(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(構成)
本実施の形態に係る告知放送受信機が設置される場所は任意であり、この告知放送受信機を住戸のリビング等の部屋や、商業ビルのテナントフロア等のフロアに設置することができるが、以下では、住戸の部屋に設置された告知放送受信機に適用した場合を例として説明を行う。
【0019】
最初に、本実施の形態に係る告知放送システムの構成を説明する。
図1は、告知放送システムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、告知放送システム1は、センター側に配置されたセンター装置2、各住戸に配置された告知放送受信機3、及びセンター装置2から送信された信号を告知放送受信機3に送信する伝送系統9を備えて構成されている。このうち、センター装置2は告知放送信号を送信するものであり、公知のセンター装置と同様に構成することができる。また、伝送系統9は、ヘッドエンド90、このヘッドエンド90から各住戸の告知放送受信機3に至る伝送線路91、さらに、この伝送線路91に配置された、アンプ92、分配増幅器93、分配器94、及び保安器95を備えて構成されている。ヘッドエンド90は、センター装置2から送信された信号を受信し、この信号をレベル増幅した上で伝送線路91に送出する増幅送信手段である。伝送線路91は、告知放送信号を送信する送信線路であり、例えば、CATV信号を伝送するCATV伝送線路(同軸ケーブル)を備えて構成される。アンプ92は、伝送線路91を流れる信号を増幅する増幅手段である。分配増幅器93は、信号を増幅した上で、各住戸に向けて分配する分配増幅手段である。分配器94は、分配増幅器93にて増幅された信号を各住戸に向けて分配する分配手段である。保安器95は、各住戸に設けられ、伝送線路91に乗って受信機に至る直流成分を制御する。なお、特記する構成を除き、センター装置2、告知放送受信機3、及び伝送系統9は、公知の装置又はシステムと同様に構成することができる。また、このセンター装置2は、特許請求の範囲における送信手段に対応するものである。
【0020】
(構成−告知放送受信機)
次に、告知放送受信機3の電気的構成について説明する。
図1に示したように、告知放送受信機3は、通信部30と、音声切換え部31と、音量調整部32と、アンプ33と、スピーカ34と、検知部35と、マイク36と、操作部37と、表示部38と、制御部39と、メモリ40と、音声情報格納部41とを備えている。
【0021】
通信部30は、センター装置2から送信された告知放送信号を復調する告知放送復調手段であり、告知放送信号に含まれる音声情報を音声切換え部31に出力すると共に、告知放送信号に含まれる制御情報(例えば、告知放送が緊急放送又は一般放送の何れかを特定する情報等)を制御部39に出力する。また、この通信部30は、後述するアンテナ51を介してラジオ放送信号を受信し、当該ラジオ放送信号に含まれる音声情報を音声切換え部31に出力する。
また、この通信部30は、異常信号送信部30aを備えている。異常信号送信部30aは、後述する判定部39aの判定結果に基づいて、異常がある旨を示す異常信号を伝送線路91を介してセンター装置2に送信する異常信号送信手段である。
【0022】
音声切換え部31は、通信部30から出力された音声情報を音量調整部32又は音声情報格納部41に出力し、あるいは、音声情報格納部41に格納された音声情報又は音声を音量調整部32に出力する音声切換え手段である。
【0023】
音量調整部32は、音声切換え部31から出力された音声情報又は音声の音量を調整する音量調整手段である。アンプ33は、音量調整部32から出力された音声情報又は音声を増幅する増幅手段である。スピーカ34は、アンプ33から出力された音声情報又は音声を出力する音声出力手段であり、例えば、公知のスピーカで構成されている。
【0024】
検知部35は、監視領域にいる人の状態を検知する検知手段である。ここで、「監視領域にいる人の状態を検知する」方法としては、直接的な検知と、間接的な検知とが考えられる。直接的な検知の方法としては、監視領域内にいる人の状態を人感センサ等により検知する方法が挙げられ、この方法を採用する場合には、検知部35は、例えば、監視領域内にいる人の動作状態の変動を検知するための公知の人感センサ(具体的には、焦電型赤外線センサ等)で構成されている。一方、間接的な検知の方法としては、監視領域内の環境状態(例えば温度、湿度等)の変動を検知し、この環境状態の変動に基づいて、監視領域内にいる人の状態を特定する方法が挙げられる。この方法を採用する場合には、検知部35は、例えば、監視領域内の環境状態の変動を検知するための公知の温度センサ、又は公知の湿度センサ等で構成されてもよい。
【0025】
マイク36は、告知放送受信機3の周囲の音の入力を受け付けて音声信号に変換する音入力手段であり、例えば公知のマイクで構成されている。
【0026】
操作部37は、告知放送受信機3に対する各種の操作を行うための操作手段である。
この操作部37は、切替スイッチ37aを備えている。切替スイッチ37aは、告知放送受信機3の動作モードを切替えるための切替手段である。ここで、この告知放送受信機3の動作モードとしては、見守りモードと、警備モードとの2つのモードに区分けされる。
【0027】
見守りモードは、告知放送受信機3の監視領域内にいる人の安否を確認するためのモードである。また、警備モードは、告知放送受信機3の監視領域内における不審者の侵入の有無を確認するためのモードである。そして、これら見守りモード、及び警備モードの切り替えについては、切替スイッチ37aに対して所定の入力操作を行うことにより切り替えられる。また、この切替スイッチ37aの具体的な構成は任意であり、例えばスライドスイッチ等を用いて構成することができる。
【0028】
表示部38は、告知放送受信機3に関する情報を表示するための表示手段である。
【0029】
制御部39は、告知放送受信機3の各部を制御する制御手段であり、具体的には、CPU(例えばマイコン)、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種の制御データを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。
また、この制御部39は、機能概念的に、判定部39a、及び録音部39bを備えている。判定部39aは、検知部35の検知結果に基づいて、監視領域内にいる人の動きに異常があるか否かを判定する判定手段である。録音部39bは、マイク36から入力された音を後述する周囲音格納部41aに記憶させる録音手段である。なお、この制御部39によって実行される処理の詳細については後述する。
【0030】
メモリ40は、告知放送受信機3の各種制御に必要な情報を記録する記録手段である。このメモリ40は、書き換え可能な記録媒体を用いて構成され、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性記録媒体を備えて構成される(後述する音声情報格納部41についても同様)。
【0031】
音声情報格納部41は、通信部30が受信した告知放送信号に含まれる音声情報を格納すると共に、告知放送受信機3の各種制御に必要な音声を格納する音声情報格納手段である。
この音声情報格納部41は、周囲音格納部41aを備えて構成されている。周囲音格納部41aは、マイク36から入力された音を格納するための周囲音格納手段である。
【0032】
続いて、告知放送受信機3の基本構成について説明する。
図2は、設置壁Wに固定された告知放送受信機3を示す斜視図である。
図3は、告知放送受信機3を示す図であり、(a)は正面図、(b)は底面図である。これら
図2及び
図3(a)、(b)に示すように、告知放送受信機3は、筐体42の内部に図示しない各種の電子部品等を収容して構成されている。この筐体42は、正面カバー42aと背面カバー42bとを組み合わされて構成されている。正面カバー42aと背面カバー42bの接続方法は任意であるが、例えば、正面カバー42aと背面カバー42bは嵌合やネジ留めにて接続することができる。
【0033】
図3(a)に示すように、この筐体42の正面には、検知部35と、操作部37と、表示部38と、音響孔43が設けられている。
【0034】
ここで、操作部37としては、具体的には、切替スイッチ37aの他に、FM放送選択スイッチ37b、告知再生スイッチ37c、及びボリュームスイッチ37dが設けられている。FM放送選択スイッチ37bは、FM放送を選択するための放送選択手段である。告知再生スイッチ37cは、録音された告知放送の再生を指示するための再生指示手段である。ボリュームスイッチ37dは、スピーカ34から出力される音量の調節を指示するための音量調整指示手段である。
【0035】
また、表示部38としては、具体的には、電源表示灯38a、緊急放送表示灯38b、一般放送表示灯38cが設けられている。電源表示灯38aは、告知放送受信機3の電源ON時に点灯するものである。緊急放送表示灯38bは、緊急放送時に点灯又は点滅するものである。また、一般放送表示灯38cは、一般放送時に点灯又は点滅するものである。これら表示部38の具体的な構成としては、例えば公知のLED(Light Emitting Diode)で構成されている。
【0036】
音響孔43は、筐体42の内部に設けたスピーカ34から出力された音を、当該筐体42の外部に放出するための貫通孔である。
【0037】
また、
図3(a)、(b)に示すように、筐体42の左側面には、アンテナ51が設けられている。アンテナ51は、FMラジオ等の電波を受信するための無線受信手段であり、例えば公知のラジオアンテナ等で構成されている。これにより、告知放送がセンター装置2から受信できない状況であっても、アンテナ51にてFMラジオ等を受信することができる。
【0038】
告知放送受信機3から告知放送を流したい場合に、センター装置2は放送したい告知放送受信機3のアドレスと告知放送の種別(緊急放送や一般放送)を含む制御信号を住戸の告知放送受信機3へ送信する。制御信号を受信した告知放送受信機3は、制御信号に含まれるアドレスが予め記憶された自分のアドレスと比較し、一致する場合には、制御信号の後に受信した告知放送を、音声切換え部31、音量調整部32、アンプ33を介してスピーカ34から放送を出力する。このとき、制御信号に含まれる告知放送の種別が緊急放送の場合には、ボリュームスイッチ37dの音量調整状態に係わらず、最大音量で放送を出力して、住人に緊急事態であることを確実に知らせる。告知放送の種別が一般放送の場合にはボリュームスイッチ37dの調整状態に応じた音量で放送する。また、告知放送を受信したときは音声情報格納部41に記憶して、住人の操作で再生して放送内容を確認することができる。
【0039】
(セキュリティ管理処理)
次に、このように構成された告知放送受信機3が実行するセキュリティ管理処理について説明する。
図4は、告知放送受信機3が実行するセキュリティ管理処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。このセキュリティ管理処理の実行タイミングは任意であり、例えば、告知放送受信機3の電源が投入された後、ユーザが操作部37を介して所定操作(具体的には、FM放送選択スイッチ37b、及び告知再生スイッチ37cを同時に長押し等)を行った場合に起動される。
【0040】
図4に示すように、まず、制御部39は、切替スイッチ37aの切替状態に基づいて、見守りモードに設定されているか否かを判定する(SA1)。具体的には、制御部39は、切替スイッチ37aが見守りモードに設定されている場合には、制御部39は見守りモードに設定されていると判定し、切替スイッチ37aが警備モードに設定されている場合には、制御部39は見守りモードに設定されていないと判定する。
【0041】
(セキュリティ管理処理−見守りモード)
ここで、切替スイッチ37aが見守りモードに設定されている場合(SA1、Yes)、制御部39は、見守りモードに関する制御として、以下に示す処理を行う。まず、制御部39は、検知部35から検知結果を取得する(SA2)。次いで、判定部39aは、SA2にて取得された検知結果に基づいて、監視領域内にいる人の安否を判定する(SA3)。ここで、監視領域内にいる人の安否に関する具体的な判定内容については、例えば検知部35が人感センサの場合には、監視領域内にいる人の動きが停止すること(例えば、人が床等に倒れている場合等)により、人感センサによる人体検出のオフが一定時間継続している場合に、判定部39aは監視領域内にいる人が安全でないと判定する。一方、監視領域内にいる人の動きがあることにより、人感センサによる人体検出のオンが一定時間継続している場合に、判定部39aは監視領域内にいる人が安全であると判定する。
【0042】
ここで、監視領域内にいる人が安全であると判定された場合(SA3、No)、監視領域内にいる人の監視を継続するために、制御部39は、SA2に移行する。
【0043】
一方、監視領域内にいる人が安全でないと判定された場合(SA3、Yes)、制御部39は、異常信号送信部30aによって、当該監視領域内にいる人が安全でない旨の異常信号をセンター装置2に送信させてもよいとも考えられる。しかしながら、監視領域内にいる人が安全であるにもかかわらず、例えば、テレビ視聴等で人の動きがほとんどなかったり、あるいは、検知部35の感度が低く設定されていたために、人の動きを正確に検出することができなかったことによって、監視領域内にいる人が安全でないと判定された場合(つまり、判定部39aによって誤った判定がなされた場合)において、異常信号送信部30aが上記異常信号を送信することは、センター装置2側のセキュリティ管理上好ましくない。このような問題を解消するために、本実施の形態では、SA3の処理において、監視領域内にいる人が安全でないと判定された場合(SA3、Yes)、制御部39は、監視領域内にいる人が実際に安全であるか否かを確認する処理(具体的には、SA4−SA7の処理)を行った上で、上記異常信号を送信することとしている。
【0044】
ここで、上述した監視領域内にいる人が実際に安全であるか否かを確認する処理として、具体的には、制御部39は、音声情報格納部41から監視領域内にいる人の安否を確認するための問いかけ音声(例えば、「ピー、ピー、ピー、あなたの状況をお知らせ下さい。」等)を取得し、当該取得した問いかけ音声をスピーカ34によって出力させる(SA4)。この問いかけ音声の出力パターンについては、例えば、問いかけ音声を単数回出力させてもよく、あるいは、所定時間(例えば1分間等)内に複数回出力させてもよい。また、この問いかけ音声を出力する場合の音量については、例えば、ボリュームスイッチ37dによる音量設定にかかわらず、最大音量で出力させてもよい(以下、後述するSA11の警報音声についても同様とする)。
【0045】
次に、監視領域内の詳細な状況を事後的に把握できるように、録音部39bは、マイク36から入力された告知放送受信機3の周囲の音を周囲音格納部41aに格納する(SA5)。ここで、録音部39bの録音のタイミングについては、具体的には、SA4の問いかけ音声に対する監視領域内にいる人の反応を具体的に把握できるように、SA4の問いかけ音声の出力が終了してから後述するSA7の所定時間(例えば3分間等)経過するまでの間としている。
【0046】
そして、SA4の問いかけ音声に対する監視領域内にいる人の反応の有無を確認するために、判定部39aは、所定の応答があるか否かを判定する(SA6)。具体的には、監視領域内にいる人が操作部37を介して所定操作(例えば、FM放送選択スイッチ37b、告知再生スイッチ37cの押引操作や、ボリュームスイッチ37dの回動操作等)を行った場合に、判定部39aは所定の応答があったと判定し、監視領域内にいる人が操作部37を介して所定操作を行わなかった場合に、判定部39aは所定の応答がなかったと判定する。
【0047】
ここで、所定の応答があったと判定された場合(SA6、Yes)、SA3の判定結果にかかわらず、監視領域内にいる人は実際には安全であることが確認されたとして、当該監視領域内にいる人の監視を継続するために、制御部39は、SA2に移行する。
【0048】
一方、所定の応答がなかったと判定された場合(SA6、No)、制御部39は、所定時間が経過するまでSA6の処理を繰り返す(SA6、SA7、No)。そして、所定時間が経過しても所定の応答がなかった場合(SA7、Yes)、監視領域内にいる人は実際に安全でないことが確認されたとして、制御部39は、異常信号送信部30aによって、当該監視領域内にいる人が安全でない旨の異常信号、及び周囲音格納部41aに格納された周囲の音を伝送線路91を介してセンター装置2に送信する(SA8)。これにより、センター装置2側にいる管理者に対して、監視領域内にいる人が安全でないことを正確に知らせることができる。また、このセンター装置2側にいる管理者は、送信された周囲の音から監視領域内の詳細な状況を把握することができるので、状況に応じた対処措置(例えば、救急車の出動指示等)を講ずることができる。また、センター装置2は、近隣住戸の受信機へ状況確認の協力を促す告知放送を自動的にまたは手動操作により発信しても良い。
【0049】
(セキュリティ管理処理−警備モード)
また、SA1の処理において、切替スイッチ37aが見守りモードに設定されていなかった場合(SA1、No)、制御部39は、警備モードに関する制御として、以下に示す処理を行う。まず、制御部39は、検知部35から検知結果を取得する(SA9)。次いで、判定部39aは、SA9にて取得された検知結果に基づいて、監視領域内における不審者の侵入の有無を判定する(SA10)。ここで、監視領域内に不審者の侵入の有無に関する具体的な判定内容については、例えば、検知部35が人感センサの場合には、監視領域内に不審者がいないことにより、人感センサによる人体検出のオフが一定時間継続している場合に、判定部39aは、監視領域内に不審者が侵入していないと判定する。一方、監視領域内に不審者がいることにより、人感センサによる人体検出のオンが一定時間継続している場合に、判定部39aは、監視領域内に不審者が侵入していると判定する。
【0050】
ここで、監視領域内に不審者が侵入していないと判定された場合(SA10、No)、監視領域内における不審者の監視を継続するために、制御部39は、SA9に移行する。
【0051】
一方、監視領域内に不審者が侵入していると判定された場合(SA10、Yes)、監視領域の周辺にいる人に対して不審者が侵入している旨を報知させるために、あるいは、不審者を威嚇するために、制御部39は、音声情報格納部41から警報音声(例えば、「ピー、ピー、ピー、不審者が侵入しました。」等)を取得し、当該取得した警報音声をスピーカ34によって出力させる(SA11)。
【0052】
次に、SA11の警報音声が出力されてから所定時間(例えば1分間等)経過するまでの間、監視領域内の詳細な状況を事後的に把握できるように、録音部39bは、マイク36から入力された告知放送受信機3の周囲の音を周囲音格納部41aに格納する(SA12、SA13、No)。そして、所定時間が経過後した場合には(SA13、Yes)、制御部39は、異常信号送信部30aによって、当該監視領域内に不審者が侵入した旨の異常信号、及び周囲音格納部41aに格納された周囲の音を伝送線路91を介してセンター装置2に送信する(SA14)。これにより、センター装置2側にいる管理者に対して、監視領域内に不審者が侵入したことを迅速に知らせることができる。また、このセンター装置2側にいる管理者は、送信された周囲の音から監視領域内の詳細な状況を把握することができるので、状況に応じた対処措置(例えば警備員の出動指示、近隣住戸への緊急放送の発信等)を講ずることができる。また、近隣住戸への緊急放送の発信は、センター装置が異常信号を受信したときに自動的に行っても良い。告知放送受信機3で流す警報音声やセンター装置2側に送信する周囲音等は音声情報格納部41に記録し、住人が帰宅した後に異常の発生とその状況を把握することができる。
【0053】
(効果)
このように本実施の形態によれば、検知部35の検知結果に基づいて、監視領域内にいる人の動きに異常があるか否かを判定する判定部39aと、判定部39aにて人の動きに異常があると判定された場合に、当該異常がある旨を示す異常信号を伝送線路91を介してセンター装置2に送信する異常信号送信部30aとを備えているので、センター装置2側にいる管理者に対して監視領域内にいる人の動きに異常があったことを報知することができる。よって、既存の告知放送システムを利用して、簡素なセキュリティ管理を行うことができる。
【0054】
また、見守りモードにおいては、判定部39aによって監視領域内にいる人が安全でないと判定した場合に、スピーカ34は監視領域内にいる人の安否を確認する音声を出力し、スピーカ34にて当該音声が出力されてから所定時間経過するまでの間、判定部39aは当該音声に対する所定の応答があるか否かを判定し、判定部39aにて所定の応答がないと判定した場合に、異常信号送信部30aは、監視領域内にいる人が安全でない旨を示す異常信号を伝送線路91を介してセンター装置2に送信するので、判定部39aによって誤って監視領域内にいる人が安全でないと判定した場合でも、上記異常信号が送信されることを防止することができ、監視領域内にいる人の安否管理を正確に行うことができる。
【0055】
また、見守りモードにおいては、異常信号送信部30aは、録音部39bにて録音された音を、監視領域内にいる人が安全でない旨を示す異常信号と共に伝送線路91を介してセンター装置2に送信するので、センター装置2側にいる管理者は、送信された周囲の音から監視領域内の詳細な状況を把握することができ、状況に応じた対処措置を講ずることができる。
【0056】
また、警備モードにおいては、判定部39aによって監視領域内に不審者が侵入したと判定した場合に、異常信号送信部30aは、監視領域内に不審者が侵入した旨を示す異常信号を伝送線路91を介してセンター装置2に送信するので、センター装置2側にいる管理者に対して、監視領域内に不審者が侵入したことを迅速に知らせることができる。
【0057】
また、見守りモードと、警備モードとを切り替えるための切替スイッチ37aを備えているので、切替スイッチ37aを介して告知放送受信機3の動作モードを任意に切り替えることができ、ユーザは状況に応じた動作モードを利用することができる。
【0058】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0059】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。例えば、監視領域内にいる人の動きに異常があるか否かを正確に判定できない場合であっても、人の動きの判定を従来とは異なる技術により達成できている場合には、本願発明の課題が解決されている。
【0060】
(検知部について)
上記実施の形態では、検知部35は人感センサで構成されていると説明したが、例えば、人感センサと温度センサ等、複数のセンサを組み合わせて構成されてもよい。このような場合に、セキュリティ管理処理において、制御部39は、複数のセンサの検知結果に基づいてSA3、SA10の処理を行ってもよい。あるいは、制御部39は、温度センサの検知結果に基づいてSA3の処理を行い、人感センサの検知結果に基づいてSA10の処理を行う等、動作モードに応じて各センサの検知結果を使い分けてもよい。
【0061】
(録音部と周囲音格納部について)
上記実施の形態では、制御部39は録音部39bを備えており、音声情報格納部41は周囲音格納部41aを備えていると説明したが、例えば、セキュリティ管理処理において、異常信号送信部30aが異常信号のみを送信することを前提とする場合には、これら録音部39b及び周囲音格納部41aを省略してもよい。このような場合に、セキュリティ管理処理において、SA5、SA12、SA13の処理も省略してもよい。
【0062】
(切替スイッチについて)
上記実施の形態では、操作部37は、切替スイッチ37aを備えていると説明したが、例えば、告知放送受信機3の動作モードが、見守りモード、又は警備モードのいずれか一つしかない場合には、切替スイッチ37aを省略してもよい。
【0063】
(セキュリティ管理処理について)
上記実施の形態では、SA3の処理において、判定部39aは、人感センサの検出結果に基づいて、監視領域内にいる人の安否を判定すると説明したが、これに限られない。例えば、判定部39aは、温度センサの検出結果に基づいて、監視領域内にいる人の安否を判定してもよい。この場合において、監視領域内にいる人の安否に関する具体的な判定内容については、例えば、監視領域内の温度が所定の温度範囲内である場合に、判定部39aは、監視領域内にいる人が安全であると判定し、監視領域内の温度が所定の温度範囲内にない場合に、判定部39aは、監視領域内にいる人が安全でないと判定する。
【0064】
また、上記実施の形態では、SA4の処理において、問いかけ音声をスピーカ34によって出力させると説明したが、例えば、視覚的にも注意喚起を行うために、制御部39は、上記問いかけ音声の出力に加えて、電源表示灯38a、緊急放送表示灯38b、又は一般放送表示灯38cの少なくとも2つ以上を点滅させてもよい。あるいは、図示しない液晶パネルを備えて、監視領域内にいる人の安否を確認する旨を示す画像データ(例えば、「あなたの状況をお知らせ下さい」等)を、当該図示しない液晶パネルによって表示させてもよい(SA11の処理においても同様とする)。
【0065】
また、上記実施の形態では、SA10の処理において、不審者が侵入していると判定された場合(SA10、Yes)、警報音声を出力させ(SA11)、告知放送受信機3の周囲の音を録音させた後に(SA12、SA13)、録音した周囲の音と共に、監視領域内に不審者が侵入した旨の異常信号を送信させる(SA14)と説明したが、これに限られない。例えば、SA10の処理において、不審者が侵入していると判定された場合(SA10、Yes)に、監視領域内に不審者が侵入した旨の異常信号のみを先に送信させ、その後、警報音声を出力させ、告知放送受信機3の周囲の音を録音させた後に、録音した周囲の音を送信させてもよい。
【0066】
また、上記実施の形態では、SA11の処理において、警報音声を出力させると説明したが、例えば、SA11の処理を省略してもよい。
【0067】
また、上記実施の形態では、SA12の処理において、告知放送受信機3の周囲の音を録音させると説明したが、これに加えて、例えば、撮影手段(例えばカメラ等)を備えて、当該撮影手段によって、告知放送受信機3の周囲の状況を撮影し、当該撮影した画像データを、監視領域内に不審者が侵入した旨の異常信号や録音された周囲の音と共に、あるいは、これらとは独立して、送信させてもよい。
〔付記〕
付記1の告知放送受信機は、送信手段から送信された告知放送信号を伝送線路を介して受信して放送する告知放送受信機であって、監視領域にいる人の状態を検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果に基づいて、前記監視領域内にいる人の動きに異常があるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段にて前記人の動きに異常があると判定された場合に、当該異常がある旨を示す異常信号を前記伝送線路を介して前記送信手段に送信する異常信号送信手段と、を備えている。
また、付記2の告知放送受信機は、付記1に記載の告知放送受信機において、前記判定手段の判定結果に応じた音声を出力する音声出力手段を備え、当該告知放送受信機は見守りモードで動作可能であり、前記見守りモードにおいては、前記判定手段は、前記検知手段の検知結果に基づいて前記監視領域内にいる人の安否を判定し、前記判定手段によって前記監視領域内にいる人が安全でないと判定された場合に、前記音声出力手段は前記監視領域内にいる人の安否を確認する音声を出力し、前記音声出力手段にて前記音声が出力されてから所定時間経過するまでの間、前記判定手段は前記音声に対する所定の応答があるか否かを判定し、前記判定手段にて前記所定の応答がないと判定された場合に、前記異常信号送信手段は、前記監視領域内にいる人が安全でない旨を示す異常信号を前記伝送線路を介して前記送信手段に送信する。
また、付記3の告知放送受信機は、付記2に記載の告知放送受信機において、前記音声出力手段による音声出力が終了してから所定時間経過するまでの間、当該告知放送受信機の周囲の音を録音する録音手段を備え、前記異常信号送信手段は、前記録音手段にて録音された音を、前記監視領域内にいる人が安全でない旨を示す異常信号と共に前記伝送線路を介して前記送信手段に送信する。
また、付記4の告知放送受信機は、付記1から3のいずれか一項に記載の告知放送受信機において、当該告知放送受信機は警備モードで動作可能であり、前記警備モードにおいては、前記判定手段は、前記検知手段の検知結果に基づいて前記監視領域内における不審者の侵入の有無を判定し、前記判定手段によって前記監視領域内に不審者が侵入したと判定された場合に、前記異常信号送信手段は、前記監視領域内に不審者が侵入した旨を示す異常信号を前記伝送線路を介して前記送信手段に送信する。
また、付記5の告知放送受信機は、付記2又は3と4とに記載の告知放送受信機において、前記見守りモードと、前記警備モードとを切り替えるための切替手段を備えている。
〔付記の効果〕
付記1に記載の告知放送受信機によれば、判定手段にて人の動きに異常があると判定された場合に、異常信号送信手段は、当該異常がある旨を示す異常信号を伝送線路を介して送信手段に送信するので、センター装置の管理者に対して監視領域内にいる人の動きに異常があったことを報知することができる。よって、既存の告知放送システムを利用して、簡素なセキュリティ管理を行うことができる。
また、付記2に記載の告知放送受信機によれば、見守りモードにおいては、判定手段によって監視領域内にいる人が安全でないと判定された場合には、音声出力手段にて監視領域内にいる人の安否を確認する音声が出力されてから所定時間経過するまでの間に、判定手段によって所定の応答がないと判定された場合に、異常信号送信手段は、監視領域内にいる人が安全でない旨を示す異常信号を送信するので、判定手段によって誤って監視領域内にいる人が安全でないと判定された場合に、上記異常信号が送信されることを防止することができ、監視領域内にいる人の安否管理を正確に行うことができる。
また、付記3に記載の告知放送受信機によれば、異常信号送信手段は、録音手段にて録音された音を、異常信号と共に送信するので、送信手段側にいる管理者は、当該送信された周囲の音から監視領域内の詳細な状況を把握することができ、状況に応じた対処措置を講ずることができる。
また、付記4に記載の告知放送受信機によれば、警備モードにおいては、判定手段によって監視領域内に不審者が侵入したと判定された場合に、異常信号送信手段は、監視領域内に不審者が侵入した旨を示す異常信号を送信するので、送信手段側にいる管理者に対して、監視領域内に不審者が侵入したことを迅速に知らせることができる。
また、付記5に記載の告知放送受信機によれば、切替手段を介して告知放送受信機の動作モードを任意に切り替えることができ、ユーザは状況に応じた動作モードを利用することができる。