特許第6055431号(P6055431)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6055431
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】コードレス電話装置及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 92/10 20090101AFI20161219BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20161219BHJP
   H04W 28/06 20090101ALI20161219BHJP
【FI】
   H04W92/10
   H04W72/04 136
   H04W28/06 110
【請求項の数】6
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-50379(P2014-50379)
(22)【出願日】2014年3月13日
(65)【公開番号】特開2015-177239(P2015-177239A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2014年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】399040405
【氏名又は名称】東日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】399041158
【氏名又は名称】西日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(72)【発明者】
【氏名】三浦 崇
(72)【発明者】
【氏名】滝尾 勉
(72)【発明者】
【氏名】岩田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】村上 典男
(72)【発明者】
【氏名】四軒家 省三
【審査官】 吉村 真治▲郎▼
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−037328(JP,A)
【文献】 特開2013−098882(JP,A)
【文献】 特開昭62−178032(JP,A)
【文献】 特開平8−316901(JP,A)
【文献】 特開平10−294710(JP,A)
【文献】 特表2001−510972(JP,A)
【文献】 特開2002−51144(JP,A)
【文献】 特開2011−49949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
親機と子機とを備え、当該親機と当該子機との間においては、制御データ伝送用の第1フィールドと前記第1フィールドよりもデータ長が長い音声データ伝送用の第2フィールドとを有する伝送単位でデータの伝送を行い、TDMA(Time Division Multiple Access;時分割多元接続)/TDD(Time Division Duplex;時分割複信)方式の無線通信方式を用いるコードレス電話装置であって、
前記親機は、
前記子機からの通話開始要求を通話の相手先に送信したことに応じて前記相手先から送られてくる応答を受信したことにより、前記相手先と前記子機との間に通話回線を接続した状態である通話状態であると判別し、前記子機からの通話終了要求を前記相手先に送信したことに応じて前記相手先から送られてくる応答を受信したことにより、前記通話回線を解放した状態である非通話状態であると判別する第1の通話状態判別手段と、
前記第1の通話状態判別手段の判別結果に基づいて、前記通話回線を接続した状態である前記通話状態には、前記第1フィールドを用いて制御データを伝送し、前記第2フィールドを用いて音声データを伝送するようにし、前記通話回線を解放した状態である前記非通話状態には、少なくとも前記第2フィールドを用いて制御データを伝送するように制御する第1の送信制御手段と
を備え、
前記子機は、
発信を指示する操作を受け付けた場合に、通話の相手先への通話開始要求を形成して前記親機に送信したことに応じて前記親機からの応答を受信したことにより、前記相手先と自機との間に通話回線を接続した状態である通話状態であると判別し、前記通話回線を解放するように指示する操作を受け付けた場合に、通話終了要求を形成して前記親機に送信したことに応じて、前記親機からの応答を受信したことにより、前記通話回線を解放した状態である非通話状態であると判別する第2の通話状態判別手段と、
前記第2の通話状態判別手段の判別結果に基づいて、前記通話回線を接続した状態である前記通話状態には、前記第1フィールドから制御データを抽出し、前記第2フィールドから音声データを抽出して処理するように制御し、前記通話回線を解放した状態である前記非通話状態には、少なくとも前記第2フィールドから制御データを抽出して処理するように制御する第1の受信制御手段と
を備えることを特徴とするコードレス電話装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコードレス電話装置であって、
前記子機は、
前記第2の通話状態判別手段の判別結果に基づいて、前記通話回線を接続した状態である前記通話状態には、前記第1フィールドを用いて制御データを伝送し、前記第2フィールドを用いて音声データを伝送するように制御し、前記通話回線を解放した状態である前記非通話状態には、少なくとも前記第2フィールドを用いて制御データを伝送するように制御する第2の送信制御手段を備え、
前記親機は、
前記第1の通話状態判別手段の判別結果に基づいて、前記通話回線を接続した状態である前記通話状態には、前記第1フィールドから制御データを抽出し、前記第2フィールドから音声データを抽出して処理するように制御し、前記通話回線を解放した状態である前記非通話状態には、少なくとも前記第2フィールドから制御データを抽出して処理するように制御する第2の受信制御手段と
を備えることを特徴とするコードレス電話装置。
【請求項3】
請求項2に記載のコードレス電話装置であって、
前記親機の前記第1の送信制御手段または前記子機の前記第2の送信制御手段は、前記第1の通話状態判別手段または前記第2の通話状態判別手段の判別結果に基づいて、前記通話回線を解放した状態である前記非通話状態には、前記第1フィールドを用いて、前記第1フィールドと前記第2フィールドとの使用態様を示す識別情報と、少なくとも制御データのデータ長を含む前記制御データのヘッダ情報とを伝送し、前記第2フィールドを用いて前記制御データを伝送するように制御し、
前記親機の前記第2の受信制御手段または前記子機の前記第1の受信制御手段は、前記第1の通話状態判別手段または前記第2の通話状態判別手段の判別結果に基づいて、前記通話回線を解放した状態である前記非通話状態には、受信したデータの前記第1フィールドの前記識別情報をも考慮して、前記第1、第2フィールドを用いて伝送されるデータを抽出して処理することを特徴とするコードレス電話装置。
【請求項4】
請求項2に記載のコードレス電話装置であって、
前記親機の前記第1の送信制御手段または前記子機の前記第2の送信制御手段は、前記第1の通話状態判別手段または前記第2の通話状態判別手段の判別結果に基づいて、前記通話回線を解放した状態である前記非通話状態には、前記第1フィールドを用いて、前記第1フィールドと前記第2フィールドとの使用態様を示す識別情報と、少なくとも制御データのデータ長を含む前記制御データのヘッダ情報と、前記制御データの一部とを伝送し、前記第2フィールドを用いて制御データの他の部分を伝送するように制御し、
前記親機の前記第2の受信制御手段または前記子機の前記第1の受信制御手段は、前記第1の通話状態判別手段または前記第2の通話状態判別手段の判別結果に基づいて、前記通話回線を解放した状態である前記非通話状態には、受信したデータの前記第1フィールドの前記識別情報をも考慮して、前記第1、第2フィールドを用いて伝送されるデータを抽出して処理することを特徴とするコードレス電話装置。
【請求項5】
親機と子機とを備え、当該親機と当該子機との間においては、制御データ伝送用の第1フィールドと前記第1フィールドよりもデータ長が長い音声データ伝送用の第2フィールドとを有する伝送単位でデータの伝送を行い、TDMA(Time Division Multiple Access;時分割多元接続)/TDD(Time Division Duplex;時分割複信)方式の無線通信方式を用いるコードレス電話装置で用いられる無線通信方法であって、
前記親機においては、
第1の通話状態判別手段が、前記子機からの通話開始要求を通話の相手先に送信したことに応じて前記相手先から送られてくる応答を受信したことにより、前記相手先と前記子機との間に通話回線を接続した状態である通話状態であると判別し、前記子機からの通話終了要求を前記相手先に送信したことに応じて前記相手先から送られてくる応答を受信したことにより、前記通話回線を解放した状態である非通話状態であると判別する第1の通話状態判別工程と、
前記第1の通話状態判別工程においての判別結果に基づいて、前記通話回線を接続した状態である前記通話状態には、第1の送信制御手段が、前記第1フィールドを用いて制御データを伝送し、前記第2フィールドを用いて音声データを伝送するように制御し、前記通話回線を解放した状態である前記非通話状態には、前記第1の送信制御手段が、少なくとも前記第2フィールドを用いて制御データを伝送するように制御する第1の送信制御工程と
を行い、
前記子機においては、
発信を指示する操作を受け付けた場合に、通話の相手先への通話開始要求を形成して前記親機に送信したことに応じて前記親機からの応答を受信したことにより、第2の通話状態判別手段が、前記相手先と自機との間に通話回線を接続した状態である通話状態であると判別し、前記通話回線を解放するように指示する操作を受け付けた場合に、通話終了要求を形成して前記親機に送信したことに応じて前記親機からの応答を受信したことにより、前記第2の通話状態判別手段が、前記通話回線を解放した状態である非通話状態であるとする第2の通話状態判別工程と、
前記第2の通話状態判別工程の判別結果に基づいて、前記通話回線を接続した状態である前記通話状態には、第1の受信制御手段が、前記第1フィールドから制御データを抽出し、前記第2フィールドから音声データを抽出して処理するように制御し、前記通話回線を解放した状態である前記非通話状態には、前記第1の受信制御手段が、少なくとも前記第2フィールドから制御データを抽出して処理するように制御する第1の受信制御工程と
を行う無線通信方法。
【請求項6】
請求項5に記載のコードレス電話装置で用いられる無線通信方法であって、
前記子機においては、
前記第2の通話状態判別工程においての判別結果に基づいて、前記通話回線を接続した状態である前記通話状態には、第2の送信制御手段が、前記第1フィールドを用いて制御データを伝送し、前記第2フィールドを用いて音声データを伝送するように制御し、前記通話回線を解放した状態である前記非通話状態には、前記第2の送信制御手段が、少なくとも前記第2フィールドを用いて制御データを伝送するように制御する第2の送信制御工程を行い、
前記親機においては、
前記第1の通話状態判別工程においての判別結果に基づいて、前記通話回線を接続した状態である前記通話状態には、第2の受信制御手段が、前記第1フィールドから制御データを抽出し、前記第2フィールドから音声データを抽出して処理するように制御し、前記通話回線を解放した状態である前記非通話状態には、前記第2の受信制御手段が、少なくとも前記第2フィールドから制御データを抽出して処理するように制御する第2の受信制御工程を行うことを特徴とする無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、デジタルコードレス電話に適用して好適なTDMA(Time Division Multiple Access;時分割多元接続)/TDD(Time Division Duplex;時分割複信)方式の無線通信方式を利用した無線通信システム、無線通信装置及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
日本においては、デジタルコードレス電話の標準規格T101が、一般社団法人電波産業会(ARIB)により、2011年に策定され、その中に、DECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunication)規格の技術内容が含まれている。
【0003】
デジタルコードレス電話のDECT規格においては、親機から子機への送信を行う場合の通信方式は時分割多重方式を使用する時分割複信方式であること、子機から親機への送信を行う場合の通信方式は時分割多元接続方式を使用する時分割複信方式であること、周波数は従来のコードレス電話(2.4GHz)とは異なる1.9GHz帯を使用すること、チャンネル数は、最大5チャンネルであること、などが定められている。
【0004】
そして、DECT規格においては、符号化データの、1チャンネルにおける1フレームは、図9(A)に示すように、24スロットからなるものとされ、前半の1/2フレームの12スロットS0〜S11は、親機から子機へのダウンリンクに用いられ、後半の1/2フレームの12スロットS12〜S23は、子機から親機へのアップリンクに用いられる。そして、各スロットは、制御データを伝送するAフィールドと音声データを伝送するBフィールドとなどが設けられた構成を有する(例えば、特許文献1(特開2001−510972号公報)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2001−510972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
DECT規格(方式)における符号化データの1フレームは、上述したように24スロットからなるが、各スロットは、図9(B)に示すように、Sフィールド、Aフィールド、Bフィールド、Xフィールド、保護スペースからなっている。Sフィールドは、同期化データ伝送用の32ビットのエリアであり、Aフィールドは、制御データ伝送用の64ビットのエリアである。Bフィールドは音声データ伝送用の320ビットのエリアであり、Xフィールドはパリティチェック用の4ビットのエリアである。Xフィールドの後には60ビットの保護スペースが設けられている。
【0007】
このように、各スロットは、Sフィールド、Aフィールド、Bフィールド、Xフィールド、保護スペースからなり、各フィールドの用途は定められている。例えば、デジタルコードレス電話の親機から子機へのLED(Light Emitting Device)などのランプ表示用制御データや着信通知などの制御データは、Aフィールドを用いて伝送される。もちろん、子機から親機への種々の制御データもAフィールドを用いて伝送される。
【0008】
このため、オフィスなどに構築されるいわゆるビジネスホンシステムにおいて、デジタルコードレス電話が用いられる場合、主装置から送られてくる例えばランプ表示等の制御データが多くなることが考えられる。このような場合、各スロットのAフィールドは64ビットしかないために、伝送速度が数kbps程度しか確保できず、制御データの伝送に時間が掛かる場合があると考えられる。この場合、制御データの送信元が親機であり、送信先が子機であれば、当該子機において必要な制御をタイムリーに行えなくなることが発生する可能性が考えられ、このような場合に対応しておく必要がある。
【0009】
以上のことに鑑み、この発明は、TDMA/TDD方式の無線通信規格を利用したコードレス電話装置において、制御データを遅延させることなく伝送し、伝送(送信)先の機器において当該制御データに応じた制御を適切なタイミングで実行できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明のコードレス電話装置は、
親機と子機とを備え、当該親機と当該子機との間においては、制御データ伝送用の第1フィールドと前記第1フィールドよりもデータ長が長い音声データ伝送用の第2フィールドとを有する伝送単位でデータの伝送を行い、TDMA(Time Division Multiple Access;時分割多元接続)/TDD(Time Division Duplex;時分割複信)方式の無線通信方式を用いるコードレス電話装置であって、
前記親機は、
前記子機からの通話開始要求を通話の相手先に送信したことに応じて前記相手先から送られてくる応答を受信したことにより、前記相手先と前記子機との間に通話回線を接続した状態である通話状態であると判別し、前記子機からの通話終了要求を前記相手先に送信したことに応じて前記相手先から送られてくる応答を受信したことにより、前記通話回線を解放した状態である非通話状態であると判別する第1の通話状態判別手段と、
前記第1の通話状態判別手段の判別結果に基づいて、前記通話回線を接続した状態である前記通話状態には、前記第1フィールドを用いて制御データを伝送し、前記第2フィールドを用いて音声データを伝送するようにし、前記通話回線を解放した状態である前記非通話状態には、少なくとも前記第2フィールドを用いて制御データを伝送するように制御する第1の送信制御手段と
を備え、
前記子機は、
発信を指示する操作を受け付けた場合に、通話の相手先への通話開始要求を形成して前記親機に送信したことに応じて前記親機からの応答を受信したことにより、前記相手先と自機との間に通話回線を接続した状態である通話状態であると判別し、前記通話回線を解放するように指示する操作を受け付けた場合に、通話終了要求を形成して前記親機に送信したことに応じて、前記親機からの応答を受信したことにより、前記通話回線を解放した状態である非通話状態であると判別する第2の通話状態判別手段と、
前記第2の通話状態判別手段の判別結果に基づいて、前記通話回線を接続した状態である前記通話状態には、前記第1フィールドから制御データを抽出し、前記第2フィールドから音声データを抽出して処理するように制御し、前記通話回線を解放した状態である前記非通話状態には、少なくとも前記第2フィールドから制御データを抽出して処理するように制御する第1の受信制御手段と
を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の発明の無線通信システムによれば、親機と子機との間においては、制御データ伝送用の第1フィールドと当該第1フィールドよりもデータ長が長い音声データ伝送用の第2フィールドとを有する伝送単位でデータの伝送を行う構成を有する。また、親機と子機との間においては、TDMA/TDD方式の無線通信方式(規格)を用いる構成を有する。そして、親機においては、第1の送信制御手段を備えている。そして、第1の通話状態判別手段を通じて自機の動作状態を判別し、その判別結果に基づいて、第1の送信制御手段が、制御データ等の伝送の仕方を制御する。
【0012】
具体的に、第1の通話状態判別手段が自機の動作状態が相手先と子機との間に通話回線を接続した状態である通話状態であると判別したときには、第1の送信制御手段は、制御データは第1フィールドを用いて伝送し、音声データは第2フィールドを用いて伝送するように制御する。これに対して、第1の通話状態判別手段が自機の動作状態が前記通話回線を解放した状態である非通話状態にあると判別したときには、第1の送信制御手段は、少なくとも第2フィールドを用いて制御データを伝送するように制御する。
【0013】
一方、子機においては、第2の通話状態判別手段を通じて自機の動作状態を判別し、その判別結果に基づいて、第1の受信制御手段が、受信した制御データ等の処理の仕方を制御する。
【0014】
具体的に、第2の通話状態判別手段が、自機の動作状態が相手先と自機との間に通話回線を接続した状態である通話状態であると判別した時には、第1の受信制御手段は、第1フィールドから制御データを抽出し、第2フィールドから音声データを抽出して処理するように制御する。これに対して、第2の通話状態判別手段が、自機の動作状態が通話回線を解放した状態である非通話状態であると判別した場合には、少なくとも第2フィールドから制御データを抽出して処理するように制御する。
【0015】
このように、伝送データの送信元である親機は、自機が通話状態にはないと判別したときには、通話音声は存在していないのであるから、第1フィールドよりもデータ長の長い音声データ伝送用の第2フィールドを用いて制御データの伝送を行う。一方、伝送データの受信先である子機は、自機が通話状態にはないと判別したときには、受信した伝送データの第2フィールドから制御データを抽出して、抽出した制御データに応じた制御を行う。これにより、通話状態にないときには、制御データの伝送遅延を生じさせることなく、制御データを効率的に伝送(送信)でき、制御データの送信先において、送信されてきた制御データに応じた制御を適切なタイミングで行える。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、TDMA/TDD方式の無線通信方式を利用したコードレス電話装置において、制御データを遅延させることなく伝送できる。そして、当該制御データの伝送先の機器においては、受信した当該制御データに応じた制御を適切なタイミングで実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施の形態の電話システム10の全体の構成例を示すブロック図である。
図2】親機BS1の構成例を示すブロック図である。
図3】子機HS1の構成例を示すブロック図である。
図4】親機から子機に伝送するスロットの利用例を説明するための図である。
図5】非通話時のスロットの他の利用例を説明するための図である。
図6】親機BSと子機HSの間のスロットの伝送シーケンスの具体例について説明するためのシーケンス図である。
図7】親機BSの処理を説明するためのフローチャートである。
図8】子機HSの処理を説明するためのフローチャートである。
図9】DECT規格のフレーム及びスロットの構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図を参照しながら、この発明のコードレス電話装置、無線通信方法の一実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態においては、この発明を種々の企業の事務所などに形成されるいわゆるビジネスホンと呼ばれる電話システムに適用した場合を例にして説明する。
【0019】
[無線通信システムの構成例]
図1は、この実施形態の電話システム10の全体の構成例を示すブロック図である。この例の電話システム10においては、上位装置の例としての主装置1に対して、内線電話装置として、複数のコードレス電話装置21、22、・・・、2n(nは2以上の整数。以下同じ)が接続されている。コードレス電話装置21〜2nのそれぞれは、コードレス通信装置の例であり、親機としてのベースセットBS1、BS2、・・・、BSnのそれぞれと、子機としてのハンドセットHS1、HS2、・・・、HSnのそれぞれとからなり、親機BS1〜BSnのそれぞれと、子機HS1〜HSnのそれぞれとは、無線接続される。
【0020】
なお、親機BS1〜BSnのそれぞれに対しては、複数の子機を無線接続することも可能であるが、この例では、1台の親機に対して、1台の子機が接続される構成とされている。また、図示は省略するが、主装置1に接続される内線電話装置としては、コードレス電話装置21、22、・・・、2nのみではなく、通常のビジネスホンと同様に、デジタルボタン電話端末も接続することも可能である。
【0021】
そして、この実施形態では、コードレス電話装置21〜2nの親機BS1〜BSnのそれぞれと、子機HS1〜HSnのそれぞれとの間の無線接続は、前述したデジタルコードレス電話のDECT規格(方式)を用いたTDMA/TDD方式により行うようにしている。
【0022】
主装置1は、1又は複数の電話回線L1〜Lm(mは1以上の整数)を収容可能である。そして、コードレス電話装置21〜2nのそれぞれの親機BS1〜BSnが、この主装置1に接続されている。図1の例では、親機BS1〜BSnと主装置1とは有線で接続されているが、無線であってもよい。
【0023】
主装置1は、複数のコードレス電話装置21〜2nについての呼制御及び回線交換制御、その他のビジネスホンとしての制御を行うと共に、基準同期信号SYNCを複数のコードレス電話装置21〜2nのそれぞれに供給する機能を備えている。基準同期信号SYNCは、この例では、130ミリ秒(ms)周期の信号とされている。
【0024】
コードレス電話装置21〜2nの親機BS1〜BSnのそれぞれは、主装置1からの基準同期信号SYNCに同期して、DECT規格のデジタルコードレス電話の単位通信期間である1フレーム(10ミリ秒(ms))の周期の同期信号としてのフレーム同期信号を生成し、その生成したフレーム同期信号に基づいて、DECT規格を用いたTDMA/TDD方式の無線通信を子機HS1〜HSnとの間で実行する。したがって、複数のコードレス電話装置21〜2nの全ては、主装置1からの基準同期信号SYNCに同期した動作をする。
【0025】
親機BS1〜BSnのそれぞれは、基準同期信号SYNCに基づいて、フレーム同期信号を生成し、その生成したフレーム同期信号に基づいて、子機HS1〜HSnとの間で、1フレーム期間の複数のスロットの例えば一つ置きのスロットの内の一つを用いて無線通信を行うように制御する。
【0026】
[コードレス電話装置の構成例]
複数個のコードレス電話装置21〜2nの親機BS1〜BSn及び子機HS1〜HSnのそれぞれは、全て同じ構成を備える。そこで、以下の説明では、コードレス電話装置21の親機BS1及び子機HS1の場合を例にとって、親機及び子機の構成例を説明する。
【0027】
<親機の構成例;図2
図2は、親機BS1の構成例を示すブロック図である。この図2に示すように、親機BS1は、親機BS1の全体を制御するための制御回路41と、回線LSI部42と、同期信号発生回路43と、無線通信回路44と、発振器45及び46とを備えて構成されている。
【0028】
制御回路41は、コンピュータを搭載して構成されている。そして、制御回路41は、この親機BS1における呼制御などの制御を行う機能を備える。回線LSI部42は、主装置1との間で音声信号、制御信号及び同期信号のやり取りをするための回路であり、分割化/多重化処理部421と、制御信号処理部422と、音声信号処理部423と、同期信号検出部424と、PLL(Phase locked Loop)部425とからなる。
【0029】
PLL部425には、発振器45からの基準周波数の発振信号が供給されると共に、主装置1からの多重化信号が供給される。この例では、発振器45の発振信号の周波数は、例えば2048MHz(0.488ナノ秒(ns))とされている。
【0030】
PLL部425は、主装置1からの多重化信号から、いわゆるセルフクロッキングにより、主装置1のタイミング信号生成部からのクロック信号CKの成分を抽出し、その抽出したクロック信号CK成分と発振器45からの発振信号とを位相比較して、その比較結果に基づいて、発振器45の発振信号から、クロック信号CK成分に同期する親機BS1のシステムクロック信号SCKを生成する。
【0031】
そして、PLL部425は、生成したシステムクロック信号SCKを分割化/多重化処理部421、制御信号処理部422、音声信号処理部423、同期信号検出部424のそれぞれに、信号処理用クロック信号として供給すると共に、同期信号発生回路43に供給する。
【0032】
分割化/多重化処理部421は、主装置1に接続されると共に、制御信号処理部422、音声信号処理部423、同期信号検出部424に接続される。そして、分割化/多重化処理部421は、主装置1からの多重化信号から制御信号と音声信号と基準同期信号SYNCを分割して、制御信号は制御信号処理部422に、音声信号は音声信号処理部423に、基準同期信号SYNCは同期信号検出部424に、それぞれ供給する。
【0033】
また、分割化/多重化処理部421は、制御信号処理部422からの制御信号と、音声信号処理部423からの音声信号とを多重化して多重化信号を生成し、その生成した多重化信号を主装置1に供給する。
【0034】
制御信号処理部422は、制御回路41の制御信号入出力端に接続されると共に、分割化/多重化処理部421に接続されており、発信時及び着信時、また、終話時などにおける呼制御信号などの制御信号(主装置1からコードレス電話装置21への制御信号と、コードレス電話装置21から主装置1への制御信号の両方)の処理回路である。
【0035】
音声信号処理部423は、無線通信回路44に接続されると共に、分割化/多重化処理部421に接続されており、無線通信回路44からの子機HS1から受信した受話音声信号及び分割化/多重化処理部421からの送話音声信号の処理回路である。
【0036】
同期信号検出部424は、分割化/多重化処理部421からの基準同期信号SYNCを受けて、当該基準同期信号SYNCが備える所定の同期信号パターンを検出することで、その検出時点の信号として、基準同期信号SYNCと同期する、基準同期信号SYNCと同一周期(130ms)の基準同期パルスPSを発生する。そして、同期信号検出部424は、発生した基準同期パルスPSを同期信号発生回路43に供給する。
【0037】
同期信号発生回路43は、カウンタ431と、同期信号生成部432とからなる。カウンタ431には、回線LSI部42の同期信号検出部424からの130msの周期の基準同期パルスPSがプリセット端子に供給されると共に、PLL部425からのシステムクロック信号SCKがカウント入力として供給される。そして、このカウンタ431の出力カウント値CNTが同期信号生成部432に供給される。
【0038】
同期信号生成部432は、カウンタ431の出力カウント値CNTから、DECT規格のフレーム周期(10ms)の同期信号FLを発生する。同期信号発生回路43は、同期信号生成部432で生成したフレーム同期信号FLを無線通信回路44に供給する。
【0039】
次に、無線通信回路44について説明する。この実施形態では、無線通信回路44は、DECT規格の無線通信を行うための汎用の親機用無線通信LSIを用いている。この無線通信回路44は、制御部441と、TDMA変復調部442と、無線通信部443とを備えて構成されている。無線通信部443は、子機HS1との間で、無線通信を行うための回路部である。
【0040】
制御部441は、TDMA変復調部442及び無線通信部443に接続されると共に、制御回路41に接続されている。制御部441は、この無線通信回路44の全体の動作を制御すると共に、制御回路41から得た制御信号に基づく制御信号をTDMA変復調部442に供給する。
【0041】
TDMA変復調部442は、制御部441及び回線LSI部42の音声信号処理部423に接続されると共に、無線通信部443に接続されており、制御部441からの制御信号と音声信号処理部423からの音声信号を子機HS1に送信するために変調を行う。このTDMA変復調部442で変調された信号は、無線通信部443を通じて子機HS1に送信される。
【0042】
また、TDMA変復調部442は、無線通信部443で受信された子機HS1からの受信信号から、音声信号及び制御信号を復調し、復調した音声信号は音声信号処理部423に供給し、復調した制御信号は、制御部441に供給する。
【0043】
そして、TDMA変復調部442は、クロック生成用のPLL部4421を備える。このPLL部4421には、発振器46からの発振信号が供給されると共に、同期信号発生回路43からのフレーム同期信号FLが供給される。
【0044】
PLL部4421は、同期信号発生回路43からのフレーム同期信号FLと発振器46からの発振信号とを位相比較して、その比較結果に基づいて、発振器46の発振信号から、フレーム同期信号FLに同期するタイミング信号及びクロック信号を生成する。
【0045】
TDMA変復調部442は、フレーム同期信号FLに同期するタイミング信号及びクロック信号を用いて、割り当て使用可能となるダウンリンクでのスロットの一つに相当する期間で子機HS1への送信信号を生成すると共に、アップリンクでのスロットの一つを用いて、子機HS1からの受信信号の処理を行うようにする。
【0046】
なお、親機BS1は、主装置1に接続されて、前述したように、子機HS1との通信のための同期処理を開始し、常に、子機HS1に対して送信信号を送る。そして、親機BS1の無線通信回路44の制御部441は、TDMA変復調部442で生成した送信信号を、自親機に設定された一つのスロットを用いて、無線通信部443を通じて子機HS1に送った時に、当該子機HS1から応答が返って来た時に、送信信号を送信するために用いたスロットをダウンリンク用と、子機HS1からの応答を受信したスロットをアップリンク用として同期を確立して、送受信を行うように制御するものである。
【0047】
<子機の構成例;図3
図3は、子機HS1の構成例を示すブロック図である。この図3に示すように、子機HS1は、無線通信回路51と、制御回路52と、コーデック回路53と、発振器54と、マイクロホン55と、スピーカ56とを備えて構成されている。マイクロホン55は送話器を構成し、スピーカ56は受話器を構成する。
【0048】
無線通信回路51は、DECT規格の無線通信を行うための汎用の子機用無線通信LSIを用いている。この無線通信回路51は、制御部511と、TDMA変復調部512と、無線通信部513とを備えて構成されている。無線通信部513は、親機BS1との間で、無線通信を行うための回路部である。
【0049】
制御部511は、TDMA変復調部512及び無線通信部513に接続されると共に、制御回路52に接続されている。制御部511は、この無線通信回路51の全体の動作を制御すると共に、制御回路52から得た制御信号に基づく制御信号をTDMA変復調部512に供給する。
【0050】
TDMA変復調部512は、制御部511及び無線通信部513に接続されると共に、コーデック回路53と接続されており、制御部511からの制御信号とコーデック回路53からの音声信号を親機BS1に送信するために変調を行う。このTDMA変復調部512で変調された信号は、無線通信部513を通じて親機BS1に送信される。
【0051】
また、TDMA変復調部512は、無線通信部513で受信された親機BS1からの受信信号から、音声信号及び制御信号を復調し、復調した音声信号はコーデック回路53に供給し、復調した制御信号は、制御部511に供給する。
【0052】
そして、TDMA変復調部512は、クロック生成用のPLL部5121を備える。このPLL部5121には、発振器54からの発振信号が供給されると共に、無線通信部513からの受信信号の復調信号が供給され、このPLL部5121からは、発振器54からの発振信号から、受信信号の復調信号のクロック成分に同期したクロック信号が生成される。このPLL部5121からのクロック信号は、TDMA変復調部512における処理用クロック信号とされる。
【0053】
コーデック回路53は、TDMA変復調部512で復調された音声信号を復号して、アナログ音声信号に変換し、そのアナログ音声信号をスピーカ56に供給して、受話音声として放音する。また、コーデック回路53は、マイクロホン55で収音したアナログ音声信号を符号化して、TDMA変復調部512に供給するようにする。
【0054】
なお、制御回路52は、この子機HS1からの発呼時には、発呼時の呼制御信号を無線通信回路51を通じて親機BS1に送信し、また、親機BS1からの着信時の呼制御信号を受けた時には、着信音をスピーカ56から放音するなどの処理を行う。
【0055】
以上の説明は、コードレス電話装置21の親機BS1及び子機HS1についての説明であるが、前述したように、その他のコードレス電話装置22〜2nの親機BS2〜BSn及び子機HS2〜HSnについても同様の構成を有するものである。
【0056】
[スロットの具体的な利用例]
次に、上述したコードレス電話装置(無線通信システム)を構成する親機BS1、BS2、…、BSnと子機HS1、HS2、…、HSnとの間で伝送されるDECT規格の符号化データを形成するスロットの具体的な利用例について説明する。なお、以下においては、親機BS1、BS2、…、BSnを総称して親機BSと記載し、子機HS1、HS2、…、HSnを総称して子機HSと記載する。
【0057】
図9(A)に示したように、DECT規格の符号化データにおいて、1フレームは24スロットから構成される。そして、図9(B)に示したように、1スロットは、基本的に、同期化データ伝送用のSフィールドと、制御データ伝送用のAフィールドと、音声データ伝送用のBフィールドと、パリティチェック用のXフィールドと、保護スペースからなる。
【0058】
この実施の形態の親機BSと子機HSとの一方あるいは両方においては、各スロットの利用の仕方を通話時と非通話時とで異ならせる。こうすることで、通話時には、従来通り通話に支障を来たすことがないようにしながら必要な制御データを伝送する。一方、非通話時には、例えば、制御データが頻繁に発生するなどして伝送すべき制御データが増大しても、すべての制御データを遅延させることがないようにしながら必要な制御データの全てを伝送する。以下、スロットの利用例について具体的に説明する。
【0059】
なお、上述したように、この発明は、親機BSと子機HSとの一方あるいは両方において、各スロットの利用の仕方を通話時と非通話時とで異ならせる点を特徴とする。しかし、ここでは説明を簡単にするため、親機BSにおいて、各スロットの利用の仕方を通話時と非通話時とで異ならせる場合について説明する。
【0060】
図4は、この実施の形態のコードレス電話装置の親機BSから子機HSに伝送するスロットの利用例を説明するための図であり、図4(A)は通話時の利用例を、図4(B)は非通話時の利用例を示している。図4(A)に示した通話時のスロットにおいても、また、図4(B)に示した非通話時の利用例のスロットにおいても、Sフィールド、Xフィールド、保護スペースの利用の仕方(利用態様)は、図9(B)に示した場合と同じである。すなわち、Sフィールドは同期化データを、Xフィールドはパリティチェック用データを伝送し、保護スペースは隣接するスロットからの保護のためのスペースとなる。
【0061】
そして、通話時においては、図4(A)に示すように、従来通り、制御データはAフィールドを用いて伝送し、音声データはBフィールドを用いて伝送する。Bフィールドのデータ長は320ビットと比較的に大きな領域であり、32kbpsの伝送速度を確保でき、良好に通話が行える。また、通話時においては、リアルタイムに行うべき制御は少ないので、64ビットのデータ長のAフィールドを用いて制御データを伝送することによって、適切に制御が可能である。
【0062】
これに対して、非通話時においては、ランプ制御の制御データなど、種々の制御用の制御データが頻繁に発生する場合があるため、図4(B)に示すように、Aフィールドは用いずに、Bフィールドを用いて制御データを伝送する。非通話時においては、通話音声データは存在しない。このため、320ビットのBフィールドが未使用の状態となるので、このBフィールドを用いて制御データを伝送する。ここで、制御データは、当該制御データに関する種々のヘッダ情報をも含む。これにより、非通話時においては、制御データを32kbpsの伝送速度で伝送できる。従って、制御データの伝送を遅滞なく行うことができ、制御データの送信先である子機HSにおいては、受信した制御データに応じた制御を遅滞なく行える。
【0063】
このように、スロットの送信元である親機BSは、自機が通話状態にあるときには、図4(A)に示したようにAフィールドで制御データを伝送し、Bフィールドで音声データを伝送する。また、スロットの送信元である親機BSは、自機が非通話状態にあるときには、図4(B)に示したようにAフィールドは用いずにBフィールドで制御データを伝送する。
【0064】
一方、当該スロットの受信先である子機HSは、自機が通話状態にあるときには、Aフィールドから制御データを抽出し、当該制御データに応じた制御を実行し、Bフィールドからは音声データを抽出して、これを処理する。また、当該スロットの受信先である子機HSは、自機が非通話状態にあるときには、Aフィールドは用いられていないので、Bフィールドから制御データを抽出して、当該制御データに応じた制御を実行する。
【0065】
このようにして、この実施の形態のコードレス電話装置においては、通話時においては従来通りの態様で各スロットを使用することにより、通話を適切に行えるようにしつつ、必要な制御データも適切に伝送できるようにしている。そして、非通話時においては、Bフィールドを制御データの伝送に用いることにより、制御データが増大しても、高速に制御データを子機に伝送できるようにしている。これにより、制御データの伝送遅延を防止して、制御データの伝送先である子機HSにおいて、受信した制御データに応じた制御を遅滞なく実行できるようにしている。
【0066】
[スロットの他の利用例]
図4(B)に示した非通話時のスロットの利用例では、Aフィールドは使用しないものとした。しかし、非通話時において、Bフィールドに加えて、Aフィールドをも利用する構成としてもよい。すなわち、Bフィールドで制御データを伝送しつつ、Aフィールドを利用して必要な情報を伝送してもよい。図5は、非通話時のスロットの他の利用例を説明するための図である。
【0067】
図5(A)に示す他の利用例1において、Aフィールドでは、当該スロットのAフィールドとBフィールドとの使用態様を示す所定の識別情報(識別ID)と、Bフィールドで送信する制御データについてのいわゆるヘッダ情報とを伝送する。この場合の識別IDは、Aフィールドで制御データに関するヘッダ情報を伝送し、Bフィールドで制御データを伝送することを示すものである。また、制御データについてのヘッダ情報は、例えば、制御データのデータ長を示す情報、何に関する制御データかを示す制御データ区分、送信元の識別情報、送信先の識別情報、送信日時などの制御データに関する種々のヘッダ情報が含まれる。そして、Bフィールドでは、ヘッダ情報を除く制御データのみを伝送する。
【0068】
このようにすることによって、図5(A)に示した当該スロットを受信した機器では、Aフィールドの識別IDによって、Aフィールドでは制御データに関するヘッダ情報が伝送され、Bフィールドでは制御データが伝送されていることを確実に判別できる。そして、当該スロットを受信した機器では、Aフィールドで伝送される制御データについてのヘッダ情報に基づいて、Bフィールドで伝送される制御データを適切に利用できる。
【0069】
また、図5(B)に示す他の利用例2において、Aフィールドでは、識別IDと、当該スロットで伝送する制御データに関するヘッダ情報と、制御データの一部とを伝送する。ここで、識別IDは、図5(A)に示した例の場合と同様に、当該スロットのAフィールドとBフィールドとの使用態様を示す所定の識別情報である。従って、この場合の識別IDは、Aフィールドでは制御データに関するヘッダ情報と制御データの一部とを伝送し、Bフィールドで制御データの残りの部分を伝送することを示すものである。
【0070】
また、図5(B)に示した例の場合における制御データについてのヘッダ情報は、Aフィールドで伝送する制御データのデータ長を示す情報と、Bフィールドで伝送する制御データのデータ長を示す情報などを含む。なお、この場合にも、例えば、何に関する制御データかを示す制御データ区分、送信元の識別情報、送信先の識別情報、送信日時などの制御データについての種々のヘッダ情報を、Aフィールドを用いて伝送することもできる。
【0071】
この図5(B)に示した他の利用例2の場合には、Aフィールドについても有効に活用できる。また、リアルタイムに伝送する必要のある主要な制御データについては、Bフィールドを用いて伝送し、例えば、すぐに使用する制御データではないが、予め子機に送信しておくべき制御データはAフィールドを用いて、時間を掛けて伝送するといった使い分けもできる。
【0072】
[親機と子機間の処理の概要]
図6は、親機BSと子機HSとの間のスロットの伝送シーケンスの具体例について説明するためのシーケンス図である。ここでは、子機HS側から通話開始を要求して、通話回線を接続し通話を行った後に、子機HS側から通話終了を要求して、通話回線を解放するシーケンスを含む場合を例にして説明する。
【0073】
親機BSにおいては、例えば、無線通信回路44の制御部441が自機の動作状態を管理している。親機BSは自機が非通話中のときには、制御部441の制御に従い、TDMA変復調部442において、例えば、図4(B)を用いて説明したように、Bフィールドのみを用いて制御データを送信するようにしたスロットを形成し、これを送信先である子機HSに送信する(ステップST1、ST3)。
【0074】
子機HSにおいては、例えば、無線通信回路51の制御部511が自機の動作状態を管理している。当該スロットの送信先である子機は、当該スロットを受信し、制御部511の制御に応じて、TDMA変復調部512が受信したスロットのBフィールドから制御データを抽出し、当該制御データに応じた制御を行うように動作する。また、当該子機においては、制御回路52が無線通信回路51の制御部511を制御し、スロットを受信したことを示す応答を返信するように制御する。制御部511は、TDMA変復調部512を制御し、スロットを受信したことを示す応答(スロット)を形成して、これを無線通信部513を通じて親機に返信する(ステップST2、ST4)。
【0075】
この場合、親機BSから子機HSへの制御データは、320ビットのBフィールドを用いて伝送されるので、制御データが頻繁に発生するなどしても、全ての制御データを遅滞なく、子機に送信できる。当該スロットを受信する子機においては、制御データの提供を遅滞なく受けることができるので、当該制御データに応じた制御、例えば、ランプの点灯/消灯制御等を含む種々の制御を、適切なタイミングで行える。すなわち、親機から提供された制御データに応じた制御を遅滞なく行える。
【0076】
そして、子機HSのユーザが、当該子機に対して目的とする相手先に電話をかけるようにする発信を指示する操作を行うことにより、通話開始要求を入力したとする(ステップST11)。当該通話開始要求を受け付けた子機において、制御回路52が発信を行うように無線通信回路51の制御部511を制御する。これにより、制御部511がTDMA変復調部512を制御し、目的とする相手先に対する通話開始要求を形成し、これを無線通信部513を通じて親機BSに送信する(ステップST12)。当該親機BSは、子機からの通話開始要求を受信すると、制御回路41が応答を返信するように、無線通信回路44の制御部441を制御する。制御部441は、TDMA変復調部442を制御し、通信開始要求を受信したことを示す応答(スロット)を形成して、これを無線通信部443を通じて子機に返信する(ステップST13)。
【0077】
この場合、親機BSの制御回路41は、相手先への通話開始要求を、主装置1を介して相手先に送信し、相手先からの応答を受信して、当該相手先と通話開始要求元の子機HSとの間に通話回線を接続し(ステップST20)、通話を行えるようにする。そして、親機は、自機が通話中になると、制御部441がTDMA変復調部442を制御して、図4(A)を用いて説明したように、制御データはAフィールドを用い、音声データはBフィールドを用いて送信するスロットを形成し、これを子機に送信する(ステップST21、ST23)。
【0078】
当該スロットの送信先である子機HSは、当該スロットを受信して、制御部511がTDMA変復調部512を制御して、Aフィールドから制御データを抽出し、当該制御データに応じた制御を行うようにすると共に、Bフィールドから音声データを抽出し、これをコーデック回路53に供給して出力処理を行う。また、当該子機HSは、制御部511がTDMA変復調部512を制御して、親機からのスロットと同様に、Aフィールドを用いて制御データを、Bフィールドを用いてコーデック回路53からの音声データを送信するスロットを形成し、これを無線通信部513を通じて親機BSに送信する(ステップST22、ST24)。
【0079】
この場合、親機と子機との双方において、制御データは64ビットのAフィールドを用いて伝送されるが、通話中であるために、リアルタイムに反映させるべき制御データは比較的に少なく、発生した制御データを適切に相手先に伝送できる。また、通話音声自体は、320ビットのBフィールドを用いて伝送されるので、通話音声(音声データ)を適切に伝送して、通話が途切れるなどの不都合を発生させることなく、相互に適切に通話ができる。
【0080】
この後、子機のユーザが、当該子機に対して、通話が終了し、接続している通信回線を解放するように指示する操作を行うことにより、通話終了要求を入力したとする(ステップST31)。当該通話終了要求を受け付けた子機においては、制御回路52が無線通信回路51の制御部511を制御して、通話終了要求を形成して送信するようにする。制御部511は、TDMA変復調部512を制御し、目的とする相手先に対する通話終了要求を形成し、これを無線通信部513を通じて親機BSに送信する(ステップST32)。
【0081】
当該親機BSは、子機からの通話終了要求を受信すると、制御回路41が応答を返信するように、無線通信回路44の制御部441を制御する。制御部441は、TDMA変復調部442を制御し、通信終了要求を受信したことを示す応答(スロット)を形成して、これを無線通信部443を通じて子機に返信する(ステップST33)。
【0082】
親機BSの制御回路41は、受信した通話終了要求を、主装置1を介して相手先に送信し、相手先からの応答を受信して、当該相手先と通話終了要求元の子機HSとの間に接続している通話回線を解放し(ステップST40)、通話を終了させる。そして、親機BSは、自機が非通話中になると、上述もしたように、制御部441の制御に従い、TDMA変復調部442において、例えば、図4(B)に示したAフィールドは用いずに、Bフィールドを用いて制御データを送信するスロットを形成し、これを送信先である子機HSに送信する(ステップST41、ST43等)。当該スロットの送信先である子機HSは、上述もしたように、当該スロットを受信して、Bフィールドから制御データを抽出し、当該制御データに応じた制御を行うように動作する。また、当該子機HSは、当該スロットを受信したことを示す応答を形成して、これを親機BSに返信する(ステップST42、ST44)。
【0083】
このように、非通話中になった場合には、親機BSは、320ビットのBフィールドを用いて制御データを伝送する。このため、上述もしたように、制御データが増大しても、制御データに伝送が遅延することもなく、制御データの伝送先である子機HSにおいて、提供された制御データに応じた制御を適切なタイミングで実行できる。
【0084】
なお、ここでは、非通話時においては、図4(B)に示したように、Aフィールドは用いずに、Bフィールドを用いて制御データを伝送するものとして説明したが、これに限るものではない。非通話時においては、図5(A)、(B)を示した態様のスロットを形成し、制御データを伝送するようにしてももちろんよい。
【0085】
[親機BSの処理]
次に、この実施の形態の親機BSの処理についてまとめる。図7は、この実施の形態の親機BSの処理を説明するためのフローチャートである。図7に示すフローチャートは、親機BSの無線通信回路44の主に制御部441において実行される処理である。
【0086】
この実施の形態の親機BSにおいては、電源が投入されると、無線通信回路44の制御部441において、図7に示す処理を実行する。制御部441は、上述もしたように、自機の動作状態を把握しているので、まず、現在の自機の動作状態を判別し(ステップS101)、判別した自機の現在の動作状態を例えば制御部441が有する所定のメモリに記憶して保持する(ステップS102)。そして、制御部441は、今回判別した現在の自機の動作状態は、通話中か否かを判別する(ステップS103)。
【0087】
ステップS103の判別処理において、制御部441は自機の動作状態が通話中であると判別したとする。この場合、制御部441は、TDMA変復調部442を制御して、自機の動作モードを各スロットのAフィールドを用いて制御データを伝送し、Bフィールドを用いて音声データを伝送するモードとなる(ステップS104)。これにより、親機BSにおいては、図4(A)を用いて説明した態様のスロットが形成され、子機に送信する処理が行われる。
【0088】
また、ステップS103の判別処理において、制御部441は自機の動作状態は通話中ではない(非通話中である)と判別したとする。この場合、制御部441は、TDMA変復調部442を制御して、自機の動作モードを各スロットのBフィールドを用いて制御データを伝送するモードとなる(ステップS105)。これにより、親機BSにおいては、図4(B)、あるいは、図5(A)、(B)を用いて説明した態様のスロットが形成され、子機HSに送信する処理が行われる。
【0089】
ステップS104の処理の後、あるいは、ステップS105の処理の後において、制御部441は、再度自機の動作状態を判別する(ステップS106)。そして、制御部441は、今回判別した動作状態と、ステップS102において所定のメモリに記憶した先に判別した動作状態とを比較して、自機の動作状態は変化したか否かを判別する(ステップS107)。ステップS107の判別処理において、動作状態は変化していないと判別した場合には、動作モードを変更する必要はないので、ステップS106からの処理を繰り返す。
【0090】
また、ステップS107の判別処理において、動作状態は変化したと判別した場合には、制御部441は、ステップS102からの処理を繰り返す。ステップS106で判別した新たな動作状態に応じて、自機の動作モードを変更するためである。そして、ステップS102からステップS105の処理により、上述もしたように、通話中か否かに応じて、適切な動作モードに遷移するようにされる。これにより、制御データが増大しても、親機BSは、制御データを適切に子機HSに伝送することができ、子機HSにおいては、親機BSから提供された制御データに応じた制御を適切なタイミングで実行できる。
【0091】
[子機HSの処理]
上述のように、親機BSにおいては、自機が通話中か、非通話中かに応じて、図4(A)に示した態様でスロットを形成して送信するか、図4(B)、図5(A)、図5(B)に示した態様でスロットを形成して送信するかを切り替える。なお、非通話時において、図4(B)に示した態様でスロットを形成して送信するか、図5(A)あるいは図5(B)に示した態様でスロットを形成して送信するかは事前に決められる。
【0092】
そして、親機BSと子機HSとはペアを構成し、子機HSは親機BSを通じて通話を行うので、子機HSが通話中のときは、対応する親機BSも通話中であり、子機HSが非通話中のときには、対応する親機BSも非通話中である。このように、親機BSと子機HSの動作状態は一致する。そして、子機HSにおいても、無線通信回路51の制御部511が自機の動作状態を把握している。
【0093】
このため、親機BSからのスロットを受信する子機HSにおいては、予め決められる親機BSにおいて形成されるスロットの態様と、自機の動作状態に応じて、親機BSから提供されるスロットの処理の仕方が決められる。図8は、この実施の形態の子機HSの処理を説明するためのフローチャートである。図8に示すフローチャートは、子機HSの無線通信回路51の主に制御部511において実行される処理である。
【0094】
子機HSにおいても、電源が投入されると、無線通信回路51の制御部511において、図8に示す処理を実行する。制御部511は、上述もしたように、自機の動作状態を把握しているので、まず、現在の自機の動作状態を判別し(ステップS201)、判別した自機の現在の動作状態を例えば制御部511内の所定のメモリに記憶して保持する(ステップS202)。そして、制御部は、今回判別した現在の自機の動作状態は、通話中か否かを判別する(ステップS203)。
【0095】
ステップS203の判別処理において、制御部511は自機の動作状態が通話中であると判別したとする。この場合、対応する親機も通話中であるので、従来通り、各スロットのAフィールドで制御データが、Bフィールドで音声データが伝送されて来る。このため制御部511は、TDMA変復調部512を制御して、自機の動作モードを各スロットのAフィールドから制御データを抽出して自機の制御に用いると共に、Bフィールドから音声データを抽出して、これをコーデック回路53を通じて処理して出力するモードとなる(ステップS204)。これにより、親機BSから送信されてくる図4(A)を用いて説明した態様のスロットについて、適切に処理がなされ、制御データに応じた制御と通話音声の再生が行われる。
【0096】
また、ステップS203の判別処理において、制御部511は自機の動作状態は通話中ではない(非通話中である)と判別したとする。この場合、制御部511は、TDMA変復調部512を制御して、自機の動作モードを各スロットのBフィールドを用いて伝送されてくる制御データを抽出し、これに応じた制御を行うモードとなる(ステップS205)。この場合、親機BSからは、図4(B)、図5(A)、図5(B)のいずれの態様のスロットを形成して送信してくるのかは、予め決まっているので、これに対応して、制御データが適切に抽出され、制御に用いることができるようにされる。
【0097】
ステップS204の処理の後、あるいは、ステップS205の処理の後において、制御部511は、再度自機の動作状態を判別する(ステップS206)。そして、制御部511は、今回判別した動作状態と、ステップS202において所定のメモリに記憶した先に判別した動作状態とを比較して、自機の動作状態は変化したか否かを判別する(ステップS207)。ステップS207の判別処理において、動作状態は変化していないと判別した場合には、動作モードを変更する必要はないので、ステップS206からの処理を繰り返す。
【0098】
また、ステップS207の判別処理において、動作状態は変化したと判別した場合には、制御部511は、ステップS202からの処理を繰り返す。ステップS206で判別した新たな動作状態に応じて、自機の動作モードを変更するためである。そして、ステップS202からステップS205の処理により、上述もしたように、通話中か否かに応じて、適切な動作モードに遷移するようにされる。これにより、親機BSからのスロットを適切に処理して、親機BSからの制御データに応じた制御を適切に実行できると共に、通話も従来通り適切に行える。
【0099】
ここで、親機BSにおいて、通話中のときには図4(A)に示した態様でスロットを形成して送信し、非通話中のときには、図5(A)、あるいは、図5(B)に示した態様でスロットを形成して送信している場合の子機HSの処理についてまとめる。この場合に、子機HSにおいて、無線通信回路51の制御部511が自機の動作状態を判別し、自機の動作状態が非通話中であると判別したとする。
【0100】
制御部511は、TDMA変復調部512を制御し、親機からのスロットについては、Aフィールドの上述した識別IDに基づいて、AフィールドとBフィールドとがどのように用いられているのかを判別し、これに応じて処理を行うことになる。すなわち、Aフィールドに格納された識別IDが、当該スロットが図5(A)に示したように、Aフィールドで制御データのヘッダ情報を、Bフィールドで制御データを伝送することを示すものであったとする。この場合、無線通信回路51の制御部511は、Aフィールドから制御データについてのヘッダ情報を抽出し、当該ヘッダ情報に従って、Bフィールドに格納されている制御データを抽出して用いる。
【0101】
また、Aフィールドに格納された識別IDが、当該スロットが図5(B)に示したように、Aフィールドで制御データのヘッダ情報と制御データの一部を、Bフィールドで制御データの残りの部分を伝送することを示すものであったとする。この場合、無線通信回路51の制御部511は、Aフィールドから制御データについてのヘッダ情報を抽出し、当該ヘッダ情報に従って、Aフィールドに格納されている制御データと、Bフィールドに格納されている制御データを抽出して用いるようにする。
【0102】
このように、この例の場合、子機HSにおいては、自機の動作状態と、受信したスロットのAフィールドの識別IDとに応じて、各スロットのAフィールドとBフィールドとを使い分けて、適切に処理できる。
【0103】
[実施の形態の効果]
上述した実施の形態のコードレス電話装置の場合には、親機は、非通話時においては、音声データのための伝送フィールドであるために使用されない320ビットのBフィールドを用いて制御データを伝送する。これにより、非通話時における制御データの伝送速度を少なくとも32kbpまで確保できる。そして、制御データが増大するなどしても制御データの伝送遅延を生じさせないようにでき、制御データの提供を受ける子機においては、親機からの制御データに応じた制御を遅延させることなくタイムリーに実行できる。これらのことから、より信頼性の高いコードレス電話装置を構築できる。
【0104】
[変形例など]
上述した実施の形態の親機BSにおいては、無線通信回路44の制御部441が、自機の動作状態を把握し、必要の都度、自機の動作状態を判別するようにした。しかし、これに限るものではない。図2を用いて説明したように、親機BSは、主装置1や子機HSからの制御データに応じて、各部を制御する制御回路(CPU)41を備えている。当該制御回路41もまた、自機の動作状態を把握し、適宜のタイミングで自機の動作状態を判別できる。このため、自機の動作状態を判別するための手段として、回線LSI部42と無線通信回路44との間に設けられた制御回路41を用いるようにすることもできる。
【0105】
同様に、図3を用いて説明したように、子機HSは、親機BSからの制御データやユーザからの指示入力に応じて、各部を制御する制御回路(CPU)52を備えている。当該制御回路52もまた、自機の動作状態を把握し、適宜のタイミングで自機の動作状態を判別できる。このため、自機の動作状態を判別するための手段として、コーデック回路53と無線通信回路51との間に設けられた制御回路52を用いるようにすることもできる。
【0106】
また、上述した実施の形態においては、非通話時におけるスロットの利用態様の具体例として、図4(B)、図5(A)、図5(B)を用いて説明したが、これに限るものではない。非通話時において、音声データの伝送フィールドであるBフィールドを利用する種々の態様を用いることができる。例えば、図5(B)を用いて説明したように、非通話時において、AフィールドとBフィールドとで、制御内容の異なる2種類の制御データを伝送することができる。
【0107】
また、上述した実施の形態の各スロットのBフィールドは、320ビットと比較的に大きなエリアであるので、Bフィールドを複数の領域に分割し、分割した各領域の使い方を詳細に定めることもできる。
【0108】
また、上述した実施の形態では、TDMA/TDD方式の無線通信方式を利用したDECT規格のコードレス電話装置に、この発明を適用した場合を例にして説明したが、これに限るものではない。制御データを伝送するエリアと音声データを伝送するエリアを有する所定ビット長の伝送単位でデータを伝送する種々の伝送方式を用いる無線通信システムに、この発明を適用できる。
【0109】
また、上述した実施の形態では、親機BSから子機HSに伝送するスロットについて、通話中と非通話中とでスロットを構成するフィールドの使い方を変えるようにした。これは、通常、親機BSから子機HSへ提供すべき制御データが多いためである。しかし、これに限るものではない。子機HSから親機BSに伝送するスロットについても、上述した親機BSの場合と同様に、通話中と非通話中とでスロットを構成するフィールドの使い方を変えるようにしてもよい。この場合には、親機BSにおいて、上述した子機HSで行ったように、子機HSからのスロットを処理するようにすればよい。
【0110】
もちろん、親機BSと子機HSの双方において、通話時には、図4(A)に示した態様で、非通話時には、図4(B)、図5(A)、図5(B)のいずれかに示した態様で、スロットを形成して伝送するようにしてももちろんよい。
【0111】
[その他]
親機における第1の通話状態判別手段、第1の送信制御手段の各機能は、親機BS無線通信回路44の制御部441が実現し子機における第2の通話状態判別手段、第1の受信制御手段の各機能は、子機HS無線通信回路51の制御部511が実現している。
【0112】
また、親機の第2の受信制御手段の機能は、親機BS無線通信回路44の制御部441が実現し子機の第2の送信制御手段の機能は、子機HS無線通信回路51の制御部511が実現している。
【0113】
また、図6のシーケンス図、図7図8のフローチャートを用いて説明した方法が、この発明の無線通信方法の一実施の形態が適用されたものである。
【符号の説明】
【0114】
1…主装置、21〜2n…コードレス電話装置、BS、BS1〜BSn…親機、HS、HS1〜HSn…子機、41…制御回路、44…無線通信回路、441…制御部、442…TDMA変復調部、443…無線通信部、52…制御回路、51…無線通信回路、511…制御部、512…TDMA変復調部、513…無線通信部
図1
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