特許第6055219号(P6055219)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社熊谷組の特許一覧

<>
  • 特許6055219-推進力伝達装置 図000002
  • 特許6055219-推進力伝達装置 図000003
  • 特許6055219-推進力伝達装置 図000004
  • 特許6055219-推進力伝達装置 図000005
  • 特許6055219-推進力伝達装置 図000006
  • 特許6055219-推進力伝達装置 図000007
  • 特許6055219-推進力伝達装置 図000008
  • 特許6055219-推進力伝達装置 図000009
  • 特許6055219-推進力伝達装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6055219
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】推進力伝達装置
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/06 20060101AFI20161219BHJP
   F16L 1/028 20060101ALN20161219BHJP
【FI】
   E21D9/06 311C
   !F16L1/028 E
【請求項の数】2
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-165074(P2012-165074)
(22)【出願日】2012年7月25日
(65)【公開番号】特開2014-25232(P2014-25232A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(74)【代理人】
【識別番号】100080296
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】岩永 茂治
(72)【発明者】
【氏名】小田原 秀明
(72)【発明者】
【氏名】塩川 裕之
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−278689(JP,A)
【文献】 特開2010−053518(JP,A)
【文献】 特開2008−121356(JP,A)
【文献】 特開昭62−072892(JP,A)
【文献】 特開昭51−090711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 9/04
E21D 9/06
F16L 1/028
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面四角形状の管の先端開口側に掘削機械を設置し、管を出発部に設けられた案内台上から押圧するとともに掘削機械で地中を掘削することにより、管を推進させて地中に設置する際に、案内台上に設置された管の左右の側面の横位置における案内台上に取付けられた左右の推進装置からの押圧力を受けて当該押圧力を管に伝達する推進力伝達装置であって、
案内台上に設置されるとともに案内台上から取り外し可能な互いに独立した左の推進力伝達部材と右の推進力伝達部材とを備え、
左の推進力伝達部材は、案内台上に設置された管の左外側面の外側に当該左側面と平行に対向するように配置された伝達体と、当該伝達体の一端側において管の左側面より離れる方向に延長するように設けられて左の推進装置からの押圧力を受ける力受部と、力受部及び伝達体を介して伝達された力を管に伝達する押圧部とを備え、
右の推進力伝達部材は、案内台上に設置された管の右外側面の外側に当該右側面と平行に対向するように配置された伝達体と、当該伝達体の一端側において管の右側面より離れる方向に延長するように設けられて右の推進装置からの押圧力を受ける力受部と、力受部及び伝達体を介して伝達された力を管に伝達する押圧部とを備えたことを特徴とする推進力伝達装置。
【請求項2】
左の推進装置及び左の推進力伝達部材を介した押圧力を管に伝達する左の推進力伝達棒状体と、
右の推進装置及び右の推進力伝達部材を介した押圧力を管に伝達する右の推進力伝達棒状体と、
各推進力伝達棒状体を介した押圧力を管に伝達する基板及び管側推進力受け部とを備え、
管側推進力受け部は、管の内周面に固定された矩形枠体により形成され、
基板は、管の断面の内面を一周した矩形形状に対応した矩形板により形成されて、当該矩形板の前面には掘削機械の支持部の一端が固定されており、
各推進力伝達棒状体は、一端が基板の後面に結合されており、
管の内側に基板が設置されて掘削機械が管の先端開口側に設置され、各推進力伝達棒状体の他端が管の後端面より後方に突出する状態とされて案内台上に設置されるとともに、案内台上に設置された当該管の左右の側面の横位置における案内台上に左右の推進装置が設置されて、各推進力伝達部材の押圧部と各推進力伝達棒状体の他端とを接触させた状態としてから、左右の推進装置を駆動することにより、左右の推進装置からの押圧力が、各推進力伝達部材、各推進力伝達棒状体、基板、管側推進力受け部を介して管を推進させる推進力として管に伝達されるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の推進力伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管を推進させて地中に設置する際に、推進装置からの押圧力を管に伝達するための推進力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、断面四角状の管を地中に設置するための管設置装置であって、管の先頭側の内側に管の推進方向と直交する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を備えた管設置装置が知られている(例えば特許文献1;2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−52528号公報
【特許文献2】特開2012−117275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
管設置装置を用いて管を地中に設置する際、地中に形成した空洞部や地上等の出発部から管を地中に推進させる。この場合、一般的には、油圧ジャッキ等の推進装置を用いて管を管の後ろ側から押圧して管を推進させる。
しかしながら、管設置装置が設置される出発部が狭小であり、管の後ろ側に油圧ジャッキを設置するための設置スペースが無い場合にあっては、管を地中に進行させることができないといった課題があった。
本発明は、推進装置を管の後ろ側に設置できない場合であっても管を地中に進行させることができる推進力伝達装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る推進力伝達装置は、断面四角形状の管の先端開口側に掘削機械を設置し、管を出発部に設けられた案内台上から押圧するとともに掘削機械で地中を掘削することにより、管を推進させて地中に設置する際に、案内台上に設置された管の左右の側面の横位置における案内台上に取付けられた左右の推進装置からの押圧力を受けて当該押圧力を管に伝達する推進力伝達装置であって、案内台上に設置されるとともに案内台上から取り外し可能な互いに独立した左の推進力伝達部材と右の推進力伝達部材とを備え、左の推進力伝達部材は、案内台上に設置された管の左外側面の外側に当該左側面と平行に対向するように配置された伝達体と、当該伝達体の一端側において管の左側面より離れる方向に延長するように設けられて左の推進装置からの押圧力を受ける力受部と、力受部及び伝達体を介して伝達された力を管に伝達する押圧部とを備え、右の推進力伝達部材は、案内台上に設置された管の右外側面の外側に当該右側面と平行に対向するように配置された伝達体と、当該伝達体の一端側において管の右側面より離れる方向に延長するように設けられて右の推進装置からの押圧力を受ける力受部と、力受部及び伝達体を介して伝達された力を管に伝達する押圧部とを備えたので、推進装置を管の一対の外側面の横に沿った状態に設置することが可能となり、推進装置を管の後ろ側に設置できない場合であっても管を地中に進行させることができる。
また、左の推進装置及び左の推進力伝達部材を介した押圧力を管に伝達する左の推進力伝達棒状体と、右の推進装置及び右の推進力伝達部材を介した押圧力を管に伝達する右の推進力伝達棒状体と、各推進力伝達棒状体を介した押圧力を管に伝達する基板及び管側推進力受け部とを備え、管側推進力受け部は、管の内周面に固定された矩形枠体により形成され、基板は、管の断面の内面を一周した矩形形状に対応した矩形板により形成されて、当該矩形板の前面には掘削機械の支持部の一端が固定されており、各推進力伝達棒状体は、一端が基板の後面に結合されており、管の内側に基板が設置されて掘削機械が管の先端開口側に設置され、各推進力伝達棒状体の他端が管の後端面より後方に突出する状態とされて案内台上に設置されるとともに、案内台上に設置された当該管の左右の側面の横位置における案内台上に左右の推進装置が設置されて、各推進力伝達部材の押圧部と各推進力伝達棒状体の他端とを接触させた状態としてから、左右の推進装置を駆動することにより、左右の推進装置からの押圧力が、各推進力伝達部材、各推進力伝達棒状体、基板、管側推進力受け部を介して管を推進させる推進力として管に伝達されるように構成されたので、推進装置を管の一対の外側面の横に沿った状態に設置することが可能となり、推進装置を管の後ろ側に設置できない場合であっても管を地中に進行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】管設置装置の断面図(実施形態1)。
図2】先頭管の先頭部分を示した斜視図(実施形態1)。
図3】案内刃管の刃先側から管の内部の掘削機械を見た図(実施形態1)。
図4】地中への管の設置方法を示す図(実施形態1)。
図5】管設置装置を示す斜視図(実施形態1)。
図6】管設置装置を示す分解斜視図(実施形態1)。
図7】掘削機械揺動駆動装置を備えた管設置装置を示す断面図(実施形態2)。
図8】(a)は先頭管の先頭部分を示した斜視図、(b)一対の第2の掘削ビット群の関係を示す断面図(実施形態3)。
図9】(a)は回転掘削体の掘削時の状態を示す図、(b)は回転掘削体の回収時の姿勢状態を示す図(実施形態3)。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態1
図1乃至図6に基づいて、地中への管設置方法を実現するための実施形態1による管設置装置1の一例を説明する。
図1に示すように、管設置装置1は、管2と、掘削装置3と、推進装置4と、推進力伝達装置70と、案内台90とを備える。尚、以下、図1における上側を管2や管設置装置1の先頭あるいは前側と定義し、図1における下側を管2や管設置装置1の後側と定義し、図1における左右側を管2や管設置装置1の左右側と定義し、図1の紙面と直交する方向の上下側を管2や管設置装置1の上下側と定義して説明する。図2に管2や管設置装置1の前側、後側、左側、右側、上側、下側を明記した。
【0008】
管2は、円弧を描くように曲がって延長するように形成された曲管(管の中心線(管の延長方向と直交する断面の中心点を管の延長方向に沿って連続して繋いだ線)が曲線である管)、あるいは、真っ直ぐに延長する管(管の中心線が直線である管(以下、直管という))、あるいは、一方の管の後端開口縁と他方の管の前端開口縁とを溶接等の連結手段によって連結して構成される管であって、一方及び他方の管として、管の互いに平行に対向する一方の一対の側壁が合同な台形に形成され、当該側壁の台形の互いに平行な辺縁が管の中心線と平行である側壁台形状に形成された折曲管である。当該折曲管を構成する一方の管の側壁の及び他方の管の側壁の台形は、台形の各脚と台形の互いに平行な上底及び下底である辺縁とのなす角が直角でない台形に形成され、当該折曲管は、一方の管の一対の台形状の側壁の脚である辺縁で開口する後端開口縁と他方の管の一対の台形状の側壁の脚である辺縁で開口する前端開口縁とが溶接等で連結されることで形成される。本明細書では、管の互いに平行な一方の一対の側壁のそれぞれが連結部を境界とした複数の平面で形成された構成の管を折曲管と言い、管の互いに平行な一方の一対の側壁のそれぞれが湾曲面で形成された構成の管を曲管という。
これら曲管、直管、折曲管は、例えば管の中心線(中心軸)と直交する面で管を切断した場合の断面形状が四角形状の管により形成される。
管2としては例えば鋼製の管が用いられる。管2の大きさは、管2が断面形状長方形の曲管又は直管である場合、例えば、管の長さ(管の中心線に沿った方向の長さ)が1500mm、管の左右幅(断面長方形の長辺の長さ)が1240mm、管の上下幅(断面長方形の短辺の長さ)が690mm、管の肉厚が16mmである。また、折曲管を形成する個々の管の大きさは、例えば、管が断面形状長方形の管である場合、管2の長さ(管の中心線に沿った方向の長さ)が、台形の側壁の上底側で463mm、台形の側壁の下底側で497mmであり、管の左右幅が1240mm、管の上下幅が690mm、管の肉厚が16mmである。
そして、複数の曲管が順次連結されて地中10に設置されることによって円弧を描くように曲がって延長する支保工が地中10に構築されたり、複数の直管が順次連結されて地中10に設置されることによって真っ直ぐに延長する支保工が地中10に構築されたり、複数の折曲管が順次連結されて地中10に設置されることによって連結部で折れ曲がって円弧に近似するように延長する支保工が地中10に構築される。
実施形態1の管設置装置1及び管設置方法によって地中10に構築される支保工は、先頭に位置される管2(以下、先頭管という)と後続の複数の管2(以下、後続管という)とにより形成される。例えば、支保工は、先頭に位置される先頭管6(図1図4等参照)と先頭管6の後に続くように設けられる後続の複数の後続管7(図4参照)とにより形成される後端開口縁と前端開口縁とが水密状態に溶接にて順次連結された複数の管6;7;7…によって構築される。
支保工としては、地中10に形成された出発部を形成する一方の空洞部100(図1図4等参照)と到達部を形成する図外の他方の空洞部との間に跨るように複数の管2を連続させて構築される支保工や、地中10に形成された出発部を形成する一方の空洞部100から出発して当該空洞部100に戻るように複数の管2を連続させて構築される支保工や、出発部を形成する一方の空洞部100から出発して地中10で止まるように構築される支保工等がある。
【0009】
以下、図1乃至図3を参照して管設置装置1の構成について説明する。
先頭管6は、管の先端側に案内刃部を備えた構成であり、例えば、図1に示すように、管6xと、管6xの先端に設けられた案内刃部として機能する案内刃管9とで形成される。案内刃管9は、管の一方の開口端縁13が鋭利に形成された刃部14を備えた管である。
先頭管6は、案内刃管9の他方の開口端部と管6xの先端の開口端部8とが接続されて形成される。この場合、例えば、案内刃管9の管の外径寸法が管6xの管の外径寸法よりも大きく、案内刃管9の他方の開口端面15側には、開口端面15における管の内周面側が削られて、段差が設けられることで、管6xの先端の開口端部8を嵌め込む嵌合孔16が形成された構成とする。そして、案内刃管9の他方の開口部17に設けられた嵌合孔16内に管6xの先端の開口端部8を嵌め込み、かつ、これら両者が、ボルト接合,溶接などの図外の接続手段によって接続されることで、案内刃管9の他方の開口端部と管6xの先端の開口端部8とが接続された構成とする。このように、案内刃管9の他方の開口部17に設けられた嵌合孔16内に管6xの先端の開口端部8を嵌め込んで、案内刃管9が管6xの先端開口端面18を覆うように取付けられた構成としたことで、管6xの推進の際に、管6xの先端開口端面18が地中10の抵抗を受けず、推進抵抗を少なくできる。また、管6xの先端の開口端部8を嵌め込む嵌合孔16が形成された構成としたことで、管6xの先端に容易に案内刃管9を設置でき、先頭管6を形成するための管6xと案内刃管9との組み立てを容易とすることができる。この場合、先頭管6の矩形外周面において管6xと案内刃管9との間で段差が生じるが、この段差は、管2の矩形外周面と出発口の内周面とに設けられる水密性能維持部材により止水性能を維持できるように小さく(例えば、1cm程度)形成される。
【0010】
尚、案内刃管9と管6xとの外径寸法を同径とし、案内刃管9の他方の開口端面と管6xの先端開口端面18とを突き合わせた状態でこれらの境界部分を全周溶接、又は、点溶接することで先頭管6を形成してもよい。
また、管の先端側が案内刃管9として機能する案内刃部に形成された管を先頭管6として用いてもよい。
このようにすれば、先頭管6の矩形外周面の段差を小さくできるか、段差が生じないので、管2の矩形外周面と出発口の内周面とに設けられる水密性能維持部材による止水性能を良好に維持できる。
【0011】
先頭管6の管の内面20において、管の延長方向(管の中心線に沿った方向)の中央部よりも先頭側の位置には、管側推進力受け部21が設けられる。管側推進力受け部21は、後述する掘削装置3に設けられた基板25を介して推進装置4からの推進力を受けて先頭管6を推進させる。管側推進力受け部21は、先頭管6の断面(先頭管の中心線と直交する面で先頭管を切断した場合の断面)の内面を一周した矩形形状に対応した矩形枠外周寸法に形成された矩形枠体22により形成され、矩形枠体22の外周面23と先頭管6の管の内周面20aとが対応するように設置された状態で矩形枠体22が先頭管6の管の内周面20aに溶接、ボルト・ナットなどの図外の接続手段により固定される。
【0012】
掘削装置3は、基板25と、掘削機械26と、駆動源27と、水供給機構75と、排泥機構76とを備える。
基板25は、先頭管6の中心線と基板25の中心線とが一致するように配置されて先頭管6内を前後方向に移動可能に設けられる。基板25は、先頭管6の断面の内面を一周した矩形形状に対応した矩形板30により形成される。当該矩形板30の大きさは、先頭管6の断面の内面を一周した矩形の寸法よりも小さく、かつ、上記管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の矩形枠内周寸法よりも大きい。即ち、基板25を形成する矩形板30の前面39fにおける矩形周縁面33と、上記管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の枠後面32とが対向するように形成される。尚、基板25を形成する矩形板30の前面39fにおける矩形周縁面33と管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の枠後面32との間には例えば弾性体により形成された水密性能維持部材(パッキン)35が設けられる。水密性能維持部材35は、例えば、基板25を形成する矩形板30の前面39fにおける矩形周縁面33、又は、管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の枠後面32に取付けられる矩形枠体36により形成される。したがって、基板25に伝達された推進力が水密性能維持部材35を介して管側推進力受け部21に伝達されることにより、管2と掘削機械26とが一緒に推進する。
基板25の前面39fの中央部には、掘削機械26の支持部40の一端が固定される。
また、基板25の中央部には後述する耐圧ホース56を貫通させる貫通孔38aが形成される。
【0013】
掘削機械26は、支持部40と、回転部41とを備える。
支持部40は、1つの支柱42と2つの分岐支柱43とが組合されたT字状の中空支柱により形成される。支柱42の一端部には例えば図外の取付フランジが設けられ、この取付フランジがボルト及びナットのような固定具などによって基板25の前面39fの中央に着脱可能に固定されることによって支柱42の一端が基板25の前面39fの中央に固定され、支柱42が基板25の前面39fに対して直交する方向に延長する。2つの分岐支柱43は、支柱42の先端部(他端部)より支柱42の延長方向と直交する一直線上において互いに離れる方向に延長する。即ち、支持部40のT字状の中空路と貫通孔38aとが連通するように支柱42の一端が基板25に固定される。分岐支柱43の先端には、それぞれモータマウント44を備える。
【0014】
回転部41は、回転機構部45と、回転掘削体46とを備える。
回転機構部45は、例えばモータ47により構成される。各モータマウント44;44には、モータ47のケーシング48が固定される。
2つのモータ47;47の回転軸49;49は、支柱42の先端部より支柱の延長方向と直交する一直線上において互いに離れる方向に延長する。
回転掘削体46は、一端開口他端閉塞の筐体50と、筐体50の外周面51に設けられた複数の掘削ビット(掘削刃)52とを備える。
【0015】
モータ47は、例えば、流体圧により作動するモータ、あるいは、電気で作動するモータを用いる。例えば油圧モータ(以下、油圧モータ47とする)を用いる場合、駆動源27としての油圧源55と油圧モータ47のケーシング48内とが圧油供給路56a及び油帰還路56bを形成する耐圧ホース56で繋がれる。即ち、耐圧ホース56は貫通孔38a及び支持部40のT字状の中空路を介して油圧モータ47のケーシング48に接続される。油圧モータ47は、耐圧ホース56を介してケーシング48内に供給される圧油によって回転軸49が回転するように構成される。
【0016】
例えば、回転掘削体46の筐体50の他端閉塞内面(筐体の内底面)53の中心と回転軸49の回転中心とが一致するように、筐体50の他端閉塞内面53と油圧モータ47により回転する回転軸49の先端に設けられた連結板54とがねじ等の連結具57により連結される。
即ち、2つの回転掘削体46が2つの回転軸49;49に共通の1つの回転中心線Lを回転中心として回転するように構成される。つまり、先頭管6の推進方向と直交する回転中心線Lを回転中心として回転する2つの回転掘削体46;46を備える。このような2つの回転掘削体46;46を備えた構成は、ツインヘッダと呼ばれる。先頭管6の推進方向と直交する回転中心線Lを回転中心として回転する2つの回転掘削体46;46を備えた所謂ツインヘッダを用いた場合、推進方向と直交する面内における回転掘削体46の掘削幅を大きくできるので、掘削幅に応じた矩形幅の管2を容易に地中10に設置できるようになる。
【0017】
尚、回転掘削体46;46の前後位置は、管側推進力受け部21の設置位置を前後に変えることにより適宜調整すればよい。
例えば、図1に示すように、掘削ビット52の先端80と案内刃管9の刃先81とが案内刃管9の中心線と直交する1つの平面上に位置するように回転掘削体46;46を設置したり、図示しないが、掘削ビット52の先端80が案内刃管9の刃先81よりも前方側に突出するように回転掘削体46;46を設置したり、掘削ビット52の先端80が先頭管6内に位置するように回転掘削体46;46を設置する。
【0018】
掘削ビット52の先端80を案内刃管9の刃先81よりも前方側に突出させて回転掘削体46;46の掘削動作を行えば、案内刃管9の刃先よりも前方に位置する地盤を掘削ビット52により確実に掘削できるので、案内刃管9の刃先81が硬質の地盤に衝突して先頭管6を推進できなくなるような事態を少なくできる。例えば、回転中心線Lと案内刃管9の刃先81とが同一平面上に位置するように、掘削ビット52の先端80を案内刃管9の刃先81よりも前方側に突出させて回転掘削体46;46による掘削動作を行えば、案内刃管9の刃先よりも前方に位置する地盤を掘削ビット52によりさらに確実に掘削できるようになり、管2をより推進させやすくなるので、管2の設置作業をよりスムーズに行える。
【0019】
また、掘削ビット52の先端80を先頭管6内に位置させた状態で先頭管6の推進動作及び回転掘削体46;46の掘削動作を行えば、地中10に突刺された案内刃管9の刃先の内側に入り込んだ地中部分のみが掘削ビット52により掘削されるので、地中10の余掘り部分が少なくなり、地盤沈下等、地中10に与える影響を少なくすることができる。
【0020】
回転掘削体46;46の間には固定掘削体77を備える。
固定掘削体77は、分岐支柱43よりも前方に突出するように2つの分岐支柱43;43の境界部分の前方外周面に溶接又はボルト、ナット等の固定手段によって固定状態に取付けられる。
固定掘削体77は、例えば、上下間の中央部が案内刃管9の刃先81側に膨出する湾曲形状に形成され、この湾曲面の左右幅間の中心が湾曲面の周方向に沿って連続する鋭利な刃形状となるように形成された構成である。
このように、固定掘削体77は、上下間の中央部が案内刃管9の刃先81側に膨出する湾曲形状に形成された構成としたので、先頭管6が推進する際の地盤の抵抗を減らすことができ、先頭管6をよりスムーズに推進させることができるようになる。
【0021】
上記固定掘削体77が設けられていない場合には、掘削された土砂が回転掘削体46;46の間に詰まってしまう可能性があるが、回転掘削体46;46の間に固定掘削体77を設けた場合には、固定掘削体77が、先頭管6の推進により地盤に衝突することによって、地盤を削ったり、衝突した地盤部分にある土砂や岩を左右に振り分けて左右の回転掘削体46;46に仕向けたりするといった役割を果たすので、先頭管6をよりスムーズに推進させることができるようになる。
例えば、図1に示すように、固定掘削体77の上下間の中央と回転掘削体46の掘削ビット52と案内刃管9の刃先81とが先頭管6の中心線と直交する同一平面上に位置するように構成される。
このように固定掘削体77の上下間の中央と回転掘削体46の掘削ビット52と案内刃管9の刃先81とが先頭管6の中心線と直交する同一平面上に位置するように構成した場合は、上述したような、固定掘削体77が掘削に先立って地盤にひび割れを誘発させることにより掘削しやすくなるといった効果が得られるとともに、固定掘削体77が地盤に衝突してしまって先頭管6が推進しなくなるといったことも防止できる。
【0022】
尚、固定掘削体77の上下間の中央が回転掘削体46の掘削ビット52と案内刃管9の刃先81よりも後方又は前方に位置するように構成してもよい。
固定掘削体77の上下間の中央が回転掘削体46の掘削ビット52と案内刃管9の刃先81よりも前方に位置するように構成された場合、固定掘削体77が掘削に先立って地盤にひび割れを誘発させることにより掘削しやすくなるといった効果も得られる。
逆に、固定掘削体77の上下間の中央が回転掘削体46の掘削ビット52と案内刃管9の刃先81よりも後方に位置するように構成された場合は、地盤が硬質の場合において掘削ビット52や案内刃管9の刃先81よりも先に固定掘削体77が地盤に衝突してしまって先頭管6が推進しなくなるといったことを防止できる。
【0023】
また、固定掘削体77の先端形状は、先頭管6の推進により地盤に衝突することによって、地盤を削ったり、衝突した地盤部分にある土砂や岩を左右に振り分けて左右の回転掘削体46;46に仕向けたり、掘削に先立って地盤にひび割れを誘発させて掘削しやすいようにするという役割を達成できる形状に形成されていればよい。例えば、上述したように前方先端が鋭利な刃先状に形成されたものでもよいし、前方先端が面状に形成されたものでもよく、地盤の地質によって、地盤を掘削して崩しやすい形状のものを選択すればよい。
【0024】
また、回転掘削体46の筐体50は案内刃管9の左右の内面と接触しないように案内刃管9の左右の内面から離れて設置されるので、筐体50と案内刃管9の左右の内面との間の地盤が掘削されにくい可能性がある。
そこで、先頭管6の中央側に位置される掘削ビット52を筐体50の中心線(中心線L)と直交する方向に延長するように設け、かつ、図1乃至図3に示すように、先頭管6の左側に位置される掘削ビット52a(52)をできるだけ案内刃管9の左の内面に近付く位置まで先頭管6の左側に延長させて設け、さらに、先頭管6の右側に位置される掘削ビット52b(52)をできるだけ案内刃管9の右の内面に近付く位置まで先頭管6の右側に延長させて設けることによって、先頭管6の左右側に位置される掘削ビット52a;52bで先頭管6の左右の角部に位置する地盤をより効果的に掘削できるようにした。
【0025】
水供給機構75は、水貯留タンク75aと、基板25の前面39fと後面39とに貫通する水供給孔75bと、例えば蛇腹管や鋼管等により構成された水供給管75cと、送水用のポンプ75d、連結管75eとを備える。
基板25の前面39fと先頭管6の内面20とで囲まれた空間69内に水供給管75cの一端開口が連通するように、例えば、水供給孔75bの内側に水供給管75cの一端がねじ嵌合されることによって水供給孔75bと水供給管75cの一端とが結合される。そして、水供給管75cの他端開口と送水用のポンプ75dの吐出口とが連通可能に連結され、送水用のポンプ75dの吸込口と水貯留タンク75aとが連結管75eにより連通可能に連結される。
【0026】
排泥機構76は、基板25の前面39fと後面39とに貫通する排泥孔76aと、例えば蛇腹管や鋼管等により構成された排泥管76bと、排泥用のポンプ76cと、排泥タンク76dと、連結管76eとを備える。
空間69内に排泥管76bの一端開口が連通するように、例えば、排泥孔76aの内側に排泥管76bの一端がねじ嵌合されることによって排泥孔76aと排泥管76bの一端とが結合される。そして、排泥管76bの他端開口と排泥用のポンプ76cの吸込口とが連通可能に連結され、排泥用のポンプ76cの吐出口と排泥タンク76dとが連結管76eにより連通可能に連結される。
【0027】
尚、水貯留タンク75a及び排泥タンク76dは、水貯留タンク75aと排泥タンク76dとが一体となった集合タンク75Xにより構成される。即ち、集合タンク75Xの内部に仕切体75wを設けて集合タンク75Xの内部を2つの領域に区切り、一方の領域を水貯留タンク75aとして使用し、他方の領域を排泥タンク76dとして使用する。
つまり、最初に一定量の水を集合タンク75X内に満たしておき、送水用のポンプ75dを駆動して空間69内に水を圧送すると、空間69内に圧送された水と掘削機械26により掘削された土砂とが混ざって泥水となる。そして、排泥用のポンプ76cを駆動することにより、空間69内の泥水が排泥タンク76dに排出される。排泥タンク76dに排出された泥水中の泥が排泥タンク76dの底に沈殿するとともに、仕切体75wを越えて水貯留タンク75aに入り込んだ泥水が再び送水用のポンプ75dによって空間69内に圧送される。即ち、泥水を循環させて空間69内に供給できるようになるので、水の使用量を減らすことができる。また、水よりも比重が大きい泥水を空間69内に供給できるので、地盤及び地下水の圧力に抵抗できて、地盤及び地下水の圧力と空間69内の圧力とを均等にしやすくなるので、地盤沈下等、地中10に与える影響を少なくすることができる。また、空間69内が泥水化するので、排泥をスムーズに行えるようになり、掘削しやすくなる。
【0028】
また、水供給孔75bと水供給管75cの一端との結合構造、排泥孔76aと排泥管76bの一端との結合構造は、次のような結合構造であってもよい。基板の後面39に孔(水供給孔75b、排泥孔76a)に連通する図外の管部を形成しておいて、当該管部の開口端面と管(水供給管75c、排泥管76b)の一端開口端面とを互いに突き合わせた状態で環状ジョイント部材を当該突合せ部分に被せることにより管部と管とを結合したり、管の一端開口を介して管内に管部を嵌め込んだ状態で管の一端開口部の外周面を環状クリップ部材で締め付けることにより管部と管とを結合する。
尚、最初から泥水を集合タンク75X内に満たしておき、送水用のポンプ75dを駆動して空間69内と集合タンク75X内との間で泥水を循環させるようにしてもよい。
【0029】
推進装置4は、例えば、出発部としての空洞部100に設けられた案内台90上に設置された断面四角形状の管2の互いに平行に対向する一方の一対の外側面6a;6bのうちの一方の外側面である左外側面6aの外側の横に管2の延長方向と同方向にシリンダー66及びピストンロッド63が延長するように配置される左の油圧ジャッキ62と、当該管2の互いに平行に対向する一方の一対の外側面6a;6bのうちの他方の外側面である右外側面6bの外側の横に管2の延長方向と同方向にシリンダー66及びピストンロッド63が延長するように配置される右の油圧ジャッキ62と、を備える。油圧ジャッキ62のピストンロッド63の先端には押圧板64が設けられる。
【0030】
出発部に設置された管2の外側面の横位置で推進装置4からの押圧力を受けて当該押圧力を管2に伝達する推進力伝達装置70は、例えば、一対の推進力伝達部材85;85と、推進力伝達棒状体710と、上述の基板25と、上述の水密性能維持部材35と、上述の管側推進力受け部21とを備える。
一方の推進力伝達部材としての左の推進力伝達部材85は、出発部としての空洞部100に設けられた案内台90上に設置された断面四角形状の管2の左外側面6aの外側に当該左外側面6aと平行に対向するように配置された伝達体71と、当該伝達体71の一端側において管2の左外側面6aより離れる方向に延長するように設けられて左の油圧ジャッキ62からの押圧力を受ける力受部72と、伝達体71の他端側において後述する左の推進力伝達棒状体71Aの棒状体71xの他端71fに接触するように設けられて、力受部72及び伝達体71を介して伝達された力を棒状体71xに伝達する押圧部73とを備える。
他方の推進力伝達部材としての右の推進力伝達部材85は、出発部としての空洞部100に設けられた案内台90上に設置された断面四角形状の管2の右外側面6bの外側に当該右外側面6bと平行に対向するように配置された伝達体71と、当該伝達体71の一端側において管2の右外側面6bより離れる方向に延長するように設けられて右の油圧ジャッキ62からの押圧力を受ける力受部72と、伝達体71の他端側において後述する右の推進力伝達棒状体71Bの棒状体71xの他端71fに接触するように設けられて、力受部72及び伝達体71を介して伝達された力を棒状体71xに伝達する押圧部73とを備える。
左の推進力伝達部材85及び右の推進力伝達部材85は、例えば同一構成である。このように、同一構成とすることで、左の推進力伝達部材85を右の推進力伝達部材85として使用したり、右の推進力伝達部材85を左の推進力伝達部材85として使用することが可能となり、使い方が容易となる。また、一種類の推進力伝達部材85を製作するだけで良いので、量産性に優れる。
推進力伝達棒状体710は、一端71eから他端71fまでの長さが基板25の後面39と先頭管6の後端面102eとの間の最短距離よりも長い寸法の棒状体71xと、棒状体71xの他端71f側より突出させた傾き防止部71cとを備える。棒状体71xは例えばH形鋼を用い、傾き防止部71cは例えば棒状体71xを形成するH形鋼に溶接又はボルトなどの接続手段で結合された鋼材を用いる。尚、傾き防止部71cは、先頭管6の左内側面や右内側面に面接触する面を有した面体71dを備える。
推進力伝達棒状体710は、棒状体71xの中心線が先頭管6の中心線と同一方向を向くように設置され、かつ、面体71dの面と先頭管6の左内側面や右内側面とが面接触するように、一端71eと基板25の後面39とが溶接又はボルトなどの接続手段で結合される。
即ち、左の推進力伝達棒状体71Aの棒状体71xの中心線が先頭管6の中心線と同一方向を向くように設置され、かつ、左の推進力伝達棒状体71Aの面体71dの面と先頭管6の左内側面とが面接触するように、左の推進力伝達棒状体71Aの棒状体71xの一端71eと基板25の後面39とが溶接又はボルトなどの接続手段で結合される。また、右の推進力伝達棒状体71Bの棒状体71xの中心線が先頭管6の中心線と同一方向を向くように設置され、かつ、右の推進力伝達棒状体71Bの面体71dの面と先頭管6の右内側面とが面接触するように、右の推進力伝達棒状体71Bの棒状体71xの一端71eと基板25の後面39とが溶接又はボルトなどの接続手段で結合される。
左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの一端71e;71eは、基板25の上下縁間の中央部に結合される。
以上の構成の推進力伝達装置70によれば、推進装置4としての油圧ジャッキ62による押圧力を、左右の推進力伝達部材85;85、左右の推進力伝達棒状体71A;71B、基板25、水密性能維持部材35、管側推進力受け部21を介して管2に伝達して管2を推進させる構成としたので、管2の左右に均等に押圧力を加えることができるようになる。
【0031】
案内台90は、出発部としての空洞部100内において、左右の油圧ジャッキ62;62で管2を押圧した際に管2から油圧ジャッキ62;62に伝わる反力を受けるために設けられた反力受け壁74と空洞部100から地中10への図外の出発口(エントランス口呼ばれる)との間に設置される。案内台90は、管2が載置される案内面91と、案内面91の左右の側部に設けられた左右の設置台92;92とを備える。設置台92は、案内面91の側部より立ち上がるように設けられた台により構成される。
左右の設置台92;92を形成する各台の互いに向かい合う側面92a;92aにより当該案内面91上の当該側面92a;92a間に載置された管2の左右方向への移動が規制される。
左の設置台92の台上面の後側には左の油圧ジャッキ62が固定具67等によって固定されるともに、右の設置台92の台上面の後側には右の油圧ジャッキ62が固定具67等によって固定される。
左の推進力伝達部材85の力受部72が、左の設置台92の台上面の後側における左の油圧ジャッキ62の前方に位置され、かつ、左の推進力伝達部材85の押圧部73が、左の推進力伝達棒状体71Aの棒状体71xの他端71fに接触するように、左の推進力伝達部材85が設置される。
また、右の推進力伝達部材85の力受部72が、右の設置台92の台上面の後側における右の油圧ジャッキ62の前方に位置され、かつ、右の推進力伝達部材85の押圧部73が、右の推進力伝達棒状体71Bの棒状体71xの他端71fに接触するように、右の推進力伝達部材85が設置される。
【0032】
図5図6に示すように、推進力伝達部材85は、例えば、鋼材により別々に構成された伝達体71、力受部72、押圧部73を組み合わせて構成される。
伝達体71は、例えば、形鋼を組み合わせて構成される。そして、力受部72が、伝達体71の互いに対向する一対の外側面のうちの一方の外側面71aにおける伝達体71の延長方向の一端側より当該一方の外側面と直交する方向に延長するように設けられ、押圧部73が、伝達体71の互いに対向する一対の外側面のうちの他方の外側面71bにおける伝達体71の延長方向の他端側より当該他方の外側面71bと直交する方向に延長するように設けられる。即ち、力受部72及び押圧部73は、伝達体71の各外側面71a;71bから互いに離れる方向に延長するように設けられている。
力受部72は、伝達体71の一方の外側面71aの一端側とボルト及びナット又は溶接等の連結手段で連結される連結板72aと、油圧ジャッキ62の押圧力を受ける力受板72bと、連結板72aと力受板72bとを連結する補強板72cとを備える。連結板72aは、伝達体71の延長方向に平行な一方の外側面71aに面接触して当該一方の外側面71aの一端側に連結される平板により形成される。力受板72bは、伝達体71の延長方向に平行な一方の外側面71aと直交する面を形成する平板により形成される。
押圧部73は、伝達体71の他方の外側面71bの他端側とボルト及びナット又は溶接等の連結手段で連結される連結板73aと、推進力伝達棒状体710の棒状体71xの他端71fに接触する押圧板73bと、連結板73aと押圧板73bとを連結する補強板73cとを備える。連結板73aは、伝達体71の延長方向に平行な他方の外側面71bに面接触して当該他方の外側面71bの他端側に連結される平板により形成される。押圧板73bは、伝達体71の延長方向に平行な他方の外側面71bと直交する面を形成する平板により形成される。
【0033】
尚、最初に地中10に設置する先頭管6の内部には掘削機械26が設置されるので、先頭管6としては管の長さが後続管7の管の長さよりも長いものを用いることが多いが、従来、このような管長の長い先頭管6を推進させる場合、先頭管6の管長が長いために、出発部に設置された先頭管6の後方に油圧ジャッキ62を設置できずに先頭管6を推進させることができなかったり、また、先頭管6の後方にピストンロッドの伸長ストロークの短い小型の油圧ジャッキしか設置できない場合があり、先頭管6の後方にピストンロッドの伸長ストロークの短い小型の油圧ジャッキしか設置できない場合には、油圧ジャッキのピストンロッドの1回の最大伸長動作で先頭管6を少ししか推進させることができないため、油圧ジャッキのピストンロッドの先端と棒状体71xの他端71fとの間に図外のスペーサーを介在させて油圧ジャッキの伸長動作を何回も繰り返したり、あるいは、油圧ジャッキの1回の伸長動作が終わる毎に油圧ジャッキ及び油圧ジャッキの反力受け壁74を前方に移動させて油圧ジャッキの伸長動作を何回も繰り返す必要があり、先頭管6を地中10に推進させる際の油圧ジャッキによる作業効率が悪かった。
実施形態1によれば、出発部に設置された先頭管6の左右の外側面6a;6bの横にそれぞれ油圧ジャッキ62;62を設置できるので、出発部に設置された先頭管6の後方に油圧ジャッキ62を設置できない場合であっても先頭管6を推進させることができ、また、油圧ジャッキ62としてピストンロッド63の伸長ストロークの長いものを用いることができるので、ピストンロッド63の1回の最大伸長動作で先頭管6を長距離移動させることができて油圧ジャッキ62による作業効率を良くできる。
【0034】
次に、図4を参照して管設置装置1による地中10への管2の設置方法を説明する。
尚、ここでは、先頭管6として管長が後続管7の管長よりも長いものを用いるものとし、後続管7として管長が先頭管6の管長のほぼ半分の長さの後続管7を用いる場合を例にして説明する。
掘削機械26と推進力伝達棒状体71と水供給管75cと排泥管76bとが取付けられた基板25を先頭管6の内側に設置する。つまり、基板25を形成する矩形板30の前面39fにおける矩形周縁面33が、先頭管6の内側に管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の枠後面32に水密性能維持部材35を介して突き付けられた状態となるように設置する。これにより、管2を、地中10に形成された空洞部100から地中10に設置する場合に、先に地中10に入れる先頭管6の先端開口6t側の内側に掘削機械26が設置される。
図4(a)に示すように、出発部としての空洞部100において、先頭管6の地中10への出発口(エントランス口)の手前側に案内台90を設置し、掘削機械26と水供給管75cと排泥管76bとが取付けられた基板25を内側に設置した先頭管6の先端開口6tを出発口に向けて当該先頭管6を案内面91上に設置する。左の設置台92の台上面の後側に左の油圧ジャッキ62を固定するともに、右の設置台92の台上面の後側に右の油圧ジャッキ62を固定する。また、伝達体71が先頭管6の左側面6aの後側と平行に対向するように左の推進力伝達部材85を設置し、伝達体71が先頭管6の右側面6bの後側と平行に対向するように右の推進力伝達部材85を設置する。
そして、図4(b)に示すように、掘削機械26及び左右の油圧ジャッキ62;62を作動させることで、ピストンロッド63の先端の押圧板64が推進力伝達部材85の力受板72bに接触するとともに、推進力伝達部材85の押圧板73bが棒状体71xの他端71fに接触した状態となり、ピストンロッド63が伸びるに従って先頭管6が地中10へと進行する。即ち、図1の送水用のポンプ75dを駆動して空間69内に泥水を供給し、空間69内と集合タンク75X内との間で泥水を循環させるとともに、制御装置65による制御によって、油圧源55から油圧モータ47に圧油を供給して回転掘削体46を回転させながら、油圧ジャッキ62のピストンロッド63を伸ばすことで、推進力伝達装置70を介して先頭管6に伝達される推進力と回転掘削体46の回転に伴う地盤掘削とによって先頭管6が前方に推進し、先頭管6が地中10に設置される。尚、回転掘削体46;46が地中10を掘削した土砂は空間69内で水と混ざって泥水となって排泥タンク76dに排出される。
次に、左右の油圧ジャッキ62;62のピストンロッド63;63を最大限伸長させた後、図4(c)に示すように、ピストンロッド63;63を戻すとともに、左右の推進力伝達部材85;85を外した後、先頭管6の後方に後続管7を設置し、先頭管6の後端開口縁と後続管7の前端開口縁とを水密状態に連結する。即ち先頭管6の後端面102eに後続管7を溶接、又は、ボルト等の固定具により接続し、図4(d)に示すように、先頭の推進力伝達棒状体710の他端71fと後続の推進力伝達棒状体710の一端71eとをボルト、又は、溶接により結合することにより、先頭の推進力伝達棒状体71の後ろに後続の推進力伝達棒状体710を継ぎ足すとともに、さらに、耐圧ホース56の他端に図外の延長耐圧ホースを継ぎ足し、水供給管75cの他端に図外の延長水供給管を継ぎ足し、排泥管76bの他端に図外の延長排泥管を継ぎ足していく。
そして、図4(d)に示すように、伝達体71が後続管7の左側面と平行に対向するように左の推進力伝達部材85を設置し、伝達体71が後続管7の右側面と平行に対向するように右の推進力伝達部材85を設置した後、掘削機械26及び左右の油圧ジャッキ62;62を作動させることで、ピストンロッド63;63の先端の押圧板64;64が推進力伝達部材85の力受板72bに接触するとともに、推進力伝達部材85の押圧板73bが後続の推進力伝達棒状体71の棒状体71xの他端71fに接触した状態となり、ピストンロッド63が伸びるに従って先頭管6がさらに地中10へと推進するとともに後続管7が前方に移動する。
以後、同様に、前の後続管7に後の後続管7を順次連結して地中10に設置していくことで、支保工を構築できる。
【0035】
支保工11を構築した後は、掘削始点となった出発側の空洞部100内に掘削機械26を引き戻して回収する。尚、到達側の空洞部100内に掘削機械26を押し出して回収するようにしてもよい。
【0036】
上述した管設置装置1を用いれば、先頭管6の先端開口6t側の内側に、先頭管6の推進方向と交差する回転中心線Lを回転中心として回転する回転掘削体46を有した掘削機械26を設置し、管2を押圧するとともに掘削機械26で地中を掘削することにより、管2を推進させて地中10に設置したので、地中10が、硬質・レキ混じりである場合でも、断面矩形状の管2の内側の角部付近の地中部分を2つの回転掘削体46;46で掘削できるようになるので、管2を地中10においてスムーズに推進させることができるようになり、支保工を容易に構築できるようになる。
【0037】
実施形態1の管設置装置1によれば、推進力伝達装置70を備えたので、管設置装置1が設置される空洞部100等の出発部が狭小であり、出発部において管2の後ろ側に油圧ジャッキ62を設置するための設置スペースが無い場合にあっても、油圧ジャッキ62;62を管2の左右の外側面6a;6bの横に沿った状態に設置することが可能となり、油圧ジャッキ62;62を管2の後ろ側に設置できない場合であっても管2を推進させて地中10に進行させることができるようになる。
【0038】
また、油圧ジャッキ62;62を管2の左右の外側面6a;6bの横に沿った状態に設置することが可能となることから、また、油圧ジャッキ62としてピストンロッド63の伸長ストロークの長いものを用いることができるようになり、ピストンロッド63の1回の最大伸長動作で管2を長距離移動させることができて油圧ジャッキ62による作業効率を良くできる。
【0039】
また、後続管7として管の長さが先頭管6の管の長さと同じ長さのものを用いる場合においては、例えば図4(c)の状態において、左右の推進力伝達部材85;85の代わりに、左右の油圧ジャッキ62;62の押圧板64;64に跨って設けられて左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端71f;71fに接触させる図外の横架部材を設ける。この状態で掘削機械26及び左右の油圧ジャッキ62;62を作動させると、左右の油圧ジャッキ62;62による押圧力が横架部材を介して先頭管6に伝達されて先頭管6が前方に移動するので、先頭管6の後端面102eと反力受け壁74との間に後続管7の設置スペースが形成される。
尚、先頭管6の後端に順次後続管7を接続していく際、出発部において後続管7の後ろ側に油圧ジャッキ62を設置するための設置スペースが確保される場合には、出発部において当該後続管7の後ろ側に油圧ジャッキ62を設置して、左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端71f;71fに跨るように設けられた図外の横架部材を油圧ジャッキ62で押圧することにより、後続管7及び先頭管6を推進させるようにしてもよい。
【0040】
実施形態2
図7に示すように、回転掘削体46の回転中心線Lを、先頭管6の互いに平行に対向する一対の外側面と平行で、かつ、先頭管6の推進方向と直交する面と直交以外の状態で交差する状態に設定する掘削機械揺動駆動装置250を備えたことによって、先頭管6の進行に先立って先頭管6の前方において先頭管6の断面積よりも幅の広い断面積を掘削でき、先頭管6の前方での余堀が可能な管設置装置1Xを用いてもよい。例えば、図7(a);(b)に示すように、回転掘削体46が掘削進行方向の左右に揺動可能な構成を備える。
以下、管設置装置1Xの一例について説明するが、実施形態1の管設置装置1で説明した構成と同一構成部分については同一符号を付し、詳説を省略する。
実施形態2の管設置装置1Xは、実施形態1で説明した管設置装置1の掘削装置3の構成である基板25、管側推進力受け部21の代わりに掘削機械揺動駆動装置250を備えた構成である。
掘削機械揺動駆動装置250は、揺動基板300と、揺動基板300の案内部材310と、揺動基板駆動手段320とを備える。
管設置装置1Xは、筒状の案内部材310の筒の中心線と先頭管6の管の中心線とが一致するように案内部材310が先頭管6の先端開口6t側の内側に設置されて案内部材310の筒の外周面330と先頭管6の内周面6sとの間の水密性がゴムパッキン等の水密性能維持部材340によって保たれ、かつ、揺動基板300は先頭管6の互いに平行に対向する一対の外側面間の中心を回転中心としての左右の側壁301;302側が前後に揺動可能なように案内部材310に取付けられて揺動基板300の外周面390と案内部材310の筒の内周面350との間の水密性がゴムパッキン等の水密性能維持部材120によって保たれた構成とされる。先頭管6の先端開口6t側の内側における案内部材310の前方には推進力受け部630が設けられ、当該推進力受け部630は、先頭管6の先端開口6t側の内側に設置された案内部材310の筒の前端面311に接触して案内部材310の前方への移動を規制するとともに推進力伝達装置70を介して案内部材310に伝達された推進力を先頭管6に伝達することができるように、先頭管6の先端開口6t側の内周面6sに溶接、ボルト・ナット等の固定手段で固定されている。また、揺動基板300には、揺動基板300の平板を前後に貫通する支柱保持貫通孔130、排泥管保持貫通孔140、水供給管保持貫通孔150が形成され、支柱保持貫通孔130には、掘削機械26の支持部40の支柱42が貫通した状態で固定状態に保持され、排泥管保持貫通孔140には、排泥管76cの先端部が貫通した状態で固定状態に保持され、水供給管保持貫通孔150には、水供給管75cの先端部が貫通した状態で固定状態に保持される。そして、複数の掘削ビット(掘削刃)52を備えた掘削機械26の回転掘削体46が先頭管6の先端開口6tよりも前方に位置されて回転掘削体46を支持する支柱42が揺動基板300に支持されている。
実施形態2の管設置装置1Xによれば、先頭管6の前方の地中10を回転掘削体46で掘削する際に、油圧ジャッキのような揺動基板駆動手段320が揺動基板300における一対の側壁301;302側の後面を押圧及び引き戻して前後に移動させることで、回転掘削体46の回転中心線Lが、先頭管6の推進方向と直交する面及び先頭管6の互いに平行に対向する一対の外側面(例えば先頭管6の上下の外側面)と平行な第1の状態、及び、先頭管6の互いに平行に対向する一対の外側面(例えば先頭管6の上下の外側面)と平行で、かつ、先頭管6の推進方向と直交する面と直交以外の状態で交差する第2の状態(図7(a);(b)参照)に設定される。
即ち、管設置装置1Xは、先頭管6の前方において回転掘削体46を先頭管6の左右方向に揺動させるための掘削機械揺動駆動装置250を備えるので、先頭管6の前方の地中10を回転掘削体46で掘削する際に揺動基板駆動手段320により揺動基板300を駆動して回転掘削体46を例えば左右方向に揺動させることができ、回転掘削体46が左右方向に揺動しない場合と比べて、掘削可能な左右幅を大きくできる。つまり、管設置装置1Xを用いれば、先頭管6の進行に先立って先頭管6の前方において先頭管6の例えば左右幅間隔よりも幅の広い左右幅間隔で地中10を掘削でき、先頭管6の前方において先頭管6の左右幅方向での余堀が可能となるので、先頭管6の前方の硬質地盤層を掘削でき、地中10が硬質地盤層である場合でも管2を地中10においてスムーズに推進させることができる。
【0041】
実施形態3
図8及び図9に示すように、回転掘削体は、筐体50の外周面51より突出するように設けられた掘削刃としての第1の掘削ビット8e及び第2の掘削ビット8fとを備えた構成の回転掘削体46Aを用いてもよい。
複数個の第2の掘削ビット8fが筐体50の回転中心線Lに沿った方向に並べられて第2の掘削ビット群810が構成される。
筐体50の外周面51には複数のビット取付部83が点在するように設けられる。第1の掘削ビット8eは、筐体50の外周面51に設けられた個々のビット取付部83に1つ1つ個別に着脱可能に取り付けられる。第2の掘削ビット8fは、筐体50の外周面に設けられた複数のビット取付部83に着脱可能に取り付けられるビット設置板84に設けられる。即ち、第2の掘削ビット群810は、ビット取付部83に取り付けられて筐体50の回転中心線Lに沿って筐体50の外周面51の周面幅(回転中心線Lに沿った方向の幅、即ち、筐体50の回転中心線Lに沿った方向の両方の端面)に渡って延長するビット設置板84のビット設置面84aに、複数の第2の掘削ビット8fが回転中心線Lに沿った方向に並ぶように着脱可能又は固定的に設けられた構成である。
1つ1つの回転掘削体46Aにおいて、第1の掘削ビット8eは、筐体50の外周面51の周方向に互いに180°離れた位置にそれぞれ設けられる。第2の掘削ビット群810は、筐体50の外周面51上において第1の掘削ビット8eが設けられていない部分に設けられる。
図8(b)に示すように、筐体50の外周面51上で周方向に互いに180°離れた位置に設けられた各第2の掘削ビット群810;810の各掘削ビット8fの先端は、筐体50の回転中心線Lと直交する同一の面85e上に位置しないように設定されている。つまり、一方の第2の掘削ビット群810において互いに隣り合う各掘削ビット8f間で掘削されない地盤部分を他方の第2の掘削ビット群810の各掘削ビット8fで掘削できるように構成されている。要するに、1つ1つの回転掘削体46Aは、一方の第2の掘削ビット群810で掘削できない地盤部分を他方の第2の掘削ビット群810で掘削できるようにした相補的な一対の第2の掘削ビット群810;810を備えた構成である。
そして、図9(a)に示すように、筐体50の回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第1の掘削ビット8eの先端までの第1距離80x(即ち、第1の掘削ビット8eによる掘削半径)と筐体50の回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第2の掘削ビット8fの先端までの第2距離81x(即ち、第2の掘削ビットによる掘削半径)とが異なる。
つまり、第1距離80xを掘削半径とした第1の掘削ビット8eによる掘削径が、先頭管6の上下の内壁面6c;6d間(先頭管6の一方の一対の壁面の内壁面間)の寸法9xよりも小さく設定され、かつ、第2距離81xを掘削半径とした第2の掘削ビット8fによる掘削径が、先頭管6の先頭管6の上下の内壁面6c;6d間の寸法9xよりも大きく設定されていることにより、回転掘削体46Aが先頭管6の先端開口6tを介して先頭管6の前方及び先頭管6の内側に移動可能に構成されている。
即ち、第1距離80xは、回転掘削体46Aが先頭管6の内側で回転中心線Lを回転中心として回転可能な回転半径寸法に設定されたことによって、回転掘削体46Aが管2内を通過可能となり、掘削機械26を出発側の空洞部100に引き戻して回収できる。
また、第2距離81xは、回転掘削体46Aが先頭管6の内側で回転中心線Lを回転中心として回転不可能で、かつ、回転掘削体46Aが先頭管6の先端開口6tの前方に位置された場合に回転可能な回転半径に設定される。
即ち、回転掘削体46Aが先頭管6の先端開口6tの前方に位置された状態で回転駆動されることによって第1の掘削ビット8e及び第2の掘削ビット8fが先頭管6の先端開口6tの前方位置の地盤を掘削可能であり、かつ、回転掘削体46Aが管2(先頭管6及び後続管7)内を通過して管2を出発させた空洞部100に回収可能に構成される。
以上のような回転掘削体46Aを備えたことにより、先頭管6の先端開口6tの前方において先端開口6tの断面よりも例えば上下幅の大きい断面積の孔を掘削できるので、先頭管6の先端開口縁が地盤に衝突する前に地盤を掘削できて、管2をよりスムーズに推進させることができる。
また、掘削機械26の回収時には、図9(b)に示すように、第2の掘削ビット群810の第2の掘削ビット8fの先端が、先頭管6の上下の内壁面6c;6dと同一平面を示す位置より上方に位置しない状態にしてから、回転掘削体46Aを管2内に引き戻して掘削機械26を出発側の空洞部100に回収する。
【0042】
即ち、実施形態3によれば、筐体50の回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第1の掘削ビット8eの先端までの第1距離80x(即ち、第1の掘削ビット8eによる掘削半径)と筐体50の回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第2の掘削ビット8fの先端までの第2距離81x(即ち、第2の掘削ビットによる掘削半径)とが異なるように設定され、第1距離80xを掘削半径とした第1の掘削ビット8eによる掘削径が、先頭管6の案内刃管9(図2参照)の上下の内壁面6c;6d間の寸法9xよりも小さく、第2距離81xを掘削半径とした第2の掘削ビット8fによる掘削径が、先頭管6の上下の内壁面6c;6d間の寸法9xよりも大きく設定された回転掘削体46Aを備えた。このため、先頭管6の先端開口6tより前方に位置する回転掘削体46Aを回転させて掘削ビット8e;8fが地盤を掘削することにより、先頭管6の先端開口6tの前方において、先頭管6の管の中心を中心とした四角断面であって先頭管6の先端開口6tの四角断面の幅寸法(回転掘削体46Aの径方向に対応する幅寸法、例えば、先頭管6の上下の内壁面6c;6d間の寸法9x)より幅寸法の大きい四角断面の孔を掘削できる。よって、先頭管6の先端開口縁が地盤に衝突する前に、先頭管6の先端開口6tよりも前方に位置する地盤を掘削ビット8e;8fにより確実に掘削できるので、先頭管6の先端開口縁が硬質の地盤に衝突して先頭管6を推進できなくなるような事態を防止でき、地山が硬質地盤である場合でも、管2をよりスムーズに推進させることができる。
【0043】
また、筐体50の外周面51上で周方向に互いに180°離れた位置に設けられた各第2の掘削ビット群810;810の各掘削ビット8fの先端位置が、筐体50の回転中心線Lと直交する同一の面85e上に位置しないように設定されている。つまり、筐体50の外周面51上で周方向に互いに180°離れた位置に設けられた一対の第2の掘削ビット群810;810は、回転掘削体46Aの回転により一方の第2の掘削ビット群810で掘削できない地盤部分を他方の第2の掘削ビット群810で掘削できるように構成されているので、先頭管6の先端開口6tの四角断面の幅寸法より幅寸法の大きい四角断面の孔を効率的に掘削でき、管2をよりスムーズに推進させることができる。
また、各第2の掘削ビット群810を、回転中心線Lを中心として筐体50の外周面51上で例えば等間隔に配置することで、回転掘削体46Aの回転重心を一定に保てるようになり、回転掘削体46Aの回転がスムーズになって効率的に掘削できて、管2をよりスムーズに推進させることができる。
また、第2の掘削ビット8f及び第1の掘削ビット8eを備えたので、第2距離81xを掘削半径とした掘削径の孔を第2の掘削ビット8f及び第1の掘削ビット8eによってより効率的に掘削できるようになる。
【0044】
尚、第2の掘削ビット群810は、筐体50の外周面51に設けられた個々の取付部83に個々に取付けられた第2の掘削ビット8fの集合体により構成されてもよい。
また、筐体50の外周面51上において筐体50の回転中心線Lに沿った方向の両方の端面に跨って回転中心線Lに沿った方向に直線状又は非直線状に個々の第2の掘削ビット8fが個々に並ぶように配置されていたり、筐体50の外周面51上において筐体50の回転中心線Lに沿った方向の両方の端面に跨って回転中心線Lに沿った方向に直線状又は非直線状に延長する1つの掘削刃を有した第2の掘削ビットを備えた構成の回転掘削体46Aであって、回転掘削体46Aが管2の内側で回転中心線Lを中心として回転不可能で、かつ、先頭管6の先端開口6tの前方位置で回転可能なように構成されていればよい。
また、第2の掘削ビット群810;810が筐体50の外周面51上で周方向に互いに180°離れた位置に設けられていなくてもよい。
要するに、回転掘削体46Aは、回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第1の掘削ビット8eの先端までの第1距離80xが、回転掘削体46Aが管6の内側で回転中心線Lを中心として回転可能な回転半径に設定され、回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第2の掘削ビット8fの先端までの第2距離81xが、回転掘削体46Aが管2の内側で回転中心線Lを中心として回転不可能で、かつ、回転掘削体46Aが先頭管6の先端開口6tの前方に位置された場合に回転中心線Lを中心として回転可能な回転半径に設定されればよい。
【0045】
また、回転掘削体は、第1の掘削ビット8eを備えない構成としてもよい。即ち、掘削ビットとして第2の掘削ビット8fのみを有した回転掘削体を用いてもよい。
要するに、回転掘削体が第1の掘削ビット8eを備えない構成の場合において、回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した回転掘削体の筐体50の外周面51までの最短距離である第1距離が、回転掘削体が管6の内側で回転中心線Lを中心として回転可能な回転半径に設定され、回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第2の掘削ビット8f(掘削ビット)の先端までの第2距離81xが、回転掘削体が管2の内側で回転中心線Lを中心として回転不可能で、かつ、回転掘削体が先頭管6の先端開口6tの前方に位置された場合に回転中心線Lを中心として回転可能な回転半径に設定されればよい。
つまり、第1距離を半径とした筐体50の直径が、先頭管6の上下の内壁面6c;6d間の寸法よりも小さく設定され、かつ、第2距離81xを掘削半径とした第2の掘削ビット8fによる掘削径が、先頭管6の先頭管6の上下の内壁面6c;6d間の寸法9xよりも大きく設定されていることにより、回転掘削体46Aが先頭管6の先端開口6tを介して先頭管6の前方及び先頭管6の内側に移動可能に構成される。
実施形態7によれば、第2の掘削ビット8fによる掘削によって、先頭管6の前方において先頭管6の例えば上下の内壁面6c;6d(先頭管6の一方の一対の壁面)と直交する方向である先頭管6の上下幅間隔よりも広い上下幅間隔で地中10を掘削できるようになり、先頭管6の前方において先頭管6の上下幅方向での余堀が可能となるので、地山が硬質地盤である場合でも管2をよりスムーズに推進させることが可能となる。
【0046】
実施形態3の回転掘削体46Aを備えた管設置装置を用いて管2を地中10に設置する場合においては、先頭管6の前方において先頭管6の断面積よりも幅の広い断面積を掘削できる。即ち、先頭管6の前方の地中10において先頭管6の例えば上下側の地中10の余堀が可能となり、管2をよりスムーズに推進させることが可能となる。
【0047】
実施形態4
実施形態3の回転掘削体46Aと実施形態2の掘削機械揺動駆動装置250とを備えた管設置装置を用いれば、先頭管6の前方の地中10において先頭管6の上下左右側の地中10の余堀が可能となるので、管2をよりスムーズに推進させることが可能となる。
【0048】
掘削機械26としては、ウォータージェット装置(高圧水噴射装置)、管2の中心線を回転中心とする回転掘削機等を用いてもよい。
例えば、断面形状が長方形の管2であれば、上記掘削機械26を用いることが好ましいが、断面形状が正方形の管を用いるのであれば、掘削機械として、ウォータージェット装置(高圧水噴射装置)を用いたり、管2の中心線を回転中心とする回転掘削機を用いたり、あるいは、これらを併用して用いてもよい。例えば、先頭管6の前方開口部の中央に管の中心線を回転中心とする回転掘削機を設置し、先頭管6の前方開口部における角部にウォータージェット装置の噴射ノズルを設置する。尚、本発明でいう断面形状が四角形状とは、四角の角部が面取りされた形状のものも含む。
【0049】
さらに、管2は、断面円形状の管であってもよい。また、推進装置として油圧ジャッキ62以外の推進装置を用いてもよい。
【0050】
また、上記では、推進力伝達装置70として、左右別々の推進力伝達部材85;85を備えた推進力伝達装置70を説明したが、一端側にそれぞれ力受部72;72を備えた左右の伝達体71;71の他端側同士を互いに連結するとともに推進力伝達棒状体710の他端71bを押圧する押圧部73として機能する推進力伝達部材を備えた構成の推進力伝達装置であってもよい。
【0051】
尚、推進力伝達装置70は、推進力伝達棒状体710を備えずに、出発部に設置された管2の外側面6a;6bの横位置で推進装置4からの押圧力を受けて当該押圧力を管2の後端面102eに直接に伝達する推進力伝達部材により構成されたものであってもよい。例えば、出発部に設置された断面四角形状の管の互いに平行に対向する一方の一対の外側面のうちの一方の外側面の外側に当該一方の外側面と平行に対向するように配置された伝達体と、当該伝達体の一端側において管の一方の外側面より離れる方向に延長するように設けられて推進装置からの押圧力を受ける力受部と、伝達体の他端側において管の後端面に接触するように設けられて、力受部及び伝達体を介して伝達された力を管の後端面に伝達する押圧部とを備えた一方の推進力伝達部材と、出発部に設置された断面四角形状の管の互いに平行に対向する一方の一対の外側面のうちの他方の外側面の外側に当該他方の外側面と平行に対向するように配置された伝達体と、当該伝達体の一端側において管の他方の外側面より離れる方向に延長するように設けられて推進装置からの押圧力を受ける力受部と、伝達体の他端側において管の後端面に接触するように設けられて、力受部及び伝達体を介して伝達された力を管の後端面に伝達する押圧部とを備えた他方の推進力伝達部材と、を備えた構成としてもよい。この場合、先頭管6の管の内周面20aに枠状の推進力伝達体を固定し、先頭管6の管の内周面20aにおける当該推進力伝達体の前方に、水密性能維持部材35を介して基板25を配置することにより、推進装置4の押圧力が推進力伝達部材85を介して管2の後端面102eに伝達されて管2が推進するとともに、管2に伝達された推進力が推進力伝達体、水密性能維持部材35を介して基板25に伝達されるので、掘削機械26も推進する。
【符号の説明】
【0052】
2 管、6 先頭管(管)、6a;6b 管の一方の一対の外側面、6t 先端開口、7 後続管(管)、10 地中、26 掘削機械、
70 推進力伝達装置、71 伝達体、72 力受部、73 押圧部、
85 推進力伝達部材、100 空洞部(出発部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9