特許第6055211号(P6055211)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6055211
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20161219BHJP
【FI】
   A63F7/02 320
   A63F7/02 304D
【請求項の数】5
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-140904(P2012-140904)
(22)【出願日】2012年6月22日
(65)【公開番号】特開2014-4085(P2014-4085A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2015年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】100080296
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】南原 和浩
【審査官】 ▲吉▼川 康史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−312515(JP,A)
【文献】 特開2006−325805(JP,A)
【文献】 特開2010−200835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機枠に取付けられた遊技盤と、
前記遊技盤を前後に貫通するように形成された開口と、
前記開口の後方に設けられ、前記開口を介して目視可能な表示画面を有する演出表示装置と、
前記表示画面に所定の演出パターンにより所定の演出図柄を変動表示させる演出表示制御手段と、
前記遊技盤の後方、かつ、前記表示画面の前方に配置され、非作動時において遊技者から視認困難な位置に置かれ、作動時において前記遊技盤の後方から出現して遊技者からいずれかの演出表示が視認可能となる複数の演出表示領域を有する回転リールを備えた可動体と、
前記可動体を動作させるとともに、前記回転リールの回転を制御する可動体制御手段と、
を備えた遊技機であって、
前記演出表示制御手段は、前記所定の演出パターンが前記所定の演出図柄の仮停止を含む演出パターンであるときに、前記所定の演出図柄の変動表示の仮停止後、前記所定の演出図柄の全てが変動する再変動前に、前記回転リールの演出表示領域に停止表示された演出表示と関連する表示を前記表示画面上に表示することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記可動体は、非作動時には前記表示画面の上部に設けられた収納部に収納され、前記可動体制御手段は、前記可動体を作動時に前記収納部から下方に移動させて、前記回転リールを前記演出表示装置の前面に出現させることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
特定の演出表示が前記回転リールの演出表示領域と、前記演出表示装置の表示画面との双方に表示されることにより、前記演出表示制御手段は、前記演出表示装置の表示画面に前記所定の演出図柄の変動表示を再開することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記表示画面の左右方向両端部において前記遊技盤の後方、かつ、前記表示画面の前方に配置された第2の可動体をさらに備え、
前記可動体制御手段は、当該第2の可動体を、前記表示画面の上部に配置された可動体の下方向への移動に先立って表示画面の中央側へ移動させることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記第2の可動体は、それぞれ当該第2の可動体の前記表示画面の中央側への移動に伴って互いに離れる方向に回転する上側部及び下側部を備え、
前記演出表示制御手段は、前記所定の演出図柄の変動表示の仮停止後、前記再変動前に、前記回転リールの演出表示領域に停止表示された演出表示と関連する表示を前記移動後の各可動体により囲まれた表示画面内に表示することを特徴とする請求項4に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の可動体を備えた遊技機に関し、可動体の動作によって演出効果を高めることが可能な遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一例としてのパチンコ機において、鉛直方向に対して傾斜した斜め方向に移動する可動体(特許文献1参照)や、表示画面の下部に固定的に配設された回転リールによって遊技状態を表示する可動体が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−45391号公報
【特許文献2】特開2011−120659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の可動体は演出表示装置の表示画面の前方において斜め方向に移動して一様な動きをするだけであり、特許文献2の可動体は、表示画面の下部に固定的に設けられているため意外性や変化に富んだ演出を提供し難い。
本発明は、演出表示装置の表示画面の前方においてより意外性や変化に富んだ演出を遊技者に提供できる可動体を備えた遊技機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための遊技機に係る構成として、遊技機枠に取付けられた遊技盤と、遊技盤を前後に貫通するように形成された開口と、開口の後方に設けられ、開口を介して目視可能な表示画面を有する演出表示装置と、表示画面に所定の演出パターンにより所定の演出図柄を変動表示させる演出表示制御手段と、遊技盤の後方、かつ、表示画面の前方に配置され、非作動時において遊技者から視認困難な位置に置かれ、作動時において遊技盤の後方から出現して遊技者からいずれかの演出表示が視認可能となる複数の演出表示領域を有する回転リールを備えた可動体と、可動体を動作させるとともに、回転リールの回転を制御する可動体制御手段とを備えた遊技機であって、演出表示制御手段は、所定の演出パターンが所定の演出図柄の仮停止を含む演出パターンであるときに、所定の演出図柄の変動表示の仮停止後、所定の演出図柄の全てが変動する再変動前に、回転リールの演出表示領域に停止表示された演出表示と関連する表示を表示画面上に表示する構成とした。
た、可動体は、非作動時には表示画面の上部に設けられた収納部に収納され、可動体制御手段は、可動体を作動時に収納部から下方に移動させて、回転リールを演出表示装置の前面に出現させる構成とした。
た、特定の演出表示が回転リールの演出表示領域と、演出表示装置の表示画面との双方に表示されることにより、演出表示制御手段は、演出表示装置の表示画面に所定の演出図柄の変動表示を再開する構成とした。
た、表示画面の左右方向両端部において遊技盤の後方、かつ、表示画面の前方に配置された第2の可動体をさらに備え、可動体制御手段は、第2の可動体を、表示画面の上部に配置された可動体の下方向への移動に先立って表示画面の中央側へ移動させる構成とした。
た、表示画面の左右方向両端部に配置された第2の可動体は、それぞれ当該第2の可動体の表示画面の中央側への移動に伴って互いに離れる方向に回転する上側部及び下側部を備え、演出表示制御手段は、所定の演出図柄の変動表示の仮停止後、再変動前に、回転リールの演出表示領域に停止表示された演出表示と関連する表示を移動後の各可動体により囲まれた表示画面内に表示する構成とした。
お、上記発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、特徴群を構成する個々の構成もまた発明となり得る。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、演出表示装置の表示画面の前方においてより意外性や変化に富んだ演出を遊技者に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】パチンコ機の斜視図である。
図2】遊技盤ユニットの分解斜視図である。
図3】各可動体の初期位置状態及び遊技盤の盤面を遊技盤の前側から見た図である。
図4】パチンコ機の制御系統を示すブロック構成図である。
図5】上可動体ユニットの分解斜視図である。
図6】上可動体ユニットを前側から見た動作説明図である。
図7】右前側可動体ユニットの分解斜視図である。
図8】右前側可動体ユニットを前側から見た動作説明図である。
図9】右前側可動体ユニットを裏側から見た動作説明図である。
図10】特定の変動パターンを示すタイムチャートである。
図11】可動体の演出動作及び表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1図11を参照し、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
なお、以下の説明において遊技機の一例としてのパチンコ機の各部の左右方向は、そのパチンコ機に正対する遊技者にとっての左右方向に一致させて説明する。
【0009】
図1に示すように、本実施形態に係る遊技機の一例としてのパチンコ機1は、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠2と、この機枠2に軸着されて開閉自在に取付けられた本体枠3と、当該本体枠3の内側に装着された遊技盤ユニット29と、本体枠3の前面に軸着されて開閉自在に取付けられ、中央に大きく窓4Aが設けられたパネル扉4と、パネル扉4の下側において本体枠3の前面に開閉自在に取付けられ、遊技球を収容する受皿6を有する前面ボード5と、本体枠3の下部に配設された図外の発射装置7B(図4参照)と、前面ボード5に取付けられた発射操作ハンドル7と、パネル扉4の左下部、及び左右の上部にそれぞれ設けられたスピーカ8と、パネル扉4の周囲に配設された図外の複数のランプを備える。
【0010】
受皿6の前縁部には、遊技者が操作可能なように操作部9が設けられている。操作部9は、後述の演出表示装置50上に表示されるカーソル等を移動するためのダイアル部9Aと、ダイアル部9Aによって移動されたカーソルと対応する項目を選択する際や、演出表示装置50上において展開される演出の際に押下されるボタン9Bとから構成される。
【0011】
パチンコ機1の背面側には、図4に示す主制御装置100と、副制御装置を構成する演出制御装置200と、払出制御装置300とが搭載されている。主制御装置100、演出制御装置200、払出制御装置300は、何れもコンピュータプログラム及び遊技処理(演出処理,払出処理等)に必要なデータを格納したROMと、CPUがROMに格納されたコンピュータプログラムに従って処理を行うための一時記憶領域であるRAMとを備えるマイクロコンピュータである。また、主制御装置100、演出制御装置200及び払出制御装置300の各制御装置は、図外の電源供給装置からの電力供給により駆動し、供給された電力は出力側に接続された各機器に供給される。
【0012】
払出制御装置300は、図4に示すように、賞球払出装置301を制御するとともに、発射操作ハンドル7の操作に基づく発射ボリューム(可変抵抗器)7Aからの信号を入力して発射装置7Bの発射力を制御する。
【0013】
受皿6に収容された球は、発射装置7Bに1個ずつ供給される。そして、図4に示すように、払出制御装置300は、発射操作ハンドル7の回転操作量に対応して増減する発射ボリューム7Aからの入力に基づいて所定の発射力で球が発射装置7Bから発射されるように図外の発射モーターを駆動制御する。また、払出制御装置300は、発射操作ハンドル7の周面上に設けられた発射停止スイッチ7Cや発射操作ハンドル7の内部に配設されたタッチセンサ7Dからの信号を入力して、発射停止及び発射開始を制御する。また、発射制御装置300は、払出計数スイッチ302からの信号に基づいて賞球払出装置301を制御する。
【0014】
図2に示すように、本体枠3の内側に装着された遊技盤ユニット29は、遊技盤20と、可動体ユニット設置空間形成用筐体31と、複数の可動体ユニット400;500;600;600A;700;700A、及び演出表示装置50とを備える。
【0015】
図2図3に示すように、遊技盤20は、光透過性を有した矩形平板により形成された遊技基板18の前面となる盤面19に、ガイドレール21、遊技球規制レール22、第1特別図柄表示装置40A、第2特別図柄表示装置40B、普通図柄表示装置41、第1始動入賞口(始動口)30A、第2始動入賞口(始動口)30B、第1大入賞口35A、第2大入賞口35B、複数の一般入賞口36、アウト口68、複数の遊技釘75及び風車76、センター飾り枠80等の遊技部品を備えた構成である。
【0016】
第1始動入賞口30A、第2始動入賞口30B、第1大入賞口35A、第2大入賞口35B、一般入賞口36のそれぞれには、球の通過を検出する第1始動入賞口検出センサ91、第2始動入賞口検出センサ92、第1大入賞口検出センサ93、第2大入賞口検出センサ94、一般入賞口検出センサ95が内蔵されている。これらの検出センサ91〜95は、球の通過に伴い球検出信号(電気信号)を出力する磁気センサであり、その球検出信号は主制御装置100に入力される(図4参照)。
【0017】
遊技基板18の盤面19の周縁部には、ガイドレール21と遊技球規制レール22とが設けられ、これらガイドレール21と遊技球規制レール22とによって盤面19の領域が盤面19の中央部を中心とする略円形状に囲まれて区画された遊技領域20Aが形成されている。当該遊技領域20A内の盤面19に、上述した遊技部品が設けられる。
【0018】
図2に示すように、センター飾り枠80は、遊技盤20の遊技基板18を貫通するように設けられた開口34の周縁に位置する盤面19より前方に突出する枠体である。開口34は、遊技盤20の中央側において遊技盤20を前後に貫通するように形成される。この開口34は、遊技盤20の釘や役物の配置、遊技仕様、遊技盤面のデザイン等の影響により各パチンコ機の機種ごとに上下左右にずれるものの、遊技盤の略中央部に形成される。
センター飾り枠80は、枠の外側に張り出すように設けられた取付フランジ85を備え、取付フランジ85が盤面19にねじ等で固定されることにより盤面19に取付けられる。センター飾り枠80は、下部枠にステージ部81を備えるとともに、左枠部にステージ部81への球の導入路82を備える。
【0019】
遊技盤20の後方に配置される可動体ユニット設置空間形成用筐体31は、図2に示すように、前側開口310を有する有底箱状に形成される。また、後側の底面311には、演出表示装置50の表示画面51を遊技盤20の開口34を介して前方から見えるように位置させるための表示孔312を備える。
【0020】
演出表示装置50は、遊技盤20の開口34の後方に設けられ、遊技盤20の前方から遊技者が開口34及び表示孔312を介して表示画面51を前方から目視可能なように、可動体ユニット設置空間形成用筐体31の裏面に取付けられている。
【0021】
センター飾り枠80の前面と窓4Aとの間の隙間寸法、及び、ステージ部81の庇部81cの前端面と窓4Aとの間の隙間寸法は、一個の遊技球の直径よりも小さい寸法に形成されている。従って、センター飾り枠80の周囲の遊技領域20Aを流下する球は、導入路82以外からはセンター飾り枠80の内側に導かれることはない。
また、ステージ部81に入り込んだ球は庇部81cよりも上方に移動することはなく、ステージ部81の下方の遊技領域20Aに落下する。即ち、遊技領域20Aを流下する球が遊技盤20の開口34の内側に入り込むことはない。
なお、センター飾り枠80は、遊技盤20の開口34の上縁、左縁、右縁より前方に突出するように設けられた構成、或いは、遊技盤20の開口34の上縁、左縁より前方に突出するように設けられた構成である。センター飾り枠80が、遊技盤20の開口34の上縁、左縁より前方に突出するように設けられた構成の場合、遊技盤20の開口34の右縁より前方に突出する右側飾り枠は、後述する右前側可動体ユニット600の後側ベース板613より前方に延長するように設けられた飾り枠690(図2参照)により構成される。
【0022】
次に、遊技盤20に配設された入賞部品について説明する。
第1始動入賞口30A,第2始動入賞口30Bは、遊技領域20Aの中央部において上下方向に分かれて配設される。第1始動入賞口30A又は第2始動入賞口30Bに球が入賞すると、主制御装置100によって特別図柄抽選(以下、特図抽選という)等の各種の抽選処理が実行され、当該各種の抽選処理の結果が特別図柄表示装置40A;40Bや演出表示装置50の表示画面51上に反映されて表示される。
また、第1始動入賞口30A又は第2始動入賞口30Bに遊技球が入賞すると予め設定された所定の個数(例えば3個)の賞球が、払出制御装置300の制御によって動作する賞球払出装置301によって遊技者に対して払い出される。
【0023】
また、第2始動入賞口30Bには、電動チューリップと称される開閉体が設けられている。図4に示すように、当該電動チューリップは、ソレノイド等により構成される電動チューリップ駆動装置65Aにより開閉される。電動チューリップ駆動装置65Aは、主制御装置100が備える図外の電動チューリップ制御手段により制御され、開閉体を所定の回数及び所定の間隔で開放動作させる。
【0024】
第1大入賞口35Aは、遊技領域20Aにおける第2始動入賞口30Bの下方に配設される。第1大入賞口35Aは、所謂大当り遊技の場合に開放する開閉体を有している。当該開閉体は、ソレノイド等により構成されるアタッカ駆動装置65Bにより開閉される(図4参照)。また、アタッカ駆動装置65Bは、大当り遊技時において主制御装置100が備える図外の特別遊技制御手段よって制御され、第1大入賞口35Aを閉塞する開閉体を所定の回数及び所定の間隔で開放動作させる。また、第1大入賞口35Aに球が入賞すると予め設定された所定の個数(例えば15個)の賞球が賞球払出装置301によって遊技者に対して払い出される。
【0025】
第2大入賞口35Bは、遊技領域20Aにおける右側下部に配設される。第2大入賞口35Bは、前記同様に所謂大当り遊技の場合に開放する開閉体を有しており、大当り遊技において前述のアタッカ駆動装置65Bにより所定の回数及び所定の間隔で開放される。また、第2大入賞口35Bに球が入賞すると予め設定された所定の個数(例えば15個)の賞球が賞球払出装置301によって遊技者に対して払い出される。
【0026】
複数の一般入賞口36は、遊技領域20Aの左側下部に所定の間隔を空けて配設される。当該一般入賞口36に球が入賞すると、予め設定された所定の個数(例えば3個)の賞球が遊技者に対して払い出される。
【0027】
次に、遊技盤20に配設される各種の表示装置について説明する。遊技盤20には、第1特別図柄表示装置40A、第2特別図柄表示装置40B及び演出表示装置50が配設されている。
【0028】
第1特別図柄表示装置40Aは、遊技盤20の右側下部に配設されるデジタル表示器であって、第1始動入賞口30Aへの遊技球の入賞を契機に、主制御装置100により行われる特図抽選の結果を表示する。当該第1特別図柄表示装置40Aは、例えば「−」と「○」を点灯表示可能な表示器であって、上述の第1特図抽選の結果を示す態様でいずれかの記号を点灯表示する。
ここで、例えば第1特図抽選の結果が「外れ」である場合には「−」が停止表示され、「当り」である場合には「○」が停止表示される。
【0029】
第2特別図柄表示装置40Bは、第1特別図柄表示装置40Aの下方に配設されるデジタル表示器であって、第2始動入賞口30Bへの遊技球の入賞を契機に、主制御装置100により行われる特図抽選の結果を表示する。当該第2特別図柄表示装置40Bは、前述の第1特別図柄表示装置40Aと同様に「−」と「○」を点灯表示可能な表示器であって、第2特図抽選の結果を示す態様でいずれかの記号を点灯表示する。ここで、第2特図抽選の結果が「外れ」である場合には「−」が停止表示され、「当り」である場合には「○」が停止表示される。
なお、第1特別図柄表示装置40A及び第2特別図柄表示装置40Bの構成としては、7セグメント表示器や、複数のランプにより構成された表示器であってもよく、特定の数字の組み合わせや、ランプの点灯態様により抽選の結果を示すものであってもよい。
【0030】
図3に示すように、第1特別図柄表示装置40A、第2特別図柄表示装置40Bは、主制御装置100の図柄変動表示制御手段140により制御される。図柄変動表示制御手段140は、特別図柄を所定の変動時間だけ第1特別図柄表示装置40A、第2特別図柄表示装置40Bを変動させた後に、特図抽選の結果を示す態様で停止表示させる。ここで、第1特別図柄及び第2特別図柄の変動時間は、第1特別図柄表示装置40A又は第2特別図柄表示装置40Bの「−」と「○」が交互に高速で点滅する期間であり、変動停止時間は、変動時間後にいずれかの記号が点灯表示される期間である。
【0031】
演出表示装置50は、遊技盤20の略中央部に配設される表示装置であって、本実施形態においては液晶表示装置が採用されている。演出表示装置50は、上述の第1特別図柄又は第2特別図柄の変動時間に対応して特定の数字及びキャラクター等からなる複数の演出図柄Sを上下方向にスクロール表示し、第1特別図柄又は第2特別図柄の変動停止時期と略同期して演出図柄Sを停止表示する。
ここで、第1特図抽選又は第2特図抽選の結果が「当り」である場合の演出図柄Sの停止態様は、3つの演出図柄Sが予め設定されたライン上において同一の数字又はキャラクターで停止した態様である(図3参照)。一方、「外れ」である場合の停止態様は、上記以外の態様で停止した態様である。
【0032】
図4に示すように、演出表示装置50は、主制御装置100から送信される制御コマンドを受信した演出制御装置200の演出表示制御手段200Aから送信されるコマンドに基づいて制御される。
詳細は後述するが主制御装置100から演出表示制御手段200Aに送信される演出用のコマンドには、演出図柄Sの変動時間に係る情報等が含まれる。
演出表示制御手段200A側では、上記演出用のコマンドに含まれる情報を解析した上で必要な画像データや動画データ等を読み出し、当該データを演出表示装置50の表示画面51上に出力することにより、演出図柄Sの変動表示中に遊技者に対して多様な演出表示を提供する。
また、演出制御装置200の可動体制御手段200Bは、演出表示制御手段200Aから送信される内部コマンドに応じて、後述する複数の可動体ユニット400;500;600;600A;700;700Aを所定の態様により動作させ、その動作態様によって遊技を盛り上げる。また、演出制御装置200の音声制御手段200Cは、演出表示制御手段200Aから送信される内部コマンドに応じて演出図柄Sの変動時間や演出に対応した音声データを読み出してスピーカ8を制御することにより遊技進行中において遊技を盛り上げる音声を提供する。
以下、本実施形態に係るパチンコ機1に搭載された複数の可動体ユニットの一部について詳説する。
【0033】
図2に示すように、可動体ユニット設置空間形成用筐体31の前側開口310の開口縁には当該可動体ユニット設置空間形成用筐体31を遊技盤20の裏面に取付けるための例えば取付フランジ313が設けられる。当該取付フランジ313が遊技盤20の裏面の周縁部にねじ等で取付けられることで可動体ユニット設置空間形成用筐体31が遊技盤20の裏面に取付けられ、遊技盤20と可動体ユニット設置空間形成用筐体31とで形成された遊技盤20の後方で、かつ、可動体ユニット設置空間形成用筐体31の内側の収容空間314に複数の可動体ユニットが配置され、複数の可動体ユニットが遊技盤20の裏面又は可動体ユニット設置空間形成用筐体31に固定状態に取付けられる。
【0034】
図3に示すように、上可動体ユニット400は、遊技盤20の開口34の上縁の上方側に位置する遊技盤20の裏側の収容空間314に配置され、遊技盤20又は可動体ユニット設置空間形成用筐体31に取付けられる。上可動体ユニット400は、非作動状態において後述する上可動体401の下顎部材403の下端側が遊技盤20の開口34の上縁前方を装飾するセンター飾り枠80の上部飾り部83の下端より下方に位置し、遊技者から僅かに目視可能である。
一方、上可動体ユニット400の作動状態においては、上可動体401が下方に移動して、下顎部材403及び後述する回転リール410が、上部飾り部83の下端より下方でかつ演出表示装置50の表示画面51の前方に位置し、下顎部材403及び回転リール410の全域を遊技者が目視可能となる。即ち、上可動体401の回転リール410は、上可動体ユニット400の作動時のみに遊技者から目視可能である。
また、図3に示すように、センター飾り枠80の上部飾り部83は、後述する上可動体401の下顎部材403の下顎以外の顔部分を形成する飾り顔部83Aを有し、上可動体401が下方に移動した際に、飾り顔部83Aと下顎部材403とで人間の顔の形を呈する。
【0035】
以下、図5図6を参照して、上可動体ユニット400について詳説する。図5に示すように、上可動体ユニット400は、上可動体401と、当該上可動体401を上下方向に移動させる上可動体駆動装置402とを備える。
上可動体401は、人の下顎の形をした下顎部材403と、当該下顎部材403の上方において回転する回転リール装置404と、下顎部材403と回転リール装置404とを所定の位置関係に連結する連結板405とを備える。
【0036】
下顎部材403は、例えば、下顎の前面を形成する前板部406と、前板部406の左右下方から後方に延長する左右下板部407とを備え、前板部406の裏面及び左右下板部407の裏面で囲まれた凹部空間を備えた後部開放のお面のような立体形状に形成される。光非透過性材料により形成された前板部406には、左右に炎の形をした左右対称な貫通孔が形成され、この貫通孔に光透過性材料により形成された炎形状の光透過部材408が嵌め込まれている。そして、前板部406の裏側の凹部空間に図外の光源が設置され、当該光源からの光が光透過部材408を透過して前板部406の前方に透過するように構成されている。なお、当該光源は、可動体制御手段200Bによって制御される。下顎部材403の前板部406の上部は、下唇形状に形成され、この下唇形状の上部には光透過性材料により形成された歯部409が設けられる。
【0037】
回転リール装置404は、回転リール410と、回転支持部411と、回転リール駆動装置412とを備える。回転リール410は、左右方向に延在する回転中心軸を中心として回転可能な中空又は中実の円柱により形成される。回転リール410の円周面には、例えば、当該円周面を周方向に沿って複数領域に区分けして形成された複数の演出表示領域417A〜417Cが設けられる。例えば、演出表示領域417Aには、「FIGHT」というメッセージが表示され、演出表示領域417Bには「燃える!」というメッセージが表示され、演出表示領域417Cには「非常識」というメッセージが表示されている。
また、これらのメッセージが表示された演出表示領域417A〜417Cは、回転リール410の円周上において例えば、120°の間隔を持って設けられており、演出表示領域417A〜417Cいずれかの面が遊技者に対して正対して停止することにより、遊技者は演出表示領域417A〜417Cに表示されたメッセージを読み取ることができる。
【0038】
回転支持部411は、回転リール410の円柱の両端面より突出する図外の回転中心軸を回転可能に支持する図外の軸受部を備えた筐体により形成される。回転リール駆動装置412は、一方の回転支持部411の筐体の上部に設けられた取付板413に固定された駆動源としてのステップモータ等のモーター414と、モーター414の回転力を回転リール410の回転中心軸に伝達する歯車群等により構成された伝達機構415とを備える。
そして、モーター414が後述の可動体制御手段200Bによって駆動制御され、モーター414の回転力が伝達機構415を介して回転リール410に伝達されることにより、回転リール410が一方向に回転可能とされる。
【0039】
上可動体駆動装置402は、前側ベース板420と、後側ベース板421と、前側ベース板420の裏面に演出表示装置50の表示画面51と平行に取付けられて上下方向に延長するレール422と、レール422上を移動するように設けられたスライダー423と、上可動体401を上下に移動させるための駆動力を発生する可動体駆動源としてのステップモータ等のモーター424と、モーターの回転力を伝達するために、例えば後側ベース板421の前面に回転可能に設けられた伝達歯車群により構成された伝達機構425と、最終歯車429に伝達された回転力を、上可動体401を上下動させる直動力に変換して上可動体401に伝達するリンク機構426とを備える。
【0040】
スライダー423は、断面コの字状に延在するレール422の延長方向に沿って上下方向に移動可能であり、レール422から脱落不能に設けられる。伝達機構425は、例えば、モーター424の出力軸に回転可能に取付けられた出力歯車427と、後側ベース板421上で回転自在に軸支された中間歯車428及び最終歯車429により構成される。
【0041】
リンク機構426は、左右方向に長尺な板状のリンク板430と、最終歯車429の前面から前方に突出する歯車側伝達軸431と、回転支持部411の裏側に位置する連結板405の裏面より後方に突出する上可動体側伝達軸432と、後側ベース板421の前面より前方に突出するリンク回転中心軸433とから構成される。
リンク板430の長手方向の一端にはリンク回転中心軸433が貫通する回転中心孔435が形成される。一方、リンク板430の長手方向の他端側には、上可動体側伝達軸432が貫通する他端側長孔436が形成される。また、リンク430の長手方向の中央側には歯車側伝達軸431が貫通する中央側長孔437が形成される。
【0042】
連結板405は、下顎部材403の裏面と対向して下顎部材403の裏面と連結される図外の下顎部材連結板部と、当該下顎部材連結板部の上端より後方に延長して回転リール410の下側に位置される図外の下側水平面板部と、当該下側水平面板部の後端より上方に延長して回転リール410の後側に位置されて回転支持部411の裏面と連結される図外の回転支持部連結板部と、当該回転支持部連結板部より前方に延長して回転リール410の上側に位置される上板部440と、上板部440の前端より垂直に立ち上がってスライダー423と連結されるスライダー連結板441とを備える。
【0043】
回転リール装置404の回転リール410が下顎部材403の歯部409の上に横たわるように配置された状態において、連結板405の下顎部材連結板部と下顎部材403の裏面とが連結され、連結板405の回転支持部連結板部と回転リール装置404の回転支持部411の裏面とが連結され、かつ、スライダー連結板441とスライダー423とが連結され、レール422上を移動可能なスライダー423と上可動体401とが連結されているので、上可動体401がレール422に沿って上下方向に移動可能に構成される。
【0044】
そして、モーター424及び伝達機構425が取付けられた後側ベース板421が上可動体401の後方に位置され、リンク430のリンク回転中心軸433がリンク430の回転中心孔435を貫通し、上可動体側伝達軸432がリンク430の他端側長孔436を貫通し、歯車側伝達軸431がリンク430の中央側長孔437を貫通した状態で、後側ベース板421と前側ベース板420とが連結部450を介して所定の位置関係に連結されたベース板451が構成され、当該ベース板451が例えば遊技盤20の裏面に固定された状態で可動体制御手段200Bによって駆動制御されるモーター424が駆動すると、モーター424の回転力が歯車側伝達軸431、リンク430、上可動体側伝達軸432に伝達されて上可動体401がレール422に沿って演出表示装置50の表示画面51と平行に上下方向に移動可能な上可動体ユニット400が構成されることになる。
【0045】
図6(a)に示すように上可動体401が上方に引き上げられている非作動状態から、可動体制御手段200Bの駆動制御によって、モーター424が一方向に回転した場合、最終歯車429が右回転して歯車側伝達軸431が中央側長孔437の内壁を押し下げながら中央側長孔437内を移動し、リンク430がリンク回転中心軸433を回転中心として回転するとともに、上可動体側伝達軸432がリンク430の他端側長孔436の内壁を押し下げながら他端側長孔436内を移動するので、上可動体401が下方に移動する。(図6(b)参照)。また、上可動体401が下方に移動した状態からモーター424が他方方向に回転した場合、図6(b)に示す状態から図6(a)に示す非作動状態に復帰する。
【0046】
次に、図7乃至図9を参照して、右前側可動体ユニット600について説明する。右前側可動体ユニット600は、右前側可動体601と右前側可動体駆動装置602とを備える。右前側可動体601は、例えば、人の横顔の下顎、下唇、下歯を有した下側可動体としての下側顔部分604と、人の横顔の下顎部分より上方に位置する上顎、上唇、上歯、頬、鼻、目、額部を有した上側可動体としての上側顔部分603とを備える。
【0047】
図8に示すように、上側顔部分603は、例えば、頬部分に設けられた炎模様部分603aと目部分603bと上歯部分603cとが光透過性材料により形成された光透過部に構成され、その他の部分は光非透過性材料により形成された光非透過部に構成されている。そして、上側顔部分603の裏側の凹部空間に図外の光源が設置され、当該光源からの光が炎模様部分603a等の光透過部を透過して上側顔部分603の前方に透過するように構成されている。
また、下側顔部分604も同様に、例えば、頬部分に設けられた炎模様部分604aと下歯部分604bとが光透過性材料により形成された光透過部に構成され、その他の部分は光非透過性材料により形成された光非透過部に構成されている。そして、下側顔部分604の裏側の凹部空間に図外の光源が設置され、当該光源からの光が炎模様部分604a等の光透過部を透過して下側顔部分604の前方に透過するように構成されている。なお、上述の各光源は、可動体制御手段200Bによって制御される。
【0048】
右前側可動体駆動装置602は、ベース板605と、演出表示装置50の表示画面51に沿って平行に設けられたレール606と、レール606上を移動するスライダー607と、駆動源としてのステップモータ等のモーター608と、モーター608の出力軸に回転可能に取付けられた出力歯車により構成されたピニオン609と、ピニオン609と噛合うラック610と、リンク装置611とを備える。
【0049】
ベース板605は、前側ベース板612と後側ベース板613とを備える。後側ベース板613は、垂直方向と直交する左右方向に延長する左右延長部619を有した上後側ベース板部614と、垂直方向と直交する左右方向に延長する下後側ベース板部615と、上下方向に延長して上後側ベース板部614と下後側ベース板部615とを繋ぐ中央後側ベース板部616とを備える。
前側ベース板612が上後側ベース板部614の前側に位置され、前側ベース板612と上後側ベース板部614とが前後に所定間隔隔てて止めネジ等で互いに連結されている。
前側ベース板612の前面にはモーター608が固定状態に取付けられ、モーター608の出力軸が前側ベース板612に形成された孔を貫通して当該出力軸の先端側にピニオン609が取付けられる。
上後側ベース板部614における左右延長部619の前面に垂直方向と直交する左右方向に延長するレール606が取付けられる。スライダー607はレール606の延長方向に移動可能でレール606から脱落不能に設けられる。
【0050】
リンク装置611は、右前側可動体601の裏面側から後方に突出するように設けられた複数の支軸と、右前側可動体601が可動可能なように各支軸が移動可能に取付けられた取付板620とを備える。取付板620は、前側取付板621と、前側取付板621の裏面に取付けられる後側取付板622とを備える。
【0051】
前側取付板621の上端部623及びラック610がスライダー607に固定状態に取付けられてラック610がピニオン609と噛合うように設けられる。従って、モーター608が駆動してピニオン609が回転すると回転力がラック610に伝達されて、ラック610に連結されたスライダー607がレール606上を移動し、スライダー607に連結された取付板620もスライダー607の移動方向に移動する。取付板620は、右前側可動体601の初期位置状態において、後側ベース板613の中央後側ベース板部616の前側に位置され、ラック610の移動に伴って演出表示装置50の表示画面51と平行に左方向に移動する。
【0052】
前側取付板621には複数の弧状長孔が形成されている。複数の弧状長孔は、前側取付板621の上部左側において上下方向に延長して中央部が左側に膨出するように湾曲形成された第1の弧状長孔625と、前側取付板621の上部左側における第1の弧状長孔625よりも右側位置に位置して、第1の弧状長孔625に沿って形成された第2の弧状長孔626と、前側取付板621の下部左側において左右方向に延長して上側に膨出するように湾曲形成された第3の弧状長孔627とを備える。
後側取付板622には複数の長孔が形成されている。複数の長孔は、後側取付板622の右側上部において上下方向に延長するよう形成された第1の長孔630と、後側取付板622の右側下部において上下方向に延長するよう形成された第2の長孔631と、後側取付板の左側における上下方向中央部において上下方向に延長するよう形成された第3の長孔632と、後側取付板622の右側上部における第1の長孔630よりも上側において左右方向に延長するように設けられた第4の長孔633と、後側取付板622の左側下部において下端部が上下方向に延長する長孔により形成され当該下端部よりも右側上部において上端部が上下方向に延長する長孔により形成されるとともに上端部の長孔の下端開口と下端部の長孔の上端開口とが左上側に膨出するように湾曲形成された弧状長孔により連通した構成の第5の長孔634とを備える。
【0053】
前側取付板621の裏面における右上部側より後方に突出する第1の連結軸640が後側取付板622の前面側から第1の長孔630を貫通して当該第1の連結軸640が第1の長孔630内を移動可能なように構成され、また、第1の長孔630を通過させた第1の連結軸640の後端面には抜け止め641が取付けられ、抜け止め641が後側取付板622の後面における第1の長孔630の周囲の面に係止することで第1の連結軸640が第1の長孔630から外れないように構成されている。
前側取付板621の裏面における右下部側より後方に突出する第2の連結軸642が後側取付板622の前面側から第2の長孔631を貫通して当該第2の連結軸642が第2の長孔631内を移動可能なように構成され、また、第2の長孔631を通過させた第2の連結軸642の後端面には抜け止め643が取付けられ、抜け止め643が後側取付板622の後面における第2の長孔631の周囲の面に係止することで第2の連結軸642が第2の長孔631から外れないように構成されている。
前側取付板621の裏面における左側上下方向の中央部より後方に突出する第3の連結軸644が後側取付板622の前面側から第3の長孔632を貫通して当該第3の連結軸644が第3の長孔632内を移動可能なように構成され、また、第3の長孔632を通過させた第3の連結軸644の後端面には抜け止め645が取付けられ、抜け止め645が後側取付板622の後面における第3の長孔632の周囲の面に係止することで第3の連結軸644が第3の長孔632から外れないように構成されている。
【0054】
上側顔部分603における額部分の裏側より後方に突出する上下2つの左側支軸650;651が前側取付板621の前面側から第1の弧状長孔625を貫通して当該左側支軸650;651が第1の弧状長孔625内を移動可能なように構成され、また、第1の弧状長孔625を通過させた各左側支軸650;651の後端面には上記と同様に図外の抜け止めが取付けられ、当該抜け止めが前側取付板621の後面における第1の弧状長孔625の周囲の面に係止することで左側支軸650;651が第1の弧状長孔625から外れないように構成されている。
上側顔部分603におけるこめかみ部分の裏側より後方に突出する中央側支軸652が前側取付板621の前面側から第2の弧状長孔626を貫通して当該中央側支軸652が第2の弧状長孔626内を移動可能なように構成され、上述と同様の抜け止め構成によって中央側支軸652が第2の弧状長孔626から外れないように構成されている。
上側顔部分603の後頭部の裏側より後方に突出する右上側支軸653の後端部が後側取付板622の前面側から第4の長孔633内に挿入されて右上側支軸653の後端部が第4の長孔633内を移動可能なように構成されている。
さらに上側顔部分603の後頭部の裏側から後頭部よりも右上側に延長する延長板655の上端部の裏面から後方に突出するガイド支軸656を備え、ガイド支軸656の後端側の周面がガイド壁657に沿って上下斜め方向に移動可能なように構成される。ガイド壁657は、後側ベース板613における中央後側ベース板部616の上部に形成された下側から左上方向に傾斜する傾斜面により形成される。
【0055】
下側顔部分604は、顎下よりも下方に延長する延長板660の下端部の裏面から後方に突出する回転中心支軸661を備え、回転中心支軸661の後端側が前側取付板621の下端側に設けられた固定部662に回転可能に連結されており、下側顔部分604は当該回転中心支軸661を回転中心として回転可能に構成される。
また、下側顔部分604の中央部の裏側より後方に突出する中央側支軸663の後端側が前側取付板621の前面側から第3の弧状長孔627を貫通するとともに後側取付板622の第5の長孔634を貫通して当該中央側支軸663が第3の弧状長孔627内及び第5の長孔634内を移動可能なように構成され、また、第5の長孔634を通過させた中央側支軸663の後端面には上記と同様の抜け止めが取付けられ、中央側支軸663が第3の弧状長孔627及び第5の長孔634から外れないように構成されている。
【0056】
図8;9を参照し、右前側可動体ユニット600の動作について説明する。
図8(a);図9(a)に示すように、ラック610が最も右側に位置して右前側可動体601により形成された顔が歯を食いしばった表情に形成される初期位置(非作動)状態においては、上側顔部分603から設けられたガイド支軸656がガイド壁657から右側に離れた所に位置し、下左側支軸651が第1の弧状長孔625の下端縁に位置し、中央側支軸652が第2の弧状長孔626の下端縁に位置し、右上側支軸653が第4の長孔633の左端縁に位置し、下側顔部分604から設けられた中央側支軸663が第3の弧状長孔627及び第5の長孔634の上端縁に位置する。
【0057】
そして、可動体制御手段200Bの駆動制御によってモーター608が一方向に回転駆動し、ラック610が左側に移動すると、ラック610と連結された前側取付板621に付けられている右前側可動体601及び後側取付板622がラック610の移動に伴って左側に移動し、ガイド支軸656がガイド壁657に接触した後(図8(b);図9(b)以降)は、ラック610が左側に移動するが、ガイド支軸656がガイド壁657に接触しているので、上側顔部分603の左方向への移動が制限され、ガイド支軸656がガイド壁657に沿って左上に移動するのに伴って、2つの左側支軸650;651が第1の弧状長孔625内を上方に移動し、中央側支軸652が第2の弧状長孔626内を上方に移動する。これに伴って、右上側支軸653が第4の長孔633内を右側に移動するとともに後側取付板622を上方に引き上げるので、各長孔630;631;632が連結軸640;642;644をガイドとして上方に移動し、また、第5の長孔634が中央側支軸663をガイドとして上方に移動するとともに、下側顔部分604が回転中心支軸661を介して回転可能なため、中央側支軸663が第3の弧状長孔627及び第5の長孔634の上端縁から下端縁まで移動する。以上により、上側顔部分603がガイド支軸656を回転中心として右回転するように移動し、下側顔部分604が回転中心支軸661を回転中心として左回転するように移動することによって、右前側可動体601により形成された顔が口を大きく開けた表情の演出作動状態となる(図8(c);図9(c)参照)。
当該右前側可動体601は、非作動(初期位置)状態においては、演出表示装置50の表示画面51の前方の右側に位置されて遊技者から目視可能な状態となり、作動状態においては、演出表示装置50の表示画面51の前方の右寄り中央側に位置されて遊技者から目視可能な状態となる。
【0058】
図8(c)に示すように、中央後側ベース板部616には、光透過性材料により形成された光透過飾部616aと光非透過性材料により形成された光非透過飾部616bとで構成される。また、前側取付板621は、光透過性材料により形成された光透過飾部621aと光非透過性材料により形成された光非透過飾部621bとで構成される。
そして、右前側可動体601が、図8(a)に示す非作動状態から図8(c)に示す作動状態に移行する過程において、前側取付板621の光透過飾部621aと中央後側ベース板部616の光透過飾部616aとが互いに関連性を持った飾部に形成されており、かつ、前側取付板621の光非透過飾部621bと中央後側ベース板部616の光非透過飾部616bとが互いに関連性を持った飾部に形成されている。これら関連性を持った飾部としては、例えば、図8(c)に示す作動状態における右前側可動体601の開いた口の中央位置を中心として右方向に放射状に延長する炎形状飾りである。
中央後側ベース板部616の光透過飾部616a、及び、前側取付板621の光透過飾部621aの裏側の凹部空間には、可動体制御手段200Bによって制御される図外の光源が設置され、当該光源からの光が、光透過飾部616aを透過して中央後側ベース板部616の前方に透過するように構成され、また、光透過飾部621aを透過して前側取付板621の前方に透過するように構成される。
【0059】
従って、右前側可動体ユニット600によれば、可動体制御手段200Bにより制御される飾り右前側可動体駆動装置602によって、当該右前側可動体601が初期位置から左方に移動する横移動動作と、右前側可動体601が左方に移動した後に上側顔部分603と下側顔部分604とが互いに離れるように回動して右前側可動体601により形成された顔が口を大きく開ける口開け動作と、前側取付板621が左方に移動するに従って中央後側ベース板部616が遊技者から目視可能となって炎形状飾りが拡大していくような炎拡大動作とが協働した複合演出を行うことが可能となるとともに、可動体制御手段200Bが、炎拡大動作と同時に、前側取付板621及び中央後側ベース板部616の裏側の光源を点灯させたり点滅させたりするランプ制御を行うことによって光を光透過飾部616a及び光透過飾部621aを介して遊技者に見せる光演出を行うことが可能となり、当該複合演出と光演出とによって、遊技者の期待感を高める演出が可能となる。なお、左前側可動体ユニット600Aの説明は、それぞれの可動体(右前側可動体601;左前側可動体601A)の移動方向が異なるのみで右前側可動体ユニット600と同様の構成であるため省略する。
【0060】
また、図示しないが、下後側ベース板部615の前面には、取付板620の下端部620eのガイド路を形成するカバーが取付けられており、下端部620eがガイド路内に挿入されて左右方向に移動可能でかつ前後方向に移動不能にガイドされる。そして、飾り枠690(図2参照)が設けられる場合には、当該ガイド路を形成するカバー及び前側ベース板612から延長するように設けられた図外の飾りベース板の前面に当該飾り枠690が設けられる。
【0061】
また、図示しないが上述した各駆動装置のリンク或いはラックには、各可動体の初期状態(非作動状態)位置検出用の被検出体が設けられ、各ベース板には、各被検出体を検出して可動体制御手段200Bに対して検出信号を出力するセンサが設けられているので、可動体制御手段200Bは、各可動体の初期状態を正確に把握でき、各可動体の正確な位置制御を行えるようになっている。
【0062】
以下、上記複数の可動体を備えたパチンコ機1における遊技の流れを概説する。
図4に示すように、主制御装置100は、特図(特別図柄)当否抽選手段110、特別図柄種類決定手段120、変動時間決定手段130、図柄変動表示制御手段140、及び遊技状態制御手段150を主たる構成として備える。
【0063】
特図当否抽選手段110は、第1始動入賞口30A又は第2始動入賞口30Bへの遊技球の入賞を契機として出力される球検出信号の入力に基づいて、ハードウェアカウンタから取得される例えば0〜65535までの範囲の特図抽選用乱数と、当該乱数ごとに抽選結果(「当り」又は「外れ」)が規定された特図抽選用テーブルを参照し、「当り」又は「外れ」いずれかの抽選結果を抽出する。
【0064】
特別図柄種類決定手段120は、前述の抽選結果が「当り」であることを条件として、特別図柄の種類を決定する。具体的には、特別図柄種類決定手段120は、第1始動入賞口30A又は第2始動入賞口30Bへの遊技球の入賞を契機として出力される球検出信号の入力に基づいて、ハードウェアカウンタから取得される例えば0〜99までの範囲の特図種類決定用乱数と、当該乱数ごとに特別図柄の種類が規定された特図種類決定用テーブルを参照しいずれかの特別図柄種類を抽出する。
ここで、特別図柄種類には、例えば特別図柄A〜特別図柄Dまでの4種類が存在し、これら特別図柄種類の相違は、後述する遊技状態制御手段150によって参照される。なお、前述の抽選結果が「外れ」である場合には、本抽選処理は実行されない。
【0065】
変動時間決定手段130は、前述の特図抽選が実行されたことに応じて、特別図柄及び演出図柄Sが変動を開始してから停止するまでの変動時間(演出時間)を決定する。
具体的には、変動時間決定手段130は、第1始動入賞口30A又は第2始動入賞口30Bへの遊技球の入賞を契機として出力される球検出信号の入力に基づいて、ソフトウェアカウンタから取得される例えば0〜99までの範囲の変動時間決定用乱数と、当該乱数ごとに変動時間が規定された変動時間決定用テーブルを参照し、いずれかの変動時間を抽出する。
ここで、変動時間決定用テーブルは、現在の遊技状態、及び、前述の特図抽選の結果に応じて細分化されており、各テーブルには、例えば、2秒,5秒,13秒,35秒,60秒,90秒のいずれかの変動時間が互いに異なる選択率により規定されている。
【0066】
図柄変動表示制御手段140は、特図抽選の結果、特別図柄抽選の結果が「当り」である場合の特別図柄種類、及び変動時間に基づいて第1特別図柄表示装置40A又は第2特別図柄表示装置40Bを変動表示させるとともに、演出制御装置200側に図柄変動コマンドを送信し、演出表示装置50の表示画面51上に表示される演出図柄Sの変動を開始させる。
【0067】
具体的には、図柄変動表示制御手段140は、第1特別図柄表示装置40A又は第2特別図柄表示装置40Bに対して変動開始信号を出力することにより特別図柄の変動を開始させ、変動時間が経過したことに基づいて変動停止信号を出力する。また、特別図柄の停止態様は、前述の特図抽選の結果に基づいて「○」又は「×」のいずれかに決定される。
なお、特図抽選用乱数取得の契機が第1始動入賞口30Aである場合には、第1特別図柄表示装置40Aを制御対象とし、特図抽選用乱数取得の契機が第2始動入賞口30Bである場合には、第2特別図柄表示装置40Bを制御対象とする。
【0068】
さらに、図柄変動表示制御手段140は、演出制御装置200に対して図柄変動コマンドを送信する。当該図柄変動コマンドには、特図抽選の結果、特別図柄種類、及び変動時間に係る情報が含まれており、演出制御装置200側では、これらの情報に基づいて演出図柄Sの変動時間や、変動表示中の演出パターン、或いは、複数の可動体ユニット400;500;600;600A;700;700Aの動作パターンを決定する。
【0069】
遊技状態制御手段150は、特図抽選の結果が「当り」である場合の特別図柄種類に応じて、当該特図抽選の結果が「当り」であることを契機として実行される特別遊技後の遊技状態を変更する。前述のとおり、特図抽選の結果が「当り」であり、特別図柄及び演出図柄Sが「当り」であることを示す態様で停止した後には、図外の特別遊技制御手段によって第1大入賞口35A又は第2大入賞口35Bが開放状態とされる特別遊技(所謂大当り遊技)が実行される。そして特別遊技終了後の遊技状態は、特別図柄種類に応じて変更され、遊技者にとって有利な遊技状態又は不利な遊技状態が醸成される。
【0070】
ここで、遊技状態には、「特図低確率」と、当該特図低確率の状態よりも特図抽選の結果が「当り」となる確率が例えば10倍高く設定された「特図高確率」と、「普図低確率」と、当該普図高確率の場合よりも電動チューリップが開放状態となる頻度及び間隔、さらには特別図柄及び演出図柄Sの変動時間が大幅に短縮される「普図高確率」の4つの状態が存在し、これらの状態が組み合わされることにより1つの遊技状態が醸成される。
例えば、特別図柄種類が特別図柄Aである場合の特別遊技後の遊技状態は、「特図高確率」かつ「普図高確率」とされる。また、特別図柄種類が特別図柄Bである場合の遊技状態は、「特図高確率」かつ「普図低確率」の状態とされる。また、特別図柄種類が特別図柄Cである場合の遊技状態は、「特図低確率」かつ「普図高確率」の状態とされる。また、特別図柄種類が特別図柄Dである場合の遊技状態は、「特図低確率」かつ「普図低確率」の状態とされる。
【0071】
次に、主制御装置100からの図柄変動コマンドに基づいて態様な演出を実行する演出制御装置200について説明する。図4に示すように、演出制御装置200は、主として演出表示装置50を制御する演出表示制御手段200Aと、主として複数の可動体ユニットを制御する可動体制御手段200Bと、主としてスピーカ8から発せられる遊技中の楽曲や効果音等を制御する音声制御手段200Cを備える。
可動体制御手段200B及び音声制御手段200Cは、演出表示制御手段200Aによって決定される演出図柄Sの多様な演出パターンに応じて可動体ユニットの動作や発光態様、遊技中の音声を制御することにより、演出図柄Sが変動を開始してから停止表示されるまでの間、その演出効果を高める。以下、各制御手段についてその機能を説明する。
【0072】
演出表示制御手段200Aは、主制御装置100から送信される図柄変動コマンドに含まれる情報を解析し、各情報に応じた演出図柄Sの変動パターンを決定する。
具体的には、演出表示制御手段200Aは、図柄変動コマンドの受信と同時に、ソフトウェアカウンタから、0〜99までの変動パターン決定用乱数を取得し、変動パターン決定用テーブルを参照して、取得した変動パターン決定用乱数に対応する1つの変動パターンを抽出する。変動パターン決定用テーブルは、主制御装置100側で決定された6種類の変動時間ごとに細分化されており、この細分化された変動パターン決定用テーブルは、さらに「当り用」又は「外れ用」に細分化され、さらに「当り用」の変動パターン決定用テーブルは、特別図柄種類ごとに細分化されている。
そして、演出表示制御手段200Aは、図柄変動コマンドに含まれる特図抽選の結果、特別図柄種類、及び変動時間に係る情報に基づいて、いずれかの変動パターン決定用テーブルを参照し、1つの変動パターンを決定する。
【0073】
ここで、変動パターン決定用テーブルに規定される変動パターンには、大別して「非リーチ」,「リーチ」,「スーパーリーチ」等の演出図柄Sの変動態様に関連する情報が規定されている。「リーチ」とは、3つの演出図柄Sの内、2つの演出図柄Sが同一の数字又はキャラクターで先行停止した状態であり、変動表示中の演出図柄Sが先行停止した2つの演出図柄Sと同一の数字又はキャラクターで停止すれば所謂「大当り」となり得る状態である。一方、「非リーチ」とは上記以外の状態をいう。
また、「スーパーリーチ」とは、上記「リーチ」状態の後、演出図柄Sの変動が停止するまでの間に展開される「大当り」への期待感を高める演出である。
当該「スーパーリーチ」は、例えば10種類程度に細分化されており、スーパーリーチの種別ごとに、演出表示装置50上で展開される画像や動画の種類や表示態様、或いは、可動体ユニットの動作態様等の詳細が規定されている。また、本実施形態におけるパチンコ機1には、「スーパーリーチ」の一態様として、「再変動リーチ」を含み、当該「再変動リーチ」が抽出された場合には、後述の可動体ユニット400;600;600Aが協働する特殊な再変動演出が実行される。
【0074】
演出表示制御手段200Aは、上記抽出した変動パターンに基づいて、変動開始コマンドを生成するとともに、生成した変動開始コマンドを演出表示装置50側に送信する。当該変動開始コマンドを受信した演出表示装置50側では、演出図柄Sの変動表示を開始するとともに、変動パターンに対応する態様によって各種の演出を実行し、変動時間経過後に特図抽選の結果を示す態様により停止表示させる。
【0075】
また、演出表示制御手段200Aは、上記抽出した変動パターンに含まれる可動体ユニットの動作態様に関する情報を含む内部コマンドを可動体制御手段200B側に送信する。当該内部コマンドを受信した可動体制御手段200Bは、内部コマンドに含まれる情報に基づいて複数の可動体ユニットのいずれか又は複数の可動体ユニットを同時に制御し、演出表示装置50の表示画面51上で展開される演出と協調した各可動体による演出を実行する。
【0076】
また、演出表示制御手段200Aは、上記抽出した変動パターンの種別に係る情報を含む内部コマンドを音声制御手段200C側に送信する。当該内部コマンドを受信した音声制御手段200Cは、変動パターンの種別に係る情報に基づいて、演出ごとに異なる楽曲データ,効果音データ等の音声データをROMから抽出し、当該抽出した音声データに基づいてスピーカ8を制御して、演出表示装置50上で展開される演出と協調した音声による演出を実行する。
【0077】
次に、図10図11を参照して、特定の変動パターン、具体的には前述の「再変動リーチ」が抽出された場合の演出表示装置50、上可動体401、右前側可動体601及び左前側可動体601Aが関連する再変動演出の動作について説明する。
図10は、「再変動リーチ」が抽出された場合の演出図柄Sの変動開始から変動停止までのタイムチャートを示す。図11(a)〜(f)は、上記演出表示制御手段200Aによって「再変動リーチ」が抽出された場合の演出表示装置50の表示画面51における演出表示、上可動体401、右前側可動体601及び左前側可動体601Aの動作に係る変化を時系列で示す図である。ここで、「再変動リーチ」は、例えば特図抽選の結果が「当り」、変動時間が「60秒」である場合に抽出された変動パターンであるものとする。
【0078】
図10に示すように、「再変動リーチ」が抽出された場合には、演出図柄Sの変動開始から例えば13秒後に2つの演出図柄Sが同一の数字又はキャラクターで仮停止する「リーチ」が醸成される。そして、リーチ後、残る1つの演出図柄Sが変動を継続し、「リーチ」から32秒後に「リーチ」を醸成した2つの演出図柄Sとは異なる数字又はキャラクターが停止表示される。この演出図柄Sの変動開始から45秒後に停止する3つの演出図柄Sは、仮停止状態である。仮停止状態とは、予め設定された変動時間(本例の場合60秒)以前に演出図柄Sが停止表示された状態であり、当該仮停止状態の演出図柄Sを視認した遊技者は、当否抽選の結果が「外れ」であったことを認識し、一旦は落胆することとなる。
【0079】
しかし、「再変動リーチ」である場合には、仮停止した状態から上可動体401、右前側可動体601及び左前側可動体601Aの動作による再変動演出が実行され、当該変動演出の後に、3つの演出図柄Sが再び変動を開始する。以下、図11を参照して演出図柄Sの仮停止後、再変動前に実行される再変動演出について説明する。
【0080】
図11(a)は、3つの演出図柄Sが仮停止した状態を示し、同図においては左側の演出図柄Sから「3」,「7」,「3」の状態で停止している。また、可動体ユニット400の上可動体401は、その下顎部材403の下端側が上部飾り部83の下端より下方に位置し、遊技者から僅かに視認可能であるとともに、下顎部材403の上方に位置する回転リール410は、上部飾り部83の後方の収納部に隠れて視認不能である。なお、ここで視認不能とは通常、遊技者が遊技を行っている状態における姿勢での視認が困難であることを意味し、遊技盤の窓4Aに顔を近づけてまで実行するような通常予定していない姿勢や行為対応では視認ができてもかまわない。
また、可動体ユニット600の右前側可動体601、及び可動体ユニット600Aの左前側可動体601Aは、演出表示装置50の表示画面51の左右方向に分かれた状態であり、さらにその口が閉じた状態である。この状態から再変動演出が開始されると、まず図11(b)に示すように、仮停止状態の3つの演出図柄Sが表示されていた表示画面51が暗転(ブラックアウト)し、このブラックアウトから所定の時間経過後に図11(c)に示す状態に移行する。
【0081】
図11(c)に示す状態は、前述の右前側可動体601及び左前側可動体601Aが、その口を大きく開けながら、暗転した表示画面51の前方において中央側に移動した状態である。そして、右前側可動体601及び左前側可動体601Aが中央側に移動した後、所定時間経過後に図11(d)に示す状態に移行する。
【0082】
図11(d)に示す状態は、それまで上部飾り部83の後方に隠れて視認不能であった回転リール410を含む上可動体401の全貌が、その降下動作に伴って表示画面51の上部において視認可能となった状態であり、回転リール410は、その降下動作中において一方向に回転を継続し、例えば降下限度位置への到達と同時に或いはその後に特定の演出表示領域417A〜417Cの何れかが遊技者に対して正対した状態で停止する。
本例においては、演出表示領域417Aが遊技者に対して正対して停止し、遊技者からは「FIGHT」とのメッセージが読み取られる。また、回転リール410の停止と同時又は略同期して、暗転していた表示画面51上には同じく「FIGHT」との文字を含む演出表示がなされる。
当該演出表示は、表示画面51の上部及び左右の一部を取り囲むように遮る上可動体401、右前側可動体601、及び左前側可動体601Aの間の領域に表示され、当該演出表示が、あたかも大きく口を開けた右前側可動体601、及び左前側可動体601Aから発せられたメッセージであるかのような印象を与えることができる。
また、回転リール410によって表示された「FIGHT」とのメッセージ、及び表示画面51上において表示された「FIGHT」とのメッセージは、所謂パチスロ機における「リプレイ(再変動)」の意味を有しており、図11(e)に示すように、上可動体401、右前側可動体601、及び左前側可動体601Aの復帰動作中又は復帰動作後に、仮停止していた3つの演出図柄Sは、再変動を開始する。なお、当該再変動を開始した3つの演出図柄Sは、特図抽選の結果が「当り」であることから、最終的に(60秒経過後に)図11(f)に示すように同一の数字又はキャラクターで停止表示されることとなる。
【0083】
以上のとおり、演出表示制御手段200Aによって抽出された演出パターンが仮停止を含む「再変動リーチ」である場合に実行される再変動演出は、回転リール410の回転停止によって遊技者から視認可能となる「FIGHT」の表示と、当該回転停止と略同時期に表示画面51上に表示される「FIGHT」の演出表示の双方の表示によって、演出図柄Sが再変動することを事前に報知する演出であり、当該一連の再変動演出を視認した遊技者は、演出図柄Sが再変動を開始すること、及び再変動によって再び大当り遊技を獲得できるかも知れないという期待感を持って遊技に臨むことが可能となる。
また、演出表示領域417A〜417Cに表示されるメッセージと、表示画面51上に表示されるメッセージとの間には一定の関係があれば如何なる態様であってもよく、例えば上述の例のように互いに「FIGHT」との同一のキーワードを含む関係や、「燃える!」、「闘魂」等のように2つの表示によって一連のメッセージを看取し得るような関係があればよい。
【0084】
以上のとおり、本実施形態に係るパチンコ機1によれば、可動体ユニット400の非作動時においてその全貌が視認不能となるように隠れた上可動体401の回転リール410が可動体ユニット400の作動時において遊技者から初めて視認可能となるものであるため、非作動時においては表示画面51の表示範囲を狭めることがなく、作動時においては表示画面51の前方に突如出現して回転停止後の停止態様によって多様なメッセージを遊技者に対して看取させることから、変化に富んだインパクトのある演出を遊技者に見せることが可能となる。また、本実施形態に係るパチンコ機1によれば、可動体ユニット400の作動に先立って動作する右前側可動体601及び左前側可動体601Aを備えたことにより、遊技者は、右前側可動体601及び左前側可動体601Aの動作によって演出図柄が再変動するかも知れないという期待感を得ることができる。
【符号の説明】
【0085】
1 パチンコ機,20 遊技盤,29 遊技盤ユニット,34 開口,
50 演出表示装置,51 表示画面,100 主制御装置,200 演出制御装置,
200B 可動体制御手段,400 上可動体ユニット,401 上可動体,
402 上可動体駆動装置,410 回転リール,
417A〜417C 演出表示領域,
600 右前側可動体ユニット,600A 左前側可動体ユニット,
601 右前側可動体,601A 左前側可動体,602 右前側可動体駆動装置。
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