特許第6055764号(P6055764)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6055764乳癌の治療のためのベバシズマブ組合せ療法のための血漿バイオマーカー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6055764
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】乳癌の治療のためのベバシズマブ組合せ療法のための血漿バイオマーカー
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20161219BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20161219BHJP
   G01N 33/535 20060101ALI20161219BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20161219BHJP
   C07K 16/22 20060101ALN20161219BHJP
【FI】
   G01N33/68
   G01N33/574 A
   G01N33/535
   A61K39/395 N
   A61P35/00
   !C07K16/22ZNA
【請求項の数】18
【全頁数】52
(21)【出願番号】特願2013-520106(P2013-520106)
(86)(22)【出願日】2011年7月18日
(65)【公表番号】特表2013-534308(P2013-534308A)
(43)【公表日】2013年9月2日
(86)【国際出願番号】EP2011062232
(87)【国際公開番号】WO2012010552
(87)【国際公開日】20120126
【審査請求日】2014年7月10日
(31)【優先権主張番号】10170008.6
(32)【優先日】2010年7月19日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】306021192
【氏名又は名称】エフ・ホフマン−ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】デ ハース, ザンネ リスベット
(72)【発明者】
【氏名】デルマー, ポール
(72)【発明者】
【氏名】フォエルンツラー, ドロテー
(72)【発明者】
【氏名】クロイゼ, ウルズラ
(72)【発明者】
【氏名】シェラー, シュテファン
【審査官】 草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−513284(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/075420(WO,A1)
【文献】 特表2007−522457(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0170444(US,A1)
【文献】 特表2012−513592(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/088854(WO,A2)
【文献】 国際公開第2008/076373(WO,A1)
【文献】 特表2011−505145(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/073540(WO,A2)
【文献】 Yang SX、外5名,Gene expression profile and angiogenic marker correlates with response to neoadjuvant bevacizumab followed by bevacizumab plus chemotherapy in breast cancer.,Clin Cancer Res.,2008年 9月15日,Vol.14,No.18,Page.5893-5899
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48−33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学療法レジメンへのベバシズマブ治療の追加に応答性又は感受性である患者の同定のためのインビトロ方法であって、前記方法が、乳癌を患っていると疑われるか又は患う傾向がある患者からの血液、血漿、又は血清サンプルにおけるVEGFA、VEGFR2、VEGFA及びVEGFR2、又はVEGFA及びPLGFのタンパク質発現レベルを決定する工程を含んでなり、それによって、乳癌を患っている患者において決定されるコントロール発現レベルと比較したVEGFA、VEGFR2、VEGFA及びVEGFR2、又はVEGFA及びPLGFの増加した発現レベルが、前記化学療法レジメンへのベバシズマブの追加に対する患者の感受性の指標である、方法。
【請求項2】
投与されるベバシズマブの用量が低用量ベバシズマブである、請求項に記載の方法であって、ここで、低用量ベバシズマブが、毎週に体重の2.5mg/kg、毎2週に体重の5mg/kg、又は毎3週に体重の7.5mg/kgである、方法。
【請求項3】
低用量ベバシズマブが、毎3週に体重の7.5mg/kgである、請求項に記載の方法。
【請求項4】
投与されるベバシズマブの用量が高用量ベバシズマブである、請求項に記載の方法であって、ここで、高用量ベバシズマブが、毎週に体重の5mg/kg、毎2週に体重の10mg/kg、又は毎3週に体重の15mg/kgである、方法。
【請求項5】
高用量ベバシズマブが、毎3週に体重の15mg/kgである、請求項に記載の方法。
【請求項6】
高用量ベバシズマブが、毎2週に体重の10mg/kgである、請求項に記載の方法。
【請求項7】
乳癌を患っていると疑われるか、患っているか又は患う傾向がある患者の化学療法レジメンへのベバシズマブの追加に対する応答性又は感受性を予測するインビトロ方法であって、患者の血液、血漿、又は血清サンプルにおけるVEGFA、VEGFR2、VEGFA及びVEGFR2、又はVEGFA及びPLGFのタンパク質発現レベルを決定することを含んでなる、方法。
【請求項8】
前記発現レベルが、イムノアッセイ方法によって検出される、請求項の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記イムノアッセイ方法がELISAである、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記患者サンプルが血液サンプルである請求項の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記患者サンプルが血漿サンプルである、請求項の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記乳癌が、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌である、請求項11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記化学療法レジメンが、ドセタキセル又はパクリタキセルを含む、請求項12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記化学療法レジメンが、ドセタキセルを含む、請求項13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記患者が、一又は複数の抗癌療法で共治療されている、請求項14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記抗癌療法が放射線である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記サンプルが、ネオアジュバント又はアジュバント療法の前に得られる、請求項16の何れか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記サンプルが、ネオアジュバント又はアジュバント療法の後に得られる、請求項16の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌と診断された患者のコントロールレベルと比較した、一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの発現レベル、特に血漿発現レベルを決定することによって、化学療法レジメンにベバシズマブ(Avastin(登録商標))を加えることによって、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の化学療法レジメンの治療効果を改善するための方法を提供する。特に、本発明は、治療効果を改善する方法であって、治療効果が患者の無進行生存である方法を提供する。本発明は更に、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌と診断された患者におけるコントロールレベルと比較した、一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの発現レベル、特に血漿発現レベルを決定することによって、化学療法レジメンとの組合せにおけるベバシズマブ(Avastin(登録商標))に対する患者の感受性又は応答性を評価するための方法を提供する。
【0002】
従って、本発明は、化学療法レジメン、例えば又はドセタキセル療法との組合せにおける血管新生阻害剤、例えばベバシズマブ(Avastin(登録商標))に対する感受性又は応答性と相関する、乳癌、又は局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌のバイオマーカーの同定及び選択に関する。この点において、発明は、標準的化学療法への、血管新生阻害剤、例えばベバシズマブ(アバスチン(登録商標))の追加に対し感受性又は応答性の患者を同定するための、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌と診断された患者において得られるコントロールと比較した、一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの血漿特異的発現プロファイルの使用に関する。発明は更に、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌と診断された患者におけるコントロールと比較した、一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの血漿特異的発現レベルを決定することによって、標準的化学療法、例えばドセタキセル療法への血管新生阻害剤、例えばベバシズマブ(アバスチン(登録商標))の追加によって、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の治療効果、特に無進行生存を改善するための方法に関する。発明は更に、本発明の方法に従って決定され定義される、血管新生阻害剤、特にベバシズマブ(アバスチン(登録商標))に感受性又は応答性の患者の同定のためのキット及び組成物を提供する。
【0003】
血管新生は癌形成に必要であり、原発腫瘍サイズ及び増殖を制御するだけでなく、浸潤及び転移能にも影響する。従って、血管新生プロセスを媒介するメカニズムが、指向化抗癌療法の潜在標的として調査されてきた。血管新生調節因子の研究初期では、血管内皮増殖因子(VEGF)シグナル伝達経路が、複数の癌タイプにおいて血管新生活性を選択的に制御することが発見された。この因子は、出芽血管新生を媒介する主要なVEGFシグナル伝達受容体である、VEGF受容体2(VEGFR-2)を通してシグナルを伝達する。複数の治療法が、様々なポイントでこの経路を調節するために開発された。これらの療法は、とりわけ、ベバシズマブ、スニチニブ、ソラフェニブ及びバタラニブを含む。臨床における血管新生阻害剤の使用は成功を示したが、全ての患者が、血管新生阻害剤療法に応答又は十分に応答しなかったわけではない。このような不完全な応答の根底にあるメカニズムは不明である。従って、抗血管新生癌療法に感受性又は応答性の患者サブグループの同定に対するニーズが増加している。
【0004】
血管新生阻害剤の数は不明であるが、最も著名な血管新生阻害剤はベバシズマブ(アバスチン(登録商標))である。ベバシズマブは、VEGF(血管内皮増殖因子)に特異的に結合し、その生物学的効果を遮断する組換えヒト化モノクローナルIgG1抗体である。VEGFは、腫瘍増殖及び転移、すなわち身体の他の部分への腫瘍の播種に必要な必須プロセスである腫瘍血管新生の鍵となる推進因子である。アバスチン(登録商標)は、毎年、合わせて2.5百万を超える死をもたらす4つの一般的なタイプの癌:結腸直腸癌、乳癌、非小細胞肺癌(NSCLC)及び腎臓癌の進行ステージの治療のために、欧州において承認されている。米国では、アバスチン(登録商標)は、FDAによって承認された最初の抗血管新生療法であり、5つの腫瘍タイプ:結腸直腸癌、非小細胞肺癌、乳癌、脳(グリオブラストーマ)及び腎臓(腎細胞癌)の治療のために現在承認されている。50万を超す患者がこれまでにアバスチンで治療されており、450を越す臨床治験による総合的な臨床プログラムが、異なる設定(例えば、進行又は早期ステージの疾患)における、複数の癌タイプ(結腸直腸、乳房、非小細胞肺、脳、胃、卵巣及び前立腺を含む)の治療におけるアバスチンの更なる使用を調査している。重要なことには、アバスチン(登録商標)は、共治療法として見込みを示しており、広範な化学療法及び他の抗癌治療と組み合わせられた時に、効果を示している。フェーズIII試験が公開され、ベバシズマブを標準的な化学療法レジメンと組み合わせることの有益な効果を実証している(例えば、Saltz et al., 2008, J. Clin. Oncol., 26:2013-2019; Yang et al., 2008, Clin. Cancer Res., 14:5893-5899; Hurwitz et al., 2004, N. Engl. J. Med., 350:2335-2342を参照)。しかしながら、血管新生阻害剤の過去の研究でのように、幾つかのこれらのフェーズIII試験は、一部の患者が、彼らの化学療法レジメンへのベバシズマブ(アバスチン(登録商標))の追加に対し不完全な応答を経験することを示している。
【0005】
従って、血管新生阻害剤、特にベバシズマブ(アバスチン(登録商標))を含んでなる併用療法に応答するか又は応答しそうである、それらの患者を決定する方法に対するニーズがある。このように、本発明の根底にある技術的問題は、化学療法治療、例えばドセタキセル療法への、血管新生阻害剤、特にベバシズマブ(アバスチン(登録商標))の追加から利益を得うる、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っているか又は患う傾向がある患者の同定のための、方法及び手段の提供である。
【0006】
技術的問題は、請求の範囲に特徴付けられている実施態様の提供によって解消される。
【0007】
本発明は、従って、乳癌を患っている患者の化学療法レジメンの治療効果を、前記化学療法レジメンにベバシズマブを加えることによって、改善するための方法であって、前記方法が次を含んでなる方法を提供する:
(a)患者サンプルにおける一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFのタンパク質発現レベル決定する工程;及び
(b)乳癌と診断された患者において決定されるコントロール発現レベルと比較して、一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの増加した発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
【0008】
本発明は、化学療法レジメンにベバシズマブを加えることによって、乳癌を患っている患者の化学療法レジメンの治療効果を改善するための方法であって、前記方法が次を含んでなる方法に関する:
(a)前記患者からサンプルを得る工程;
(b)一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFのタンパク質発現レベルを決定する工程;及び
(c)乳癌と診断された患者において決定されるコントロール発現レベルと比較して、一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの増加した発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
【0009】
本発明は、化学療法レジメンにベバシズマブを加えることによって、乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するための方法であって、前記方法が次を含んでなる方法に関する:
(a)患者サンプルにおける一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFのタンパク質発現レベル決定する工程;及び
(b)乳癌と診断された患者において決定されるコントロール発現レベルと比較して、一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの増加した発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
【0010】
本発明は、化学療法レジメンにベバシズマブを加えることによって、乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するための方法であって、前記方法が次を含んでなる方法に関する:
(a)前記患者からサンプルを得る工程;
(b)一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFのタンパク質発現レベルを決定する工程;及び
(c)乳癌と診断された患者において決定されるコントロール発現レベルと比較して、一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの増加した発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
【0011】
本発明は、化学療法レジメンにベバシズマブを加えることによって、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するための方法であって、前記方法が次を含んでなる方法に関する:
(a)患者サンプルにおける一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFのタンパク質発現レベル決定する工程;及び
(b)前記乳癌と診断された患者において決定されるコントロール発現レベルと比較して、一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの増加した発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程、
ここで、化学療法レジメンは、ドセタキセル療法を含む。
【0012】
本発明は、化学療法レジメンにベバシズマブを加えることによって、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するための方法であって、前記方法が次を含んでなる方法に関する:
(a)前記患者からサンプルを得る工程;
(b)一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFのタンパク質発現レベルを決定する工程;及び
(c)前記乳癌と診断された患者において決定されるコントロール発現レベルと比較して、一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの増加した発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程、
ここで、化学療法レジメンは、ドセタキセル療法を含む。
【0013】
本発明は、化学療法レジメンにベバシズマブを加えることによって、乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するための方法であって、前記方法が次を含んでなる方法に関する:
(a)患者サンプルにおけるVEGFA又はVEGFR2のタンパク質発現レベルを決定する工程;及び
(b)乳癌と診断された患者において決定されるコントロール発現レベルと比較して、VEGFA又はVEGFR2の増加した発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
【0014】
本発明は、化学療法レジメンにベバシズマブを加えることによって、乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するための方法であって、前記方法が次を含んでなる方法に関する:
(a)前記患者からサンプルを得る工程;
(b)VEGFA又はVEGFR2のタンパク質発現レベルを決定する工程;及び
(c)乳癌と診断された患者において決定されるコントロール発現レベルと比較して、VEGFA又はVEGFR2の増加した発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
【0015】
本発明は、化学療法レジメンにベバシズマブを加えることによって、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するための方法であって、前記方法が次を含んでなる方法に関する:
(a)患者サンプルにおけるVEGFA又はVEGFR2のタンパク質発現レベルを決定する工程;及び
(b)前記乳癌と診断された患者において決定されるコントロール発現レベルと比較して、VEGFA又はVEGFR2の増加した発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程、
ここで、化学療法レジメンは、ドセタキセル療法を含む。
【0016】
本発明は、化学療法レジメンにベバシズマブを加えることによって、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するための方法であって、前記方法が次を含んでなる方法に関する:
(a)前記患者からサンプルを得る工程;
(b)VEGFA又はVEGFR2のタンパク質発現レベルを決定する工程;及び
(c)前記乳癌と診断された患者において決定されるコントロール発現レベルと比較して、一又は複数のVEGFA又はVEGFR2の増加した発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程、
ここで、化学療法レジメンは、ドセタキセル療法を含む。
【0017】
発明は、乳癌を患っている患者の化学療法レジメンの治療効果を、化学療法レジメンにベバシズマブを加えることによって、改善するための方法であって、前記方法が次を含んでなる方法を提供する:
(a)患者サンプルにおけるVEGFA、VEGFR2及びPLGFのタンパク質発現レベルを決定する工程;及び
(b)乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA、VEGFR2及びPLGFの増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
乳癌は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌でありうる。化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。
【0018】
従って、発明は、化学療法レジメンにベバシズマブを加えることによって、乳癌を患っている患者の化学療法レジメンの治療効果を改善するための方法であって、前記方法が次を含んでなる方法に関する:
(a)前記患者からサンプルを得る工程;
(b)VEGFA、VEGFR2及びPLGFのタンパク質発現レベルを決定する工程;及び
(c)乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA、VEGFR2及びPLGFの増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
乳癌は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌でありうる。化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。
【0019】
発明は、化学療法レジメンにベバシズマブを加えることによって、乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するための方法であって、前記方法が次を含んでなる方法を提供する:
(a)患者サンプルにおけるVEGFA、VEGFR2及びPLGFのタンパク質発現レベルを決定する工程;及び
(b)乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA、VEGFR2及びPLGFの増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
乳癌は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌でありうる。化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。
【0020】
従って、発明は、化学療法レジメンにベバシズマブを加えることによって、乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するための方法であって、前記方法が次を含んでなる方法に関する:
(a)前記患者からサンプルを得る工程;
(b)VEGFA、VEGFR2及びPLGFのタンパク質発現レベルを決定する工程;及び
(c)乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA、VEGFR2及びPLGFの増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
乳癌は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌でありうる。化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。
【0021】
発明は、従って、化学療法レジメンにベバシズマブを加えることによって、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するための方法であって、前記方法が次を含んでなる方法に関する:
(a)患者サンプルにおけるVEGFA、VEGFR2及びPLGFのタンパク質発現レベルを決定する工程;及び
(b)前記乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA、VEGFR2及びPLGFの増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程、
ここで、化学療法レジメンは、ドセタキセル療法を含む。
【0022】
発明は、化学療法レジメンにベバシズマブを加えることによって、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するための方法であって、前記方法が次を含んでなる方法に関する:
(a)前記患者からサンプルを得る工程;
(b)VEGFA、VEGFR2及びPLGFのタンパク質発現レベルを決定する工程;及び
(c)前記乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA、VEGFR2及びPLGFの増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程、
ここで、化学療法レジメンは、ドセタキセル療法を含む。
【0023】
発明は、化学療法レジメンにベバシズマブを加えることによって、乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するための方法であって、前記方法が次を含んでなる方法を提供する:
(a)患者サンプルにおけるVEGFA及びVEGFR2のタンパク質発現レベルを決定する工程;及び
(b)乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA及びVEGFR2の増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
乳癌は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌でありうる。化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。投与されるベバシズマブの用量は、低又は高用量ベバシズマブでありうる。添付の説明的実施例に示すように、VEGFA及びVEGFR2の組合せ発現レベルは、低用量ベバシズマブを投与された患者において特に予測的であった。
【0024】
従って、発明は、化学療法レジメンにベバシズマブを加えることによって、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するための方法であって、前記方法が次を含んでなる方法に関する:
(a)前記患者からサンプルを得る工程;
(b)VEGFA及びVEGFR2のタンパク質発現レベルを決定する工程;及び
(c)前記乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA及びVEGFR2の増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。投与されるベバシズマブの用量は、低又は高用量ベバシズマブでありうる。添付の説明的実施例に示すように、VEGFA及びVEGFR2の組合せ発現レベルは、低用量ベバシズマブを投与された患者において特に予測的であった。
【0025】
発明は、従って、化学療法レジメンにベバシズマブを加えることによって、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するための方法であって、前記方法が次を含んでなる方法に関する:
(a)患者サンプルにおけるVEGFA及びVEGFR2のタンパク質発現レベルを決定する工程;及び
(b)前記乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA及びVEGFR2の増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程、
ここで、化学療法レジメンは、ドセタキセル療法を含む。投与されるベバシズマブの用量は、低又は高用量ベバシズマブでありうる。添付の説明的実施例に示すように、VEGFA及びVEGFR2の組合せ発現レベルは、低用量ベバシズマブを投与された患者において特に予測的であった。
【0026】
発明は、化学療法レジメンにベバシズマブを加えることによって、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するための方法であって、前記方法が次を含んでなる方法に関する:
(a)前記患者からサンプルを得る工程;
(b)VEGFA及びVEGFR2のタンパク質発現レベルを決定する工程;及び
(c)前記乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA及びVEGFR2の増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程、
ここで、化学療法レジメンは、ドセタキセル療法を含む。投与されるベバシズマブの用量は、低又は高用量ベバシズマブでありうる。添付の説明的実施例に示すように、VEGFA及びVEGFR2の組合せ発現レベルは、低用量ベバシズマブを投与された患者において特に予測的であった。
【0027】
本発明は、化学療法レジメンにベバシズマブを加えることによって、乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するための方法であって、前記方法が次を含んでなる方法を提供する:
(a)患者サンプルにおけるVEGFA及びPLGFのタンパク質発現レベルを決定する工程;及び
(b)乳癌と診断された患者において決定される組合せコントロール発現レベルと比較して、VEGFA及びPLGFの増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
乳癌は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌でありうる。化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。投与されるベバシズマブの用量は、低用量又は高用量ベバシズマブでありうる。
【0028】
従って、本発明は、化学療法レジメンにベバシズマブを加えることによって、乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するための方法であって、前記方法が次を含んでなる方法に関する:
(a)前記患者からサンプルを得る工程;
(b)VEGFA及びPLGFのタンパク質発現レベルを決定する工程;及び
(c)乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA及びPLGFの増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
乳癌は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌でありうる。化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。投与されるベバシズマブの用量は、低用量又は高用量ベバシズマブでありうる。
【0029】
発明は、従って、化学療法レジメンにベバシズマブを加えることによって、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するための方法であって、前記方法が次を含んでなる方法に関する:
(a)患者サンプルにおけるVEGFA及びPLGFのタンパク質発現レベルを決定する工程;及び
(b)前記乳癌と診断された患者において決定される組合せコントロール発現レベルと比較して、VEGFA及びPLGFの増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程、
ここで、化学療法レジメンは、ドセタキセル療法を含む。投与されるベバシズマブの用量は、低用量又は高用量ベバシズマブでありうる。
【0030】
従って、本発明は、化学療法レジメンにベバシズマブを加えることによって、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するための方法であって、前記方法が次を含んでなる方法に関する:
(a)前記患者からサンプルを得る工程;
(b)VEGFA及びPLGFのタンパク質発現レベルを決定する工程;及び
(c)前記乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA及びPLGFの増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程、
ここで、化学療法レジメンは、ドセタキセル療法を含む。投与されるベバシズマブの用量は、低用量又は高用量ベバシズマブでありうる。
【0031】
本発明は、化学療法レジメンへのベバシズマブ治療の追加に応答性又は感受性である患者の同定のためのインビトロ方法であって、前記方法が、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っているか、患っていると疑われるか又は患う傾向がある患者からのサンプルにおける一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFのタンパク質発現レベルを決定する工程を含んでなり、それによって、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者において決定されるコントロール発現レベルと比較した、一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの増加した発現レベルが、前記化学療法レジメンへのベバシズマブの追加に対する患者の感受性の指標である方法を提供する。化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。
【0032】
従って、本発明は、化学療法レジメンへのベバシズマブ治療の追加に応答性又は感受性である患者の同定のためのインビトロ方法であって、前記方法が次を含んでなる方法に関する:
(a)乳癌、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っているか、患っていると疑われるか又は患う傾向がある患者からサンプルを得る工程;及び
(b)一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFのタンパク質発現レベルを決定する工程;
それによって、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者において決定されるコントロール発現レベルと比較した、一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの増加した発現レベルが、前記化学療法レジメンへのベバシズマブの追加に対する患者の感受性の指標である。化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。
【0033】
本発明は、化学療法レジメンへのベバシズマブ治療の追加に応答性又は感受性である患者の同定のためのインビトロ方法であって、前記方法が、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っているか、患っていると疑われるか又は患う傾向がある患者からのサンプルにおけるVEGFA及びVEGFR2のタンパク質発現レベルを決定する工程を含んでなり、それによって、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較したVEGFA及びVEGFR2の組合せの増加した発現レベルが、前記化学療法レジメンへのベバシズマブの追加に対する患者の感受性の指標である方法を提供する。化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。
【0034】
本発明は、化学療法レジメンへのベバシズマブ治療の追加に応答性又は感受性である患者の同定のためのインビトロ方法であって、前記方法が、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っているか、患っていると疑われるか又は患う傾向がある患者からのサンプルにおけるVEGFA及びPLGFのタンパク質発現レベルを決定する工程を含んでなり、それによって、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者において決定されるコントロール組合せレベルと比較したVEGFA及びPLGFの組合せの増加した発現レベルが、前記化学療法レジメンへのベバシズマブの追加に対する患者の感受性の指標である方法を提供する。化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。
【0035】
従って、本発明は、同定された技術的問題を解消し、そこでは、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌と診断された患者において決定されるコントロールレベルと比較した、任意の患者における一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの血漿特異的発現レベルが、化学療法レジメンとの組合せにおいて血管新生阻害剤を投与されるそれらの患者における治療効果と相関することが、驚くべきことに示された。具体的には、VEGFA、VEGFR2及び/又はPLGFのタンパク質発現レベルにおけるバリエーションが、ドセタキセル療法の化学療法レジメンへのベバシズマブ(アバスチン(登録商標))の追加への応答による局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌の改善された無進行生存のためのマーカー/予測因子として、驚くべきことに同定された。化学療法レジメンへのベバシズマブ(アバスチン(登録商標))の追加に対し応答性又は感受性を呈する患者が、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌と診断された患者から得られたサンプルにおいて得られるコントロール発現レベルと比較して、一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの増加したタンパク質発現レベルを有することが明らかにされた。「マーカー」及び「予測因子」なる用語は互換的に使用でき、ここに記載の一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの発現レベルを指す。発明はまた、VEGFA、VEGFR2及びPLGFの血漿発現レベルの何れか2つ以上の組合せを指すための、「マーカー」及び「予測因子」なる用語の使用を包含する。
【0036】
本発明の関連において、「VEGFA」は血管内皮増殖因子プロテインAを指し、配列番号:1によって例示され、図8に示されている(Swiss Prot Accession Number P15692, Gene ID (NCBI): 7422)。「VEGFA」なる用語は、配列番号:1のアミノ酸配列を有するタンパク質並びにその相同体及びアイソフォームを包含する。「VEGFA」なる用語はまた、VEGFAの既知のアイソフォーム、例えばスプライスアイソフォーム、例えばVEGF111、VEGF121、VEGF145、VEGF165、VEGF189及びVEGF206、並びにその変異体、相同体及びアイソフォームを包含し、Ferrara Mol. Biol. Cell 21:687 (2010) and Leung et al. Science 246:1306 (1989), and Houck et al. Mol. Endocrin. 5:1806 (1991)に記載されるような、VEGF165のプラスミン切断によって生成される110アミノ酸ヒト血管内皮細胞増殖因子を含む。本発明の特定の実施態様では、「VEGFA」は、VEGF121及び/又はVEGF110を指す。本発明の特定の実施態様では、「VEGFA」は、VEGF111を指す。発明の関連において、「VEGFA」なる用語はまた、配列番号:1のアミノ酸配列に、又はその変異体及び/又は相同体のアミノ酸配列、並びに該配列の断片に、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の相同性を有するタンパク質を包含するが、ただし、変異体タンパク質(アイソフォームを含む)、相同タンパク質及び/又は断片は、一又は複数のVEGFA特異的抗体、例えば抗体クローン3C5及び26503(それぞれ、Bender RELIATech及びR&D Systemsから入手可能)及びA4.6.1(Kim et al., Growth Factors 7(1): 53-64 (1992)に記載)によって認識されることとする。発明の関連において、VEGF又はVEGF-Aの「アイソフォーム」なる用語は、スプライスアイソフォーム及び酵素的切断(例えば、プラスミン)によって生成される形態の双方を指す。
【0037】
一実施態様では、「VEGFA」は、非修飾VEGFを指す。本発明の関連において、非修飾VEGFは、VEGFの非修飾アミノ酸配列、そのアイソフォーム及びその切断産物に関連する。非修飾VEGFは、原核生物発現システム、例えば大腸菌において合成的に、又は好ましくは組換え的に生産できる。非修飾VEGFは、例えばグリコシル化のような、翻訳後修飾を持たない。発明の関連において、「非修飾VEGF-A」なる用語はまた、その変異体及び/又は相同体、並びにVEGF-Aの断片を包含するが、ただし、変異体タンパク質(アイソフォームを含む)、相同タンパク質及び/又は断片は、非修飾VEGF-A特異的抗体、例えばRELIATech GmbH, Wolfenbuttel, Germanyから入手可能である抗体クローン3C5によって認識されることとする。
【0038】
本発明の関連において、「VEGFR2」は血管内皮増殖因子受容体2を指し、配列番号:2によって例示され、図9に示されている(Swiss Prot Accession Number P35968, Gene ID (NCBI): 3791)。「VEGFR2」なる用語は、配列番号:2のアミノ酸配列を有するタンパク質並びにその相同体及びアイソフォームを包含する。発明の関連において、「VEGFR2」なる用語はまた、配列番号:2のアミノ酸配列に、又はその変異体及び/又は相同体のアミノ酸配列、並びに該配列の断片に、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の相同性を有するタンパク質を包含するが、ただし、変異体タンパク質(アイソフォームを含む)、相同タンパク質及び/又は断片は、一又は複数のVEGFR2特異的抗体、例えばR&D Systemsから入手可能である抗体クローン89115及び89109によって認識されることとする。
【0039】
本発明の関連において、「PLGF」は胎盤増殖因子を指し、配列番号:3によって例示され、図10に示されている(Swiss Prot Accession Number P49763, Gene ID (NCBI): 5228)。「PLGF」なる用語は、配列番号:3のアミノ酸配列を有するタンパク質並びにその相同体及びアイソフォームを包含する。発明の関連において、「PLGF」なる用語はまた、配列番号:3のアミノ酸配列に、又はその変異体及び/又は相同体のアミノ酸配列、並びに該配列の断片に、少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の相同性を有するタンパク質を包含するが、ただし、変異体タンパク質(アイソフォームを含む)、相同タンパク質及び/又は断片は、一又は複数のPLGF特異的抗体、例えばRoche Diagnostics GmbHから入手可能である抗体クローン2D6D5及び6A11D2によって認識されることとする。
【0040】
従って、本発明は、限定するものではないが、ここに記載のアミノ酸配列を含むタンパク質の発現レベルの決定を包含する。この関連において、発明は、一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの相同体、変異体及びアイソフォームの検出を包含する;前記アイソフォーム又は変異体は、とりわけ、対立遺伝子バリアント又はスプライスバリアントを含みうる。また考えられるのは、ここに記載の一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGF、又はその断片に相同である、例えば配列番号:1、配列番号:2又は配列番号:3のアミノ酸配列、又はその断片に、少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性を有するタンパク質の検出である。あるいは又は加えて、本発明は、配列番号:1、配列番号:2又は配列番号:3をコードする核酸配列、又はその断片、変異体又はアイソフォームに、少なくとも少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列、又はその断片によってコードされるタンパク質の発現レベルの検出を包含する。この関連において、「変異体」なる用語は、VEGFA、VEGFR2及び/又はPLGFアミノ酸配列、又は前記アミノ酸配列をコードする核酸配列が、配列番号:1、配列番号:2又は配列番号:3によって同定される、及び/又は上記Swiss Prot受入番号下で入手可能な別個の配列と、変異、例えば欠失、付加、置換、逆位等によって異なることを意味する。更に、「相同体」なる用語は、配列番号:1、配列番号:2又は配列番号:3に示す一又は複数のポリペプチド、又はその断片に、少なくとも60%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%の配列同一性を有する分子を指す。
【0041】
アミノ酸又は核酸配列が、ここに記載のアミノ酸又は核酸配列に所定の度合いの同一性を有するか否か決定するために、当業者は、当分野でよく知られている手段及び方法を使用でき、例えば、手動、又は当分野でしられているか又はここに記載のコンピュータープログラムの使用によるアラインメントを使用できる。
【0042】
本発明によると、2つ以上のアミノ酸又は核酸配列の関連において「同一」又は「パーセント同一性」なる用語は、当分野で知られる配列比較アルゴリズムの使用、又は手動アライメント及び目視検査による測定により、比較のウィンドウにわたって又は指定領域にわたって最大一致について比較及び整列した時に、同じであるか、又は特定パーセンテージの同じアミノ酸残基又はヌクレオチド(例えば、例えば配列番号:1、配列番号:2又は配列番号:3のアミノ酸配列と、60%又は65%の同一性、好ましくは70−95%の同一性、より好ましくは少なくとも95%の同一性)を有する2つ以上の配列又はサブ配列を指す。例えば、60%〜95%以上の配列同一性を有する配列は、実質的に同一であると考えられる。このような定義は、試験配列の相補体にも適用される。好ましくは、記載の同一性は、少なくとも約15〜25のアミノ酸又はヌクレオチド長である領域にわたって、より好ましくは、約50〜100のアミノ酸又はヌクレオチド長である領域にわたって存在する。当業者は、例えば、当分野で知られているCLUSTALWコンピュータープログラム(Thompson Nucl. Acids Res. 2 (1994), 4673-4680)又はFASTDB(Brutlag Comp. App. Biosci. 6 (1990), 237-245)に基づくものなどのアルゴリズムを使用し、どのように配列同士/間のパーセント同一性を決定するか知るだろう。
【0043】
FASTDBアルゴリズムは典型的には、配列における内部の非一致欠失又は付加、すなわちギャップを考慮しないが、これは、%同一性の過剰評価を避けるために手動で訂正できる。しかしながら、CLUSTALWは、その同一性計算に配列ギャップを考慮する。また、当業者に利用可能なものは、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool)及びBLAST 2.0アルゴリズム(Altschul, 1997, Nucl. Acids Res. 25:3389-3402; Altschul, 1993 J. Mol. Evol. 36:290-300; Altschul, 1990, J. Mol. Biol. 215:403-410)である。核酸配列のBLASTNプログラムは、デフォルトとして、11のワード長(W)、10の期待(E)、M=5、N=4、及び両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列については、BLASTPプログラムは、デフォルトとして、3のワード長(W)、10の期待(E)を使用する。BLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff (1989) PNAS 89:10915)は、50のアラインメント(B)、10の期待(E)、M=5、N=4、及び両鎖の比較を使用する。
【0044】
上述のように、BLASTアルゴリズムは、配列類似性を決定するために、アミノ及びヌクレオチド配列双方のアラインメントを生成する。アラインメントのローカル特性により、BLASTは、正確な一致の決定、又は類似な配列の同定に特に有用である。BLASTアルゴリズム出力の基本ユニットは、高スコアセグメント対(High-scoring Segment Pair (HSP))である。HSPは、アラインメントが局所的に最大であり、アラインメントスコアがユーザーによって設定される閾値又はカットオフを満たすか超す、任意であるが等しい長さの2つの配列断片から成る。BLASTアプローチは、問い合わせ配列及びデータベース配列間のHSPを探し、見つけた何れかの一致の統計的有意性を評価し、有意性のユーザー選択閾値を満たすその一致のみを報告する。パラメーターEは、データベース配列一致を報告するための統計的に有意な閾値を定める。Eは、全データベース検索の設定において、HSPの(又はHSPのセット)の発生の機会の期待頻度の上限として解釈される。その一致がEを満たす何れかのデータベース配列が、プログラムの出力において報告される。
【0045】
BLASTを使用する類似なコンピューター技術が、タンパク質又はヌクレオチドデータベース、例えばGenBank又はEMBLにおける同一又は関連分子の検索に使用されうる。この分析は、多重膜ベースハイブリダイゼーション(multiple membrane-based hybridizations)よりはるかに早い。更に、コンピューター検索の感度は、任意の特定の一致が、正確又は類似として分類されるか決定するように変更できる。検索の基本は、次のように定義されるプロダクトスコアであり:
%配列同一性 x %最大BLASTスコア
100
2つの配列間の類似性の度合い、及び配列一致の長さの双方を考慮する。例えば、40のプロダクトスコアでは、一致は1−2%エラー内で正確であろう;70では、一致は正確であろう。類似分子は通常、15及び40の間のプロダクトスコアを示すものを選択することによって同定されるが、低いスコアは関連した分子を同定しうる。配列アラインメントを生成できるプログラムの他の例は、当分野で知られているCLUSTALWコンピュータープログラム(Thompson, 1994, Nucl. Acids Res. 2:4673-4680)又はFASTDB (Brutlag, 1990, Comp. App. Biosci. 6:237-245)である。
【0046】
ここに記載の発明の関連において、発現レベル、特にVEGFA、VEGFR2及び/又はPLGFのタンパク質発現レベルは、個々のマーカーとして別個に、又は発現プロファイル又はマーカーパネルとして2つ以上のグループにおいて考えられうる。ここに記載の発明の関連において、発現プロファイル又はマーカーパネル(ここでは、2つ以上のマーカーの発現プロファイルが一緒に考慮されうる)は、組合せ発現レベルとしても言及されうる。例えば、2つ以上のマーカーの発現レベルが加えられ、類似に決定されたコントロール組合せ発現レベルと比較されうる。従って、発明の方法は、一又は複数のマーカーの発現レベルに基づく、組合せ発現レベルを含む、発現プロファイルの決定を包含する。
【0047】
ここに記載の発明の関連であって、添付の説明的実施例に従うと、VEGFA又はVEGFR2の別個の検討では、次の値を、マーカーの対応する高又は低発現値として使用した:高VEGFA(≧125pg/ml)、低VEGFA(<125pg/ml)、高VEGFR2(≧11mg/ml)及び低VEGFR2(<11ng/ml)。これらのレベルを、プロスペクティブ分析計画により、サンプル中央値として決定した。更に、特定マーカーの高及び低発現間のカットオフ値を構成する最適化レベルは、カットオフの上及び下の患者のサブセットが、関連する統計的最適性基準を満たすまで、カットオフを変更することによって決定されうる。例えば、最適カットポイントは、サブセットの上及び下間の治療ハザード比における差異を最大にするように、又は一サブグループにおける治療効果、又は何れかの他の関連統計的基準を最大にするように選択されうる。しかしながら、当業者は、特定マーカーの発現レベル、従って、高又は低発現レベルを構成しているものが、患者ごとの集団によって異なりうることを理解するだろう。従って、当業者は、添付の説明的実施例に記載するもの以外の検出方法を使用し、添付の説明的実施例に記載するもの以外の患者及び患者集団を研究する場合、当業者が特定のバイオマーカーについて高及び/又は低発現レベルと考えるものは、ここに記載の値と異なりうることを理解するだろう。ここに記載の方法により、当業者は、特定のバイオマーカーの高及び/又は低レベルの発現を構成するものを決定できる。
【0048】
当業者が理解するように、調査中の診断的質問を改善するために、2つ以上のマーカーの測定を使用する多くの方法があることを理解するだろう。非常に単純だが、しばしば効果的なアプローチでは、サンプルが、調査されるマーカーの少なくとも一つについて陽性である場合、陽性結果が仮定される。
【0049】
しかしながら、マーカーの組合せも評価されうる。例えばVEGFA及びVEGFR2又はVEGFA及びPLGF又はVEGFA、VEGFR2及びPLGFの、マーカーパネルのマーカーについて測定された値(又は組合せ発現レベル)は数学的に組合せられ得、組合せられた値は、根底にある診断的質問と相関されうる。マーカー値は、任意の適切な技術水準の数学的方法によって組み合せられうる。マーカーの組合せを疾患又は治療効果に相関させるためのよく知られた数学的方法は、判別分析(DA)(すなわち、線形-、二次-、正規化-DA)、カーネル法(すなわち、SVM)、ノンパラメトリック手法(すなわち、k近傍分類)、PLS(部分最小二乗法)、樹木ベース法(すなわち、ロジック回帰、CART、ランダムフォレスト方法、ブースティング/バギング方法)、一般化線形モデル(すなわち、ロジスティック回帰)、主成分ベース方法(すなわち、SIMCA)、一般加法モデル、ファジー論理ベース方法、ニューラルネットワーク及び遺伝的アルゴリズムベース方法等の方法を使用する。当業者は、本発明のマーカーの組合せを評価するための適切な方法の選択に問題はないだろう。ここに開示の発明によるマーカーの組合せの、例えば、化学療法剤/化学療法レジメンへのベバシズマブの追加に対する改善された全生存、無進行生存、応答性又は感受性、及び/又はベバシズマブ(一又は複数の化学療法剤/化学療法レジメンに追加して)への応答性又は感受性の予測との相関において使用される方法は、DA(すなわち、線形-、二次-、正規化判別分析)、カーネル法(すなわち、SVM)、ノンパラメトリック手法(すなわち、k近傍分類)、PLS(部分最小二乗法)、樹木ベース法(すなわち、ロジック回帰、CART、ランダムフォレスト方法、ブースティング方法)、又は一般化線形モデル(すなわち、ロジスティック回帰)から選択される。これらの統計的方法に関する詳細は、次の参照文献に見られる:Ruczinski, I., et al, J. of Computational and Graphical Statistics, 12 (2003) 475-511; Friedman, J. H., J. of the American Statistical Association 84 (1989) 165-175; Hastie, Trevor, Tibshirani, Robert, Friedman, Jerome, The Elements of Statistical Learning, Springer Series in Statistics, 2001; Breiman, L., Friedman, J. H., Olshen, R. A., Stone, C. J. (1984) Classification and regression trees, California: Wadsworth; Breiman, L., Random Forests, Machine Learning, 45 (2001) 5-32; Pepe, M. S., The Statistical Evaluation of Medical Tests for Classification and Prediction, Oxford Statistical Science Series, 28 (2003); and Duda, R. O., Hart, P. E., Stork, D. G., Pattern Classification, Wiley Interscience, 2nd Edition (2001)。
【0050】
従って、ここに開示の発明は、根本にある組合せのバイオマーカーのための、及び状態Aと状態Bとを区別するための、例えば化学療法レジメンへのベバシズマブの追加に応答性又は感受性の患者と、化学療法レジメンへのベバシズマブ療法の追加に乏しい応答の患者とを区別するための最適化多変量カットオフの使用に関する。このタイプの分析では、マーカーはもはや独立的ではなく、マーカーパネル又は組合せ発現レベルを形成する。
【0051】
本発明は、従って、VEGFA、PLGF及びVEGFR2の2つ以上の発現レベルを決定し、各発現レベルを重み関数(又は重み付け係数)で乗じるように、これらの発現レベルを加えることによって、化学療法レジメンにベバシズマブを加えることによって、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の化学療法レジメンの治療効果を改善するための方法に関する。驚くべきことに、結果(「値」、数学的操作の結果、又は組合せ発現レベル)は、併用化学療法レジメンにおいてベバシズマブを投与される患者における治療効果と相関し、事前に定めた(多変量)カットオフより上の値は、患者の良好な治療効果の指標となり、このカットオフより下の値は、乏しい治療効果の指標となる。
【0052】
従って、発明は、VEGFA及びVEGFR2の2つ以上の発現レベルを決定し、各発現レベルを重み関数(又は重み付け係数)で乗じるように、これらの発現レベルを加えることによって、化学療法レジメンにベバシズマブを加えることによって、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の化学療法レジメンの治療効果を改善するための方法に関する。驚くべきことに、結果(「値」、数学的操作の結果、又は組合せ発現レベル)は、併用化学療法レジメンにおいてベバシズマブを投与される患者における治療効果と相関し、事前に定めた(多変量)カットオフより上の値は、患者の良好な治療効果の指標となり、このカットオフより下の値は、乏しい治療効果の指標となる。
【0053】
発明は、VEGFA及びPLGFの2つ以上の発現レベルを決定し、各発現レベルを重み関数(又は重み付け係数)で乗じるように、これらの発現レベルを加えることによって、化学療法レジメンにベバシズマブを加えることによって、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の化学療法レジメンの治療効果を改善するための方法に関する。驚くべきことに、結果(「値」、数学的操作の結果、又は組合せ発現レベル)は、併用化学療法レジメンにおいてベバシズマブを投与される患者における治療効果と相関し、事前に定めた(多変量)カットオフより上の値は、患者の良好な治療効果の指標となり、このカットオフより下の値は、乏しい治療効果の指標となる。
【0054】
本発明は、従って、VEGFA、VEGFR2及びPLGFの発現レベルを決定し、各発現レベルを重み関数(又は重み付け係数)で乗じるように、これらの発現レベルを加えることによって、化学療法レジメンにベバシズマブを加えることによって、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の化学療法レジメンの治療効果を改善するための方法に関する。驚くべきことに、結果(「値」、数学的操作の結果、又は組合せ発現レベル)は、併用化学療法レジメンにおいてベバシズマブを投与される患者における治療効果と相関し、事前に定めた(多変量)カットオフより上の値は、患者の良好な治療効果の指標となり、このカットオフより下の値は、乏しい治療効果の指標となる。
【0055】
例えば、添付の説明的実施例に示すように、治療効果が局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者における無進行生存であり、治療が、プラセボ+ドセタキセル療法と比較した、低(7.5mg/kg毎3週)又は高用量(15mg/kg毎3週)のベバシズマブ+ドセタキセル療法である場合、次の式が、VEGFA及びVEGFR2又はVEGFA及びPLGの組合せ発現レベルを評価するために使用できる。
式1:ノルム(VEGFA)+1.3*ノルム(VEGFR2)
等価式:0.71*log2(VEGFA)+3.16*log2(VEGFR2)−15.6
及び
式2:0.25*ノルム(VEGFA)+0.21*ノルム(PLGF)
等価式:0.18*log2(VEGFA)+0.42*log2(PLGF)−3.1
ここで我々はlog2変換及び
を使用し、ここでmadは、1.4826の係数で調節される絶対偏差中央値である。
【0056】
従って、ここに記載の発明の関連であって、添付の説明的実施例に従うと、低及び高用量双方のベバシズマブ療法の追加についての無進行生存に関し、VEGFA及びVEGFR2の高組合せ発現レベルは式1≧−0.132であり、VEGFA及びVEGFR2の低組合せ発現は式1<−0.132である。ここに記載の発明の関連であって、添付の説明的実施例に従うと、低及び高用量双方のベバシズマブ療法の追加についての無進行生存に関し、VEGFA及びPLGFの高組合せ発現レベルは式2≧−0.006であり、VEGFA及びPLGFの低組合せ発現は式2<−0.006である。しかしながら、当業者は、例えばVEGFA及びVEGFR2又はVEGFA及びPLGFの、マーカーパネルのマーカーについて測定された発現レベル(又は組合せ発現レベル)が数学的に組合せられ得、組合せられた発現レベルが、一以上の方法において、根底にある診断的質問と相関されうることを理解するだろう。従って、マーカーレベルは、任意の適切な技術水準の数学的方法によって組み合せられうる。
【0057】
一又は複数のマーカーVEGFA、VEGFR2及びPLGFの発現レベルは、患者サンプルにおける特定のタンパク質レベルの決定に適切な当分野で知られている任意の方法によって評価され得、好ましくは、一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFに特異的な抗体を用い、ELISAなどのイムノアッセイ方法によって決定される。このような方法はよく知られており、当分野でルーチン的に実施され、対応する市販の抗体及び/又はキットは容易に入手可能である。例えば、VEGFA、VEGFR2及びPLGFのための市販の抗体/試験キットは、クローン3C5及び26503はBender RELIATech及びR&D Systemsから、クローン89115及び89109はR&D systemsから、クローン2D6D5及び6A11D2はRoche Diagnostics GmbHからそれぞれ得ることができる。好ましくは、発明のマーカー/指標タンパク質の発現レベルは、抗体又はキット製造者の推奨試薬及び/又はプロトコルを使用して評価される。当業者はまた、イムノアッセイ方法により一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの発現レベルを決定するための更なる手段に気付くだろう。従って、発明のマーカー/指標の一又は複数の発現レベルは、不当な負担無く、当業者によってルーチン的に、また再現性よく決定できる。しかしながら、正確性及び再現性のある結果を確実にするために、発明はまた、試験手順の検証を確実にする専門研究所における患者サンプルの試験を包含する
【0058】
VEGF121及びVEGF110タンパク質は、当業者に知られている任意の方法を使用して検出できる。例えば、哺乳類からの組織又は細胞サンプルは、ウェスタン、ELISA等を使用して、例えばタンパク質について簡便にアッセイできる。上記技術の適用におけるガイダンスの提供のために、多くの参照文献が入手可能である(Kohler et al., Hybridoma Techniques (Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 1980); Tijssen, Practice and Theory of Enzyme Immunoassays (Elsevier, Amsterdam, 1985); Campbell, Monoclonal Antibody Technology (Elsevier, Amsterdam, 1984); Hurrell, Monoclonal Hybridoma Antibodies:Techniques and Applications (CRC Press, Boca Raton, FL, 1982); and Zola, Monoclonal Antibodies:A Manual of Techniques, pp. 147-1 58 (CRC Press, Inc., 1987))。
【0059】
VEGF121及びVEGF110の検出又はレベルに言及する場合、これは、例えば、VEGF121及びVEGF110双方を検出するアッセイを使用して、双方の分子の合計が測定されることを意味する。双方の分子VEGF121及びVEGF110を検出するアッセイは、例えば、対応する他の形態について(すなわち、VEGF110が良好に認識される場合はVEGF121について、又はVEGF121が良好に認識される場合はVEGF110ついてそれぞれ)少なくとも25%の感受性を有するアッセイを含む。ある実施態様では、アッセイでは、少なくとも50%、75%、80%、85%、90%以上の、対応する他の形態に対する感受性を有する。一実施態様では、VEGF121及びVEGF110は、基本的に同じ感受性で測定される。
【0060】
VEGF121及びVEGF110タンパク質の検出については、様々なアッセイが利用可能である。例えば、サンプルは、長い、天然に生じるVEGF-AアイソフォームVEGF165及びVEGF189それぞれと比較して、短いVEGF-Aアイソフォーム、VEGF121及びVEGF110それぞれと優先的に又は特異的に結合する抗体又は抗体の組合せ(例えば、サンドイッチアッセイにおいて)と接触され得る。好ましくは、短アイソフォームは、長アイソフォームと比較して少なくとも3倍高い感受性で検出される。標準曲線が、短アイソフォーム(SDS-PAGEにより少なくとも90%の純度及びOD280nmによって決定される濃度)を使用して得られ、同じ試薬及び同じ標準曲線を使用する所定の濃度での長アイソフォーム(SDS-PAGEにより少なくとも90%の純度及びOD280nmによって決定される濃度)について、標準曲線の読取り値が、期待した濃度の3分の1以下のみである場合、少なくとも3倍高い感受性が確認される。また好ましくは、短アイソフォームの感受性は、長アイソフォームと比較して、特にVEGF165と比較して少なくとも4倍、5倍、6倍、7倍、8倍又は9倍高い。
【0061】
一実施態様では、短アイソフォームVEGF121及びVEGF110双方が特異的に検出される。このような特異的検出は、例えば、VEGF121におけるエクソン4及び8を連結することによって生成される配列又はVEGF110のフリーC末端それぞれに結合する抗体、特にモノクローナル抗体が使用及び適用される場合に可能である。このようなVEGF110抗C末端抗体は、長ポリペプチド鎖の一部としてアミノ酸110を含んでなる何れかのVEGF-Aアイソフォームに、又は例えばアミノ酸109の短VEGF-A断片末端に結合しない。VEGF121においてそれぞれエクソン4及び8を連結することによって生成される配列に結合するモノクローナル抗体は、長VEGFアイソフォーム165及び189それぞれに含まれるアミノ酸配列に結合しないだろう。なぜなら、そこでは、エクソン4及びエクソン7の、及びエクソン4及びエクソン5それぞれの連結により、他のアミノ酸配列が存在するからである(Ferrara, N., Mol.Biol. of the Cell 21 (2010) 687-690を参照)。使用する抗体が、短断片と10%未満の交差反応、及び抗VEGF110抗体の場合フリーC末端アミノ110を持たないそれらのVEGF-Aアイソフォームと、又は抗VEGF121抗体の場合、エクソン4及び8の連結によって生成される配列を含んでなるそれらのアイソフォームとそれぞれ10%未満の交差反応を呈する場合に、上記配列の特異的結合が確認される。また好ましくは、交差反応は、短断片及び、フリーC末端アミノ酸110をもたないか又はエクソン4及び8の連結によって生成される配列を持たないVEGFアイソフォーム双方それぞれに、それぞれ5%、4%、3%、2%及び1%未満であろう。
【0062】
短VEGFアイソフォームVEGF121又はVEGF110にのみそれぞれ結合する適切な特異的抗体は、標準的な手順に従って得ることができる。VEGF110の最も少なくとも4、5、6、7、8、9、10以上のアミノ酸C末端を呈するか含んでなるペプチド、又はVEGF121のアミノ酸115にアミノ酸C末端及びN末端を含んでなる少なくとも5、6、7、8、9、10以上のアミノ酸を呈するか又は含んでなるペプチドがそれぞれ合成され、場合によっては担体にカップリングされ、免疫化に使用されるだろう。特異的ポリクローナル抗体は、適切な免疫吸着工程によって得ることができる。モノクローナル抗体は、VEGF121又はVEGF110それぞれとの反応性、及び適切な低交差反応について容易にスクリーニングできる。VEGF110特異的抗体に関して、低交差反応は、VEGF110の短断片(例えば、VEGF110のC末端アミノ酸を欠如)及びVEGF110のフリーC末端を持たないVEGF-Aアイソフォーム双方について評価できる。VEGF121特異的抗体に関する低交差反応性は、エクソン4及びエクソン7の、及びエクソン4及びエクソン5の連結によって形成されるアミノ酸配列を含むVEGFアイソフォームを使用して評価できる。
【0063】
VEGF111タンパク質又は核酸は、当分野で知られている任意の方法を使用して検出できる。例えば、哺乳類からの組織又は細胞サンプルは、例えば、ウエスタン、ELISAを使用してタンパク質について、ノーザン、ドットブロット、又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)分析、アレイハイブリダイゼーション、RNaseプロテクションアッセイを使用して、又はDNA SNPチップマイクロアレイを使用して、興味の遺伝的バイオマーカーからのmRNA又はDNAについて、簡便にアッセイでき、これらは市販されており、DNAマイクロアレイスナップショットを含む。例えば、リアルタイムPCR(RT-PCR)アッセイ、例えば定量PCRアッセイは、当分野でよく知られている。発明の説明的実施態様では、生物学的サンプルにおける興味の遺伝的バイオマーカーからのmRNAの検出のための方法は、少なくとも一つのプライマーを使用して逆転写によってサンプルからcDNAを生成すること;そのように生成されたcDNAを増幅すること;及び増幅されたcDNAの存在を検出することを含む。更に、このような方法は、生物学的サンプルにおけるmRNAのレベルの決定を可能にする一又は複数の工程を含むことができる(例えば、「ハウスキーピング」遺伝子、例えばアクチンファミリーメンバーの比較コントロールmRNA配列のレベルを同時に調べることによって)。場合によっては、増幅cDNAの配列が決定されうる。
【0064】
上記技術の適用におけるガイダンスの提供のために、多くの参照文献が入手可能である(Kohler et al., Hybridoma Techniques (Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 1980); Tijssen, Practice and Theory of Enzyme Immunoassays (Elsevier, Amsterdam, 1985); Campbell, Monoclonal Antibody Technology (Elsevier, Amsterdam, 1984); Hurrell, Monoclonal Hybridoma Antibodies: Techniques and Applications (CRC Press, Boca Raton, FL, 1982); and Zola, Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques, pp. 147-1 58 (CRC Press, Inc., 1987)。
【0065】
VEGF111タンパク質の検出について、様々なアッセイが利用可能である。例えば、サンプルは、長い天然に生じるVEGF-AアイソフォームVEGF165及びVEGF189それぞれと比較して、VEGF111に選択的又は特異的に結合する抗体又は抗体の組合せ(例えば、サンドイッチアッセイにおいて)と接触されうる。好ましくは、短アイソフォームVEGF111は、長アイソフォームと比較して少なくとも3倍高い感受性で検出される。標準曲線が、短アイソフォーム(SDS-PAGEにより少なくとも90%の純度及びOD280nmによって決定される濃度)を使用して得られ、同じ試薬及び同じ標準曲線を使用する所定の濃度での長アイソフォーム(SDS-PAGEにより少なくとも90%の純度及びOD280nmによって決定される濃度)について、標準曲線の読取り値が、期待した濃度の3分の1以下のみである場合、少なくとも3倍高い感受性が確認される。また好ましくは、短アイソフォームの感受性は、長アイソフォームと比較して少なくとも4倍、5倍、6倍、7倍、8倍又は9倍高い。
【0066】
一実施態様では、アイソフォームVEGF111が特異的に検出される。このような特異的検出は、例えば、VEGF111に独自のエクソン接合部に結合する抗体、特にモノクローナル抗体が使用及び適用される場合に、可能である。このような抗体は、他のVEGF-Aアイソフォーム、又はこの特異的エクソン接合部を含まないその切断産物に結合しない。上記の意味での特異的結合は、もし、使用する抗体が、この独自のエクソン接合部を持たない、VEGF121又はVEGF165のような他のVEGF-Aアイソフォームとそれぞれ、10%未満の交差反応を呈する場合に、確認される。また好ましくは、例えばVEGF121への交差反応は、それぞれ5%、4%、3%、2%及び1%未満であろう。
【0067】
VEGF111の特異性は、一実施態様では、同じ試薬を使用して、VEGF111(SDS-PAGEにより少なくとも90%の純度及びOD280nmにより決定される濃度)及びVEGF121(SDS-PAGEにより少なくとも90%の純度及びOD280nmにより決定される濃度)を比較することによって評価される。この比較において、VEGF121材料について得られるシグナルが、VEGF111材料で得られるシグナルの10分の1以下のみである場合、VEGF121についての交差反応は10%未満である。当業者は、VEGF121シグナルが好ましくは、VEGF111の最大シグナルの約50%をもたらす濃度で読み取られることを理解するだろう。
【0068】
短VEGFアイソフォームVEGF111にのみ結合する適切な特異的抗体は、標準的な手順に従って得ることができる。通常、VEGF111のアミノ酸105に、アミノ酸C末端及びN末端を示すか又は含んでなるペプチドが合成され得、場合によっては担体にカップリングされ、免疫化に使用される。好ましくは、このようなペプチドは、少なくとも6アミノ酸長であり、少なくとも、VEGF111のアミノ酸105及び106を含むだろう。また好ましいのは、少なくとも、VEGF111のアミノ酸104、105、106及び107を含むだろう。当業者が理解できるように、VEGF111のアミノ酸105及び106間のエクソン接合部に、例えば3以上のアミノ酸N及びC末端を含んでなる、より長いペプチドも、VEGF111に特異的に結合する抗体を得るために使用できる。
【0069】
非修飾VEGFタンパク質は、当分野で知られている任意の適切な方法を使用して検出できる。好ましくは、抗体は、RELIATech GmbH, Wolfenbutel, Germanyから市販されているMAB3C5のような、修飾VEGFと比較して、非修飾VEGFへの優先的な結合特性を少なくとも有する抗体が使用されるだろう。例えば、哺乳類からの組織又は細胞サンプルは、ウエスタン、ELISA等を使用して、非修飾VEGFタンパク質について簡便にアッセイできる。上記技術の適用におけるガイダンスの提供のために、多くの参照文献が入手可能である(Kohler et al., Hybridoma Techniques (Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 1980); Tijssen, Practice and Theory of Enzyme Immunoassays (Elsevier, Amsterdam, 1985); Campbell, Monoclonal Antibody Technology (Elsevier, Amsterdam, 1984); Hurrell, Monoclonal Hybridoma Antibodies: Techniques and Applications (CRC Press, Boca Raton, FL, 1982); and Zola, Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques, pp. 147-1 58 (CRC Press, Inc., 1987))。
【0070】
非修飾VEGFの検出又はレベルに言及する場合、これは、例えばMAB3C5に結合される、非修飾VEGF分子(アイソフォーム又は切断産物)が測定されることを意味する。
【0071】
非修飾VEGFタンパク質の検出については、様々なアッセイが利用可能である。例えば、サンプルは、例えば、患者のサンプルにおいて天然に生じるような修飾VEGFと比較して、非修飾VEGFに優先的又は特異的に結合する抗体又は抗体の組合せ(例えば、サンドイッチアッセイにおいて)と接触されうる。好ましくは、非修飾VEGFは、非修飾VEGFに特異的に結合する抗体を使用して、すなわち、修飾VEGF165と比較して、非修飾VEGF165に少なくとも3倍高い感受性を有する抗体で、検出される。非修飾VEGFについての、このような少なくとも3倍高い感受性は、大腸菌において組換え的に生産されるVEGF165(SDS-PAGEにより少なくとも90%の純度、及びOD280nmにより決定される濃度)と、HEK細胞において組換え的に生産されるVEGF165(SDS-PAGEにより少なくとも90%の純度、及びOD280nmにより決定される濃度)とを、同じ試薬を使用して比較することによって評価される。この比較において、HEK生産による材料について得られるシグナルが、大腸菌由来の材料で得られるシグナルの3分の1以下のみである場合、非修飾VEGFは、少なくとも3倍高い感受性で検出される。当業者は理解するように、シグナルは好ましくは最大シグナルの約50%で読み取られる。好ましくは、この評価では、実施例5のアッセイが使用される。また好ましくは、非修飾VEGF(VEGF165 ex E.coli)に特異的に結合する抗体は、修飾VEGF材料(VEGF165 ex HEK細胞)と比較して、少なくとも4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍又は10倍高い感受性で非修飾VEGFを検出する抗体である。
【0072】
一実施態様では、非修飾VEGFは、市販のMAB3C5のように、修飾VEGFと比較して非修飾VEGFに少なくとも同じ結合優先性を有する抗体を使用して特異的に検出される。一実施態様では、非修飾VEGFへの抗体の相対感受性又は優先的結合は、サンドイッチイムノアッセイにおいて評価され、ここで、非修飾VEGFに対する抗体は捕獲抗体として使用され、全ての主要VEGFアイソフォーム又は切断産物上に存在するエピトープに結合する検出抗体が使用される。一実施態様では、検出抗体は、MAB3C5のエピトープ外のエピトープに結合するだろう。すなわちそれは、VEGFのアミノ酸33〜43におよぶ合成ペプチドから成るエピトープに結合しないだろう。好ましくは、検出抗体は、1〜32、44〜105の範囲のアミノ酸から成るエピトープに、成熟VEGF165の最後の6のアミノ酸に、又はMAB3C5に結合されるエピトープと重複しない立体構造エピトープに結合するだろう。一実施態様では、修飾VEGFと比較して非修飾VEGFに特異的に結合する抗体は、VEGFのアミノ酸33〜43におよぶ合成ペプチドから成るエピトープに結合する特性を有する。
【0073】
非修飾VEGFに特異的に結合する適切な特異的抗体は、標準的な手順に従って得ることができる。通常、大腸菌において組換え的に生産されるか、又は合成的に、例えば固相ポリペプチド合成によって得られるVEGFのアイソフォーム、又は大腸菌において組換え的に生産されるか、又は合成的に、例えば固相ポリペプチド合成によって得られるVEGFのエピトープを表すか又は含んでなるペプチドが、免疫原として使用されるだろう。モノクローナル抗体は容易に、標準的なプロトコルに従って生産でき、非修飾VEGFを用いて反応性について、また修飾VEGFを用いて適切な低交差反応についてスクリーニングできる。一つの簡便で好ましいスクリーニング方法は、大腸菌において組換え的に生産されるVEGF165(SDS-PAGEにより少なくとも90%の純度、及びOD280nmにより決定される濃度)の、及びHEK細胞において組換え的に生産されるVEGF165(SDS-PAGEにより少なくとも90%の純度、及びOD280nmにより決定される濃度)の使用に基づく。
【0074】
一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの発現レベルは、生物学的サンプルである患者サンプルにおいて評価されうる。患者サンプルは、血液サンプル、血清サンプル又は血漿サンプルでありうる。一実施態様では、サンプルはEDTA-血漿である。一実施態様では、サンプルはクエン酸-血漿である。血液サンプル、血清サンプル及び血漿サンプルを得る方法は当分野でよく知られている。患者サンプルは、ネオアジュバント療法より前又は後に、又はアジュバント療法より前又は後に患者から得られうる。
【0075】
本発明の関連において、ベバシズマブは、当分野で知られる標準的な化学療法レジメンの一部として投与される一又は複数の化学療法剤に追加して、又は共療法又は共治療として投与される。このような標準的な化学療法レジメンに含まれる薬剤の例は、5-フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン、ゲムシタビン、エルロチニブ、カペシタビン、タキサン、例えばドセタキセル及びパクリタキセル、インターフェロンアルファ、ビノレルビン、及び白金ベース化学療法剤、例えばカルボプラチン、シスプラチン及びオキサリプラチンを含む。添付の説明的な実施例に示されるように、へのベバシズマブの追加は、一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの発現レベルによって定義及び選択される患者及び/又は患者集団における無進行生存における増加に影響した。このように、ベバシズマブは、添付の説明的実施例で示されるように、化学療法レジメン、例えばドセタキセル療法と組み合わせられうる。
【0076】
投与の一般的な方法は、ボーラス投与としての、又は一定時間にわたる注入、例えば10分、20分、30分、40分、50分、60分、75分、90分、105分、120分、3時間、4時間、5時間又は6時間にわたる一日総投与量の投与としての非経口投与を含む。例えば、体重の2.5mg/kg〜体重の15mg/kgのベバシズマブ(アバスチン(登録商標))が、毎週、毎2週又は毎3週、治療されている癌のタイプに依存して投与されうる。投与量の例は、毎週、毎2週又は毎3週与えられる、体重の2.5mg/kg、体重の5mg/kg、体重の7.5mg/kg、体重の10mg/kg及び体重の15mg/kgを含む。投与量の更なる例は、体重の5mg/kgを毎2週、10mg/kgを毎2週、体重の7.5mg/kgを毎3週及び体重の15mg/kgを毎3週である。ここに記載の発明の関連において、低用量ベバシズマブは、例えば、体重の2.5mg/kgを毎週、体重の5mg/kgを毎2週及び体重の7.5mg/kgを毎3週の投与を含む。ここに記載の発明の関連において、高用量ベバシズマブは、例えば、体重の5mg/kgを毎週、体重の10mg/kgを毎2週及び体重の15mg/kgを毎3週の投与を含む。乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌の治療では、投与量は、低用量ベバシズマブ、特に7.5mg/kgを毎3週、及び高用量ベバシズマブ、特に毎3週に1回与えられる体重の15mg/kgを含む。当業者は、ベバシズマブの投与の更なる方法が、特定の患者及び化学療法レジメンによって決定され、発明によって包含され、投与の特定の方法及び治療用量が、当分野で知られている方法に従って、主治医によって最適に決定されることを理解するだろう。
【0077】
本発明の方法によって選択される患者は、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブで治療され、一又は複数の更なる抗癌療法で更に治療されうる。ある態様では、一又は複数の更なる抗癌療法は、放射線である。
【0078】
本発明はまた、一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの発現レベルの決定に適したオリゴヌクレオチド又はポリペプチドを含んでなる診断用組成物又はキットに関する。ここに詳細に記載するように、オリゴヌクレオチド、例えばDNA、RNA又はDNA及びRNAの混合のプローブが、マーカー/指標タンパク質のmRNAレベルの検出に有用であり得、ポリペプチドは、特異的タンパク質-タンパク質相互作用によるマーカー/指標タンパク質のタンパク質レベルの直接の検出に有用でありうる。発明の好ましい態様では、一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの発現レベルのためのプローブとして包含され、ここに記載のキット又は診断用組成物に含まれるポリペプチドは、これらのタンパク質に特異的な、又はその相同体及び/又はトランケーションに特異的な抗体である。
【0079】
従って、本発明の更なる実施態様は、一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの発現レベルを決定できるオリゴヌクレオチド又はポリペプチドを含んでなる、ここに記載の方法を実施するのに有用なキットを提供する。オリゴヌクレオチドは、ここに記載のマーカー/指標の一又は複数をコードするmRNAに特異的なプライマー及び/又はプローブを含み得、ポリペプチドは、マーカー/指標タンパク質との特異的な相互作用が可能なタンパク質、例えばマーカー/指標特異的抗体又は抗体断片を含む。
【0080】
従って、本発明は、乳癌を患っている患者のための改善された化学療法レジメンにおける使用のためのベバシズマブに関し、ここで、患者サンプルにおける一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの発現レベルが決定され、それによって、乳癌と診断された患者において決定されるコントロールレベルと比較して、一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの増加したレベルを有する患者は、化学療法レジメンに加えて、ベバシズマブが投与される。
【0081】
以下の類似な使用が、変更すべきところは変更して適用されうる。
【0082】
本発明は、乳癌を患っている患者の化学療法レジメンの治療効果を改善するためのベバシズマブの使用であって、次の工程を含んでなる使用に関する:
(a)患者サンプルにおける一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの発現レベルを決定する工程;及び
(b)乳癌と診断された患者において決定されるコントロールレベルと比較して、一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの増加したレベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
乳癌は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌でありうる。化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。
【0083】
従って、本発明は、乳癌を患っている患者の化学療法レジメンの治療効果を改善するためのベバシズマブの使用であって、次の工程を含んでなる使用に関する:
(a)前記患者からサンプルを得る工程;
(b)一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの発現レベルを決定する工程;及び
(c)乳癌と診断された患者において決定されるコントロールレベルと比較して、一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの増加したレベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
乳癌は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌でありうる。化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。
【0084】
本発明は、乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するためのベバシズマブの使用であって、次の工程を含んでなる使用に関する:
(a)患者サンプルにおける一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの発現レベルを決定する工程;及び
(b)乳癌と診断された患者において決定されるコントロールレベルと比較して、一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの増加したレベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
乳癌は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌でありうる。化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。
【0085】
従って、本発明は、乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するためのベバシズマブの使用であって、次の工程を含んでなる使用に関する:
(a)前記患者からサンプルを得る工程;
(b)一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの発現レベルを決定する工程;及び
(c)乳癌と診断された患者において決定されるコントロールレベルと比較して、一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの増加したレベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
乳癌は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌でありうる。化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。
【0086】
本発明は、乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するためのベバシズマブの使用であって、次の工程を含んでなる使用を提供する:
(a)患者サンプルにおけるVEGFA又はVEGFR2の発現レベルを決定する工程;及び
(b)乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA又はVEGFR2の増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
乳癌は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌でありうる。化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。投与されるベバシズマブの用量は、低又は高用量ベバシズマブでありうる。
【0087】
本発明は、乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するためのベバシズマブの使用であって、次の工程を含んでなる使用に関する:
(a)前記患者からサンプルを得る工程;
(b)VEGFA又はVEGFR2の発現レベルを決定する工程;及び
(c)乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA又はVEGFR2の増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
乳癌は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌でありうる。化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。投与されるベバシズマブの用量は、低又は高用量ベバシズマブでありうる。
【0088】
本発明は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するためのベバシズマブの使用であって、次の工程を含んでなる使用を提供する:
(a)患者サンプルにおけるVEGFA又はVEGFR2の発現レベルを決定する工程;及び
(b)前記乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA又はVEGFR2の増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。投与されるベバシズマブの用量は、低又は高用量ベバシズマブでありうる。
【0089】
本発明は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するためのベバシズマブの使用であって、次の工程を含んでなる使用に関する:
(a)前記患者からサンプルを得る工程;
(b)VEGFA又はVEGFR2の発現レベルを決定する工程;及び
(c)前記乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA又はVEGFR2の増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。投与されるベバシズマブの用量は、低又は高用量ベバシズマブでありうる。
【0090】
発明は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するためのベバシズマブの使用であって、次の工程を含んでなる使用に関する:
(a)患者サンプルにおけるVEGFA又はVEGFR2の発現レベルを決定する工程;及び
(b)前記乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA又はVEGFR2の増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程、
ここで、化学療法レジメンが、ドセタキセル療法である。投与されるベバシズマブの用量は、低又は高用量ベバシズマブでありうる。
【0091】
従って、本発明は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の無進行生存のためのベバシズマブの使用であって、次の工程を含んでなる使用に関する:
(a)前記患者からサンプルを得る工程;
(b)VEGFA又はVEGFR2の発現レベルを決定する工程;及び
(c)前記乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA又はVEGFR2の増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程、
ここで、化学療法レジメンが、ドセタキセル療法である。投与されるベバシズマブの用量は、低又は高用量ベバシズマブでありうる。
【0092】
本発明は、乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するためのベバシズマブの使用であって、次の工程を含んでなる使用を提供する:
(a)患者サンプルにおけるVEGFA及びVEGFR2の発現レベルを決定する工程;及び
(b)乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA及びVEGFR2の増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
乳癌は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌でありうる。化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。投与されるベバシズマブの用量は、低又は高用量ベバシズマブでありうる。添付の説明的実施例に示すように、VEGFA及びVEGFR2の組合せ発現レベルは、低用量ベバシズマブを投与された患者において特に予測的であった。
【0093】
本発明は、乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するためのベバシズマブの使用であって、次の工程を含んでなる使用に関する:
(a)前記患者からサンプルを得る工程;
(b)VEGFA及びVEGFR2の発現レベルを決定する工程;及び
(c)乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA及びVEGFR2の増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
乳癌は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌でありうる。化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。投与されるベバシズマブの用量は、低又は高用量ベバシズマブでありうる。添付の説明的実施例に示すように、VEGFA及びVEGFR2の組合せ発現レベルは、低用量ベバシズマブを投与された患者において特に予測的であった。
【0094】
本発明は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するためのベバシズマブの使用であって、次の工程を含んでなる使用を提供する:
(a)患者サンプルにおけるVEGFA及びVEGFR2の発現レベルを決定する工程;及び
(b)前記乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA及びVEGFR2の増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。投与されるベバシズマブの用量は、低又は高用量ベバシズマブでありうる。添付の説明的実施例に示すように、VEGFA及びVEGFR2の組合せ発現レベルは、低用量ベバシズマブを投与された患者において特に予測的であった。
【0095】
本発明は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するためのベバシズマブの使用であって、次の工程を含んでなる使用に関する:
(a)前記患者からサンプルを得る工程;
(b)VEGFA及びVEGFR2の発現レベルを決定する工程;及び
(c)前記乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA及びVEGFR2の増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。投与されるベバシズマブの用量は、低又は高用量ベバシズマブでありうる。添付の説明的実施例に示すように、VEGFA及びVEGFR2の組合せ発現レベルは、低用量ベバシズマブを投与された患者において特に予測的であった。
【0096】
発明は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するためのベバシズマブの使用であって、次の工程を含んでなる使用に関する:
(a)患者サンプルにおけるVEGFA及びVEGFR2の発現レベルを決定する工程;及び
(b)前記乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA及びVEGFR2の増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程、
ここで、化学療法レジメンが、ドセタキセル療法である。投与されるベバシズマブの用量は、低又は高用量ベバシズマブでありうる。添付の説明的実施例に示すように、VEGFA及びVEGFR2の組合せ発現レベルは、低用量ベバシズマブを投与された患者において特に予測的であった。
【0097】
従って、本発明は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の無進行生存のためのベバシズマブの使用であって、次の工程を含んでなる使用に関する:
(a)前記患者からサンプルを得る工程;
(b)VEGFA及びVEGFR2の発現レベルを決定する工程;及び
(c)前記乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA及びVEGFR2の増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程、
ここで、化学療法レジメンが、ドセタキセル療法である。投与されるベバシズマブの用量は、低又は高用量ベバシズマブでありうる。添付の説明的実施例に示すように、VEGFA及びVEGFR2の組合せ発現レベルは、低用量ベバシズマブを投与された患者において特に予測的であった。
【0098】
本発明は、乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するためのベバシズマブの使用であって、次の工程を含んでなる使用を提供する:
(a)患者サンプルにおけるVEGFA及びPLGFの発現レベルを決定する工程;及び
(b)乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA及びPLGFの増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
乳癌は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌でありうる。化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。投与されるベバシズマブの用量は、低又は高用量ベバシズマブでありうる。
【0099】
従って、本発明は、乳癌を患っている患者の無進行生存のためのベバシズマブの使用であって、次の工程を含んでなる使用に関する:
(a)前記患者からサンプルを得る工程;
(b)VEGFA及びPLGFの発現レベルを決定する工程;及び
(c)乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA及びPLGFの増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
乳癌は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌でありうる。化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。投与されるベバシズマブの用量は、低又は高用量ベバシズマブでありうる。
【0100】
本発明は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するためのベバシズマブの使用であって、次の工程を含んでなる使用を提供する:
(a)患者サンプルにおけるVEGFA及びPLGFの発現レベルを決定する工程;及び
(b)前記乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA及びPLGFの増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。投与されるベバシズマブの用量は、低又は高用量ベバシズマブでありうる。
【0101】
従って、本発明は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の無進行生存のためのベバシズマブの使用であって、次の工程を含んでなる使用に関する:
(a)前記患者からサンプルを得る工程;
(b)VEGFA及びPLGFの発現レベルを決定する工程;及び
(c)前記乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA及びPLGFの増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。投与されるベバシズマブの用量は、低又は高用量ベバシズマブでありうる。
【0102】
本発明は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するためのベバシズマブの使用であって、次の工程を含んでなる使用を提供する:
(a)患者サンプルにおけるVEGFA及びPLGFの発現レベルを決定する工程;及び
(b)前記乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA及びPLGFの増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程、
ここで、化学療法レジメンが、ドセタキセル療法である。
投与されるベバシズマブの用量は、低又は高用量ベバシズマブでありうる。
【0103】
従って、本発明は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の無進行生存のためのベバシズマブの使用であって、次の工程を含んでなる使用に関する:
(a)前記患者からサンプルを得る工程;
(b)VEGFA及びPLGFの発現レベルを決定する工程;及び
(c)前記乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA及びPLGFの増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程、
ここで、化学療法レジメンが、ドセタキセル療法である。
投与されるベバシズマブの用量は、低又は高用量ベバシズマブでありうる。
【0104】
本発明は、乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するためのベバシズマブの使用であって、次の工程を含んでなる使用を提供する:
(a)患者サンプルにおけるVEGFA、VEGFR2及びPLGFの発現レベルを決定する工程;及び
(b)乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA、VEGFR2及びPLGFの増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
乳癌は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌でありうる。化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。投与されるベバシズマブの用量は、低又は高用量ベバシズマブでありうる。
【0105】
本発明は、乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するためのベバシズマブの使用であって、次の工程を含んでなる使用に関する:
(a)前記患者からサンプルを得る工程;
(b)VEGFA、VEGFR2及びPLGFの発現レベルを決定する工程;及び
(c)乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA、VEGFR2及びPLGFの増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
乳癌は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌でありうる。化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。投与されるベバシズマブの用量は、低又は高用量ベバシズマブでありうる。
【0106】
本発明は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するためのベバシズマブの使用であって、次の工程を含んでなる使用を提供する:
(a)患者サンプルにおけるVEGFA、VEGFR2及びPLGFの発現レベルを決定する工程;及び
(b)前記乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA、VEGFR2及びPLGFの増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。投与されるベバシズマブの用量は、低又は高用量ベバシズマブでありうる。
【0107】
本発明は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するためのベバシズマブの使用であって、次の工程を含んでなる使用に関する:
(a)前記患者からサンプルを得る工程;
(b)VEGFA、VEGFR2及びPLGFの発現レベルを決定する工程;及び
(c)前記乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA、VEGFR2及びPLGFの増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程。
化学療法レジメンは、タキサン療法、例えばドセタキセル又はパクリタキセル療法を含みうる。投与されるベバシズマブの用量は、低又は高用量ベバシズマブでありうる。
【0108】
発明は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の無進行生存を改善するためのベバシズマブの使用であって、次の工程を含んでなる使用に関する:
(a)患者サンプルにおけるVEGFA、VEGFR2及びPLGFの発現レベルを決定する工程;及び
(b)前記乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA、VEGFR2及びPLGFの増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程、
ここで、化学療法レジメンが、ドセタキセル療法である。
投与されるベバシズマブの用量は、低又は高用量ベバシズマブでありうる。
【0109】
従って、本発明は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の無進行生存のためのベバシズマブの使用であって、次の工程を含んでなる使用に関する:
(a)前記患者からサンプルを得る工程;
(b)VEGFA、VEGFR2及びPLGFの発現レベルを決定する工程;及び
(c)前記乳癌と診断された患者において決定されるコントロール組合せ発現レベルと比較して、VEGFA、VEGFR2及びPLGFの増加した組合せ発現レベルを有する患者に、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与する工程、
ここで、化学療法レジメンが、ドセタキセル療法である。
投与されるベバシズマブの用量は、低又は高用量ベバシズマブでありうる。
【0110】
添付の説明的実施例に記載のように、本発明は、同定された技術的問題を解消し、そこでは、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌と診断された患者において決定されるコントロールレベルと比較した、任意の患者における一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの発現レベルレベルが、ドセタキセル化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを投与された患者における治療効果と相関することが、驚くべきことに示された。添付の説明的実施例に示すように、VEGFA又はVEGFR2の増加したタンパク質発現レベルが、プラセボ及びドセタキセル化学療法レジメンで治療された患者と比較して、ベバシズマブ及びドセタキセル化学療法レジメンで治療された局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の改善された無進行生存と相関することが、驚くべきことに発見された(図2〜5)。VEGFA及びVEGFR2の増加した組合せ発現レベルが、プラセボ及びドセタキセル化学療法レジメンで治療された患者と比較して、ベバシズマブ及びドセタキセル化学療法レジメンで治療された局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者の改善された無進行生存と相関することが更に、驚くべきことに発見された(図6)。VEGFA及びPLGFの増加した組合せ発現レベルが、プラセボ及びドセタキセル化学療法レジメンで治療された患者と比較して、ベバシズマブ及びドセタキセル化学療法レジメンで治療された局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っている患者における無進行生存と相関することがまた、驚くべきことに発見された(図7)。
【0111】
発明は、従って、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っているか、患っていると疑われるか又は患う傾向がある患者の、化学療法レジメンへのベバシズマブの追加に対する応答性又は感受性を予測するインビトロ方法であって、患者サンプルにおける一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの、組合せ発現レベルを含む発現レベルを決定することを含んでなる方法に関する。従って、ここに記載されている方法との関連で、発明は、患者サンプルにおける一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの、組合せ発現レベルを含む発現レベルを決定することを含んでなる、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っているか、患っていると疑われるか又は患う傾向がある患者の、化学療法レジメンへのベバシズマブの追加に対する応答性又は感受性の予測のための診断用組成物の調製のための、例えば抗体及びアプタマーのような結合分子を含む、特異的プローブの使用を提供する。発明は、従って、患者サンプルにおけるVEGFA又はVEGFR2の発現レベルを決定することを含んでなる、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っているか、患っていると疑われるか又は患う傾向がある患者の、化学療法レジメンへのベバシズマブの追加に対する応答性又は感受性の予測のための診断用組成物の調製のための、例えば抗体及びアプタマーのような結合分子を含む、特異的プローブの使用に関する。
【0112】
発明は、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っているか、患っていると疑われるか又は患う傾向がある患者の、化学療法レジメンへのベバシズマブの追加に対する応答性又は感受性を予測するインビトロ方法であって、患者サンプルにおけるVEGFA及びVEGFR2の組合せ発現レベルを決定することを含んでなる方法を提供する。従って、ここに記載されている方法との関連で、発明は、患者サンプルにおけるVEGFA及びVEGFR2の組合せ発現レベルを決定することを含んでなる、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER2陰性乳癌を患っているか、患っていると疑われるか又は患う傾向がある患者の、化学療法レジメンへのベバシズマブの追加に対する応答性又は感受性の予測のための診断用組成物の調製のための、例えば抗体及びアプタマーのような結合分子を含む、特異的プローブの使用を提供する。
【0113】
発明は、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER2陰性乳癌を患っているか、患っていると疑われるか又は患う傾向がある患者の、化学療法レジメンへのベバシズマブの追加に対する応答性又は感受性を予測するインビトロ方法であって、患者サンプルにおけるVEGFA及びPLGFの組合せ発現レベルを決定することを含んでなる方法を提供する。従って、ここに記載されている方法との関連で、発明は、患者サンプルにおけるVEGFA及びPLGFの組合せ発現レベルを決定することを含んでなる、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER2陰性乳癌を患っているか、患っていると疑われるか又は患う傾向がある患者の、化学療法レジメンへのベバシズマブの追加に対する応答性又は感受性の予測のための診断用組成物の調製のための、例えば抗体及びアプタマーのような結合分子を含む、特異的プローブの使用を提供する。
【0114】
発明は、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っているか、患っていると疑われるか又は患う傾向がある患者の、化学療法レジメンへのベバシズマブの追加に対する応答性又は感受性を予測するインビトロ方法であって、患者サンプルにおけるVEGFA、VEGFR2及びPLGFの組合せ発現レベルを決定することを含んでなる方法を提供する。従って、ここに記載されている方法との関連で、発明は、患者サンプルにおけるVEGFA、VEGFR2及びPLGFの組合せ発現レベルを決定することを含んでなる、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っているか、患っていると疑われるか又は患う傾向がある患者の、化学療法レジメンへのベバシズマブの追加に対する応答性又は感受性の予測のための診断用組成物の調製のための、例えば抗体及びアプタマーのような結合分子を含む、特異的プローブの使用を提供する。
【0115】
本発明の関連で、「に応答性」なる言いまわしは、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っているか、患っていると疑われるか又は患う傾向がある被験体/患者が、ベバシズマブを含んでなる化学療法レジメンに応答を示すことを意味する。当業者は、発明の方法によりベバシズマブで治療された人が応答を示すかどうか容易に決定できる立場にある。例えば、応答は、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌からの低下した苦痛、例えば減少した及び/又は停止した腫瘍増殖、腫瘍のサイズの低減、及び/又は癌の一又は複数の症状の寛解に反映されうる。好ましくは、応答は、乳癌の転移性変換の低下又は減少インデックス、例えば、転移の形成の防止、又は転移の数又はサイズの低減に反映されうる(例えば、Eisenhauser et al., New response evaluation criteria in solid tumours: Revised RECIST guideline (version 1.1) Eur. J. Cancer 2009 45: 228-247を参照)。
【0116】
本発明の関連で、「に感受性」なる言いまわしは、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っているか、患っていると疑われるか又は患う傾向がある被験体/患者が、何らかの形で、化学療法レジメンとの組合せにおけるベバシズマブでの治療に陽性反応を示すことを意味する。上記のような、「に応答性」の患者と比較して、患者の反応はあまりはっきりしないだろう。例えば、腫瘍増殖又は転移指標における低下はないが、患者は疾患に関して苦痛をあまり経験せず、及び/又は化学療法レジメンとの組合せにおけるベバシズマブの反応は一過性のみであり得、すなわち、腫瘍及び/又は転位の増殖は一過性にのみ低減又は停止されうる。
【0117】
発明によると、「を患っている患者」なる言いまわしは、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌の臨床徴候を示している患者を指す。乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌の関連において、「患っていると疑われる」、「感受性である」、「患う傾向がある」又は「傾向がある」なる言いまわしは、例えばありうる遺伝的素因、有害及び/又は発癌性化合物への前又は最終的曝露、又は発癌性物理的ハザード、例えば放射線への曝露に基づく、患者における徴候疾患を指す。
【0118】
本発明の関連で、「化学療法レジメンの治療効果」なる言いまわしは、「全生存」及び「無進行生存」なる用語を包含する。
【0119】
本発明の関連で、「全生存」なる言いまわしは、患者が生存する治療中及び後の時間の長さを指す。当業者が理解するように、患者が、他の患者のサブグループと比較して、統計的に有意に長い平均生存時間を有する患者のサブグループに属する場合に、患者の全生存は改善又は増強される。
【0120】
本発明の関連で、「無進行生存」なる言いまわしは、その間、臨床医又は調査員の評価により、患者の疾患が悪化していない、すなわち進行していない、治療中及び後の時間の長さを指す。当業者が理解するように、類似な状況の患者のコントロールグループの平均(average又はmean)の無進行生存時間と比較して、患者が、疾患が進行しない、より長い時間を経験する場合、患者の無進行生存は改善又は増強される。
【0121】
「投与」又は「投与する」なる用語は、ここで使用される場合、治療用抗体の投与について当分野で知られている任意の適切な手段による、このような治療又は医療介入を必要としている患者への、血管新生阻害剤、例えばベバシズマブ(アバスチン(登録商標))、及び/又は血管新生阻害剤、例えばベバシズマブ(アバスチン(登録商標))を含んでなる薬学的組成物/治療レジメンの投与を意味する。投与の非限定的経路は、経口、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、局所、皮内、鼻腔内又は気管支内投与(例えば、吸入によって達成される)を含む。この発明の関連で、特に好ましいのは、非経口投与、例えば静脈内投与である。
【0122】
「抗体」なる用語は、ここでは、最も広い意味で使用され、限定するものではないが、所望の生物学的活性、特に一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFへの、又はその相同体、変異体、断片及び/又はアイソフォームへの特異的結合を示す、モノクローナル及びポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、キメラ抗体、CDR移植抗体、ヒト化抗体、ラクダ化抗体、単鎖抗体及び抗体断片及び断片コンストラクト、例えば、F(ab′)断片、Fab断片、Fv断片、単鎖Fv断片(scFvs)、二重特異性scFvs、ダイアボディ、単ドメイン抗体(dAbs)及びミニボディを含む。
【0123】
「アプタマー」なる用語は、ここで使用される場合、最も広い意味で使用され、限定するものではないが、所望の生物学的活性、特に一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFへの、又はその相同体、変異体、断片及び/又はアイソフォームへの特異的結合を示す、RNA、DNA及びRNA/DNA分子を含むオリゴヌクレオチド、又はペプチド分子を含む。
【0124】
ここで使用される場合、「化学療法レジメン」又は「化学療法剤」は、抗癌治療効果を提供できる任意の活性剤を含み、化学的薬剤又は生物学的薬剤、特に癌又は腫瘍細胞を干渉できるでものありうる。好ましい活性剤は、悪性細胞の形成、成熟又は増殖を阻害又は防止する抗新生物(化学傷害性又は静化学性(chemostatic))剤として作用するものである。化学療法レジメン又は化学療法剤の非限定例は、アルキル化剤、例えばナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン及びクロラムブシル)、ニトロソウレア(例えば、アルムスチン(armustine)(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、及びセムスチン(メチル-CCNU))、エチレンイミン/メチルメラミン(例えば、トリエチレンメラミン(TEM)、トリエチレン、チオホスホルアミド(チオテパ)、ヘキサメチルメラミン(HMM、アルトレタミン))、スルホン酸アルキル(例えば、ブスルファン)、及びトリアジン(例えば、ダカルバジン(DTIC));代謝拮抗剤、例えば葉酸類似体(例えば、メトトレキサート、トリメトレキサート)、ピリミジン類似体(例えば、5-フルオロウラシル、カペシタビン、フルオロデオキシウリジン、ゲムシタビン、シトシンアラビノシド(AraC、シタラビン)、5-アザシチジン、2、2′-ジフルオロデオキシシチジン)、及びプリン類似体(例えば、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、アザチオプリン、2′-デオキシコホルマイシン(ペントスタチン)、エリスロヒドロキシノニルアデニン(EHNA)、リン酸フルダラビン、及び2-クロロデオキシアデノシン(クラドリビン、2-CdA));天然産物から得られる有糸分裂阻害剤(例えば、パクリタキセル、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン(VLB)、ビンクリスチン、及びビノレルビン)、ドセタキセル、エストラムスチン、及びリン酸エストラムスチン)、エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシド、テニポシド)、抗生物質(例えば、アクチモマイシン(actimomycin)D、ダウノマイシン(ルビドマイシン)、ダウノルビコン(daunorubicon)、ドキソルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、イダルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、マイトマイシンC、アクチノマイシン)、酵素(例えば、L-アスパラギナーゼ)、及び生物学的反応修飾物質(例えば、インターフェロン-アルファ、IL-2、G-CSF、GM-CSF);混合型薬剤、例えば、白金配位化合物(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン)、アントラセンジオン(例えば、ミトキサントロン)、置換尿素(すなわちヒドロキシウレア)、メチルヒドラジン誘導体(例えば、N-メチルヒドラジン(MIH)、プロカルバジン)、副腎皮質抑制剤(例えば、ミトタン(o、p′-DDD)、アミノグルテチミド);ホルモン及びアンタゴニスト、例えば副腎皮質ステロイドアンタゴニスト(例えば、プレドニゾン及び均等なもの、デキサメタゾン、アミノグルテチミド)、プロゲスチン(例えば、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール)、エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール、エチニルエストラジオール及びその均等なもの);抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン)、アンドロゲン(例えば、プロピオン酸テストステロン、フルオキシメステロン及びその均等なもの)、抗アンドロゲン(例えば、フルタミド、ゴナドトロピン放出ホルモン類似体、ロイプロリド)、非ステロイド抗アンドロゲン(例えば、フルタミド)、上皮増殖因子阻害剤(例えば、エルロチニブ、ラパチニブ、ゲフィチニブ)抗体(例えば、トラスツズマブ)、イリノテカン及び他の薬剤、例えばロイコボリンを含む。局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌の治療について、ベバシズマブとの投与のための化学療法剤は、タキサン、例えばパクチタキセル(pactitaxel)及びドセタキセルを含む(ここに提供する説明的実施例も参照のこと)。
【0125】
本発明の関連で、アミノ酸配列に関連して「相同性」とは、ここに提供している配列番号によって定義される配列の完全長に対し、少なくとも80%の配列同一性、特に少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%の同一性を指すと理解される。この発明の関連で、当業者は、相同性が、異なる集団及び民族におけるマーカー/指標タンパク質の更なる対立遺伝子バリエーションを包含することを理解するだろう。
【0126】
ここで使用される場合、「ポリペプチド」なる用語は、任意の長さのアミノ酸鎖を包含するペプチド、タンパク質、オリゴペプチド又はポリペプチドに関し、アミノ酸残基は共有結合ペプチド結合によって連結されている。しかしながら、このようなタンパク質/ポリペプチドのペプチド模倣物も発明によって包含され、ここで、アミノ酸及び/又はペプチド結合は、機能的類似体、例えば20の遺伝子コードアミノ酸の内の一以外のアミノ酸残基、例えばセレノシステインによって置換されている。ペプチド、オリゴペプチド及びタンパク質は、ポリペプチドと呼ばれうる。ポリペプチド及びタンパク質なる用語は、ここでは互換的に使用される。ポリペプチドなる用語は、ポリペプチドの修飾、例えばグリコシル化、アセチル化、リン酸化及び同様なものも指し、除外しない。このような修飾は基本的な教科書に、より詳細なモノグラフに、並びに多量の研究文献に記載されている。ポリペプチドなる用語は、ここで使用される「抗体」なる用語も指し、包含する。
【0127】
「治療する」及び「治療」なる用語は、ここで使用される場合、疾患又はその何れかのパラメーター又は症状の治療、改善、重症度の軽減、時間経過における低減を指す。好ましくは、前記患者はヒト患者であり、治療される疾患は乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌である。
【0128】
このような患者について「評価する」又は「評価」なる用語は、VEGFA、VEGFR2及びPLGFを含むここに記載の一又は複数のマーカー/指標タンパク質の発現レベルを決定する方法、及び/又は乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌と診断された患者において得られるコントロールレベルと比較した、このようなマーカー/指標の発現レベルに基づいて、このような患者を選択するための方法に関する。
【0129】
「発現レベル」なる用語はまた、ここで使用される場合、サンプル中における本発明のマーカー/指標タンパク質の濃度又は量を指しうる。
【0130】
上記の方法に加え、発明はまた、一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの発現レベルを評価又は決定するための更なるイムノアッセイ方法、例えばウェスタンブロッティング及びELISAベース検出を包含する。当分野で理解されるように、発明のマーカー/指標タンパク質の発現レベルはまた、当分野で知られている任意の適切な方法、例えばノーザンブロッティング、リアルタイムPCR、及びRT PCRによって、mRNAレベルで評価されうる。イムノアッセイ-及びmRNA-ベースの検出方法及びシステムは当分野でよく知られており、標準的な教科書、例えばLottspeich(Bioanalytik, Spektrum Akademisher Verlag, 1998)又はSambrook及びRussell(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, CSH Press, Cold Spring Harbor, NY, U.S.A., 2001)から導き出すことができる。記載の方法は、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌と診断された集団において得られるコントロールレベルと比較した、患者又は患者のグループにおけるVEGFA、VEGFR2及びPLGFの発現レベルを決定するために特に有用である。
【0131】
一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの発現レベルはまた、免疫凝集、免疫沈降(例えば、免疫拡散、免疫電気泳動、免疫固定)、ウェスタンブロッティング技術(例えば、(in situ)免疫細胞化学、アフィニティークロマトグラフィー、酵素イムノアッセイ)、及び同様なものを利用して、タンパク質レベルにおいても決定できる。溶液中における精製ポリペプチドの量も、物理的方法、例えば測光法によって決定されうる。混合物中における特定のポリペプチドを定量化する方法は通常、例えば抗体の、特異的結合に頼る。抗体の特異性を利用する特異的検出及び定量化方法は、例えばイムノアッセイ方法を含む。例えば、患者サンプル中における本発明のマーカー/指標タンパク質の濃度/量は、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって決定されうる。あるいは、ウエスタンブロット分析又は免疫染色が実施されてもよい。ウェスタンブロッティングは、電気泳動によるタンパク質の混合物の分離と、抗体での特異的検出を組み合わせる。電気泳動は、多次元的、例えば二次元電気泳動でありうる。通常、ポリペプチドは、それらの見かけの分子量によって一次元に沿って、それらの等電点によって他方向に沿って、二次元電気泳動において分離される。
【0132】
上記のように、本発明によるマーカー/指標タンパク質の発現レベルはまた、VEGFA、VEGFR2及び/又はPLGFをコードする対応遺伝子の増加した発現に反映されうる。従って、翻訳より前の遺伝子産物(スプライシング、非スプライシング又は部分的スプライシングmRNA)の定量的評価が、対応遺伝子の発現を評価するために実施されうる。当業者は、この関連で使用される標準的な方法を知っているか、又は標準的な教科書からこれらの方法を導き出しうる(例えばSambrook, 2001, loc. cit.)。例えば、一又は複数のVEGFA、VEGFR2及び/又はPLGFをコードするmRNAのそれぞれの濃度/量に関する定量的データは、ノーザンブロット、リアルタイムPCR及び同様なものによって得ることができる。
【0133】
発明の更なる態様では、発明のキットが有利に、発明の方法を実施するために使用され得、とりわけ、診断分野において又は研究道具として、様々な応用において用いられうる。発明のキットの部品は、バイアルに個々に、又は容器又はマルチコンテイナユニットに組合せでパッケージ化されうる。キットの製造は好ましくは、当業者に知られている標準な手順に従う。キット又は診断用組成物は、例えばここに記載の免疫組織化学技術を使用して、ここに記載の発明の方法に従って、一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの発現レベルの検出のために使用されうる。
【0134】
ベバシズマブの使用によって例示したが、発明は、標準的な化学療法レジメンとの組合せにおける使用のための、当分野で知られている他の血管新生阻害剤の使用を包含する。「血管新生阻害剤」なる用語は、ここで使用される場合、血管新生(例えば、血管を形成するプロセス)を変更する全ての薬剤を指し、血管の形成を阻止し及び/又は血管の成長を停止又は遅くする薬剤を含む。血管新生阻害剤の非限定例は、ベバシズマブに加えて、ペガプタニブ、スニチニブ、ソラフェニブ及びバタラニブを含む。好ましくは、本発明の方法に従った使用のための血管新生阻害剤はベバシズマブである。ここで使用される場合、「ベバシズマブ」なる用語は、米国、欧州及び日本から成る国の群から選択される国又は領域において、同一又はバイオシミラー産物として販売承認を得るために必要な要件を満たしている、全ての対応する抗VEGF抗体又は抗VEGF抗体断片を包含する。
【0135】
ここに記載の検出方法における使用について、当業者は、本発明によって包含されるポリペプチド、例えば抗体、又はオリゴヌクレオチドを標識する能力を有する。当分野でルーチン的に実施されるように、mRNAレベルの検出における使用のためのハイブリダイゼーションプローブ及び/又はイムノアッセイ方法における使用のための抗体又は抗体断片は、当分野で知られている標準的な方法に従って標識化及び可視化でき、一般的に使用されるシステムの非限定的な例は、放射性標識、酵素標識、蛍光タグ、ビオチン-アビジン複合体、化学発光、及び同様なもの使用を含む。
【0136】
当業者、例えば主治医は、ここで選択及び定義されるような患者/患者グループに、化学療法レジメンとの組合せにおいてベバシズマブを容易に投与できる立場にある。特定の状況では、主治医は、彼/彼女の専門的経験に従って、ベバシズマブ及び化学療法レジメンの投与スキームを修正、変更又は補正しうる。従って、本発明のある態様では、方法は、化学療法レジメンとの組合せにおけるベバシズマブによって、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っているか又は患っていると疑われる患者の、治療又は全生存及び/又は無進行生存の改善のために提供され、それにより、前記患者/患者グループは、患者からの生物学的サンプル、特に血漿サンプルの評価を特徴とし、前記サンプルは、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌と診断された患者において得られるコントロールレベルと比較して、一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの増加した発現レベルを呈する。本発明はまた、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を患っているか患っていると疑われる患者の治療のための薬学的組成物の調製におけるベバシズマブの使用を提供し、ここで、患者は、ここに開示のタンパク質マーカー/指標ステータスによって選択されるか特徴付けられる(すなわち、乳癌、特に局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌と診断された患者において得られるコントロールレベルと比較した、一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの増加した発現レベル)。
【0137】
当業者は、局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌における一又は複数のVEGFA、VEGFR2及びPLGFの発現レベルが、化学療法レジメンへのベバシズマブの追加に対する患者の感受性又は応答性の予測であるという発見が、他の癌に意味を有しうることを理解するだろう。
【0138】
図は以下を示す:
【図面の簡単な説明】
【0139】
図1】局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌について治療されている患者の、ベバシズマブ(低又は高用量)+ドセタキセル療法対プラセボ+ドセタキセル療法の、バイオマーカー集団全体の無進行生存についてのカプランマイヤー曲線。短破線はプラセボ+ドセタキセルを表す。実線は、低用量ベバシズマブ(7.5mg/kgを毎3週)+ドセタキセルを表す。長破線は、高用量ベバシズマブ(15mg/kgを毎3週)+ドセタキセルを表す。
図2】局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌について治療されている患者のベバシズマブ(低用量)+ドセタキセル療法対プラセボ+ドセタキセル療法の二分化分析である、バイオマーカー(プラセボ及び低用量ベバシズマブ)による、その後の抗新生物療法の開始の前の、無進行生存のハザード比のフォレストプロット。
図3】局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌について治療されている患者のベバシズマブ(高用量)+ドセタキセル療法対プラセボ+ドセタキセル療法の二分化分析である、バイオマーカー(プラセボ及び高用量ベバシズマブ)による、その後の抗新生物療法の開始の前の、無進行生存のハザード比のフォレストプロット。
図4】局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌について治療されている患者のベバシズマブ(低又は高用量)+ドセタキセル療法対プラセボ+ドセタキセル療法についての、低発現レベル(<125pg/ml)VEGFA、(図4A)、及び高発現レベル(≧125pg/ml)VEGFA、(図4B)についての、その後の抗新生物療法の開始前の、無進行生存のカプランマイヤー曲線。短破線はプラセボ+ドセタキセルを表す。実線は、低用量ベバシズマブ(7.5mg/kgを毎3週)+ドセタキセルを表す。長破線は、高用量ベバシズマブ(15mg/kgを毎3週)+ドセタキセルを表す。
図5】局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌について治療されている患者のベバシズマブ(低又は高用量)+ドセタキセル療法対プラセボ+ドセタキセル療法についての、低発現レベル(<11 ng/ml)VEGFR2、(図5A)、及び高発現レベル(≧11 ng/ml)VEGFR2、(図5B)についての、その後の抗新生物療法の開始前の、無進行生存のカプランマイヤー曲線。短破線はプラセボ+ドセタキセルを表す。実線は、低用量ベバシズマブ(7.5mg/kgを毎3週)+ドセタキセルを表す。長破線は、高用量ベバシズマブ(15mg/kgを毎3週)+ドセタキセルを表す。
図6】局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌について治療されている患者のベバシズマブ(低又は高用量)+ドセタキセル療法対プラセボ+ドセタキセル療法についての、組合せ低発現レベル(式1−<0.132)及び組合せ高発現レベル(式1≧−0.132)のVEGFA及びVEGFR2についての、その後の抗新生物療法の開始前の、無進行生存のカプランマイヤー曲線。実線はプラセボ+ドセタキセルを表す。長破線は、低用量ベバシズマブ(7.5mg/kgを毎3週)+ドセタキセルを表す。短破線は、高用量ベバシズマブ(15mg/kgを毎3週)+ドセタキセルを表す。
図7】局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌について治療されている患者のベバシズマブ(低又は高用量)+ドセタキセル療法対プラセボ+ドセタキセル療法についての、組合せ低発現レベル(式2<−0.006)及び組合せ高発現レベル(式2≧−0.006)のVEGFA及びPLGFについての、その後の抗新生物療法の開始前の、無進行生存のカプランマイヤー曲線。実線はプラセボ+ドセタキセルを表す。長破線は、低用量ベバシズマブ(7.5mg/kgを毎3週)+ドセタキセルを表す。短破線は、高用量ベバシズマブ(15mg/kgを毎3週)+ドセタキセルを表す。
図8】配列番号:1、VEGFAの例示的アミノ酸配列。
図9】配列番号:2、VEGFR2の例示的アミノ酸配列。
図10】配列番号:3、PLGFの例示的アミノ酸配列。
図11】IMPACTチップにおいて測定される、VEGF111、VEGF121、VEGF165及びVEGF189の増加濃度の測定。
図12】自動化Elecsys(登録商標)分析器において、Elecsys(登録商標)アッセイを使用して測定される、VEGF110、VEGF121、及びVEGF165の増加濃度の測定。
図13】IMPACTアッセイを用いて2回測定される、同じ患者からのEDTA-及びクエン酸サンプルからのデータ。VEGFA濃度は、クエン酸よりEDTA-血漿が約40%高く、EDTA-クエン酸方法の比較のスピアマン相関は約0.8である。
図14】示されているのは、大腸菌又はHEK-細胞においてそれぞれ組換え的に生産されたVEGF165の増加濃度を、自動化Elecsys(登録商標)分析器において測定した場合に測定される計数(ECL-シグナル)である。
【0140】
本発明は、以下の非限定的の説明的実施例によって更に説明される。
【0141】
実施例1
AVADO治験(BO17708)では、未治療の局所進行性、再発性又は転移性HER-2陰性乳癌を有する患者を、ドセタキセル100mg/m+ベバシズマブ7.5mg/kgを毎3週(n=248)、ベバシズマブ15mg/kg(n=247)を毎3週又はプラセボ(n=241)にランダム化した(図1を参照、またMiles, J. Clin. Oncol., 24 May 2010 (e-published)を参照のこと)。
【0142】
血漿ベースラインサンプルは、この治験では、396の患者から入手可能であった。
【0143】
血管新生及び腫瘍形成に関連するバイオマーカーのステータスの調査は、バイオマーカー患者集団全体において決定されるコントロールレベルと比較した3つのバイオマーカーの発現レベルが、改善された治療パラメーターと相関することを示した。特に、バイオマーカー患者集団全体において決定されるコントロールレベルと比較して、より高い発現レベルのVEGFAを呈する患者は、ドセタキセル療法へのベバシズマブの追加に応答して、延長した無進行生存を示した。バイオマーカー患者集団全体において決定されるコントロールレベルと比較して、より高い発現レベルのVEGFR2を呈する患者は、ドセタキセル療法へのベバシズマブの追加に応答して、延長した無進行生存を示した。また、バイオマーカー患者集団全体において決定されるコントロールレベルと比較して、より高い組合せ発現レベルのVEGFA及びVEGFR2を呈する患者は、ドセタキセル療法へのベバシズマブの追加に応答して、延長した無進行生存を示した。更に、患者集団全体において決定されるコントロールレベルと比較して、より高い組合せ発現レベルのVEGFA及びPLGFを呈する患者は、ドセタキセル療法へのベバシズマブの追加に応答して、延長した無進行生存を示した。
【0144】
患者及び免疫化学法
合計で736の患者がBO17708試験に参加し、396の参加者からの血漿サンプルがバイオマーカー分析に入手可能であった。バイオマーカー分析における396の患者及びバイオマーカー分析が不可能であった残りの患者のベースライン特性を、表1A及び表1Bに提供する。
【0145】
血漿分析
血漿サンプルを、ランダム化後、及び何れかの試験治療を投与する前に採取した。全てのサンプルを、その後、疾患が進行するまでドセタキセル100mg/m2+いずれかベバシズマブ7.5mg/kgを毎3週、ベバシズマブ15mg/kgを毎3週又はプラセボで治療された患者から得た。
【0146】
合計で4.9mLの血液を、S-monovette(登録商標)(EDTA)管(又は抗凝固療法における16の患者についてはクエン酸血漿管)に採った。それらを管の穏やかな反転によってその後すぐに混合し、遠心分離機においておよそ1500gで30分以内、遠心分離した(10分間室温)。その後すぐに、上澄み血漿を、透明なポリプロピレンの5mLのtransfer tubeに等分した。その後、血漿を、2つのプラスチックのストレージ管に等分した(各々およそ1.25ml)。サンプルを、−70℃で直立位置で保管した。幾つかの場合では、サンプルを、最高で1ヶ月−20℃で保管し、次いで−70℃にした。
【0147】
サンプルを、Roche Diagnostics GmbHのImmunological MultiParameter Chip Technology(IMPACT)を使用し、VEGFA、VEGF受容体-1(VEGFR1)、VEGFR2、PLGF及びE-SELECTINのレベルの測定に使用した。
【0148】
IMPACTマルチプレックスアッセイ技術
Roche Professional Diagnostics(Roche Diagnostics GmbH)は、実用名称IMPACT(Immunological MultiParameter Chip Technology)下で、マルチマーカープラットホームを開発した。この技術を、「血漿分析」セクションにおける上記のタンパク質マーカーの測定に使用した。技術は、EP0939319及びEP1610129に開示されている手順によって製造される小ポリスチレンチップに基づく。チップ表面をストレプトアビジン層で被覆し、次いでその上に、全てのアッセイについて、ビオチン化抗体をスポットした。各マーカーについて、抗体のスポットをチップ上に垂直線上にロードした。アッセイ中、アレイを、特異的分析物を含有する試料サンプルで探索した。
【0149】
記載の分析では、Lot01のチップを使用した。
【0150】
チップ上の全マーカーを測定するために、試料につき必要な血漿量は8μLであり、これを、32μLのインキュベーションバッファー(50mMのHEPES pH7.2、150mMのNaCl、0.1%Thesit、0.5%ウシ血清アルブミン及び保護剤として0.1%Oxypyrion)と共に適用した。12分間のインキュベーション、及び洗浄バッファー(5mMのTris pH7.9、0.01%Thesit及び0.001%Oxypyrion)を使用したチップの洗浄後、ジゴキシゲニン化モノクローナル抗体ミックス(ジゴキシゲニンで標識された分析物特異的抗体の混合を含む40μLのインキュベーションバッファー)を加え、捕獲された分析物上に結合させるために更に6分間インキュベートした。最後に、第二抗体を、蛍光ラテックスでカップリングされた抗ジゴキシゲニン抗体コンジュゲートを含む40μLの試薬バッファー(62.5mMのTAPS pH8.7、1.25MのNaCl、0.5%ウシ血清アルブミン、0.063%Tween20及び0.1%Oxypyrion)で検出した。この標識の使用により、単一スポットにおける10の個々の結合イベントが検出され、fmol/L濃度に至る非常に高い感受性をもたらした。チップを検出ユニットに移し、電荷結合素子(CCD)カメラによって画像を生成し、これを専用のソフトウェアを使用してシグナル強度に変換した。個々のスポットは所定の位置で自動的に位置決定され、画像分析によって定量化される。各マーカーについて、10−12スポットのラインがチップ上にロードされ、最小で5のスポットが、サンプルの平均濃度を決定するために必要とされる。技術の利点は、サンドイッチ又は競合フォーマットにおいて、最高で10パラメーターまで多重化(multiplexing)する能力である。カリブレーター及び患者サンプルを、二重に測定した。一ランは、合計で100の決定を有するように設計され、ランコントロールとして2つのマルチコントロールを含んだ。幾つかの選択分析物は互いに反応するため(すなわち、VEGFA及びPLGFとVEGFR1又はVEGRF2又はVEGFAはPLGFとヘテロ二量体を形成する)、5つの分析物を次のように3つの異なるチップに分けた:
チップ1:VEGFA
チップ2:VEGFR1、VEGFR2、E-セレクチン
チップ3:PLGF
【0151】
次の抗体を、異なるアッセイに使用した:
【0152】
統計的分析
サンプル中央値を、バイオマーカー値を低(中央値未満)又は高(中央値以上)として二分するために使用した。
【0153】
高又は低バイオマーカーレベルを有する患者のサブグループにおける治療効果のハザード比を、比例ハザードコックス回帰分析により推定した。
【0154】
更に、比例ハザードコックス回帰を使用して、バイオマーカーレベル及び治療効果間の関連を評価した。モデルは次の共変量を含む:治験治療、バイオマーカーレベル、バイナリ層別化因子(ER/PgRステータス、ベースラインで測定可能な疾患、過去のアジュバントタキサン療法)、バイオマーカーレベルによる治療の交互作用項。相互作用項のWald検定を使用して、バイオマーカーレベル及び治療効果間の関連を決定した。0.05未満のp値を有意とみなした。
【0155】
結果
血漿マーカー
バイオマーカーのベースライン記述統計を表2に示す。
【0156】
表3は、無進行生存に関する治療効果との、VEGFA又はVEGFR2の関連性の分析の結果を示す。
【0157】
この分析では、VEGFAについては、低VEGFA(<125pg/ml)及び高VEGFA(≧125pg/ml)を、VEGFR2については、低VEGFR2(<11ng/ml)及び高VEGFR2(≧11ng/ml)を使用した。
【0158】
これらの結果は、治療効果のハザード比は、低VEGFAを有する患者と比較して、高VEGFAを有する患者のサブセットにおいて有意に良好であることを示す。これらの結果はまた、治療効果のハザード比は、低VEGFR2を有する患者と比較して、高VEGFR2を有する患者のサブセットにおいて有意に良好であることを示す。プラセボへの低及び高用量ベバシズマブを比較した時、同じ傾向が観察され、高及び低バイオマーカーサブグループ間の差異の統計的証拠は、低用量ベバシズマブで治療された患者において、より強かった。従って、VEGFA及びVEGFR2は各々、無進行生存に関するベバシズマブ治療効果の独立した予測バイオマーカーである。
【0159】
表4は、低用量(7.5mg/kgを毎3週)ベバシズマブ及び高用量(15mg/kgを毎3週)ベバシズマブの、無進行生存に関する治療効果とのバイオマーカー組合せ関連性の分析を表す。
【0160】
この分析では
式1:ノルム(VEGFA)+1.3*ノルム(VEGFR2)
等価式:0.71*log2(VEGFA)+3.16*log2(VEGFR2)−15.6
及び
式2:0.25*ノルム(VEGFA)+0.21*ノルム(PLGF)
等価式:0.18*log2(VEGFA)+0.42*log2(PLGF)−3.1
ここで我々はlog2変換、及び
を使用し、ここでmadは、1.4826の係数で調節される絶対偏差中央値である。
この分析では、VEGFA及びVEGFR2の高組合せ発現レベルは式1≧−0.132であり、VEGFA及びVEGFR2の低組合せ発現レベルは式1<−0.132であり、VEGFA及びPLGFの高組合せ発現レベルは式2≧−0.006であり、VEGFA及びPLGFの低組合せ発現レベルは式2<−0.006である。
【0161】
これらの結果は、治療効果のハザード比は、低VEGFA&VEGFR2組合せを有する患者と比較して、高VEGFA&VEGFR2組合せを有する患者のサブセットにおいて有意に良好であることを示す。これらの結果は、治療効果のハザード比は、低VEGFA&PLGF組合せを有する患者と比較して、高VEGA&PLGF組合せを有する患者のサブセットにおいて有意に良好であることを示す。プラセボへの低及び高用量ベバシズマブを比較した時、同じ傾向が観察され、高及び低バイオマーカーサブグループ間の差異の統計的証拠は、低用量ベバシズマブで治療された患者において、より強かった。従って、VEGFA&VEGFR2組合せ及びVEGFA&PLGF組合せは各々、無進行生存に関するベバシズマブ治療効果の独立した予測バイオマーカーである。
【0162】
ベバシズマブ15mg/kgアームにおけるVEGF-Aの予測値を、VEGF-Aレベルによりコホートを四分位に細分することによって更に調査した。全四分位の95%信頼区間が重複した。第一四分位(<64pg/ml)では、非常に限定された治療効果が観察された(ハザード比0.86)。上位四分位(>240pg/ml)では、PFSのハザード比は0.39(95%CI:0.19−0.77)であり、中央値PFSにおける差異は、他のグループより明瞭であった。全体では、四分位の点推定は、増加するVEGF-Aレベルに伴い、ハザード比において一定した改善を示す。これらの結果を、下の表5に示す。
【0163】
実施例2:IMPACTアッセイを使用した、VEGF-Aの短アイソフォームの検出
この実施例は、IMPACTプラットフォームにおけるVEGF-Aの検出に使用される抗体に基づくと、VEGF-Aの短アイソフォームが、VEGF-Aの長アイソフォームと比較して選択的に測定されることを実証する。
【0164】
アッセイを、「統計的分析」セクションの前の表に挙げる抗体を使用し、IMPACT技術と関連したセクション下に上述するように実施した。
【0165】
4つの異なるVEGF-A形態、すなわち、VEGF111、VEGF121、VEGF165及びVEGF189が利用可能であり、分析において使用した。VEGF111、VEGF121(双方とも大腸菌における発現から得られた)、及びVEGF165(昆虫細胞株において組換え的に得られた)を、R&D Systems, Minneapolis, USAから購入し、VEGF189を、RELIATech, Wolfenbuttel, Germanyから得た。VEGF189はかなり不安定であり、この材料から得られるデータは信用できないことが後に分かった。図11に示すように、大腸菌において生産され、二次的修飾されていない、例えばグリコシル化されていない111又は121アミノ酸を有する短アイソフォームはそれぞれ、165アミノ酸を有する長アイソフォームと比較して、良好に検出される。VEGF165は、昆虫細胞株において得られ、少なくとも部分的にグリコシル化されている。生物学的に興味深いプラスミン切断産物VEGF110は、この時点で試験のために入手不可であったが、このアイソフォームの検出は、111アミノ酸を有するVEGF分子に見られるものに相当するだろうことが期待されなければならない。
【0166】
実施例3:Elecsys(登録商標)分析器を使用したVEGFアイソフォームの検出
この実施例は、Elecsys(登録商標)分析器を使用するアッセイ及び対応するアッセイが、ヒト血漿において、短VEGFアイソフォームを検出するために使用できることを示す実験を記載する。
【0167】
VEGF-Aアッセイを、IMPACTから、自動化インビトロ診断用システムElecsys(登録商標)(Roche Diagnostics GmbH, Mannheim)に移した。IMPACTアッセイと同じ捕獲抗体、<hVEGF-A>-m3C5(RELIATech, Wolfenbuttel)を使用し、IMPACTシステムにおいて使用された捕獲抗体<hVEGF-A>-m25603(R&D Systems, Minneapolis)を、<hVEGF-A>-mA4.6.1(Genentech, South San Francisco)と交換した。
【0168】
自動化Elecsys(登録商標)において実行されるイムノアッセイは、シグナル生成技術として電気化学ルミネセンス(ECLIA)を使用するイムノアッセイである。本サンドイッチアッセイでは、ビオチン化捕獲抗体が、ストレプトアビジン被覆の磁性微小粒子に結合し、ルテニル化(ruthenylated)検出抗体がシグナル生成を可能にする。反応バッファー(50mMTris(pH7.4)、2mMのEDTA、0.1%thesit、0.2%ウシIgG、1.0%ウシ血清アルブミン)における、1.5μg/mlの75μlのビオチン化<VEGF-A>-m3C5、及び2μg/mlの75μlのルテニル化<VEGF-A>M-A.4.6.1を、20μlのサンプルと共に、9分間インキュベートした。30μlの微小粒子懸濁液を、インキュベーションの最初の9分の後に加え、次いで、全混合物を更に9分間インキュベートした。これらのインキュベーション工程中、抗体分析物抗体サンドイッチが形成され、これが微小粒子に結合する。最後に、シグナル生成及び読取のために、微小粒子をElecsysシステムの検出チャンバーに移した。
【0169】
Elecsys(登録商標)VEGF-Aアッセイの切断産物/アイソフォーム選択性を、精製された組換えタンパク質で評価した:VEGF110(Genentech, South San Franciscoで、プラスミン切断によって生産される)、VEGF121及びVEGF165(双方とも昆虫細胞株において生産され、R&D Systems, Minneapolisに供給される)。IMPACT(登録商標)アッセイで見られた短VEGFアイソフォームの選択的結合を、Elecsysアッセイにおいて確認した。図12に示すように、Elecsys(登録商標)アッセイでは、アイソフォームVEGF121及びプラスミン切断産物VEGF110がそれぞれ双方、VEGF165よりおよそ5倍高い感受性で検出された。
【0170】
実施例4:クエン酸ナトリウム及びEDTAにおいて収集される血漿における短VEGFアイソフォームの検出
対の血漿サンプルを、HER2+局所再発性又は転移性乳癌を有する患者から、EDTA monovette (5mL)-及びCitrate Monovette採取管(5mL)双方に採取した。血液採取の30分以内に、血液管を遠心分離機に置き、室温で10分間、細胞及び血漿が分離するまで1500gで回転させた。遠心分離の後すぐに、血漿をプロピレン移送管に注意深く移し、次いで、ピペットを使用して2つのストレージ管に等しく等分した(半分の体積は各々およそ1.25mL)。サンプルにおけるVEGF-Aのレベルを、上記のIMPACTアッセイを使用して測定した。図13に示すように、VEGFA濃度は、クエン酸に採取され保管された血漿サンプル(登録商標)比較して、EDTAに採取され保管された血漿サンプルで約40%高く、治療より前に採取されたベースラインサンプルについて、EDTA-クエン酸MCのスピアマン相関は約0.8であった。
【0171】
実施例5:Elecsys分析器における非修飾及び修飾VEGF165の比較測定
この実施例は、Elecsys(登録商標)分析器及び対応するアッセイが、ヒト血漿において、非修飾VEGFを検出するために使用できることを示す実験を記載する。
【0172】
VEGF-Aアッセイを、IMPACTから、自動化インビトロ診断用システムElecsys(登録商標)(Roche Diagnostics GmbH, Mannheim)に移した。IMPACTアッセイと同じ捕獲抗体、<hVEGF-A>-m3C5(RELIATech GmbH, Wolfenbuttel)を使用し、IMPACTシステムにおいて使用された検出抗体<hVEGF-A>-m25603(R&D Systems, Minneapolis)を、<hVEGF-A>-mA4.6.1(Genentech, South San Francisco)と交換した。
【0173】
自動化Elecsysにおいて実行されるイムノアッセイは、シグナル生成技術として電気化学ルミネセンス(ECLIA)を使用するイムノアッセイである。本サンドイッチアッセイでは、ビオチン化捕獲抗体が、ストレプトアビジン被覆の磁性微小粒子に結合し、ルテニル化(ruthenylated)検出抗体がシグナル生成を可能にする。反応バッファー(50mM Tris(pH7.4)、2mMのEDTA、0.1%thesit、0.2%ウシIgG、1.0%ウシ血清アルブミン)における、1.5μg/mlの75μlのビオチン化<VEGF-A>-m3C5、及び2μg/mlの75μlのルテニル化<VEGF-A>M-A.4.6.1を、20μlのサンプルと共に、9分間インキュベートした。30μlの微小粒子懸濁液を、インキュベーションの最初の9分の後に加え、次いで、全混合物を更に9分間インキュベートした。これらのインキュベーション工程中、抗体-分析物-抗体サンドイッチが形成され、これが微小粒子に結合する。最後に、シグナル生成及び読取のために、微小粒子をElecsysシステムの検出チャンバーに移した。
【0174】
ElecsysVEGF-Aアッセイの優先傾向を、精製された組換えタンパク質で評価した:VEGF165(Peprotechにより大腸菌において組換え的に生産)及びVEGF165(Roche Diagnostics, GermanyでHEK細胞において組換え的に生産)。IMPACTアッセイで見られた非修飾VEGF165の選択的結合を、Elecsysアッセイにおいて確認した。図14に示すように、Elecsysアッセイでは、非修飾VEGF165は、修飾VEGF165より、およそ5倍高い感度で検出された。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9-1】
図9-2】
図10
図11
図12
図13
図14
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]