(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、例えば、交差点までの距離を正確に把握できない場合や、交差点名の標識を視認することが困難な場合などには、前述のような案内が行われても、ユーザは曲がり角を確実に認識することができない場合があった。そのため、曲がり角をより的確に案内することのできる経路案内システムが望まれていた。その他、従来の経路案内システムにおいては、使い勝手の向上や、処理負担の軽減、通信量の削減、などが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
本発明の第1の形態は、
経路案内システムであって、
施設の施設名と前記施設の存在する位置範囲との対応関係が記憶された施設情報記憶部と、
道を表すリンクデータと少なくとも交差点を表すノードデータとにより道のつながり状態が記録された道路情報記憶部と、
前記道路情報記憶部を参照して、出発地から目的地までの経路を探索する経路探索部と、
前記施設情報記憶部を参照して、前記経路に含まれる曲がり角から、前記出発地に向かって、前記経路に沿って所定の距離離れた案内位置の近傍に存在する第1の施設を検索し、検索された前記第1の施設の名称である第1施設名を取得する第1施設名検索部と、
前記施設情報記憶部を参照して、前記第1の施設よりも前記曲がり角に近い第2の施設を検索し、検索された前記第2の施設の名称である第2施設名を取得する第2施設名検索部と、
前記第1施設名および前記第2施設名の少なくとも一方を用いて、前記曲がり角において曲がるべき方向を案内するための案内情報を生成する案内情報生成部と、
を備え、
前記案内情報生成部は、ユーザの移動手段に応じて、前記第1施設名を優先して前記案内情報を生成するか、前記第2施設名を優先して前記案内情報を生成するか、を決定
し、
前記第1施設名検索部は、ユーザの移動手段に応じて、検索の対象とする施設の種類を制限する、
経路案内システムである。
そのほか、本発明は以下のような形態としても実現可能である。
【0006】
(1)本発明の一形態によれば、経路案内システムが提供される。この経路案内システムは、施設の施設名と前記施設の存在する位置範囲との対応関係が記憶された施設情報記憶部と;道を表すリンクデータと少なくとも交差点を表すノードデータとにより道のつながり状態が記録された道路情報記憶部と;前記道路情報記憶部を参照して、出発地から目的地までの経路を探索する経路探索部と;前記施設情報記憶部を参照して、前記経路に含まれる曲がり角から、前記出発地に向かって、前記経路に沿って所定の距離離れた案内位置の近傍に存在する第1の施設を検索し、検索された前記第1の施設の名称である第1施設名を取得する第1施設名検索部と;前記施設情報記憶部を参照して、前記経路に含まれる曲がり角の付近に存在する第2の施設を検索し、検索された前記第2の施設の名称である第2施設名を取得する第2施設名検索部と;前記第1施設名および前記第2施設名の少なくとも一方を用いて、前記曲がり角において曲がるべき方向を案内するための案内情報を生成する案内情報生成部と、を備える。このような形態の経路案内システムによれば、経路上の案内地点の近傍に存在する施設の名称(第1施設名)や、曲がり角付近に存在する施設の名称(第2施設名)を目印として、曲がり角において曲がるべき方向を案内することができる。そのため、経路上の曲がり角をユーザに的確に案内することができる。
【0007】
(2)上記形態の経路案内システムにおいて、前記案内情報生成部は、ユーザの移動手段に応じて、前記第1施設名を優先して前記案内情報を生成するか、前記第2施設名を優先して前記案内情報を生成するか、を決定してもよい。このような形態であれば、移動手段に応じて適切に曲がり角を案内することができる。
【0008】
(3)上記形態の経路案内システムにおいて、前記第1施設名検索部は、前記第1の施設として、前記案内位置から道路に垂直な所定長さの線分を引き、前記線分の終点を包含する位置範囲に存在する施設を検索してもよい。このような形態によれば、道路から奥まった位置にある施設の名称が用いられて曲がり角が案内されてしまうことを抑制することができる。
【0009】
(4)上記形態の経路案内システムにおいて、前記第1施設名検索部は、前記第1の施設として、前記案内位置が存在する道に平行であり、かつ、前記案内位置に対向する辺を有する位置範囲に存在する施設を検索してもよい。このような形態によれば、道路から奥まった位置にある施設の名称が用いられて曲がり角が案内されてしまうことを抑制することができる。
【0010】
(5)上記形態の経路案内システムにおいて、前記第1施設名検索部は、検索された前記第1の施設が多層階の建物の場合に、前記第1施設名として、前記建物の1階または2階に存在する店舗の名称を取得してもよい。このような形態であれば、多層階の建物(例えばビル)の高層階に入居する店舗の名称を用いて曲がり角が案内されることがない。よって、ユーザは、曲がり角の目印となる施設を容易に確認することができる。
【0011】
(6)上記形態の経路案内システムにおいて、前記第2施設名検索部は、前記曲がり角の前記出発地側の位置に前記第2の施設が存在しない場合に、前記曲がり角の前記目的地側の位置から、前記第2の施設を検索してもよい。このような形態であれば、曲がり角付近の施設をより確実に案内することが可能になる。
【0012】
本発明は、端末装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、経路案内システムが実行する経路案内方法や、コンピュータが経路案内を行うためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体、等の形態で実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
A.システム構成:
図1は、本発明の一実施形態としての経路案内システム10の概略構成を示す説明図である。経路案内システム10は、端末装置としてのスマートフォン100と、経路案内サーバ200とを備える。スマートフォン100は、送受信アンテナと無線基地局と交換局とを含む通信キャリア70を介して、インターネット80に接続された経路案内サーバ200にアクセスすることができる。
【0015】
スマートフォン100は、制御部110と、無線通信部120と、タッチパネル124と、表示部126と、マイク128と、スピーカ130と、GPS受信機136と、記憶部138と、を備える。
【0016】
無線通信部120は、通信キャリア70を介したデータ通信や音声通信を行うための回路である。表示部126は、地図画像等の種々の画像を表示する装置である。タッチパネル124は、表示部126に重畳して設けられており、指やペンによるユーザからのタッチ操作を受け付ける。GPS受信機136は、GPS(Global Positioning System/全地球測位システム)を構成する人工衛星から受信した電波に基づいて、スマートフォン100(ユーザ)の現在位置(経度・緯度)を測位する。マイク128は、音声通信時においてユーザから発せられた音声を取得する。スピーカ130は、経路案内のための音声や、音声通信時において通話相手から受信した音声を出力する。
【0017】
制御部110は、CPUやメモリを備えたコンピュータとして構成されており、スマートフォン100の動作全体を制御する。制御部110は、メモリに記録されたコンピュータプログラムがCPUによって実行されることにより、経路探索要求部112および経路案内部114として機能する。
【0018】
経路探索要求部112は、無線通信部120を通じて経路案内サーバ200に対して、ユーザから指定された出発地から目的地までの経路の探索を要求する。以下では、この要求のことを、「経路探索要求」という。経路案内サーバ200からは、この経路探索要求に応じて、経路情報と案内情報とが送信される。経路情報には出発地から目的地までの経路を表すデータが含まれる。案内情報には、経路上の曲がり角の手前の位置(案内位置)において、曲がる方向を音声案内するためのデータが含まれる。経路探索要求部112は、経路案内サーバ200から経路情報と案内情報とを受信すると、それらを記憶部138に記録する。
【0019】
経路案内部114は、記憶部138に記録された経路情報と案内情報とを用いて、スマートフォン100のユーザに対して経路案内を行う。経路案内の具体的な処理内容については後述する。
【0020】
経路案内サーバ200は、通信部202と、施設情報記憶部214と、道路情報記憶部216と、制御部204と、を備えている。通信部202は、インターネット80を介してスマートフォン100と通信を行うことができる。
【0021】
図2は、施設情報記憶部214に記録された情報の例を示す図である。施設情報記憶部214には、施設の名称(施設名)と、その施設の位置および範囲(平面形状)を表すポリゴンデータと、その施設のジャンルと、の対応関係が記憶されている。施設のジャンルがビルの場合には、そのビル内の各フロアに入居する店舗の名称(店舗名)と、その店舗のジャンルとが、別記情報として記憶されている。なお、
図2では、理解の便のため、ポリゴンデータを図形によって表しているが、実際には、緯度経度の点列によってポリゴンデータは表されている。
【0022】
道路情報記憶部216(
図1)には、道を表すリンクデータと、交差点や屈曲点、行き止まりを表すノードデータとにより道路のつながり状態が表された道路ネットワークデータが記憶されている。道路ネットワークデータは、移動手段(例えば、車両、徒歩)毎に記録されている。各ノードデータには、そのノードデータが示す交差点の名称(交差点名)が対応付けられている。ただし、すべてのノードデータに対して交差点名が対応付けられているのではなく、交差点名が対応付けられていないノードデータも存在する。道路情報記憶部216には、その他、地図データも記憶されている。
【0023】
制御部204は、CPUやメモリを備えており、経路案内サーバ200の動作全体を制御する。制御部204は、メモリに記憶されたコンピュータプログラムがCPUによって実行されることにより、経路探索部206、第1施設名検索部208、第2施設名検索部210、および、案内情報生成部212、として機能する。コンピュータプログラムは、一時的でない各種の記録媒体に記録されていてもよい。
【0024】
経路探索部206は、通信部202を通じてスマートフォン100から経路探索要求を受信した場合に、道路情報記憶部216に記憶された道路ネットワークデータを用いて周知のダイクストラ法に基づき経路探索を行い、経路情報を生成する。経路情報には、経路を示すデータと、経路中に存在する交差点の交差点名とが含まれる。経路探索部206によって生成された経路情報は、通信部202を通じて、スマートフォン100に送信される。
【0025】
第1施設名検索部208は、施設情報記憶部214を参照して、経路に含まれる曲がり角から出発地に向かって経路に沿って所定の距離離れた案内位置の近傍(道沿い)に存在する第1の施設を検索する。そして、第1施設名検索部208は、検索された第1の施設の名称(第1施設名)を、施設情報記憶部214から取得する。案内地点とは、曲がり角を右折するか左折するかを案内するための位置である。曲がり角から案内地点までの距離は、ユーザの移動手段に応じて異なる。本実施形態では、ユーザの移動手段が車両の場合には、300mであり、徒歩の場合は、30mである。つまり、移動手段が車両の場合には、曲がり角の300m手前で曲がる方向が案内され、移動手段が徒歩の場合には、曲がり角の30m手前で曲がる方向が案内される。第1施設名を検索する方法の詳細は後述する。
【0026】
第2施設名検索部210は、施設情報記憶部214を参照して、経路に含まれる曲がり角の付近に存在する第2の施設を検索する。そして、第2施設名検索部210は、検索された第2の施設の名称(第2施設名)を、施設情報記憶部214から取得する。第2施設名を検索する方法の詳細は後述する。
【0027】
案内情報生成部212は、第1施設名検索部208によって取得された第1施設名と、第2施設名検索部210によって取得された第2施設名と、の少なくとも一方を用いて、経路に含まれる曲がり角において曲がるべき方向を案内するための情報(案内情報)を生成する。案内情報を生成する方法の詳細は後述する。案内情報生成部212によって生成された案内情報は、通信部202を通じて、スマートフォン100に送信される。
【0028】
B.経路探索処理:
図3は、経路案内サーバ200において実行される経路探索処理のフローチャートである。経路案内サーバ200の制御部204は、通信部202を通じてスマートフォン100の経路探索要求部112から経路探索要求を受信する(ステップS100)。この経路探索要求には、ユーザの移動手段、出発地および目的地、を示す情報が含まれる。ユーザは、スマートフォン100の表示部126上に表示される所定のGUI(グラフィカルユーザインタフェース)を用いて、移動手段、出発地、目的地を指定する。
【0029】
経路探索要求を受信すると、経路探索部206は、この経路探索要求によって指定された出発地と目的地とを結び、指定された移動手段に応じた経路を、道路情報記憶部216を参照して探索する(ステップS200)。
【0030】
続いて、第1施設名検索部208が、第1施設名検索処理を実行する(ステップS300)。第1施設名検索処理は、探索された経路上の各案内地点の道沿いに存在する第1施設の名称(第1施設名)を検索するための処理である。
【0031】
図4は、第1施設名検索処理のフローチャートである。
図5は、経路RT上の所定の案内地点P1に対して第1施設名検索処理が実行される様子を示す図である。第1施設名検索処理が実行されると、第1施設名検索部208は、経路中の曲がり角TNの手前の案内地点P1から、道路(経路)に垂直な所定長さの線分(垂線VL)を、曲がり角TNにおいて曲がる方向に下ろす(ステップS310)。
図5に示した例では、曲がり角TNで右折することから、垂線VLは右方向に引かれている。この垂線VLの長さは、本実施形態では、案内地点P1が存在する道路の幅+15mである。各道路の幅は、経路探索処理において道路情報記憶部216から取得され経路情報に含まれている。なお、案内地点P1は、前述のとおり、曲がり角TNから経路RTに沿って手前方向(出発地に向かう方向)に移動手段に応じた距離(車両では300m、徒歩では30m)だけ戻った位置である。
【0032】
続いて、第1施設名検索部208は、垂線VLの終点EPを含む位置範囲に該当するポリゴンPG1(
図5参照)を施設情報記憶部214から検索する(ステップS320)。そして、第1施設名検索部208は、垂線VLの終点EPを含み、かつ、案内対象のジャンルに該当するポリゴンが検索されたかを判断する(ステップS330)。案内対象のジャンルとは、曲がり角TNへの案内の目印になり得る施設のジャンルであり、本実施形態では、「コンビニ」、「ファミリーレストラン」、「ファーストフード店」、「銀行」、「郵便局」、「ガソリンスタンド」、「ビル」である。なお、「ガソリンスタンド」は、本実施形態では、移動手段が車両の場合に案内対象となり、徒歩の場合には案内対象とはならない。
【0033】
垂線VLの終点EPが含まれるポリゴンが検索されなかった場合、または、垂線VLの終点EPが含まれるポリゴンは検索されたもののそのポリゴンのジャンルが案内対象でなかった場合には(ステップS330:NO)、第1施設名検索部208は、現在の案内地点について、第1施設名を取得することなく、第1施設名検索処理を終了する。
【0034】
垂線VLの終点EPが含まれ、かつ、案内対象のジャンルのポリゴンが検索された場合には(ステップS330:YES)、第1施設名検索部208は、そのポリゴンのジャンルがビルであるか否かを判断する(ステップS340)。そのポリゴンのジャンルがビルでない場合には(ステップS340:NO)、第1施設名検索部208は、そのポリゴンに対応する施設名を第1施設名として施設情報記憶部214から取得する(ステップS350)。一方、そのポリゴンのジャンルがビルの場合には(ステップS340:YES)、第1施設名検索部208は、そのポリゴンに対応付けられた特記情報を参照し、そのビルの1Fまたは2Fに、案内対象のジャンルの店舗があるか否かを判断する(ステップS360)。その結果、案内対象のジャンルの店舗が1Fまたは2Fに存在する場合には(ステップS360:YES)、第1施設名検索部208は、その店舗の名称を第1施設名として施設情報記憶部214から取得する(ステップS370)。1Fおよび2Fの両方に案内対象のジャンルの店舗が存在する場合には、第1施設名検索部208は、1Fの店舗の名称を優先して取得する。1Fにも2Fにも案内対象のジャンルの店舗が存在しない場合には(ステップS360:NO)、第1施設名検索部208は、現在の案内地点について、第1施設名を取得することなく、当該第1施設名検索処理を終了する。
【0035】
以上のようにして第1施設名検索処理が終了すると、
図3に示すように、続いて、第2施設名検索部210が第2施設名検索処理を実行する(ステップS400)。第2施設名検索処理は、経路上の曲がり角付近に存在する第2の施設の名称(第2施設名)を検索するための処理である。
【0036】
図6は、第2施設名検索処理のフローチャートである。
図7は、経路RT上の所定の地点P2に対して第2施設名検索処理が実行される様子を示す図である。第2施設名検索処理が実行されると、第2施設名検索部210は、経路中の曲がり角TNから20m手前の地点P2から、道路(経路)に垂直な所定長さの線分(垂線VL)を、曲がり角TNにおいて曲がる方向に下ろす(ステップS410)。
図7に示した例では、曲がり角TNで右折することから、垂線VLは右方向に引かれている。この垂線VLの長さは、本実施形態では、第1施設名検索処理と同様に、地点P2が存在する道路の幅+15mである。地点P2は、本実施形態では、移動手段にかかわらず、曲がり角TNから経路RTに沿って手前方向(出発地に向かう方向)に20m戻った位置である。
【0037】
続いて、第2施設名検索部210は、垂線VLの終点EPを含む位置範囲に該当するポリゴンPG2(
図7参照)を施設情報記憶部214から検索する(ステップS420)。そして、第2施設名検索部210は、垂線VLの終点EPを含み、かつ、案内対象のジャンルのポリゴンが検索されたかを判断する(ステップS430)。案内対象のジャンルは、第1施設名検索処理において説明したジャンルと同じである。
【0038】
垂線VLの終点EPが含まれるポリゴンが検索されなかった場合、または、垂線VLの終点EPが含まれるポリゴンは検索されたもののそのポリゴンのジャンルが案内対象ではなかった場合には(ステップS430:NO)、第2施設名検索部210は、ポリゴンの検索範囲を、曲がり角の出発地側の位置から目的地側の位置に変更する(ステップS432)。
【0039】
図8は、変更されたポリゴンの検索範囲を示す図である。この
図8に示すように、本実施形態では、上記ステップS432において、ポリゴンの検索範囲RGが、曲がり角TNの出発地側の位置から、目的地側の斜め前方の所定範囲に変更される。つまり、第2施設名検索部210は、曲がり角において曲がった先に存在し、かつ、曲がり角の手前から視認可能な施設が検索できるように、ポリゴンの検索範囲を変更する。
【0040】
ポリゴンの検索範囲を変更すると、第2施設名検索部210は、施設情報記憶部214を参照して、変更された検索範囲においてポリゴンの検索を行う。そして、第2施設名検索部210は、
図8に示した検索範囲RGに存在し、かつ、案内対象のジャンルに該当するポリゴンが検索されたかを判断する(ステップS434)。
図8に示した検索範囲RGからポリゴンが検索されなかった場合、または、検索範囲RGからポリゴンは検索されたもののそのポリゴンのジャンルが案内対象ではなかった場合には(ステップS434:NO)、第2施設名検索部210は、第2施設名を取得することなく、第2施設名検索処理を終了する。
【0041】
垂線VLの終点EPが含まれ、かつ、案内対象のジャンルのポリゴンが検索された場合(ステップS430:YES)、または、上記ステップS434において、
図8に示した検索範囲RGに存在し、かつ、案内対象のジャンルのポリゴンが検索された場合(ステップS434:YES)には、ステップS430またはステップS434で検索されたポリゴンのジャンルがビルであるか否かを判断する(ステップS440)。そのポリゴンのジャンルがビルでない場合には(ステップS440:NO)、第2施設名検索部210は、そのポリゴンに対応する施設名を第2施設名として施設情報記憶部214から取得する(ステップS450)。一方、そのポリゴンのジャンルがビルの場合には(ステップS440:YES)、第2施設名検索部210は、そのポリゴンに対応付けられた特記情報を参照し、そのビルの1Fまたは2Fに、案内対象のジャンルの店舗があるか否かを判断する(ステップS460)。その結果、案内対象のジャンルの店舗が1Fまたは2Fに存在する場合には(ステップS460:YES)、第2施設名検索部210は、その店舗の名称を第2施設名として施設情報記憶部214から取得する(ステップS470)。1Fおよび2Fの両方に案内対象のジャンルの店舗が存在する場合には、第2施設名検索部210は、1Fの店舗の名称を優先して取得する。1Fにも2Fにも案内対象のジャンルに合致する店舗が存在しない場合には(ステップS460:NO)、第2施設名検索部210は、第2施設名を取得することなく、当該第2施設名検索処理を終了する。
【0042】
以上のようにして第2施設名検索処理が終了すると、
図3に示すように、続いて、案内情報生成部212が、案内情報生成処理を実行する(ステップS500)。この案内情報生成処理は、第1施設名検索処理によって取得された第1施設名と、第2施設名検索処理によって取得された第2施設名との少なくとも一方を用いて、案内情報を生成する処理である。
【0043】
図9は、案内情報生成処理のフローチャートである。案内情報生成処理が実行されると、案内情報生成部212は、経路探索要求においてスマートフォン100から指定された移動手段を判別する(ステップS510)。そして、案内情報生成部212は、判別された移動手段に基づき、案内で用いる施設名(第1施設名、第2施設名)の優先順位を決定する。具体的には、移動手段が徒歩であれば、案内情報生成部212は、第1施設名の優先順位を第2施設名よりも高くする(ステップS520)。そのため、例えば、第1施設名と第2施設名の両方が取得された場合には、案内情報生成部212は、後述する処理において、第1施設名を用いて案内情報の生成を行う。一方、移動手段が車両であれば、案内情報生成部212は、第2施設名の優先順位を第1施設名よりも高くする(ステップS530)。そのため、例えば、第1施設名と第2施設名の両方が取得された場合には、案内情報生成部212は、後述する処理において、第2施設名を用いて案内情報の生成を行う。
【0044】
以上のように、案内する施設名の優先順位を決定すると、案内情報生成部212は、決定した優先順位に従って案内情報を生成する(ステップS540)。例えば、ユーザの移動手段が車両の場合において、第1施設名として「XYマート」という施設名が取得され、第2施設名として「AB丼屋」という施設名が取得された場合には、案内情報生成部212は、第2施設名を優先して、以下のような案内情報を生成する。
「この先300m前方、AB丼屋を右折です。」(移動手段:車両)
また、移動手段が車両の場合において、第2施設名が取得されず、第1施設名が取得された場合には、案内情報生成部212は、第1施設名を用いて以下のような案内情報を生成する。
「XYマートの先300m前方の交差点を右折です。」(移動手段:車両)
その他、移動手段が車両の場合において、第1施設名も第2施設名も取得されなかった場合には、案内情報生成部212は、どちらの施設名も使用することができないため、以下のような案内情報を生成する。
「この先300m前方の交差点を右折です。」(移動手段:車両)
【0045】
ユーザの移動手段が徒歩の場合において、第1施設名として「XYマート」という施設名が取得され、第2施設名として「AB丼屋」という施設名が取得された場合には、案内情報生成部212は、第1施設名を優先して、以下のような案内情報を生成する。
「XYマートの先30mの交差点を右折です。」(移動手段:徒歩)
また、移動手段が徒歩の場合において、第1施設名が取得されず、第2施設名が取得された場合には、案内情報生成部212は、第2施設名を用いて以下のような案内情報を生成する。
「この先30m前方、AB丼屋を右折です」(移動手段:徒歩)
その他、移動手段が徒歩の場合において、第1施設名も第2施設名も取得されなかった場合には、案内情報生成部212は、どちらの施設名も使用することができないため、以下のような案内情報を生成する。
「この先30m前方、交差点を右折です。」(移動手段:徒歩)
なお、本実施形態では、移動手段として、車両と徒歩の例を挙げたが、自転車や車椅子など、移動手段は車両や徒歩だけに限られない。
【0046】
以上のようにして現在の案内地点に対して案内情報が生成されると、制御部204は、ステップS200で探索された経路上の全ての曲がり角に対応する案内地点に対して案内情報を生成したかを判断する(ステップS600)。全ての案内地点に対して案内情報が生成されたと判断されれば(ステップS600:YES)、制御部204は、ステップS200で生成した経路情報とステップS500で生成した案内情報とをスマートフォン100に送信する(ステップS700)。これに対して、全ての案内地点に対して案内情報が生成されていないと判断されれば(ステップS600:NO)制御部204は、処理をステップS300に戻して、残りの案内地点に対して案内情報の生成を行う。
【0047】
C.経路案内処理:
図10は、スマートフォン100において実行される経路案内処理のフローチャートである。経路案内処理が実行されると、まず、スマートフォン100の経路探索部206は、無線通信部120を通じて経路案内サーバ200から経路情報と案内情報とを受信して記憶部138に保存する(ステップS900)。
【0048】
経路情報と案内情報とを受信すると、経路案内部114は、GPS受信機136を用いて現在位置を測位する(ステップS910)。現在位置を測位すると、経路案内部114は、経路案内サーバ200から地図データを取得しつつ、その地図データによって表される地図上に、経路情報によって表される経路と、測位された現在位置とを重畳して表示部126に表示する(ステップS920)。
【0049】
続いて、経路案内部114は、測位された現在位置が経路上の案内地点に合致するかを判断する(ステップS930)。現在位置が案内地点に合致すれば(ステップS930:YES)、経路案内部114は、その案内地点に対応する案内情報を記憶部138から読み込み、スピーカ130を通じて音声により案内情報を出力する(ステップS940)。経路案内部114は、案内情報に予め含まれた音声データに基づいて音声を出力しても良いし、案内情報に含まれる文字情報に基づいて音声を合成して出力しても良い。もちろん、音声だけではなく文字や画像によって案内情報を表示部126に出力しても良い。現在位置が案内地点に合致しなければ(ステップS930:NO)、経路案内部114は、ステップS940の処理をスキップする。
【0050】
経路案内部114は、測位された現在位置が目的地に到着したか否かを判断する(ステップS950)。目的地に到着した場合には(ステップS950:YES)、経路案内部114は、当該経路案内処理を終了する。目的地に到着していなければ(ステップS950:NO)、経路案内部114は、処理をステップS910に戻して、経路案内を続行する。
【0051】
D.効果:
以上で説明した本実施形態の経路案内システム10によれば、経路上の案内地点の道路沿いに存在する施設の名称(第1施設名)や、曲がり角付近に存在する施設の名称(第2施設名)を用いて曲がり角において曲がるべき方向を案内することができる。そのため、経路上の曲がり角をユーザにわかりやすく的確に案内することができる。
【0052】
また、本実施形態では、案内地点の道沿いに存在する施設や、曲がり角付近に存在する施設を、その道路から所定の長さの垂線を引き、その垂線の終点を含むポリゴンが存在するか否かに基づき検索する。そのため、道路から奥まった位置にある施設の名称が用いられて曲がり角が案内されてしまうことを抑制することができる。
【0053】
更に、本実施形態では、ユーザの移動手段に応じて、第1施設名を優先して案内情報を生成するか、第2施設名を優先して案内情報を生成するかを決定する。そのため、移動手段に応じて適切な案内を行うことができる。
【0054】
また、上記実施形態では、第1施設名と第2施設名の両方が検索された場合であっても、そのうち一方の施設名のみを用いて案内を行う。そのため、ユーザが、案内地点の道路沿いに存在する施設と、曲がり角付近に存在する施設とを取り違えて認識してしまうことを抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態では、案内地点の道路沿いに存在する施設や、曲がり角付近に存在する施設としてビルが検索された場合には、そのビルの1Fまたは2Fに入居する店舗の名称を用いて案内を行う。そのため、ビルの高層階に入居する店舗の名称が案内されることがない。よって、ユーザは、曲がり角の目印となる施設を容易に確認することができる。
【0056】
また、本実施形態では、曲がり角付近の施設が、曲がり角の手前側(出発地側)の位置に存在しない場合には、曲がった先側(目的地側)の位置に存在する施設が検索される。そのため、曲がり角付近の施設をより確実に案内することが可能になる。
【0057】
また、本実施形態では、曲がり角において曲がる方向側から第1の施設や第2の施設を検索する。そのため、目印となる施設が存在する方向と、曲がる方向と、が一致する。よって、ユーザの視線移動を最低限に抑えることが可能になる。
【0058】
E.変形例:
E1.変形例1:
上記実施形態では、第1施設名と第2施設名の両方が検索された場合でも、そのうち一方の施設名のみを用いて案内を行う。しかし、第1施設名と第2施設名の両方が取得された場合には、それらの施設名を両方用いて案内情報を生成してもよい。この場合、
図9に示したステップS510〜S530の処理が省略される。そして、ステップS540では、例えば、移動手段が車両の場合には以下のような案内情報が生成される。
「XYマートの先300mのAB丼屋を右折です。」
また、移動手段が徒歩の場合には、以下のような案内情報が生成される。
「XYマートの先30mのAB丼屋を右折です。」
【0059】
E2.変形例2:
上記実施形態の案内情報生成処理において、移動手段が車両の場合に、第2施設名よりも優先させる対象を、第1施設名ではなく交差点名としてもよい。このような優先順位であれば、例えば、移動手段が車両の場合において交差点名が経路情報から取得されれば、その交差点名が用いられて案内情報が生成される。交差点名が取得されなければ、第2施設名が用いられて案内情報が生成される。交差点名も第2施設名も取得されなければ、交差点名も第2施設名も第1施設名も用いられることなく案内情報が生成される。
【0060】
また、移動手段が徒歩の場合には、交差点名よりも第1施設名を優先して案内情報を生成してもよい。このような優先順位であれば、移動手段が徒歩の場合において第1施設名が取得されれば、その第1施設名が用いられて案内情報が生成される。第1施設名が取得されなければ、交差点名が用いられて案内情報が生成される。第1施設名も交差点名も取得されなければ、交差点名も第1施設名も第2施設名も用いられることなく案内情報が生成される。
【0061】
E3.変形例3:
図6に示した第2施設名検索処理のステップS432では、ポリゴンの検索範囲を、曲がり角から曲がる方向に斜め前方に向けた所定の範囲に変更している。このような位置に存在するポリゴンは、次のような方法によって検索することも可能である。
【0062】
図11は、曲がり角付近に存在する施設の他の検索方法を示す図である。この
図11に示すように、第2施設名検索部210は、曲がり角TNから経路RTに沿って所定の距離(例えば、20m)だけ曲がった先の地点P3から、曲がった方向と逆方向に所定長さ(例えば、道路幅+15m)の垂線を下ろして、その垂線の終点を含むポリゴンPG3を検索しても良い。このような検索方法によっても、曲がり角において曲がった先に存在し、かつ、曲がり角の手前から視認可能な施設を検索することが可能になる。
【0063】
E4.変形例4:
上記実施形態では、案内地点の道沿いに存在する施設、あるいは、曲がり角付近に存在する施設を、道路から垂線を引くことで検索した。しかし、これらの施設は、他の方法によって検索することが可能である。
【0064】
図12は、道路沿いに存在する施設の他の検索方法を示す図である。
図4に示した第1施設名検索処理において、第1施設名検索部208は、
図12に示すように、案内地点P1が存在する道路(経路)の曲がる方向側において、その道路に平行でかつ、案内地点P1に対向する辺S1を有するポリゴンPG1を検索しても良い。このようなポリゴンPG1を検索することでも、道路沿いに存在する施設を検索することができる。なお、「対向」とは、案内地点P1と辺S1との間に他のポリゴンが存在せず、案内地点P1と辺S1とが直接的に向き合っていることをいう。
【0065】
また、
図6に示した第2施設名検索処理のステップS410,S420において、曲がり角の手前の道路沿いに存在する施設を検索する場合においても、第2施設名検索部210は、曲がり角TNの手前の地点P2が存在する道路(経路)の曲がる方向側において、その道路に平行でかつ、地点P2に対向する辺S2を有するポリゴンPG2を検索しても良い。このようなポリゴンPG2を検索することでも、曲がり角TN付近に存在する施設を検索することができる。
【0066】
更に、
図6に示した第2施設名検索処理のステップS432において、曲がり角の先に見える施設を検索する場合においても、曲がり角TNから経路RTに沿って所定の距離(例えば、20m)だけ曲がった先の地点P3から、曲がった方向と逆方向の側に、その道路に平行でかつ、地点P3に対向する辺S3を有するポリゴンPG3を検索しても良い。このようなポリゴンPG3を検索することでも、曲がり角において曲がった先に存在し、かつ、曲がり角の手前から視認可能な施設を検索することが可能になる。
【0067】
なお、経路案内サーバ200は、道路に平行な辺を有し、道路に直接的に対向するポリゴンを施設情報記憶部214から予め検索し、該当するポリゴンに対して、「道路沿い」という属性を予め付与しても良い。このように、予め「道路沿い」という属性をポリゴンに付しておけば、案内地点などの各地点において道路沿いの施設を容易に検索することが可能になる。
【0068】
E5.変形例5:
上記実施形態では、経路案内サーバ200が経路探索を行い、スマートフォン100が経路案内を行っている。これに対して、スマートフォン100および経路案内サーバ200と同様の機能有する単体の装置が経路探索と経路案内の両方を行ってもよい。つまり、本発明の経路案内システムは、複数の装置によって構成される形態だけでなく、単一の装置によって構成される形態も含んでいる。例えば、一般的な携帯電話や、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯情報端末(PDA)、携帯音楽プレーヤ、携帯型ゲーム機、などの様々な装置が、単体で経路案内システムを構成してもよい。また、それらの装置が、経路案内サーバ200とともに経路案内システムを構成してもよい。
【0069】
E6.変形例6:
上記実施形態では、経路案内サーバ200が、施設情報記憶部214と、道路情報記憶部216とを有し、更に、経路探索部206を備えている構成とした。しかし、施設情報記憶部214と道路情報記憶部216と経路探索部206とは、別々のサーバに備えられていても良い。また、施設情報記憶部214に記憶されているポリゴンデータと、施設に関するデータ(施設名やジャンル、特記情報)とは、異なるサーバに記憶されていてもよい。この場合、ポリゴンデータの代表位置と、施設の代表位置とをそれぞれのサーバに記憶させることにより、ポリゴンデータと施設に関するデータとを異なるサーバ間で関連付けることができる。
【0070】
E7.変形例7:
上記実施形態では、曲がり角を右折するか左折するかを案内するための案内地点が、ユーザの移動手段が車両の場合には、経路に沿って曲がり角から300m手前の位置に設定され、徒歩の場合は、経路に沿って曲がり角から30m手前の位置に設定されることとした。これに対して、案内地点は、それぞれの移動手段について段階的に複数設定されてもよい。例えば、ユーザの移動手段が車両の場合には、曲がり角から2km、1km、500m、300m、200m手前の位置にそれぞれ設定されてもよい。また、ユーザの移動手段が徒歩の場合には、曲がり角から500m、300m、100m、30m手前の位置にそれぞれ設定されてもよい。このように、1つの曲がり角に対して案内地点が複数設定される場合には、経路案内サーバ200は、各案内地点について、それぞれ、第1施設名と第2施設名とを検索して案内情報の生成を行う。
【0071】
本発明は、上述の実施形態や変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。