(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6055049
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】タッチ・スクリーンを備える携帯式コンピュータおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/14 20060101AFI20161219BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20161219BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20161219BHJP
G06F 1/32 20060101ALI20161219BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
G06F3/14 310A
G06F3/01 510
G06F3/041 570
G06F1/32 Z
G06F1/16 312F
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-168392(P2015-168392)
(22)【出願日】2015年8月28日
【審査請求日】2015年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106699
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 弘道
(72)【発明者】
【氏名】小杉 和宏
【審査官】
山崎 慎一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−085946(JP,A)
【文献】
特開2014−102801(JP,A)
【文献】
特開2014−063221(JP,A)
【文献】
特開2008−250835(JP,A)
【文献】
特開2005−236969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/14
G06F 3/01
G06F 3/041
G06F 1/16
G06F 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タブレット・モードとラップトップ・モードとで使用することが可能な携帯式コンピュータであって、
ディスプレイと、
前記ディスプレイに積層したタッチ・パネルと、
前記タブレット・モードまたは前記ラップトップ・モードへの切り換えを検出するモード・センサと、
筐体に発生した揺動を検出する揺動センサと、
前記モード・センサの出力から前記タブレット・モードを認識しさらに前記揺動センサの出力から所定の範囲の揺動を認識して前記ディスプレイの表示を停止する制御部と
を有する携帯式コンピュータ。
【請求項2】
前記制御部は、前記ディスプレイの表示を停止する際に前記タッチ・パネルの動作も停止する請求項1に記載の携帯式コンピュータ。
【請求項3】
前記制御部は、前記所定の範囲の揺動が消滅したと認識したときに前記ディスプレイおよび前記タッチ・パネルを動作させる請求項2に記載の携帯式コンピュータ。
【請求項4】
前記携帯式コンピュータのシステムは、前記ディスプレイおよび前記タッチ・パネルを動作させる際にパスワードを要求しない請求項3に記載の携帯式コンピュータ。
【請求項5】
前記制御部は、前記ディスプレイの表示を停止してから前記所定の範囲の揺動が所定の時間継続したときに、前記携帯式コンピュータをサスペンド状態に遷移させる請求項1に記載の携帯式コンピュータ。
【請求項6】
ディスプレイと該ディスプレイに積層したタッチ・パネルとを備える携帯式コンピュータであって、
前記ディスプレイの表面の水平面に対する傾斜角を検出する傾斜センサと、
筐体に発生した揺動を検出する揺動センサと、
前記傾斜センサの出力から所定の範囲の傾斜角を認識しさらに前記揺動センサの出力から所定の範囲の揺動を認識して前記ディスプレイの表示を停止する制御部と
を有する携帯式コンピュータ。
【請求項7】
前記携帯式コンピュータが、ラップトップ・モードとタブレット・モードとで動作可能なノートブック型パーソナル・コンピュータの少なくとも一部を構成し、
前記タブレット・モードまたは前記ラップトップ・モードへの切り換えを検出するモード・センサをさらに備え、
前記制御部は、前記傾斜センサの出力から所定の範囲の傾斜角を認識し、前記揺動センサの出力から所定の範囲の揺動を認識し、さらに前記モード・センサの出力から前記タブレット・モードを認識して前記ディスプレイの表示を停止する請求項6に記載の携帯式コンピュータ。
【請求項8】
前記制御部は、前記ディスプレイの表示を停止する際に前記タッチ・パネルの動作も停止する請求項6または請求項7に記載の携帯式コンピュータ。
【請求項9】
前記所定の範囲の傾斜角が90度を含む請求項6に記載の携帯式コンピュータ。
【請求項10】
前記揺動センサが角加速度を検出する3軸のジャイロ・センサで、前記制御部は前記傾斜センサの出力に基づいて波形分析するための前記ジャイロ・センサの検出軸を選択する請求項6に記載の携帯式コンピュータ。
【請求項11】
前記制御部は、前記ジャイロ・センサの出力波形からゼロ・クロス・ポイントとピーク・ポイントを結ぶ直線の角度を計算して、前記所定の範囲の揺動を認識する請求項10に記載の携帯式コンピュータ。
【請求項12】
前記制御部は、前記ジャイロ・センサの出力波形から隣接する前記ピーク・ポイント間の時間を計算して前記所定の範囲の揺動を認識する請求項11に記載の携帯式コンピュータ。
【請求項13】
前記揺動センサが加速度センサで、前記制御部は前記加速度センサが検出する振動数が所定値以上のときに前記所定の範囲の揺動を認識する請求項6に記載の携帯式コンピュータ。
【請求項14】
ディスプレイと該ディスプレイに積層したタッチ・パネルとを備え、タブレット・モードとラップトップ・モードとで使用できる携帯式コンピュータの動作を制御する方法であって、
前記タブレット・モードに移行したことを検出するステップと、
前記タブレット・モードにおいて筐体に発生する所定の範囲の揺動から前記携帯式コンピュータが歩行するユーザに保持されていることを認識するステップと、
前記認識に応じて前記ディスプレイの動作を停止するステップと
を有する方法。
【請求項15】
ディスプレイと該ディスプレイに積層したタッチ・パネルとを備える携帯式コンピュータの動作を制御する方法であって、
前記ディスプレイの表面の水平面に対する傾斜角度を検出するステップと、
筐体に発生した揺動を検出するステップと、
所定の範囲の前記傾斜角度と所定の範囲の前記揺動を認識したときに前記ディスプレイの動作を停止するステップと
を有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯式コンピュータが備えるタッチ・スクリーンの動作を制御する技術に関し、さらには、歩行中の消費電力の低減および誤入力の防止を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ノートブック型パーソナル・コンピュータ(ノートPC)は一般的に、ディスプレイを収納するディスプレイ筐体とキーボードを搭載するシステム筐体がヒンジ機構で結合されている。ある主のノートPCは、ディスプレイに代えてタッチ・スクリーンを収納したディスプレイ筐体を所定の角度だけ開いて使用するラップトップ・モード、または、さまざまな方法でタッチ・スクリーンが上向きになるようにシステム筐体に対するディスプレイ筐体の姿勢を変化させたタブレット・モードのいずれかで使用できる。タブレット・モードでは筐体がシステム筐体の分だけ厚くなるが、専用のタブレット端末のように筐体を手で保持しながらタッチ・スクリーンを操作して使用することができる。このようなノートPCはコンパーチブル型のコンピュータともいわれる。
【0003】
特許文献1は、ディスプレイに積層したタッチ・パネルが操作できる状態でタブレットPCを移動させるときに、自動的にタッチ・パネルの入力を禁止にして、不意のペンタッチによりパワー・セーブ・モードを維持できなくなる状態を防ぐ発明を開示する。同文献は、加速度でタブレットPCが移動状態であることを検出してタッチ・パネルを停止することを記載する。
【0004】
特許文献2は、ノートブック・モードとタブレット・モードのいずれかに切り換えて使用できるコンパーチブル型の情報処理装置において、CPU性能および冷却ファン性能を制御する発明を開示する。同文献は、開閉センサがタブレット・モードへの切り換えを検出したときに、CPU性能および冷却ファン性能を低下させることを記載する。
【0005】
特許文献3は、ノート・モードとタブレット・モードを備えるコンパーチブル型の情報処理装置が、開閉スイッチや回転スイッチでモードの判定をしてそれぞれのモードに適するようにユーザ・インターフェースを切り換える発明を開示する。特許文献4は、リッド・センサと加速度センサの出力でノートPCを保持するユーザが移動中であることを検出したときに、通常状態よりも消費電力が小さく、かつ、サスペンド状態よりも消費電力が大きい疑似サスペンド状態に遷移させて消費電力を低減する発明を開示する。同文献は疑似サスペンド状態でディスプレイの電源を停止することを記載する。
【0006】
特許文献5は、ユーザがノートPCを持ちながら移動する際の一時的に利用不可の状態を移動モードとして定義してデバイスを制御する発明を開示する。同文献は、蓋体が閉じられたときには通常のサスペンドを行わないで移動モードで定義したデバイスだけを停止することを記載する。また同文献は、移動モードの状態が一定時間継続すると通常のサスペンド状態に遷移することを記載する。さらに同文献は、移動モードから通常動作モードへ移行する際にはパスワードを要求しないことを記載する。特許文献6は、タッチ・パネル式の表示部を備える携帯端末装置の傾きを検出して画面の表示位置を移動させる発明を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−87076号公報
【特許文献2】特開2014−78199号公報
【特許文献3】特開2008−77688号公報
【特許文献4】特開2008−129833号公報
【特許文献5】特開2005−352897号公報
【特許文献6】特開2015−144025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ユーザは、コンパーチブル型のノートPCを、ラップトップ・モードまたはタブレット・モードのいずれかで使用した直後に持ち運ぶことがある。ラップトップ・モードで使用しているときはリッド・クローズにして持ち運ぶことができるため、システムはリッド・クローズを検出してタッチ・スクリーンの動作を停止することができる。また、専用のタブレット端末では、タッチ・スクリーンの表面を覆う専用のカバーでタッチ・スクリーンの動作を停止させたり機械式ボタンでロック画面を表示したりすることができる。
【0009】
これに対してタブレット・モードで使用しているときは、持ち運びのためにラップトップ・モードに切り換えてからリッド・クローズにすることは面倒であり、かつ、タブレット・モードは筐体が持ち運びに適した状態であるため、ユーザはタッチ・スクリーンが動作した状態の筐体を抱えて移動することがある。このとき、タッチ・スクリーンを使用していないにもかからず無駄な電力を消費したり、筐体を抱える指が不用意に触れて誤入力が発生したりする。また、コンパーチブル型のノートPCでは構造上、専用のカバーを設けることが困難である。
【0010】
ノートPCに機械式ボタンを設けてタブレット・モードのときにサスペンド状態に遷移させることも考えられる。ここで、企業で使用するノートPCには、サスペンド状態からレジュームする際のパスワードを設定することが要求される。機械式ボタンでサスペンド状態に遷移させると、ユーザはパスワード入力が面倒で復帰までの待ち時間にも煩わしさを感じる。このことは、ユーザがパワー・オン状態でノートPCを抱えながら移動することの原因にもなり得る。
【0011】
ユーザは、タブレット・モードまたはラップトップ・モードのノートPCを保持しながら歩行してタッチ・パネルの操作をすることもある。また、ラップトップ・モードのときには、歩行中であってもタッチ・スクリーンを動作させておきたい場合が多い。特許文献1の方法では、このようなときもタッチ・パネルが停止するため操作できなくなる。したがって、加速度センサで移動を検出してタッチ・パネルを停止する場合には、さらに、ラップトップ・モードでは停止しないで、タブレット・モードでかつ使用していない可能性が高いときだけ停止するほうが都合がよい。
【0012】
そこで本発明の目的は、タッチ・スクリーンを備える携帯式コンピュータの無駄な電力消費を抑制することにある。さらに本発明の目的は、タッチ・スクリーンを備える携帯式コンピュータに対する誤入力を防止することにある。さらに本発明の目的は、ユーザが使用していないときだけタッチ・スクリーンの動作を停止することにある。さらに本発明の目的は、セキュリティ上の問題を生じないようにしながら無駄な電力消費の抑制および誤入力の防止を図ることにある。さらに本発明の目的は、特別な操作をしないで無駄な電力消費の抑制および誤入力の防止を図ることにある。さらに本発明の目的は、そのような目的に適応する携帯式コンピュータ、および制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様は、タブレット・モードとラップトップ・モードとで使用できる携帯式コンピュータを提供する。携帯式コンピュータは、ディスプレイと、ディスプレイに積層したタッチ・パネルと、タブレット・モードまたはラップトップ・モードへの切り換えを検出するモード・センサと、筐体に発生した揺動を検出する揺動センサと、モード・センサの出力からタブレット・モードを認識しさらに揺動センサの出力から所定の範囲の揺動を認識してディスプレイの表示を停止する制御部とを有する。
【0014】
タブレット・モードと所定の範囲の揺動の認識を条件にディスプレイが停止するため、カバーを設けることができない携帯式コンピュータであっても、タブレット・モードでの移動中にディスプレイの表示を停止して消費電力の低減を図ることができる。制御部はディスプレイの表示を停止する際にタッチ・パネルの動作を停止するようにしてもよい。これによって、タブレット・モードでの移動中にタッチ・パネルに対する誤入力を防止することができる。
【0015】
制御部は、所定の揺動が消滅したと認識したときにディスプレイおよびタッチ・パネルを動作させることができる。このときシステムは、パスワードを要求しないようにすることができる。したがって、揺動の検出だけでパワー・オン状態とディスプレイおよびタッチ・パネルが停止した状態を遷移させることができるため、ユーザにとって負担の少ない制御ができる。特にユーザが携帯式コンピュータを保持しながら短時間だけ移動するような場合に、特別な操作をしないでも消費電力の低減と誤入力の防止を図ることができる。制御部は、ディスプレイの表示を停止してから所定の揺動が所定の時間継続したときに、携帯式コンピュータをサスペンド状態に遷移させることができる。したがって、移動時間が長くなるときに一層の消費電力の低減を図ることができる。
【0016】
本発明の第2の態様は、ディスプレイと、ディスプレイに積層したタッチ・パネルとを備える携帯式コンピュータを提供する。携帯式コンピュータは、ディスプレイの表面の水平面に対する傾斜角を検出する傾斜センサと、筐体に発生した揺動を検出する揺動センサと、傾斜センサの出力から所定の範囲の傾斜角を認識し、さらに揺動センサの出力から所定の範囲の揺動を認識したときにディスプレイの表示を停止する制御部とを有する。
【0017】
ユーザは、携帯式コンピュータを使用しながら歩行するときは、一般的にディスプレイの表面を水平に保つようにして筐体を保持する。また、ユーザが使用しない携帯式コンピュータを保持しながら歩行するときは、ディスプレイの表面を水平面に対して傾斜させた方が安定した保持がし易い。上記構成によれば、携帯式コンピュータを使用しながら歩行している場合はディスプレイを停止しないで、使用しないで歩行する場合にだけディスプレイを停止することができる。制御部は、ディスプレイの表示を停止する際にタッチ・パネルの動作を停止するようにしてもよい。
【0018】
揺動センサが角加速度を検出する3軸のジャイロ・センサで、制御部は傾斜センサの出力に基づいて波形分析するためのジャイロ・センサの検出軸を選択するようにしてもよい。検出軸を絞り込むことで、ジャイロ・センサの波形を分析するためのプロセッサの消費電力を低減することができる。制御部は、ジャイロ・センサの出力波形からゼロ・クロス・ポイントとピーク・ポイントを結ぶ直線の角度を計算して、所定の範囲の揺動を認識することができる。
【0019】
制御部は、ジャイロ・センサの出力波形から隣接するピーク・ポイント間の時間を計算して所定の範囲の揺動を認識することができる。揺動センサが加速度センサのときは、制御部は加速度センサが検出する振動数が所定値以上のときに所定の範囲の揺動を認識することができる。携帯式コンピュータは、ラップトップ・モードまたはタブレット・モードで動作可能なノートブック型パーソナル・コンピュータの一部を構成するものであってもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、タッチ・スクリーンを備える携帯式コンピュータの無駄な電力消費を抑制することができた。さらに本発明により、タッチ・スクリーンを備える携帯式コンピュータに対する誤入力を防止することができた。さらに本発明により、ユーザが使用していないときだけタッチ・スクリーンの動作を停止することができた。さらに本発明により、セキュリティ上の問題を生じないようにしながら無駄な電力消費の抑制および誤入力の防止を図ることができた。さらに本発明により、特別な操作をしないで無駄な電力消費の抑制および誤入力の防止を図ることができた。さらに本発明により、そのような目的に適応する携帯式コンピュータ、および制御方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】マルチ・ユース・モードを備える携帯式コンピュータ100の外形を示す斜視図である。
【
図2】ラップトップ・モードからタブレット・モードに変更するときの様子を説明するための図である。
【
図3】携帯式コンピュータ100の概略の構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】ユーザが携帯式コンピュータ100を保持するときの様子を説明するための図である。
【
図5】タッチ・スクリーンの動作を制御する手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】タッチ・スクリーンの動作を制御する他の手順を示すフローチャートである。
【
図8】歩行状態を検出する一例を説明するための図である。
【
図9】マルチ・ユース・モードの携帯式コンピュータ500の使用モードを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[マルチ・ユース・モードを備える携帯式コンピュータ]
図1は、使用のモードとして少なくともラップトップ・モードとタブレット・モードを有し、ラップトップ・モードとタブレット・モードのいずれかの使用モードで使用することができる携帯式コンピュータ100の一例を説明するための斜視図である。
図2は、ラップトップ・モードからタブレット・モードに切り換えるときの様子を説明するための図である。
図3は、携帯式コンピュータ100の概略のハードウェア構成を説明するための機能ブロック図である。
【0023】
キーボード109およびタッチ・パッド111を表面に実装するシステム筐体105の端部には、支持部材107がヒンジ機構107a、107bで結合している。支持部材107にはタッチ・スクリーン103を収納するディスプレイ筐体101が着脱可能なように装着されている。支持部材107は、ディスプレイ筐体101の装着の有無および支持部材107に対する表裏の方向を検出する方向センサ113を含む。
【0024】
ディスプレイ筐体101とシステム筐体105は、ヒンジ機構107a、107bを通過するリード線で電気的に接続されている。システム筐体105には、平面に対してX−Y軸を定義し、X−Y平面に垂直にZ軸を定義している。システム筐体105の側面には電源ボタン117が取り付けられている。
図1は、キーボード109およびタッチ・パッド111から入力することができるラップトップ・モードを示している。ラップトップ・モードでは一般的なノートPCと同じようにヒンジ機構107a、107bを都合のよい角度まで回動させて使用する。システム筐体105は、支持部材107が閉じられた状態と開かれた状態を検出する開閉センサ115を含む。
【0025】
図2(A)は、支持部材107から取り外したディスプレイ筐体101を、表裏が逆になるように180度回転させて背面がキーボード側を向くようにしてから、再び支持部材107に装着するときの様子を説明するための図である。
図2(B)は、背面を向けて装着したディスプレイ筐体101を、背面がキーボード109に対向するまで、ヒンジ機構107a、107bを閉じるように回転させてタブレット・モードにした様子を示している。タブレット・モードでは、キーボード109とタッチ・パッド111がディスプレイ筐体101の裏に隠れるため、ユーザはタッチ・スクリーン103から指先またはスタイラス・ペンで入力する。
【0026】
本発明にかかる携帯式コンピュータは、ラップトップ・モードとタブレット・モードの切り換えを、
図2に示した着脱方式以外のさまざまな方式を採用することができる。たとえば、ディスプレイ筐体がシステム筐体上に敷いたレール上をスライドする方式でもよい。また、2軸のヒンジ機構でディスプレイ筐体とシステム筐体の中央部を結合し、閉じたディスプレイ筐体を最初に水平軸を中心に90度まで回転させ、つづいて垂直軸を中心に180度回転させてから閉じることで
図2(B)のような方式にするものでもよい。
【0027】
ラップトップ・モードとタブレット・モードを備える携帯式コンピュータは、それ以外の使用モードを備えるものであってもよい。たとえば、
図9に示すマルチ・ユース・モードの携帯式コンピュータ500は、タッチ・スクリーン503を収納するディスプレイ筐体501とキーボード507を搭載するシステム筐体505が、ヒンジ機構で結合している。
【0028】
携帯式コンピュータ500はディスプレイ筐体501を開閉角度θが0度から360度までの間のいずれかまで回動させて、クローズ・モード、ラップトップ・モード、テント・モード、スタンド・モード、およびタブレット・モードのいずれかの使用モードで使用できる。
図9(A)は、開閉角度θが0度に対応するクローズ・モードを示している。クローズ・モードでは、携帯式コンピュータ500がパワー・オフ状態またはサスペンド状態に遷移して動作を停止したり、外部ディスプレイ、外部マウス、および外部キーボードなどを接続して動作したりする。クローズ・モードのときに、タッチ・スクリーン103だけが停止するような設定をすることもできる。
【0029】
図9(B)〜
図9(D)は、開閉角度θを所定の範囲にし、かつ、筐体の天地方向を変えた使用モードを示している。
図9(B)はラップトップ・モードを示し、
図9(C)はテント・モードを示し、
図9(D)はスタンド・モードを示している。テント・モードとスタンド・モードは、ディスプレイ筐体501の天地方向が異なる。
図9(E)は、開閉角度θが360度のタブレット・モードを示している。
【0030】
図3において、I/Oコントローラ207には、CPU201、ビデオ・コントローラ205、ファームウェアROM207、HDD211、およびエンベデッド・コントローラ(EC)213が接続されている。CPU201には、システム・メモリ203が接続され、ビデオ・コントローラ205にはタッチ・スクリーン103を構成するフラット・パネル型のディスプレイ103bが接続されている。タッチ・スクリーン103は一例において、ディスプレイ103bと透明なタッチ・パネル103aを積層した構造を採用している。本発明においてタッチ・パネルの検出原理は特に限定する必要はない。
【0031】
HDD211は、アプリケーション、OS、およびデバイス・ドライバなどのCPU201が実行するプログラムを格納する。ファームウェアROM207は、BIOSまたはUEFIといったシステム・ファームウェアを格納する。EC213は、CPU、ROM、RAM、およびプログラマブルなロジック回路などで構成されたマイクロ・コンピュータで、CPU201とは独立して動作して主として携帯式コンピュータ100の温度や電源を管理する。EC213には、加速度センサ217、ジャイロ・センサ219、方向センサ113、開閉センサ115、タッチ・パネル・コントローラ221、キーボード109、タッチ・パッド111、電源ボタン117、DC/DCコンバータ225の信号線および電源ユニット227の信号線が接続されている。
【0032】
加速度センサ217およびジャイロ・センサ219はそれぞれ、ステム筐体105に定義した3軸方向の加速度および角加速度を検出するセンサである。加速度センサ217およびジャイロ・センサ219は、筐体に発生する揺動を検出することが可能な揺動センサの例示であり本発明の適用において特に限定する必要はない。ここに揺動は、静止に対立する概念で運動する物体の振動数、変位、速度または加速度などの物理量で検出できる。揺動はまた、回転する物体の角速度または角加速度の物理量で特定できる。方向センサ113は、ディスプレイ筐体101の支持部材107に対する装着の有無、およびディスプレイ筐体101が装着されたときに、
図1に示すラップトップ・モードまたは
図2(B)に示すタブレット・モードに対応する方向を検出する。
【0033】
開閉センサ115は、ディスプレイ筐体101が閉じられたときに動作する。方向センサ113および開閉センサ115は、相手方の磁石で反応するホール素子を利用したホール・センサで構成することができるが、機械スイッチのような他の方式のセンサを利用することもできる。また、取り付け場所も特に限定する必要はない。方向センサ113と開閉センサ115は、使用モードを判定するためのモード・センサを構成する。EC213は、方向センサ113と開閉センサ115の出力からラップトップ・モードとタブレット・モードのいずれかの使用モードを特定することができる。
【0034】
DC/DCコンバータ225は、EC213の指示で動作して各デバイスに所定の電圧の電力を供給する。電源ユニット227は、電池、充電器、AC/DCアダプタなどを含み、DC/DCコンバータ225に電力を供給する。EC213はROMに、加速度センサ217、ジャイロ・センサ219、方向センサ113、および開閉センサ115の出力に基づいて、システム・ファームウェアと協働してタッチ・パネル103aおよびディスプレイ103bの動作を制御するファームウェア213aを格納する。ファームウェア213aは、EC213のMPUが実行する。他の例では、タッチ・パネル103aおよびディスプレイ103bの動作を制御するプログラムの少なくとも一部をHDD211に格納して、CPU201が実行するようにしてもよい。
【0035】
EC213は、ファームウェア213aが利用する制御レジスタ213bおよびタイマー213cを含む。ファームウェア213aは、方向センサ113および開閉センサ115の出力から認識した使用モードに対応するモード・フラグを制御レジスタ213bに設定する。ファームウェア213aは、一定時間観測した加速度センサ217の3軸の出力からタッチ・スクリーン103の表面の水平面に対する所定の範囲の傾斜角を認識したときに制御レジスタ213bに傾斜フラグを設定し、傾斜が停止したときに傾斜フラグをクリアする。ファームウェア213aは、一定時間観測した加速度センサ217またはジャイロ・センサ219のいずれかの検出軸の出力から所定の範囲の揺動を認識したときに制御レジスタ213bに揺動フラグを設定し、揺動が停止したときに揺動フラグをクリアする。
【0036】
ファームウェア213aは、加速度センサ217の出力から認識したタッチ・スクリーン103の姿勢に基づいて選択したジャイロ・センサ219の検出軸の出力波形を分析する。ファームウェア213aは、一定時間観測した出力波形を分析して携帯式コンピュータを抱えたユーザが歩行していると認識したときに、制御レジスタ213bに歩行フラグを設定し、歩行が停止したと認識したときに歩行フラグをクリアする。システム・ファームウェアは、制御レジスタ213bにアクセスしてビデオ・コントローラ205およびタッチ・パネル・コントローラ221の動作を制御する。
【0037】
[タブレット・モードでの移動]
図4は、タブレット・モードの携帯式コンピュータ100をユーザが保持するときの様子を説明する図である。携帯式コンピュータ100は、ACPIが規定するパワー・オン状態(S0)のときにサスペンド状態(S3)ステートに遷移させることができる。
【0038】
サスペンド状態では、CPU201を含めてシステム・メモリ203が記憶するデータ保持に必要なデバイス以外の電力が停止する。多くの企業では業務に使用する携帯式コンピュータにはサスペンド状態に遷移したときにレジューム時のパスワードを設定することを義務づけている。ユーザは、タブレット・モードの筐体が手に保持し易いため、近い距離を移動するような場合は、パワー・オン状態のままで
図4(A)のように片手に抱えることが多い。
【0039】
このときタッチ・スクリーン103は動作しているため、使用していないにもかかわらず無駄に電力を消費し、かつ、意図しないタッチ操作でタッチ・パネル103に誤入力が発生することがある。ラップトップ・モードでも使用する携帯式コンピュータ100には、専用のタブレット端末のようにカバーを設けることも困難である。他方ユーザは
図4(B)に示すように、携帯式コンピュータ100を水平に保持しながらタッチ・スクリーン103に対して操作したり、画面を見続けていたりする。このときユーザが歩行している場合と立ち止まっている場合を想定できる。
【0040】
[第1の実施例]
図5は、携帯式コンピュータ100がタッチ・スクリーン103の動作を制御する手順を示すフローチャートである。ブロック301で携帯式コンピュータ100がラップトップ・モードまたはタブレット・モードで動作している。ファームウェア213aは、方向センサ113および開閉センサ115の出力に基づいて、制御レジスタ213bにモード・フラグを設定している。ブロック303でファームウェア213aは制御レジスタ213bを参照して使用モードを認識する。
【0041】
ブロック305でモード・フラグを参照したファームウェア213aが、タブレット・モードと判断したときはブロック307に移行し、それ以外と判断したときはブロック303に戻る。タブレット・モード以外の使用モードは、いずれの使用モードも判断できない場合や、
図10を参照して説明した他のいずれかの使用モードの場合を含む。したがって、ラップトップ・モードのときは、以下の手順を適用しないため所定の範囲の揺動があってもタッチ・スクリーン103の動作は停止しない。
【0042】
ブロック307でファームウェア213aは、加速度センサ217またはジャイロ・センサ219のいずれかの検出軸の出力から所定の範囲の揺動の有無を判断する。タブレット・モードに移行した後に揺動を判断するための処理をすることで、ラップトップ・モードのときに、加速度センサ217、ジャイロ・センサ219およびEC213による揺動の判断のための電力消費を防ぐことができる。
【0043】
揺動は、ユーザが椅子に座った状態および立った状態でも発生するが、このような場合はユーザが携帯式コンピュータ100を使用している可能性が高い。また、保持しながら歩行している状態では使用していない可能性が高い。したがって、所定の範囲の揺動は、椅子に座った状態または立った状態から、歩行している状態が区別できる程度の大きさの振動振幅または角加速度とすることができる。
【0044】
所定の揺動は、加速度センサ217の出力から計算した所定の閾値以上の振動振幅、または、ジャイロ・センサ219の出力から計算した所定の閾値以上の角速度または角加速度とすることができる。所定の揺動があることで、ファームウェア213aは携帯式コンピュータ100が歩行するユーザに保持されていると推定することができる。
【0045】
所定の範囲の揺動があると判断したときは、ファームウェア213aはブロック309で制御レジスタ213bに揺動フラグを設定し、CPU201に割り込みをかけてファームウェアROM207に格納するシステム・ファームウェアに制御を移す。システム・ファームウェアは制御レジスタ213の揺動フラグを参照するとビデオ・コントローラ205およびタッチ・パネル・コントローラ221にアクセスしてディスプレイ103bおよびタッチ・パネル103aの動作を停止する。
【0046】
このときディスプレイ103bおよびタッチ・パネル103aの両方を同時に停止する必要はなく、ファームウェア213aはディスプレイ103bまたはタッチ・パネル103aのいずれか一方だけを停止してもよいし、時間的に前後して両方を停止するようにしてもよい。両方を停止するときの順番は、いずれを先にしてもよい。ディスプレイ103bを停止することでユーザが使用していない可能性が高い状況での消費電力を低減し、タッチ・パネル103aを停止することで誤入力を防止することができる。このとき使用率が低下したCPU201は、独自のアルゴリズムでパワー・セーブ・モードに入ることができるが動作は停止しないため、処理するプロセスが発生するとアクティブ・モードに遷移することができる。
【0047】
ブロック311でファームウェア213aは、タイマー213cの計時を開始する。ブロック313でファームウェア213aが所定の範囲の揺動が停止したと判断したときはブロック331に移行し、揺動が継続していると判断したときはブロック315に移行する。ブロック331でファームウェア213aは、タイマー213cをリセットして、CPU201の制御権をシステム・ファームウェアに渡す。
【0048】
ブロック333でシステム・ファームウェアは、ブロック309で停止したディスプレイ103bおよびタッチ・パネル103aまたはいずれか一方を復帰する。この間の動作をOSは認識しないため、OSは復帰の際のパスワード認証を要求しない。携帯式コンピュータ100は揺動が停止するとユーザが特別な操作をしないでもパワー・オン状態に復帰するため、タッチ・スクリーン103をユーザにとってシームレスに制御することができる。
【0049】
ファームウェア213aはブロック315で、タイマー213cに設定した時間が経過したと判断したときに、ブロック317でI/Oコントローラ207のACPIレジスタに遷移先のパワー・ステート(S3)を設定してCPU201に割り込みをかける。このときファームウェア213aは、制御レジスタ213bの揺動フラグをクリアする。
【0050】
OSはCPU201のレジスタや各デバイスのコントローラの揮発性メモリが記憶するシステム・コンテキストをシステム・メモリ203に待避してEC213に移行準備完了の通知をする。移行準備完了の通知を受け取ったファームウェア213aは、DC/DCコンバータ225に指示して、システム・メモリ203の記憶保持に必要なデバイス以外のデバイスの電源を停止する。このときEC213はCPU201の電源も停止する。
【0051】
したがって、ユーザが比較的長い時間携帯式コンピュータ100を保持しながら歩行しているような場合は、より消費電力の小さいサスペンド状態に遷移させて消費電力の一層の低減を図ることができる。ブロック319でユーザが電源ボタン117を操作するとウェイク・イベントが生成される。ウェイク・イベントを受け取ったファームウェア213aはブロック321でDC/DCコンバータ225に指示して、停止していたデバイスに電源を供給しパワー・オン状態に遷移させる。このとき、ユーザがパスワード設定していれば、OSはパスワード認証を要求する。
【0052】
[第2の実施例]
ユーザは、
図4(B)に示すように携帯式コンピュータ100を保持して使用しながら、ゆっくりと歩行することもある。揺動だけでタッチ・スクリーン103を停止すると、ユーザが使用している場合も停止してしまう可能性がでてくる。
図6は、ユーザが使用していないことをより正確に判断してタッチ・スクリーン103の動作を制御する手順を示すフローチャートである。
図6の手順は、ラップトップ・モードで使用することのない専用のタブレット端末や、システム筐体105から取り外したディスプレイ筐体101を独立したタブレット端末として動作させる場合にも適用できるが、ここでは、タブレット・モードに切り換えられた携帯式コンピュータ100を例示して説明する。
【0053】
ブロック401で携帯式コンピュータ100がタブレット・モードで動作している。ブロック401で携帯式コンピュータ100がタブレット・モードで動作していることは、上記第1の実施形態における、ブロック303及びブロック305と同様の手順で判断される。ブロック403でファームウェア213aは、加速度センサ217の出力からタッチ・スクリーン103の表面の水平面に対する傾斜角を計算する。
図7はタブレット・モードでの携帯式コンピュータ100の傾斜角を説明するための図である。傾斜角度αはタッチ・スクリーン103の表面が水平のときを0度としたときの角度とする。
【0054】
ここでファームウェア213aは、閾値として下限の傾斜角α1と上限の傾斜角α2を設定することができる。傾斜角α1〜α2の範囲は、
図4(A)のように筐体を保持する状態を想定している。
図4(A)のように保持するときの傾斜角度αは90度の近辺にあることが多いため、傾斜角α1と傾斜角α2の範囲に90度を含むようにすることもできる。また傾斜フラグをクリアするためにファームウェア213aは、傾斜角度αが0度を含む範囲に上限の傾斜角α3と下限の傾斜角α4を設定することができる。
【0055】
ファームウェア213aは一定の時間傾斜角αを観測して、α1≦α<α2の範囲と判断したときは制御レジスタ213bに傾斜フラグを設定してブロック405に移行する。ブロック405でファームウェア213aは、波形を分析するジャイロ・センサ219の検出軸を決定する。ユーザが
図4(B)のように保持する場合に、縦長に保持する場合と横長に保持する場合がある。保持の仕方でいずれかの検出軸に二足歩行に特徴的な波形の特徴点が現れる。ファームウェア213aは、3つの検出軸のすべてについて波形分析をしてもよいが、特定の検出軸に絞り込むことで計算のためのEC213の消費電力を低減できる。
【0056】
ユーザは、タブレット・モードの携帯式コンピュータ100を支持物に立てかけて使用している場合がある。したがって傾斜角αが、α1≦α<α2の範囲にあることだけで使用していないと判断することはできない。また、歩行中はユーザが携帯式コンピュータ100を使用していない可能性が高い。ブロック407でファームウェア213aは、携帯式コンピュータ100を抱えたユーザが歩行しているか否かを判断する。
【0057】
歩行を判断する1つの方法は、システム・ファームウェア213aが、ブロック405で選択されたジャイロ・センサ219の所定の検出軸の出力波形からユーザが歩行中であることを認識する。
図8は、ジャイロ・センサ219のいずれかの検出軸が出力した角加速度の出力波形450を示している。ファームウェア213aは、出力波形450のゼロ・クロス・ポイントc1、c2、・・・を検出し、さらにピーク・ポイントp1、p2、・・・を検出する。ファームウェア213aは、ゼロ・クロス・ポイントとピーク・ポイントを通過する立ち上がり直線451a、451bを計算してから、それらの角度θ1、θ2、・・・を計算する。
【0058】
またファームウェア213aは、隣接するピーク・ポイントp1、p2,・・・間の周期t1、t2、・・・を計算する。ピーク・ポイント間の周期t1、t2・・・および立ち上がり直線の角度θ1、θ2は、それぞれ歩行するユーザに抱えられた携帯式コンピュータ100に発生する角加速度に対して二足歩行に起因する特徴情報を与える。実験によりピーク・ポイント間の周期および直線の角度は、携帯式コンピュータを抱えたユーザが車両で移動する場合と歩行する場合を明瞭に区別できることがわかっている。なお、ピーク・ポイント間の周期および角度のいずれか一方だけを利用して歩行を判断してもよい。
【0059】
歩行を判断する他の例では、システム・ファームウェア213aは、加速度センサ217のいずれかの検出軸の出力から歩行を認識することができる。ユーザが歩行中に筐体に与える振動の振動数は、立ち止まっているときや椅子に座っているときに与える振動数よりも高い場合が多い。また、加速度センサ217の出力波形から
図8を参照して説明した方法で立ち上がり直線の角度を計算したり、隣接するピーク・ポイント間の周期を計算したりして歩行を判断するようにしてもよい。ファームウェア213aは一定の時間について計算した振動数で歩行の有無を認識することができる。歩行を認識したファームウェア213aは、制御レジスタ213bに歩行フラグを設定してブロック409に移行する。
【0060】
ブロック409でシステム・ファームウェアが
図5のブロック309と同じ手順でタッチ・スクリーン103を停止する。ブロック411で制御レジスタ213bを参照したファームウェア213aが、歩行が終了したと判断したときは歩行フラグをクリアしてブロック421に移行し、歩行が継続していると判断したときはブロック413に移行する。
【0061】
ブロック421でファームウェア213aは、
図5のブロック333と同じ手順でタッチ・スクリーン103を動作させる。ブロック413で制御レジスタ213bを参照したファームウェア207は、傾斜がなくなったと判断したときに傾斜フラグをクリアしてブロック421に移行し、傾斜が継続していると判断したときはブロック409に戻る。
図6の手順によれば、
図4(B)のようにユーザが歩行しながら携帯式コンピュータを使用しているときはタッチ・スクリーン103が停止しない。
図6の手順に対しても
図5に示したブロック311、ブロック315〜321の手順を適用することができる。
【0062】
これまで本発明について図面に示した特定の実施の形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られたいかなる構成であっても採用することができることはいうまでもないことである。
【符号の説明】
【0063】
100 携帯式コンピュータ
101 ディスプレイ筐体
103 タッチ・スクリーン
105 システム筐体
107 支持部材
107a、107b ヒンジ機構
109 キーボード
111 タッチ・パッド
113 方向センサ
115 開閉センサ
【要約】
【課題】携帯式コンピュータの消費電力を低減する。
【解決手段】携帯式コンピュータ100は、タッチ・スクリーン103で入力するタブレット・モードとキーボードで入力が可能なラップトップ・モードのいずれかで使用できる。ユーザはタブレット・モードで動作中の携帯式コンピュータを手に抱えて移動することが多い。このとき、携帯式コンピュータは使用されていないにもかかわらずタッチ・スクリーン103が動作して無駄な電力の消費や誤入力が発生する。システムは、タブレット・モードを検出し、かつ、所定の揺動を検出したときに、タッチ・スクリーンを停止する。
【選択図】
図4