特許第6054991号(P6054991)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6054991
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】射出成形システム
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/17 20060101AFI20161219BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   B29C45/17
   B29C45/26
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-1486(P2015-1486)
(22)【出願日】2015年1月7日
(65)【公開番号】特開2016-124249(P2016-124249A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2015年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】内山 辰宏
【審査官】 長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−086358(JP,A)
【文献】 特開2000−052351(JP,A)
【文献】 特開平11−138583(JP,A)
【文献】 特開2008−132726(JP,A)
【文献】 特開平06−297499(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0244296(US,A1)
【文献】 特開2011−011426(JP,A)
【文献】 特開2008−284778(JP,A)
【文献】 特開2014−036042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型内に挿入された挿入部品と、該金型内に射出される樹脂とで一体になった成形品を成形する射出成形機と、
前記金型内に前記挿入部品を挿入する部品挿入手段と、
前記金型内への樹脂の射出の前に前記挿入部品の検査を行う検査手段と、
該検査手段による前記挿入部品の検査データを出力する検査データ出力手段と、
前記射出成形機の前記成形品のサイクル数に対応させて、前記挿入部品の検査データ及び前記金型内への樹脂の射出に関する物理量を記録する検査データ記録手段と、を有することを特徴とする射出成形システム。
【請求項2】
前記部品挿入手段はロボットであることを特徴とする請求項1記載の射出成形システム。
【請求項3】
前記検査手段は、前記部品挿入手段に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の射出成形システム。
【請求項4】
前記検査手段は、前記挿入部品の重量を計測する重量計測手段を有し、
前記検査データ出力手段は、前記重量計測手段で計測した重量を出力することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の射出成形システム。
【請求項5】
前記検査手段は、前記挿入部品の少なくとも一部の寸法を計測する寸法計測手段を有し、
前記検査データ出力手段は、前記寸法計測手段で計測した寸法を出力することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の射出成形システム。
【請求項6】
前記検査手段は、前記挿入部品の少なくとも一部の画像を取得する画像取得手段を有し、
前記検査データ出力手段は、該取得した画像を出力することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の射出成形システム。
【請求項7】
前記検査手段は、前記挿入部品の表面の生産情報の画像を取得する生産情報取得手段と、該生産情報取得手段が取得した生産情報の画像から数値または文字情報を読み取る情報読み取り手段を有し、
前記検査データ出力手段は、該読み取った数値または文字情報を出力することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の射出成形システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は射出成形システムに関し、特に射出成形機の金型内に挿入部品を挿入し、挿入された挿入部品と一体になったプラスチック成形品を成形する成形システムに関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機によるプラスチック成形品に付加価値を持たせたり、高機能化を図るため、金型内に挿入部品を挿入して、挿入された挿入部品に溶融樹脂を射出して挿入部品と一体となったプラスチック成形品を成形する、いわゆるインサート成形と呼ばれる成形方法が行われている。このインサート成形において、金型内に挿入される挿入部品としては、金属材料やプラスチック材料の部品が用いられている。また、これらの挿入部品を金型内に挿入する作業にロボットが用いられることもある。
【0003】
射出成形において成形品の良否を判別して品質を管理する方法としては、成形品を直接検査して品質を判別する代わりに、成形品を製造する射出成形機が、成形工程中に検出した樹脂圧力の最大値(ピーク圧力)や、成形工程中のスクリュ最前進位置(最小クッション量)、速度、温度等の物理量を検出して間接的に判別したり、成形工程終了後に完成した成形品の重量や寸法等の物理量を検出して成形品の良否を判別することがある。
【0004】
成形品を直接検査する方法としては、成形品の外観をセンサー等で検査したり、人の目によって検査したりする方法があり、物理量を検出する方法としては、圧力、位置、速度、温度等の物理量が許容範囲内か否かによって判別する方法がある。成形品の外観の不良としては、成形品の変色や焼け、シルバーやボイド、ウエルド、フローマーク、気泡、ジェッティング、異物混入などがある。いずれの方法も採用することが可能であるが、一般的には、成形品を直接検査する方法は検査に手間や費用がかかるため、物理量に基づく間接的な検査が用いられることが多い。
【0005】
特許文献1には、金型内に挿入部品を挿入し、挿入された挿入部品に溶融樹脂を射出して成形品を成形するプラスチック成形において、射出成形時の物理量を測定することで良否判定を行う技術が開示されている。
特許文献2には、射出成形機にロボットを搭載し、ロボットによって射出成形機の金型内に挿入部品を挿入する技術が開示されている。
【0006】
特許文献3には、射出成形機において、成形サイクルにおけるサイクル時間、射出時間、混練時間、ピーク射出圧、切換圧力、クッション量等の各種変量を検出して記録する技術が開示されている。
特許文献4には、射出成形機において、外観不良との相関が強い物理量を検出して表示装置に表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−71303号公報
【特許文献2】特開2001−154717号公報
【特許文献3】特開昭61−114832号公報
【特許文献4】特開2013−86358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1,2にはいわゆるインサート成形が開示されており、特許文献1にはその良否判定として射出成形時の物理量を検出することも開示されている。また、特許文献3,4には、インサート成形ではない通常の射出成形において、成形工程時の物理量や、完成した成形品の重量や寸法等の物理量を検出して良否を判定する技術が開示されている。しかしながら、いずれも完成した成形品に関する物理量や、成形工程時の物理量のみを用いて良否の判定をしているため、挿入部品を含めた不良の原因究明が行えないおそれがあった。
【0009】
そこで本発明は、インサート成形を行う射出成形システムにおいて、挿入部品のデータと射出成形時の工程時の物理量を関連づけて不良品の原因究明を行うことができる射出成形システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願の請求項1に係る発明では、金型内に挿入された挿入部品と、該金型内に射出される樹脂とで一体になった成形品を成形する射出成形機と、前記金型内に前記挿入部品を挿入する部品挿入手段と、前記金型内への樹脂の射出の前に前記挿入部品の検査を行う検査手段と、該検査手段による前記挿入部品の検査データを出力する検査データ出力手段と、前記射出成形機の前記成形品のサイクル数に対応させて、前記挿入部品の検査データ及び前記金型内への樹脂の射出に関する物理量を記録する検査データ記録手段と、を有することを特徴とする射出成形システムが提供される。
【0011】
請求項1に係る発明では、挿入部品の検査データと金型内への樹脂の射出に関する物理量が、射出成形機の成形品のサイクル数に対応させて記録されるため、金型内に挿入された挿入部品と金型内に射出される樹脂とで一体になった成形品に不良が発生した場合に、完成品としての不良原因だけではなく、金型内に挿入された挿入部品の検査データも考慮して不良原因の究明を行うことが可能となる。
【0012】
本願の請求項2に係る発明では、前記部品挿入手段はロボットであることを特徴とする請求項1記載の射出成形システムが提供される。
請求項2に係る発明では、部品挿入手段としてロボットを用いることによって、射出動作を行う際の人手の関与を減少させることが可能となる。
【0013】
本願の請求項3に係る発明では、前記検査手段は、前記部品挿入手段に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の射出成形システムが提供される。
請求項3に係る発明では、検査手段が部品挿入手段に設けられるようにすることによって、検査を行った後の金型内への挿入部品の挿入をスムーズに行うことが可能となる。
【0014】
本願の請求項4に係る発明では、前記検査手段は、前記挿入部品の重量を計測する重量計測手段を有し、前記検査データ出力手段は、前記重量計測手段で計測した重量を出力することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の射出成形システムが提供される。
本願の請求項5に係る発明では、前記検査手段は、前記挿入部品の少なくとも一部の寸法を計測する寸法計測手段を有し、前記検査データ出力手段は、前記寸法計測手段で計測した寸法を出力することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の射出成形システムが提供される。
【0015】
本願の請求項6に係る発明では、前記検査手段は、前記挿入部品の少なくとも一部の画像を取得する画像取得手段を有し、前記検査データ出力手段は、該取得した画像を出力することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の射出成形システムが提供される。
本願の請求項7に係る発明では、前記検査手段は、前記挿入部品の表面の生産情報の画像を取得する生産情報取得手段と、該生産情報取得手段が取得した生産情報の画像から数値または文字情報を読み取る情報読み取り手段を有し、前記検査データ出力手段は、該読み取った数値または文字情報を出力することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の射出成形システムが提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、インサート成形を行う射出成形システムにおいて、挿入部品のデータと射出成形時の工程時の物理量を関連づけて不良品の原因究明を行うことができる射出成形システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態を説明するための模式図である。
図2】本発明の実施形態の一例を説明するための模式図である。
図3】本発明の実施形態において、カメラによって生産情報を撮像した様子を示した模式図である。
図4】本発明の実施形態における、記憶手段に記憶されたデータの様子を示した図である。
図5】本発明の変形例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の実施形態を説明するための模式図である。10は射出成形機であり、主として型締装置12と射出装置14とから構成されている。型締装置12には図示しない金型が備えられており、金型内には射出装置14から樹脂が射出され、その後の型閉じ、型締め動作によって成形品が成形される。また、射出成形機10内には、射出成形機10を全体的に制御する制御装置16が設けられており、制御装置16内には記録手段18が設けられている。制御装置16は、図示しない入力手段から入力された設定値と、あらかじめ定められた制御プログラムに基づいて射出成形機を制御している。また、射出成形機10には図示しない種々の検出器が設けられている。検出器としては、金型や射出シリンダの温度を測定する温度検出器、金型内や射出シリンダ内の樹脂の圧力を検出する圧力検出器、射出シリンダ内の射出スクリュの回転位置や回転速度、軸方向の移動位置や移動速度を検出する位置・速度検出器などが設けられており、射出成形機10内の各種物理量が検出されている。各検出器で検出された各物理量は、成形サイクルに対応させて記憶手段18に記憶される。
【0019】
本実施形態における射出成形機10は、金型内に部品を挿入し、部品挿入後に金型内に樹脂を射出することによって、挿入された部品と金型内に射出される樹脂とで一体になった成形品を成形する、いわゆるインサート成形を行っている。
40はこのインサート成形において金型内に挿入される部品であり、部品挿入手段20によって金型内に挿入される。部品挿入手段20としては、一般的に用いられている作業用ロボット等を用いることが可能である。30は部品検査手段であり、32は画像取得装置としてのカメラである。カメラ32と部品検査手段30は接続されており、カメラ32で撮像された部品40の全体または一部の画像を部品検査手段30に送出する。また、部品検査手段30に送出された部品40の画像は、検査データとして射出成形機10の制御装置16に送出される。部品検査手段30と射出成形機10とは通信手段によって接続されており、この通信手段を介して検査データは射出成形機10の制御装置16に送出される。
【0020】
カメラ32で撮像されて部品検査手段30に送出された画像を部品検査手段30において画像処理して、成形品の全体または一部の寸法を計測して、計測した寸法を射出成形機10の制御装置16に送出することもできる。また、寸法の取得方法としては、カメラ32で撮像された画像の処理によらず、図示しない電子式のノギス等を用いて、直接寸法を計測して射出成形機10の制御装置16に送出するようにしてもよい。
【0021】
図2に示されたように、部品40が置かれた台に重量計34を設け、部品40の重量を計測して、計測した重量を部品検査手段30に送出し、部品検査手段30から射出成形機10の制御装置16に送出することもできる。
【0022】
なお、インサート成形において金型内に挿入される部品40の物理量としては、寸法や重量など特定の物理量に限られるものではなく、一体になった成形品の品質に影響するものであれば、部品40に関するどのような物理量であっても良い。例えば、部品40の温度が一体になった成形品のそりや寸法などの形状不良に影響するような場合には、重量計34の代わりに部品40の温度を計測する温度計を設け、計測した温度を部品検査手段30に送出し、部品検査手段30から射出成形機10の制御装置16に送出しても良い。
【0023】
また、図3に示されたように、部品40の表面に記されたロット番号や生産日時などの生産情報の情報を、カメラ32によって取得し、取得された画像を部品検査手段30において画像処理装置等を用いて読み取り、読み取った数値や文字情報を射出成形機10の制御装置16に送出することもできる。
【0024】
このようにして、部品検査手段30から射出成形機10の制御装置16に送出された部品40の検査データは、制御装置16内の記録手段18において、図4のようにテーブル形式で記憶される。一番左の列は射出成形機10の成形サイクル数を示しており、それぞれの成形サイクル数に対応して、射出成形機における樹脂の射出に関する物理量と部品の検査データが記憶されている。射出成形機における樹脂の射出に関する物理量としては、すでに説明したように射出成形機に設けられた図示しない検出器で検出された各種物理量がある。本実施形態においては、例として物理量1としてピーク圧力の値、物理量2として最小クッション量の値を記憶した例を示している。
【0025】
なお、射出成形機の樹脂の射出に関する物理量としては、前述したピーク圧力や最小クッション量のように射出工程のみで計測される物理量のみを指すのではなく、保圧工程を含む樹脂を金型内に充填する工程を広義の射出工程とし、射出工程中の樹脂圧力、スクリュ位置、スクリュ速度、射出時間、計量時間などが含まれる。さらには射出の準備段階として所定の樹脂を計量する計量工程における樹脂圧力、スクリュ位置、スクリュ速度、スクリュ回転速度、スクリュ回転トルク、計量時間など、あるいは射出時の樹脂の溶融状態に関連する金型温度、ノズル温度、シリンダの温度など射出成形機で計測される様々な物理量が含まれる。
【0026】
部品検査データとしては、部品の重量、寸法、画像と、ロット番号や生産日時等の生産情報が記憶されている。本実施形態においては、重量、寸法、画像、生産情報がいずれも記憶されているが、これらのうちのいずれかの情報のみであってもよい。
【0027】
射出成形機10においては、図示しない画像検査装置で撮像された画像をもとにした画像解析や、人の目による目視によって成形サイクルごとに成形品の良、不良が判別される。そして、成形品に不良が発生した場合には、図4のように記憶された物理量や検査データと対応させることによって、不良品が発生した際の、射出成形機の物理量や、挿入された部品の検査データを取得することができる。良品のときの射出成形機の物理量や、挿入された部品の検査データと比較することによって、完成品としての不良原因のみならず、射出成形機の物理量や、挿入された部品の検査データを考慮した不良原因の究明が可能となる。部品検査データの生産情報については、ロット番号や生産日時等の生産情報に基づいて、部品を挿入して成形した際の品質情報を追跡して調査することができる。
【0028】
図5は、本実施形態の変形例を示した図である。本変形例においては、部品検査手段30と部品挿入手段20が一体となっている点が、先の実施形態と異なっている点である。それに伴い、部品検査の手法としても、部品挿入手段20としてのロボットが、部品40を把持した際にロボットを駆動するモータに生じた負荷を計測して、計測した負荷によって部品40の重量を計測することもできる。また、ロボットにカメラ32を取り付けて、部品40の画像を取得したり、取得した画像から部品40の一部または全体の寸法を計測したり、部品40の表面に記された生産情報を読み取るようにすることもできる。
【符号の説明】
【0029】
10 射出成形機
12 型締装置
14 射出装置
16 制御装置
18 記録手段
20 部品挿入手段
30 部品検査手段
32 カメラ(画像取得装置)
34 重量計
40 部品
図1
図2
図3
図4
図5