特許第6055411号(P6055411)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6055411
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】機械加工システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B23H 5/06 20060101AFI20161219BHJP
【FI】
   B23H5/06
【請求項の数】20
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-529265(P2013-529265)
(86)(22)【出願日】2011年9月13日
(65)【公表番号】特表2013-537118(P2013-537118A)
(43)【公表日】2013年9月30日
(86)【国際出願番号】US2011051392
(87)【国際公開番号】WO2012037121
(87)【国際公開日】20120322
【審査請求日】2014年9月8日
(31)【優先権主張番号】201010282608.X
(32)【優先日】2010年9月14日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ツァン,イミン
(72)【発明者】
【氏名】ペン,ジーシュ
(72)【発明者】
【氏名】グォ,ヤンヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,レニュイ
(72)【発明者】
【氏名】アーシオニ,マッシモ
(72)【発明者】
【氏名】リ,ホンタオ
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン,ガース・エムイ
(72)【発明者】
【氏名】リュ,ヤンフェン
(72)【発明者】
【氏名】チアリ,フランチェスコアサヴェリオ
【審査官】 青木 正博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−142886(JP,A)
【文献】 特開平02−145232(JP,A)
【文献】 特許第2833314(JP,B2)
【文献】 特開平05−277938(JP,A)
【文献】 特開2006−112775(JP,A)
【文献】 特開2010−089190(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0126877(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0277384(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23H 1/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を機械加工する機械加工システムであって、
工作機械と、
被加工物を機械加工するように構成されている複数の切削工具であり、電極及び前記工作機械上に交換可能に配設されている従来の切削工具を含む、複数の切削工具と、
前記工作機械を制御して、前記被加工物に対して前記各切削工具を動かすように構成されているCNCコントローラと、
前記電極及び前記被加工物に逆の電気極性に通電するように構成されている電源と、
前記電極と前記被加工物との間の間隙の状態を監視し、前記CNCコントローラと通信して前記工作機械を制御するように構成されているプロセス制御器と、
前記被加工物と前記各切削工具との間に電解液を通すように構成されている電解液供給部と、
を含み、
前記工作機械、前記電極、前記CNCコントローラ、前記電源、前記プロセス制御器、及び電解液供給部は、協働して電食加工デバイスとして機能するように構成されており、
前記工作機械、前記CNCコントローラ、前記従来の切削工具、及び前記電解液供給部は、協働して従来の機械加工デバイスとして機能するように構成されており、
前記機械加工システムは、前記電食加工デバイスとして且つ前記従来の機械加工デバイスとして、前記被加工物の同一の目標ゾーンを交互に加工するように構成されている、
機械加工システム。
【請求項2】
前記従来の切削工具はフライス加工工具を含む、請求項1に記載の機械加工システム。
【請求項3】
前記電食加工デバイスは、前記被加工物の内部に複数の目標ゾーンを機械加工して、複数の空洞を画成するように構成されており、
前記従来の機械加工デバイスは前記複数の空洞を機械加工するように構成されている、
請求項1または2に記載の機械加工システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の機械加工システムを用いて、1つ以上の管路を含む機械加工された被加工物を作製する方法であって、
(a)被加工物に形成される前記1つ以上の管路の各々の位置及び寸法を確認し、形成される前記1つ以上の管路の各々は2つ以上の目標ゾーンを含み、
(b)第1の電食加工段階を実施して、形成される前記1つ以上の管路の各々の第1の目標ゾーンの範囲内に第1の空洞を画成し、
(c)第2の電食加工段階を実施して、形成される前記1つ以上の管路の各々の第2の目標ゾーンの範囲内に第2の空洞を画成し、
(d)形成される前記1つ以上の管路の各々の前記第1の目標ゾーンの範囲内の前記第1の空洞において第1の従来の機械加工段階を実施し、
(e)形成される前記1つ以上の管路の各々の前記第2の目標ゾーンの範囲内の前記第2の空洞において第2の従来の機械加工段階を実施する
ことを含む方法。
【請求項5】
前記第1の電食加工段階及び前記第2の電食加工段階、並びに前記第1の従来の機械加工段階及び前記第2の従来の機械加工段階は、それぞれ反対方向に沿って実施される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記段階(d)は前記段階(b)と前記段階(c)との間で実施される、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の目標ゾーンは前記第2の目標ゾーンと隣接していない、請求項4から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記2つ以上の空洞が前の従来の機械加工段階により機械加工された後に、形成される前記1つ以上の管路の各々の前記2つ以上の空洞において従来の機械加工段階を実施することをさらに含む、請求項4から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記機械加工された被加工物は1つ以上の管路を含み、各管路は7つの目標ゾーンに分割されている、請求項4から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記段階(b)〜(e)を繰り返して、前記各目標ゾーンの範囲内に第3の空洞、第4の空洞、第5の空洞、第6の空洞、及び第7の空洞をそれぞれ画成することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第3の空洞に対する前記電食加工段階及び前記第4の空洞に対する前記電食加工段階、前記第4の空洞に対する前記電食加工段階及び前記第5の空洞に対する前記電食加工段階、前記第5の空洞に対する前記電食加工段階及び前記第6の空洞に対する前記電食加工段階、並びに前記第6の空洞に対する前記電食加工段階及び前記第7の空洞に対する前記電食加工段階は、それぞれ反対方向に沿って実施するように構成されている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記従来の機械加工段階はフライス加工段階を含む、請求項4から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記従来の機械加工段階は、前記第1の空洞及び前記第2の空洞が前記電食加工段階により形成された後に、前記第1の空洞及び前記第2の空洞を精密に機械加工するように構成されている、請求項4から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記2つ以上の目標ゾーンの隣接する目標ゾーンが、異なる機械加工順序で機械加工される、請求項4から12のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上の管路の1つ以上は波状である、請求項4記載の方法。
【請求項16】
請求項1から3のいずれかに記載の機械加工システムを用いて、1つ以上の管路を含む機械加工された被加工物を作製する方法であって、
(a)被加工物に形成される前記1つ以上の管路の各々の位置及び寸法を確認し、形成される前記1つ以上の管路の各々は2つ以上の目標ゾーンを含み、
(b)第1の電食加工段階を実施して、形成される前記1つ以上の管路の各々の第1の目標ゾーンの範囲内に第1の空洞を画成し、
(c)第2の電食加工段階を実施して、形成される前記1つ以上の管路の各々の第2の目標ゾーンの範囲内に第2の空洞を画成すること
を含む方法であって、
前記第1の空洞及び前記第2の空洞は、反対方向に沿って前記2つ以上の各目標ゾーンの範囲内に画成される、
方法。
【請求項17】
(d)形成される前記1つ以上の管路の各々の前記第1の目標ゾーンの範囲内の前記第1の空洞において第1の従来の機械加工段階を実施し、
(e)形成される前記1つ以上の管路の各々の前記第2の目標ゾーンの範囲内の前記第2の空洞において第2の従来の機械加工段階を実施すること
をさらに含んでなる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の従来の機械加工段階と前記第2の従来の機械加工段階とは反対方向に沿って実施される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記2つ以上の空洞が前の従来の機械加工段階により機械加工された後に、形成される前記1つ以上の管路の各々の前記2つ以上の空洞において従来の機械加工段階を実施することをさらに含んでなる、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
形成される前記1つ以上の管路の各々は7つの目標ゾーンに分割され、前記方法は前記段階(b)〜(e)を繰り返して、前記各目標ゾーンの範囲内に第3の空洞、第4の空洞、第5の空洞、第6の空洞、及び第7空洞をそれぞれ画成することをさらに含んでなる、請求項17から19のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に、機械加工システム及び方法に関する。さらに詳細には、本発明は、電食加工などの電気機械加工を用いる機械加工システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放電加工(EDM)及び電解加工(ECM)などの電気機械加工が、ガスタービン部品などの物体を機械加工する従来の電気機械加工プロセスである。ECMでは、電解液が電極と被加工物との間を循環して、被加工物材料の電気化学的溶解並びに電極と被加工物との間の間隙を冷却すること及び洗い流すことを可能にする。EDMプロセスは、電極と被加工物との間の間隙内に非導電(誘電)液を循環させ、間隙内での放電を可能にし、被加工物材料を除去する。
【0003】
本明細書に用いられている用語「電食」は、電極(単数又は複数)と被加工物との間の間隙内に電解液を循環させる電気機械加工プロセスに適用されると理解されるべきであり、これらのプロセスは、高い材料除去率を可能にし、且つ被加工物への熱損傷を低減する。
【0004】
コンピュータ数値制御(CNC)機械(又は「マシニングセンタ」)などの機械加工システムが、被加工物の機械加工に広く使用されている。しかし、従来の完全なフライス加工プロセスなどの従来の機械加工プロセスの間、そのような機械加工システムが被加工物、例えば複雑な形状及び/又はより高い硬度を有する被加工物を機械加工する場合、それは困難であり且つ時間がかかり、切削工具コストがより高い。反対に、電食加工は非接触機械加工、より高い効率性、及びより低い切削工具コストという利点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4703142号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、電食加工などの電気機械加工を用いる、新規の改良された機械加工システム及び方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
被加工物を機械加工する機械加工システムが、本発明の一実施形態に基づいて提供される。該機械加工システムは、工作機械と、被加工物を機械加工するように構成されている複数の切削工具と、工作機械を制御して被加工物に対して各切削工具を動かすように構成されているCNCコントローラとを含む。複数の工具は、電極と、工作機械上に交換可能に配設されている従来の切削工具とを含む。機械加工システムは、電極及び被加工物に逆の電気極性に通電するように構成されている電源と、電極と被加工物との間の間隙の状態を監視し、CNCコントローラと通信して工作機械を制御するように構成されているプロセス制御器と、被加工物と各切削工具との間に電解液を通すように構成されている電解液供給部とをさらに含む。工作機械、電極、CNCコントローラ、電源、プロセス制御器、及び電解液供給部は、協働して電食加工デバイスとして機能するように構成されており、工作機械、CNCコントローラ、従来の切削工具、及び電解液供給部は、協働して従来の機械加工デバイスとして機能するように構成されており、機械加工システムは、電食加工デバイスとして且つ従来の機械加工デバイスとして交互に機能するように構成されている。
【0008】
1つ以上の管路を含む機械加工された被加工物を作製する方法が、本発明の別の実施形態に基づいて提供される。本方法は、(a)被加工物に形成される1つ以上の管路の各々の位置及び寸法を確認する段階であり、形成される1つ以上の管路の各々は2つ以上の目標ゾーンを含む、確認する段階と、(b)第1の電食加工段階を実施して、形成される1つ以上の管路の各々の第1の目標ゾーンの範囲内に第1の空洞を画成する段階と、(c)第2の電食加工段階を実施して、形成される1つ以上の管路の各々の第2の目標ゾーンの範囲内に第2の空洞を画成する段階と、(d)形成される1つ以上の管路の各々の第1の目標ゾーンの範囲内の第1の空洞において第1の従来の機械加工段階を実施する段階と、(e)形成される1つ以上の管路の各々の第2の目標ゾーンの範囲内の第2の空洞において第2の従来の機械加工段階を実施する段階とを含む。
【0009】
本発明のある実施形態が、1つ以上の管路を含む機械加工された被加工物を作製する方法をさらに提供する。本方法は、(a)被加工物に形成される1つ以上の管路の各々の位置及び寸法を確認する段階であり、形成される1つ以上の管路の各々は2つ以上の目標ゾーンを含む、確認する段階と、(b)第1の電食加工段階を実施して、形成される1つ以上の管路の各々の第1の目標ゾーンの範囲内に第1の空洞を画成する段階と、(c)第2の電食加工段階を実施して、形成される1つ以上の管路の各々の第2の目標ゾーンの範囲内に第2の空洞を画成する段階とを含む。第1の空洞及び第2の空洞は、反対方向に沿って、2つ以上の各目標ゾーンの範囲内に画成される。
【0010】
本開示の上記の且つ他の態様、特徴、及び利点は、添付図面と併用されている以下の詳細な説明に照らして、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態による電食加工を用いる機械加工システムの概略図である。
図2】被加工物の概略斜視図である。
図3図2に示されている被加工物の管路の立体モデルの概略斜視図である。
図4図2図3に示されている被加工物の管路の機械加工を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施形態が、添付図面を参照して、本明細書以下に記載される。以下の記載では、不必要な詳細で本開示が分かりにくくなることを回避するために、周知の機能又は構造が詳細には記載されていない。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態による、被加工物101を機械加工する機械加工システム10の概略図を示す。図1の装置は例示的に過ぎないことに留意すべきである。本発明の実施形態では、機械加工システム10は、コンピュータ数値制御(CNC)機械(又は「マシニングセンタ」)を含んでいてもよく、機械加工システム10の工具収納部又は工具マガジン内に入れられていてもよいか又は入れられていなくてもよい1つ以上の切削工具を用いて、プリセット制御プログラムに従って被加工物101を自動的に機械加工してもよい。
【0014】
いくつかの例では、機械加工システム10の1つ以上の切削工具は、1つ以上の各機械加工プロセスを実施してもよい。1つ以上の機械加工プロセスの非限定的例には、フライス加工プロセスなどの1つ以上の従来の機械加工プロセス及び電食加工プロセスなどの電気機械加工プロセスが含まれる可能性がある。本明細書に用いられている用語「従来の機械加工」は、用語「電食加工」とは異なり、フライス加工工具などの従来の切削工具を使用する従来の機械加工を示す可能性がある。
【0015】
1つの非限定的例では、機械加工システム10は、電食加工デバイス及び従来の機械加工デバイスの両方として機能して、電食加工プロセスとフライス加工プロセスの両方を実施する。図1に示されている通り、電食加工では、機械加工システム10は、工作機械(加工装置)11とCNCコントローラ12とプロセス制御器13と電源14と電解液供給部15と電極16とを含む、数値制御(NC:numerical control)デバイス又はコンピュータ数値制御(CNC)デバイス(図示せず)を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、NCデバイス又はCNCデバイスは、従来の自動機械加工を実施するのに使用されてもよい。ある用途では、工作機械11は、当業者に既知のサーボモータ(図示せず)とスピンドルモータ(図示せず)とを含んでいてもよい。電極16は、電食加工を実施する工作機械11のスピンドル(図示せず)上に取り付けられている。サーボモータは、電極16と被加工物101とを駆動して、所望の速度及び経路で互いに対して動かしてもよく、スピンドルモータは電極16を駆動して、所望の速度で回転させる。
【0017】
CNCコントローラ12は、コンピュータによる設計(CAD)及び/又はコンピュータによる製造(CAM:computer−aided manufacturing)における被加工物101の描写に基づく予めプログラムされた命令を含み、工作機械11に接続されており、工作機械11を制御して電極16を駆動し、一定の送り速度、軸位置、又はスピンドル速度等の一定の動作パラメータに基づいて動かす。いくつかの例では、CNCコントローラ12は、一般的なCNCコントローラであってもよく、中央処理装置(CPU)、リードオンリメモリ(ROM)、及び/又はランダムアクセスメモリ(RAM)を含む。1つの非限定的例では、CNCコントローラ12は、Virginia州Charlottesville所在のGE−FanucによりGE−FANUC18iCNCの商品名で販売されているコントローラを含む。
【0018】
図示の例では、電源14は直流(DC)パルス発生器を含む。電極16と被加工物101とは、電極16が陽極としての機能を果たし且つ被加工物101が陰極としての機能を果たし得るように、電源14の陰極と陽極とにそれぞれ接続されている。他の例では、電極16の極性と被加工物101の極性とは逆であってもよい。
【0019】
プロセス制御器13は電源14に接続されており、機械加工システム10の機械加工プロセスの状態を監視するために、機械加工中に電極16と被加工物101との間の間隙17内の電圧及び/又は電流の状態を監視する。さらに、プロセス制御器13は、電極16と被加工物101との間の間隙17内の電圧及び/又は電流の状態に基づいて電極16及び被加工物101の動きを制御するために、CNCコントローラ12と通信する。1つの非限定的例では、プロセス制御器13は、Texas州Austin所在のNational Instruments Inc.によりNI CompactRIO(cRIO)の商品名で販売されているコントローラを含む。
【0020】
いくつかの装置では、1つ以上のコントローラの各々が、1つ以上のコンピュータとデータベースとプロセッサとを含んでいてもよい。本発明は、本発明の処理タスクを実施する任意の特定のコンピュータ、データベース、又はプロセッサに限定されないことに留意すべきである。本明細書に用いられている用語「コンピュータ」は、本発明のタスクを実施するのに必要な計算即ち演算を実施することができる任意の機械を表すよう意図されている。用語「コンピュータ」は、構造化入力を受け入れることができ且つ出力を生成する所定の規則に従って入力を処理することができる任意の機械を表すよう意図されている。
【0021】
いくつかの例では、電解液供給部15は、電極16と被加工物101との間に電解液を通すために、CNCコントローラ12からの予めプログラムされた命令と通信してもよく、それを受信してもよい。或いは、電解液供給部15は別個に配設されていてもよい。従って、電食加工中、電源14は、電極16と被加工物101との間に電流を通して、被加工物101から材料を除去し、電解液が除去された材料を間隙17から外へ運び出しながら所望の構造を形成してもよい。非限定的例では、電極16は、円筒形状を有し且つ黒鉛材料、モリブデン材料、銅−黒鉛材料及び銅−タングステン材料のうちの1つ以上を含んでいてもよい。
【0022】
ある用途では、機械加工システム10がフライス加工機械などの従来の機械加工デバイスとして機能して従来の機械加工を実施する場合、電極16は、工作機械11のスピンドルから取り外されてもよく、従来の切削工具(図示せず)は、従来の機械加工用に工作機械11上に組み立てられてもよい。従来の切削工具の非限定的例には、穴あけ工具、ボールエンドミル若しくはフラットエンドミルを含むフライス加工工具、又は他の適切な切削工具が含まれる可能性がある。
【0023】
従来の機械加工中、CNCコントローラ12は、工作機械11を制御して切削工具を駆動し、電解液が除去された材料を間隙17から外へ運び出しながら被加工物101を機械加工してもよく、プロセス制御器13及び電源14は作動しなくてもよい。いくつかの用途では、電極16及び従来の切削工具の1つ以上が、工作機械11のスピンドル上に手作業で若しくは自動で組み立てられてもよく且つ/又はそこから取り外されてもよい。
【0024】
図2図3は、被加工物101及び被加工物101の管路20の立体モデルの概略斜視図を示す。図2図3に示されている通り、被加工物101は遠心圧縮機(図示せず)の羽根車を含む。羽根車101は、圧縮流体が通過する17の管路20を含む。管路20の各々はねじれた複雑な形状を有し、後縁21と前縁22とを含む。機械加工システム10は、羽根車101の内部にねじれた複雑な形状を有する管路20を機械加工するように構成されている。一例では、各管路20は波状管路である。
【0025】
図示の装置では、管路20の各々は、閉じた外縁を備えた貫通孔である。ある用途では、管路20の1つ以上の各々は、外縁の一部分以上が開いている貫通孔であってもよい。
【0026】
図4は、図2図3に示されている被加工物101の管路20の機械加工を示す概略平面図を示す。図4に示されている通り、機械加工の前に、管路20の位置及び寸法が確認されてもよく、管路20は、コンピュータによる設計(CAD)及び/又はコンピュータによる製造(CAM)における羽根車101の管路20の描写に基づいて、CNCコントローラ12において予めプログラムされた命令に従って、7つの目標ゾーン(部分)Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6及びZ7に分割される。いくつかの用途では、管路20の分割は、機械加工中の電極16及び/又はフライス加工工具などの、管路20と切削工具との干渉を回避するように、実験及び/又は経験に基づいて決定されてもよい。
【0027】
機械加工中、図1図4に示されている通り、機械加工システム10は、第1の電食加工を用いて、後縁21から羽根車101の機械加工を開始する。それと同時に、CNCコントローラ12は、工作機械11を制御して電極16と被加工物101とを駆動し、互いに対して動かす。電源14は、電極16と被加工物101との間に電流を通して、第1の目標ゾーンZ1から材料を除去し、電解液供給部15からの電解液が除去された材料を電極16と被加工物101との間の間隙17から外へ運び出しながら、第1の方向Uに沿って、第1の目標ゾーンZ1の範囲内に第1の空洞23を画成する。プロセス制御器13は、間隙17内の電圧及び/又は電流の状態を監視し、CNCコントローラ12と通信して、電極16と被加工物101との動きを制御する。
【0028】
第1の目標ゾーンZ1の第1の電食加工と同様に、第1の空洞23の形成後、機械加工システム10は、第2の電食加工を用いて、第2の方向Pに沿って第2の目標ゾーンZ2の範囲内に第2の空洞24を作り出すために、前縁22から第2の目標ゾーンZ2を機械加工する。ある用途では、第1の方向Uと第2の方向Pとは反対方向である。目標ゾーンZ1及びZ2の電食加工の順序は逆であってもよい。
【0029】
非限定的例では、第1の目標ゾーンZ1及び第2の目標ゾーンZ2の第1の電食加工及び第2の電食加工の後、形成された第1の空洞23及び第2の空洞24の寸法が、管路20の各部分の所定の寸法より小さくてもよい。1つの非限定的例では、電食加工後、管路20の所定の寸法と比較して遊びが約2mm残っている。
【0030】
従って、ある例では、電極16は、機械加工システム10から取り外されてもよく、フライス加工工具などの従来の切削工具は、工作機械11上に組み立てられて、第1の従来の機械加工及び第2の従来の機械加工を実施して、各遊びを除去するために、反対方向に沿って第1の空洞23及び第2の空洞24を機械加工してもよい。ある用途では、フライス加工工具が使用されて、第1の電食加工により空洞が画成された後に且つ第2の電食加工により次の空洞が形成される前に、空洞を機械加工してもよい。例えば、空洞23が形成された後に且つ第2の空洞24が形成される前に、フライス加工工具を使用して空洞23を機械加工してもよい。
【0031】
図4に示されている装置では、第1の目標ゾーンZ1及び第2の目標ゾーンZ2の機械加工後、フライス加工工具及び電極16は、それぞれ工作機械11から取り外されてもよく、その上に組み立てられてもよく、その結果、機械加工システム10は、第3の電食加工及び第4の電食加工をさらに用いて、第1の空洞23を通して第3の目標ゾーンZ3及び第2の空洞24を通して第4の目標ゾーンZ4を機械加工して、第3の目標ゾーンZ3の範囲内の第3の空洞25及び第4の目標ゾーンZ4の範囲内の第4の空洞26をそれぞれ画成する。いくつかの例では、第3の目標ゾーンZ3及び第4の目標ゾーンZ4の第3の電食加工及び第4の電食加工に続いて起こることは変更される可能性がある。いくつかの用途では、機械加工システム10は、フライス加工工具をさらに使用して、第3の従来の機械加工及び第4の従来の機械加工を実施し、第3の空洞25及び第4の空洞26をフライス加工し、各遊びの一部分以上を除去してもよい。
【0032】
次に、機械加工システム10は、第5の電食加工及び第6の電食加工を用いて、第5の目標ゾーンZ5の範囲内の第5の空洞27及び第6の目標ゾーンZ6の範囲内の第6の空洞28を画成し、フライス加工工具を使用して、第5の従来の機械加工及び第6の従来の機械加工を実施し、第5の空洞27及び第6の空洞28を機械加工し、第5の空洞27及び第6の空洞28の電食加工後に各遊びの一部分以上を除去してもよい。
【0033】
最後に、機械加工システム10は7番目に電食加工及びフライス加工工具を使用して、方向Uに沿って第7の目標ゾーンZ7の範囲内に第7の空洞29を画成する。従って、7つの空洞23〜29が画成されて互いに連通し、機械加工システム10において電食加工と従来の機械加とを交互に用いることにより管路20を形成する。いくつかの装置では、7つの空洞は、管路20の分割に基づいて別個に機械加工されてもよく、管路の隣接する目標ゾーンは、例えば隣接する目標ゾーンZ2及びZ4がそれぞれ第2の機械加工順及び第4の機械加工順で機械加工されるなど、異なる機械加工順序で機械加工されてもよい。
【0034】
いくつかの用途では、電食加工後に、フライス加工工具が、1つ以上の各空洞23〜29の遊びのうちの約1.5mmなど一部分を削除してもよく、これは、1つ以上の空洞23〜29の半仕上げと見なされてもよい。結果として、機械加工システム10は、フライス加工工具をさらに使用して、空洞23〜29の1つ以上を機械加工し、1つ以上の空洞23〜29の仕上げ機械加工のためにその各残りの遊びを除去し、所定の寸法を有する管路20を画成する。
【0035】
図2図4に示されている装置では、1つの管路20の機械加工は例として取り上げられている。羽根車101の内部の17の管路20の全てなど1つ以上を機械加工する場合、機械加工システム10は、第1の電食加工及び第2の電食加工を用いて、各後縁21から、17の第1の目標ゾーンZ1を機械加工し、17の第1の空洞23を画成し、同様に各前縁22から、17の第2の目標ゾーンZ2を機械加工し、17の第2の空洞24を画成する。
【0036】
次に、機械加工システム10は、フライス加工工具を使用して、17の第1の空洞23及び17の第2の空洞24を機械加工し、各遊びを除去する。その後、第1の空洞23及び第2の空洞24の全ての機械加工と同様に、機械加工システム10は、電食加工とフライス加工とを交互に実施して、第3の空洞、第4の空洞、第5の空洞、第6の空洞、及び第7空洞の全てを画成してもよい。
【0037】
非限定的例では、17の管路20の各々の7つの空洞23〜29が機械加工された後に、機械加工システム10は、17の管路20の各々の7つの空洞23〜29の仕上げ機械加工のためにフライス加工工具をさらに使用して、所望の寸法を有する17の管路20の各々を画成する。
【0038】
図2図4の装置は例示的に過ぎないことに留意すべきである。ある用途では、1つ以上の空洞23〜29の半仕上げのためのフライス加工及び/又は仕上げ機械加工は用いられなくてもよい。空洞23及び空洞24、空洞25及び空洞26、並びに/又は空洞27及び空洞28などの空洞の機械加工順序は逆であってもよい。空洞29は方向Pに沿って画成されてもよい。さらに、管路20は、2つ以上の目標ゾーンに分割されてもよく、その結果、機械加工システム10は、電気機械加工を用いて2つ以上の空洞を画成するために、反対方向から2つ以上の目標ゾーンを機械加工してもよい。従来の機械加工が2つの空洞の半仕上げ機械加工及び/又は仕上げ機械加工にさらに用いられて、所望の管路を画成してもよく、2つ以上の目標ゾーンは隣接していてもよいか又は隣接していなくてもよい。
【0039】
本発明の実施形態では、機械加工システム10は、最初に電食加工を使用して、異なる方向から2つ以上の各目標ゾーンの範囲内に2つ以上の空洞を画成してもよい。非限定的例では、次いで、従来の機械加工は、被加工物内に管路を画成するために、2つ以上の空洞の半仕上げ機械加工及び/又は仕上げ機械加工に用いられてもよい。従来の完全なフライス加工プロセスと比較して、電食加工はより高い効率性を有し、従来の完全なフライス加工プロセスにおける平坦にフライス加工すること及び貫通孔(単数又は複数)をドリルで開けることなどの粗削り段階が、機械加工システム10では用いられなくてもよく、その結果、機械加工サイクル時間が減少する可能性がある。さらに、本発明の装置は、従来のCNCフライス加工機械を改良して使用してもよい。
【0040】
本開示を典型的な実施形態において例示し、記載したが、本開示の精神から決して逸脱することなく種々の修正及び置換を施すことができるので、本開示は示されている詳細に限定されるものではない。従って、本明細書に開示されている開示の更なる修正形態及び等価物が、日常の実験だけを用いて当業者に思い付く可能性があり、そのような全ての修正形態及び等価物は、以下の特許請求の範囲により定められる本開示の精神及び範囲の範囲内にあると考えられる。
【符号の説明】
【0041】
10 機械加工システム
11 工作機械(加工装置)
12 CNCコントローラ
13 プロセス制御器
14 電源
15 電解液供給部
16 電極
17 (電極と被加工物との間の)間隙
20 管路
21 (管路の)後縁
22 (管路の)前縁
23 第1の空洞
24 第2の空洞
25 第3の空洞
26 第4の空洞
27 第5の空洞
28 第6の空洞
29 第7の空洞
101 被加工物、羽根車
U 第1の方向
P 第2の方向
Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7 目標ゾーン(部分)
図1
図2
図3
図4