図4は、斜視図により電気エネルギー貯蔵セル30を概略的に示す。エネルギー貯蔵セル30は基本的に、極接触子8及び極接触子9が、平坦な極コネクタ5a及び平坦な極コネクタ5bのレベルにおいて、分かり易さという理由から示されないエネルギー貯蔵セル30のハウジングから出されて案内されているという趣旨で、図3のエネルギー貯蔵セル20とは異なっている。その際に、極接触子8及び極接触子9は、例えば真ん中に、エネルギー貯蔵セル30の奥行き方向の伸長(Tiefenerstreckung)に沿って配置されているが、極接触子8及び極接触子9を、エネルギー貯蔵セル30の2つの長辺(Breitseite)のうちの一方の方向に移動させることも可能であり、又は、複数箇所で若しくは長辺全体に沿って、極接触子8及び極接触子9を貫通させることも可能である。
【0036】
以上、図1図4は、エネルギー貯蔵セルの実施形態を例示的に示している。その際に、目的に適った構造基準を考慮して変更又は修正を行うことが可能である。一般に、2つの極性の通電要素の間の間隔を、当該通電要素により包囲される活性の起磁力面を最小化するために、可能な限り小さく保つことが有利である。このことは、通電要素の誘導性インピーダンスが、エネルギー貯蔵セルの内部で最小に抑えられることを意味している。更に、電流密度を可能な限り均等に分散させるために、可能な限り大きな面で通電要素を形成することが有利である。理想的には平坦な、電極要素の活性領域にぴったりと隣接する極接触子が、例えば安全性要求又は技術的な必然性のような特定の限定条件下においてのみ可能である場合には、少なくとも、異なる極性の通電要素を互いに小さく間隔をとって結合することを保証することに注意されたい。
【0037】
記載されたエネルギー貯蔵セルを、例えば、好適に、高周波数の交流電流がエネルギー貯蔵セルから取り出されるシステム内で、例えば、駆動周波数が約100Hzを上回るバッテリダイレクトインバータ内で使用することが可能である。このシステム内では、エネルギー貯蔵セルの構造形態に基づいて、高い交流電流周波数による誘導損失を最小に抑えることが可能である。同時に、超高速範囲内でのエネルギー貯蔵セルの応答動作が改善され、これにより、システムのダイナミクス(Dynamik)及び信頼性が著しく改善される。
【0038】
一般に、エネルギー貯蔵セルは、駆動周波数がより小さいシステム内での適用のためにも、例えば、切り替えの際に対応して高周波成分を有しうる秒範囲内での分散的な切り替えプロセスを有するシステム内でも有利である。
【0039】
図5は、電気エネルギー貯蔵セル、特に図2図4で概略的に示されたエネルギー貯蔵セル10、20、又は30のうちの1つを製造する方法40が概略的に示されている。第1のステップ41において、面的に互いに平行な複数の第1の電極要素1と、第1の平坦な接触要素3と、が電気的に接触させられる。第2のステップ42において、第1の電極要素1に対して面的に平行に伸び、第1の電極要素1とは直流電気的に分離された複数の第2の電極要素2と、第2の平坦な接触要素4と、が電気的に接触させられる。その際に、第1の接触要素3及び第2の接触要素4を、例えば、溶接処理、噴霧処理、スパッタリング処理、又は接着処理によって電極要素と接触させてもよい。その際に好適に、各接触要素3、4と電極要素1、2との間の接合箇所の電気抵抗は、可能な限り小さく保たれる。
【0040】
面的に互いに平行な第1の電極要素1と第2の電極要素2とは、例えば、各接触要素3又は4との接触の前に、適切なやり方で、所望のセルトポロジに応じて積み重ねられ、折り畳まれ、又は巻回されてもよい。例えば、円筒形状のセルのためには、面的に互いに平行な第1の電極要素1と第2の電極要素2とは、絶縁セパレータ層によって分離されて、所謂「ゼリーロール」(jelly roll)トポロジにおいて、即ち、横断面において異なる電極層又はセパレータ層が順々に交互に入った円筒形状のコイルとして捲き上げられてもよい。代替的に、所謂ポーチセルのためには、面的に互いに平行な第1の電極要素1と第2の電極要素2とを、絶縁セパレータ層を利用して、蛇行状の軌跡を描いて上下に折り畳み、又は層状に重ねてもよい。角柱状のセルを形成するためには、例えば、「レーストラックパンケーキ(racetrack pancake)」トポロジ、又は、「レーストラックダブルパンケーキ(racetrack double pancake)」トポロジを利用することが可能であり、即ち、「レーストラック(racetrack)」形状を獲得するために、即ち、短い(eng)外側の半径部分を介して接続され基本的に平行して伸びるコイル軌道を獲得するために、生成されるコイルの横方向に沿って押し潰し又は圧縮することが可能な、面的に互いに平行な第1の電極要素1又は第2の電極要素2の平坦な螺旋状のコイルを利用することが可能である。
【0041】
第3のステップ43において、第1の接触要素3と、第1の電極要素1及び第2の電極要素2に対して面的に平行に伸びる少なくとも1つの第1の平坦な接触式コネクタ5aと、が電気的に接触させられる。第4のステップ44において、第1の平坦な接触式コネクタ5aと、第1の極接触子8と、とが電気的に接触させられる。最後に、第5のステップ45において、第2の平坦な接触要素4と、第2の極接触子9と、が電気的に接触させられる。その際に、第1の極接触子8と第2の極接触子9とは互いに平行に案内されうる。
【0042】
任意に、ハウジング7への第1の電極要素1及び第2の電極要素2と、第1の接触要素3及び第2の接触要素4と、第1の接触式コネクタ5aと、の収容が行われてもよい。その際に、第1の極接触子8及び第2の極接触子9は、エネルギー貯蔵セルの電気的接続部としてハウジング7から出されて案内されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5