(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6055172
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】圧縮機用の翼形部形状
(51)【国際特許分類】
F04D 29/38 20060101AFI20161219BHJP
F04D 19/02 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
F04D29/38 G
F04D19/02
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2011-181101(P2011-181101)
(22)【出願日】2011年8月23日
(65)【公開番号】特開2012-47175(P2012-47175A)
(43)【公開日】2012年3月8日
【審査請求日】2014年8月14日
(31)【優先権主張番号】CO2010A000045
(32)【優先日】2010年8月25日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】505347503
【氏名又は名称】ヌオーヴォ ピニォーネ ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・ラネーゼ
(72)【発明者】
【氏名】サルヴァトーレ・ロルッソ
(72)【発明者】
【氏名】パオロ・アリンチ
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ・マリア・グリマルディ
【審査官】
新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−231946(JP,A)
【文献】
特開2007−231944(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0077149(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/38
F04D 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータブレードであって、
表1に記載したデカルト座標X、Y及びZに従った基準表面輪郭を有し、
前記表1において、X及びYは、滑らかな連続円弧によって接続されると、ミリメートルで表した各距離Zにおける翼形部輪郭セクションを形成するミリメートルで表した距離であり、
前記Z距離における前記翼形部輪郭セクションが、互いに滑らかに結合されて完全な翼形部形状を形成する、
ロータブレード。
【請求項2】
前記表1に記載したデカルト座標X、Y及びZに従った基準表面輪郭が、前記完全な翼形部形状の任意の表面に対して垂直な方向における+/−1ミリメートルの範囲内の点を含む、請求項1に記載のロータブレード。
【請求項3】
ロータブレード高さの約2.21%から始まって該ロータブレード高さの約60%に至るまでの該ロータブレードの最大厚さ(Tmax)が、
Tmax=−0.8646*h+1.1087、(ここで、hは、ブレード高さ百分率である)によって表され、
前記ロータブレード高さの約60%〜約80%の範囲にある第1の後続領域における該ロータブレードの最大厚さが、
Tmax=−1.0209*h+1.2058、(ここで、hは、ブレード高さ百分率である)によって表され、また
前記ロータブレード高さの80%〜100%の範囲にある第2の後続領域における該ロータブレードの最大厚さが、
Tmax=−0.7618*h+0.9985、(ここで、hは、ブレード高さ百分率である)によって表される、
請求項1または2に記載のロータブレード。
【請求項4】
ロータブレードであって、
プラットフォームと、
前記プラットフォームに連結された該ロータブレードの根元部分と、
先端部分で終端しかつ断面翼形形状を有するブレード表面と、
を含み、
該ロータブレードの厚さが、3つの異なる一次関数に従いロータブレード高さの関数として変化し、
該ロータブレードが、表1に記載したデカルト座標X、Y及びZに従った基準表面輪郭を有し、
前記表1において、X及びYは、滑らかな連続円弧によって接続されると、ミリメートルで表した各距離Zにおける翼形部輪郭セクションを形成するミリメートルで表した距離であり、
前記Z距離における前記翼形部輪郭セクションが、互いに滑らかに結合されて完全な翼形部形状を形成する、
ロータブレード。
【請求項5】
ロータブレード高さの約2.21%から始まって該ロータブレード高さの約60%に至るまでの該ロータブレードの最大厚さ(Tmax)が、
Tmax=−0.8646*h+1.1087、(ここで、hは、ブレード高さ百分率である)として前記3つの一次関数の第1のものによって表され、
前記ロータブレード高さの約60%〜約80%の範囲にある第1の後続領域における該ロータブレードの最大厚さが、
Tmax=−1.0209*h+1.2058、(ここで、hは、ブレード高さ百分率である)として前記3つの一次関数の第2のものによって表され、また
前記ロータブレード高さの80%〜100%の範囲にある第2の後続領域における該ロータブレードの最大厚さが、
Tmax=−0.7618*h+0.9985、(ここで、hは、ブレード高さ百分率である)として前記3つの一次関数の第3のものによって表される、
請求項4に記載のロータブレード。
【請求項6】
前記表1に記載したデカルト座標X、Y及びZに従った基準表面輪郭が、前記完全な翼形部形状の任意の表面に対して垂直な方向における+/−1ミリメートルの範囲内の点を含む、請求項4または5に記載のロータブレード。
【請求項7】
ターボ機械であって、
駆動シャフトと、
少なくとも1つのロータホイールと、
前記ロータホイール上に取付けられた複数の円周方向に間隔を置いて配置されたロータブレードと、
ステータと、
前記ステータに取付けられた複数の円周方向に間隔を置いて配置されたステータブレードと、
を含み、
前記複数のロータブレード及び複数のステータブレードの少なくとも1つが、
プラットフォームと、
前記プラットフォームに連結された、該複数のロータブレード及び複数のステータブレードの少なくとも1つの根元部分と、
先端部分で終端しかつ断面翼形形状を有するブレード表面と、をさらに含み、
前記複数のロータブレード及び複数のステータブレードの少なくとも1つの厚さが、3つの異なる一次関数に従いロータブレード高さの関数として変化し、
前記複数のロータブレード及び複数のステータブレードの少なくとも1つが、表1に記載したデカルト座標X、Y及びZに従った基準表面輪郭を有し、
前記表1において、X及びYは、滑らかな連続円弧によって接続されると、ミリメートルで表した各距離Zにおける翼形部輪郭セクションを形成するミリメートルで表した距離であり、
前記Z距離における前記翼形部輪郭セクションが、互いに滑らかに結合されて完全な翼形部形状を形成し、
前記表1に記載したデカルト座標X、Y及びZに従った基準表面輪郭が、前記完全な翼形部形状の任意の表面に対して垂直な方向における+/−1ミリメートルの範囲内の点を含む、
ターボ機械。
【請求項8】
ブレード高さの約2.21%から始まって該ブレード高さの約60%に至るまでの前記複数のロータブレード及び複数のステータブレードの少なくとも1つの最大厚さ(Tmax)が、
Tmax=−0.8646*h+1.1087、(ここで、hは、ブレード高さ百分率である)として前記3つの一次関数の第1のものによって表され、
前記ブレード高さの約60%〜約80%の範囲にある第1の後続領域における前記複数のロータブレード及び複数のステータブレードの少なくとも1つの最大厚さが、
Tmax=−1.0209*h+1.2058、(ここで、hは、ブレード高さ百分率である)として前記3つの一次関数の第2のものによって表され、
前記ブレード高さの80%〜100%の範囲にある第2の後続領域における前記複数のロータブレード及び複数のステータブレードの少なくとも1つの最大厚さが、
Tmax=−0.7618*h+0.9985、(ここで、hは、ブレード高さ百分率である)として前記3つの一次関数の第3のものによって表される、
請求項7に記載のターボ機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総括的には翼形部に関し、より具体的には、例えばガスタービンの一部として圧縮機で使用する翼形部形状に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機は、機械エネルギーの使用により、気体粒子を加速させて、最終的には例えば気体のような圧縮性流体の圧力を上昇させる機械である。圧縮機は、ガスタービンエンジンの最初の段として作動させることを含む多くの異なる用途で使用される。様々な形式の圧縮機には、その中で例えばそれにより圧縮性流体が流れるようにする遠心インペラ(「ロータ」とも呼ぶことがある)を回転させることによって、機械エネルギーにより遠心加速による圧縮機への気体投入を行ういわゆる遠心圧縮機と、各段としてそれに対して取付けられた幾つかの環状翼形部列(ブレード)を有するドラムを備えた軸流圧縮機とがある。ドラムに取付けられた翼形部は、固定ケーシングに取付けられた同じ数の固定翼形部列間で回転する。より一般的には、軸流及び遠心圧縮機は、「ターボ機械」又は「ターボ回転機械」として知られる機械の部類の一部であるということができる。
【0003】
ガスタービンエンジンでは、ガスタービン流路セクションの各段において多くのシステム要件が満たされて設計目標を満たすようにしなければならない。これらの設計目標には、それに限定されないが、効率及び翼形部負荷能力の全体的向上が含まれる。例えば、また本発明を決して限定するものではないが、圧縮機ステータのブレードは、その中に該ブレードが設置されている特定の段と関連した熱的及び機械的作動要件を達成しなければならない。同様に、またさらに単なる例示的な実施例として、圧縮機ロータのブレードもまた、その中に該ブレードが設置されているガスタービンの特定の段と関連した熱的及び機械的作動要件を達成しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
具体的には、そのようなブレードの表面が該ブレードの共振周波数を調整して全体としてターボ機械の運転特性に適応するような形状になることを保証することが望ましいことになる。
【0005】
例示的な実施形態による装置、システム及び方法により、運転特性を最適にするような特定の形状を有する、例えばターボ機械と関連したロータ又はステータの一部としてのブレードが得られる。とりわけ、ブレード高さの関数としてのブレード厚さは、ターボ機械の運転特性に合わせて調整することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例示的な実施形態によると、ロータブレードは、表1に記載したようなデカルト座標X、Y及びZに実質的に従った基準表面輪郭を有し、前記表1において、X及びYは、滑らかな連続円弧によって接続されると、ミリメートルで表した各距離Zにおける翼形部輪郭セクションを形成するミリメートルで表した距離であり、またZ距離における翼形部輪郭セクションは、互いに滑らかに結合されて完全な翼形部形状を形成する。
【0007】
別の例示的な実施形態によると、ロータブレードは、プラットフォームと、プラットフォームに連結された該ロータブレードの根元部分と、先端部分で終端しかつ断面翼形形状を有するブレード表面とを含み、該ロータブレードの厚さは、3つの異なる一次関数に従いロータブレード高さの関数として変化する。
【0008】
さらに別の例示的な実施形態によると、ターボ機械は、駆動シャフトと、少なくとも1つのロータホイールと、ロータホイール上に取付けられた複数の円周方向に間隔を置いて配置されたロータブレードと、ステータと、ステータに取付けられた複数の円周方向に間隔を置いて配置されたステータブレードとを含み、複数のロータブレード及び複数のステータブレードの少なくとも1つは、プラットフォームと、プラットフォームに連結された該複数のロータブレード及び複数のステータブレードの少なくとも1つの根元部分と、先端部分で終端しかつ断面翼形形状を有するブレード表面とをさらに含み、複数のロータブレード及び複数のステータブレードの少なくとも1つの厚さは、3つの異なる一次関数に従いロータブレード高さの関数として変化する。
【0009】
添付図面は、例示的な実施形態を示している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】その中に例示的な実施形態によるブレード形状を実装することができる例示的な軸流圧縮機を示す図。
【
図2】例示的な実施形態によるロータブレードの負圧側面を示す図。
【
図3】例示的な実施形態によるロータブレードの正圧側面を示す図。
【
図4】例示的な実施形態による点の軌跡を定めるために使用する座標系と関連した態様を示す図。
【
図5】例示的な実施形態によるブレード高さの関数としてのブレード厚さを示すグラフ図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
例示的な実施形態の以下の詳細な説明は、添付図面を参照する。異なる図面における同じ参照符号は、同じ又は同様の要素を表している。また、以下の詳細な説明は、本発明を限定するものではない。言うまでもなく、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって定まる。
【0012】
例示的な実施形態による翼形部形状に関連する次の説明における幾つかの状況を示すために、最初に軸流圧縮機に関する簡潔な説明を行う。軸流圧縮機では、ロータブレードは、空気流れに対して運動エネルギーを与え、従って圧縮機にわたり所望の圧力上昇を生じさせる。ロータ翼形部に直ぐ後続するのは、ステータ翼形部の段である。ロータ及びステータ翼形部の両方は、空気流を方向転換させ、空気流速度を低下させ(関連するそれぞれの翼形部フレームにおいて)、かつ空気流の静圧の上昇を生じさせる。
【0013】
例えば、その周辺表面(輪郭)を含む翼形部の構成(並びに周囲翼形部とのその相互作用)により、これらの例示的な実施形態の他の望ましい態様の中でも、段空気流効率、空気力学性、段から段への滑らかな層流、熱応力の減少、段から段に空気流を効率的に流す段の相互関係の強化、及び機械的応力の減少が決定される。一般的に、複数列のロータ/ステータ段は、軸流圧縮機として積み重ねられて、所望の吐出量対入口圧力比を達成する。ロータ及びステータ翼形部は、その実施例を下記に説明している「根元」、「基部」又は「ダブテール」として知られることが多い適切な取付け構成によって、ロータホイール又はステータケースに取付けることができる。
【0014】
図1は、例えばガスタービン圧縮機と関連した例示的な軸流圧縮機100を示している。上述したように、軸流圧縮機は一般的に、例えば17段又は18段のような複数の圧縮機段を含むが、例示的な実施形態による軸流圧縮機は、あらゆる数のロータ段及びステータ段を含むことができることは当業者には分かるであろう。
図1に示す軸流圧縮機の段100は、ロータホイール又はドラム104上に取付けられた複数の円周方向に間隔を置いて配置されたロータブレード102及び固定圧縮機ケース108に取付けられた複数の円周方向に間隔を置いて配置されたステータブレード106を含む。
【0015】
ロータホイール104の各々は、エンジンのタービンセクション(図示せず)に連結された後部駆動シャフト110に取付けられる。ロータブレード102及びステータブレード106は、軸流圧縮機の流路内に配置される。この例示的な軸流圧縮機では、流路に沿った空気流の方向は、矢印112によって示している。この軸流圧縮機の段100は、該軸流圧縮機の様々な段の単なる例示に過ぎないものであること、また該軸流圧縮機の図示しかつ説明した段100は、何れにしても本発明を限定することを意図するものではないことが分かるであろう。
【0016】
例示的な実施形態によるロータブレード102は、該ロータブレード102の両側面を示す
図2及び
図3により詳細に示している。具体的には、また本発明を限定するものではないが、これらの例示的な実施形態によるそのようなロータブレード102は、
図1に示したのと同様の軸流圧縮機の第1段において、つまりプロセス流れと関連した入口に最も近い段において使用することができる。具体的には、
図2は、例示的な実施形態によるロータブレード102の負圧側面を示しており、一方、
図3は、同じロータブレード102の正圧側面を示しており、これら負圧側面及び正圧側面は、圧縮機流路112に対して図示するような前縁(LE)及び後縁(TE)を有する。例えば、各ロータブレード102には、プラットフォーム200及びほぼ軸方向(又は軸方向に近い)挿入ダブテール202を設けることができ、ほぼ軸方向挿入ダブテール202は、ロータホイール104上の相補形噛合いダブテール(図示せず)と連結するようにすることができる。さらに、各ロータブレード102は、下記でより詳細に説明するように、そのあらゆる断面において、つまりその全体的形状における翼形部根元206からロータブレード先端208までにおいて輪郭を有するロータブレード翼形部204を含む。
【0017】
例示的な実施形態によるロータブレード翼形部204の翼形形状を形成するために、空間内における点の組又は軌跡を下記の表1に示している。
図2及び
図3における例示的なロータブレード102は、16個のセクションラインを有していることを見ることができるが、あらゆる数のセクションを形成することができることが当業者には分かるであろう。この点の組又は軌跡は、単一セクション又は複数セクションと関連したセクション要件を満たすように意図したものであり、ロータブレード102は、それらを使用してセクションを製造することができるようになる。この点の軌跡はまた、段効率における所望の仕様並びに熱及び機械的応力の減少に適合するように意図したものである。この点の軌跡は、空気力学的負荷及び機械的負荷間で反復させかつ例示的な実施形態により設計した圧縮機を効率的な、安全なまた円滑な状態で作動させるのを可能にするシミュレーションによって得られる。
【0018】
より具体的には、軌跡は、例示的な実施形態によるロータブレード翼形部輪郭を形成しかつエンジンの回転軸線に対して定めた点の組を含むことができる。例えば、X、Y及びZ値のデカルト座標系を定めかつ使用して、軌跡における点を表現することができる。デカルト座標系は、直交関係のX、Y及びZ軸を有する。この例示的な実施形態によると、
図4に示すように、X軸は、エンジンの中心線に平行に位置する。従って、正のX座標値は、後方に向かう、例えば軸流圧縮機の排出端部に向かう軸方向である。正のY座標値は、エンジンの反時計回転方向に沿うように円周方向に向いている。正のZ座標値は、翼形部204の先端部に向けて半径方向外向きに、つまり圧縮機の固定ケーシング108に向かう方向に向いている。基準目的のためのみに、
図4に示すように、スタッキング軸線に沿って翼形部204及びプラットフォーム200の交差部を通るゼロ(0)点を設定している。これらの例示的な実施形態による翼形部のこの例示的な実施形態では、ゼロ(0)点は、下記の表1のZ座標がエンジン又はロータ中心線から設定した所定の距離である416.97ミリメートルにあるような基準セクションとして定められる。例示的な実施形態によるロータブレード102の表面を形成する点に関する表1を下記に示している。
【0055】
例示的な実施形態によると、上記に記載した点に関する表1に従ってロータブレード102を製造することによって、ロータブレード102の厚さは、例えばロータブレード102の動きと関連した共振周波数を移動させて、例えば材料疲労と関連した設計マージンを向上させるように、ブレード高さに沿って連続して変化する。この厚さにおける変化は、例えば
図5のプロットで見ることができる。その点で、ブレード高さの約2.21%(つまり、ブレードフィレット半径の直ぐ上方)から始まってブレード高さの約60%に至るまでのロータブレードのプラットフォーム200に最も近い最初の領域では、この例示的な実施形態によるロータブレード102の最大厚さは、次の一次関数、つまり
Tmax=−0.8646*h+1.1087(ここで、hは、ブレード高さ百分率である)
によって表すことができる。ロータブレード高さの60%〜80%の範囲にある後続領域では、ロータブレード102の最大厚さは、次の一次関数、つまり
Tmax=−1.0209*h+1.2058(ここで、hは、ブレード高さ百分率である)
によって変化する。ブレード高さの80%〜100%(つまり、ブレードの自由端部まで)の範囲にある後続領域では、ロータブレード102の最大厚さは、次の一次関数、つまり
Tmax=−0.7618*h+0.9985(ここで、hは、ブレード高さ百分率である)
により変化する。
【0056】
従って、関数500が例示的な実施形態におけるブレード高さの関数としてのロータブレード厚さを示しておりまた関数502がベースライン設計における同じブレード高さの関数としてのロータブレード厚さを示している
図5のプロット図において、例示的な実施形態では、ブレード高さの約第1の75%(ここで2つの関数が交差する)までにわたりより厚肉のロータブレードが形成され、またその後はベースライン設計に比較してより薄肉のロータブレードが形成さることを理解することができる。しかしながら、これらの例示的な関数は説明のためのものであること、また下記で説明するように表1に記載した点における幾らかの変動が予測されることになることが分かるであろう。
【0057】
表1は例示的な実施形態による翼形部204の形状を完全に形成するのに十分なデータを示していることが、当業者には分かるであろう。例えば、X、Y平面に対して垂直なZ方向の選択位置においてX及びY座標値を定めることによって、翼形部の長さに沿った各Z距離におけるロータブレード翼形部204の輪郭セクションを確定することができる。X及びY値を滑らかな連続円弧で接続することによって、各距離Zにおける翼形部204の各輪郭セクションを確定することができる。距離Z間における様々な表面位置の翼形部輪郭は、隣接する輪郭セクションを互いに滑らかに接続することによって決定され、これにより翼形部204の輪郭が形成される。上記に表1において記載した値は、周囲温度つまり非作動又は非高温状態での例示的な実施形態による翼形部輪郭を表しておりかつ被膜のない翼形部についてのものである。
【0058】
表1に示した表形式値は、翼形部204の輪郭を決定するために小数点以下2桁まで作成しかつ示している。翼形部の実際の輪郭においては考慮しなければならない一般的な製造公差並びに皮膜が存在する。従って、表1に示した輪郭用の値は、基準翼形部204のためのものであることが当業者には分かるであろう。従って、これらの例示的な実施形態によって包含される実際の値は、表1に示した丁度その値に限定されるものではなく、それよりもむしろ、表に明記したものの近くの値の範囲を含むことを意図していることが分かるであろう。
【0059】
例えば、包含される値は、一般的な製造公差をプラスするか又はマイナスし、並びに/或いは翼形部204上に使用したあらゆる皮膜厚さをプラスするか又はマイナスしなければならない。従って、翼形部輪郭に沿った任意の表面位置に対して垂直な方向における約+/−1.0mm(ミリメートル)の距離は、これらの例示的な実施形態によるロータブレード翼形部設計及び圧縮機に対する翼形部輪郭エンベロープを定める。言い換えれば、翼形部輪郭に沿った任意の表面位置に対して垂直な方向における約+/−1.0mm、好ましくは約+/−0.5mmの距離により、基準の低温又は常温での実際の翼形部表面上の測定点と例示的な実施形態による同一温度でのこれらの点の理想的な位置との間における変動の範囲が定まる。
【0060】
さらに、これらの例示的な実施形態による翼形部204の形状はまた、ガスタービンエンジン内で運転状態になると、その低温又は常温製造形状からその加熱形状に変化することになることは当業者には分かるであろう。翼形部204が実作動状態に加熱すると、応力及び温度により、表1に示した低温又は常温点のX、Y、Z値の変化が生じることになる。従って、例示的な実施形態ではさらに、通常運転時における翼形部204の加熱と関連した変動を包含することを意図している。
【0061】
これらの例示的な実施形態によって具現化された翼形部は、第1段ロータ形状としての用途を見出すことができる。X、Y及びZ座標における座標値は、ミリメートルで記載しているが、その値が適切に変換される時にはその他の寸法の単位も使用することができる。これらの値は、プラットフォームのフィレット領域を除外している。
【0062】
上記の例示的な実施形態は、本発明を限定するのではなく全ての点において例示することを意図している。従って、本発明は、本明細書に包含された説明から当業者が導き出すことができる詳細な実施における多くの変形形態が可能である。全てのそのような変形形態及び修正形態は、特許請求の範囲によって定まる本発明の技術的範囲及び技術思想の範囲内にあると考えられる。本出願の説明で使用した要素、行為又は指示は、そうではないことを明確に説明していない限り、本発明に極めて重要なもの又は不可欠なものとして解釈すべきではない。また、本明細書で使用する場合に、数詞のない表現は、1つ又はそれ以上のアイテムを含むことを意図している。
【符号の説明】
【0063】
100 軸流圧縮機
102 ロータブレード
104 ロータホイール
106 ステータブレード
108 固定圧縮機ケース
110 後部駆動シャフト
112 圧縮機流路
200 プラットフォーム
202 軸方向挿入ダブテール
204 ロータブレード翼形部
206 翼形部根元
208 ロータブレード先端部
LE 前縁
TE 後縁