(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記合成後のリチウム金属リン酸塩にNb又はVのいずれか一種又は二種が含まれている請求項1〜5のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
前記合成後のリチウム金属リン酸塩の表面から深さ2nmまでの領域におけるMの原子数に対するLi原子数の比が0.7以上1.1未満である請求項1〜7のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3及び4には上記の通り、リチウム鉄リン酸塩LiFePO
4中のFeの溶解を抑制する洗浄液については開示されているが、LiFePO
4中のLiの溶解を抑制する洗浄液については特に開示・示唆はされていない。
【0007】
一方、合成後のリチウム金属リン酸塩LiMPO
4を水で洗浄すると、洗浄時間が長くなるほど、それを正極活物質に用いて製造されたリチウム二次電池の放電容量が低下することがわかった。
表1の結果はリチウム鉄リン酸塩LiFePO
4についてのものである。
表1で示した放電容量は、温度25℃、0.1Cの電流で3.9Vまで定電流定電圧充電した後、0.1Cの電流で2.3Vまで定電流放電する充放電サイクルを2回繰り返し、2回目の放電容量の測定結果を示すものである。
【表1】
表1から、水洗浄時間を1分間、2分間と延ばしていくと放電容量は増大しているものの、その後3分間以降は放電容量が低下していることがわかる。洗浄時間が長くなるほど放電容量が低下する原因は、水洗浄時間を延長した場合、リチウム鉄リン酸塩LiFePO
4の粉の色が薄緑から青に変わることから、洗浄時にリチウム鉄リン酸塩LiFePO
4の表面からリチウムイオンが溶出し、その表面に異質な層が形成され、この異質な層がリチウムイオンの拡散を阻害するからであると推測している。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、オリビン型のリチウム金属リン酸塩を合成した後の洗浄時に該リチウム金属リン酸塩からのリチウムイオンの溶出が抑制され、充放電容量及び放電レートが向上したリチウム二次電池を構成できる、オリビン型のリチウム金属リン酸塩からなるリチウム二次電池用正極活物質の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕組成式LiMPO
4(元素MはFe、Mn、Co又はNiのいずれか一種又は二種以上の遷移金属である)で表されるリチウム金属リン酸塩を合成した後、前記リチウム金属リン酸塩をリチウムイオンを含む洗浄液で洗浄するリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
〔2〕前記洗浄液の溶質がLiClO
4、Li
2CO
3、LiOH、LiPF
6、Li
3PO
4、LiH
2PO
4、CH
3CO
2Liの少なくとも一つを含んでいる上記〔1〕に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
〔3〕前記洗浄液の溶媒が水を含む液体である上記〔1〕又は〔2〕のいずれかに記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
〔4〕前記水を含む液体が水である上記〔3〕に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
〔5〕前記リチウムイオンを含む洗浄液のpHが5以上9以下である上記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
〔6〕前記洗浄を、前記リチウムイオンを含む洗浄液の温度を15℃以上にして行う上記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
〔7〕前記洗浄時間が1時間以内である上記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
〔8〕前記洗浄において、前記リチウムイオンを含む洗浄液を攪拌する工程を含む上記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
〔9〕前記合成後のリチウム金属リン酸塩にNb又はVのいずれか一種又は二種が含まれている上記〔1〕乃至〔8〕のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
〔10〕前記合成後のリチウム金属リン酸塩の粒径が20〜200nmである上記〔1〕乃至〔9〕のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
〔11〕前記合成後のリチウム金属リン酸塩の表面から深さ2nmまでの領域におけるMの原子数に対するLi原子数の比が0.7以上1.1未満である上記〔1〕乃至〔10〕のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
〔12〕前記洗浄の後、前記リチウム金属リン酸塩と炭素原子を含む物質が溶解した液とを混合する上記〔1〕乃至〔11〕のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
〔13〕前記混合の後、前記炭素原子を含む物質が溶解した液の溶媒を除去する上記〔12〕に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
〔14〕前記炭素原子を含む物質が溶解した液の溶媒を除去した後、リチウム金属リン酸塩と炭素原子を含む物質との混合物を酸素濃度が1%以下の雰囲気で400℃以上900℃以下の温度で1時間以上20時間以下加熱する上記〔13〕のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
〔15〕前記洗浄を行った後、リチウム金属リン酸塩の表面の少なくとも一部に炭素を含む層を形成する上記〔1〕乃至〔11〕のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
〔16〕前記LiMPO
4における前記遷移金属(M)が、Fe又はMnのいずれかである上記〔1〕乃至〔15〕のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
〔17〕前記LiMPO
4における前記遷移金属(M)が、Fe及びMnの両方を含むものである上記〔1〕乃至〔15〕のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
〔18〕前記合成が水熱合成によって行われる上記〔1〕乃至〔17〕のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
〔19〕前記水熱合成を、水を含む液体と、リチウム(Li)源と、一種又は二種以上の遷移金属(M)源と、リン酸(PO
4)源とを原料として行う上記〔18〕に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
〔20〕前記水熱合成を、水を含む液体と、Li
3PO
4と、一種又は二種以上の遷移金属(M)源とを原料として行う上記〔18〕に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
〔21〕前記遷移金属(M)源が、FeSO
4及び/又はMnSO
4である上記〔19〕又は〔20〕のいずれかに記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
〔22〕前記遷移金属(M)源として、FeSO
4及びMnSO
4の両方を含むものを用いる上記〔19〕又は〔20〕のいずれかに記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
〔23〕前記リチウム(Li)源がLiOHである上記〔19〕、〔21〕又は〔22〕のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
〔24〕前記リン酸(PO
4)源がH
3PO
4である上記〔19〕、〔21〕乃至〔23〕のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、オリビン型のリチウム金属リン酸塩を合成した後の洗浄時に該リチウム金属リン酸塩からのリチウムイオンの溶出が抑制され、充放電容量及び放電レートが向上したリチウム二次電池を構成できる、オリビン型のリチウム金属リン酸塩からなるリチウム二次電池用正極活物質の製造方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態であるリチウム二次電池用正極活物質の製造方法について説明する。
【0012】
(リチウム二次電池用正極活物質の製造方法)
本発明の好ましい実施形態におけるリチウム二次電池用正極活物質の製造方法は、組成式LiMPO
4で表されるリチウム金属リン酸塩を合成した後、前記リチウム金属リン酸塩をリチウムイオンを含む洗浄液で洗浄することを特徴とする。ここで、LiMPO
4の元素MはFe、Mn、Co又はNiのいずれか一種又は二種以上の遷移金属である。
【0013】
リチウム金属リン酸塩の合成方法は特に限定されないが、水熱合成法、固相合成法等を用いることができる。
【0014】
リチウムイオンを含む洗浄液の溶質は溶解してリチウムイオンを生ずるものであれば特に限定されないが、LiClO
4、Li
2CO
3、LiOH、LiPF
6、Li
3PO
4、LiH
2PO
4、CH
3CO
2Liの少なくとも一つを含んでいることが好ましい。
リチウムイオンを含む洗浄液の溶質としてリチウムイオンを生じないものが入っていてもよい。
【0015】
リチウムイオンを含む洗浄液のリチウムイオン濃度は、0.01mol/L以上であることが好ましく、1mol/L以上であることがより好ましい。0.01mol/L未満では、リチウム金属リン酸塩LiMPO
4中からのリチウムイオン溶出の抑制効果が小さすぎて、充放電容量及び放電レートの増大を図ることが困難なことがあるからであり、1mol/L以上であれば、リチウムイオン溶出の抑制効果が大きく、充放電容量及び放電レートを十分増大できるからである。
【0016】
洗浄液の溶媒は水を含む液体であることが好ましく、水であることがより好ましい。リチウムイオンを含む洗浄液で洗浄する目的は、合成したリチウム金属リン酸塩に含まれる合成原料をイオンとして溶かし出して除去するためである。例えば、遷移金属(M)源としてFeSO
4を用いてリチウム金属リン酸塩LiFePO
4を合成した場合、合成後にリチウム金属リン酸塩LiFePO
4中に含まれている原料を硫酸イオン等として溶かし出して除去するためである。
【0017】
リチウムイオンを含む洗浄液のpHは5以上9以下であることが好ましい。pHが5以下や9以上ではLiMPO
4から金属Mが溶け出しやすいためである。
pHの調整は洗浄液に硫酸やアンモニア水を添加することにより行うことができる。pHはガラス電極法を原理としたpHメーターにより測定できる。
【0018】
リチウムイオンを含む洗浄液による洗浄は、その温度を15℃以上にして行うことが好ましい。15℃未満ではLiMPO
4に混在する不純物を除去する効率が低くなることがあるからである。
【0019】
洗浄時間は1時間以内であることが好ましい。1時間より長いと洗浄液に溶けた酸素によりLiMPO
4が酸化するおそれがあるからである。
【0020】
洗浄において、リチウムイオンを含む洗浄液を攪拌する工程を含むことが好ましい。攪拌することにより、LiMPO
4と混在する不純物が洗浄液によく溶け、不純物が残存するのを抑制できるからである。
【0021】
合成後のリチウム金属リン酸塩にNb又はVのいずれか一種又は二種が含まれているのが好ましい。Nb又はVが含まれる充放電を繰り返したとき容量の低下が抑制されるからである。
リチウム金属リン酸塩の合成原料中にNb又はVが含まれる物質を添加することにより、Nb又はVが含まれるリチウム金属リン酸塩を製造することができる。Nbが含まれる物質として例えばニオブフェノキシド(Nb(OC
6H
5)
5、塩化ニオブNbCl
5、Vが含まれる物質として例えばバナジウム酸アンモニウム(NH
4VO
3)を挙げられる。
【0022】
合成後のリチウム金属リン酸塩の粒径が20〜200nmであることが好ましい。20nmより小さいと結晶性が低下し、容量が低下するおそれがあるからであり、200nmより大きいと充放電の速度が低下するからである。
合成後の液のpHを調整することにより、リチウム金属リン酸塩の粒径を20〜200nmに調整できる。ただし、リチウム(Li)源、遷移金属(M)源、リン酸(PO
4)源のそれぞれの濃度、遷移金属(M)源の種類、合成温度、合成時間、攪拌強度により調整すべきpHの範囲が変わる。pHを調整する方法として例えば原料への硫酸やアンモニア水の添加が挙げられる。
【0023】
合成後のリチウム金属リン酸塩の表面から深さ2nmまでの領域におけるMの原子数に対するLi原子数の比が0.7以上1.1未満であることが好ましい。
Mの原子数に対するLi原子数の比は例えば、TEM−EELS(電子エネルギー損失分光法)によって測定することができる。
通常行われる方法で合成したリチウム金属リン酸塩においては、Mの原子数に対するLi原子数の比は1に近い。しかしながら、合成後のリチウム金属リン酸塩の洗浄を従来通り、水で行うと、リチウム金属リン酸塩の表面近傍からLi原子が溶出し、金属原子Mに対するLi原子の数が減って、リチウム金属リン酸塩の表面から深さ5nmまでの領域におけるMの原子数に対するLi原子数の比が1より小さくなる。これに対して、本発明のリチウムイオンを含む洗浄液による洗浄が適切に行われると、表面近傍からのLi原子の溶出が抑制される結果、Mの原子数に対するLi原子数の比の変動する範囲(表面から深さ方向の範囲)が小さくなるものと考えられる。なお、組成比のずれが1より大きい場合(1〜1.1)があるのは洗浄以外の要因によるものと考えられる。また、リチウム金属リン酸塩の合成後、洗浄前のMの原子数に対するLi原子数の比は通常、0.9〜1.1の範囲である。
【0024】
洗浄の後、リチウム金属リン酸塩と炭素原子を含む物質が溶解した液とを混合することが好ましい。
リチウム金属リン酸塩の表面の少なくとも一部に炭素を含む層を形成でき、導電性を向上させることができるからである。
炭素原子を含む物質を溶解する液としては、LiMPO
4との反応性が低い液であれば特に限定はないが、例えば、水、エタノール、アセトンを用いることができる。
その混合の後、炭素原子を含む物質が溶解した液の溶媒を除去することがより好ましい。
リチウム金属リン酸塩の表面の少なくとも一部に、不純物の少ない炭素を含む層を形成でき、より導電性を向上させることができるからである。
炭素原子を含む物質が溶解した液の溶媒を除去した後、リチウム金属リン酸塩と炭素原子を含む物質との混合物を酸素濃度が1%以下の雰囲気で400℃以上900℃以下の温度で1時間以上20時間以下加熱することがさらに好ましい。
酸素濃度が1%より高いとLiMPO
4が酸化するからである。また、400℃より低いとリチウム金属リン酸塩の表面に形成される炭素を含む層の炭素原子の含有率が低下して、導電率が低下するからであり、900℃より高いとLiMPO
4の結晶粒が成長し、充放電の速度が低下するからである。1時間より短いとリチウム金属リン酸塩の表面に形成される炭素を含む層の炭素原子の含有率が低下し、導電率が低下するからであり、20時間より長いと炉を加熱するエネルギーが無駄になるからである。
【0025】
洗浄を行った後、リチウム金属リン酸塩の表面の少なくとも一部に炭素を含む層を形成することが好ましい。
導電性を向上させることができるからである。
【0026】
リチウム金属リン酸塩LiMPO
4を構成する遷移金属(M)としてはFe、Mn、Co、又はNiのいずれか一種又は二種以上をとることができるが、特に、Fe又はMnのいずれかであることが好ましい。すなわち、リチウム金属リン酸塩としてはLiFePO
4又はLiMnPO
4のいずれか、又は、LiFeM’PO
4(M’はFeではない他の遷移金属)又はLiMnM’PO
4(M’はMnではない他の遷移金属)のいずれかであることが好ましい。また、リチウム金属リン酸塩LiMPO
4を構成する遷移金属(M)として、Fe及びMnの両方を含むことも好ましい。すなわち、リチウム金属リン酸塩としてはLiFeMnPO
4、又は、LiFeMnM’PO
4(M’はFe及びMnのいずれでもない他の遷移金属)のいずれかであることが好ましい。
LiFePO
4及びLiMnPO
4はいずれも理論容量が高いので(LiFePO
4は170mAh/g、LiMnPO
4は171mAh/g)、LiFePO
4又はLiMnPO
4のいずれか、又は、LiFeM’PO
4(M’はFeではない他の遷移金属)又はLiMnM’PO
4(M’はMnではない他の遷移金属)のいずれか、又は、LiFeMnPO
4、又は、LiFeMnM’PO
4(M’はFe及びMnのいずれでもない他の遷移金属)を用いることにより、単位質量あたりの電池容量を大きくすることができる。
【0027】
洗浄前のリチウム金属リン酸塩LiMPO
4の合成は、水熱合成によって行われることが好ましい。水熱合成法は、比較的低温、短時間で粒径が小さいLiMPO
4が得られるからである。
洗浄前のリチウム金属リン酸塩LiMPO
4の水熱合成は、水を含む液体と、リチウム(Li)源と、一種又は二種以上の遷移金属(M)源と、リン酸(PO
4)源とを原料として行うことができる。
また、洗浄前のリチウム金属リン酸塩LiMPO
4の水熱合成は、水を含む液体と、Li
3PO
4と、一種又は二種以上の遷移金属(M)源とを原料として行うことができる。
上記水熱合成の際、遷移金属(M)源として、FeSO
4又はMnSO
4のいずれかを含むものを用いることができる。これにより、リチウム金属リン酸塩としてLiFePO
4又はLiMnPO
4、又は、LiFeM’PO
4(M’はFeではない他の遷移金属)又はLiMnM’PO
4(M’はMnではない他の遷移金属)を合成することができる。
上記水熱合成の際、遷移金属(M)源として、FeSO
4及びMnSO
4の両方を含むものを用いることができる。これにより、リチウム金属リン酸塩としてLiFeMnPO
4、又は、LiFeMnM’PO
4(M’はFe及びMnのいずれでもない他の遷移金属)を合成することができる。
また、上記水熱合成の際、リチウム(Li)源としてLiOHを用いることができる。
また、上記水熱合成の際、リン酸(PO
4)源としてH
3PO
4を用いることができる。
【0028】
(リチウム二次電池)
本発明の実施形態に係るリチウム二次電池は、正極と負極と非水電解質とを具備して構成されている。このリチウム二次電池においては、正極に含まれる正極活物質として、上記の方法によって製造されたものが用いられる。このような正極活物質が備えられることによって、リチウム二次電池の容量及び放電レートを向上させることが可能になる。以下、リチウム二次電池を構成する正極、負極及び非水電解質について順次説明する。
【0029】
(正極)
本実施形態のリチウム二次電池では、正極として、正極活物質と導電助材と結着剤とが含有されてなる正極合材と、正極合材に接合される正極集電体とからなるシート状の電極を用いることができる。また、正極として、上記の正極合材を円板状に成形させてなるペレット型若しくはシート状の正極も用いることができる。
【0030】
正極活物質には、上記の方法によって製造されたリチウム金属リン酸塩が用いられるが、このリチウム金属リン酸塩に、従来公知の正極活物質を混合して用いても良い。
【0031】
結着剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンコポリマー、エチレンプロピレンターポリマー、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエピクロルヒドリン、ポリファスファゼン、ポリアクリロニトリル、等を例示できる。
【0032】
更に導電助材としては、銀粉などの導電性金属粉;ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどの導電性カーボン粉;カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、気相法炭素繊維などが挙げられる。導電性助剤としては気相法炭素繊維が好ましい。気相法炭素繊維は、その繊維径が5nm以上0.2μm以下であることが好ましい。繊維長さ/繊維径の比が5〜1000であることが好ましい。気相法炭素繊維の含有量は正極合材の乾燥質量に対して0.1〜10質量%であることが好ましい。
【0033】
更に正極集電体としては、導電性金属の箔、導電性金属の網、導電性金属のパンチングメタルなどが挙げられる。導電性金属としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金が好ましい。
【0034】
更に、正極合材には、必要に応じて、イオン伝導性化合物、増粘剤、分散剤、滑材などが含まれていてもよい。イオン伝導性化合物としては、キチン、キトサンなどの多糖類、または該多糖類の架橋物などが挙げられる。増粘剤としては、カルボキシルメチルセルロール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
【0035】
正極は、例えば、ペースト状の正極合材を正極集電体に塗布し、乾燥させ、加圧成形することによって、または粉粒状の正極合材を正極集電体上で加圧成形することによって得られる。正極の厚さは、通常、0.04mm以上0.15mm以下である。成形時に加える圧力を調整することによって任意の電極密度の正極を得ることができる。成形時に加える圧力は1t/cm
2〜3t/cm
2程度が好ましい。
【0036】
(負極)
負極は、負極活物質、結着剤及び必要に応じて添加される導電助材が含有されてなる負極合材と、負極合材に接合される負極集電体とからなるシート状の電極を用いることができる。また、負極として、上記の負極合材を円板状に成形させてなるペレット型若しくはシート状の負極も用いることができる。
【0037】
負極活物質としては、従来公知の負極活物質を用いることができ、例えば、人造黒鉛、天然黒鉛などの炭素材料や、Sn、Si等の金属または半金属材料を用いることができる。
【0038】
結着剤としては、正極で使用する結着剤と同様のものを用いることができる。
更に導電助材は、必要に応じて添加してもよく、添加しなくても良い。例えば、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどの導電性カーボン粉;カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、気相法炭素繊維などを用いることができる。導電助剤としては気相法炭素繊維が特に好ましい。気相法炭素繊維は、その繊維径が5nm以上0.2μm以下であることが好ましい。繊維長さ/繊維径の比が5〜1000であることが好ましい。気相法炭素繊維の含有量は負極合材の乾燥質量に対して0.1〜10質量%であることが好ましい。
【0039】
更に負極集電体としては、導電性金属の箔、導電性金属の網、導電性金属のパンチングメタルなどが挙げられる。導電性金属としては銅または銅の合金が好ましい。
【0040】
負極は、例えば、ペースト状の負極合材を負集電体に塗布し、乾燥させ、加圧成形することによって、または粉粒状の負極合材を負極集電体上で加圧成形することによって得られる。負極の厚さは、通常、0.04mm以上0.15mm以下である。成形時に加える圧力を調整することによって任意の電極密度の負極を得ることができる。成形時に加える圧力は1t/cm
2〜3t/cm
2程度が好ましい。
【0041】
(非水電解質)
次に、非水電解質としては、例えば、非プロトン性溶媒にリチウム塩が溶解されてなる非水電解質を例示できる。
【0042】
非プロトン性溶媒は、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ―ブチロラクトン、およびビニレンカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種または2種以上の混合溶媒が好ましい。
また、リチウム塩には、LiClO
4、LiPF
6、LiAsF
6、LiBF
4、LiSO
3CF
3、CH
3SO
3Li、CF
3SO
3Li等が挙げられる。
【0043】
また非水電解質として、いわゆる固体電解質またはゲル電解質を用いることもできる。
固体電解質またはゲル電解質としては、スルホン化スチレン−オレフィン共重合体などの高分子電解質、ポリエチレンオキシドとMgClO
4を用いた高分子電解質、トリメチレンオキシド構造を有する高分子電解質などが挙げられる。高分子電解質に用いられる非水系溶媒としては、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ―ブチロラクトン、およびビニレンカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0044】
更に、本実施形態のリチウム二次電池は、正極、負極、非水電解質のみに限られず、必要に応じて他の部材等を備えていても良く、例えば正極と負極を隔離するセパレータを具備しても良い。セパレータは、非水電解質がポリマー電解質でない場合には必須であり、例えば、不織布、織布、微細孔質フィルムなどや、それらを組み合わせたものなどが挙げられ、より具体的には、多孔質のポリプロピレンフィルム、多孔質のポリエチレンフィルム等を適宜使用できる。
【0045】
本実施形態に係るリチウム二次電池は、種々な分野において用いることができる。例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、ノート型コンピュータ、携帯電話、無線機、電子手帳、電子辞書、PDA(Personal Digital Assistant)、電子メーター、電子キー、電子タグ、電力貯蔵装置、電動工具、玩具、デジタルカメラ、デジタルビデオ、AV機器、掃除機などの電気・電子機器;電気自動車、ハイブリッド自動車、電動バイク、ハイブリッドバイク、電動自転車、電動アシスト自転車、鉄道機関、航空機、船舶などの交通機関;太陽光発電システム、風力発電システム、潮力発電システム、地熱発電システム、熱差発電システム、振動発電システムなどの発電システムなどが挙げられる。
【実施例】
【0046】
(実施例1)
(1)水熱合成
酸素濃度を0.5%以下に制御した窒素雰囲気のグローブ・ボックスの中で、水700mLにLiOH・H
2O(関東化学株式会社製 鹿特級)を123g溶解した後、攪拌した。さらに濃度85%H
3PO
4113g(関東化学株式会社製 特級85.0%水溶液)を徐々に加えつつ、攪拌した。これをA液と呼ぶ。次にグローブ・ボックスの中で、水700mLにアスコルビン酸1.82gを溶解した後、FeSO
4・7H
2O(関東化学株式会社製 特級)272gを溶解した。これをB液と呼ぶ。続いてグローブ・ボックスの中でA液とB液を混合し、攪拌した後、オートクレーブに入れ、密閉した。オートクレーブを室温から200℃まで1時間で昇温した後、200℃で3時間加熱し、LiFePO
4粉を合成した。その後自然冷却した。
(2)洗浄
次に、オートクレーブが室温まで冷却された後、生成したLiFePO
4を取り出し、イオン交換水100gに対しLi
2SO
4を5.498gの比率で溶解した液(Li濃度1mol/L)で3分間かけて濾過、洗浄した。
(3)乾燥
次に、洗浄した粉を真空中で100℃に加熱し、5時間乾燥した。
(4)炭素被覆
次に、水100gにスクロース25gを溶解したスクロース溶液を準備し、乾燥したLiFePO
4粉100gにスクロース溶液を50g加え、攪拌した。スクロース溶液を添加したLiFePO
4粉を真空中で100℃に5時間加熱し、乾燥した。乾燥したLiFePO
4粉を窒素中で室温から700℃まで90分で昇温した後、5時間加熱し、その後自然冷却することにより、LiFePO
4粒子の周囲に炭素を被覆した。炭素を被覆したLiFePO
4粉を粉砕機(IKA社製 A10)で粉砕した。
(5)正極板作製
次に、粉砕したLiFePO
4粉90gに、導電助剤としてアセチレンブラック(電気化学工業株式会社製)を5g、結着剤としてPVDF(ポリフッ化ビニリデン)(呉羽化学工業株式会社製)を5g、溶剤としてNMP(N-メチル-2-ピロリドン)(キシダ化学株式会社製)を300g添加し、均一になるまで練った。練った混合物をAl箔に30μmの厚さで塗布し、90℃で乾燥した後、正極材の密度が2.2g/cm
3となるようにプレスし、正極板を得た。
(6)負極板作製
次に、負極材としてメソカーボンマイクロビーズ黒鉛(大阪ガス株式会社製)95gに、導電助剤としてアセチレンブラック(電気化学工業株式会社製)を5g、結着剤としてPVDF(呉羽化学工業株式会社製)を5g、溶剤としてNMP(キシダ化学株式会社製)を50g添加し、均一になるまで練った。練った混合物をCu箔に35μmの厚さで塗布し、90℃で乾燥した後、負極材の密度が1.5g/cm
3となるようにプレスし、負極板を得た。
(7)電池作製
次に、試作した正極板にセパレータとしてポリプロピレン製マイクロポーラスフィルム(セルガード2400(ヘキストセラニーズ社製))と、負極板を重ね、電解液として体積比が2:3のEC(エチレンカーボネート)とEMC(エチルメチルカーボネート)の混合液にLiPF
6を1.0mol/L溶かした液を入れ、コイン電池に封入した。
(8)充放電試験
温度25℃、0.02Cの電流で3.9Vまで定電流定電圧充電した後、0.1C、0.2C、0.5C、1C、2Cの電流のそれぞれで2.3Vまで定電流放電する充放電サイクルを2回繰り返し、2回目の放電容量を測定した。0.1C、0.2C、0.5C、1C、2Cにおける放電容量はそれぞれ156.4mAh/g、155.6mAh/g、152.1mAh/g、147.3mAh/g、139.5mAh/gであった。評価結果を表2に示す。
【0047】
(実施例2)
実施例2では、洗浄工程以外は実施例1と同じ条件で評価用電池を作製した。
具体的な洗浄工程の内容及び充放電試験の結果は以下の通りである。
(1)洗浄
オートクレーブが室温まで冷却された後、生成したLiFePO
4を取り出し、イオン交換水100gに対しLi
2CO
3を0.370gの比率で溶解した液(Li濃度0.1mol/L)で3分間かけて濾過、洗浄した。
(2)充放電試験
実施例1と同様に、温度25℃、0.02Cの電流で3.9Vまで定電流定電圧充電した後、0.1C、0.2C、0.5C、1C、2Cの電流のそれぞれで2.3Vまで定電流放電する充放電サイクルを2回繰り返し、2回目の放電容量を測定した。0.1C、0.2C、0.5C、1C、2Cにおける放電容量はそれぞれ152.6mAh/g、150.8mAh/g、146.6mAh/g、142.4mAh/g、134.9mAh/gであった。評価結果を表2に示す。
【0048】
(実施例3)
実施例3では、洗浄工程以外は実施例1と同じ条件で評価用電池を作製した。
具体的な洗浄工程の内容及び充放電試験の結果は以下の通りである。
(1)洗浄
オートクレーブが室温まで冷却された後、生成したLiFePO
4を取り出し、イオン交換水100gに対しLi
3PO
4を0.0386gの比率で溶解した液(Li濃度0.01mol/L)で3分間かけて濾過、洗浄した。
(2)充放電試験
実施例1と同様に、温度25℃、0.02Cの電流で3.9Vまで定電流定電圧充電した後、0.1C、0.2C、0.5C、1C、2Cの電流のそれぞれで2.3Vまで定電流放電する充放電サイクルを2回繰り返し、2回目の放電容量を測定した。0.1C、0.2C、0.5C、1C、2Cにおける放電容量はそれぞれ149.7mAh/g、147.3mAh/g、145.6mAh/g、139.5mAh/g、132.2mAh/gであった。評価結果を表2に示す。
【0049】
(実施例4)
実施例4では、洗浄工程以外は実施例1と同じ条件で評価用電池を作製した。
具体的な洗浄工程の内容及び充放電試験の結果は以下の通りである。
(1)洗浄
オートクレーブが室温まで冷却された後、生成したLiFePO
4を取り出し、イオン交換水100gに対しLi
3PO
4を0.00386gの比率で溶解した液(Li濃度0.001mol/L)で3分間かけて濾過、洗浄した。
(2)充放電試験
実施例1と同様に、温度25℃、0.02Cの電流で3.9Vまで定電流定電圧充電した後、0.1C、0.2C、0.5C、1C、2Cの電流のそれぞれで2.3Vまで定電流放電する充放電サイクルを2回繰り返し、2回目の放電容量を測定した。0.1C、0.2C、0.5C、1C、2Cにおける放電容量はそれぞれ146.4mAh/g、144.4mAh/g、140.8mAh/g、133.9mAh/g、124.4mAh/gであった。評価結果を表2に示す。
【0050】
(比較例1)
比較例1では、洗浄工程以外は実施例1と同じ条件で評価用電池を作製した。
具体的な洗浄工程の内容及び充放電試験の結果は以下の通りである。
(1)洗浄
オートクレーブが室温まで冷却された後、生成したLiFePO
4を取り出し、イオン交換水で3分間かけて濾過、洗浄した。
(2)充放電試験
実施例1と同様に、温度25℃、0.02Cの電流で3.9Vまで定電流定電圧充電した後、0.02C、0.05C、0.1C、0.2C、0.5C、1Cの電流のそれぞれで2.3Vまで定電流放電する充放電サイクルを2回繰り返し、2回目の放電容量を測定した。0.02C、0.05C、0.1C、0.2C、0.5C、1Cにおける放電容量はそれぞれ144.7mAh/g、140.6mAh/g、132.2mAh/g、122.3mAh/g、111.8mAh/gであった。評価結果を表2に示す。
【0051】
(比較例2)
比較例2では、炭素被覆工程以外は実施例1と同じ条件で評価用電池を作製した。
具体的な炭素被覆工程の内容及び充放電試験の結果は以下の通りである。
(1)炭素被覆
乾燥したLiFePO
4粉を窒素98.8%と酸素1.2%の混合ガス中で室温から700℃まで90分で昇温した後、5時間加熱し、その後自然冷却することにより、LiFePO
4粒子の周囲に炭素を被覆した点が実施例1と異なる。
(2)充放電試験
実施例1と同様に、温度25℃、0.02Cの電流で3.9Vまで定電流定電圧充電した後、0.02C、0.05C、0.1C、0.2C、0.5C、1Cの電流のそれぞれで2.3Vまで定電流放電する充放電サイクルを2回繰り返し、2回目の放電容量を測定した。0.02C、0.05C、0.1C、0.2C、0.5C、1Cにおける放電容量はそれぞれ45.2mAh/g、43.2mAh/g、39.3mAh/g、28.0mAh/g、18.2mAh/gであった。評価結果を表2に示す。
【0052】
(比較例3)
比較例3では、炭素被覆工程以外は実施例1と同じ条件で評価用電池を作製した。
具体的な炭素被覆工程の内容及び充放電試験の結果は以下の通りである。
(1)炭素被覆
乾燥したLiFePO
4粉を窒素中で室温から350℃まで90分で昇温した後、5時間加熱し、その後自然冷却することにより、LiFePO
4粒子の周囲に炭素を被覆した点が実施例1と異なる。
(2)充放電試験
実施例1と同様に、温度25℃、0.02Cの電流で3.9Vまで定電流定電圧充電した後、0.02C、0.05C、0.1C、0.2C、0.5C、1Cの電流のそれぞれで2.3Vまで定電流放電する充放電サイクルを2回繰り返し、2回目の放電容量を測定した。0.02C、0.05C、0.1C、0.2C、0.5C、1Cにおける放電容量はそれぞれ114.8mAh/g、109.3mAh/g、98.7mAh/g、81.0mAh/g、57.0mAh/gであった。評価結果を表2に示す。
【0053】
(比較例4)
比較例4では、炭素被覆工程以外は実施例1と同じ条件で評価用電池を作製した。
具体的な炭素被覆工程の内容及び充放電試験の結果は以下の通りである。
(1)炭素被覆
乾燥したLiFePO
4粉を窒素中で室温から950℃まで90分で昇温した後、5時間加熱し、その後自然冷却することにより、LiFePO
4粒子の周囲に炭素を被覆した点が実施例1と異なる。
(2)充放電試験
実施例1と同様に、温度25℃、0.02Cの電流で3.9Vまで定電流定電圧充電した後、0.02C、0.05C、0.1C、0.2C、0.5C、1Cの電流のそれぞれで2.3Vまで定電流放電する充放電サイクルを2回繰り返し、2回目の放電容量を測定した。0.02C、0.05C、0.1C、0.2C、0.5C、1Cにおける放電容量はそれぞれ127.4mAh/g、124.5mAh/g、116.4mAh/g、105.4mAh/g、88.7mAh/gであった。評価結果を表2に示す。
【0054】
(比較例5)
比較例5では、炭素被覆工程以外は実施例1と同じ条件で評価用電池を作製した。
具体的な炭素被覆工程の内容及び充放電試験の結果は以下の通りである。
(1)炭素被覆
乾燥したLiFePO
4粉を窒素中で室温から700℃まで90分で昇温した後、0.5時間加熱し、その後自然冷却することにより、LiFePO
4粒子の周囲に炭素を被覆した点が実施例1と異なる。
(2)充放電試験
実施例1と同様に、温度25℃、0.02Cの電流で3.9Vまで定電流定電圧充電した後、0.02C、0.05C、0.1C、0.2C、0.5C、1Cの電流のそれぞれで2.3Vまで定電流放電する充放電サイクルを2回繰り返し、2回目の放電容量を測定した。0.02C、0.05C、0.1C、0.2C、0.5C、1Cにおける放電容量はそれぞれ135.5mAh/g、131.1mAh/g、123.2mAh/g、113.9mAh/g、96.2mAh/gであった。評価結果を表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】
以上の結果より、実施例1〜4の放電容量は比較例に比較して高く、特に高レート側(2C)においてその差が大きいことが確認された。これは、リチウム金属リン酸塩を合成した後の洗浄の際にリチウムイオンを含む洗浄液で洗浄したことにより、該リチウム金属リン酸塩からのリチウムイオンの溶出が抑制された効果によるものと考えられる。