(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記鋳造部から前記凝固部に前記鋳片を搬送したり、前記凝固部から前記凝固部の外部に前記鋳片を搬送したりする搬送器が配設されたことを特徴とする請求項1に記載の鋳造設備。
前記溶鋼を鋳造する過程が1回のみ行われる単一鋳造である場合、前記鋳片は鋳造部において凝固を終えるか、あるいは、前記凝固部に搬送された後に凝固を終えることを特徴とする請求項11に記載の鋳造方法。
【背景技術】
【0002】
一般に、極厚鋼材は、100mm以上の厚さを有し、その使用用途に応じて、圧下比(鋳片の厚さ/製品の厚さ)に制限をおいて空隙率などの内部品質及び衝撃、靭性などの機械的物性値を管理している。例えば、海洋構造用鋼には圧下比4以上の極厚鋼材が求められ、圧力用及び風力構造用鋼などには3以上の圧下比が求められる。
現在、極厚鋼材は、インゴット又は連続鋳造法によって生産された鋳片に鍛造及び熱間圧延などの所定の後工程を施して製造している。このとき、前者のインゴットを用いて極厚鋼材を製造する場合、インゴットを鍛造処理して極厚鋼材の製品を製造するか、あるいは、追加の圧延工程を採用する。特に、高い圧下比を必要とする極厚鋼材は内部品質が重要視されるため、ほとんどの場合にインゴットを用いて鋳造した鋳片を鍛造作業した後に、圧延工程を施して製造する。
【0003】
このようにインゴットを用いて鋳造した鋳片を用いて極厚鋼材を製造する場合には、高い圧下比を有する極厚鋼材の生産に対応可能であり、極厚鋼材の需要の特性からみて、少量生産に有利である。しかしながら、インゴットを用いて鋳造した鋳片には、押湯部及び注湯部に発生する不健全部位を除去するために不健全部位の切断が求められる。この理由から、鋳片の上下部領域の切断によって鋳片の実際の歩留まりが悪くなって極厚鋼材を生産するための生産コストが高騰する。
一方、後者の連続鋳造法によって生産される鋳片を用いて極厚鋼材を製造する場合には、一般に、連続鋳造された鋳片を圧延する方式により極厚鋼材を製造する。この方式は、インゴットを用いる場合に比べて、実際の歩留まりが非常に優れているので、生産コストの側面からみて卓越した方式であるといえるが、高い圧下比を必要とする鋼種を生産する場合には、制限された鋳片の厚さによって極厚鋼材の厚さもまた制限されてしまうという問題がある。
【0004】
また、極厚鋼材は相対的に通常の鋳片に比べて厚いため、鋳造されてから鋳片が完全に凝固するまでに長時間がかかる。もし、溶鋼を連続鋳造して切断する既存の鋳造法を用いて、通常の連続鋳造機から生産される通常の鋳片の厚さよりも厚い極厚鋼材用鋳片を生産する場合には、鋳片の内部まで凝固してから切断工程を行うためには連続鋳造機設備が非常に長くなり、これは、設備の大型化につながり、その結果、膨大な生産コストがかかる。
さらに、インゴット材料に比べて鋳片の内部欠陥の発生確率が高いため、極厚鋼材の製品にも連続鋳造鋳片の内部欠陥が残存している可能性が高い。なお、鋳片の生産のための連続鋳造設備は大量生産向けに最適化されているため少量生産には不利であるという問題がある。
【0005】
この理由から、通常の鋳造設備においては生産し難い、高い圧下比を有する極厚鋼材用鋳片の製造のための新規の設備及び工程の開発が切望されている。すなわち、鋼の品質の側面からみて、インゴットを用いて鋳造した鋳片に等しいか又はそれ以上の内部品質及び実際の歩留まりが得られ、生産性の側面からみて、多種多様な極厚鋼材の少量生産に有利であり、しかも、インゴットを用いて鋳造した鋳片の生産性に比べて高い生産性が得られる設備及び工程が求められる。
しかし、厚物材の場合、厚さの中心部まで硬度を確保するために多量の合金元素を添加すると、溶接時に溶接熱が影響する部分などに亀裂が発生しやすくなる。特に、厚物材は、溶接時に発生する亀裂を抑制するために材料を高温で予熱しなければならないため、溶接性が悪化し、結局、溶接費用が増加して使用に制限が生じる。これは溶接性に優れた耐摩耗鋼の厚物化への大きな障害として認識されている。また、硬化能を増加させるために添加されるCr、Ni、Mo等は高価な元素であるため、多くの製造費用がかかるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、極厚鋼材用鋳片が製造し易い鋳造設備及びこれを用いた鋳造方法を提供する。
本発明は、鋳片の品質及び実際の歩留まりを増加させることのできる鋳造設備及びこれを用いた鋳造方法を提供する。
本発明は、鋳片の生産性及び工程設備の効率性を増加させることのできる鋳造設備及びこれを用いた鋳造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態による鋳造設備は、溶鋼
が経由する通路が形成
され、溶鋼を鋳片に鋳造するための鋳造部と、
鋳造部と画成されて、鋳造部から離れて配置され、鋳造部において鋳造された鋳片を受け取って凝固させる凝固部と、を備え、鋳造部が、溶鋼の鋳造が終わった鋳片を凝固部に引き渡すプッシャーを備え、凝固部が、鋳造部から離れて配置され、
プッシャーにより鋳造部から
分離された鋳片を受け取り、鋳片の側面のうちの少なくとも一つに配置されて鋳片を支持する支持部と、鋳片の外側に配設されて
凝固部に引き渡された鋳片内の未凝固の溶鋼を攪拌しながら鋳片の凝固を誘導する第1の品質制御器と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
第1の品質制御器は、鋳片の外側に近付くように配置されて鋳片の長手方向に昇降可能な第1の攪拌器と、第1の攪拌器の下部に離れて配設され、鋳片の長手方向に昇降可能な第2の攪拌器と、鋳片の直上部の領域に進退可能なように設けられて、鋳片の上部を加熱する第1の加熱器と、を備えていてもよい。
第1の攪拌器は、鋳片の周りに巻装されたコイルが円形状に配置されてもよい。
鋳造部は、溶鋼が収容される空間を有する収容部と、収容部から鋳片を下方に引き抜く引抜器と、通路の外側に配設される第2の品質制御器と、を備えていてもよい。
【0009】
収容部は、ターンディッシュに供給された溶鋼が通過する経路を形成する鋳型を備え、鋳型は、鋳片が800mm以下の厚さ及び2000mm以下の幅を有するように形成されてもよい。
第2の品質制御器は、鋳型の外側に配置されて、溶鋼及び鋳片内の未凝固の溶鋼のうちの少なくとも一つを攪拌するための一つ以上の攪拌器を有する攪拌ユニットと、鋳型の直下部の領域に進退可能なように設けられて鋳片の上部を加熱する第2の加熱器と、を備えていてもよい。
攪拌ユニットは、鋳型に近付くように配置されて、鋳片の引抜方向に昇降可能な第3の攪拌器と、第3の攪拌器の下部に離れて配設され、鋳片の引抜方向に昇降可能な第4の攪拌器と、を備えていてもよい。
【0010】
第3の攪拌器は、鋳型の周り又は鋳片の周りに巻装されたコイルが円形状に配置されてもよい。
プッシャーは、凝固部に向かって前後方向に往復移動が可能なように設けられてもよい。
鋳造設備には、鋳造部から凝固部に鋳片を搬送したり、凝固部から凝固部の外部に鋳片を搬送したりする搬送器が配設されてもよい。
【0011】
本発明の実施形態による鋳造方法は、溶鋼を設けて鋳造を準備する過程と、溶鋼が経由する通路を開放及び閉鎖可能にした鋳造部において、溶鋼を鋳造する過程と、鋳造によって製作された鋳片を凝固部に搬送して凝固させる過程と、凝固部における鋳片の凝固が終わった後に、鋳片を後工程に搬送する過程と、
を含み、
鋳造部において溶鋼を鋳造する過程は、鋳造部の収容部に溶鋼を注入し、溶鋼を凝固させて鋳片を鋳造する過程と、収容部において溶鋼を凝固させる間に、溶鋼を攪拌する過程と、収容部から鋳片を引き抜く過程と、を含み、
鋳片を凝固部に搬送して凝固させる過程は、鋳造部において鋳造された鋳片を鋳造部と画成されて鋳造部から離れて配置された凝固部に搬送する過程と、凝固部に引き渡された鋳片内の未凝固の溶鋼を攪拌しながら凝固させる過程と、を含むことを特徴とする。
鋳片を凝固部に搬送した後に、鋳造部において溶鋼の鋳造過程が繰り返し行われてもよい。
【0012】
溶鋼を鋳造する過程が繰り返し行われる場合、鋳片を凝固部に搬送する過程は、鋳造部に溶鋼が搬送されて鋳造の準備する過程が行われる間に行われてもよい。
溶鋼を鋳造する過程が1回のみ行われる単一鋳造である場合、鋳片は鋳造部において凝固を終えるか、あるいは、凝固部に搬送された後に凝固を終えてもよい。
溶鋼は、1分当たりに0.3m以下の鋳速にて鋳造されてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の実施形態による鋳造設備及びこれを用いた鋳造方法によれば、連続鋳造によって生産される鋳片の実際の歩留まりを向上させることができる。すなわち、鋳造部において鋳造された鋳片を鋳造部又は凝固部において凝固させるとき、第2の加熱器又は第1の加熱器を用いて鋳片の上部の凝固を遅延することにより、鋳片の上部に生じるパイプの長さを短縮させて鋳片の実際の歩留まりを向上させることができる。
また、鋳造に際しては、鋳型内に残留する溶鋼を攪拌して内部品質を向上させ、鋳造が終わった後には鋳片内の未凝固の溶鋼を攪拌して鋳片の等軸晶率の増大、偏析/空隙率の低減を図ることができ、しかも、鋳片の末端部に発生するパイプなどの内部欠陥を低減することができる。
さらに、本発明は、凝固部において鋳片の凝固が行われる間に鋳造部において他の鋳片を連続的に鋳造することができる。したがって、極厚鋼材用鋳片の凝固にかかる時間を凝固部を設けることにより短縮することができ、これにより、溶鋼の鋳造作業が中断されないことから、鋳片の生産性及び工程設備の効率性を増加させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面に基づき、本発明の実施形態を詳述する。しかしながら、本発明は、後述する実施形態に何ら限定されるものではなく、互いに異なる種々の形態で実現される。これらの実施形態は、単に、本発明の開示を完全なものにし、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。図中、同じ符号は、同じ要素を示す。
図1は、本発明の実施形態による鋳造設備を示す図であり、
図2は、本発明の実施形態による鋳造方法を示す手順図である。また、
図3乃至
図8は、
図2の鋳造方法による鋳造設備の作動状態を示す図である。このとき、
図3乃至
図8は、鋳片を生産するための作動する鋳造設備の変化を順次に示す。
【0016】
図1に示したとおり、本発明の実施形態による鋳造設備1は、極厚鋼材用鋳片を生産するための設備であり、溶鋼が経由する通路を形成し、溶鋼を鋳片に鋳造するための鋳造部1aと、鋳造部1aとは離れて配置され、鋳造部1aから鋳片を受け取り、鋳片の側面のうちの少なくとも一箇所に配置されて鋳片を支持する支持部500と、鋳片の外側に配設されて鋳片の凝固を誘導する第1の品質制御器600と、を有する凝固部1bを備える。
鋳造部1aは、精錬された溶鋼の連続鋳造が行われる区間であり、溶鋼が収容される収容部100と、収容部100から鋳片を下部に引き抜く引抜器200と、溶鋼が経由する通路の外側に配設される第2の品質制御器300と、を備える。
収容部100は、溶鋼の鋳造が始まるまで溶鋼を収容する空間を形成し、溶鋼が収容される取鍋120と、取鍋120から溶鋼の供給を受けるターンディッシュ140及びターンディッシュ140の下部にターンディッシュ140と離れて配置される鋳型160を備える。
【0017】
取鍋120は、精錬が終わった溶鋼を収容するための容器であり、溶鋼が収容可能な内部空間が形成された中空状であれば種々の形状に製作が可能である。一般に、取鍋120は、連続鋳造設備の循環率を高めるために複数設けられる。
ターンディッシュ140は、取鍋120から供給される溶鋼を内部に収容可能な中空の容器状に製作される。また、ターンディッシュ140の底面部には溶鋼が排出される排出口が形成されて、排出口を介してターンディッシュ140内に収容された溶鋼が外部に排出される。このとき、ターンディッシュ140に収容された溶鋼は所定の時間だけターンディッシュ140内に留まることにより、溶鋼内に含まれている介在物が浮上して分離された後に鋳型160に注入される。
鋳型160は、ターンディッシュ140から注入される溶鋼を適正な大きさに形状化させて鋳片に製作するために配設されるものであり、鋳型160は、溶鋼が通過する経路の幅及び厚さを形成する。このとき、本発明の鋳型160は、極厚鋼材用鋳片の大きさに対応して、鋳片が800mm以下の厚さ及び2000mm以下の幅を有するように形成される。すなわち、従来の鋳造設備の鋳型に比べて大幅に厚肉化された鋳型160を用いることにより、鍛造工程及び圧延工程を経た鋳片に極厚鋼材用の厚さを持たせる。
【0018】
一方、鋳型160を介して初期のシェルが形成された鋳片を鋳型160の外部に導くガイドロール170と、ガイドロール170から導かれた鋳片を冷却させる冷却ノズル(図示せず)及び鋳型内の鋳片が鋳型160の外部に引き抜き易いように鋳型160に振動を伝える振動器(図示せず)が配設されてもよい。このとき、ガイドロール170と、冷却ノズル及び振動器の構成は本発明において特定の構成に制限する必要がなく、その様々な構成及び作動方法は当業者に既に公知の技術であるためその詳細な説明を省く。
引抜器200は、収容部100から鋳片を下部に引き抜くための装置であり、最初に鋳型の内部に配置され、溶鋼を受け取ったとき鋳型160下部への溶鋼の流出を防ぎ、初期に凝固された鋳片を駆動器240と連結する定盤220と、鋳片を下部に引き抜く駆動器240と、を備える。
定盤220は、鋳片と駆動器240を連結するために配設されるものであり、鋳片と連結し易くするために特定の形状の面を有するプレートが用いられる。
本発明における定盤220の形状及び材質には特に制限がないが、鋳片と接触したときに高温の鋳片により変形が発生しない材質によって製作されることが好ましい。
【0019】
駆動器240は、定盤220を下降させるための装置であり、駆動器240と連結された定盤220が下降することにより、定盤220と連結された鋳片が下部に引き抜かれる。駆動器240は、鋳片が引き抜かれるときには下方に下降し、鋳造が始まる初期には定盤220を鋳型160内の底に位置させるために上昇可能な装置が用いられる。すなわち、駆動器240としては、昇降可能な装置が用いられる。
第2の品質制御器300は、引抜器200から引き抜かれた鋳片の品質を向上させるために配設されるものであり、鋳型160の外側に配置されて鋳型160内の溶鋼及び鋳片内の未凝固の溶鋼のうちの少なくとも一方を攪拌するための一つ以上の攪拌器を有する攪拌ユニット320及び鋳型160の直下部の領域に進退可能に設けられて鋳片の上部を加熱する第2の加熱器340を備える。
攪拌ユニット320は、鋳型160の外側に一つ以上の攪拌器を備えて鋳片の品質を向上させるための装置であり、鋳型160に近付くように配置されて鋳片の引抜方向に昇降可能な第3の攪拌器322と、第3の攪拌器322の下部に離れて配設され、鋳片の引抜方向に昇降可能な第4の攪拌器324と、を備える。すなわち、攪拌ユニット320は、鋳型160内に溶融状態で収容された溶鋼及び製造された鋳片内の未凝固の溶鋼のうちの少なくとも一方を攪拌して鋳片の組織を微細化させて鋳片の品質を高める。
【0020】
第3の攪拌器322は、
図1に示したとおり、鋳型160の側面に所定の距離だけ離れて配置され、鋳造中には鋳型160内に収容された溶鋼を攪拌する。
また、鋳造が始まると、鋳片とともに所定の距離だけ下降して鋳片内の未凝固の溶鋼を攪拌する。すなわち、第3の攪拌器322は、鋳型160に溶鋼が注入されると、鋳型160の側面から溶鋼に電磁気を流して溶鋼を攪拌し、鋳型160内への溶鋼の注入が終わると、鋳片とともに下部に下降しながら鋳片の内部の未凝固の溶鋼を攪拌する。このとき、第3の攪拌器322として、電磁気攪拌装置(EMS;Electro Magnetic Stirrer)の使用が可能である。このとき、第3の攪拌器322として使用可能な電磁気攪拌装置は、通常、低い領域帯の周波数Hzを有し、これは、溶融状態の溶鋼を攪拌させるのに十分な周波数である。
第4の攪拌器324は、第3の攪拌器322の下部に所定の距離だけ離れて配設され、鋳片の引抜方向に昇降しながら鋳片内の未凝固の溶鋼を攪拌する。このとき、第4の攪拌器324として、凝固末期電磁攪拌装置(FEMS;Final Electro Magnetic Stirrer)の使用が可能である。第4の攪拌器324は相対的に第3の攪拌器322に比べて下部に配置され、鋳片の凝固がある程度行われた鋳片の下部領域(鋳片の長手方向を基準として中心からの下部領域)の凝固部位内に存在する溶鋼を攪拌しなければならないため、第3の攪拌器322よりも高い周波数(Hz)を有する攪拌装置が用いられることが好ましい。
このように、攪拌ユニット320は、鋳型内の凝固済みの溶鋼及び鋳片内の未凝固の溶鋼を攪拌することにより鋳片内の等軸晶率を増大させることができ、偏析及び空隙が発生することを低減することができる。一方、本発明においては、第3の攪拌器322及び第4の攪拌器324が攪拌する鋳片の攪拌部位及び攪拌器が上昇及び下降する昇降幅を何ら限定せず、鋳造条件に応じてその移動範囲を多様化させて運用することができる。
【0021】
第2の加熱器340は、鋳型160の外側に配置され、鋳型の直下部領域(鋳片の引抜方向の経路)に前進及び後退可能なように設けられて鋳造された鋳片の上部(テール部)を加熱するための装置であり、この実施形態においては、誘導加熱による方式の誘導加熱装置(EMH:Electro Magnetic Heater)を用いている。第2の加熱器340は、電源の供給によって誘導加熱コイルから発せられる電磁気を用いて鋳片の上部側面を間接的に加熱し、鋳片の4方向の側面に所定の間隔だけ離れて囲繞するように巻装される。
このため、第2の加熱器340としては、鋳片の断面形状に対応する形状を有する誘導コイルが用いられることが好ましいが、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、種々の形状に巻装可能である。
一方、鋳造部1aには、溶鋼の鋳造が終わった後に鋳片を凝固部1bに引き渡すためのプッシャー400が配設されてもよい。
プッシャー400は、鋳造部1aの側面のうち凝固部1bと向かい合う個所に配置され、鋳片の側面を押し出して引抜器200から鋳片を取り外して凝固部1b側に鋳片を引き渡す装置である。このとき、プッシャー400としては、所定の距離を往復移動する装置が使用可能であり、例えば、ステッピングモーター、ピストンシリンダー機構、ソレノイドなどが使用可能である。例えば、プッシャー400としてピストンシリンダー機構を用いる場合、ピストンがシリンダーの内部に挿入、又はシリンダーの内部から引き出されて往復運動することにより、鋳片を凝固部1bに向かって押し出した後に再び元の状態に戻る。このとき、鋳造部1aの鋳片を凝固部1bに引き渡す装置は、プッシャー400に限定されず、種々の装置が使用可能である。
【0022】
凝固部1bは、上述した鋳造部1aから鋳造された鋳片を凝固させるために鋳片を受け取るものであり、鋳片の側面のうちの少なくとも一つに配置されて鋳片を支持する支持部500と、鋳片の外側に配設されて鋳片の凝固を誘導する第1の品質制御器600と、を備える。凝固部1bは、鋳造部1aから所定の距離だけ離れた個所において鋳片を受け取り、鋳片の凝固を終えた後に後工程(例えば、鍛造又は圧延)に鋳片を搬送する。
支持部500は、鋳片を凝固部1bに安定的に位置させるために配設されるものであり、鋳片の下部に接触されて配置される支持ブロック520と、鋳片の側面の一部を囲繞するように配置される支持フレーム540と、を備える。しかしながら、支持部500の構成はこれに何ら限定されるものではなく、第1の品質制御器600の移動に邪魔にならない範囲内において種々の装置及び方法を用いて鋳片を支持することができる。
支持ブロック520としては、鋳造部1aの定盤220と略同じ形状のブロックが用いられる。支持ブロック520は、引抜方向、すなわち、長手方向に凝固部1bに配置される鋳片の下部を受け止める役割をする。
【0023】
支持フレーム540は、長手方向に配置される鋳片が転倒することを抑制及び防止するために鋳片の側面に所定の距離だけ離れて、
図1に拡大して示したとおり、鋳片の側面の一部を囲繞するように配置される。
第1の品質制御器600は、鋳片の外側に配設されて鋳片の品質を確保するための装置であり、鋳片の外側に近付くように配置されて鋳片の長手方向に昇降可能な第1の攪拌器620と、第1の攪拌器620の下部に離れて配設され、鋳片の長手方向に昇降可能な第2の攪拌器640及び鋳片の上部を加熱する第1の加熱器660を備える。すなわち、自然に冷却される鋳片の凝固が終わっていない状態であるため、第1の品質制御器600は、鋳造部1aと同一又は類似の装置を備えて鋳片の品質を向上させるための処理工程を持続することができる。
第1の攪拌器620は、凝固部1bに引き渡された鋳片内の未凝固の溶鋼を攪拌するための装置であり、鋳片から所定の距離だけ離れて配置される。第1の攪拌器620は、鋳造部1aの第3の攪拌器322と同一又は類似の高さに配置された状態で鋳片が凝固部1bに引き渡されれば下降して鋳片の側面に配置されるように昇降自在に設けられる。第1の攪拌器620は、鋳片の外側の上部に配置される。すなわち、鋳片の長手方向を基準として鋳片の中心よりも上部に配置される。このとき、第1の攪拌器620が攪拌する鋳片の上部の未凝固領域は、相対的に鋳片の下部よりも凝固があまり行われていない状態であるため、鋳片の下部領域に比べて鋳片内の未凝固の溶鋼を多量含む。このため、第3の攪拌器322と略同じ電磁気攪拌装置(EMS)が使用可能である。
【0024】
一方、第1の攪拌器620は、第3の攪拌器322と略同じ装置が用いられるが、第1の攪拌器620及び第3の攪拌器322が発生する周波数の大きさ又は作動時間はそれぞれ異なる。すなわち、第3の攪拌器322は、鋳型160内の溶鋼を攪拌したり、固相化された初期の鋳片の内部の溶鋼を攪拌したりするため、約1Hz以内の周波数を採用する。このとき、第3の攪拌器322は、鋳型160に溶鋼が注入され、溶鋼が鋳片に鋳造されて凝固部1bに搬送されるまで作動する。第1の攪拌器620は、凝固部1bに引き渡された鋳片の特性上、鋳型がなく、鋳造部において鋳造された鋳片よりも厚い凝固シェルを形成しているため、第1の攪拌器620の磁場が厚くなった凝固シェルを通過して鋳片内の未凝固の溶鋼を攪拌するためには最大5Hzの周波数を使用して鋳片の鋳造が終わるまで作動する。しかしながら、鋳造状況及び鋳造条件に応じて鋳片の凝固状態は様々であるため、第3の攪拌器322及び第1の攪拌器620で使用する周波数は、0〜5Hzの範囲で様々な運転パターンで行われる。また、
図6の凝固部1bに配設された第1の攪拌器620は、凝固部1bにおいて鋳片を凝固させるとき、鋳片内の未凝固の溶鋼を攪拌して鋳片内の未凝固の溶鋼の温度を均一にし、第1の加熱器660が鋳片の上部の側面を加熱して鋳片の上部が先に凝固することを防止して鋳片内のパイプ欠陥を低減するために非常に効率よく作用する。同様に、
図8の鋳造部1aに配設された第3の攪拌器322は、鋳造部1aにおいて鋳片を凝固させるとき、鋳片内の未凝固の溶鋼を攪拌して鋳片内の未凝固の溶鋼の温度を均一にし、また、第2の加熱器が鋳片の上部の側面を加熱して鋳片の上部が先に凝固されることを防いで鋳片内のパイプ欠陥を低減するときに非常に効率よく作用する。
【0025】
第2の攪拌器640は、第1の攪拌器620の下部に所定の距離だけ離れて配設され、鋳片の長手方向に昇降自在に設けられて鋳片内の未凝固の溶鋼を攪拌する。すなわち、第2の攪拌器640は、鋳片の長手方向を基準として鋳片の中心よりも下部に配置され、所定の時間の間に凝固が行われた鋳片の外側の下部領域内の未凝固の溶鋼を攪拌するために第4の攪拌器324と略同じ凝固末期電磁攪拌装置(FEMS;Final Electro Magnetic Stirrer)の使用が可能であるが、第2の攪拌器640及び第4の攪拌器324が発生する周波数の大きさ又は作動時間はそれぞれ異なる。すなわち、第4の攪拌器324は、鋳造部1aにおいて凝固が行われている鋳片内の未凝固の溶鋼を攪拌するために、最大で3Hzの周波数を使用する。このとき、第4の攪拌器324は、鋳造部1aにおいて鋳造された鋳片が凝固部1bに搬送されるまで作動する。第2の攪拌器640は、凝固部1bに引き渡された鋳片の特性上、鋳造部において鋳造された鋳片よりも厚い凝固シェルを形成しているため、最大6Hzの周波数を使用して鋳片の鋳造が終わるまで作動する。しかしながら、鋳造状況及び鋳造条件に応じて鋳片の凝固状態は非常に様々であるため、第4の攪拌器324及び第2の攪拌器640の採用周波数は、0〜6Hzの範囲において様々な運転パターンを有する。
一方、この実施形態においては、第1の攪拌器620及び第2の攪拌器640が複数配設されてそれぞれ鋳片の異なる領域内の未凝固の溶鋼を攪拌することを開示しているが、凝固部1bにおいて鋳片内の未凝固の溶鋼を攪拌する装置及び方法はこれに限定されない。すなわち、一つの攪拌器が配設され、攪拌器の周波数が変更されながら鋳片の上部から下部までの全領域を攪拌する様々な方法及び装置の形状に変更可能である。
【0026】
このように、第1の攪拌器620及び第2の攪拌器640は、凝固部1bに引き渡された鋳片が凝固が終わるまで溶鋼を攪拌することにより、鋳造部1aの攪拌ユニット320と同様に、鋳片内の等軸晶率を増大させることができ、偏析及び空隙が発生する度合いを低減して鋳片の品質を高めることができる。
一方、本発明に使用された第3の攪拌器322及び第1の攪拌器620は、既存の連続鋳造機に使用された鋳型よりもそのサイズが大幅に増加されて、鋳型内の溶鋼の均一な攪拌力の確保のために、鋳型160の周り又は鋳片の周りに巻装されたコイルを円形状に配置して鋳型内又は鋳片内の未凝固の溶鋼に回転状の攪拌を施す。
第1の加熱器660は、鋳片の外側から、鋳片の上部を加熱するために鋳片の直上部領域に前進及び後退可能なように設けられて凝固部1bに引き渡された鋳片の上部(テール部)を加熱するための装置である。第1の加熱器660は、装置の構成及び効果が上述した第2の加熱器340と略同じであるためその詳細な説明を省く。
上述した鋳造設備1には、鋳造部1aから凝固部1bに鋳片を搬送し、且つ、凝固部1bから凝固部1bの外部、すなわち、後工程に鋳片を搬送する搬送器が配設されてもよい。
【0027】
搬送器700は、凝固部1bの一方の側に配置されて、鋳造部又は凝固部に向かって進退自在に形成されて、鋳片を搬送するための装置である。搬送器700は、鋳造部1aにおいて鋳片に接触して鋳片を傾けさせたり、鋳片を鋳造部1aから凝固部1bに運んだりするためのチルト部720と、チルト部720の動作を制御する駆動部740と、を備える。
チルト部720は、鋳片の一方の側に配置され、駆動部によって傾けさせ又は前進後退しながら鋳片を移動させるものであり、凝固部1bの支持ブロック520を連結して鋳片を搬送する。すなわち、チルト部720の一方の側に鋳片を支持する支持ブロック520が連結され、支持ブロック520の上に鋳片が配置されて鋳片を鋳造部1aから凝固部1bに搬送することができる。チルト部720は、凝固部1bから凝固部の外部に鋳片を搬送するときには、チルト部720の一方の側に鋳片が接触した状態でチルト部720が傾き、搬送方向に配置されたチルト部の上に鋳片が載置されるようにする。このとき、チルト部720と鋳片が接触する側面には、鋳片を搬送し易いようにローラー725が取り付けられてもよい。
【0028】
駆動部740は、チルト部720の動作を制御するものであり、チルト部720が前進及び後退しながら鋳造部1aに近付けたり鋳造部1aから遠ざけたりする。また、駆動部740は、チルト部720を傾けてチルト部720及び鋳片を後工程に導くローラーテーブル800を連通させる。このとき、駆動部740としては、鋳造部1aのプッシャー400のように所定の距離を往復移動する装置が使用可能であり、例えば、ピストンシリンダー機構が用いられる場合、ピストンの一方の端にチルト部720が角度調節自在に連結される。
このように、この実施形態においては、鋳片を搬送する搬送器700として上記の如き方法及び装置を用いているが、搬送器700に用いられる装置及び作動方法はこれに何ら限定されるものではなく、鋳造部1aから凝固部1bに鋳片を搬送したり、凝固部1bから後工程に鋳片を搬送したりするときに鋳片を搬送し易い種々の装置及び方法が使用可能である。
【0029】
以下、上述した鋳造設備を用いた鋳造方法について説明する。
図2に示したとおり、本発明の実施形態による鋳造方法は、溶鋼を設けて鋳造を準備する過程と、溶鋼が経由する通路を開放及び閉鎖可能にする鋳造部において溶鋼を鋳造する過程と、鋳造によって製作された鋳片を凝固部に搬送する過程と、を含む。
まず、精錬が終わった溶鋼は取鍋120に収容された後、鋳造を始めるために鋳造部に搬送される。鋳造部に搬送された溶鋼は、取鍋120からターンディッシュ140に供給された後、ターンディッシュ140内において所定の時間だけ介在物を浮上させて分離した後に鋳型に注入することにより、鋳造部1aにおける工程が行われる(S100)。このとき、
図3に示したとおり、鋳型内に定盤220を位置させて鋳型160に注入された溶鋼が外部に排出されることを遮断した状態で鋳造の準備を終える(S120)。
【0030】
鋳造の準備が終わった後、
図4に示したとおり、引抜器200が作動して定盤220を下降させ、定盤220と連結された鋳片S1が下方に引き抜かれながら鋳造が始まって鋳片が生産される(S140)。このとき、鋳造が始まる前に、第3の攪拌器322を作動させて鋳型内の溶鋼を攪拌する。生産される鋳片は、最大の厚さ800mm及び最大の幅2000mmを有し、1分当たりに0.3m以下の鋳速にて鋳造される。これは、極厚鋼材の特性上、厚肉化された最終製品を得るために鋳片が厚肉化された鋳型160を用いなければならず、1分当たりに0.3mの低い鋳速にて鋳造する理由は、厚肉の極厚鋼材用鋳片は凝固速度が通常の鋳片とは異なり遅いため、低い鋳速にて鋳造して偏析などの発生を抑えて内部品質を確保し、鋳造する間に十分な厚さの凝固シェルを確保する必要があるためである。
鋳造が行われる間に、第3の攪拌器322は持続的に鋳型内の溶鋼を攪拌し続け、鋳片の厚さが厚いという特性を有するところから、鋳片の内部の未凝固の溶鋼は第4の攪拌器324によって持続的に攪拌され続けて凝固が行われる。このように第3の攪拌器322及び第4の攪拌器324は溶鋼を持続的に攪拌し続けることにより、鋳片の組織を微細化させて鋳片の品質及び鋳片の等軸晶率も向上させることができる。
【0031】
鋳造部1aにおける鋳造が終わると(S160)、鋳造部1aに配設された鋳片S1はプッシャー400によって定盤から取り外され、搬送器700に支持されて凝固部に移動する(S200)。このとき、鋳片S1は、プッシャー400による押付け力を受けたとき、変形しない程度に表面が凝固した状態で凝固部1bに搬送される。一方、鋳造部1aにおいて上下方向に移動しながら鋳片を凝固させる攪拌ユニット320は、鋳片S1の搬送に邪魔にならないように元の位置に戻る。
鋳片が凝固部1bに搬送された後、凝固部1bにおいては、鋳片S1の凝固を最終的に終える工程が行われる(S300)。すなわち、鋳片S1が凝固部1bにおいて凝固されることにより、鋳造部1aにおいては鋳造の工程が行われる。鋳片S1の凝固が始まると、凝固部1bに配設される第1の品質制御器600が元の位置から下降又は上昇して鋳片の外側面に離れて配置される。すなわち、
図6に示したとおり、第1の攪拌器620及び第2の攪拌器640は、鋳片S1の内部の未凝固の溶鋼を攪拌するために鋳片の外側面に配置されて鋳片S1の凝固が終わるまで作動する。
また、鋳片を凝固させる過程において、第1の加熱器660は、それぞれの領域内において鋳片の上部を間接的に加熱し、これにより、鋳片の上部の側面から熱が放出することを最大限に抑えた状態で鋳片の上部が凝固される。この鋳片の上部側面を間接的に加熱することにより、鋳片の上部の未凝固の部位が先に凝固されることを抑制又は防止し、パイプなどの凝固収縮欠陥が発生することを極力抑えることができる。これにより、鋳片の上部の実際の歩留まりが改善されて最終的な鋳片の実際の歩留まりを増加させることができる。
【0032】
このように、凝固部1bにおける鋳片の凝固が終わると(S340)、
図7に示したとおり、搬送器700のチルト部720によって鋳片が傾き、搬送器700のチルト部720は、搬送器700の近くに配置されるローラーテーブル800と連通され、鋳片はローラーテーブル800に沿って後工程に搬送される(S360)。
この
図3乃至
図8の過程は繰り返し行われ、その繰り返し回数には制限がない。すなわち、
図2(b)に示したとおり、鋳造部1aの工程が終わった後、鋳片S1が凝固部に移動して凝固部における工程(鋳片の凝固過程)を行う間に鋳造部1aにおいては鋳造部1aの工程が再び行われて他の鋳片S2を生産し、これは、所望の数量を得るまで繰り返し行われる。
このような過程を繰り返し行った後、それ以上鋳造部1aの工程が行われない場合、すなわち、
図7の鋳片S2が凝固部1bに搬送された後に鋳造部1aにおいて最後の鋳片Seが生産されたとき、鋳造部1aの鋳片Seは凝固部1bに搬送されることなく鋳造部1aにおいて凝固を終えてもよい。すなわち、鋳造部1aに配設された第2の品質制御器300を用いて鋳片Seの凝固を終えた後に後工程に搬送してもよい(S360)。このとき、鋳造部1aの第2の加熱器340が鋳片Seの上部を間接的に加熱して凝固部1bの第1の加熱器660の役割を果たしてもよい(
図8参照)。しかしながら、最後に生産された鋳片Seは、以前に生産された鋳片S1、S2と同様に、凝固部1bに搬送された後に凝固過程を終えた後に後工程に搬送してもよい。このため、最後の鋳片Seが凝固される位置は何ら限定されない。
【0033】
以下、実験例を挙げて本発明の効果についてより詳細に説明する。
表1は、極厚鋼材を生産するための様々な工程条件下における鋳片の厚さの変化及び最終的に生産された鋳片の実際の歩留まりの結果を示す。
【表1】
ここで、初期の鋳片の厚さは、鋳造が終わった鋳片に別途の後工程が行われなかったときの鋳片の厚さを示す。また、中期の鋳片の厚さは、鋳片を叩いたり押し付ける鍛造工程後の鋳片の厚さを示し、末期の鋳片の厚さは、圧延工程後の鋳片の厚さを示す。
表1に示すそれぞれの鋳片(比較例1、比較例2、実施例)は、鋳造工程を経た後、鍛造工程及び圧延工程のうちの少なくとも一方を行った後に最終的に極厚鋼材用鋳片に生産された鋳片であり、表1から下記の結果を確認することができる。
【0034】
[比較例1]
比較例1の鋳片は、インゴットを用いて製作した鋳片であり、溶鋼を鋳型に供給して冷却させて得られる。このようにして生産された鋳片は、1500mmの初期の厚さを有する。次いで、極厚鋼材用の厚さに形成するために鍛造工程及び圧延工程を経た後、最終的に178mmの厚さを有する。しかしながら、全体の実際の歩留まりは52%と低い値を有するということを確認することができる。
[比較例2]
比較例2の鋳片は、通常の鋳造設備を用いて製作したスラブ鋳片であり、製鋼炉から供給された溶鋼を鋳型に連続的に注入して凝固させる方式によって製作可能である。このようにして生産された鋳片は、実際の歩留まりが95%と非常に高い値を有する。しかしながら、一般的に用いられる鋳造設備は初期の鋳片の厚さが450mmであるため、圧延工程を終えた後の厚さが150mmとなる。このため、極厚鋼材用に鋳片を用いるときに、150mmの厚さが限定されるということを確認することができる。
【0035】
[実施例]
実施例の鋳片は、本発明の実施形態による鋳造設備を用いて製作した鋳片であり、最大800mmの厚さ及び2000mmの幅を有する鋳型によって鋳片が製作される。このため、実施例の鋳片は、初期の厚さ800mmに生産され、鍛造工程及び圧延工程を経た後に最終的に178mmの厚さを有するということを確認することができる。また、実施例の鋳片は、鋳造設備が鋳造部及び凝固部に画成されて凝固部において鋳片の上部の先凝固を防ぐための工程を行うことにより、鋳片の実際の歩留まりが89%を有するということを確認することができる。
このように、実施例の鋳片は、比較例1の鋳片に比べて約40%に見合う分だけ実際の歩留まりが大幅に向上し、比較例2の鋳片に比べて極厚鋼材用鋳片に適した厚さを有する。すなわち、実施例の設備を用いて生産する鋳片は、インゴットを用いた鋳造及び従来の連続鋳造によって生産された鋳片の問題を解消したものであると言うことができる。
また、実施例に従い製作された極厚鋼材は目視可能な表面欠陥(例えば、コーナーのひび割れ)が観察されず、マクロ品質も鋳片内の溶鋼攪拌器の適用によって等軸晶率100%が達成されて鋳片の内部に発生する偏析は観察されなかった。よって、本発明の実施例が適用されて生産された極厚鋼材の品質が向上したことを確認することができる。
【0036】
上述したとおり、本発明の実施形態によれば、連続鋳造設備を鋳造部及び凝固部とに分割し、鋳造部において鋳造が終わった鋳片を凝固部に搬送し、凝固部において鋳片の凝固を終わらせ後に後工程に搬送することにより、極厚鋼材の製造が容易になり、しかも、最終的に生産される鋳片の品質及び実際の歩留まりを向上させることができる。
より詳しくは、鋳造部において製作された鋳片を凝固部に搬送させた後、凝固部において第1の品質制御器を用いて鋳片の凝固を終え、鋳片の上部の先凝固を抑制又は防止してパイプの形成を低減することにより、鋳片の品質を向上させることができる。このため、鋳片の品質が向上したことにより、インゴットを用いた鋳造の問題である不健全部位の切断を行わなくなるため、鋳片の実際の歩留まりを向上させることができる。
また、鋳片が凝固部に搬送された後に凝固部において凝固される間に、鋳造部においては後期鋳片を鋳造することができるので、従来のインゴットを用いた鋳造など配置工程の問題を解消することができる。その結果、鋳片の生産性を増加させることができる。さらに、鋳造工程の最後に生産される鋳片は凝固部に搬送されず、鋳造部に配設された第2の品質制御器を用いて凝固を終えることができる。これにより、工程の効率性を増加させることができる。
【0037】
本発明を添付図面及び好適な実施形態を参照して説明したが、本発明はこれによって限定されるものではなく、後述する特許請求の範囲によって限定される。よって、この技術分野における通常の知識を有する者であれば、後述する特許請求の範囲の技術的思想から逸脱しない範囲内において本発明を様々に変形及び修正することができる。