特許第6055717号(P6055717)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6055717
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】フューザー部材
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20161219BHJP
   C08G 81/00 20060101ALI20161219BHJP
   C08L 71/00 20060101ALI20161219BHJP
   C08K 5/544 20060101ALI20161219BHJP
   C08L 27/12 20060101ALN20161219BHJP
【FI】
   G03G15/20 515
   C08G81/00
   C08L71/00
   C08K5/544
   !C08L27/12
【請求項の数】14
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-105855(P2013-105855)
(22)【出願日】2013年5月20日
(65)【公開番号】特開2014-2371(P2014-2371A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2016年5月13日
(31)【優先権主張番号】13/517,740
(32)【優先日】2012年6月14日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マンダキニ・カナンゴ
(72)【発明者】
【氏名】マリーナ・オーナツカ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・ガヴァシ
(72)【発明者】
【氏名】サントク・バデシャ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・エム・ケリー
【審査官】 佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−288320(JP,A)
【文献】 特開平06−264021(JP,A)
【文献】 米国特許第05700861(US,A)
【文献】 特開平09−090737(JP,A)
【文献】 特開平10−010894(JP,A)
【文献】 米国特許第05695878(US,A)
【文献】 特開2008−266364(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0105819(US,A1)
【文献】 特開2007−304374(JP,A)
【文献】 特開2010−176124(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0190100(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0159276(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
C08G 81/00
C08K 5/544
C08L 71/00
C08L 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面層を備えたフューザー部材であって、
前記表面層が、フルオロエラストマーと、ペルフルオロポリエーテル化合物と、オキシアミノシランとを含む反応混合物からつくられるフルオロエラストマー・ペルフルオロポリエーテルコンポジットを含み、
前記ペルフルオロポリエーテル化合物は、末端オキシシラン基を含み、
前記オキシアミノシランと前記ペルフルオロポリエーテル化合物のモル比は、約2:1〜約1:10である、フューザー部材。
【請求項2】
前記フルオロエラストマーと前記ペルフルオロポリエーテル化合物の重量比は、約50:40〜約85:5である、請求項1に記載のフューザー部材。
【請求項3】
前記オキシアミノシランは、末端がアミノのシロキサンである、請求項1に記載のフューザー部材。
【請求項4】
前記オキシアミノシランは、末端がアミノプロピルのポリジメチルシロキサンである、請求項3に記載のフューザー部材。
【請求項5】
前記末端がアミノのシロキサンは、分子量が約500〜約1500である、請求項3に記載のフューザー部材。
【請求項6】
前記表面層は、フィラーを含む、請求項1に記載のフューザー部材。
【請求項7】
前記フィラーは、前記表面層の重量に対して5〜約20重量%の量で含まれる、請求項6に記載のフューザー部材。
【請求項8】
前記フィラーは、カーボンブラック、酸化鉄、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン、炭素繊維からなる群より選択される、請求項6に記載のフューザー部材。
【請求項9】
前記フィラーは、平均粒径が約2ナノメートル〜約10ミクロンである、請求項6に記載のフューザー部材。
【請求項10】
フューザー部材の表面層を製造する方法であって、
表面層組成物を型に堆積させることと、
前記表面層を高温で硬化させることと、
を含み、
前記表面層が、フルオロエラストマーと、ペルフルオロポリエーテル化合物と、オキシアミノシランとを含む反応混合物からつくられるフルオロエラストマー・ペルフルオロポリエーテルコンポジットを含み、
前記ペルフルオロポリエーテル化合物は、末端オキシシラン基を含み、
前記オキシアミノシランと前記ペルフルオロポリエーテル化合物のモル比は、約2:1〜約1:10である、方法。
【請求項11】
前記硬化は、約400°F〜約500°Fの温度で行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記フルオロエラストマーと前記ペルフルオロポリエーテル化合物の重量比は、約50:40〜約85:5である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
表面層を含むフューザー部材を備え、
前記表面層が、フルオロエラストマーと、ペルフルオロポリエーテル化合物と、オキシアミノシランとを含む反応混合物からつくられるフルオロエラストマー・ペルフルオロポリエーテルコンポジットを含み、
前記ペルフルオロポリエーテル化合物は、末端オキシシラン基を含み、
前記オキシアミノシランと前記ペルフルオロポリエーテル化合物のモル比は、約2:1〜約1:10である、印刷システム。
【請求項14】
前記フルオロエラストマーと前記ペルフルオロポリエーテル化合物の重量比は、約50:40〜約85:5である、請求項13に記載の印刷システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、本明細書に記載するような表面層を有するフューザー部材に関する。フューザー部材は、種々のマーキング装置およびマーキング方法で使用するのに適している。
【背景技術】
【0002】
支持部材の上にトナー画像を固定するために熱エネルギーを使用することが知られている。熱によって支持材表面の上で電気を帯びたトナー材料を永久的に融合させるために、通常は、トナー材料の構成要素が融着し、粘着性になる点までトナー材料の温度を上げることが必要である。この加熱によって、トナーが支持部材の繊維または孔の中である程度まで流動する。その後、トナー材料が冷却するにつれて、トナー材料の固化によって、トナー材料が支持材にしっかりと結合する。
【0003】
典型的には、トナー中で使用する特定の樹脂の軟化範囲に依存して、約90℃〜約200℃またはそれ以上の温度まで加熱することによって、熱可塑性樹脂粒子を基材に融合させる。しかし、基材の温度を実質的に約250℃より高い温度まで上げることは、このような高温では、特に基材が紙の場合には、基材が変色するか、または変換されて燃焼してしまう傾向があるため、望ましくないことがある。
【0004】
電気を帯びたトナー画像を熱融合させるいくつかの手法が記載されてきた。これらの方法は、加圧接触状態で維持されるロール対、ロールとの加圧接触状態にあるベルト部材、ヒーターと加圧接触状態にあるベルト部材などの種々の手段によって実質的に同時に熱と圧力の適用を加えることを含む。ロール、プレート部材またはベルト部材の片方または両方を加熱することによって熱を加えてもよい。熱、圧力および接触時間の適切な組み合わせが与えられたとき、トナー粒子の融合が起こる。トナー粒子の融合をもたらすこれらのパラメータの調整は、当該技術分野で十分に知られており、特定の機械または処理条件に合うように調節することができる。
【0005】
熱が加えられ、支持材の上でトナー粒子を熱融合させる融合システムの操作中に、トナー画像と支持材を、ロール対またはプレートまたはベルト部材の間に形成された爪によって通す。爪の中に熱を移動させ、同時に圧力を加えると、支持材の上でトナー画像が融合する。融合プロセスにおいて、通常の操作中に、支持材からフューザー部材へのトナー粒子のオフセットがないことが重要である。フューザー部材へのトナー粒子のオフセットは、その後に、機械の他の部分に移るか、またはその後の複写サイクルで支持材に移り、それによって、バックグラウンドが上昇するか、または複写される材料の妨害となることがある。トナー粒子が液化し、融合操作中に溶融トナーの分離が起こる点までトナーの温度が上がると、「ホットオフセット」と呼ばれることが起こり、フューザー部材の上に、一部が残る。ホットオフセット温度またはホットオフセット温度の低下は、フューザーロールの剥離特性の指標であり、したがって、必要な剥離を与える表面エネルギーが低いフュージング部材を与えることが望ましい。フューザーロールの良好な剥離特性を確保し、維持するために、フュージング操作中にフューザーロールに剥離剤を塗布することが慣習となっている。典型的には、これらの材料、例えば、非官能性シリコーン油またはメルカプト官能性またはアミノ官能性のシリコーン油を薄膜として塗布し、トナーのオフセットを防ぐ。
【0006】
フューザー部材で使用するのに適した代替的な材料を特定することが望ましいだろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、フューザー部材に関する。フューザー部材は、フルオロエラストマー・ペルフルオロポリエーテルコンポジットからつくられる表面層を備えている。
【0008】
種々の実施形態では、表面層を備え、表面層が、フルオロエラストマーとペルフルオロポリエーテル化合物を含む反応混合物からつくられるフルオロエラストマー・ペルフルオロポリエーテルコンポジットを含む、フューザー部材が開示される。
【0009】
フルオロエラストマーとペルフルオロポリエーテル化合物の重量比は、約50:40〜約85:5であってもよい。
【0010】
ペルフルオロポリエーテル化合物は、末端アミノ基を含むことができる。一部の具体的な実施形態では、ペルフルオロポリエーテル化合物は、末端オキシシラン基を含み、反応混合物は、オキシアミノシランをさらに含む。オキシアミノシランは、末端がアミノのシロキサンであってもよい。末端がアミノのシロキサンは、末端がアミノプロピルのポリジメチルシロキサンであってもよい。ある変形例では、末端がアミノのシロキサンは、分子量が約500〜約1500である。オキシアミノシランとペルフルオロポリエーテル化合物のモル比は、約2:1〜約1:10であってもよい。
【0011】
表面層は、フィラーをさらに含むことができる。フィラーは、表面層の5〜約20重量%の量で存在していてもよい。フィラーは、カーボンブラック、酸化鉄、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン、炭素繊維からなる群から選択されてもよい。フィラーは、平均粒径が約2ナノメートル〜約10ミクロンであってもよい。
【0012】
また、表面層組成物を型に堆積させることと、表面層を高温で硬化させることとを含み、表面層組成物が、フルオロエラストマーとペルフルオロポリエーテル化合物の反応からつくられるコンポジットを含む、フューザー部材の表面層を製造する方法も開示される。
【0013】
硬化は、約400°F〜約500°Fの温度で行なうことができる。
【0014】
フルオロエラストマーとペルフルオロポリエーテル化合物の重量比は、約50:40〜約85:5であり得る。
【0015】
場合により、反応混合物は、オキシアミノシランをさらに含む。オキシアミノシランとペルフルオロエーテル化合物のモル比は、約2:1〜約1:10であってもよい。
【0016】
また、いくつかの実施形態では、表面層を含むフューザー部材を備え、表面層が、フルオロエラストマーとペルフルオロポリエーテル化合物を含む反応混合物からつくられるフルオロエラストマー・ペルフルオロポリエーテルコンポジットを含む印刷システムも開示される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、一般的な静電複写装置の図である。
図2図2は、本開示の一実施形態にかかるフュージングベルトの断面図である。
図3図3は、2層構造を有し、その表面層が、本開示のコーティングを含むフューザー要素の模式的な断面図である。
図4図4は、3層構造を有し、その表面層が、本開示のコーティングを含むフューザー要素の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書に開示されるプロセスおよび装置のさらに完全な理解は、添付の図面を参照することによって得ることができる。これらの図は、既存の技術および/または本発明の進歩を示すことの簡便さおよび容易さに基づく単なる模式図であり、したがって、集合体またはその要素の相対的な大きさおよび寸法を示すことを意図していない。
【0019】
明確にするために、特定の用語を以下の記載に使用するが、これらの用語は、図面での説明のために選択された実施形態の特定の構造のみを指すことを意図しており、本開示の範囲を定義したり、限定したりすることを意図するものではない。以下の図面および記載において、同様の機能を有する要素は、同じ数値で参照されていることを理解すべきである。
【0020】
ある量と組み合わせて使用される「約」という修飾語は、示されている値を含み、その内容によって示されている意味を有する(例えば、特定の量の測定に関連するある程度の誤差を少なくとも含む)。ある特定の値とともに使用される場合、その値を開示していると考えるべきである。例えば、「約2」という用語は、「2」という値も開示しており、「約2〜約4」という範囲は、「2〜4」という範囲も開示している。
【0021】
本明細書で使用する場合、「フューザー」または「固定」部材という用語、およびこれらの変形語は、ロール、ベルト(例えば、終端のないベルト)、平坦な表面(例えば、シートまたはプレート)、または熱可塑性トナー画像を適切な基材に固定するのに使用される他の適切な形状であってもよい。これは、フューザー部材、加圧部材、または剥離剤供与部材の形態であってもよく、好ましくは、円柱形ロールの形態であってもよい。
【0022】
図1を参照すると、典型的な静電複写複製装置では、複写される元々の光像は、感光部材の上に静電潜像の形態で記録され、その後、潜像は、電気を帯びた熱可塑性樹脂粒子(一般的にはトナーと呼ばれる)の塗布によって可視化される。具体的には、感光体10は、電源11から電圧が供給された充電部12によって、その表面が帯電される。次いで、感光体は、光学システムまたは画像入力装置13(例えば、レーザおよび発光ダイオード)からの光で画像の形に露光され、その上に静電潜像を形成する。一般的に、静電潜像は、現像ステーション14からの現像剤組成物と接触することによって現像される。現像は、磁気ブラシ、パウダークラウド、または他の既知の現像プロセスの使用によって行なうことができる。
【0023】
トナー粒子を光伝導性表面の上に画像の形状に堆積させた後、トナー粒子は、転写手段15によってコピーシート16に転写され、この転写は、加圧転写または静電転写であってもよい。または、現像した画像を中間転写体に転写し、次いで、コピーシートに転写してもよい。
【0024】
現像した画像の転写が終了した後、コピーシート16は、融合ステーション19(図1では融合ロールおよび加圧ロールとして示されている)へと進み、コピーシート16をフュージング部材20と加圧部材21の間に通すことによって、現像した画像をコピーシート16に融合させ、それによって、永久的な画像を作製する。感光体10は、転写の後に洗浄ステーション17に進み、感光体105の上に残った任意のトナーを、ブレード22(図1に示されている)、ブラシ、または他の洗浄装置によって感光体から洗い落とす。融合ステーション19は、ローラーとしてフュージング部材および加圧部材を示しているが、フューザー部材および/または加圧部材は、ベルト、シート、膜または他の同様のフュージング部材の形態であってもよい。
【0025】
図2を参照すると、フューザーロール20の一実施形態とともに、適切な基材部材4の上にポリマー表面5と、任意の適切な金属(例えば、アルミニウム、陽極酸化アルミニウム、鋼鉄、ニッケル、銅など)から製造され、円筒形と同延の中空部分に配置された適切な加熱エレメント6を備える中空円筒形またはコアとを備える融合ステーション19の一実施形態が示されている。フューザー部材20は、コア4と表面層5との間に配置された接着剤、緩衝部または他の適切な層7を備えていてもよい。バックアップまたは加圧ロール21は、フューザーロール20と協働し、爪または接触弓部1を形成し、その間をコピー紙または他の基材16が、その上にあるトナー画像24がフューザーロール20のエラストマー表面5と接触するように通る。図2に示されるように、バックアップロールまたは加圧ロール21の一実施形態は、剛性の鋼鉄コア2を有し、その上にポリマーまたはエラストマーの表面または層3を有するものとして示されている。液貯め25は、室温では固体または液体であってもよいが、操作温度では流体であるポリマー剥離剤26を含む。加圧部材21は、加熱エレメント(図示せず)を備えていてもよい。
【0026】
ポリマー剥離剤26をポリマーまたはエラストマーの表面5に塗布するための図2に示される実施形態では、示されている方向に回転可能に取り付けられた2個の剥離剤運搬ロール27および28が、剥離剤26をポリマーまたはエラストマーの表面5に移動させるために提供される。運搬ロール27は、液貯め25に部分的に浸っており、液貯めから運搬ロール28へと表面剥離剤が移動する。計量ブレード29を用いることによって、ポリマー剥離液の層を、最初に運搬ロール27に塗布し、次いで、マイクロメートル未満の厚みから数マイクロメートルの厚みまでの剥離液を制御した厚みでポリマーまたはエラストマー5に塗布することができる。したがって、いくつかの実施形態では、計量デバイス29によって、約0.1〜約2マイクロメートルまたはそれ以上の厚みの剥離液をポリマーまたはエラストマー5の表面に塗布することができる。
【0027】
図3を参照すると、融合要素の一実施形態が示されている。図3は、2層構造を有し、基材32と、基材の上に配置された表面層34とを備える融合要素30を示す。表面層34は、フルオロエラストマー・ペルフルオロポリエーテルコンポジットを含む。
【0028】
図4を参照すると、3層構造を有するフューザー要素40が示されている。フューザー要素40は、基材42と、表面層44と、基材層42と表面層44との間に配置されている中間層43とを備えている。表面層44は、本開示のコーティング組成物を含み、フルオロエラストマー・ペルフルオロポリエーテルコンポジットを含む。
【0029】
図3および図4に示されるフューザー要素は、フューザーベルトとして示されているが、本開示のフューザー要素は、任意の適切な構造であってもよい。例えば、フューザー要素は、シート、膜、ウェブ、箔、片、コイル、円柱形、ドラム、ローラー、終端のない片、円板、ベルト(終端のないベルト、終端のないつなぎ目のある可とう性ベルト、終端のないつなぎ目のない可とう性ベルト、パズルカットのつなぎ目を有する終端のないベルトなどを含む)の形態であってもよい。
【0030】
さらに、本開示のフューザー要素が、2層構造および/または3層構造に限定されないことが当業者には理解されるだろう。本開示のフューザー要素は、所望な場合、基材と表面層との間に配置された任意の数の中間層および/または接着層を備えていてもよい。
【0031】
一般的に、フルオロエラストマー・ペルフルオロポリエーテルコンポジットは、フルオロエラストマーとペルフルオロポリエーテル化合物(PFPE)の反応からつくられる。フルオロエラストマー・ペルフルオロポリエーテルコンポジットは、少なくとも2つの様式でつくることができる。第1の方法では、フルオロエラストマー・ペルフルオロポリエーテルコンポジットは、フルオロエラストマーと、末端アミノ基を含むペルフルオロポリエーテル化合物の反応からつくられる。第2の方法では、フルオロエラストマー・ペルフルオロポリエーテルコンポジットは、フルオロエラストマーと、オキシアミノシランと、末端オキシシリル基を含むペルフルオロポリエーテル化合物の反応からつくられる。
【0032】
フルオロエラストマーは、もっぱらヘキサフルオロプロピレン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン(VDF)、ペルフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)、エチレン(ET)からなる群から選択されるモノマーを含有するコポリマーであってもよい。ここで、コポリマーという用語は、2種類以上のモノマーからつくられるポリマーを指す。フルオロエラストマーは、通常は、これらのモノマーのうち、2種類または3種類を含有し、フッ素含有量が約60wt%〜約70wt%である。言い換えると、フルオロエラストマーは、式(1)の構造を有することができ、
【化1】
式中、fは、HFPのモルパーセントであり、gは、TFEのモルパーセントであり、hは、VDFのモルパーセントであり、jは、PMVEのモルパーセントであり、kは、ETのモルパーセントであり;f+g+h+j+kは、100モルパーセントであり;f、g、h、j、kは、個々にゼロであってもよいが、f+g+h+jは、少なくとも50モルパーセントでなければならない。式(1)は、単にそれぞれのモノマーの構造およびそれらの相対的な量を示しており、フルオロエラストマー内の結合を記述するものと(すなわち、5個のブロックを有するものと)解釈すべきではないことを注記しておく。フルオロエラストマーは、一般的に、優れた耐化学薬品性および良好な物理特性を有する。例示的なフルオロエラストマーは、Tecnoflon P959としてSolvayから、またはDai−el G−621としてDaikinから入手可能である(VDF−TFE−HFPターポリマー)。Tecnoflon P959は、100wt%のVDF−TFE−HFPターポリマーを含有する。
【0033】
フルオロエラストマー単独では、インク剥離性が不良な場合がある。ペルフルオロポリエーテル化合物を含むことによって、非膨潤性およびインク剥離性を併せ持つフューザー部材が与えられる。「ペルフルオロポリエーテル化合物」という用語は、少なくとも1つのペルフルオロ基と、少なくとも2つのエーテル結合とを含む化合物を指す。いくつかの実施形態では、ペルフルオロポリエーテル化合物は、末端アミノ基または末端オキシシリル基を有していてもよい。「PFPE」という省略語は、本明細書でペルフルオロポリエーテル化合物を指すために用いられてもよい。
【0034】
「ペルフルオロ基」という用語は、完全に炭素原子およびフッ素原子のみで構成される基を指す。この基は、直鎖、分枝鎖または環状であってもよい。この基は、一価または二価であってもよい。例示的なペルフルオロ基としては、特に、ペルフルオロメチレン(−CF−)、ペルフルオロエチレン(−CFCF−)、ペルフルオロメチル(−CF)が挙げられる。
【0035】
「エーテル結合」という用語は、2個の異なる原子に共有結合した酸素原子、すなわち、R−O−Rを指す。
【0036】
末端アミノ基を有するペルフルオロポリエーテル化合物の一例は、以下に式(2)で示され、
【化2】
式中、bおよびcは、独立して、0〜10であり;p、q、r、sは、独立して、それぞれのモノマーのモルパーセントであり;各Lは、接続基である。例示的な接続基としては、アルキル、アミド、カルボニル、およびこれらの組み合わせが挙げられる。ペルフルオロポリエーテル化合物は、平均分子量が約1000〜約3000であってもよい。式(2)は、単にそれぞれのモノマーの構造およびそれらの相対的な量を示しており、ペルフルオロポリマー内の結合を記述するものと(すなわち、4個のブロックを有するものと)解釈すべきではないことを注記しておく。
【0037】
「アルキル」との用語は、本明細書で使用する場合、完全に炭素原子およびフッ素原子のみで構成され、完全に飽和である基を指す。アルキル基は、直鎖、分枝鎖または環状であり得る。直鎖アルキル基は、一般的に、式−C2n+1を有する。アルキル基は、一価または二価であり得る。
【0038】
「アミド」との用語は、式−NH−CO−の基を指す。
【0039】
「カルボニル」との用語は、式−CO−の基を指す。
【0040】
上に言及した第1の方法では、末端アミノ基を有するペルフルオロポリエーテル化合物を使用し、フルオロエラストマーを架橋し、フルオロエラストマー・ペルフルオロポリエーテルコンポジットを作製することができる。ここでは、2個の成分のみが必要である。ここでは反応機構(1)を2工程で示す。工程(1)では、フルオロエラストマーポリマー鎖は、アミノ基によって脱水素フッ素化されている(ペルフルオロポリエーテルセグメントは、ここでは、空間を節約するためPFPEと表記されている)。
【化3】
【0041】
工程(2)では、ペルフルオロポリエーテル化合物は、2個のフルオロエラストマーポリマー鎖を架橋するように作用する。
【化4】
【0042】
または、ペルフルオロポリエーテル化合物は、末端オキシシリル基を有していてもよい。オキシシリル基は、少なくとも1個の酸素原子と共有単結合しているケイ素原子を含み、それぞれの酸素原子は、別の原子とも共有結合している。末端オキシシリル基を含む例示的なペルフルオロポリエーテル化合物を以下に式(3)で示し、
【化5】
式中、aは、0〜2の整数であり;bおよびcは、独立して、0〜10であり;p、q、rは、独立して、それぞれのモノマーのモルパーセントであり;各Lは、接続基である。例示的な接続基としては、アルキル、アミド、カルボニル、およびこれらの組み合わせが挙げられる。オキシシリル基(OR)は、例えば、アルコキシであり得る。ペルフルオロポリエーテル化合物は、平均分子量が約1000〜約3000であり得る。式(3)は、単にそれぞれのモノマーの構造およびそれらの相対的な量を示しており、ペルフルオロポリエーテル内の結合を記述するものと(すなわち、4個のブロックを有するものと)解釈すべきではないことを注記しておく。このようなペルフルオロポリエーテル化合物は、例えば、Fluorolink S10としてSolvayから市販されており、末端エトキシシラン基を含み、q=r=0である。
【0043】
「アルコキシ」という用語は、酸素原子に結合したアルキル基(通常は、直鎖または分枝鎖)、例えば、式−OC2n+1を有するものを指す。
【0044】
上に言及した第2の方法では、フルオロエラストマー・ペルフルオロポリエーテルコンポジットは、フルオロエラストマーと、末端オキシシリル基を含むペルフルオロポリエーテル化合物と、オキシアミノシランの反応からつくられる。ここでは3つの成分が必要である。
【0045】
「オキシアミノシラン」との用語は、酸素原子と共有結合している少なくとも1個のケイ素原子を含み、少なくとも1つのアミノ基(−NH)を含む化合物を指す。酸素原子は、加水分解可能な基(例えば、アルコキシ基またはヒドロキシル基)の一部であってもよい。アミノ基は、ケイ素原子に必ずしも共有結合しているわけではないが、接続基を介して接続していてもよい。オキシアミノシランの一般式は、式(4)であらわされ、
【化6】
式中、Rは、水素またはアルキルであり;pは、1〜3の整数であり;qは、0〜2の整数であり;Lは、接続基である。さらに望ましくは、pは、2または3である。もちろん、4−p−qは、少なくとも1でなければならない。
【0046】
例示的なオキシアミノシランとしては、[3−(2−アミノエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシランおよび3−アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。3−アミノプロピルトリメトキシシランでは、プロピル鎖は、接続基である。これらのシランは、例えば、Sigma−AldrichまたはUCTから市販されている(AO700として販売)。アミン官能基は、一級、二級または三級のアミンであってもよい。アミノ基の窒素原子は、フルオロエラストマーと結合していてもよい(すなわち、酸素原子は、フルオロエラストマーと結合していないだろう)。オキシアミノシランの別の基を使用し、末端がオキシシランの化合物と反応させてもよい。
【0047】
オキシアミノシランが、2個以上のケイ素原子を有していてもよいことを注記しておくべきである。例えば、オキシアミノシランは、末端がアミノのシロキサンであってもよい。このようなオキシアミノシランの一例は、式(4−a)の末端がアミノプロピルのシロキサンであり、
【化7】
式中、nは、0〜約25であり得る。式(4−a)のシロキサンが2個のアミノ基を含有することを注記しておく。このシロキサンは、末端がアミノプロピルのポリジメチルシロキサンとして記載することができる。このようなシロキサンは、例えば、DMS−A11またはDMS−A12としてGelest,Incから市販されている。DMS−A11は、粘度が10〜15センチストークス(cSt)であり、分子量が700〜1000である。DMS−A12は、粘度が20〜30cStであり、分子量が800〜1100である。一般的に、末端がアミノのシロキサンは、分子量が約500〜約1500であってもよい。
【0048】
フルオロエラストマー、末端オキシシリル基を有するペルフルオロポリエーテル化合物、オキシアミノシランの組み合わせから、コンポジットを作製するとき、複数の網目構造を生成させることができる。第1に、フルオロエラストマーは、オキシアミノシランのみと架橋することができる。第2に、ペルフルオロポリエーテル化合物は、それ自体のみと反応してペルフルオロポリエーテル網目構造を作製することができる。第3に、オキシアミノシランの選択に依存して、オキシアミノシランを架橋剤として使用し、フルオロエラストマーおよび末端オキシシリル基を有するペルフルオロポリエーテル化合物の両方と架橋することができる。この網目構造の組み合わせは、物理的強度、耐化学薬品性、良好なインク剥離性/濡れ性をフルオロエラストマー・ペルフルオロポリエーテルコンポジットに与える。ある網目構造が別の網目構造と共有結合することが可能であり、これはグラフトと呼ばれる場合があることを注記しておく。これら3種の異なる網目構造を以下に示す。
【0049】
フルオロエラストマーがオキシアミノシランのみと架橋するとき、第1の種類の網目構造が生成される。これは、オキシアミノシランが反応性酸素原子をなんら含んでいないとき(例えば、式(4−a)のシロキサン)、またはオキシアミノシランが単にペルフルオロポリエーテル化合物と反応しないときに起こり得る。この反応を以下に反応(2)として示す。
【化8】
【0050】
ペルフルオロポリエーテル化合物がそれ自体のみと反応し、ペルフルオロポリエーテル網目構造を生成するとき(例えば、オキシアミノシランとペルフルオロポリエーテル化合物が反応することができないとき)に、第2の種類の網目構造が生成される。この反応を以下に反応(3)として示す。
【化9】
【0051】
オキシアミノシランが、フルオロエラストマーおよび末端オキシシリル基を有するペルフルオロポリエーテル化合物(PFPE)の両方と架橋することができるとき、第3の種類の網目構造が生成される。オキシアミノシランが複数の反応性酸素原子を有するとき、これが起こるだろう。オキシアミノシランが複数のペルフルオロポリエーテル分子と反応することができることを注記しておくべきである。したがって、ペルフルオロポリエーテルは、フルオロエラストマーとの架橋の中に存在していてもよく、オキシアミノシランの外側の側鎖の中に存在していてもよい。この反応を以下に反応(4)として示す。
【化10】
【0052】
得られたコンポジット材料は、フルオロエラストマーの物理的強度および耐化学薬品性と、ペルフルオロポリエーテルのインク剥離性、高い耐化学薬品性および濡れ性を含む。
【0053】
上に言及した両方法において、フルオロエラストマーと、ペルフルオロポリエーテル化合物と、場合によりオキシアミノシランとの間の反応は、一般的に、溶媒も含有する反応混合物内で起こる。適切な溶媒としては、ケトン(例えば、メチルエチルケトンまたはメチルイソブチルケトン)が挙げられる。他の適切な溶媒としては、N−メチルピロリドン、メチルアミルケトン、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトンを挙げることができる。
【0054】
フルオロエラストマーとペルフルオロポリエーテル化合物の重量比は、約50:40〜約85:5であり得る。オキシアミノシランが存在する場合、オキシアミノシランとペルフルオロポリエーテル化合物のモル比は、約2:1〜約1:10であり得る。これらの比率は、反応混合物および最終的な表面層の両方に適用する。
【0055】
所望な場合、表面層は、さらにフィラーを含んでいてもよい。フィラーは、改良された耐摩耗性、熱伝導性、および/または他の特性を付与することができる。いくつかの実施形態では、フィラーは、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン、炭素繊維、または金属酸化物、例えば、酸化鉄(FeO)であり得る。フィラーは、平均粒径が約2ナノメートル〜約10ミクロンであり得る。
【0056】
フィラーは、存在する場合、表面層の約5〜約20重量%(約7〜約15重量%を含む)までを構成することができる。フルオロエラストマー・ペルフルオロポリエーテルコンポジットは、表面層の約80〜約100重量%(約85〜約93重量%を含む)を構成していてもよい。
【0057】
所望な場合、表面層は、さらに他のフィラー(例えば、シリカ)を含んでいてもよい。シリカは、表面層の引張強度を高め、耐摩耗性を高めるのに役立たせることができる。シリカは、表面層の約2〜約30重量%(約5〜約30重量%を含む)の量で存在することができる。
【0058】
所望な場合、他の添加剤を、このような添加剤を反応混合物に加えることによってフルオロエラストマー・ペルフルオロポリエーテルコンポジットに組み込むことができる。例えば、一般的に、アミノ基、ヒドロキシル基またはアルコキシ基を含む任意のポリマーを上述の反応機構で架橋することができた。
【0059】
表面層は、全体的な印刷システムの要求事項に依存して、厚みが約0.5ミクロン(μm)〜約100ミクロンであり得る。
【0060】
適切な基材材料の例としては、ローラーまたは膜型の基材の場合、金属、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、鋼鉄、ニッケルなどが挙げられる。膜型の基材の場合、適切な基材としては、高い操作温度(すなわち、約80℃より高い、好ましくは、200℃より高い)を可能にし、高い機械強度を示すことを可能にするのに適した高温プラスチックが挙げられる。いくつかの実施形態では、プラスチックは、曲げ強度が約2,000,000〜約3,000,000psi、曲げ弾性率が約25,000〜約55,000psiである。上述の特徴を保持し、フューザー部材の基材として使用するのに適したプラスチックとしては、エポキシ;ポリフェニレンスルフィド、例えば、商品名FORTRON(登録商標)としてHoechst Celaneseから販売、RYTON R−4(登録商標)としてPhillips Petroleumから入手可能、SUPEC(登録商標)としてGeneral Electricから入手可能;ポリイミド、例えば、商品名TORLON(登録商標)7130としてAmocoから販売されるポリアミドイミド;ポリケトン、例えば、商品名KADEL(登録商標)E1230でAmocoから入手可能、商品名PEEK 450GL30としてVictrexから販売されるポリエーテルエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトンなど;ポリアミド、例えば、商品名AMODEL(登録商標)としてAmocoから入手可能なポリフタルアミド;ポリエーテル、例えば、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアリールエーテルケトンなど;ポリパラバン酸など;Amocoから入手可能な液体結晶性樹脂(XYDAR(登録商標));General Electricから入手可能なULTEM(登録商標);BASFから入手可能なULTRAPEK(登録商標)など、およびこれらの混合物が挙げられる。他の適切な基材材料としては、フルオロエラストマー、例えば、商品名VITON(登録商標)としてDuPontから販売されているもの;シリコーンゴムおよび他のエラストマー系材料が挙げられる。基材はさらに、上述のいずれかの材料の混合物を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、基材は、アルミニウムまたはステンレス鋼を含む。基材は、潜在的に、布地および布地/エラストマーコンポジットを含む多層構造であってもよい。
【0061】
膜、シート、ベルトなどのような基材は、厚みが約25〜約250マイクロメートル、または一部の実施形態では、約60〜約100マイクロメートルであり得る。
【0062】
中間層で使用される材料の例としては、フルオロシリコーン、シリコーンゴム、例えば、室温加硫(RTV)シリコーンゴム、高温加硫(HTV)シリコーンゴム、低温加硫(LTV)シリコーンゴムが挙げられる。これらのゴムは公知であり、商業的に容易に入手可能であり、例えば、SILASTIC(登録商標)735ブラックRTVおよびSILASTIC(登録商標)732 RTV(いずれもDow Corning製);106 RTV Silicone Rubberおよび90 RTV Silicone Rubber(いずれもGeneral Electric製);JCR6115CLEAR HTVおよびSE4705U HTVシリコーンゴム(Dow Corning Toray Silicones製)である。他の適切なシリコーン材料としては、シロキサン(例えば、ポリジメチルシロキサン);フルオロシリコーン(例えば、Silicone Rubber 552(Sampson Coating(リッチモンド、バージニア)から入手可能));液体シリコーンゴム、例えば、ビニル架橋した熱硬化性ゴム、またはシラノールを室温で架橋した材料などが挙げられる。別の特定の例は、Dow Corning Sylgard 182である。市販のLSRゴムとしては、Dow Corning製のDow Corning Q3−6395、Q3−6396、SILASTIC(登録商標)590 LSR、SILASTIC(登録商標)591 LSR、SILASTIC(登録商標)595 LSR、SILASTIC(登録商標)596 LSR、SILASTIC(登録商標)598 LSRが挙げられる。機能性層は、弾力性を付与し、必要な場合には、例えば、SiCまたはAlのような無機粒子と混合してもよい。
【0063】
中間層で使用するのに適した材料の他の例としては、フルオロエラストマーが挙げられる。フルオロエラストマーは、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレンの2つのコポリマー;フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレンのターポリマー;フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、キュアサイトモノマーのテトラポリマーといった種類に由来するものであり得る。これらのフルオロエラストマーは、VITON A(登録商標)、VITON B(登録商標)、VITON E(登録商標)、VITON E 60C(登録商標)、VITON E430(登録商標)、VITON 910(登録商標)、VITON GH(登録商標); VITON GF(登録商標);VITON ETP(登録商標)のような種々の名前で商業的に公知である。VITON(登録商標)という名称は、E.I.DuPont de Nemours,Incの商標である。キュアサイトモノマーは、4−ブロモペルフルオロブテン−1、1,1−ジヒドロ−4−ブロモペルフルオロブテン−1、3−ブロモペルフルオロプロペン−1、1,1−ジヒドロ−3−ブロモペルフルオロプロペン−1、または任意の他の適切な既知のキュアサイトモノマー(例えば、DuPontから市販されているもの)であってもよい。他の市販されているフッ素系ポリマーとしては、FLUOREL 2170(登録商標)、FLUOREL 2174(登録商標)、FLUOREL 2176(登録商標)、FLUOREL 2177(登録商標)、FLUOREL LVS 76(登録商標)が挙げられ、FLUOREL(登録商標)は、3M Companyの登録商標である。さらなる市販材料としては、AFLAStmというポリ(プロピレン−テトラフルオロエチレン)、FLUOREL II(登録商標)(LII900)というポリ(プロピレン−テトラフルオロエチレンビニリデンフルオリド)(これらも、3M Companyから入手可能)、FOR−60KIR(登録商標)、FOR−LHF(登録商標)、NM(登録商標)FOR−THF(登録商標)、FOR−TFS(登録商標)、TH(登録商標)、NH(登録商標)、P757(登録商標)TNS(登録商標)T439(登録商標)、PL958(登録商標)、BR9151(登録商標)、TN505(登録商標)として特定されるTecnoflon(Ausimontから入手可能)が挙げられる。
【0064】
3種類の既知のフルオロエラストマーの例は、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレンのうち、2つのコポリマー;例えば、VITON A(登録商標)で商業的に知られているもの;VITON B(登録商標)として商業的に知られているような、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレンのターポリマー;フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、キュアサイトモノマーのテトラポリマー、例えば、VITON GH(登録商標);VITON GF(登録商標)で商業的に知られているもののような種類に由来する。
【0065】
フルオロエラストマーであるVITON GH(登録商標)およびVITON GF(登録商標)は、フッ化ビニリデンの量が比較的少ない。VITON GF(登録商標)およびVITON GH(登録商標)は、約35重量%のフッ化ビニリデンと、約34重量%のヘキサフルオロプロピレンと、約29重量%のテトラフルオロエチレンと、約2重量%のキュアサイトモノマーとを有している。
【0066】
中間層220の厚みは、約30ミクロン〜約7,000ミクロン、または約100ミクロン〜約800ミクロン、または約150〜約500ミクロンであり得る。例えば、ロール構造の場合、厚みは、約5,000ミクロン〜約7,000ミクロンであり得る。
【0067】
フューザー部材の表面層を製造する方法も開示されている。この方法は、表面層組成物を型に堆積させることと;表面層を高温で硬化させることとを含む。表面層組成物は、フルオロエラストマーと、ペルフルオロポリエーテル化合物と、場合によりオキシアミノシランとを含む。
【0068】
フローコーティングによって、または注ぐことによって堆積させてもよい。型から表面層の質感を与える。硬化を、約400°F〜約500°Fの温度で行なうことができる。硬化を、約15分〜約48時間の時間行なうことができる。
【実施例】
【0069】
(比較例1)
比較例1の場合、Dai−el G−621フルオロポリマーを含む表面を評価した。固体フルオロエラストマーをMIBKに加え、固形分が20重量%のポリマー溶液を作製した。アミノシラン架橋剤を加えた。この材料をロールミルで10〜15分間回転させ、次いで、適切に調製した基材に対し、すぐにコーティングした。コーティングされた材料配合物から溶媒を除去したら、対流式オーブン中、450°Fで16時間加熱した。
【0070】
(実施例1)
実施例1の場合、Dai−el G−621フルオロポリマーと、配合物(から溶媒を引いたもの)の重量の10wt%のFluorolink S10のコンポジットからつくられた表面を評価した。固体のフルオロエラストマーをMIBKに加え、固形分が20重量%のポリマー溶液を作製した。80℃で加熱し、一定速度で撹拌しつつ、アミノシランカップリング剤を上の溶液に加えた。約5分後、PFPEグラフト材料(Fluorolink S10)を上の溶液に加え、撹拌を2〜4時間続けた。この材料を冷却し、さらなるアミノシラン架橋剤を加えた。この材料をロールミルで10〜15分間回転させ、適切に調製した基材に対し、すぐにコーティングした。コーティングされた材料配合物から溶媒を除去したら、対流式オーブン中、450°Fで16時間加熱した。
【0071】
(試験および結果)
接触角、すべり角、印刷評価を行なった。接触角およびすべり角の評価をヘキサデカンを用いて行った。
【0072】
表1は、G621と10%Fluorolink S10(E1)を含むコンポジットを含む表面と比較して、G621(C1)のみを含む表面について、接触角とすべり角を示す。
【表1】
【0073】
ヘキサデカンに対する接触角は、比較例1よりも実施例1で大きく、このことは、Fluorolink S10コンポジットが疎油性であることを示す。すべり角の評価から、ヘキサンは、実施例1の表面をすべり落ち、一方、ヘキサンは、比較例1の表面にくっついていることを示した。このことは、フルオロポリマー単独と比較して、本開示のコンポジットの非粘着性であることを示す。水、ジヨードメタン、ホルムアミドを用い、表面エネルギーを計算した。表面エネルギーのデータは、比較例1のフルオロポリマーと比較して、実施例1のコンポジットの顕著な低下を示し、さらに、ペルフルオロポリエーテルを含む表面の非粘着性および混入防止特性の増加を示す。
【0074】
実施例1および比較例1の材料でコーティングされたフューザーベルトを備えるChamonixプリンタを用い、印刷試験を終了した。両ベルトを用いた印刷試験について、比較可能な印刷品質を観察した。光沢は、コンポジットを含むベルトについて、わずかに低かった。
図1
図2
図3
図4