(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(b)成分が、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、チタン、ジルコニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウムから選ばれる1種以上の金属と、珪酸、硼酸、燐酸、塩酸、硫化水素酸、硫酸、硝酸、炭酸、シュウ酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸、コハク酸、サリチル酸、クエン酸から選ばれる1種以上の酸との金属塩・n水和物(nは2以上20以下)であることを特徴とする請求項1に記載の蓄熱成形体用樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0014】
本発明の樹脂組成物は、有機潜熱蓄熱材(以下、「(a)成分」ともいう。)、金属塩水和物(以下、「(b)成分」ともいう。)、ポリオール化合物(以下、「(c−1)成分」ともいう。)、イソシアネート化合物(以下、「(c−2)成分」ともいう。)を含み、(a)成分100重量部に対して、(b)成分を10重量部以上120重量部以下含むことを特徴とするものである。
本発明の樹脂組成物は、(a)成分と共に、(b)成分を含有することによって、蓄熱性を維持しつつ、優れた耐熱性を示すことができる。また、優れた熱伝導性も付与することができ、短い時間で効率よく蓄熱することができる。さらに、本発明の樹脂組成物により形成される成形体の強度(特に高温時)、柔軟性等を高めることもできる。
なお、(b)成分の代わりに、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属リン化物等の金属化合物では、耐熱性の向上は不十分である。
【0015】
<(a)成分>
本発明の樹脂組成物は、(a)有機潜熱蓄熱材を含むことを特徴とする。(a)成分を含有することにより、優れた蓄熱性を有する成形体を得ることができ、有用である。
(a)成分としては、例えば、脂肪族炭化水素、長鎖アルコール、長鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸エステル、ポリエーテル合物、脂肪酸トリグリセリド等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0016】
脂肪族炭化水素としては、例えば、炭素数8以上36以下の脂肪族炭化水素を用いることができ、具体的には、n−デカン(融点−30℃)、n−ウンデカン(融点−25℃)、n−ドデカン(融点−8℃)、n−トリデカン(融点−5℃)、ペンタデカン(融点6℃)、n−テトラデカン(融点8℃)、n−ヘキサデカン(融点17℃)、n−ヘプタデカン(融点22℃)、n−オクタデカン(融点28℃)、n−ノナデカン(融点32℃)、エイコサン(融点36℃)、ドコサン(融点44℃)、およびこれらの混合物で構成されるn−パラフィンやパラフィンワックス等が挙げられる。
【0017】
長鎖アルコールとしては、例えば、炭素数8以上36以下の長鎖アルコールを用いることができ、具体的には、カプリルアルコール(融点7℃)、ラウリルアルコール(融点24℃)、ミリスチルアルコール(融点38℃)、ステアリルアルコール(融点58℃)等が挙げられる。
【0018】
長鎖脂肪酸としては、例えば、炭素数8以上36以下の長鎖脂肪酸を用いることができ、具体的には、オクタン酸(融点17℃)、デカン酸(融点32℃)、ドデカン酸(融点44℃)、テトラデカン酸(融点50℃)、ヘキサデカン酸(融点63℃)、オクタデカン酸(融点70℃)等の脂肪酸等が挙げられる。
【0019】
長鎖脂肪酸エステルとしては、例えば、炭素数8以上36以下の長鎖脂肪酸エステルを用いることができ、具体的には、ラウリン酸メチル(融点5℃)、ミリスチン酸メチル(融点19℃)、パルミチン酸メチル(融点30℃)、ステアリン酸メチル(融点38℃)、ステアリン酸ブチル(融点25℃)、アラキジン酸メチル(融点45℃)等が挙げられる。
【0020】
ポリエーテル化合物としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールジアクリレート、エチルエチレングリコール等が挙げられる。
【0021】
脂肪酸トリグリセリドとしては、例えば、ヤシ油、パーム核油等の植物油や、その精製加工品である中鎖脂肪酸トリグリセリド、長鎖脂肪酸トリグリセリド等が挙げられる。
【0022】
本発明では(a)成分として、特に、炭素数8以上36以下の脂肪族炭化水素、炭素数8以上36以下の長鎖アルコール、炭素数8以上36以下の長鎖脂肪酸、炭素数8以上36以下の長鎖脂肪酸エステルを使用することが好ましく、さらには、炭素数8以上36以下の脂肪族炭化水素、炭素数8以上36以下の長鎖脂肪酸エステルを使用することが好ましい。
中でも、炭素数8以上36以下の長鎖脂肪酸エステルが好ましく、炭素数10以上30以下の長鎖脂肪酸エステルがより好ましく、炭素数15以上22以下の長鎖脂肪酸エステルを使用することが更に好ましい。このような長鎖脂肪酸エステルは、潜熱量が高く、実用温度領域に相変化温度(融点)を有するため、様々な用途に使用しやすい。
【0023】
<(b)成分>
本発明の樹脂組成物は、(b)金属塩水和物を含むことを特徴とする。(b)成分を(a)成分と共に含有することにより、(a)成分の高い蓄熱性を維持しつつ、優れた耐熱性も得ることができ、有用である。また、(b)成分を使用することで、得られる成形体の強度の向上を図ることでき、好ましい。
(b)成分としては、例えば、金属と酸との金属塩の水和物が挙げられる。
金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、チタン、ジルコニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム等が挙げられ、特に、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウムから選ばれる1種以上が好適である。
酸としては、例えば、珪酸、硼酸、燐酸、塩酸、硫化水素酸、硫酸、硝酸、炭酸、シュウ酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸、コハク酸、サリチル酸、クエン酸等が挙げられ、特に珪酸、硼酸、燐酸、硫酸、炭酸から選ばれる1種以上、さらには硼酸、燐酸から選ばれる1種以上が好適である。
【0024】
また、金属塩水和物は、金属塩・n水和物で表され、nは2以上20以下、さらには3以上17以下、さらには3以上11以下の整数であることが好ましい。このような範囲であることにより、優れた耐熱性を示し、短い時間で効率よく蓄熱することができる。さらに、本発明の樹脂組成物により形成される成形体の強度(特に高温時)、柔軟性にも優れている。nが2未満の場合、耐熱性が不十分な場合があり、nが20より大きい場合、長期に亘って優れた耐熱性、蓄熱性を維持することが困難な場合がある。
【0025】
具体的に(b)成分としては、リン酸二水素ナトリウム(2水和物)、リン酸水素マグネシウム(3水和物)、リン酸二水素マグネシウム(4水和物)、二リン酸四ナトリウム(10水和物)、リン酸水素二ナトリウム(12水和物)、四ホウ酸ナトリウム・10水和物、四ホウ酸ナトリウム・5水和物、四ホウ酸カリウム・4水和物、四ホウ酸カリウム・8水和物、四ホウ酸ストロンチウム・4水和物、メタホウ酸マグネシウム・8水和物、八ホウ酸二ナトリウム・4水和物、メタケイ酸ナトリウム・5水和物、炭酸ナトリウムカリウム・6水和物、シュウ酸マンガン・2水和物、硫酸アルミニウム・16水和物、硫酸アルミニウム・18水和物、硫酸カリウムアルミニウム・12水和物、硫酸銅・5水和物、硫酸コバルト・7水和物、硫酸ナトリウム・10水和物等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0026】
なお、(b)成分の代わりに、金属およびそれらの合金、あるいはこれらの金属を含む金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属リン化物等の金属化合物を使用した場合、耐熱性の向上を図ることが難しい。
【0027】
(b)成分の粒子径は、特に限定されないが、本発明の効果の発現(特に、柔軟性に寄与)の点で30μm以上600μm以下、さらには50μm以上250μm以下であることが好ましい。なお、粒子径は、JIS Z8801−1:2000に規定される金属製網ふるいを用いてふるい分けによって得られる値である。
【0028】
<成形物(c)成分>
本発明で用いるポリオール化合物((c−1)成分)は、後述するイソシアネート化合物((c−2)成分)と反応させることにより成形物(以下、「(c)成分」ともいう。)を形成し、(a)成分、(b)成分を担持・保持する成分である。また、(c−1)成分と(c−2)成分を使用することで、(a)成分との相溶性にも優れ、好ましい態様となる。
本発明の樹脂組成物は、(c−1)成分と(c−2)成分とが反応して、適度な3次元架橋構造を形成し、該架橋構造内に多量の(a)成分、(b)成分を担持・保持可能な成形体を得ることができる。さらに得られた成形体は柔軟性に優れ、(a)成分の漏れを抑制することが可能なものとなる。
【0029】
<ポリオール化合物(c−1)成分>
本発明の樹脂組成物は、(c−1)ポリオール化合物を含むことを特徴とする。
(c−1)成分としては、例えば、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリテトラメチレングリコールポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシプロピレンエチレンポリオール、エポキシポリオール、アルキドポリオール、フッ素含有ポリオール、ケイ素含有系ポリオール、セルロース及び/またはその誘導体、アミロース等の多糖類等が挙げられる。
本発明では、特に、ポリエーテルポリオールを用いることが好ましく、さらには、グリセリンを開始剤とするポリエーテルポリオールを用いることが好ましい。
【0030】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合重合物;環状エステル(ラクトン)の開環重合物;多価アルコール、多価カルボン酸及び環状エステルの3種類の成分による反応物等が挙げられる。
【0031】
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,3−テトラメチレンジオール、1,4−テトラメチレンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−テトラメチレンジオール、2−メチル−1,3−トリメチレンジオール、1,5−ペンタメチレンジオール、トリメチルペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキシレングリコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサメチレンジオール、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタメチレンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、メタキシレングリコール、パラキシレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)、糖アルコール類(キシリトール、ソルビトール、シュークロースなど)、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、2−メチロールプロパンジオール、エトキシ化トリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0032】
多価カルボン酸としては、例えば、マロン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;
テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、無水フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
【0033】
環状エステルの開環重合物において、環状エステルとしては、例えば、プロピオラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等が挙げられる。
3種類の成分による反応物において、多価アルコール、多価カルボン酸、環状エステルとしては、前記例示のものなどを用いることができる。
【0034】
本発明では、ポリエステルポリオールとして、特に、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合重合物が好ましく、例えば、多価アルコールとして、2,4−ジエチル−1,5−ペンタメチレンジオール、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等、多価カルボン酸として、アジピン酸等を用いることが好ましい。
ポリエステルポリオールの製造方法は、常法により行うことができ、必要に応じ、公知の硬化剤、硬化触媒等を用いてもよい。
【0035】
アクリルポリオールとしては、例えば、ヒドロキシル基を有するアクリル単量体を単独重合または共重合させる、または共重合可能な他の単量体を共重合させることによって得ることができる。
【0036】
ヒドロキシル基を有するアクリル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;
グリセリンやトリメチロールプロパン等のトリオールの(メタ)アクリル酸モノエステル類;
上記(メタ)アクリル酸エステル類とポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルポリオール類とのモノエーテル類;
(メタ)アクリル酸グリシジルと酢酸、プロピオン酸、p−tert−ブチル安息香酸等の一塩基酸との付加物;
上記(メタ)アクリル酸エステル類と、ε−カプロラクタム、γ−バレロラクトン等のラクトン類の開環重合により得られる付加物;
等が挙げられ、これらを単独重合または共重合することにより得ることができる。
【0037】
また、共重合可能な他の単量体としては、
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、イソクロトン酸、サリチル酸、けい皮酸等のカルボキシル基含有単量体;
【0038】
(メタ)アクリル酸アミノメチル、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸アミノブチル、ブチルビニルベンジルアミン、ビニルフェニルアミン、p−アミノスチレン、(メタ)アクリル酸−N−メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N−t−ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジエチルアミノプロピル、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ピペリジン、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ピロリジン、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕モルホリン、4−〔N,N−ジメチルアミノ〕スチレン、4−〔N,N−ジエチルアミノ〕スチレン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のアミノ基含有単量体;
【0039】
(メタ)アクリル酸グリシジル、ジグリシジルフマレート、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシル、3,4−エポキシビニルシクロヘキサン、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸−ε−カプロラクトン変性グリシジル、(メタ)アクリル酸−β−メチルグリシジル等のエポキシ基含有単量体;
【0040】
(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−モノアルキル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチルアクリルアミド、N、N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタクリレート)、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、ビニルアミド等のアミド基含有単量体;
【0041】
(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル等のアルコキシシリル基含有単量体;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基含有単量体;
アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル基含有単量体;
N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミド等のメチロール基含有単量体;
ビニルオキサゾリン、2−プロペニル2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有単量体
【0042】
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸−sec−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸n一アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸オキチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ドデセニル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−4−tert−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−フェニルエチル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−4−メトキシブチル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;
【0043】
フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン系単量体;
スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル系単量体;
エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、酢酸ビニル、ビニルエーテル、ビニルケトン、シリコーンマクロマー等のその他の単量体;
等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0044】
重合方法としては、特に限定されず、公知の塊状重合、懸濁重合、溶液重合、分散重合、乳化重合、酸化還元重合等を用いればよく、必要に応じ、開始剤、連鎖移動剤等またはその他の添加剤等を加えてもよい。例えば、上記のモノマー成分を、公知の過酸化物やアゾ化合物などのラジカル重合開始剤の存在下で溶液重合することによって得ることができる。
【0045】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、多価アルコールとホスゲンとの反応物;環状炭酸エステル(アルキレンカーボネート等)の開環重合物等が挙げられる。
【0046】
環状炭酸エステルの開環重合物において、アルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、ヘキサメチレンカーボネート等が挙げられる。
【0047】
なお、ポリカーボネートポリオールは、分子内にカーボネート結合を有し、末端がヒドロキシル基である化合物であればよく、カーボネート結合とともにエステル結合を有していてもよい。
【0048】
ポリオレフィンポリオールとしては、オレフィンを重合体又は共重合体の骨格(又は主鎖)の成分とし且つ分子内に(特に末端に)ヒドロキシル基を少なくとも2つ有するポリオールであって、数平均分子量が500以上のものを用いることができる。前記オレフィンとしては、末端に炭素−炭素二重結合を有するオレフィン(例えば、エチレン、プロピレン等のα−オレフィンなど)であってもよく、また末端以外の部位に炭素−炭素二重結合を有するオレフィン(例えば、イソブテンなど)であってもよく、さらにはジエン(例えば、ブタジエン、イソプレンなど)であってもよい。
【0049】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等のポリアルキレングリコールの他、多価アミンないし多価アルコールを開始剤としてエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドの少なくとも1種を開環付加させた共重合体等が挙げられる。このようなポリエーテルポリオールは、特に、上記(a)成分、(b)成分との相溶性が良く、(a)成分、(b)成分を効率良く混合分散させる効果も有する。
【0050】
多価アミンとしては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ネオペンチルジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2,4−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、p−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、ナフタレンジアミン等が挙げられる。
【0051】
多価アルコールとしては、上述したもの等が挙げられるが、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)、糖アルコール類(キシリトール、ソルビトール、シュークロースなど)、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、2−メチロールプロパンジオール、エトキシ化トリメチロールプロパン等が好適に用いられる。
【0052】
セルロース及び/またはその誘導体としては、セルロース、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース等のセルロースアセテート、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートフタレート、硝酸セルロース等のセルロースエステル類、エチルセルロース、ベンジルセルロース、シアノエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロースエーテル類等が挙げられる。
【0053】
セルロース及び/またはその誘導体は、ヒドロキシル基を有するものであるが、ヒドロキシル基の一部をアルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)等により、置換されたものが好ましい。
具体的には、置換度が、1.8以上2.8以下、さらには2.2以上2.6以下であることが好ましい。なお、置換度とは、セルロースを構成するグリコースユニット中に存在する3つのヒドロキシル基が、アルコキシル基等で置換された割合を意味し、100%置換された場合で置換度は3となる。
置換度をこのような範囲で制御することにより、後述する(a)成分との相互作用を向上させることができ、多孔体内に、(a)成分を長期に亘り保持することができる。
置換度が、1.8より小さい場合は、(a)成分との相互作用が低下する場合があり、(a)成分を多孔体内に、十分保持できない場合がある。また、2.8より大きい場合は、セルロース中のヒドロキシル基が減少し、十分な強度を有する3次元架橋構造が得られない場合がある。
【0054】
<イソシアネート化合物((c−2)成分)>
本発明の樹脂組成物は、(c−2)イソシアネート化合物を含むことを特徴とする。
本発明で用いる(c−2)成分としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するものであれば限定されないが、例えば、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート等、及び、これらをアロハネート化、ビウレット化、2量化(ウレチジオン)、3量化(イソシアヌレート)、アダクト化、カルボジイミド反応等によって誘導体化したもの、及びそれらの混合物、及び、それらと共重合可能な単量体との共重合体等が挙げられる。
【0055】
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,3−ペンタメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、リジンジイソシアネ−ト、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等が挙げられる。
【0056】
脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0057】
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、4,4´−ジフェニルジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルエ−テルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4´−ジイソシアネート、2,2´−ジフェニルプロパン−4,4´−ジイソシアネート、3,3´−ジメチルジフェニルメタン−4,4´−ジイソシネート、4,4´−ジフェニルプロパンジイソシアネート、3,3´−ジメトキシジフェニル−4,4´−ジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、テトラメチレンキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0058】
芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、1,3−キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,4−キシリレンジイソシアネ−ト(XDI)、ω,ω´−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,3−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−イソシアネート−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(α,α−ジメチルイソシアネートメチル)ベンゼン等が挙げられる。
【0059】
本発明では、特に、HMDI及びその誘導体化したもの等の脂肪族ジイソシアネート、MDI及びその誘導体化したもの等の芳香族ジイソシアネート等を用いることが好ましい。このようなイソシアネート化合物は、ポットライフ、硬化速度の調整等が簡便であり、好ましい。
【0060】
本発明の(a)成分の混合量は、樹脂組成物全量に対し、30重量%以上、さらには35重量%以上、さらには40重量%以上90重量%以下であることが好ましい。(a)成分を30重量%以上使用することにより、優れた蓄熱性を得ることができる。
【0061】
また、(c−1)成分と(c−2)成分の合計の混合量は、(a)成分100重量部に対し、10重量部以上300重量部以下、さらには、20重量部以上200重量部以下であることが好ましい。(c−1)成分と(c−2)成分の混合比率は、NCO/OHモル比率で0.5以上8.0以下、好ましくは0.7超7.0以下、さらに好ましくは0.8以上5.0以下の範囲で設定すればよい。本発明の樹脂組成物は、(c−1)成分、(c−2)成分の混合比率を、NCO/OHモル比率で0.5以上8.0以下とすることで、(a)成分の含有率が高くても、(a)成分の保持力、成形性に優れ、優れた蓄熱性能及び持続性を有し、かつ、(a)成分の漏れも無く、柔軟性、加工性、施工性に優れる成形体を得ることができる。
【0062】
また、(b)成分の混合量は、(a)成分100重量部に対し、10重量部以上120重量部以下であり、好ましくは、15重量部以上90重量部以下であり、更に好ましくは、20重量部以上60重量部以下であることが好ましい。このような範囲であることにより、優れた蓄熱性とともに、耐熱性に優れる成形体を得ることができる。さらに、熱伝導性、強度、柔軟性等も高めることができる。また、このような範囲内で配合することにより、(a)成分に基づく成形体の柔軟性、及び、(b)成分に基づく成形体の強度のバランスを図ることができ、有用となる。
特に、(a)成分を(b)成分より多く含み、さらに(a)成分と共に、(b)成分を含有することで、優れた蓄熱性を維持しつつ、優れた耐熱性を示し、かつ、優れた熱伝導性を示すことができる成形体を得ることができる。
(b)成分が、10重量部より少ない場合、耐熱性の向上が見られなかったり、熱伝導性の向上もみられない恐れがある。(b)成分が、120重量部より多い場合、硬化不良を引き起こす場合がある。
【0063】
本発明で用いる(a)成分の有機潜熱蓄熱材は、通常金属化合物との混合が困難であり、両者を効率よく分散させることが難しい。本発明は、(a)成分の有機潜熱蓄熱材に対し、金属化合物として金属塩水和物((b)成分)を用い、さらにポリオール化合物((c−1)成分)を組み合わせることで、(b)成分は(c−1)成分と相溶性が良く、また(a)成分も(c−1)成分と相溶性が良く、結果(a)成分と(b)成分を効率よく混合することが可能となったものと思われる。
さらにこのような状態を維持したまま(c−1)成分と(c−2)成分が反応硬化して成形体を形成することができるため、優れた蓄熱性を有するとともに耐熱性にも優れる成形体を得ることができる。さらに、熱伝導性とともに、強度と柔軟性を兼ね備えた成形体を得ることができる。
【0064】
なお、金属化合物として、金属塩水和物((b)成分)以外の金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属リン化物等の金属化合物を用いた場合は、(a)成分を用いた場合であっても、効率よく、(b)成分以外の金属化合物等を分散させることが難しく、また、耐熱性の向上も難しくなる場合がある。
【0065】
<層状粘土鉱物(d)>
本発明の樹脂組成物は、さらに、層状粘土鉱物(以下、「(d)成分」ともいう。)、特に、有機処理された層状粘土鉱物を用いることが好ましい。(d)成分は、(a)成分と混合し用いるもので、(d)成分と(a)成分を混合することにより、(d)成分の層間に、(a)成分が入り込む。特に(d)成分が有機処理された層状粘土鉱物である場合は、有機処理されたものであるため、(a)成分が(d)成分の層間に入り込みやすく、また(a)成分が(d)成分の層間に保持されやすい構造となっている。
このような(d)成分と(a)成分を混合することにより、結果として、(a)成分の粘度を上昇させ、後述する(c)成分内に(a)成分を担持し、より保持し続けることができる。そのため、(a)成分が成形体外部へ漏れ出すのを防ぎ、蓄熱性に優れ、加工性、施工性に優れた成形体を得ることができる。
また、(d)成分は、(a)成分とほとんど反応することがなく、有機潜熱蓄熱材の融点やその他の各種物性に影響を与えない。そのため、(a)成分の蓄熱材としての性能を効率よく発揮することができ、相変化温度(融点)の設定が容易である。
さらに(d)成分は、(b)成分の分散性を向上させる効果があり、(d)成分を含む樹脂組成物から形成された成形体は、その内部で(b)成分がより均一に分散されており、上記(b)成分による効果をより高めることができる。
【0066】
(d)成分としては、有機処理された層状粘土鉱物が好ましく、層状粘土鉱物としては、例えば、スメクタイト、バーミキュライト、カオリナイト、アロフェン、雲母、タルク、ハロイサイト、セピオライト等が挙げられる。また、膨潤性フッ素雲母、膨潤性合成マイカ等も利用できる。
有機処理としては、例えば、層状粘土鉱物の層間に存在する陽イオンを長鎖アルキルアンモニウムイオン等でイオン交換(インターカレート)すること等が挙げられる。
本発明では、特に、スメクタイト、バーミキュライトが有機処理されやすい点から、好適に用いられる。さらに、スメクタイトの中でも、特に、モンモリロナイトが好適に用いられ、本発明では、特に、有機処理されたモンモリロナイトを好適に用いることができる。
【0067】
具体的に、有機処理されたモンモリロナイトとしては、ホージュン社製のエスベン、エスベン C、エスベン E、エスベン W、エスベン P、エスベン WX、エスベン NX、エスベン NZ、エスベン N-400、オルガナイト、オルガナイトーD、オルガナイトーT(商品名)、ズードケミー触媒社製のTIXOGEL MP、TIXOGEL VP、TIXOGEL VP、TIXOGEL MP、TIXOGEL EZ 100、MP 100、TIXOGEL UN、TIXOGEL DS、TIXOGEL VP−A、TIXOGEL VZ、TIXOGEL PE、TIXOGEL MP 250、TIXOGEL MPZ(商品名)、エレメンティスジャパン社製のBENTONE 34、38、52、500、1000、128、27、SD−1、SD−3(商品名)等が挙げられる。
【0068】
(d)成分の混合量は、(a)成分100重量部に対し、好ましくは0.5重量部以上50重量部以下(より好ましくは1重量部以上40重量部以下、さらに好ましくは3重量部以上30重量部以下)程度とすればよい。
【0069】
<親水親油バランス(HLB値)が10以上の非イオン性界面活性剤(e)>
本発明の樹脂組成物は、さらに、親水親油バランス(HLB値)が10以上の非イオン性界面活性剤(以下、「(e)成分」ともいう。)を用いることが好ましい。
親水親油バランス(HLB値)が10以上の非イオン性界面活性剤((e)成分)を用いることで、(a)成分の保持力を高めるとともに、成形性をより優れたものとし、より優れた蓄熱性能及び持続性を有し、かつ、(a)成分の漏れも無く、柔軟性、加工性、施工性により優れる成形体を得ることができる。
【0070】
(e)成分としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等のポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、
ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン等が挙げられ、特に、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが好ましく用いられる。
【0071】
本発明では特に(e)成分として、親水親油バランス(HLB値)が10以上(好ましくは10超20以下、より好ましくは11以上19以下、さらに好ましくは12以上18以下、最も好ましくは13以上17以下)の非イオン性界面活性剤を好適に用いることができる。
このような(e)成分を含むことにより、(a)成分と、(c−1)成分、(c−2)成分の分離を防ぐことができ、樹脂組成物から(a)成分が均一に分散した成形体を形成することができる。
【0072】
(e)成分の混合量は、(a)成分100重量部に対し、好ましくは0.01重量部以上30重量部以下(さらに好ましくは0.1重量部以上20重量部以下)程度とすればよい。このような範囲であることにより、(a)成分、(b)成分、(c−1)成分、(c−2)成分の分離をより防ぐことができ、(a)成分が均一に分散した成形体を得ることができる。
【0073】
また、(a)成分として炭素数8以上36以下の長鎖アルキル基を有する蓄熱材を用いた場合、(e)成分の構造中に、炭素数8以上36以下の長鎖アルキル基を有する非イオン性界面活性剤を用いることが好ましい。特に、(a)成分と(e)成分の長鎖アルキル基の炭素数が近似するもの、あるいは同様のものを選定することにより、本発明の効果を高めることができる。
【0074】
<熱伝導性物質(f)>
本発明の樹脂組成物は、さらに、熱伝導性物質(以下、「(f)成分」ともいう。)を用いることもできる。(f)成分を混合することにより、樹脂組成物や成形体内の熱の移動をスムーズにし、蓄熱材の熱効率性を向上させ、より優れた蓄熱性能を得ることができる。また、蓄えた熱を外部へ熱移動しやすくなり、温熱、冷熱効果を早めることができる。
【0075】
(f)成分としては、例えば、銅、鉄、亜鉛、ベリリウム、マグネシウム、コバルト、ニッケル、チタン、ジルコニウム、モブリデン、タングステン、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ等の金属およびそれらの合金、あるいはこれらの金属を含む金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属リン化物等の金属化合物、また、鱗状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛、繊維状黒鉛等の黒鉛等が挙げられ、これらを1種または2種以上を混合して用いることができる。
なお、上記(b)成分は、(f)成分には含まれない。
【0076】
(f)成分の混合量は、(a)成分100重量部に対し、好ましくは5重量部以上200重量部以下(より好ましくは10重量部以上80重量部以下、さらに好ましくは20重量部以上60重量部以下)程度とすればよい。
【0077】
本発明の樹脂組成物は、上記(a)〜(f)成分の他に、相溶化剤、反応促進剤、難燃剤、顔料、骨材、粘性調整剤、可塑剤、緩衝剤、分散剤、架橋剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、抗菌剤、防藻剤、湿潤剤、消泡剤、発泡剤、レベリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、たれ防止剤、凍結防止剤、滑剤、脱水剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、繊維類、香料、化学物質吸着剤、光触媒、吸放湿性粉粒体等の添加剤を含有することもできる。
【0078】
本発明は、(a)成分、(b)成分、(c−1)成分、(c−2)成分等を含む樹脂組成物であり、例えば、製造方法として、(a)成分、(b)成分、(c−1)成分、(c−2)成分を混合し、(c−1)成分と(c−2)成分を反応させる方法等により、(c−1)成分と(c−2)成分からなる成形物(以下、「(c)成分」ともいう。)中に(a)成分、(b)成分等が含有された成形体を得ることができる。
【0079】
本発明では、(a)成分、(b)成分、(c−1)成分、(c−2)成分、また必要によりその他の成分を混合し、(c−1)成分と(c−2)成分を反応させて、成形体を形成することができる。
このような形成方法としては、(a)成分、(b)成分、(c−1)成分、(c−2)成分を混合し、(c−1)成分と(c−2)成分を反応させる方法、(a)成分、(b)成分、(c−1)成分(または(c−2)成分)を混合し、(c−2)成分(または(c−1)成分)を添加することにより反応させる方法等が挙げられる。
反応温度は、特に限定されないが、(a)成分の相変化温度以上とすることが好ましく、使用する(a)成分の種類によって異なるが、好ましくは20℃以上80℃以下であればよい。また、反応時間は好ましくは0.2以上5時間以下とすればよい。
また、反応を促進するため、上記反応促進剤や、熱、光等のエネルギーを与えることができる。
【0080】
また、(e)成分を含有する場合、(a)成分、(b)成分、(e)成分、(c−1)成分、(c−2)成分を混合し、(a)成分をコロイド分散させ、(c−1)成分と(c−2)成分を反応させる製造方法等が好ましい。具体的には、(a)成分、(b)成分、(e)成分、(c−1)成分、(c−2)成分を混合し、(c−1)成分と(c−2)成分を反応させる方法、(a)成分、(b)成分、(e)成分、(c−1)成分(または(c−2)成分)を混合し、(c−2)成分(または(c−1)成分)を添加することにより反応させる方法等が挙げられる。
このような方法では、(c−1)成分及び/または(c−2)成分中に(a)成分が、微細なコロイド状に分散した状態をつくりだし、そのような状態から(c−1)成分と(c−2)成分を反応させることにより、(c)成分中に(a)成分が、微細に分散した成形体を製造することができる。
このような製造方法では、(a)成分の含有率をより高くすることができる。また、(a)成分が、微細に均一に分散した状態であるため、垂直に固定化した場合でも蓄熱材の偏りがなく、(a)成分の固液変化に伴う体積変化による成形体自体の形状変化を軽減することもできるため、好ましい。
【0081】
(e)成分を含有し、微細なコロイド状に分散した状態をつくりだす方法では、反応前の状態において、(a)成分が、粒子径10μm以上1000μm以下(好ましくは50μm以上900μm以下、さらに好ましくは100μm以上800μm以下)程度の大きさのコロイド状に分散した状態であることが好ましい。このような状態から(c−1)成分と(c−2)成分を反応させることにより、(a)成分が微細に分散した成形体を得ることができる。
なお、粒子径は、光学顕微鏡(BHT−364M、オリンパス光学工業株式会社製)を用いて測定した値である。
【0082】
本発明の樹脂組成物は、上記方法により成形体を形成するもので、該成形体の形状は、シート状、棒状、針状、球状、角状、粉末状等、その形状は特に限定されない。
本発明では特にシート状として用いることが好ましく、柔軟性に優れるため湾曲させたとしても成形体が破断することなく、切断したとしても切断面から(a)成分が漏れ出すこともなく、また、釘打ち等によっても(a)成分が漏れ出すことがないため、様々な用途に使用しやすい。
例えば、シート状の成形体は、成形体の片面または両面に各種基材を、使用用途に合わせて積層することもできるし、また、シート成形時に後述する各種基材を予め積層し、成形体を得ることもできる。この際、成形体の形成方法としては、特に限定されず、押出し成形、型枠成形等、または各種基材にスプレー塗装、ローラー塗装、刷毛塗り、コテ塗り、流し込み等の公知の方法で塗付することにより形成することができる。
【0083】
また、シート状の成形体の厚さは、特に限定されないが、好ましくは1mm以上100mm以下程度とすればよい。
【0084】
本発明の樹脂組成物は、主として、住宅等の建築物の壁材、天井材、床材等の内・外装材の材料として好適に使用することができる。
さらに、本発明の樹脂組成物は、床暖房システム、冷暖房システム、車輌等の内装材、機械・機器等の工業製品、熱電変換システム、熱搬送媒体、冷蔵・冷凍庫、浴槽・浴室、クーラーボックス、保温シート、結露防止シート、冷却シート、電気製品、OA機器、プラント、タンク、衣類、カーテン、じゅうたん、寝具、日用雑貨等に用いる材料としても適用できる。
【0085】
本発明の樹脂組成物は、使用する用途に合わせて、潜熱蓄熱材(有機潜熱蓄熱材)を適宜設定することができる。例えば、建築物の内・外装材として使用する場合は、潜熱蓄熱材の融点が15℃〜40℃付近のものを使用すればよい。この他、床暖房に用いる場合は潜熱蓄熱材の融点が25℃〜40℃付近のもの、衣類、寝具として用いる場合は潜熱蓄熱材の融点が25℃〜35℃、車輌等の内装材として用いる場合は潜熱蓄熱材の融点が15℃〜40℃付近のものを、冷蔵庫に用いる場合は潜熱蓄熱材の融点が−10℃〜5℃付近のものを、冷凍庫に用いる場合は潜熱蓄熱材の融点が−30℃〜−10℃付近のものを、それぞれ使用すればよい。
【0086】
また、本発明の樹脂組成物から得られる成形体と共に、断熱体を積層することにより、優れた蓄熱性・断熱性を示すため、建築物の壁材、天井材、床材等、冷蔵・冷凍庫、浴槽・浴室、クーラーボックス等に適用することにより、外部温度の変化に対し、空間内温度を最適な温度に保つことができ、省エネ化を図ることができる。
このような断熱体としては、例えば、ポリスチレン発泡体、ポリウレタン発泡体、アクリル樹脂発泡体、フェノール樹脂発泡体、ポリエチレン樹脂発泡体、発泡ゴム、グラスウール、ロックウール、発泡セラミック等、あるいはこれらの複合体等が挙げられる。また、市販の断熱体を使用してもよい。
【0087】
断熱体の熱伝導率は、0.1W/(m・K)未満(より好ましくは0.08W/(m・K)以下、さらに好ましくは0.05W/(m・K)以下)であることが好ましい。
【0088】
熱伝導率が0.1W/(m・K)以上の熱伝導体を積層することもできる。熱伝導体としては、例えば、ガラス板、アクリル樹脂、ビニル樹脂等の樹脂ボードや樹脂シート、銅、アルミニウム、鉄、真鍮、亜鉛、マグネシウム、ニッケル等の金属板等、あるいは金属材料を含む樹脂ボードまたは樹脂シート等、スレート板、石膏ボード、珪酸カルシウム板、ALC板、木毛セメント板、合板等が挙げられる。
【0089】
本発明の樹脂組成物から得られる成形体と共に、熱伝導体を積層することにより、優れた蓄熱性・放熱性を示すため、建築物の壁材、天井材、床材等に適用することにより、成形体に蓄えられた冷熱や温熱を、空間内に効率よく伝えることができ、空間内温度を最適な温度に保つことができ、省エネ化を図ることができる。熱伝導体で発生しやすい、結露を防止する効果も得ることができる。
【0090】
本発明の樹脂組成物から得られる成形体と共に、難燃材、準不燃材および不燃材等の防火材とを積層することにより、優れた蓄熱性に加え、防火性を高めることができ、防火性を必要とする部位(例えば、建築物の内装材等)にも適用することができる。
このような防火材としては、例えば、コンクリート板、ガラス板、金属板、木毛セメント板、石膏ボード、ケイ酸カルシウム板等の平板、金属フィルム、グラスファイバー等のフィルム成形体、発泡性防火材料、難燃材含有材料等が挙げられる。
【0091】
また、本発明の樹脂組成物から得られる成形体と共に、発熱体を積層することにより、床暖房システム、融雪・滑氷屋根材、浴槽・浴室、保温シート等に適用することができる。
【0092】
床暖房システムとして適用する場合、発熱体として、例えば、面状発熱体や、温水を利用した配管等を利用することができ、これらの発熱体と本発明の成形体、床材を組み合わせることができる。このような床暖房システムは、公知の方法で、積層・設置することができるが、例えば、発熱体、面状発熱体、床材を積層した床暖房システムは、厚みを抑えることができ、かつ、厚みを抑えたとしても、優れた床暖房効果と省エネ効果を発揮することができ、特にリフォーム等に好適に用いることができる。
【0093】
本発明の成形体は、最適な温度を維持しつづけることができるため、衣類、カーテン、じゅうたん、寝具等に用いられる素材と組み合わせることにより、快適な環境を得ることができる。さらに、南極やシベリア地方等の極寒地域や、火事場等の高温環境下においても、外部温度の影響を抑えることができるため、防寒服や消防服等にも有効である。
【0094】
このような素材としては、木綿、麻、羊毛、シルク等の天然繊維、ナイロン、テトロン、アクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ビニロン、レーヨン、アラミド、アゾール等の有機繊維、ガラス等の無機繊維、またはこれらを難燃処理・撥水処理した繊維等が挙げられる。また、金属、樹脂シートやゴム等でもよく、これらのうち、1種または2種以上を複合して用いることができる。
【実施例】
【0095】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にするが、本発明はこの実施例に限定されない。
【0096】
(実施例1〜26、及び、比較例1〜7)
表1に示す原料を用い、表2及び表3に示す配合量にて、主剤成分を混合し、温度50℃で攪拌羽根により1000rpmで混合攪拌した。
次に、硬化剤を加え攪拌した後、250mm×170mm×5mmの型枠に流し込み、50℃で30分硬化させ、脱型して試験体を得た。なお、比較例7は、硬化不良を起こし試験体が得られなかった。
得られた試験体について、次の耐熱性評価1〜3、柔軟性評価を行った。結果は表2及び3に示す。なお。耐熱性の実用レベルとしては、評価結果が3〜5の場合である。また、柔軟性の実用レベルとしては、A及びBである。
【0097】
また、実施例9〜11、13〜17、21〜26、及び、比較例4〜7については蓄熱性評価も行った。なお、実施例9〜11、17、21〜26、及び、比較例6及び7については、蓄熱性評価の条件(1)の12時間後のみを評価した。評価結果を表4に示す。
【0098】
<耐熱性評価1>
上記試験体の表面を、プロパンガスバーナーの炎(約1000℃)で30秒加熱した後の表面状態を目視にて確認し、評価した。評価結果は次のとおりである。
5:加熱を止めると炎は無かった
4:加熱を止め、1秒以内に炎が消えた
3:加熱を止め、2秒以内に炎が消えた
2:加熱を止め、5秒以内に炎が消えた
1:加熱を止め、5秒経過しても炎は消えなかった
【0099】
<耐熱性評価2>
上記試験体の表面を、プロパンガスバーナーの炎(約1000℃)で60秒加熱した後の表面状態を目視にて確認し、評価した。評価結果は耐熱性評価1と同様である。
【0100】
<耐熱性評価3>
上記試験体を、10℃で3時間に続き、50℃で3時間を1サイクルとする温冷繰返しを合計10サイクル行った後、耐熱性評価1と同様の試験を行った。評価結果は耐熱性評価1と同様である。
【0101】
<柔軟性評価>
上記試験体を、90°に折り曲げ、該試験体の折り曲げ部分を目視にて観察した。評価は次の4段階で行った。結果は表2及び表3に示す。
A:異常はみられなかった(異常部分0%)
B:ほとんど異常はみられなかった(異常部分5%未満)
C:折り曲げ部分で一部異常がみられた(異常部分5%以上30%未満)
D:折り曲げ部分で異常がみられた(異常部分30%以上)
【0102】
(蓄熱性評価)
図1に示すように、内寸が高さ600mm×幅600mm×奥行600mmとなるように発泡ポリスチレンフォーム(厚み30mm)を用いて枠組を組み立て、さらに上面には、試験体を珪酸カルシウム板が下側となるように設置し、試験体ボックスを作製した。
該試験体ボックスを恒温室の中に設置し、恒温室内の温度を外気温と見立て、恒温室内の温度を
図2に示す条件((1)〜(3))で変化させた時の珪酸カルシウム板表面温度(表面温度)を測定した。
条件(1):30℃で6時間維持し、次いで、1時間かけて20℃まで降温させた後、20℃で3時間維持し、更に、1時間かけて30℃まで昇温させ、最終的に30℃で1時間維持
条件(2):30℃で6時間維持し、次いで、1時間かけて25℃まで降温させた後、25℃で1時間維持し、更に、1時間かけて30℃まで昇温させ、最終的に30℃で3時間維持
条件(3):30℃で6時間維持し、次いで、1時間かけて25℃まで降温させた後、25℃で3時間維持し、更に、1時間かけて30℃まで昇温させ、最終的に30℃で1時間維持
【0103】
(実施例13)
表1に示す原料を用い、表2に示す配合量にて、主剤成分を混合し、温度50℃で攪拌羽根により1000rpmで混合攪拌した。
次に、硬化剤を加え攪拌した後、600mm×600mm×5mmの型枠に流し込み、50℃で30分硬化させ、脱型して成形体を得た。
得られた成形体の片方の面に厚み6mmの珪酸カルシウム板、もう一方の面に厚み0.3mmのアルミニウム板を積層し試験体を得た。
得られた試験体について、次の蓄熱性評価を行った。結果は表4に示す。
表4に示すように、実施例13は条件(2)のように25℃の期間が短い場合でも十分冷熱を蓄熱することができ、効率よく蓄熱できる結果となった。
【0104】
(比較例4)
表1に示す原料を用い、表3に示す配合量にて、実施例13と同様の方法で試験体を得た。得られた試験体について、蓄熱性評価を行った。結果は表4に示す。
表4に示すように、比較例4は条件(2)のように25℃の期間が短い場合、十分冷熱を蓄熱することができず、表面温度が上昇する結果となった。
【0105】
(比較例5)
表1に示す原料を用い、表3に示す配合量にて、実施例13と同様の方法で試験体を得た。得られた試験体について、蓄熱性評価を行った。結果は表4に示す。
表4に示すように、比較例5は条件(2)のように25℃の期間が短い場合、十分冷熱を蓄熱することができず、表面温度が上昇する結果となった。
【0106】
(実施例9〜11、14〜17、21〜26、及び、比較例6及び7)
表1に示す原料を用い、表2又は表3に示す配合量にて、実施例13と同様の方法で試験体を得た。得られた試験体について、蓄熱性評価を行った。結果は表4に示す。
【0107】
【表1】
【0108】
【表2】
【0109】
【表3】
【0110】
【表4】
【0111】
表2〜表4の評価結果より、全ての実施例においては、所望の原料を使用して蓄熱成形体を形成したため、蓄熱性、耐熱性、及び、柔軟性に優れることが確認できた。一方、比較例1〜4では、(b)成分を配合せずに、代わりに金属化合物を使用したため、耐熱性に劣ることが確認された。また、比較例5では、(b)成分を配合せず、代わりの金属化合物も配合しなかったため、最も耐熱性の評価が劣る結果となった。また、比較例6及び7では、(a)成分及び(b)成分を所望量配合しなかったため、耐熱性が劣り、実用レベルにはなかったり、蓄熱成形体自体を作製することができなかった。
【0112】
特に蓄熱性評価について、例えば、実施例13と比較例4を比較すると、条件(2)の12h後の温度が、実施例13の27.4℃に対し、比較例4では28.9℃に達し、両者の温度差は1.5℃の差であるが、体感温度においては、大きな違いを認識できることを確認した。
【解決手段】本発明の樹脂組成物は、(a)有機潜熱蓄熱材、(b)金属塩水和物、(c−1)ポリオール化合物、及び、(c−2)イソシアネート化合物を含み、(a)有機潜熱蓄熱材100重量部に対して、(b)金属塩水和物を10重量部以上120重量部以下含むことを特徴とする。