(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6055691
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20161219BHJP
G02B 23/26 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
A61B1/00 300U
A61B1/00 300P
G02B23/26
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-26673(P2013-26673)
(22)【出願日】2013年2月14日
(65)【公開番号】特開2014-155526(P2014-155526A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2016年1月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083286
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100166408
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦陽
(72)【発明者】
【氏名】菊地 渉
【審査官】
森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−206624(JP,A)
【文献】
特開2008−237790(JP,A)
【文献】
特開平9−487(JP,A)
【文献】
特開平5−281477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
G02B 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の挿入部の先端部に臨む筒状の観察光学ユニットと、この筒状観察光学ユニットの外囲に位置し、先端の出射端面から照明光を出射させるライトガイドファイバとを備えた内視鏡において、
前記筒状観察光学ユニットの外囲に位置し、前記ライトガイドファイバをその出射端面を露出させた状態で保持するファイバ保持筒と、
前記挿入部の先端部に位置し、ファイバ保持筒に保持された前記ライトガイドファイバの出射端面を覆うフランジ状被覆部と、このフランジ状被覆部の内周縁から前記挿入部の長手方向に突出する筒状嵌合部とを有し、前記ライトガイドファイバの出射端面から出射する照明光を前記筒状観察光学ユニットの視野に配光させるカバー部材と、を備え、
前記筒状観察光学ユニットの先端部外周と前記ファイバ保持筒の先端部内周との間には筒状の嵌合空間が形成されており、この筒状嵌合空間にカバー部材の前記筒状嵌合部が嵌合されていることを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
請求項1記載の内視鏡において、
前記ライトガイドファイバは、前記筒状観察光学ユニットを径方向から挟んで対向する一対が設けられている内視鏡。
【請求項3】
請求項2記載の内視鏡において、
前記ファイバ保持筒は、長手方向に長い外筒と、この外筒よりも長手方向に短く該外筒の先端部の内側に嵌まる内側支持環とを有し、前記外筒と内側支持環との間に、前記一対のライトガイドファイバを挿入するための一対のファイバ挿入穴が形成されている内視鏡。
【請求項4】
請求項2または3記載の内視鏡において、
カバー部材の前記フランジ状被覆部には、前記一対のライトガイドファイバの出射端面から出射する照明光を拡散/集光するためのレンズ面、拡散面または拡散板が設けられている内視鏡。
【請求項5】
請求項4記載の内視鏡において、
前記レンズ面、拡散面または拡散板は、前記一対のライトガイドファイバの出射端面に対応する一対が設けられており、
前記ファイバ保持筒とカバー部材との間には、前記一対のレンズ面、拡散面または拡散板と、前記一対のライトガイドファイバの出射端面との周方向の位相を一致させて両者を対向させる位置決め手段が設けられている内視鏡。
【請求項6】
請求項5記載の内視鏡において、
前記一対のレンズ面は、前記一対のライトガイドファイバの出射端面に対して凹面または凸面を向けている内視鏡。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項記載の内視鏡において、
カバー部材の前記フランジ状被覆部の外周面は、長手方向において略同径のストレート形状または挿入部の先端側に向かって縮径するテーパ形状をなしている内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡に関し、特に鼻咽喉スコープとして用いられるようなチャンネル類を有しない観察に特化した細径内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の細径内視鏡は、その基本構成として、挿入部の先端部に臨む筒状の観察光学ユニットと、この筒状観察光学ユニットの外囲に位置し、先端の出射端面から照明光を出射させるライトガイドファイバとを備えている。従来品は、ライトガイドファイバの出射端面が挿入部の先端部に剥き出しになっていたため、ライトガイドファイバの出射端面の破損のリスクがあり、また所望の配光特性を得られないといった不具合があった。
【0003】
この不具合を解消するために、特許文献1では、挿入部の先端部に、ライトガイドファイバの出射端面を覆う円環形状部を有する透明樹脂製の先端カバーを設けている。しかし、先端カバーを挿入部の先端部に固定するために、円環形状部の外周縁から挿入部の長手方向に延設する周胴部を設けて、この周胴部をライトガイドファイバの外周側に沿わせているため、挿入部が大径化してしまう。また、ライトガイドファイバの出射端面から出射する照明光が筒状観察光学ユニットの外周面(非透光性の絶縁部材)で遮られることで、照明光の量が減るとともに配光範囲も狭くなってしまう。
【0004】
特許文献2では、先端硬性部を照明光が透過可能な透明部材で構成した上で、該先端硬性部に、ライトガイドファイバを挿入してこれを保持するためのファイバ挿入穴を設けている。ファイバ挿入穴の先端部には、ライトガイドファイバの出射端面から出射された照明光を拡散/集光する凹面(レンズ面)と、この凹面を取り囲むように配置されライトガイドファイバの出射端面の周縁部が当て付けられる当付面とが形成されている。しかし、ファイバ挿入穴の先端部に当付部を形成することが必須であるため凹面(レンズ面)の設計に制約が生じてしまい、また、当付部に当て付けられるライトガイドファイバの出射端面の周縁部から出射した照明光は凹面(レンズ面)を通らないため十分な拡散/集光の効果を得ることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4704386号公報
【特許文献2】特開2009−207529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の問題意識に基づいて完成されたものであり、ライトガイドファイバの出射端面の破損を防止し、挿入部の細径化を図るとともに、ライトガイドファイバからの照明光の量と配光範囲を確保して十分に拡散/集光させることで所望の配光特性を実現することができる内視鏡を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の内視鏡は、内視鏡の挿入部の先端部に臨む筒状の観察光学ユニットと、この筒状観察光学ユニットの外囲に位置し、先端の出射端面から照明光を出射させるライトガイドファイバとを備えた内視鏡において、前記筒状観察光学ユニットの外囲に位置し、前記ライトガイドファイバをその出射端面を露出させた状態で保持するファイバ保持筒と、前記挿入部の先端部に位置し、ファイバ保持筒に保持された前記ライトガイドファイバの出射端面を覆うフランジ状被覆部と、このフランジ状被覆部の内周縁から前記挿入部の長手方向に突出する筒状嵌合部とを有し、前記ライトガイドファイバの出射端面から出射する照明光を前記筒状観察光学ユニットの視野に配光させるカバー部材と、を備え、前記筒状観察光学ユニットの先端部外周と前記ファイバ保持筒の先端部内周との間には筒状の嵌合空間が形成されており、この筒状嵌合空間にカバー部材の前記筒状嵌合部が嵌合されていることを特徴としている。
【0008】
前記ライトガイドファイバは、前記筒状観察光学ユニットを径方向から挟んで対向する一対が設けられていることが好ましい。
【0009】
前記ファイバ保持筒は、長手方向に長い外筒と、この外筒よりも長手方向に短く該外筒の先端部の内側に嵌まる内側支持環とを有し、前記外筒と内側支持環との間に、前記一対のライトガイドファイバを挿入するための一対のファイバ挿入穴が形成されていることが好ましい。
【0010】
カバー部材の前記フランジ状被覆部には、前記一対のライトガイドファイバの出射端面から出射する照明光を拡散/集光するためのレンズ面、拡散面または拡散板が設けられていることが好ましい。
【0011】
前記レンズ面、拡散面または拡散板は、前記一対のライトガイドファイバの出射端面に対応する一対が設けられており、前記ファイバ保持筒とカバー部材との間には、前記一対のレンズ面、拡散面または拡散板と、前記一対のライトガイドファイバの出射端面との周方向の位相を一致させて両者を対向させる位置決め手段が設けられていることが好ましい。
【0012】
前記一対のレンズ面は、前記一対のライトガイドファイバの出射端面に対して凹面または凸面を向けることができる。
【0013】
カバー部材の前記フランジ状被覆部の外周面は、長手方向において略同径のストレート形状または挿入部の先端側に向かって縮径するテーパ形状とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ライトガイドファイバの出射端面の破損を防止し、挿入部の細径化を図るとともに、ライトガイドファイバからの照明光の量と配光範囲を確保して十分に拡散/集光させることで所望の配光特性を実現することができる内視鏡が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明による内視鏡の挿入部の先端部を示す側断面図である。
【
図3】挿入部の先端部にカバー部材を嵌め込む前の状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明による内視鏡の作用効果を示す
図1に対応する側断面図である。
【
図5】本発明による内視鏡の別の実施形態を示す
図1に対応する側断面図である。
【
図6】本発明による内視鏡のさらに別の実施形態を示す図である。
【
図7】本発明による内視鏡のさらに別の実施形態を示す図であり、
図7(A)はカバー部材のフランジ状被覆部に一対の凸レンズ面を設けた実施形態を示す図であり、
図7(B)はカバー部材のフランジ状被覆部に一対の拡散板を設けた実施形態を示す図である。
【
図8】本発明による内視鏡のさらに別の実施形態を示す図であり、
図8(A)はファイバ保持筒の係合凹部とカバー部材の係合凸部を示す
図2に対応する断面図であり、
図8(B)はカバー部材の単体構成を示す後方から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、
図1ないし
図4を参照して、本発明による内視鏡(電子内視鏡)10の一実施形態について説明する。本実施形態の内視鏡10は、例えば、鼻咽喉スコープとして用いられるようなチャンネル類を有しない観察に特化した細径内視鏡である。
【0017】
内視鏡10は可撓性を有する長尺の挿入部11を有している。挿入部11の外面は絶縁性の外皮部12で覆われている。本明細書における前後方向は、挿入部11の先端側を「前方」、挿入部11の基端側を「後方」とする。
【0018】
挿入部11の内部には、該挿入部11の先端部に臨む筒状の観察光学ユニット20が設けられている。筒状観察光学ユニット20は、非透光性の絶縁材料からなる円筒部材21に対物レンズ群22を保持してなる。筒状観察光学ユニット20の後方には撮像素子23と駆動回路24が順に位置しており、この撮像素子23と駆動回路24には複数の信号線からなる信号ケーブル25が接続している。撮像素子23と駆動回路24と信号ケーブル25の先端部はこれらを接着剤でモールドしたパッケージ部として構成されており、このパッケージ部の外側がシールド環26で覆われている。筒状観察光学ユニット20(対物レンズ群22)によって被写体像が撮像素子23の撮像面に結像され、光電変換により得られる画像信号が信号ケーブル25を経て図示しない画像処理装置に送られることで、被写体画像が表示ないし記録される。
図1中のOは筒状観察光学ユニット20(対物レンズ群22)の光軸である。撮像素子23の撮像面は横長矩形をなしており、
図1、
図3中の矢印Lが撮像素子23の撮像面の長辺方向、
図3中の矢印Sが撮像素子23の撮像面の短辺方向である。
【0019】
挿入部11の内部には、筒状観察光学ユニット20の外囲に位置させて、複数の光学繊維を束ねて形成された一対のライトガイドファイバ30が設けられている。一対のライトガイドファイバ30は、図示しない光源装置からの照明光を導いて先端の出射端面31から出射する。
図1、
図3に示すように、一対のライトガイドファイバ30は、撮像素子23の撮像面の長辺Lの方向に離間して光軸O方向に沿って延設されており、筒状観察光学ユニット20を径方向から挟んで対向している。また一対のライトガイドファイバ30の出射端面31は、撮像素子23の撮像面の短辺Sの方向に細長く延びて三日月状をなしており、光軸Oを中心として対称な形状を有している。より詳細には、一対のライトガイドファイバ30の出射端面31は、正面視で、筒状観察光学ユニット20の光軸を中心とする円弧を、短辺Sと平行な線分で切り取った形をしている。一対のライトガイドファイバ30をこのように配置することで、例えばアスペクト比5:4、4:3、16:9といった横長なモニタの表示領域をフルに使用して、挿入部11のレイアウトの無駄を防止して細径化するとともに、照明光のロスを減らすことができる。
【0020】
挿入部11の内部には、筒状観察光学ユニット20の外囲に位置させて、ファイバ保持筒40が設けられている。ファイバ保持筒40は、一対のライトガイドファイバ30の先端付近の所定長をその出射端面31を露出させた状態で保持する。ファイバ保持筒40は、長手方向に長い外筒41と、この外筒41よりも長手方向に短く該外筒41の先端部の内側に嵌まる内側支持環42とを有している。外筒41と内側支持環42との間には、一対のライトガイドファイバ30を挿入するための一対のファイバ挿入穴43が形成されている。一対のファイバ挿入穴43に対して一対のライトガイドファイバ30の先端部が挿入されて接着固定される。内側支持環42には貫通穴44が形成されており、筒状観察光学ユニット20(円筒部材21)は、この貫通穴44から前方に突出した状態でファイバ保持筒40内に固定される。
【0021】
図1に示すように、筒状観察光学ユニット20(円筒部材21)の先端部外周と、ファイバ保持筒40(内側支持環42)の先端部内周との間には、筒状の嵌合空間50が形成されている。
【0022】
挿入部11の先端部には、一対のライトガイドファイバ30の出射端面31から出射する照明光を筒状観察光学ユニット20(対物レンズ群22)の視野に配光させる透光性で絶縁性のカバー部材60が設けられている。このカバー部材60は、ファイバ保持筒40に保持された一対のライトガイドファイバ30の出射端面31を覆うフランジ状被覆部61と、このフランジ状被覆部61の内周縁から挿入部11の長手方向に突出する筒状嵌合部62とを有する回転対称形状をなしている。フランジ状被覆部61は、挿入部11の長手方向と直交しており、その外周面は長手方向において略同径のストレート部61aをなしている。カバー部材60は、筒状嵌合部62を筒状嵌合空間50に嵌合し、且つ、フランジ状被覆部61の後端部外周、ファイバ保持筒40(外筒41)の先端部外周及び外皮部12の先端部外周に亘って接着剤bを塗布することで、挿入部11の先端部に固定される。
【0023】
以上のように構成された内視鏡10は、
図4に示すように、カバー部材60のフランジ状被覆部61が一対のライトガイドファイバ30の出射端面31を覆ってこれを保護しているので、一対のライトガイドファイバ30の出射端面31の破損を防止することができる。
【0024】
また、カバー部材60は絶縁材料からなっていて、その筒状嵌合部62が筒状嵌合空間50に嵌合しているため、挿入部11の内部の周方向スペースを効果的に利用することができ、上述した特許文献1の周胴部に相当する構成要素を設ける必要がなくなり、挿入部11の細径化を図ることができる。つまり、
図4中の“長さA”を極限まで小さくすることができる。
【0025】
また、カバー部材60の筒状嵌合部62が絶縁環の役割を果たしているため、別部材としての絶縁環を設けることなく部品点数を少なくすることができ、カバー部材60のフランジ状被覆部61から広範囲に照明光を出射することができる(照明光のロスを減少することができる)。つまり、
図4中の“角度α”を極限まで大きくすることができる。仮に、筒状観察光学ユニット20(円筒部材21)とファイバ保持筒40(内側支持環42)との間に別部材としての絶縁環を設けたときには、部品点数が多くなるとともに、一対のライトガイドファイバ30の出射端面31から出射する照明光が絶縁環で遮られることで、照明光の量が減って配光範囲も狭くなってしまう。
【0026】
図5は、本発明による内視鏡10の別の実施形態を示している。この実施形態では、フランジ状被覆部61の外周面が挿入部11の先端側に向かって縮径するテーパ形状部61bをなしている。これにより、内視鏡10の挿入部11を被検者の鼻孔や咽頭孔に挿入し易くして被検者の負担を軽減することができ、また術者(医師)の作業性にも優れている。
【0027】
図6は、本発明による内視鏡10のさらに別の実施形態を示している。この実施形態では、カバー部材60のフランジ状被覆部61に、一対のライトガイドファイバ30の出射端面31から出射する照明光を拡散するための一対のレンズ面63が形成されている。この一対のレンズ面63は、一対のライトガイドファイバ30の出射端面31に対して凹面を向けた凹レンズ面からなる。
【0028】
この実施形態によれば、上述した特許文献2の当付面に相当する構成要素を設ける必要がないので、一対のライトガイドファイバ30の出射端面31の全域から出射される照明光が漏れなく凹レンズ面63を通って十分な拡散効果を得ることができ、また、凹レンズ面63の設計の自由度を高めることができる。
【0029】
図7(A)、(B)は、本発明による内視鏡10のさらに別の実施形態を示している。
図7(A)の実施形態では、カバー部材60のフランジ状被覆部61に、
図6の一対の凹レンズ面63に代えて、一対のライトガイドファイバ30の出射端面31に対して凸面を向けた一対の凸レンズ面64を設け、出射端面31から出射する照明光が集光するようにしている。
図7(B)の実施形態では、カバー部材60のフランジ状被覆部61に、
図6の一対の凹レンズ面63に代えて、一対の嵌込凹部65を形成し、この一対の嵌込凹部65に一対の拡散板66を嵌め込んでいる。カバー部材60のフランジ状被覆部61に、凹レンズ面63を設けるか、凸レンズ面64を設けるか、あるいは拡散板66を設けるかは、内視鏡10の性質(要求)に応じて定める。
【0030】
なお、図示は省略しているが、カバー部材60のフランジ状被覆部61に、一対のライトガイドファイバ30の出射端面31から出射する照明光を拡散するための一対の拡散面を形成してもよい。
【0031】
図8(A)、(B)は、本発明による内視鏡10のさらに別の実施形態を示している。この実施形態では、ファイバ保持筒40の内側支持環42の周方向の一部に円弧状の係合凹部(位置決め手段)45が形成されており、カバー部材60の筒状嵌合部62の周方向の一部に円弧状の係合凸部(位置決め手段)67が形成されている。これにより、係合凸部67を係合凹部45に係合させるだけで、ファイバ保持筒40とカバー部材60の相対回転が規制され、カバー部材60のフランジ状被覆部61に形成された一対の凹レンズ面63、凸レンズ面64、嵌込凹部65、拡散板66または拡散面と、一対のライトガイドファイバ30の出射端面31との周方向位相を一致させて両者を対向させることができる。
【0032】
以上の実施形態では、本発明の内視鏡10を、鼻咽喉スコープとして用いられるようなチャンネル類を有しない観察に特化した細径内視鏡に適用した場合を例示して説明した。しかし本発明は、例えば、処置具挿通チャンネルや送気送水チャンネルなどの各種のチャンネル類を有する内視鏡にも同様に適用可能である。
【0033】
以上の実施形態では、筒状観察光学ユニット20を径方向から挟んで対向する正面三日月状の一対のライトガイドファイバ30を用いた場合を例示して説明したが、一対のライトガイドファイバ30の正面形状は三日月形に限られず、また一対を配置するのに代えて、筒状観察光学ユニット20を取り囲む正面円環状のライトガイドファイバを用いることも可能である。
【0034】
以上の実施形態では、一対のライトガイドファイバ30の出射端面31に対応させて、一対のレンズ面63、64、拡散板66または拡散面(図示せず)を設けた場合を例示して説明したが、レンズ面、拡散板または拡散面を周方向に連続して形成する態様も可能である。
【符号の説明】
【0035】
10 内視鏡
11 挿入部
12 外皮部
20 筒状観察光学ユニット
21 円筒部材
22 対物レンズ群
23 撮像素子
24 駆動回路
25 信号ケーブル
26 シールド環
30 ライトガイドファイバ
31 出射端面
40 ファイバ保持筒
41 外筒
42 内側支持環
43 ファイバ挿入穴
44 貫通穴
45 係合凹部(位置決め手段)
50 筒状嵌合空間
60 カバー部材
61 フランジ状被覆部
61a ストレート部
61b テーパ形状部
62 筒状嵌合部
63 凹レンズ面
64 凸レンズ面
65 嵌込凹部
66 拡散板
67 係合凸部(位置決め手段)