特許第6055014号(P6055014)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6055014物または人との接触を検知する機能を有するロボット制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6055014
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】物または人との接触を検知する機能を有するロボット制御装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/06 20060101AFI20161219BHJP
【FI】
   B25J19/06
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-59721(P2015-59721)
(22)【出願日】2015年3月23日
(65)【公開番号】特開2016-179510(P2016-179510A)
(43)【公開日】2016年10月13日
【審査請求日】2016年1月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100130133
【弁理士】
【氏名又は名称】曽根 太樹
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100159684
【弁理士】
【氏名又は名称】田原 正宏
(72)【発明者】
【氏名】内藤 康広
(72)【発明者】
【氏名】有田 創一
【審査官】 臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−263916(JP,A)
【文献】 特開平06−245561(JP,A)
【文献】 特開2014−018901(JP,A)
【文献】 特開2003−025272(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0142967(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 13/00−19/06
H02P 5/00
G05B 19/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットがロボット以外の物体に接触しているか否かを判定する接触検出部と、
ロボットが前記物体に接触した後のロボットの動作方向を検出し、ロボットの動作を監視する動作方向監視部とを備え、
接触検出部は、ロボットと前記物体とが接触した時にロボットが退避する基準の方向となる基準方向を設定し、
前記基準方向は、ロボットが前記物体から離れる方向であり、
動作方向監視部は、基準方向に対する予め定められた角度の範囲を許容範囲に設定し、ロボットが前記物体に接触した後に、許容範囲内のロボットの動作を許可し、許容範囲から外れるロボットの動作を禁止することを特徴とする、ロボット制御装置。
【請求項2】
作業者がロボットを手動にて操作してロボットの動作を教示する教示モードと、ロボットが教示された動作を自動的に再生する再生モードとの切替えが可能な切替えスイッチと、
ロボットと前記物体とが接触した場合に、ロボットを前記物体から離れる方向に自動的に動作させる退避指令部とを備え、
前記切替えスイッチにより再生モードが選択された場合に、ロボットと前記物体とが接触した時に退避指令部によりロボットを動作させ、
前記切替えスイッチにより教示モードが選択された場合に、ロボットと前記物体とが接触した時に動作方向監視部によりロボットの動作監視する、請求項1に記載のロボット制御装置。
【請求項3】
動作方向監視部は、ロボットの動作方向が前記許容範囲を外れた場合には、ロボットを停止する、請求項1または2に記載のロボット制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットを制御するロボット制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、人がロボットと協調して作業を行うロボットシステムが知られている。このロボットシステムでは、ロボットの周りに安全柵を設けない状態にて、ロボットおよび人が作業する。ロボット制御装置には、デッドマンスイッチと称されるスイッチが配置されている。例えば、ロボットを停止すべき時に作業者がデッドマンスイッチを押すと、ロボットを緊急停止することができる。デッドマンスイッチを備えることにより安全性を向上させることができる。
【0003】
また、ロボットの動作中には、ロボットが周りの物や人に接触する場合がある。例えば、人がロボットと協調して作業を行っている時に、ロボットが周囲の機器に接触したり作業者に接触したりする場合がある。このような場合に、ロボットシステムは、外力を検知してロボットを停止したり、被接触物を避ける退避動作を行ったりするように制御することが知られている(例えば、特許文献1から特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3367641号明細書
【特許文献2】特許第3459973号明細書
【特許文献3】特開2014−18901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ロボットは、予め生成された軌道に沿って移動するように制御される。ロボットの軌道は、作業者が指定した教示点および速度に基づいて生成することができる。教示点は、作業者が教示操作盤を操作することにより設定することができる。たとえば、教示操作盤を操作してロボットを所望の位置および姿勢にする。このときのロボットのツール先端点の位置を教示点として記憶させることができる。そして、ロボット制御装置は、教示点または教示点の近傍を通るように軌道を生成することができる。
【0006】
ロボットに教示点を教示している期間中に、ロボットが周辺の機器に接触することが頻繁に生じる場合がある。例えば、ワークを作業台に置く動作を教示する場合には、ワークを作業台に近づけた状態でハンドを広げる。このときにハンドを広げる位置が高すぎると、ワークが傷つく可能性がある。このために、ハンドを広げる位置は、ワークが作業台に近接した位置であることが好ましい。
【0007】
作業者は、ワークが作業台よりも僅かに上に配置されている位置を教示するために、ロボットを上下に動かせて調整する。作業者がワークを作業台に近づける操作をしている時にワークが作業台に接触してしまう場合がある。
【0008】
ロボットが外部の物体と接触した場合には、適切な方法により退避することが好ましい。ロボットが外部の物体と接触した場合にロボットを停止させる方法では、接触状態が続くためロボットを動作させることができずに、教示を続けることができないという問題が生じる。
【0009】
一方で、ロボットが自動的に退避動作を行う場合には、教示作業の効率が悪いという問題がある。例えば、ワークが下降して作業台に接触した場合に、ロボットを自動的に上昇させる制御が考えられる。そして、ロボットが自動的に上昇する動作は、安全性を考慮して大きく移動するように設定される。このために、ロボットを再び下降させてワークを作業台の近傍まで移動させる必要がある。ところが、操作が所望の通りに行われない場合には、再びワークが作業台に接触してしまう場合がある。すなわち、ワークが作業台に接触する状態と、ワークが作業台から離れた状態とが交互に繰り返される場合がある。同様の操作を繰り返す必要があるために、教示をする時間が長くなるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のロボット制御装置は、ロボットがロボット以外の物体に接触しているか否かを判定する接触検出部と、ロボットが物体に接触した後のロボットの動作方向を検出し、ロボットの動作を監視する動作方向監視部とを備える。接触検出部は、ロボットと物体とが接触した時にロボットが退避する基準の方向となる基準方向を設定し、基準方向は、ロボットが物体から離れる方向であり、動作方向監視部は、基準方向に対する予め定められた角度の範囲を許容範囲に設定し、ロボットが物体に接触した後に、許容範囲内のロボットの動作を許可し、許容範囲から外れるロボットの動作を禁止する。
【0011】
上記発明においては、作業者がロボットを手動にて操作してロボットの動作を教示する教示モードと、ロボットが教示された動作を自動的に再生する再生モードとの切替えが可能な切替えスイッチと、ロボットと物体とが接触した場合に、ロボットを物体から離れる方向に自動的に動作させる退避指令部とを備え、切替えスイッチにより再生モードが選択された場合に、ロボットと物体とが接触した時に退避指令部によりロボットを動作させ、切替えスイッチにより教示モードが選択された場合に、ロボットと物体とが接触した時に動作方向監視部によりロボットの動作監視することができる。
【0012】
上記発明においては、動作方向監視部は、ロボットの動作方向が許容範囲を外れた場合には、ロボットを停止することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のロボット制御装置は、ロボットが人や物に接触した時に、安全に接触を解消する動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態におけるロボットシステムの概略図である。
図2】実施の形態における第1のロボットシステムのブロック図である。
図3】実施の形態における退避動作の方向の許容範囲を説明する図である。
図4】実施の形態における運転制御のフローチャートである。
図5】実施の形態における第2のロボットシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1から図5を参照して、実施の形態におけるロボット制御装置について説明する。図1は、本実施の形態におけるロボットシステムの概略図である。ロボットシステムは、ワークWの搬送を行うロボット1と、ロボット1を制御するロボット制御装置としての制御装置2とを備える。
【0016】
本実施の形態のロボット1は、アーム12と複数の関節部13とを含む多関節ロボットである。ハンド17は、ワークWを把持したり解放したりする機能を有する。ロボット1は、アーム12を支持するベース部11を備える。ベース部11は、設置面20に固定されている。
【0017】
ロボット1は、それぞれの関節部13を駆動するアーム駆動装置を含む。アーム駆動装置は、関節部13の内部に配置されているアーム駆動モータ14を含む。アーム駆動モータ14が駆動することにより、アーム12を関節部13にて所望の角度に曲げることができる。また、本実施の形態のロボット1は、アーム12の全体が鉛直方向に延びる回転軸の周りを回転可能に形成されている。アーム駆動装置は、ベース部11に配置され、アーム12の全体を回転させる駆動モータを含む。
【0018】
ロボット1は、ハンド17を閉じたり開いたりするハンド駆動装置を備える。本実施の形態のハンド駆動装置は、空気圧によりハンド17を駆動する。ハンド駆動装置は、ハンド17に接続されたハンド駆動シリンダ18と、ハンド駆動シリンダ18に圧縮空気を供給するための空気ポンプおよび電磁弁を含む。
【0019】
ロボット1は、制御装置2の動作指令に基づいて駆動する。アーム駆動装置およびハンド駆動装置は、制御装置2により制御されている。例えば、アーム駆動モータ14の回転角度およびハンド駆動シリンダ18の空気圧は制御装置2により制御されている。
【0020】
図2に、本実施の形態における第1のロボットシステムのブロック図を示す。図1および図2を参照して、本実施の形態におけるロボット1は、動作プログラム41に基づいてワークを搬送することができる。ロボット1は、自動的に初期の位置から目標の位置までワークWを搬送することができる。制御装置2は、バスを介して互いに接続されたCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)等を有する演算処理装置を含む。
【0021】
制御装置2には、ロボット1の動作を行うために予め定められた動作プログラム41が入力される。動作プログラム41は、動作プログラム記憶部42に記憶される。動作制御部43は、動作プログラム41に基づいてロボット1を駆動するための動作指令を送出する。動作制御部43は、アーム駆動部44にアーム駆動装置を駆動する動作指令を送出する。アーム駆動部44は、アーム駆動モータ14等を駆動する電気回路を含み、動作指令に基づいてアーム駆動モータ14等に電力を供給する。アーム駆動モータ14が駆動することにより、アーム12の折れ曲がり角度やアーム12の方向などが調整される。
【0022】
また、動作制御部43は、ハンド駆動部45にハンド駆動装置を駆動する動作指令を送出する。ハンド駆動部45は、空気ポンプ等を駆動する電気回路を含み、動作指令に基づいてハンド駆動シリンダ18に圧縮空気が供給される。ハンド駆動シリンダ18に供給する空気の圧力を調整することによりハンド17が開閉する。
【0023】
ロボット1は、関節部13に作用する力を検出する力検出器19を備える。本実施の形態では、それぞれの関節部13ごとに力検出器19が配置されている。力検出器19は、関節部13に加わる力の大きさと力の方向を検出可能に形成されている。力検出器19としては、例えば、直交する3軸の方向の力及び直交する3軸の周りのモーメントを検出できる6軸力覚センサを採用することができる。また、アーム12の先端とハンド17との間にも力検出器が取り付けられていても構わない。
【0024】
本実施の形態におけるロボット1は、ロボットの位置および姿勢を検出する状態検出器16を含む。状態検出器16は、ツール先端点等のアーム12の基準点に関する位置、関節部13におけるアーム12の折れ曲がり状態、およびアーム12が向いている方向等を検出する。状態検出器16の出力は制御装置2に入力される。
【0025】
本実施の形態における状態検出器16は、それぞれのアーム駆動モータ14に取り付けられた回転角検出器15を含む。回転角検出器15は、アーム駆動モータ14が駆動するときの回転角度を検出する。それぞれのアーム駆動モータ14の回転角度に基づいて、関節部13における角度を検出することができる。また、状態検出器16は、アーム12のベース部11に対する回転角度を検出する回転角検出器を含む。検出した回転角度に基づいてアーム12が延びている方向を検出することができる。
【0026】
本実施の形態の制御装置2は、ロボット1を停止した状態にするための指令を動作制御部43に送出する停止指令部46を含む。停止指令部46は、ロボット1が駆動している期間および停止している期間のいずれの状態においても、駆動を停止する指令を送出できるように形成されている。動作制御部43は、停止指令を受信すると動作プログラム41の実行を停止する。そして、ロボット1の駆動が停止される。ロボット1が停止している期間中に停止指令が発信された場合は、動作制御部43は、ロボット1の停止状態を維持する。
【0027】
制御装置2は、判定値記憶部56を有する。判定値記憶部56には、後述するように、退避動作を行うときの角度の許容範囲を定める判定値55が予め入力される。判定値記憶部56は、角度の判定値を記憶する。停止指令部46は、判定値記憶部56から角度の判定値を読み込む。なお、動作プログラム記憶部42および判定値記憶部56等の記憶部は、1つの記憶部が共用されていても構わない。
【0028】
制御装置2は、教示操作盤49を備える。教示操作盤49は、ティーチングペンダントとも称される。教示操作盤49は、作業者がロボット1を任意の位置に動かした後に、その位置を教示点として制御装置2に記憶させるための操作盤である。教示操作盤49には、ロボット1を操作するために必要なスイッチやボタンが配置されている。教示操作盤49は、作業者の操作に対応する信号を動作制御部43に送出する。動作制御部43は、教示操作盤49から受信した信号に基づいてアーム駆動モータ14およびハンド駆動シリンダ18を駆動する。
【0029】
制御装置2は、教示操作盤49の操作により指定された教示点を記憶する教示点記憶部52を備える。教示点記憶部52は、状態検出器16の出力に基づいて教示点を記憶する。制御装置2は、記憶された教示点に基づいてロボット1の再生動作を実施する指令を送出する再生動作指令部53を備える。再生動作指令部53の出力は動作制御部43に送出される。
【0030】
本実施の形態のロボットシステムは、動作プログラム41に基づいてロボット1を駆動することができるように形成されている。また、本実施の形態のロボットシステムは、作業者が手動にてロボット1を操作することができるように形成されている。はじめに、作業者がロボット1を手動で動作させる場合の制御について説明する。
【0031】
制御装置2は、ロボット1がロボット1以外の物体(以下、単に「他の物体」と称する)に接触しているか否かを判定する接触検出部47を備える。他の物体には、ロボット1の周りの機器や作業員等の人が含まれる。接触検出部47には、力検出器19の出力信号が入力される。ロボット1が動作している期間中に、ロボット1が外部からの力(以下、「外力」と称する)を受ける場合がある。接触検出部47は、ロボット1に作用する外力を検出できるように形成されている。アーム12に加わる力は、力検出器19により検出することができる。
【0032】
制御装置2には、ロボットを駆動するためのパラメータが入力される。パラメータには、質量パラメータが含まれる。質量パラメータは、ロボット1に作用する内力を推定するためのロボット1の各部位の質量やワークWの質量に関連する情報を含む。
【0033】
接触検出部47は、ロボット1の質量およびロボット1の動作により生じる内力を推定する。内力は、ロボット1の外側から力が加えられていない状態で、ロボット1が動作した時に、自重によりロボット1に作用する力である。内力は、状態検出器16により検出したロボット1の位置および姿勢と、質量パラメータとに基づいて算出することができる。
【0034】
接触検出部47は、力検出器19により検出された力から推定した内力を減算することにより外力を算出することができる。接触検出部47は、算出した外力を接触判定値と比較する。そして、接触検出部47は、算出された外力が接触判定値よりも大きい場合には、ロボット1に他の物体が接触していると判定することができる。
【0035】
なお、他の物体がロボットに接触しているか否かを判別する制御は、任意の制御を採用することができる。例えば、アーム駆動装置のモータの外乱電流に基づいて外乱トルクを推定することができる。そして、外乱トルクが予め定められた判定値を超える場合に、ロボット1が他の物体に接触していると判定することができる。または、アームおよび関節部の表面を、接触センサを有する覆い部材にて覆うことができる。他の物体がロボットに接触すると、接触センサから信号が発信されて、他の物体がロボットに接触したことを検出することができる。
【0036】
本実施の形態の制御装置2は、ロボット1の動作を停止させるための停止指令部46を備える。停止指令部46は、ロボットが所定の状態になった場合に、ロボット1を停止させる信号を動作制御部43に送出する。ロボット1が動作している場合には、動作制御部43は、ロボット1の動作を停止する。ロボット1が停止している期間中には、動作制御部43は、ロボット1の停止状態を維持する。
【0037】
作業者は、ロボット1が他の物体に接触したことを認識した場合には、ロボット1の他の物体に接触している部分が、他の物体から退避するように教示操作盤49の操作を行う。本実施の形態の制御装置2では、ロボット1が他の物体に接触した時のロボットの動作方向の許容範囲が予め定められている。すなわち、ロボットが退避する方向の許容範囲が予め定められている。
【0038】
図3に、ロボットの動作方向の許容範囲を説明する概略図を示す。図3に示す例では、他の物体61の表面に、ワークWまたはロボット1の一部分が接触したときの図である。例えば、ロボット1のアーム12が他の物体61の接触点81に接触する。他の物体61に力の作用する方向は、矢印92によって示されている。ロボット1に作用する外力の方向は、矢印91に示すように、他の物体61に力の作用する方向と反対向きになる。
【0039】
図2および図3を参照して、本実施の形態の接触検出部47は、ロボット1に外力が作用する作用点と外力が作用する方向を検出可能に形成されている。本実施の形態では、ロボット1が退避する時に退避の基準となる方向を基準方向と称する。この例では、基準方向は、矢印91に示す他の物体61から外力が作用する方向に設定される。接触検出部47は、接触点81の位置と外力が作用する方向とに基づいて基準方向を設定する。作業者は、ロボット1の接触点81に接触した部分が他の物体61から離れるようにロボット1を操作する。
【0040】
停止指令部46は、ロボット1の動作を監視する動作方向監視部48を備える。ロボット1の動作方向に関する角度判定値θは、予め定められている。角度判定値θは、判定値55として予め判定値記憶部56に記憶されている。動作方向監視部48は、基準方向に対して角度判定値θの範囲内の方向を許容範囲に設定する。このように、動作方向監視部48は、角度判定値θおよび接触点81の位置に基づいて、ロボットの動作方向の許容範囲を設定する。
【0041】
また、動作方向監視部48は、ロボット1が他の物体61に接触した後のロボット1の動作方向を検出する。ロボット1の動作方向は、状態検出器16の出力に基づいて検出することができる。状態検出器16は、退避動作を行っているときのロボット1の状態を動作方向監視部48に送出する。例えば、動作方向監視部48は、回転角検出器15等の出力により、実際のロボット1の位置および姿勢の変化を検出することができる。そして、動作方向監視部48は、ロボット1の位置および姿勢の変化に基づいて、ロボットの動作方向を算出することができる。
【0042】
ロボット1が実際に動作する方向の検出方法としては、この形態に限られず、任意の方法を採用することができる。たとえば、ロボット1が実際に動作する方向は、教示操作盤49から動作制御部43に送出される信号に基づいて検出しても構わない。または、ロボット1が実際に動作する方向は、動作制御部43からアーム駆動部44に送出される動作指令に基づいて検出しても構わない。
【0043】
動作方向監視部48は、ロボット1が許容範囲内にて動作している場合には、ロボットの動作を許可する。すなわち、停止指令部46は、動作制御部43にロボット1の停止指令を送出しない。一方で、動作方向監視部48は、実際のロボット1の動作方向が、許容範囲から外れる場合にはロボット1の動作を禁止する。すなわち、停止指令部46は、ロボット1を停止する指令を動作制御部43に送出する。動作制御部43は、停止指令に従ってロボット1の駆動を停止する。
【0044】
このように、動作方向監視部48は、ロボット1が他の物体に接触している場合に、他の物体から適切に離れる方向の動作を許可する。一方で、動作方向監視部48は、他の物体から望ましくない方向に離れる動作を禁止する。このために、作業者は、他の物体を傷つけたり、ロボットに損傷を与えたりする動作を回避しながら安全に操作することができる。または、他の物体が人である場合には、人の安全性を確保することができる。
【0045】
なお、ロボットが人に接触した場合には、人は速やかにロボットから離れる場合が多い。すなわち、短時間でロボット1が人から離れた状態になる。本実施の形態における動作方向監視部48は、他の物体にロボットが接触している期間中に、ロボットの動作を監視する。一方で、動作方向監視部48は、ロボット1の接触がない場合には、ロボット1の動作を監視しない。このために、ロボット1の接触が解消された直後には、ロボット1を自由に動作させることができる。
【0046】
図4に、本実施の形態における運転制御のフローチャートを示す。図4に示す制御は、教示操作盤49にて作業者がロボットを手動にて駆動している期間中に行うことができる。また、この制御は、所定の時間間隔ごとに繰り返して行うことができる。
【0047】
図2および図4を参照して、ステップ71において、接触検出部47は、ロボット1が他の物体に接触しているか否かを判別する。ロボット1が他の物体に接触していない場合には、この制御を終了する。ロボット1が他の物体に接触している場合には、ステップ72に移行する。
【0048】
ステップ72において、動作方向監視部48は、ロボット1の実際の動作方向を検出する。次に、ステップ73において、動作方向監視部48は、検出した動作方向が許容範囲内であるか否かを判別する。ロボット1の動作方向が許容範囲内である場合には、ステップ71に戻り、ロボット1の動作の監視を繰り返す。ステップ73において、ロボット1の動作方向が許容範囲から外れた場合には、ステップ74に移行する。
【0049】
ステップ74においては、ロボット1の動作を停止する。停止指令部46は、動作制御部43に対してロボット1の動作を停止する指令を送出する。
【0050】
この制御により、ロボット1が他の物体に接触している期間中にロボット1の動作方向の監視を実施し、ロボット1が他の物体から離れると共に監視を終了することができる。なお、上記の実施の形態では、ロボットの動作方向の監視は他の物体との接触を検出すると共に開始しているが、この形態に限られず、ロボットの動作方向の監視は他の物体との接触を検出した後にロボットがはじめて停止した時に開始しても構わない。
【0051】
本実施の形態の制御では、前述のように、ロボット1又はワークWが他の物体に接触した時に、他の物体から離れるための基準方向を設定する。上記の制御装置では、外力の作用点および外力の方向を検出できるために、外力がロボットに作用する方向を基準方向に設定している。基準方向の設定方法としては、この形態に限られず、他の物体がロボットから離れる任意の方向を採用することができる。
【0052】
例えば、ロボットが接触センサを有する覆い部材にて覆われている場合には、外力がロボットに作用する作用点を検出することができる。ところが、外力がロボットに作用する方向は検出されない。このため、基準方向としては、作用点における覆い部材の表面の法線方向のうち他の物体から離れる方向を設定することができる。すなわち、覆い部材の表面に垂直な方向をロボットが動作する適切な方向として基準方向に設定することができる。
【0053】
または、ロボットを手動にて駆動しているときに、ロボットの軌跡を記憶部に記憶しておくことができる。例えば、記憶部は、予め定められた時間間隔ごとにロボットの位置および姿勢を記憶しておくことができる。ロボットが他の物体と接触した場合には、記憶した軌跡に沿って、逆方向に進む方向を基準方向に設定することができる。この場合には、基準方向が曲線になる場合がある。そして、記憶している軌跡に対して、予め定められた距離の範囲を許容範囲に設定することができる。
【0054】
例えば、ロボット1のベース部11に、力検出器を配置することができる。ロボットのベース部11に力検出器を配置した場合には、ロボット1に加わる外力の方向は検出できるが、ロボット1に加わる外力の作用点を検出することができない。このような場合においても、記憶している軌跡に沿って退避させる方向を基準方向に採用することができる。この方法は、他の物体が停止している状態、または他の物体がロボットよりも遅く動く場合に効果的である。
【0055】
または、ロボット1が他の物体が接触した時に、記憶した軌跡のうち直前の移動点を検出する。そして、接触した時の位置から接触する直前の位置に向かう方向を基準方向に設定することができる。このように、予め定められた時間間隔ごとにロボットの位置および姿勢が制御されている場合には、接触した時の位置から直前の位置に向かう方向を基準方向に設定することができる。そして、基準方向に基づいてロボットが離れる時の許容範囲を設定することができる。
【0056】
上記の例では、教示操作盤49によりロボットを手動にて操作する場合について説明した。ロボットを手動操作する方法は、この形態に限られず、任意の方法を採用することができる。例えば、ロボットの先端に作業者が操作可能なハンドル(ハンドガイド)を配置する。そして、ロボットシステムは、作業員がハンドルを操作すると共に教示点を記憶するダイレクトティーチング装置を備えることができる。ダイレクトティーチング装置では、作業員が直接的にロボットの動作を教示することができる。
【0057】
次に、ロボットの自動運転における制御について説明する。図2を参照して、本実施の形態における制御装置2は、動作プログラム41に基づいてロボットを駆動できるように形成されている。動作プログラム41には、例えば、ロボットが自動的に駆動している期間中に他の物体に接触した場合には、接触点から退避する指令が含まれる場合がある。本実施の形態の動作方向監視部48は、動作プログラムに基づいて退避動作を実行している期間中にも、ロボット1の動作が正常か否かを監視することができる。そして、ロボット1の退避方向が許容範囲を超える場合には、停止指令部46は、ロボット1を停止させることができる。
【0058】
図5に、本実施の形態における第2のロボットシステムのブロック図を示す。図5には、制御装置2の部分が記載されている。ロボットの構成は、第1のロボットシステムと同様である(図2参照)。第2のロボットシステムの制御装置2は、ロボットを手動にて操作して、ロボットの動作を教示する教示モードと、ロボット1が教示された動作を自動的に再生する再生モードとを切替え可能に形成されている。制御装置2は、教示モードと再生モードとを切り替える切替えスイッチ50を含む。
【0059】
切替えスイッチ50において、作業者が教示モードを選択した場合には、ロボット1に教示点を教示する為に教示操作盤49にてロボット1が操作される。教示点記憶部52は、作業者により設定された教示点を記憶する。これに対して、切替えスイッチ50において、作業者が再生モードを選択した場合には、再生動作指令部53は、教示点記憶部52に記憶された教示点に基づいて軌道を生成する。再生動作指令部53は、生成された軌跡に沿ってロボット1が動作する指令を動作制御部43に送出する。
【0060】
制御装置2は、ロボット1と他の物体とが接触した場合に、ロボット1を他の物体から離れる方向に自動的に動作させる退避指令部51を備える。退避指令部51により指令されるロボット1の動作の方向としては、前述の様に、ロボット1が他の物体から離れる方向を採用することができる。ロボット1と他の物体との接触が検出された場合に、退避指令部51は、ロボット1の退避動作を行う指令を動作制御部43に送出することができる。
【0061】
切替えスイッチ50により再生モードが選択された場合には、停止指令部46による制御を停止して、退避指令部51による制御を実施する。一方で、切替えスイッチ50により教示モードが選択された場合には、退避指令部51による制御を停止して、停止指令部46による制御を実施する。
【0062】
このように、切替えスイッチ50を設けて、ロボットが他の物体に接触したときのロボットの動作を切替えることができる。再生モードでは、他の物体にロボットが接触した場合に、他の物体から離れる方向にロボットが自動的に移動する。このために、他の物体を傷つけることを抑制することができる。また、教示モードでは、他の物体にロボットが接触した場合に、動作方向監視部がロボットの動作方向を監視する。このため、作業者が誤った操作をしても、他の物体を傷つけることを抑制することができる。そして、ロボットが他の物体に接触しない状態になると、自由にロボットを操作することができる。
【0063】
本実施の形態のロボット制御装置は、人とロボットが協調して作業を行う協調ロボットを備えるロボットシステムに好適である。例えば、ロボットと作業者が1つの作業を行うロボットシステムに好適である。または、ロボットと作業者とが互いに異なる作業を行う状態で、作業者とロボットとの間に安全柵が設けられていないロボットシステムに好適である。
【0064】
本実施の形態においては、多関節ロボットを例示して説明したが、この形態に限られず、任意のロボットを制御するロボット制御装置に本発明を適用することができる。
【0065】
上述のそれぞれの制御においては、機能および作用が変更されない範囲において適宜ステップの順序を変更することができる。上記の実施の形態は、適宜組み合わせることができる。上述のそれぞれの図において、同一または相等する部分には同一の符号を付している。なお、上記の実施の形態は例示であり発明を限定するものではない。また、実施の形態においては、特許請求の範囲に示される実施の形態の変更が含まれている。
【符号の説明】
【0066】
1 ロボット
2 制御装置
15 回転角検出器
16 状態検出器
47 接触検出部
48 動作方向監視部
49 教示操作盤
50 切替えスイッチ
51 退避指令部
55 判定値
61 物体
図1
図2
図3
図4
図5