(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0014】
図1は、本実施形態に係る油脂含有排水処理装置の構成の一例を示す模式図である。
図1に示す油脂含有排水処理装置1は、第1処理槽10及び第2処理槽12を有する処理槽ユニット、鉄塩供給手段の一例としての鉄塩供給装置14を備える。第1処理槽10の排水入口(不図示)には排水導入管16が接続され、第1処理槽10の排水出口(不図示)には排水排出管18の一端が接続され、第2処理槽12の排水入口(不図示)には排水排出管18の他端が接続され、第2処理槽12の処理水出口(不図示)には処理水排出管20が接続されている。
【0015】
図での説明は省略するが、第1処理槽10及び第2処理槽12には、槽内の水温を加温する電気ヒータ等の加温装置(加温手段)、槽内を曝気する曝気装置(曝気手段)、槽内の生物量を制御するために槽内に生物製剤を添加する生物製剤添加装置(生物製剤添加手段)、槽内のpHを制御するために槽内に酸又はアルカリ等を添加するpH調整装置(pH調整手段)等が、適宜設置されることが望ましい。
【0016】
鉄塩供給装置14は、第1処理槽10に鉄塩を供給することができるものであれば、その装置構成は特に制限されるものではないが、本実施形態では、鉄塩が充填され、鉄塩の供給量が制御可能な貯留タンク22、鉄塩供給管24から構成されている。なお、鉄塩の供給量については、鉄塩供給管24にバルブ又はポンプ等を設置することにより制御してもよい。本実施形態では、
図1に示すように、鉄塩供給管24の一端が貯留タンク22の鉄塩排出口(不図示)に接続され、鉄塩供給管24の他端が第1処理槽10の鉄塩供給口(不図示)に接続されているが、鉄塩供給管24の他端は第1処理槽10に直接接続されず、排水導入管16に接続されてもよい。
【0017】
次に、本実施形態に係る油脂含有排水処理装置1の動作について説明する。
【0018】
本実施形態に係る油脂含有排水処理装置1において、処理対象となる油脂含有排水は、如何なる由来の水であってもよいが、高濃度の油脂を含有する排水として、例えば、厨房排水、食用油製造工場排水、食肉加工工場排水、菓子類製造工場排水等を処理対象とすることが望ましい。また、多くの油脂含有排水には、油脂と、その他のBOD成分等が含まれる。ここで、BOD成分とは、活性汚泥等の好気性微生物等により分解される有機物等の成分である。また、油脂とは、食用油、動植物油等である。
【0019】
まず、油脂含有排水は排水導入管16を通り第1処理槽10に供給される。なお、油膜や油滴が目立つ排水等の場合には、第1処理槽10に流入する前の排水等に予め乳化剤を添加することが好ましい。そして、鉄塩が貯留タンク22から鉄塩供給管24を通り、第1処理槽10に供給される。鉄塩の供給は間欠供給でも連続供給でもよい。第1処理槽10内では、鉄塩の存在下で、油脂含有排水と油脂分解微生物汚泥(第1処理槽10に生物製剤等が添加される場合にはその生物製剤等も含む)とが接触する。これにより、第1処理槽10内では、主に、油脂含有排水中の油脂が分解される。第1処理槽10に供給された鉄塩は、槽内の油脂分解微生物の生育を促す栄養塩類、油脂の分解を促進する酸化触媒等の作用があると考えられている。したがって、第1処理槽10内に鉄塩を供給した方が、第1処理槽10内に鉄塩を供給しない場合と比べて、油脂による油脂分解微生物汚泥の活性が阻害されることが抑制され、排水中の油脂を効率的に分解することが可能となる。
【0020】
次に、第1処理槽10内で処理された排水は、排水排出管18から第2処理槽12に供給される。第2処理槽12内では、油脂が低減された排水と生物汚泥とが接触し、主に、排水中のBOD成分等が分解される。本実施形態では、第1処理槽10内で排水中の油脂を予め分解処理しているため、第2処理槽12内では、油脂による微生物汚泥の活性が阻害されることが抑制される。その結果、BOD成分等を効率的に分解(生物処理)することが可能となる。なお、第2処理槽12に供給される排水中には、第1処理槽10に供給した鉄塩が残存している場合が考えられるため、第2処理槽12内でも、排水中に残存する油脂の分解も行われるものと推察される。そして、第2処理槽12により処理された排水は、処理水として処理水排出管20から系外へ排出される。
【0021】
以下に、処理槽ユニットによる生物処理の処理条件等の一例について説明する。
【0022】
本実施形態の処理槽ユニットは、第1処理槽10と第2処理槽12の2槽構成であるが、この槽構成に限定されるものではなく、3槽以上の槽構成であってもよい。例えば、油脂含有排水として、油脂、BOD成分の他に、アンモニア性窒素等の窒素化合物等が含まれている場合、油脂やその他の物質の濃度が非常に高い場合等では、3槽以上の槽構成とすることが好ましい。
【0023】
また、本実施形態では、第1処理槽10にのみ鉄塩を供給しているが、第1処理槽10より後段の処理槽にも鉄塩を供給してもよい。
【0024】
油脂の分解速度は排水の性状によって異なるため、第1処理槽10への鉄塩の供給量は油脂の分解速度を勘案しながら設定されることになるが、具体的には、油脂含有排水単位体積当たりの鉄の総量が、同じ油脂含有排水単位体積当たりのノルマルヘキサン抽出物質の負荷量に対する鉄の重量比で1.0×10
−3以上となるように第1処理槽10に鉄塩を供給することが好ましく、2.0×10
−3以上となるように第1処理槽10に鉄塩を供給することがより好ましい。鉄塩添加後の油脂含有排水単位体積当たりの鉄の総量が、同じ油脂含有排水単位体積当たりのノルマルヘキサン抽出物質の負荷量に対する鉄の重量比で1.0×10
−3未満であると、鉄塩は上記説明した栄養塩類、或いは酸化触媒等として十分に作用せず、油脂を効率的に分解することができない場合がある。本実施形態では、装置稼働中、油脂含有排水単位体積当たりの鉄の総量が、同じ油脂含有排水単位体積当たりのノルマルヘキサン抽出物質の負荷量に対する鉄の重量比で1.0×10
−3以上に維持されることが好ましいが、処理コストの点から、油脂含有排水単位体積当たりの鉄の総量の上限は、同じ油脂含有排水単位体積当たりのノルマルヘキサン抽出物質の負荷量に対する重量比で30×10
−3以下とすることが好ましい。これは、油脂含有排水単位体積当たりの鉄の総量が、同じ油脂含有排水単位体積当たりのノルマルヘキサン抽出物質の負荷量に対する重量比で30×10
−3超となるように第1処理槽10に鉄塩を供給しても、第1処理槽10内の微生物汚泥の活性は、ノルマルヘキサン抽出物質の負荷量に対する重量比で1.0×10
−3以上30×10
−3以下の範囲の場合とほとんど変わらないためである。
【0025】
ここで、ノルマルヘキサン抽出物質とは、油脂含有排水とノルマルヘキサンとを混合することによりノルマルヘキサン側に抽出される油脂を主とした成分である。そして、ノルマルヘキサン抽出物質は、分液ロート中に油脂含有排水を適量(排水の油脂含有量によって200〜1000ml程度)投入し、さらにメチルオレンジ溶液を滴下した上で、溶液の色が赤に変化するまで塩酸を滴下し、そして、ノルマルヘキサン40mlを投入して2分間激しく振り混ぜることを2回繰り返し、ノルマルヘキサン層のみを分離した上で、ろ過、脱水を行って、80℃でノルマルヘキサンを揮発させることにより得られる。また、第1処理槽10に供給する鉄塩の量は、以下のようにして予め算出することが望ましい。例えば、油脂含有排水の一定量から、上記方法によりノルマルヘキサン抽出物質を得て、得られたノルマルヘキサン抽出物質の重量を一定量中のノルマルヘキサン抽出物質の負荷量とする。次に、同じ油脂含有排水の一定量から、フェナントロリン吸光光度法、ICP発光分光分析法等により、一定量中の鉄の重量を測定する。そして、これら測定した油脂含有排水中の鉄の重量、ノルマルヘキサン抽出物質の負荷量に基づいて、油脂含有排水単位体積当たりの鉄の総量が、同じ油脂含有排水単位体積当たりのノルマルヘキサン抽出物質の負荷量に対する鉄の重量比で1.0×10
−3以上30×10
−3以下の範囲となるように、第1処理槽10に供給する鉄塩の量を算出する。
【0026】
添加する鉄塩としては特に制限はなく、塩化第一鉄、塩化第二鉄、ポリ硫酸第二鉄などを用いることができる。これらの鉄塩は粉体でもよいし、スラリー、溶液等でもよい。
【0027】
処理対象である油脂含有排水中の油脂濃度は、ノルマルヘキサン抽出物質濃度に換算して、150〜1000mg/Lの範囲であることが好ましい。油脂含有排水中のノルマルヘキサン抽出物質濃度が1000mg/Lまでの排水であれば、第1処理槽10に鉄塩を添加して生物処理することにより、第1処理槽10から排出される排水中のノルマルヘキサン抽出物質濃度を、例えば150mg/L未満に低減できる。このように排水中のノルマルヘキサン抽出物質濃度を低減させることにより、後段の第2処理槽12以降では、油脂による生物処理の阻害が抑制され、効率的に油脂、BOD成分等を生物処理することができ、例えば、ノルマルヘキサン抽出物質濃度を30mg/L以下、BOD成分濃度を50mg/L以下まで低減できる。また、本実施形態の油脂含有排水の処理装置では、予め油脂を除去するための加圧浮上処理を必要としないため、設備を簡素化することができ、処理コストも低減できる。更に、鉄塩の栄養塩類、酸化触媒等の作用によって、油脂の分解において、高価な油脂分解微生物や油脂分解酵素を必ずしも必要としないため、さらに処理コストが低減できる。
【0028】
第1処理槽10内の微生物の生育は、槽内のpHによっても影響を受け易い。特に、鉄塩の存在下で微生物の生育をより向上させる点、最終的な処理水を中和して系外へ排出する操作を効率的に行うことができる点等から、第1処理槽10内のpHを弱酸性〜弱アルカリ性に調整することが好ましく、例えば、pH6〜9の範囲に調整することが好ましく、pH6.5〜7.5の範囲に調整することが好ましい。また、第2処理槽12内のpHも、微生物の生育を向上させる点、最終的な処理水を中和して系外へ排出する操作を効率的に行うことができる点等から、例えば、pH6〜8の範囲に調整することが好ましく、pH6.5〜7.5の範囲に調整することが好ましい。
【0029】
第1処理槽10での生物処理は好気条件下で行うことが好ましく、第1処理槽10内に曝気装置を設置して、第1処理槽10内の溶存酸素濃度が0.5mg/L以上となるように酸素を供給することが好ましく、1.0mg/L以上となるように酸素を供給することがより好ましい。また、第2生物処理槽12以降の生物処理も好気条件下で行うことが好ましく、第2処理槽12以降の処理槽内にも曝気装置を設置して、第2処理槽12以降の処理槽内の溶存酸素濃度が0.5mg/L以上となるように酸素を供給することが好ましく、1.0mg/L以上となるように酸素を供給することがより好ましい。
【0030】
油脂含有排水の性状等によって、油脂の分解に必要な時間は異なるため、第2処理槽12以降での油脂による生物処理の阻害を抑制する点等から、第1処理槽10から排出される排水中のノルマルヘキサン抽出物質濃度が150mg/L以下になるように、第1処理槽10における油脂含有排水の滞留時間を設定することが好ましく、例えば、6時間から48時間の範囲とすることが好ましい。第1処理槽10から排出される排水中のノルマルヘキサン抽出物質濃度が、例えば150mg/L以下に低減されていない場合等は、後段の第2処理槽12等に鉄塩を添加することが好ましい。また、排水中のBOD成分を適切に生物処理する点等から、最終的に得られる処理水中のBOD成分濃度が50mg/L以下になるように、第2処理槽12以降の処理槽における排水の滞留時間を設定することが好ましく、例えば、6時間から24時間の範囲とすることが好ましい。
【0031】
第1処理槽10内の微生物量を維持する点等から、第1処理槽10内に市販の微生物製剤を投入することが好ましい。また、第1処理槽10内の微生物量を維持する点等から、スポンジ担体、ゲル担体、中空筒状単体、繊維状担体等の微生物担体を、第1処理槽10内に投入して微生物を固定化する方法を用いることも好ましい。第2処理槽12以降の処理槽も同様に、市販の微生物製剤や微生物担体を投入することが好ましい。
【0032】
図2は、本実施形態に係る油脂含有排水処理装置の構成の他の一例を示す模式図である。
図2に示す油脂含有排水処理装置2において、
図1に示す油脂含有排水処理装置1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0033】
図2に示す油脂含有排水処理装置2は、処理水返送管26を備えている。処理水返送管26の一端は、処理水排出管20に接続され、他端は排水導入管16に接続されている。また、図での説明は省略するが、処理水返送管26の一端は排水排出管18に接続され、他端は排水導入管16に接続されていてもよい。本実施形態では第1処理槽10及び第2処理槽12の2槽構成を例としているが、例えば、3槽構成であれば、処理水返送管26の一端は、第1処理槽10から排出される排水が流れる配管、第2処理槽12から排出される排水が流れる配管及び第3処理槽から排出される排水が流れる配管のうち少なくともいずれか1つに接続され、他端が排水導入管16に接続される。また、本実施形態では、処理水返送管26の他端は排水導入管16に接続されているが、第2処理水から排出される排水を第1処理水へ返送できれば、必ずしもこの構成に制限されるものではなく、例えば、処理水返送管26の他端は第1処理槽10に直接接続されていてもよい。
【0034】
次に、本実施形態に係る油脂含有排水処理装置2の動作について説明する。
【0035】
第1処理槽10内では、鉄塩供給管24から供給された鉄塩の存在下で、排水導入管16から供給された油脂含有排水と油脂分解微生物汚泥とが接触し、主に、油脂含有排水中の油脂が分解される。第1処理槽10に供給された鉄塩は、槽内の油脂分解微生物の生育を促す栄養塩類、油脂の分解を促進する酸化触媒等の作用があると考えられ、第1処理槽10内に鉄塩を供給しない場合と比べて、排水中の油脂を効率的に分解することが可能となる。次に、第1処理槽10内で処理された排水は、排水排出管18から第2処理槽12に供給される。第2処理槽12内では、油脂が低減された排水と微生物汚泥とが接触し、主に、排水中のBOD成分等が分解される。本実施形態では、第1処理槽10内で排水中の油脂を予め分解処理しているため、第2処理槽12内では、油脂による微生物汚泥の活性が阻害されることが抑制され、BOD成分等を効率的に分解(生物処理)することが可能となる。なお、第2処理槽12に供給される排水中には、第1処理槽10に供給した鉄塩が残存している場合が考えられるため、第2処理槽12内でも、排水中に残存する油脂の分解も行われるものと推察される。
【0036】
そして、第2処理槽12により処理された排水の一部は、最終処理水として処理水排出管20から系外へ排出され、残部は処理水返送管26から排水導入管16を介して第1処理槽10に返送される。このように、第2処理槽12で処理された排水の一部(処理水返送管26の一端は排水排出管18に接続されている場合には、第1処理槽10で処理された排水の一部)を第1処理槽10に返送することにより、油脂濃度を低減できるため、より効率的に油脂含有排水中の油脂を分解することができる。
【実施例】
【0037】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0038】
<実施例1>
実施例1では、有効容積2Lの第1処理槽を準備して、第1処理槽に供給する鉄塩の添加量を変化させた時の油脂含有排水中の油脂分解の効果を試験した。実施例1の処理対象となる油脂含有排水としては、工業用水に市販のマヨネーズをノルマルヘキサン抽出物質(n−Hex)濃度で800mg/Lとなるように添加したものを用いた。なお、工業用水中には0.01mg/Lの鉄が含まれており、鉄/n−Hexは0.13×10
−4であった。また、第1処理槽には曝気装置を設置して、第1処理槽内の溶存酸素を1.0mg/L程度とした。また、第1処理槽の温度を20℃、pHを7.0から7.5、滞留時間を12時間とした。第1処理槽に供給する鉄塩としては、硫酸鉄(II)七水和物を用いた。
【0039】
図3は、油脂含有排水単位体積当たりのノルマルヘキサン抽出物質の負荷量に対する同じ油脂含有排水単位体積当たりの鉄の重量比(鉄/n−Hex比)におけるノルマルヘキサン抽出物質の除去速度の結果を示す図である。
図3に示すように、上記調整した被処理水を第1処理槽内で鉄塩を添加せずに処理すると、ノルマルヘキサン抽出物質の除去速度は0.65kg/m
3/dayであったのに対し、鉄/n−Hex比で1.0×10
−3となるように鉄塩を添加して処理すると、ノルマルヘキサン抽出物質の除去速度は0.95kg/m
3/dayまで増加し、鉄塩添加の効果が認められた。また、鉄塩の添加量を増やし、鉄/n−Hex比で2.0×10
−3とすると、ノルマルヘキサン抽出物質の除去速度は1.4kg/m
3/dayまで増加し、鉄塩を添加しない場合と比べると、ノルマルヘキサン抽出物質の分解速度は2倍以上に増加した。なお、実施例1による試験では、さらに鉄塩の添加量を増やし、鉄/n−Hex比で4.0×10
−3としても、鉄/n−Hex比で2.0×10
−3の場合のノルマルヘキサン抽出物質の除去速度とほとんど変わらなかった。したがって、排水中の油脂の分解を促進する上で、鉄/n−Hex比で1.0×10
−3以上となるように鉄塩を添加することが好ましく、2.0×10
−3以上となるように鉄塩を添加することがより好ましいことが分かった。
【0040】
<実施例2>
密閉ネジ口ガラス瓶に食品工場からの排水及び鉄塩を投入し、気相を酸素で置換して、排水中の油脂分解処理を行った。密閉ネジ口ガラス瓶に投入する鉄塩の添加量は、鉄/n−Hex比で25.3×10
−3になるようにした。処理前の排水中のノルマルヘキサン濃度は400mg/Lであり、鉄塩を添加する前の排水中の鉄/n−Hex比は0.7×10
−3であった。また、実施例2の処理時間を18時間とした。表1に、排水の性状と、処理時間、処理後のノルマルヘキサン抽出物質濃度を表1にまとめた。
【0041】
<比較例>
密閉ネジ口ガラス瓶に食品工場からの排水を投入し、気相を酸素で置換して、排水中の油脂分解処理を行った。処理前の排水中のノルマルヘキサン濃度は400mg/Lであり、鉄/n−Hex比は0.7×10
−3であった。また、比較例の処理時間を18時間とした。表1に、排水の性状と、処理時間、処理後のノルマルヘキサン抽出物質濃度を表1にまとめた。
【0042】
【表1】
【0043】
表1から明らかなように、鉄塩を添加した実施例2のノルマルヘキサン抽出物質の分解速度は、鉄塩を添加していない比較例のノルマルヘキサン抽出物質の分解速度と比較して1.4倍に増加した。