(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記凹凸のある少なくとも1つの表面は、直径が約100nm〜約10μm、中心から中心までの空間が約100nm〜約12μmの柱部を有する、請求項1に記載の装置。
前記凹凸のある少なくとも1つの表面は、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリクロロシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリクロロシラン、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシランのうち1つ以上から合成される1つ以上のフルオロシラン層を含む、請求項1に記載の装置。
前記凹凸のある少なくとも1つの表面が、ケイ素とコーティングのうち1つ以上を含み、前記コーティングは、疎油性フルオロポリマーおよびペルフルオロポリエーテルポリマーのうち1つ以上を含む、請求項1に記載の装置。
【背景技術】
【0002】
紫外線(UV)硬化性ゲルインクを塗布する従来の液滴吐出部を用いる印刷プロセスは、例えば、限定されないが、コールテンまたはビニールに記録したような外観に似た線、印刷縞、ピンホール欠陥、線の欠け、点の欠け、区画の欠け、光沢の不均一性などのような種々の画像に関連する欠陥を引き起こすことが多い。
【0003】
UV硬化性ゲルインクは、特に、運搬中は室温にて固相で保持され、長期間の保存能力を有するため、インクジェットプリンタにはUV硬化性ゲルインクが望ましい。それに加え、液体インクジェットインクからインクが蒸発してノズルが詰まることに関連する問題は、UV硬化性ゲルインクではほぼ生じないため、インクジェット印刷の信頼性が向上する。さらに、インク液滴を最終的な記録基材(例えば、紙、透明材料など)に直接塗布する転相インクジェットプリンタでは、基材と接触すると液滴がすぐに固化し、その結果、印刷媒体に沿ったインクの移動を防ぎ、ドット品質が向上する。
【0004】
それだけではなく、ゲルインクは、基材に印刷し、一般的な取り扱いをしたときにゲルインクが動いたり、または汚れたりするのを防ぐために硬化するなどのある種の形質変換を必要とする。それに加え、硬化していないゲルインクは、印刷経路にあるローラー表面に貼り付き、ある種の形質変換または硬化を起こさず、多くの印刷用途にとって適さないものとなる。
【0005】
上述の画像の欠陥は、平坦で均一であるべき画像領域において、インクの分布が平坦ではないことによって引き起こされることが多い。吐出後にインクの温度が下がるため、インクは、基材と接触すると動きが止まり、画像基材の上で平坦ではないインク分布が生じることがある。時には、印刷ヘッドを基材が通過する方向に帯または線として、平坦ではない分布を肉眼で見ることができ、例えば、画像の一部が失われるか、または光沢に関連する欠陥が生じる。この平坦ではない分布は、インク分布を正常化しようとする試みのなかで、接触部材(例えば、ローラー、ベルトまたはワイパー)を用い、画像基材の上にあるインクを平滑化することによって対処されるだろう。平滑化によって、画質を良くするために均一な光沢の外観を得て、うまく吐出できなかったり、または吐出が弱かったりするのを相殺するように線の成長を促進することもできる。
【0006】
ゲルインクは、硬化前には結合強度が非常に低い。それに加え、ゲルインクは、典型的には、多くのさまざまな種類の材料に対し、良好な親和性を有するように設計される。このことは、ゲルインクが分離するため、インク層を平らにする従来法がゲルインクではうまくいかない傾向があることを意味する。分離が起こるにつれて、ゲルインクは、ゲルインクを平らにしようとするデバイス(例えば、ゼログラフィープロセスに典型的に使用される従来のフューザーロール)に画像の大部分が残ってしまう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で使用する場合、「マイクロ/ナノ構造」という用語は、例えば、100nm〜20μm程度の寸法を有する任意の形状の任意の手段または材料によって表面に作られる構造を指す。
【0013】
本明細書で使用する場合、「凹凸のある表面」という用語は、任意の数の任意の種類のマイクロ/ナノ構造が存在する表面、またはコーティングされていない表面の固有の粗さとは違う特定の粗さを表面に与えるようにスパッタリングによってコーティングした表面を指す。
【0014】
本明細書で使用する場合、「柱」との用語は、例えば、円柱のような種類のマイクロ/ナノ構造を指す。柱は、表面から三次元に飛び出していてもよく、断面が任意の形状であってもよい。
【0015】
本明細書で使用する場合、「溝」という用語は、マイクロ/ナノ構造の一部分の間または少なくとも2個の一連のマイクロ/ナノ構造の間に空間があり、その空間が、表面の長さより短いか、または長さと等しいような種類のマイクロ/ナノ構造または一連のマイクロ/ナノ構造を指す。
【0016】
本明細書で使用する場合、「内側にへこんだ構造」という用語は、1つのマイクロ/ナノ構造と別のマイクロ/ナノ構造の間にある任意の空間の上に、マイクロ/ナノ構造の表面から延びた突き出た構造を指す。
【0017】
本明細書で使用する場合、「接触角」という用語は、ある表面と液体が出会ったときの角度を指す。例えば、平坦な表面の上に留まっている液滴を考える。断面図において、表面と、液滴の表面に対する接線とによって作られる角度が接触角である。
【0018】
本明細書で使用する場合、「転落角」という用語は、液滴が下方向に滑り始めるときの表面の傾き角度を指す。
【0019】
図1は、平滑化部材への裏移りを防ぎつつ、基材上の画質の欠陥を減らすか、またはなくすために、一実施形態の印刷した画像を平滑化することができるシステムの図である。UV硬化性ゲルインクを使用する従来の印刷プロセスは、例えば、限定されないが、コールテンまたはビニールに記録したような外観に似た線、印刷縞、ピンホール欠陥、線の欠け、点の欠け、区画の欠け、光沢の不均一性などのような種々の画像に関連する欠陥を引き起こすことが多い。さらに、このような欠陥は、例えば、基材に画像を塗布する1つ以上のインクジェットが故障するか、または欠けているときには、印刷した画像にギャップが残るため、さらに目立つものになるだろう。
【0020】
UV硬化性ゲルインクを使用するために目立つものになり得る上述の欠陥に対処する解決案としては、欠陥がどのように生じるかにかかわらず、画像を滑らかにし、画像の欠陥を覆い隠すための、画像の接触部の平滑化を含む。接触部の平滑化は、例えば、画像を有する基材に対し、例えば、ローラー、ベルトまたは加圧パッドによって機械的に圧力を加えることによって行なわれてもよい。しかし、印刷した画像と物理的に接触すると、上述の画像の欠陥のかわりに、または上述の画像の欠陥に加えて生じる他の画像の欠陥が生じることが多い。例えば、画像のいくつかは接触部平滑化部材に裏移りし、それによって、画像および/または画像の仕上がりに影響を及ぼすことがある。例えば、光沢の不均一性、潜在的な画像の再転写が起こり、ゴースト画像が生じることがあり、十分な顔料がないことによって色密度が影響を受けることがある。
【0021】
画像の欠陥を軽減する別の解決案は、印刷した画像を作製するために使用した任意のインクを再び流し、画像が基材に塗布された後に画像を平滑化することを提案する。しかし、このように再び流すと、画像にピンホール状の欠陥が生じることが多い。画像の印刷が終了した後にフラッドコーティングを塗布することが別の選択肢である。しかし、フラッドコーティングは、コールテン状の画像の欠陥にある谷部分を埋め、さらに均一な外観を与えるが、フラッドコーティング技術は、望ましくない高い光沢を生じることが多い。さらに、フラッドコーティングを塗布するような構成の印刷システムは、代替システムよりも複雑であり、その結果、構築し、操作するのに費用が多くかかる。さらに、フラッドコーティングは、上述の潜在的な光沢の不均一性に加え、欠けたインクジェットを補うことはない。
【0022】
これらの問題に対処するために、
図1のシステム100には、上述のように、平滑化部材への画像の裏移りを防ぎつつ、さらなる欠陥および/またはピンホール状の欠陥を生じることなく、種々の画像の欠陥を減らすか、またはなくすために、基材に塗布された印刷画像を平滑化する能力を導入している。システム100は、インクをはじくような構成の接触部平滑化部材を実装することによって、画像の裏移りを防ぎつつ、さらなる画像の欠陥を導入することなく、印刷した画像のための手段を提供する。すなわち、接触部平滑化部材が、画像を平滑化するとき、接触部平滑化部材は、インク画像をはじき、画像を形成する任意のインクの裏移りは、もしあるとしても非常にわずかであろう。
【0023】
UV硬化性ゲルインクは、典型的には、例えば、油のように挙動する有機アクリル材料から作られる。したがって、インクをはじくために、接触部平滑化部材の表面は、超疎油性でなければならない。超疎油性表面は、油および油脂をはじく。
【0024】
図1に示すように、システム100は、例えば、インクジェット印刷によって基材103に画像を塗布する印刷ステーション101を備える。基材103は、画像が印刷されてもよい2つの表面を有する織物基材として示されているが、基材103は、シート状基材のような任意の形状であってもよく、任意の数の辺を有していてもよい。システム100は、超疎油性表面107を有する接触部平滑化部材105も備えており、超疎油性表面107は、接触部平滑化部材105の本体部108の上に乗せられていてもよく、または、基材として別個に製造され、接触部平滑化部材105の本体部108に塗布されてもよい。
【0025】
種々の実施形態によれば、
図1にはローラーまたはドラムとして示されているが、あるいは、接触部平滑化部材105は、ベルト自体に乗せられているか、または単なる基材または上述の本体部108のようなベルトに加えられた表面として別個に塗布された超疎油性表面107を有するベルトとして具現化されてもよい。
【0026】
種々の実施形態によれば、超疎油性表面107は、1つ以上の表面のテクスチャを特徴づけ、分子蒸着技術または溶液コーティング技術を用い、例えば、自己整列したフルオロシラン層から合成した形態、限定されないが、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリクロロシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリクロロシラン、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン、またはこれらの組み合わせなどのような表面コーティングで処理されてもよい。1つ以上の実施形態では、1つ以上の表面のテクスチャは、柱、溝など、またはこれらの任意の組み合わせのような1つ以上のマイクロ/ナノ構造から作られてもよい。
【0027】
種々の実施形態によれば、超疎油性表面107は、1つ以上の表面テクスチャを有し、疎油性フルオロポリマー(例えば、DuPontによって製造されたAF1600およびAF2400)またはペルフルオロポリエーテルポリマー(例えば、Solvay Solexisによって製造されるFluorolink−D、Fluorolink−E10Hなど)で溶液コーティングされてもよい。1つ以上の実施形態では、1つ以上の表面テクスチャは、柱、溝など、またはこれらの任意の組み合わせのような1つ以上のマイクロ/ナノ構造から作られてもよい。
【0028】
種々の実施形態によれば、1つ以上のマイクロ/ナノ構造は、フォトリソグラフィーおよびエッチング技術によって作られてもよく、例えば、接触部平滑化部材105の本体部108または基材の上に作られた、突き出た内側にへこんだ構造が本体部108に塗布され、超疎油性表面107を形成する。種々の実施形態によれば、超疎油性表面107が形成される基材および/または本体部108は、可とう性であってもよく、例えば、ポリイミド、ポリエチレンナフタラート、ポリエチレンテレフタラート、ステンレス鋼、ケイ素など、またはこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。種々の実施形態によれば、超疎油性表面107が形成され得る基材が可とう性であるため、超疎油性表面107を有する基材は、ロールツーロールプロセスを用いて処理され、任意のテクスチャを乗せ、超疎油性表面107を作製してもよい。
【0029】
上述のように、接触部平滑化部材105は、基材103に塗布された画像を平滑化する構成である。例えば、印刷ステーション101は、基材103の上にインク液滴109を塗布し、画像を作製する。上述のように、インク液滴109から作られる画像は、上述の種々の欠陥または欠けたインクジェットによって引き起こされる欠陥のような任意の画像の欠陥を軽減するように、基材103に対して平滑化されなければならない。接触部平滑化部材105は、インク液滴109から作られた画像を基材103に対して平滑化するとき、基材103に塗布された画像と接触する。接触部平滑化部材105は、基材103に塗布された画像と接触するとき、超疎油性表面107の画像の裏移りは、もしあるとしても非常にわずかである。インク液滴109によって作られた画像が平滑化されたら、平滑化された画像111を、例えば、平滑化された画像111に対し、平滑化された画像111に紫外光115をあてる構成のUV光源113であてた紫外(UV)光によって最終的に硬化させる。
【0030】
超疎油性表面107が、上述のような凹凸のある少なくとも1つの表面を有するため、超疎油性表面107は超疎油性を有する。凹凸のある少なくとも1つの表面によって、超疎油性表面107が、水、油またはUVインクのいずれかと接触するとき、超疎油性表面107は、例えば、水、油(ヘキサデカン)およびUVインクに対し、100°を超える接触角、水、油およびUVインクに対し、30°未満の転落角を有する。1つ以上の実施形態では、超疎油性表面107は、接触角および転落角といった性能に影響を与える異なる幾何学形状および異なるコーティングを有していてもよい。例えば、傾斜角測定で試験液約10μlを使用して行なった、1つ以上の柱を有する超疎油性表面107および溝の入った表面を有する超疎油性表面107のサンプルの性能を示す表1−1を考慮されたい。表1−1に示す例は、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリクロロシラン(FOTS)から作られた自己整列するフルオロシラン層でコーティングされた超疎油性表面の結果も示す。
【表1】
【0031】
接触角および転落角は、表面107の撥油性の重要な指標である。接触角が大きいことは、試験液滴(水、ヘキサデカン、UVインク)をはじく能力が高く、濡れ性が小さいことを示し、一方、転落角が小さいことは、試験液滴と表面107の間の表面接着を示す。
【0032】
これとは対照的に、例えば、Teflon(登録商標)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)フィルム、および/またはCytopを含む従来の低表面エネルギー接触部平滑化表面は、実際に親油性である。これらの材料の親油性は、UVインクに対し、中程度の濡れ性および高い接着性によって示される。UVインクの濡れ性および高い接着性によって、任意の従来の表面を有する接触部平滑化表面に対し、インクがかなり裏移りする。例えば、Teflon(登録商標)は、以下の表2−1に示すような性能特徴を有する。
【表2】
【0033】
驚くべきことではないが、Teflonのような物質でコーティングされた接触部平滑化表面は、高いUVインク裏移り性を示し、十分な接触部平滑化を与えない(これはおそらく、裏移りによって基材から従来の接触部平滑化表面に画像のいくつかが移動するためであろう)。超疎油性表面107は、上述のように、従来の接触部平滑化表面よりもインクの裏移りを防ぐのに適しているため、超疎油性表面107を使用することによって、堅牢性が高く、信頼性の高い画像の調整、平滑化が可能となる。
【0034】
上述のように、超疎油性を促進するために、まず、アモルファスケイ素層を基材にスパッタリングし、次いで、フォトリソグラフィーによって表面に凹凸を形成し、エッチングして1つ以上のマイクロ/ナノ構造を作製し、次いで、等角な表面処理によって、凹凸のある表面をコーティングすることによって製造されてもよい。
【0035】
種々の実施形態によれば、1つ以上のマイクロ/ナノ構造は、限定されないが、柱、溝、またはこれらの任意の組み合わせのような多くの形態をとっていてもよい。1つ以上のマイクロ/ナノ構造が例えば柱として作られる場合、断面が例えば、限定されないが、円、楕円、三角形、長方形、四角形、八角形、六角形、任意の他の多角形、または自由な形態のような任意の形状であってもよく、例えば、接触部平滑化部材105の本体部、または超疎油性表面107が乗せられる基材の形状と同じであってもよく、または任意の形状の組み合わせであってもよい。さらに、柱、溝などのいずれかは、例えば、微細構造の他の部分よりも断面積の寸法が大きな内側にへこんだ構造である1つ以上のへりを有していてもよい。例えば、柱状は、側面から見ると、頭部と軸部を有する爪に似ていてもよい。
【0036】
種々の実施形態によれば、1つ以上のマイクロ/ナノ構造の1つ以上の側面は、平坦、波状、うねのある形状などのいずれかであってもよい。例えば、側面が波状である場合、その波状構造は、約200nm程度であってもよい。超疎油性表面107は、例えば、直径が100nm〜10μm、高さが100nm〜10μm、中心から中心までの空間が100nm〜12μmの柱、幅が100nm〜10μm、高さが100nm〜10μm、中心から中心までの空間が100nm〜12μmの溝、および任意のさまざまな長さ、またはこれらの組み合わせのようなマイクロ/ナノ構造を有していてもよい。マイクロ/ナノ構造およびその間にある任意の空間の大きさは、少なくとも部分的に、基材103に塗布され得るインクによって変わるだろう。
【0037】
図2は、柱部201として具現化された複数のマイクロ/ナノ構造を有する超疎油性表面107の図である。この例の実施形態では、柱部201は、断面が円であり、波状の側面構造203を有する。これの代わりとなる実施形態では、柱部201のいくつかまたは全部が、平坦な側面構造または内側にへこんだ構造を有していてもよい。上述のように、柱部201は、例えば、幅が100nm〜10μm、高さが100nm〜10μm、中心から中心までの空間が100nm〜12μmである。
【0038】
図3は、溝301として具現化された複数のマイクロ/ナノ構造を有する超疎油性表面107の図である。この例の実施形態では、溝301は、超疎油性表面107の幅または長さ全体を横切るものとして示されている。しかし、種々の実施形態によれば、溝の長さおよび方向はさまざまであってもよく、任意の方向であってもよい。1つ以上の実施形態では、溝301は、上述のように、上に
図2で記載した側面構造203と似た波状の側面構造、平坦な側面構造および/または1つ以上の内側にへこんだ構造のうち、任意の組み合わせを有していてもよい。さらに、上述のように、溝301は、例えば、幅が100nm〜10μm、高さが100nm〜10μm、中心から中心までの空間が100nm〜12μmであってもよく、任意のさまざまな長さであってもよい。
【0039】
図2は、柱部201であるマイクロ/ナノ構造を示しており、
図3は、溝301であるマイクロ/ナノ構造を示しているが、超疎油性表面107は、柱部201および/または溝301の任意の組み合わせ、および/または全てが同じまたはさまざまな寸法および/または空間を有する上述の任意の他のマイクロ/ナノ構造の幾何形状、および上に記載する波状の側面構造203のような側面構造の任意のさまざまな組み合わせが存在していていもよいことを注記しておくべきである。
【0040】
図4は、超疎油性表面107を無地の基材401に乗せるプロセスの例を示す。この例では、無地の基材401は、上述の本体部108に対応していてもよく、または凹凸のある表面が乗せられてもよく、その後に、本体部108に貼り付けられてもよい基材に対応していてもよい。無地の基材401は、可とう性であってもよく、例えば、ポリイミド、ポリエチレンナフタラート、ポリエチレンテレフタラート、ステンレス鋼、ケイ素など、またはこれらの任意の組み合わせを含んでいてもよい。工程S410において、無地の基材401をフォトレジスト402でコーティングし、無地の基材401にマスクをあて、現像し、例えば、現像した基材403にする。現像した基材403は、無地の基材401にあてられたマスクによって供給される模様にしたがって、表面404の特定の位置に貼り付けられたフォトレジストを有する。したがって、マスクによって供給される模様は、任意の微細構造のための模様を与え、無地の基材401に乗せられ、無地の基材401の表面404に超疎油性を付与するように凹凸を形成する。
【0041】
このプロセスは、工程S420に続き、この工程では、任意のエッチングプロセス(例えば、Boschエッチングプロセス)または任意の他のエッチング技術を用いて現像した基材403をエッチングし、剥がし、洗浄し、凹凸のある基材405を得る。この例では、凹凸のある基材405は、表面404に乗せられた上述の柱部および/または溝(例えば、柱部201および溝301)を有する。次に、工程S430において、例えば、分子蒸着プロセスによって凹凸のある基材405をFOTSでコーティングし、上述の超疎油性表面107を有する超疎油性基材407を得る。この実施形態で作られる得られたマイクロ/ナノ構造201/301は、例えば、上述のように波状の側壁を有している。種々の実施形態によれば、無地の基材401は、例えば、シート形態、またはロールツーロール形態で与えられ、処理されてもよい。
【0042】
図5は、超疎油性表面107を無地の基材501に乗せるプロセスの例を示す。この例では、無地の基材501は、上述の本体部108に対応していてもよく、または凹凸のある表面が乗せられてもよく、その後に、本体部108に貼り付けられてもよい基材に対応していてもよい。超疎油性表面107は、この例の実施形態によれば、無地の基材501の上に乗せられた任意のマイクロ/ナノ構造の一部である1つ以上の内側にへこんだ構造を有する。無地の基材501は、可とう性であってもよく、例えば、ポリイミド、ポリエチレンナフタラート、ポリエチレンテレフタラート、ステンレス鋼、ケイ素など、またはこれらの任意の組み合わせの上に堆積したアモルファスケイ素層を含んでいてもよい。工程S510において、無地の基材501に、例えば、プラズマ化学気相成長法または低圧化学蒸着によって薄い酸化ケイ素層502が配置され、例えば、酸化ケイ素が堆積した基材503を生じてもよい。酸化ケイ素が堆積した基材503は、表面504の上に貼り付けられた酸化ケイ素層502を有する。次いで、工程S520において、フォトレジスト506を、酸化ケイ素が堆積した基材503に貼り付け、マスクをあて、現像し、フォトレジスト506が、マスクによって供給される模様に従って表面504の所定の位置に貼り付けられたフォトレジストでコーティングされた基材505に、凹凸のある模様を得る。したがって、マスクによって供給される模様は、任意のマイクロ/ナノ構造のための模様を与え、無地の基材501に乗せられ、無地の基材501の表面504に超疎油性を付与するように凹凸を形成する。
【0043】
このプロセスは、工程S530に続き、この工程では、フッ素系反応性イオンエッチング(CH
3F/O
2)を用い、フォトレジストでコーティングされた基材505をエッチングし、剥がし、洗浄し、基材507の上に模様がついた酸化ケイ素層503を得る。次に、工程S540において、第2のフッ素系(SF
6/O
2)反応性イオンエッチングプロセスよって基材507をさらにエッチングし、次いで、加熱して剥がし、洗浄し、内側にへこんだ構造508が突き出た凹凸のあるマイクロ/ナノ構造201/301を作製し、凹凸のある基材509を得る。場合により、凹凸のあるマイクロ/ナノ構造201/301(
図5に示さない)の突き出し具合を上げるために、二フッ化キセノン等方性エッチングプロセスを適用してもよい。XeF
2蒸気相エッチングは、保護材料である二酸化ケイ素に対するケイ素の選択性がほぼ無限大を示す。次いで、工程S550では、例えば、分子蒸着プロセスによって、凹凸のある基材509をFOTSでコーティングし、内側にへこんだ構造508を有する上述の超疎油性表面107を有する疎油性基材511を得る。この実施形態で作られる得られたマイクロ/ナノ構造は、例えば、上述のように内側にへこんだ構造508とともに平坦であってもよいまっすぐな側壁を有している。種々の実施形態によれば、無地の基材501は、例えば、シート形態、またはロールツーロール形態で与えられ、処理されてもよい。
【0044】
図6は、上述の内側にへこんだ構造508を有する柱部201として具現化された複数のマイクロ/ナノ構造を有する超疎油性表面107の図を示す。この例の実施形態では、柱部201は、断面が円であり、波状または平坦な側面構造を有していてもよい。代替の実施形態では、柱部は、上述の溝301と完全に、または部分的に置き換わっていてもよく、内側にへこんだ構造508を有していてもよい。上述のように、柱部201は、例えば、幅が100nm〜10μm、高さが100nm〜10μm、中心から中心までの間隔が100nm〜12μmであってもよい。内側にへこんだ構造508は、例えば、柱部201の幅100nm〜10μmよりも大きな任意の寸法であってもよい。
【0045】
図7は、画像の裏移りを予防しつつ、画像の欠陥を減らすか、またはなくすための、一実施形態の印刷した画像を平滑化する方法のフローチャートである。工程701では、画像を、媒体となる基材(例えば、上述の基材103)に塗布する。
【0046】
次いで、工程703において、1つ以上のインクをはじくような構成の凹凸のある少なくとも1つの表面を含む接触部平滑化部材は、媒体となる基材に塗布される画像を平滑化する。上述のように、凹凸のある少なくとも1つの表面は、凹凸のある少なくとも1つの表面が1つ以上のインクと接したときに、少なくとも部分的に、凹凸のある少なくとも1つの表面が、100°を超えるインク接触角と30°未満の転落角を有するような構成である1つ以上のマイクロ/ナノ構造を有していてもよい。さらに、1つ以上のマイクロ/ナノ構造は、1つ以上の柱部、1つ以上の溝、1つ以上の錐体、またはこれらの任意の組み合わせのいずれかであってもよい。1つ以上の実施形態では、接触部平滑化部材は、本体部を備えており、凹凸のある少なくとも1つの表面は、本体部に貼り付けられた基材の上に形成される。または、凹凸のある少なくとも1つの表面は、本体部自体に乗せられてもよい。このプロセスは、平滑化された画像を硬化する工程705に続く。
【0047】
印刷した画像を平滑化し、画像の欠陥を減らすか、またはなくすための本明細書に記載するプロセスは、有利なことに、ソフトウエア、ハードウエア、ファームウエア、またはソフトウエアおよび/またはファームウエアおよび/またはハードウエアの組み合わせによって実行されるだろう。例えば、本明細書に記載するプロセスは、有利なことに、プロセッサ、Digital Signal Processing(DSP)チップ、Application Specific Integrated Circuit(ASIC)、Field Programmable Gate Array(FPGA)などによって実行されるだろう。