(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本実施の形態にかかる携帯型情報処理装置、その磁気ディスク装置保護方法、及びコンピュータが実行可能なプログラムについて説明する。本発明の構成要素は、本明細書の図面に一般に示してあるが、様々な構成で広く多様に配置し設計してもよいことは容易に理解できる。したがって、本発明の装置、方法、及びプログラムの実施の形態についての以下のより詳細な説明は、特許請求の範囲に示す本発明の範囲を限定するものではなく、単に本発明の選択した実施の形態の一例を示すものであって、本明細書の特許請求の範囲に示す本発明と矛盾無く装置、システム及び方法についての選択した実施の形態を単に示すものである。当業者は、特定の細目の1つ以上が無くても、又は他の方法、部品、材料でも本発明を実現できることが理解できる。
【0022】
本願出願人は、特願2013−202523(本願出願時未公開)において、衝撃の発生を予想して磁気ディスク装置のヘッドを退避させる磁気ディスク装置保護機能を備えた携帯型情報処理装置において、タブレットPCとして使用する場合は、磁気ディスク装置保護機能によりユーザの使い勝手を損なわないようにするために、ユーザが携帯型情報処理装置を把持していると検出した場合には、磁気ディスク装置保護機能を一時的に無効とする装置、方法、及びプログラムを提案した。
【0023】
さらに、今回、本願出願人は、ユーザが携帯型情報処理装置を把持している場合でも、使用のため把持している場合と、移動等のために把持している場合、すなわち、非使用状態で把持している場合とがあることに着目した。
図11は、携帯型情報処理装置(タブレット)を使用状態で把持している場合の一例を示す図、
図12は、携帯型情報処理装置(タブレット)を非使用状態で把持している場合の一例を示す図である。
【0024】
非使用状態で把持している場合に、磁気ディスク装置保護機能を一時的に無効とすると、例えば、携帯型情報処理装置を手で把持して移動している際に何かとぶつかってしまった場合に、磁気ディスク装置を保護できない場合がある。そこで、本願出願では、ユーザが携帯型情報処理装置を把持している場合において、使用のため把持している場合は、ユーザの使い勝手を損なわないように、磁気ディスク装置保護機能を一時的に無効とする一方、非使用状態で把持している場合は、磁気ディスク装置の故障を防止するため、磁気ディスク装置保護機能を無効としないことにした。
【0025】
なお、ユーザが携帯型情報処理装置を非使用状態で把持している場合に、磁気ディスク装置保護機能を有効としても、ユーザは使用状態にないため、何らユーザの使い勝手を損なうことはない。
【0026】
図1−A〜
図1−Eを参照して、本実施の形態に係る携帯型情報処理装置の外観構成を説明する。携帯型情報処理装置は、いわゆるコンバーチブル型であり、ノートPC及びタブレットPCとして使用することができる。
【0027】
図1−Aは、実施の形態に係る携帯型情報処理装置が閉じた位置の斜視図である。
図1−Bは、
図1−Aの実施の形態の構成に係る携帯型情報処理装置が閉じた位置にある斜視図である。
図1−Cは、
図1−Aの実施の形態の構成に係る携帯型情報処理装置が開いた位置にある斜視図である。
図1−Dは、
図1−Aの実施の形態の他の構成に係る携帯型情報処理装置のキーボードが上向きの状態にある斜視図である。
図1−Eは、
図1−Aの実施の形態の他の構成に係る携帯型情報処理装置のタッチスクリーンが上向きの状態にある斜視図である。
【0028】
図1−A〜
図1−Eに示すように、携帯型情報処理装置1は、LCD(
図2参照)とLCD上に配置されたタッチセンサ(
図2参照)で構成されるタッチスクリーン16が配置されたディスプレイ側筐体11と、キーボード17及びタッチパッド18を含む入力ユニット19が配置された本体側筐体12と、を備え、ディスプレイ側筐体11と本体側筐体12は、一対のヒンジ(hinge)20を介して接続されている。携帯型情報処理装置1は、本体側筐体12内にCPUを含む回路基板を備えている。
【0029】
タッチスクリーン16は、
図1−Aに示すように、携帯型情報処理装置1が閉じた位置にある場合に、本体側筐体12と対向する。タッチスクリーン16は、CPUによって制御可能となるように接続されており、データを携帯型情報処理装置1のユーザに提示する。
【0030】
一対のヒンジ20は、ディスプレイ側筐体11の端部11aと本体側筐体12の端部12bで連結されている。ディスプレイ側筐体11は、本体側筐体12に対して、一対のヒンジ20の周りを回動することができる。ディスプレイ側筐体11は、本体側筐体12に対して(X軸の周りを)実質的に360度回動可能となっている。
【0031】
図1B−1Dは、本体側筐体12に対して異なった角度で開くことができるディスプレイ側筐体11の操作例を示している。
図1−Eは、さらに、上方を向いているタッチスクリーン16を示している。ユーザは、例えば、指等の指示体を用いてタッチスクリーン16にライトやタップすることができる。
【0032】
上記構成の携帯型情報処理装置1は、
図1−Bに示す状態では、ノートPCモードとなり、通常のノートPCとして、入力ユニット19による操作で使用することができる。また、
図1−D及び
図1−Eに示すように、ディスプレイ側筐体11を本体側筐体12に対して360度回転させて、本体側筐体14の上にディスプレイ側筐体15を重ねるように折り畳み、ディスプレイ11を表を向くようにすれば、タブレットPCモードとなる。ユーザは、タブレットPCモードでは、携帯型情報処理装置1を手で持って使用することが可能となっており、タッチスクリーン16の操作で使用することができる。例えば、CPUは、ノートPCモードとタブレットPCモードを、ディスプレイ側筐体11の本体側筐体12に対する回転角度を不図示のセンサで検出して切り替えることができる。
【0033】
また、
図1−Bに示すように、本体側筐体12の内部には、HDD(磁気ディスク装置)30が配置されている。さらに、本体側筐体12には、HDD30の内部又は外部に加速度センサが配置されている。さらに、一対の近接センサ40が、本外側筐体12の入力ユニット19が配置される面のタッチパッド18の下方位置及びディスプレイ側筐体12のタッチスクリーン16の下方の略中央位置に配置されている。近接センサ40は、例えば、静電容量式の接触検出方式でユーザが触れるのを検出する。近接センサ40は、ユーザが携帯型情報処理装置1をタブレットPCモードで使用する場合に、把持する可能性が高い位置に配置されている。
【0034】
詳細を後述するように、携帯型情報処理装置1は、HDD30を衝撃から保護するためにAPS(磁気ディスク装置保護機能)を備えている。APSは、HDD30に対する衝撃の発生を予測した場合にヘッドを退避させ、ヘッドがディスクに衝突するのを防止する。
【0035】
ユーザがタブレットPCを使用する場合は手に持って使用する場合が多いため、ノートPCを使用する場合よりも本体に振動や傾斜を与えやすい。この振動や傾斜は本体落下を伴う場合もあるが、一般的にユーザの通常の使用の範囲での振動や傾斜が多い。このため、タブレットPCをノートPCと同じアルゴリズムでAPSを実行すると、落下を伴わない振動や傾斜であるにも拘わらずヘッドが退避してしまうため、ユーザの操作性を損なう場合がある。
【0036】
そこで、本実施の形態では、ノートPCモードとタブレットPCモードでは、APSのアルゴリズムを異ならせている。より具体的には、ノートPCモードでは、APSを常時有効とする。他方、タブレットPCモードでは、ユーザによる本体の把持状態を検出した場合には、ユーザが携帯型情報処理装置1を手で把持して使用していると判断して、APSを一時的に無効として、タブレットPCモードでのユーザの操作性を損なわせないようにしている。
【0037】
さらに、本実施の形態では、タブレットPCモードにおいて、ユーザによる本体の把持状態を検出した場合において、ユーザが使用状態で本体を把持している場合のみAPSを一時的に無効とする一方、ユーザが非使用状態で本体を把持している場合はAPSを無効としない。すなわち、タブレットPCモードにおいて、ユーザが使用状態で本体を把持している場合のみAPSを一時的に無効としている。これにより、ユーザが使用している場合は、タブレットPCモードでのユーザの操作性を損なわせないようにすることができ、ユーザが使用していない場合には、衝突や落下によるHDD30の故障を防止することが可能となる。
【0038】
ここで、本体の把持状態の検出は、近接センサ40による接触検出、タッチスクリーン16によるタッチ検出、及び入力ユニット19のキーボード17及びタッチパッド18の入力検出に基づいて行っている。
【0039】
タブレットPCモードの場合は、
図1−Eに示すように、ディスプレイ側筐体11のタッチスクリーン16が表側に、本体側筐体12の入力ユニット19が裏側に位置する。このため、ユーザが携帯型情報処理装置1を把持する場合に、入力ユニット19を手で支えた状態で把持することが多いので、近接センサ40でユーザの接触を検出した場合、タッチスクリーン16によるユーザのタッチを検出した場合や、入力ユニット19のキーボード17やタッチパッド18が押された場合に、ユーザが携帯型情報処理装置1を把持していると判断している。
【0040】
図1−Fは、ユーザが携帯型情報処理装置を非使用状態で把持する場合のタッチ領域を説明するための図である。また、タブレットPCモードの場合に、ユーザが携帯型情報処理装置1を非使用状態で把持する場合は、例えば、
図1−Fに示すように、ディスプレイ側筐体11とタッチスクリーン16との境界(エッジ)Bを跨いで把持する場合が多い。
図1−Fにおいて、斜線部分はタッチされたタッチ領域、BLは、タッチ領域の境界部分の長さ、S1はタッチ領域の面積を示している。
【0041】
本実施の形態では、例えば、タッチスクリーン16のタッチ領域が、境界Bを含み、かつ、タッチされた境界Bの長さBLが閾値以上である場合に、携帯型情報処理装置1が非使用状態であると判断することにしてもよい。また、タッチスクリーン16のタッチ領域が、境界Bを含み、タッチされた領域の面積が閾値以上である場合に、携帯型情報処理装置1が非使用状態であると判断してもよい。また、タッチスクリーン16のタッチ領域が境界Bを含み、かつ、タッチされた時間が閾値以上である場合に、携帯型情報処理装置1が非使用状態であると判断すると判断してもよい。
【0042】
他方、ユーザが携帯型情報処理装置1を非使用状態で把持する場合でも、タッチスクリーン16の境界Bがタッチされない場合もあるので、タッチスクリーン16のタッチ領域の面積S1が閾値以上である場合に非使用状態であると判断してもよい。
【0043】
図2は、上記携帯型情報処理装置1のハードウェアの構成を示す概略図である。携帯型情報処理装置1は、
図2に示すように、CPU101、ROM102、メモリ103、LCD13と、グラフィクスアダプタ105と、HDD30と、近接センサ40と、加速度センサ41と、タッチセンサ14と、入力ユニット19と、エンベデッド・コントローラ109と、USBポート106と、通信デバイス107と、電源回路108とを備えており、各部はバスを介して直接又は間接的に接続されている。
【0044】
CPU101は、バスを介して接続されたHDD30に格納されたOSにより携帯型情報処理装置1全体の制御を行うとともに、HDD30に格納された各種のプログラムに基づいて処理を実行する機能を司る。ROM102は、BIOS(Basic Input/Output System:基本入出力システム)102aやデータ等を格納している。
【0045】
メモリ103は、キャッシュメモリやRAMで構成されており、CPU101の実行プログラムの読み込み領域として、実行プログラムの処理データを書き込む作業領域として利用される書き込み可能メモリである。
【0046】
HDD30は、例えば、Windows(登録商標),iOS(登録商標)、Android(登録商標)等の携帯型情報処理装置1全体の制御を行うためのOS、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ、特定業務に向けられたアプリケーション、及び各種データやファイル等を格納する機能を有する。
【0047】
グラフィクスアダプタ105は、CPU101の制御に従って、表示情報をビデオ信号に変換し、変換したビデオ信号をLCD13に出力する。LCD13は、CPU101の制御に従って、各種情報を表示する機能を有している。
【0048】
通信デバイス107は、ネットワークを介して他のデバイスとの通信を制御する。電源回路108は、ACアダプタ、インテリジェント電池、インテリジェント電池を充電するための充電器、及びDC/DCコンバータ等を備えており、CPU101の制御に従って、各デバイスに電力を供給する。
【0049】
近接センサ40は、例えば、静電容量式の接触検出方式でユーザが触れるのを検出するためのものであり、検出信号をエンベデッド・コントローラ109に出力する。加速度センサ41は、3軸(X/Y/Z軸)の加速度を検出して加速度情報をエンベデッド・コントローラ109に出力する。
【0050】
入力ユニット19は、文字、コマンド等を入力する各種キーより構成されるキーボード17や、画面上のカーソルを移動させるポインティングデバイスであるタッチパッド18を備えている。キーボード17は、所定規格のキーボードであり、操作されたキーの情報をエンベデッド・コントローラ109に出力する。タッチパッド18は、操作された座標情報をエンベデッド・コントローラ109に出力する。
【0051】
タッチセンサモジュール70は、タッチセンサ14と、コントローラIC71等を備えている。タッチセンサ14は、例えば、静電容量方式のタッチセンサであり、多点検出及び面検出が可能となっている。タッチセンサ14は、ユーザが入力操作を行うためのユーザインターフェースであり、ユーザが、LCD13の画面に表示される各種メニュー、アイコン、ボタン、及びキーボード等の画面オブジェクトを選択して入力操作を行ったり、テキストの入力操作や、スクロールやスワイプ等の画面操作を行うためのものである。
コントロールIC71は、タッチセンサ14の駆動及び検出を制御するためのものであり、ドライバ回路、プロセッサ、ファームウェア等を備えている。コントロールIC71は、タッチセンサ14に対するユーザのタッチ位置を検出して、エンベデッド・コントローラ109に出力する。また、コントロールIC71は、タッチセンサ14に対するユーザのタッチを検出して各種演算を行ってその結果をエンベデッド・コントローラ109に出力する。
【0052】
エンベデッド・コントローラ109は、プロセッサがROM等に格納されたプログラムを実行することにより各種処理を行い、近接センサ40、加速度センサ41、入力ユニット19及びタッチセンサモジュール70の動作を制御する。
【0053】
図3は、HDD30の一般的な装置構成を概略的に示す図である。HDD30は、その構造上、データの読み書きのために磁気ヘッド31が磁気ディスク32上にある時(ロード時:位置(a))よりも、磁気ヘッド31が磁気ディスク12上から離れて所定の退避位置にある時(アンロード時:位置(b))の方が、衝撃や振動に対する耐性が高い。したがって、携帯型情報処理装置1が大きな衝撃を受けた場合、事前に磁気ヘッド31を磁気ディスク32上からランプ機構(不図示)に退避させることにより、HDD30の耐衝撃性能を向上させることができる。携帯型情報処理装置1が大きな衝撃を受ける場合の最も頻繁な例は、机上や膝上、手で把持して携帯型情報処理装置1を使用している位置から落下させた場合である。そこで、携帯型情報処理装置1が落下する予兆を察知して、落下による衝撃が発生する前に磁気ヘッド31を磁気ディスク32上から退避させ、HDD30を保護する。
【0054】
図4は、HDD30のAPSに関する概略の機能構成を示す図である。
図4において、アプリケーション61,OS62、APSドライバ50、及びHDDデバイスドライバ63は、CPU101によりHDD30からメモリ103に読み込まれ実行される。
【0055】
アプリケーション61がHDD30内のデータへアクセス(記録及び読み込み)する場合、OS62を介して行う。OS62は、HDD30に記録されているデータを管理する。OS62は、FAT(File Allocation Table)及びディレクトリを作成してHDD30に関するデータの記録、読み取り、削除、又は移動などを管理する。
【0056】
エンベデッド・コントローラ109は、加速度センサ41から入力される加速度情報をAPSドライバ50のショック予測部52に出力する。また、エンベデッド・コントローラ109は、タブレットPCモードの場合には、ユーザが使用状態での本体の把持状態を示すユーザ使用本体把持情報(例えば、使用状態で本体を把持している場合「1」、使用状態で本体を把持していない場合「0」)をAPSドライバ50のHDDフィルタドライバ51に出力する。
【0057】
より具体的には、近接センサ40はユーザのタッチを示す検出信号(ユーザのタッチを検出した場合「1」、ユーザのタッチを検出していない場合「0」)を、エンベデッド・コントローラ109に出力する。入力ユニット19は、キーボード入力及びタッチパッド入力の少なくとも1つがあった場合に、ユーザのタッチを示す検出信号(ユーザのタッチを検出した場合「1」、ユーザのタッチを検出していない場合「0」)をエンベデッド・コントローラ109に出力する。また、タッチセンサモジュール50のコントロールIC71は、タッチセンサ14に対するユーザのタッチを示す検出信号を(ユーザのタッチを検出した場合「1」、ユーザのタッチを検出していない場合「0」)を、エンベデッド・コントローラ109に出力する。エンベデッド・コントローラ109は、ORゲート109aでこれらの検出信号の論理和をユーザ本体把持情報(例えば、ユーザが本体を把持している場合「1」、ユーザが本体を把持していない場合「0」)として出力する。
【0058】
すなわち、エンベデッド・コントローラ109は、近接センサ40に対するユーザのタッチ,タッチセンサ14に対するユーザのタッチ、並びに、入力ユニット19のキーボード入力及びタッチパッド入力の少なくとも1つがあった場合に、ユーザが本体を把持していると判断する。ここでは、ユーザの本体の把持状態を、近接センサ40に対するユーザのタッチ,タッチセンサ14に対するユーザのタッチ、並びに入力ユニット19のキーボード入力及びタッチパッド入力を検出して判断しているが、このうち少なくとも1つを検出することにしてもよい。
【0059】
また、タッチセンサモジュール70のコントロールIC71は、携帯型情報処理装置1が非使用状態であるか否かを示す非使用状態情報(非使用状態の場合「1」、使用状態の場合「0」)をエンベデッド・コントローラ109に出力する。より具体的には、
図1−Fで上述したように、例えば、コントロールIC71は、(1)タッチセンサ14がタッチされた領域が、ディスプレイ側筐体11との境界Bを含み、かつ、タッチされた境界Bの長さBLが閾値以上である場合、(2)タッチセンサ14がタッチされた領域が、ディスプレイ側筐体11との境界Bを含み、かつ、タッチされた領域の面積S1が閾値以上である場合、(3)タッチセンサ14がタッチされた領域が、ディスプレイ側筐体11との境界Bを含み、かつ、タッチされた時間が閾値以上である場合、(4)タッチセンサ14がタッチされた領域の面積S1が閾値以上である場合、のうちの1又は複数に該当する場合に、非使用状態であることを示す非使用状態信号を出力してもよい。
【0060】
エンベデッド・コントローラ109は、ANDゲート109bにおいて、ユーザ本体把持情報と、非使用状態情報の反転情報の論理積をユーザ使用本体把持情報(例えば、使用状態で本体を把持している場合「1」、使用状態で本体を把持していない場合「0」)としてAPSドライバ50のHDDフィルタドライバ51に出力する。すなわち、非使用状態情報は、APSを無効とすることを禁止する信号として機能しており、ユーザが本体を把持していても非使用状態にある場合は、APSを無効とすることが禁止される。
【0061】
エンベデッド・コントローラ109,タッチセンサモジュール70,近接センサ40,及び入力ユニット19は、ユーザが本体を使用状態で把持しているか否かを検出するユーザ使用把持検出手段100として機能する。
【0062】
なお、ユーザが本体を非使用状態であるか否かを検出する方法は、上述したように、タッチセンサ14を使用して検出する方法に限られるものではなく、他の方法を使用してもよい。例えば、ディスプレイ側筐体11にカメラを搭載し、カメラで周囲をモニタリングして、その検出結果に基づいてユーザが本体を非使用状態であるか否かを検出してもよい。より具体的には、カメラでモニタリングした画像中の人物の顔の検出結果に基づいて非使用状態情報(人物の顔を検出しない場合「1」、人物の顔を検出した場合「0」)をエンベデッド・コントローラ109に出力してもよい。
【0063】
APSドライバ50は、ショック予測部52と、HDDフィルタドライバ51とを備えている。ショック予測部52は、加速度センサ41により得られた加速度情報を解析することにより、本体の振動や傾き等を解析してHDD30の状態を判断し衝撃の発生(落下等)を予測し、衝撃予測情報(例えば、衝撃の発生を予想した場合「1」、衝撃の発生を予想しない場合「0」)をHDDフィルタドライバ51に出力する。
【0064】
HDDフィルタドライバ51は、OS62の指示に従って、HDD30の動作を、HDDディスク・ドライバ63を介して制御する。また、HDDフィルタドライバ51は、HDD30のヘッド31をロード/アンロードさせる。HDDフィルタドライバ51は、ノートPCモードとタブレットPCモードとで、HDD30に対して異なったAPS制御を行う。HDDフィルタドライバ51は、ノートPCモードの場合には、ショック予測部52から入力される衝撃予測情報に基づいて、ヘッド31を退避させる。より具体的には、HDDフィルタドライバ51は、ノートPCモードの場合には、ショック予測部52から入力される衝撃予測情報が「1」の場合に、退避コマンドを出力する。
【0065】
他方、HDDフィルタドライバ51は、タブレットPCモードの場合には、ショック予測部52から入力される衝撃予測情報とエンベデッド・コントローラ109から入力されるユーザ使用本体把持情報とに基づいて、ヘッド31を退避させる。すなわち、タブレットPCモードの場合には、ユーザ使用本体把持情報が「1」の場合には、APSを一時的に無効とした後、APSを有効とする。より具体的には、タブレットPCモードの場合には、衝撃予測情報が「1」の場合において、ユーザ使用本体把持情報が「1」の場合には、所定期間TだけAPSを無効とし、所定期間T経過後に、APSを有効として退避コマンドを出力する。後述するように、所定期間Tは任意の値を設定することができる。
【0066】
HDDデバイスドライバ63は、HDDフィルタドライバ51の制御に従って、HDD30の動作及びデータ転送を制御する。HDD30は、HDDフィルタドライバ51からHDDデバイスドライバ63を介して退避コマンドを受け取ると、ヘッド31をランプ機構に退避させて衝撃に備えることでデータ及び磁気ディスク32を衝撃から保護する。ヘッド31がランプ機構に退避している間はHDD30にアクセスするCPU101からのコマンドは実行されない。
【0067】
HDDフィルタドライバ51は、メモリ103にキューを展開し、退避コマンドが生成された後にHDD30にアクセスするために送られてきたコマンドをキューイングし、退避コマンドが解除された後にキューイングされたコマンドをHDDデバイスドライバ63に送る。
【0068】
図5は、ノートPCモードでのAPS制御を説明するためのタイミングチャートの一例、
図6〜
図9は、タブレットPCモードでのAPS制御の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【0069】
図5を参照して、ノートPCモードでのAPS制御の一例を説明する。
図5では、衝撃予測情報(例えば、衝撃発生予測あり「Shocked Detected」、衝撃発生予測なし「Stable」)、HDDのアクセス状態(例えば、アクセス可能な場合「Accessible」、アクセスできない場合「Inaccessible」)を示している。
【0070】
図5において、衝撃発生予測なしの場合には、HDD30にアクセス可能である。APSドライバ50は、衝撃の発生を予測すると(t1)、HDD30のヘッド31を退避させる。これにより、HDD30にアクセスできなくなる。APSドライバ50は、衝撃発生予測なしになると(t2)、ヘッド30の退避を解除させる。これにより、HDD30にアクセス可能となる。
【0071】
図6〜
図8を参照して、タブレットPCモードでのAPS制御の一例を説明する。
図6〜
図8では、衝撃予測情報(例えば、衝撃発生予測あり「Shocked Detected」、衝撃発生予測なし「Stable」)、HDDのアクセス状態(例えば、アクセス可能な場合「Accessible」、アクセスできない場合「Inaccessible」)、ユーザ使用本体保持情報(例えば、ユーザが使用状態で本体を把持している場合「Detected」、ユーザが使用状態で本体を把持していない場合「Not Detected」)を示している。
【0072】
図6において、衝撃発生予測なしの場合には、HDD30にアクセス可能である。APSドライバ50は、衝撃の発生を予測すると(t3)、HDD30のヘッド31を退避させる。これにより、HDD30にアクセスできなくなる。APSドライバ50は、ヘッド31を退避させている期間に、ユーザによる使用状態での本体把持を検出すると(t4)、ユーザによる使用状態での本体把持を検出している期間T1だけ、APSを無効とし、HDD30のヘッド31の退避を解除する。これにより、HDD30にアクセス可能となる。APSドライバ50は、ユーザによる使用状態での本体把持を検出しなくなると(t5)、APSを有効として、HDD30のヘッド31を退避させる。
【0073】
例えば、APSを無効とする上限時間Tuperを設定し、ユーザが使用状態で本体を把持している期間が上限時間Tuper以下の場合には、ユーザが使用状態で本体を把持している期間だけAPSを無効とすることにしてもよい。また、ユーザが使用状態で本体を把持している期間が上限時間Tuperよりも長い場合には、上限時間Tuperの期間だけAPSを無効とすることにしてもよい。
【0074】
図7において、衝撃発生予測なしの場合には、HDD30にアクセス可能である。APSドライバ50は、衝撃の発生を予測すると(t6)、HDD30のヘッド31を退避させる。これにより、HDD30にアクセスできなくなる。APSドライバ50は、ユーザによる使用状態での本体把持を検出すると(t7)、期間T2だけ、APSを無効とし、HDD30のヘッド31の退避を解除させる。APSドライバ50は、期間T2が経過すると(t8)、APSを有効として、HDD30のヘッド31を退避させる。
【0075】
図8において、衝撃発生予測なしの場合には、HDD30にアクセス可能である。APSドライバ50は、衝撃の発生の予測と、ユーザによる使用状態での本体把持の検出が略同時の場合には(t9)、期間T3だけ、APSを無効とし、期間T3が経過すると(t10)、APSを有効として、HDD30のヘッド31を退避させる。これにより、HDD30にアクセスできなくなる。
【0076】
以上説明したように、本実施の形態によれば、APSドライバ50は、HDDフィルタドライバ51は、ノートPCモードとタブレットPCモードとで、HDD30に対して異なったAPS制御を行い、ノートPCモードの場合には、APSを常時有効とし、タブレットPCとして使用する場合は、ユーザによる携帯型情報処理装置1の使用状態での把持状態を検出した場合には、APSを一時的に無効とすることとしたので、タブレットPCとして使用する場合は、ノートPCの場合よりもHDD30にアクセス可能な時間が長くなり、APSによりユーザの使い勝手を損なわないようにすることが可能となる。
【0077】
付言すると、タブレットPCモードにおいて、ユーザが携帯型情報処理装置1を把持している場合でも、一律にAPSを無効とするのはHDD30の保護のため望ましくないため、ユーザが携帯型情報処理装置1を把持している場合でも、使用状態で把持している場合のみAPSを一時的に無効とし、非使用状態で把持している場合はAPSを無効としないことにより、ユーザの使い勝手とHDD30の保護の両立を図ることが可能となる。
【0078】
(変形例1)
上記した実施の形態の携帯型情報処理装置1では、ディスプレイ側筐体11を本体側筐体12に対して、X軸の周りを360°回動可能な構成を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、ディスプレイ側筐体11を本体側筐体12に対して、Z軸の周りを少なくとも180°、X軸の周りを少なくとも180°回動可能なコンバ−チブル型の携帯型情報処理装置にも適用可能である。
【0079】
図9−A〜
図9−Cは、変形例1に係る携帯型情報処理装置150の概略の外観図である。
図9−Aに示すように、携帯型情報処理装置150は、コンバーチブル型であり、タッチスクリーン153が配置されたディスプレイ側筐体151及びキーボード等が配置された本体側筐体152を備える。本体側筐体152及びディスプレイ側筐体151は、それぞれの端部の中央で連結部154によって連結されており、連結部154は、これらの筐体を互いに開閉する方向に回動自在にしている。さらに、本体側筐体152に対してディスプレイ側筐体151を開いた状態で、ディスプレイ側筐体151を少なくとも180度回転させることが可能である。
【0080】
携帯型情報処理装置100は、
図9−Aに示すノートPC使用モードでは、通常のノートPCとして使用することができる。さらに、
図9−Bに示すように連結部154を回転させて、本体側筐体152の上にディスプレイ側筐体151を重ねるように折り畳み、タッチスクリーン151が表を向くようにすれば、
図9−Bに示すタブレット使用モードとなる。携帯型情報処理装置150の場合は、タブレット使用モードの場合は、本体側筐体152のキーボード側の面は、ディスプレイ側筐体151の下に隠れてしまうため、キーボードを使用することはできない。このため、キーボード入力をユーザの本体の把持検出には使用することはできないが、それ以外については、上記実施の形態の携帯型情報処理装置1と同様のAPS制御を行うことができる。
【0081】
(変形例2)
上記した実施の形態の携帯型情報処理装置1では、コンバーチブル型の携帯型情報処理装置について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、通常のタブレットPCにも適用可能である。
【0082】
図10は、変形例2に係る携帯型情報処理装置200の概略の外観図である。
図10に示すように、携帯型情報処理装置200は、通常のタブレットPCであり、タッチスクリーン201を備えている。携帯型情報処理装置200は、キーボード入力をユーザの本体の把持検出には使用することはできないが、それ以外については、上記実施の形態の携帯型情報処理装置1のタブレットPCモードと同様のAPS制御を行うことができる。