特許第6055018号(P6055018)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6055018モータと減速機とを備えたロボットの関節構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6055018
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】モータと減速機とを備えたロボットの関節構造
(51)【国際特許分類】
   B25J 17/00 20060101AFI20161219BHJP
【FI】
   B25J17/00 E
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-80315(P2015-80315)
(22)【出願日】2015年4月9日
(65)【公開番号】特開2016-198848(P2016-198848A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2016年2月16日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130133
【弁理士】
【氏名又は名称】曽根 太樹
(74)【代理人】
【識別番号】100159684
【弁理士】
【氏名又は名称】田原 正宏
(72)【発明者】
【氏名】滝川 隆士
(72)【発明者】
【氏名】木下 聡
【審査官】 中田 善邦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−252387(JP,A)
【文献】 特開平08−155881(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/115257(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J1/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一部材(1)と、
前記第一部材(1)の壁部(1b)の一方の面に結合された減速機(2)であり、該減速機(2)の入力部のシャフト(2b)が前記壁部(1b)を貫通している減速機(2)と、
前記壁部(1b)の前記一方の面とは反対側に配置されたモータ(4)と、
前記モータ(4)のシャフトに取付けられた第一ギヤ(5)と、
前記入力部のシャフト(2b)に取付けられていて前記第一ギヤ(5)に噛合う第二ギヤ(7)と、
前記減速機(2)の出力部に取付けられた第二部材(3)と、を備え、
前記第二ギヤ(7)は、前記減速機(2)の前記第一部材(1)と結合する結合部(2a)の径(D)よりも大きい径を有し、
前記第一部材(1)には、互いに噛合った前記第一ギヤ(5)および前記第二ギヤ(7)を収容するギヤ収容部(14)が設けられており、
前記ギヤ収容部(14)は、前記互いに噛合った前記第一ギヤ(5)および前記第二ギヤ(7)を覆うカバー部材によって形成されており、
前記カバー部材は前記壁部(1b)の前記一方の面とは反対側に配置されるとともに前記第一部材(1)に着脱可能に固定されており、前記モータ(4)は前記カバー部材に保持されている、ロボットの関節構造。
【請求項2】
第一部材(1)と、
前記第一部材(1)の壁部(1b)の一方の面に結合された減速機(2)であり、該減速機(2)の入力部のシャフト(2b)が前記壁部(1b)を貫通している減速機(2)と、
前記壁部(1b)の前記一方の面とは反対側に配置されたモータ(4)と、
前記モータ(4)のシャフトに取付けられた第一ギヤ(5)と、
前記入力部のシャフト(2b)に取付けられていて前記第一ギヤ(5)に噛合う第二ギヤ(7)と、
前記減速機(2)の出力部に取付けられた第二部材(3)と、を備え、
前記第二ギヤ(7)は、前記減速機(2)の前記第一部材(1)と結合する結合部(2a)の径(D)よりも大きい径を有し、
前記第一部材(1)には、互いに噛合った前記第一ギヤ(5)および前記第二ギヤ(7)を収容するギヤ収容部(14)が設けられており、
前記ギヤ収容部(14)は、
前記第一部材(1)と一体成形された、前記第一ギヤ(5)を収容するとともに前記モータ(4)を保持するモータ保持部(15)と、
前記第一部材(1)に着脱可能に固定された、前記第二ギヤ(7)を覆うカバー部(16)とからなる、ロボットの関節構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの関節構造に関し、特に、モータと減速機とを備えたロボットの関節構造に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボットとして多関節マニュピレータが知られている。当該ロボットは肩関節やひじ関節といった複数の関節部を備えており、各関節部においては、第一部材と第二部材とが回転駆動機構を介して互いに連結されている。回転駆動機構としては、モータ、減速機、ギヤなどが使用されている。
【0003】
図4は従来技術におけるロボットの関節構造を模式的に示す断面図である。図4を参照すると、第一部材1に減速機2を介して第二部材3が連結されている。減速機2としては、遊星歯車減速機や波動歯車装置などが使用されている。そのような減速機2は出力部と入力部と固定部とから構成されるが、図4においては減速機2の出力部、入力部、および固定部の各態様は省略されている。
【0004】
図4に示されるように、第一部材1の壁部1bの一方の面にはボルト6により減速機2が結合されていて、当該一方の面とは反対側の空間1aにモータ4が配置されている。モータ4のシャフトには第一ギヤ5が取付けられている。また、減速機2の出力部に第二部材3が結合されている。減速機2の入力部のシャフトに第二ギヤ7が取付けられている。
【0005】
さらに、第一部材1の壁部1bには、減速機2の第二ギヤ7を収容する凹部8が形成されている。凹部8は壁部1bを窪ませて形成されている。凹部8の開口8aは、第二ギヤ7を通過可能に形成されている。また、第一部材1の凹部8の底部には、凹部8内を空間1aと連通させる連通孔9が形成されている。そして、モータ4のシャフトが連通孔9に通され、モータ4は連通孔9を塞ぐように連通孔9の周縁部に支持および固定されている。
【0006】
図4に示されるように、減速機2を第一部材1の壁部1bに結合すると、第二ギヤ7は第一部材1の凹部8内に配置されて、第一ギヤ5と噛合うようになる。そして、モータ4の回転駆動力は、第一ギヤ5および第二ギヤ7によって増幅されて減速機2に入力され、入力された回転駆動力は減速機2の内部において更に増幅され、それにより、第二部材3が所定の回転軸回りに揺動するようになっている。
【0007】
さらに、上述した構造においては、第二ギヤ7を第一部材1の凹部8内に配置するように減速機2を第一部材1の壁部1bに結合したとき、減速機2は凹部8の開口8aを塞ぐようになっている。このため、減速機2を第一部材1に結合する前に、第二ギヤ7を減速機2の入力部に予め取付けておく必要がある。したがって、減速比をより大きくするために第二ギヤ7をより大きい径のギヤに変更すると、減速機2を第一部材1に結合するときに、減速機2に取り付けられた第二ギヤ7が第一部材1の壁部1bと干渉する問題が発生する。また、この問題を回避するために、第一部材1における凹部8の開口8aを、減速機2の第一部材1に結合させる部位(以下、結合部と称す。)2aの径Dより大きくしてしまうと、減速機2を第一部材1に結合できなくなる。よって、減速比を変更する場合、第二ギヤ7の外径を減速機2の結合部2aの径Dよりも大きくすることができない。
以上のことから、図4に示された構造においては、第二部材3を駆動するためのトルクを増加させるために減速機2の入力部のギヤ径を拡大してより大きな減速比を設定するには限界がある。
【0008】
これに対し、特許文献1は、モータが収容されたアーム部に減速機が結合される構造において、減速機の本体よりも大きい径のギヤを使用できるように、アーム部の減速機が結合される壁部を分割可能にした構造を開示している。この構造の模式的断面図が図5である。この図5においては、図4に示された構成要素と同様の構成要素には同一符号を付してある。
【0009】
図5に示される構造においては、第一部材1と減速機2との間に、第一部材1と減速機2とを相互に結合する結合プレート10が配置されている。結合プレート10は、第一部材1の壁部1bにボルト6により着脱可能に固定されている。さらに、第一部材1の壁部1bに固定された結合プレート10に減速機2がボルト11により着脱可能に固定されている。
【0010】
さらに、図5に示される構造においては、第一部材1を起点に第二部材3を動かす駆動力は、図5中に破線の矢印で示されるような動力伝達経路12を通る。つまり、モータ4およびギヤ5、7から発生する駆動力は第一部材1から第二部材3にボルト6、結合プレート10、ボルト11、および減速機2を順次経て伝達される。したがって、図5に示される構造の場合、ボルト6、11には、動力伝達に耐えうるものが使用されている。
【0011】
図5に示される構造によると、結合プレート10を介して第一部材1と減速機2とを相互に結合するため、第一部材1の凹部8の開口8aを減速機2の結合部2aの径Dより広げることができる。それにより、第二ギヤ7の外径を減速機2の結合部2aの径Dよりも拡大できるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平8−155881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、図5に示される構造においては、第一部材1と減速機2とを相互に結合する結合プレート10が、第一部材1と減速機2との間の動力伝達経路12を分断する構造となっている。そのため、ボルト6、11に加えて結合プレート10も、動力伝達に耐えうる強度を持つ必要がある。その結果、部品コストや作業工数が増加するといった問題が発生する。
【0014】
また、図5に示されるように、第一部材1の結合プレート10が結合される部位、すなわち凹部8の開口8aの周縁部よりも第二ギヤ7の径を小さくしないと、当該周縁部にプレート10を結合することができない。そのため、図5に示される構造の場合、第二ギヤ7の径を減速機2の結合部2aの径Dよりも拡大できるものの、ギヤ径の拡大は第一部材1における凹部8の開口8aの寸法によって制限されるという新たな問題が発生する。
【0015】
さらに、保守のために第二ギヤ7を交換する場合、比較的重い減速機ならびに減速機に取付けられた第二部材3を第一部材1から取外す必要があるため、第二ギヤ7を容易に交換できないといった問題もある。
【0016】
そこで本発明は、上述したような問題点に鑑み、部品コストや作業工数が増加させることなく、減速機の入力部のギヤの径を自由に設定でき、かつ該ギヤの交換が容易となるロボットの関節構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第一態様によれば、第一部材と、第一部材の壁部の一方の面に結合された減速機であり、該減速機の入力部のシャフトが該壁部を貫通している減速機と、該壁部の一方の面とは反対側に配置されたモータと、モータのシャフトに取付けられた第一ギヤと、入力部のシャフトに取付けられていて第一ギヤに噛合う第二ギヤと、減速機の出力部に取付けられた第二部材と、を備えた、ロボットの関節構造が提供される。
さらに、第一態様によれば、第二ギヤは、減速機の第一部材と結合する結合部の径よりも大きい径を有する。そして、第一部材には、互いに噛合った第一ギヤおよび第二ギヤを収容するギヤ収容部が設けられており、該ギヤ収容部は、互いに噛合った第一ギヤおよび第二ギヤを覆うカバー部材によって形成されており、カバー部材は前記壁部の一方の面とは反対側に配置されるとともに第一部材に着脱可能に固定されていて、モータはカバー部材に保持されている。
【0019】
本発明の第二態様によれば、第一部材と、第一部材の壁部の一方の面に結合された減速機であり、該減速機の入力部のシャフトが該壁部を貫通している減速機と、該壁部の一方の面とは反対側に配置されたモータと、モータのシャフトに取付けられた第一ギヤと、入力部のシャフトに取付けられていて第一ギヤに噛合う第二ギヤと、減速機の出力部に取付けられた第二部材と、を備えた、ロボットの関節構造が提供される。
さらに、第二態様によれば、第二ギヤは、減速機の第一部材と結合する結合部の径よりも大きい径を有し、第一部材には、互いに噛合った第一ギヤおよび第二ギヤを収容するギヤ収容部が設けられている。さらに、第二態様のギヤ収容部は、第一部材と一体成形され、第一ギヤを収容するとともにモータを保持するモータ保持部と、第一部材に着脱可能に固定され、第二ギヤを覆うカバー部と、からなる
【発明の効果】
【0020】
本発明の第一態様によれば、第一部材の壁部の一方の面に減速機が結合されている。モータのシャフトには第一ギヤが取付けられ、該モータは第一部材の壁部の一方の面とは反対側に配置されている。さらに、第一部材には、モータの第一ギヤとこれに噛合う減速機の第二ギヤとを収容するギヤ収容部が設けられている。そして、該ギヤ収容部の少なくとも第二ギヤを覆う部位は第一部材に対して着脱可能である。このため、ギヤ収容部の第二ギヤを覆う部位を第一部材から取外すことにより、減速機を第一部材に結合したままにして減速機の第二ギヤを取外すことができる。
【0021】
また、ギヤ収容部の第二ギヤを覆う部位が第一部材から取外せるので、第二ギヤの取付けは、第一部材に減速機を結合した状態で行える。そのため、第一部材と結合させる減速機の結合部の径を考慮することなく、減速機に取付ける第二ギヤの径を自由に設定することができる。したがって、減速機の結合部よりも大きい径の第二ギヤを使用して、より大きな減速比を設定することができる。
【0022】
さらに、減速機の結合部よりも大きい径の第二ギヤを使用するとき、図5に示される従来技術の構造のように結合プレートを第一部材と減速機との間に配置する必要が無いため、第一部材と減速機との間の動力伝達経路が分断されずに済む。また、結合プレートならびに、結合プレートを第一部材および減速機に締結するボルトが不要となるため、部品コストや作業工数が増加する問題も防ぐことができる。
さらに、保守のために第二ギヤを交換する場合、比較的重い減速機ならびに減速機に取付けられた第二部材を第一部材から取外す必要が無い。ギヤ収容部の少なくとも第二ギヤを覆う部位を取外すだけで第二ギヤの交換が可能であるため、保守性が向上する。
【0023】
さらに、本発明の第一態様によれば、ギヤ収容部は、第一ギヤおよび第二ギヤを覆うカバー部材によって形成されている。このため、ギヤ収容部を第一部材に対して着脱可能とする構成を容易に実現することができる。さらに、保守のために第二ギヤを交換する場合、比較的軽いカバー部材を取外すので、第二ギヤを容易に交換することができる。
【0024】
本発明の第二態様によれば、ギヤ収容部は、モータ保持部と、第二ギヤを覆うカバー部とから構成されている。そして、カバー部は第一部材に着脱可能に固定されているが、モータ保持部は第一部材と一体成形されている。そのため、第一部材に取付けられたモータの位置精度は第一部材のみの精度により決定される。それにより、第一部材に取付けられた部材にモータを保持させる構造と比べ、モータの第一ギヤと減速機の第二ギヤとの軸間距離の精度を確保することが容易である。その結果、駆動ギヤ部のバックラッシが抑えられ、ロボットの動作精度を高めることができる。
【0025】
添付図面に示される本発明の典型的な実施形態の詳細な説明から、本発明のこれらの目的、特徴および利点ならびに他の目的、特徴および利点がさらに明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第一実施形態のロボットの関節構造を模式的に示す断面図である。
図2】第二実施形態のロボットの関節構造を模式的に示す断面図である。
図3】第三実施形態のロボットの関節構造を模式的に示す断面図である。
図4】従来技術におけるロボットの関節構造を模式的に示す断面図である。
図5】従来技術におけるロボットの関節構造の別の構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の図面において、同様の部材には同様の参照符号が付けられている。理解を容易にするために、これらの図面は縮尺を適宜変更している。また、以下の各実施形態において、図4および図5に示された従来技術と同じ構成要素については同じ符号を付して説明することとする。
【0028】
(第一実施形態)
図1は第一実施形態のロボットの関節構造を模式的に示す断面図である。
第一実施形態のロボットの関節構造は、図1に示すように、第一部材1と、第一部材1の壁部1bの一方の面に結合された減速機2と、減速機2に取付けられた第二部材3と、第一部材1の壁部1bの一方の面とは反対側に配置されたモータ4と、を備える。モータ4のシャフトには第一ギヤ5が取付けられている。
【0029】
減速機2としては、遊星歯車減速機、サイクロ(登録商標)減速機、RV(登録商標)減速機、または波動歯車装置などを使用することができる。そのような減速機2は出力部と入力部と固定部とから構成されるが、図1においては減速機2の出力部、入力部、および固定部の各態様は省略されている。
【0030】
第一部材1の壁部1bの一方の面にはボルト6により減速機2が結合されている。減速機2の出力部に第二部材3が取付けられている。減速機2の入力部のシャフト2bには、モータ4の第一ギヤ5と噛合う第二ギヤ7が取付けられている。
【0031】
図1に示されるように、第一部材1の壁部1bには、減速機2のシャフト2bを通すための開口部13が形成されている。開口部13は、減速機2の結合部2aの径Dよりも小さく形成されている。そのため、図1に示すように減速機2を第一部材1の壁部1bに結合したとき、開口部13は減速機2により塞がれる。また、第二ギヤ7は、減速機2を第一部材1の壁部1bに結合した後に、第一部材1の減速機2とは反対側の空間1aから減速機2のシャフト2bに取付けられている。
【0032】
さらに、第一部材1には、第一ギヤ5および第二ギヤ7を収容するギヤ収容部14が設けられている。
本実施形態において、ギヤ収容部14は、図1に示されるように、第二ギヤ7とこれに噛合う第一ギヤ5とを覆うカバー部材として形成されている。そして、ギヤ収容部14であるカバー部材は、第一部材1の減速機2とは反対側の空間1aにおいて、第一部材1の壁部1bにボルト17によって着脱可能に固定されている。
【0033】
ギヤ収容部14には、図1に示されるように、モータ4のシャフトが通過可能な開口部14aが形成されている。そして、第一部材1の減速機2とは反対側の空間1aに配置されたモータ4のシャフトをギヤ収容部14の開口部14aに通過させて、モータ4は開口部14aを塞ぐように開口部14aの周縁部に支持および固定されている。つまり、本実施形態においては、ギヤ収容部14の開口部14aの周縁部は、モータ保持部として形成されている。
【0034】
図1に示されるように減速機2が第一部材1に結合され、かつモータ4がギヤ収容部14に固定されると、モータ4の第一ギヤ5が減速機2の第二ギヤ7と噛合う。そして、モータ4の回転駆動力は、第一ギヤ5および第二ギヤ7によって増幅されて減速機2に入力され、入力された回転駆動力は減速機2の内部において更に増幅される。それにより、第二部材3が所定の回転軸回りに揺動するようになっている。
【0035】
本願においては、ギヤ収容部14と、第一部材1の開口部13を塞いだ減速機2とによって形成される密閉空間に第二ギヤ7が収容されている。第一部材1の減速機2とは反対側の空間1aにおいて、ギヤ収容部14を第一部材1の壁部1bから取外すことが可能である。そのため、減速機2を第一部材1に結合したままにして減速機2の第二ギヤ7を取外すことができる。
【0036】
さらに、本実施形態においては、減速機2により減速される前のモータ4の回転駆動力によって生じる反力のみがギヤ収容部14に掛かる。そのため、ギヤ収容部14を第一部材1の壁部1bに締結するボルト17には比較的小さな固定ボルトを使用することができる。
【0037】
以上に説明した第一実施形態によると、第一部材1を減速機2に結合した後に第二ギヤ7を減速機2の入力部のシャフト2bに取付けて、ギヤ収容部14を第一部材1の壁部1bに固定する。また、ギヤ収容部14を第一部材1の壁部1bから取外した後に、第一部材1を減速機2に結合させた状態で第二ギヤ7を減速機2の入力部のシャフト2bから取外すことができる。つまり、減速機2の入力部のシャフト2bに対する第二ギヤ7の着脱は、第一部材1に減速機2を結合した状態で行える。そのため、第二ギヤ7の径に関して、第一部材1と結合させる減速機2の結合部2aの径Dや、減速機2の入力部のシャフト2bを通過させる開口部13の寸法を考慮することなく、第二ギヤ7の径を自由に設定することができる。
したがって、第二部材3を駆動するためのトルクを増加させるためにより大きな減速比を設定する場合、図1に示されるように第一部材1の開口部13や減速機2の結合部2aよりも大きい径の第二ギヤ7を使用することができる。
【0038】
さらに、上記のように大きな減速比を得るとき、図5に示される従来技術の構造のように結合プレート10を第一部材1と減速機2との間に配置する必要が無い。言い換えれば、第一部材1と減速機2との間の動力伝達経路を分断することなく、減速機2の結合部2aよりも大きい径の第二ギヤ7を使用することができる。また、結合プレート10ならびに、結合プレート10を減速機2に締結するボルト11が不要となるため、部品コストや作業工数が増加する問題も防ぐことができる。
【0039】
さらに、保守のために第二ギヤ7を交換する場合、比較的重い減速機2ならびに減速機2に取付けられた第二部材3を第一部材1から取外す必要が無い。比較的軽いカバー部材からなるギヤ収容部14を取外すことにより、第二ギヤ7の交換が可能である。つまり、ロボットのリンクを構成するベースおよびアーム、ならびに減速機などを取り外すことなく、減速機の入力部のギヤを交換できるため、保守性が向上する。
【0040】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について説明する。ここでは、前述した第一実施形態に対して異なる点を主に説明する。
前述した第一実施形態(図1)においては、第一部材1内にモータ4と減速機2のギヤ7とを配置し、第一部材1を固定して第二部材3を所定の回転軸回りに揺動させる場合の構造を示した。しかし、本願においては、第一部材1と第二部材3とは減速機2を介して相対的に運動する関係にあるため、駆動源は第一部材1または第二部材3のどちらに配置されていてもよい。したがって、第二実施形態においては、被駆動部としての第二部材3内にモータ4と減速機2のギヤ7とが配置された構造を示す。また、特許請求の範囲において「第一部材」および「第二部材」の文言は相互に読替えられるものとする。
【0041】
図2は第二実施形態のロボットの関節構造を示す断面図である。
図2に示されるように、第二実施形態のロボットの関節構造は、第一部材1と、第一部材1に取付けられた減速機2と、減速機2に結合された第二部材3と、第二部材3の減速機2とは反対側に配置されたモータ4と、を備える。モータ4のシャフトには第一ギヤ5が取付けられている。
【0042】
第二部材3の壁部3bにはボルト6により減速機2が結合されている。減速機2の出力部に第一部材3が取付けられている。さらに、図2に示されるように、第二部材3の壁部3bには、減速機2のシャフト2bを通すための開口部13が形成されている。開口部13は、減速機2の結合部2aの径Dよりも小さく形成されている。そのため、図2に示すように減速機2を第二部材3の壁部3bに結合したとき、開口部13は減速機2により塞がれる。また、第二ギヤ7は、減速機2を第二部材3の壁部3bに結合した後に、第二部材3の減速機2とは反対側の空間3aから減速機2のシャフト2bに取付けられている。
【0043】
さらに、第二部材3には、第一ギヤ5および第二ギヤ7を収容するギヤ収容部14が設けられている。
本実施形態において、ギヤ収容部14は、図2に示されるように、第二ギヤ7とこれに噛合う第一ギヤ5とを覆うカバー部材として形成されている。そして、ギヤ収容部14であるカバー部材は、第二部材3の減速機2とは反対側の空間3aにおいて、第二部材3の壁部3bにボルト17によって着脱可能に固定されている。
【0044】
ギヤ収容部14には、図2に示されるように、モータ4のシャフトが通過可能な開口部14aが形成されている。そして、第二部材3の減速機2とは反対側の空間3aに配置されたモータ4のシャフトをギヤ収容部14の開口部14aに通過させて、モータ4は開口部14aを塞ぐように開口部14aの周縁部に支持および固定されている。つまり、第一実施形態と同様に、第二実施形態においても、ギヤ収容部14の開口部14aの周縁部は、モータ保持部として形成されている。
【0045】
図2に示されるように減速機2が第二部材3に結合され、かつモータ4がギヤ収容部14に固定された構成において、モータ4の第一ギヤ5が減速機2の第二ギヤ7と噛合う。そして、モータ4の回転駆動力は、第一ギヤ5および第二ギヤ7によって増幅されて減速機2に入力される。入力された回転駆動力は減速機2の内部において更に増幅され、第一部材1に伝達される。第一部材1と第二部材3とは減速機2を介して相対的に運動する関係にあるため、第一部材1が固定されている場合、第二部材3が所定の回転軸回りに駆動される。
【0046】
本願においては、ギヤ収容部14と、第二部材3の開口部13を塞いだ減速機2とによって形成される密閉空間に第二ギヤ7が収容されている。第二部材3の減速機2とは反対側の空間3aにおいて、ギヤ収容部14を第二部材3の壁部3bから取外すことが可能である。そのため、減速機2を第二部材3に結合したままにして減速機2の第二ギヤ7を取外すことができる。
【0047】
さらに、本実施形態においては、減速機2により減速される前のモータ4の回転駆動力によって生じる反力のみがギヤ収容部14に掛かる。そのため、ギヤ収容部14を第二部材3の壁部3bに締結するボルト17には比較的小さな固定ボルトを使用することができる。
【0048】
以上に説明した第二実施形態においても、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。第二実施形態においては、第二部材3を減速機2に結合した後に第二ギヤ7を減速機2の入力部のシャフト2bに取付けて、ギヤ収容部14を第二部材3の壁部3bに固定する。また、ギヤ収容部14を第二部材3の壁部3bから取外した後に、第二部材3を減速機2に結合させた状態で第二ギヤ7を減速機2の入力部のシャフト2bから取外すことができる。つまり、第二部材3に減速機2を結合した状態で第二ギヤ7を着脱することができる。そのため、第二部材3と結合させる減速機2の結合部2aの径Dや、減速機2の入力部のシャフト2bを通過させる開口部13の寸法を考慮することなく、第二ギヤ7の径は自由に設定することができる。それにより、より大きな減速比の設定が可能となる。
【0049】
また、図5に示される従来技術の構造のように第一部材1と減速機2との結合部に結合プレート10を必要とする構造と比べて、第一部材1と減速機2との間の動力伝達経路を分断することなく、減速機2の結合部2aよりも大きい径の第二ギヤ7を使用することができる。結合プレート10が不要なので、部品コストや作業工数が増加する問題も防ぐことができる。さらに、比較的軽いカバー部材からなるギヤ収容部14を取外すだけで第二ギヤ7を交換できるため、保守性が向上する。
【0050】
(第三実施形態)
次に、第三実施形態について説明する。ここでは、前述した第一実施形態に対して異なる点を主に説明する。
第一実施形態においては、ギヤ収容部14は、図1に示されるように第一ギヤ5と第二ギヤ7とを覆うカバー部材として形成されていて、該カバー部材にモータ4が保持されている。しかし、本発明においては、ギヤ収容部14の少なくとも第二ギヤ7を覆う部位が第一部材1に対して着脱できる構造であれば、ギヤ収容部14はどのような構成であってもよい。そのような構成の一例として、以下の第三実施形態を示す。
【0051】
図3は第三実施形態のロボットの関節構造を示す断面図である。
図3に示されるように、第一部材1には、第一ギヤ5および第二ギヤ7を収容するギヤ収容部14が設けられている。本実施形態において、ギヤ収容部14は、モータ4を保持するモータ保持部15と、第二ギヤ7を覆うカバー部16とからなる。
【0052】
モータ保持部15は、第一部材1と一体成形されるとともに、モータ4の第一ギヤ5を収容できるように形成されている。カバー部16は、モータ保持部15および第一部材1をそれぞれ形成する壁部にボルト18により締結されている。
また、モータ保持部15には、モータ4のシャフトが通過可能な開口部15aが形成されている。そして、第一部材1の減速機2とは反対側の空間1aに配置されたモータ4のシャフトをモータ保持部15の開口部15aに通過させて、モータ4は開口部15aを塞ぐように開口部15aの周縁部に支持および固定されている。開口部15aの周縁部に固定されたモータ4の第一ギヤ5は、モータ保持部15を形成する壁部に囲まれている。
【0053】
図3に示されるように減速機2が第一部材1に結合され、かつモータ4がモータ保持部15に固定された構成において、モータ4の第一ギヤ5が減速機2の第二ギヤ7と噛合う。そして、モータ4の回転駆動力は、第一ギヤ5および第二ギヤ7によって増幅されて減速機2に入力され、入力された回転駆動力は減速機2の内部において更に増幅される。それにより、第二部材3が所定の回転軸回りに揺動するようになっている。
【0054】
本実施形態においては、ギヤ収容部14をモータ保持部15とカバー部16とに分けて構成したため、カバー部16はモータ4から発生される駆動力の影響を受けない。それにより、カバー部16は、第二ギヤ7を覆う機能さえ有ればよく、簡単な板状の形にすることができる。さらに、カバー部16の固定に使用するボルト18も、動力伝達に耐えうるものにする必要がない。
【0055】
また、本願においては、ギヤ収容部14と、第一部材1の開口部13を塞いだ減速機2とによって形成される空間内に第二ギヤ7が収容されている。第一部材1の減速機2とは反対側の空間1aにおいて、ギヤ収容部14のうちのカバー部16を取外し可能である。そのため、減速機2を第一部材1に結合したままにして減速機2の第二ギヤ7を取外すことができる。
【0056】
以上に説明した第三実施形態においても、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。第三実施形態においては、第一部材1を減速機2に結合した後に第二ギヤ7を減速機2の入力部のシャフト2bに取付けて、ギヤ収容部14を第一部材1の壁部1bに固定する。また、ギヤ収容部14を第一部材1の壁部1bから取外した後に、第一部材1を減速機2に結合させた状態で第二ギヤ7を減速機2の入力部のシャフト2bから取外すことができる。つまり、第一部材1に減速機2を結合した状態で第二ギヤ7を着脱することができる。そのため、第一部材1と結合させる減速機2の結合部2aの径Dや、減速機2の入力部のシャフト2bを通過させる開口部13の寸法を考慮することなく、第二ギヤ7の径は自由に設定することができる。それにより、より大きな減速比の設定が可能となる。
【0057】
また、図5に示される従来技術の構造のように第一部材1と減速機2との結合部に結合プレート10を必要とする構造と比べて、第一部材1と減速機2との間の動力伝達経路を分断することなく、減速機2の結合部2aよりも大きい径の第二ギヤ7を使用することができる。結合プレート10が不要なので、部品コストや作業工数が増加する問題も防ぐことができる。さらに、比較的軽いカバー部16を取外すだけで第二ギヤ7を交換できるため、保守性が向上する。
【0058】
さらに、第一実施形態および第二実施形態においては、第一部材1に着脱可能なギヤ収容部14にモータ4が保持されているが、第三実施形態においては、図3に示すようにモータ保持部15が第一部材1と一体成形されている。そのため、第一部材1に取付けられたモータ4の位置精度は第一部材1のみの加工精度により決定される。それにより、第一実施形態または第二実施形態のように第一部材1または第二部材3に取付けられたギヤ収容部14にモータ4を保持させる構造と比べ、第一ギヤ5と第二ギヤ7との軸間距離の精度を確保することが容易である。その結果、駆動ギヤ部のバックラッシが抑えられ、ロボットの動作精度を高めることができる。
つまり、モータ4や減速機2が取付けられる構造部分が複数の部品から構成される場合には、第一ギヤ5と第二ギヤ7との軸間距離の精度は、各部品の寸法精度や部品どうしの組立精度の影響を受けてしまう問題がある。このような問題は第三実施形態においては発生しなくなる。
【0059】
なお、上述した第三の実施形態の構造は、第二実施形態の構造(図2)にも適用できる。
【0060】
以上に説明した各実施形態において、図示した第一部材1または第二部材3の態様はモータ4を第一部材1または第二部材3の内側に配置するような態様となっている。しかし、本発明においては、そのような態様に限定されない。つまり、第一部材1または第二部材3の態様はモータ4を第一部材1または第二部材3の外側に配置するような態様であってもよい。
以上では典型的な実施形態を示したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の思想を逸脱しない範囲で上述の実施形態を様々な形、構造や材料などに変更可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 第一部材
1a 空間
1b 壁部
2 減速機
2a 結合部
3 第二部材
3a 空間
3b 壁部
4 モータ
5 第一ギヤ
6、17、18 ボルト
7 第二ギヤ
13 開口部
14 ギヤ収容部
14a 開口部
15 モータ保持部
15a 開口部
16 カバー部
図1
図2
図3
図4
図5