特許第6055816号(P6055816)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6055816
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】無線周波数信号の受信機
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/16 20060101AFI20161219BHJP
   H03G 3/20 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   H04B1/16 R
   H03G3/20 D
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-508911(P2014-508911)
(86)(22)【出願日】2012年5月3日
(65)【公表番号】特表2014-513901(P2014-513901A)
(43)【公表日】2014年6月5日
(86)【国際出願番号】IB2012052212
(87)【国際公開番号】WO2012150565
(87)【国際公開日】20121108
【審査請求日】2015年4月27日
(31)【優先権主張番号】MI2011A000756
(32)【優先日】2011年5月5日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】510028453
【氏名又は名称】ステ エッセ・ア・エッセ ディ ジ・モイラーギ アンド チ.
【氏名又は名称原語表記】STE S.A.S. DI G. MOIRAGHI & C.
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】モイラーギ,グイド
(72)【発明者】
【氏名】モイラーギ,ルカ
(72)【発明者】
【氏名】モイラーギ,パオロ
【審査官】 石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−540762(JP,A)
【文献】 特表2001−511613(JP,A)
【文献】 特開平06−164249(JP,A)
【文献】 特開昭55−084993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/16
H03G 1/00− 3/34
H04B 1/38− 1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部のアンテナ(101)からの少なくとも1つの無線周波数変調信号の受信機(1)であって、前記受信機は、無線周波数変調信号の低雑音増幅のための第1段(103)と、無線周波数変調信号の復調段(106)とを備えており、
第1段からの信号に対して所定の周波数についてのパスバンドフィルタとして作用するのに適したSAWフィルタ(104)と、そのSAWフィルタからの信号を増幅するのに適したログアンプ(401)と、そのログアンプの出力信号のピーク検出器(402)と、無線周波数変調信号の増幅のための第1段(103)の利得(G)を、その第1段(103)の利得(G)がピーク検出器の出力信号(Vopeak)の振幅に逆比例するように、ピーク検出器の出力信号(Vopeak)の関数として制御するのに適した手段(203)とを備えるとともに、前記ログアンプの出力信号(Vodet)と前記ピーク検出器の出力信号(Vopeak)とが復調段(106)に入力されることを特徴とする受信機。
【請求項2】
前記手段(203)は、ベース端子がピーク検出器の出力信号(Vopeak)により制御されるエミッタ共通の第1バイポーラトランジスタ(Q2)を備えるとともに、前記増幅のための第1段(103)はエミッタ共通の第2バイポーラトランジスタ(Q1)を備えており、前記第2バイポーラトランジスタ(Q1)のベース端子を流れる電流は、第1バイポーラトランジスタのコレクタ端子を流れる電流に依存する請求項1に記載の受信機。
【請求項3】
前記ピーク検出器(402)は、ピーク検出器の出力信号の減衰定数を決定する値を有する少なくとも1つのキャパシタ(C1)を備える請求項1に記載の受信機。
【請求項4】
前記ピーク検出器(402)は、非反転入力端子においてログアンプ(401)の出力信号を有するオペアンプ(403)を備えておりそのオペアンプ(403)の出力端子はダイオードのアノードに接続し、そのダイオードのカソードは前記オペアンプの反転入力端子と抵抗(R2)の一方の端子とに接続し、その抵抗(R2)の他方の端子は前記キャパシタ(C1)の一方の端子に接続し、そのキャパシタ(C1)の他方の端子は基準電圧(GND)に接続する請求項3に記載の受信機。
【請求項5】
前記復調段(106)は、ログアンプの出力信号を平均するのに適した手段(R3、C2)を備えており、前記手段は少なくとも1つのキャパシタ(C2)を更に備えている請求項1又は2に記載の受信機。
【請求項6】
セラミックス材基板(601)内に製造された請求項1〜のいずれか1項で定義された受信器(1)を備えるLTCCパッケージ(600)であって、少なくとも1つのキャパシタ(C1)及び少なくとも1つの更なるキャパシタ(C2)が、そのパッケージの外部に位置するLTCCパッケージ。
【請求項7】
前記セラミックス材基板(601)内に製造されたマイクロコントローラ(602)を備えるとともに、前記受信機は前記マイクロコントローラと相互作用するのに適している請求項に記載のLTCCパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線周波数信号の受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の無線周波数信号の受信機のほとんどは、複雑な回路構造を使用しており、一般的にはスーパーヘテロダインタイプの構造を使用している。前述の受信機は、ミキサー、ヘテロダイン信号を生成するための発振器、及び受信機周波数を安定化させるのに適したPLL回路を備えている。
【0003】
特に、車両の幾つかのパーツに関連する情報、例えば、タンク内の液体の正確なレベル、タイヤにおける温度と圧力や、バッテリーの状態などの情報の送信及び受信のための装置の場合には、受信機は車両に搭載されたコンピュータに統合されるか、又は車両内部の信号を受信し、車両に搭載されたコンピュータと通信するためのより適切な場所に設けられることがしばしばある。受信機により受信されたデータは、自動車両内のコンピュータに送信されて、簡単な情報メッセージ又は警戒状況を専用のディスプレイ上に表示する。
【0004】
しかしながら、現在の受信機は、異なる周波数の2つの信号を比較し、異なる周波数の2つの信号の位相差に比例した位相を有する信号を放射するのに適した位相検出器が存在するために特に複雑である。
【0005】
更に、前述の受信機は、かなりのレベルの電流を吸収するので、結果としてエネルギーの消費を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
先行技術の観点から、本発明の目的は、回路的には既知の受信機よりも簡単であって、既知の受信機よりも電流の吸収が少ない無線周波数信号の受信機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、前述の目的は、受信機の外部のアンテナからの少なくとも1つの無線周波数変調信号の受信機により達成され、前記受信機は、無線周波数変調信号の低雑音増幅のための第1段と、無線周波数変調信号の復調段とを備えており、第1段からの信号に対して所定の周波数についてのバンドパスフィルタとして作用するのに適したSAWフィルタと、そのSAWフィルタからの信号を増幅するのに適したログアンプと、そのログアンプの出力信号のピーク検出器と、無線周波数変調信号の増幅のための第1段(103)の利得(G)を、その第1段(103)の利得(G)がピーク検出器の出力信号(Vopeak)の振幅に逆比例するように、ピーク検出器の出力信号(Vopeak)の関数として制御するのに適した手段(203)とを備えるとともに、前記ログアンプの出力信号と前記ピーク検出器の出力信号とは、変調段に入力されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、自動車のドアを開くシステムやタイヤの圧力監視システムのような、短距離データ送信及び受信システムに使用されるのに特に適した無線周波数信号の受信機を提供することが可能となる。
【0009】
この受信機は、パルス位置変調(PPM)又はパルス幅変調(PWM)された信号の受信に特に適している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る無線周波数信号の受信機のブロック図である。
図2図1に示す受信機の低雑音プリアンプ段の回路図である。
図3図1に示す受信機におけるフィルタ処理段の回路図である。
図4図3のフィルタ処理段の周波数応答を示すグラフである。
図5図1に示す受信機におけるログアンプの回路図である。
図6図5の段の入力信号レベルの関数としての出力電圧を示すグラフである。
図7図1に示す受信機内で用いられる「ASK」及び「PULSE」比較器の回路図である。
図8】本発明の実施形態に係る、セラミックス材基板内に作成された図1の受信機を有するパッケージの模式図である。
図9】本発明の実施形態の変形例に係る、セラミックス材基板内に作成された図1の受信機とマイクロコントローラとを有するパッケージの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の特徴と利点は、付随する図面を参照して、非制限的な例として行われる本発明の実際的な実施形態による下記の詳細な記述からより明らかになろう。
【0012】
図1を参照すると、本発明に係る無線周波数信号の受信機1が示されている。受信機は、アンテナ101により受信される無線周波数信号のプリアンプ段103と、フィルタ処理段104と、増幅段105と、信号復調段106とを備えている。
【0013】
アンテナ101からの信号は、低雑音プリアンプ段103への入力となり、低雑音プリアンプ段103は、図2においてよりよく示されているように、受信周波数に同調されたパスバンドフィルタ201を備えている。フィルタ201は、インピーダンスアダプタの機能も有している。
【0014】
フィルタ201の出力信号は、回路203への出力信号により制御される無線周波数トランジスタQ1を備える回路ブロック202に送信される。トランジスタQ1からの出力信号は、好ましくは約100オームである低値の抵抗Rを流れ、それにより次段の入力において一定のインピーダンスを有するようになる。トランジスタQ1は、エミッタ共通のバイポーラトランジスタであることが好ましい。回路ブロック202は、利得Gが回路203により制御される低雑音アンプ段を表している。
【0015】
回路203は、受信機1に属しているピーク検出器402からの信号Vopeakにより制御される。回路203は、接地GNDに接続されているエミッタ端子を有するエミッタ共通のバイポーラトランジスタであるトランジスタQ2を備えることが好ましい。トランジスタQ2のベース端子は、ローパスフィルタR70*C50によりフィルタ処理された信号Vopeakにより駆動される。トランジスタQ2のコレクタ端子上の信号は、トランジスタQ1のベース端子を駆動するとともに、アンテナ上の信号強度に比例してトランジスタQ1の利得Gを変化させ、特に減少させるためにトランジスタQ1のベースバイアス電流を変化させる。従って、回路203は自動の利得制御ブロックを形成する。信号Vopeakが増大すると、トランジスタQ2はトランジスタQ1の利得Gを減少させるように作用する。つまり、バイポーラトランジスタQ1の利得Gは、信号Vopeakの振幅に逆比例する。
【0016】
図3においてよりよく示されているように、段103の出力信号は段104のSAWフィルタ302へ入力し、そのSAWフィルタ302は300〜600kHzの間のチャネルにおける信号を選択しなければならない。つまり、SAWフィルタ302は、300〜600kHzのパスバンドにおける信号をフィルタ処理しなければならないとともに、一定のグループ遅延時間Tgを保証しなければならない。ここでグループ遅延時間とは、SAWフィルタのパスバンドBsawを通過する信号の通過時間の変動を示すものである。インピーダンスアダプタ回路301、303は、SAWフィルタ302の入力及び出力に配置され、SAWフィルタ302のパスバンドBsaw全体の一定のグループ遅延時間Tgを得るように構成されている。図4は、バンド及びグループ遅延時間Tgの変動を、図3のフィルタSAWの周波数の関数として示している。SAWフィルタ302の出力信号は、固定の利得アンプ304により増幅される。
【0017】
グループ遅延時間Tgが一定であると、例えば変調信号がパルス幅変調(PWM)又はパルス位置変調(PPM)の信号であって、例えば無線周波数パルスが100ナノ秒程度の立ち上がり及び立ち下がりのエッジを有しているような場合には、無線周波数変調信号の立ち上がり及び立ち下がりのエッジの正確な増幅が可能になる。
【0018】
図5に示されるように、アンプ304の出力信号は段105に属しており、入力信号を増幅するのに適したログアンプ401へ入力される。ログアンプ401は温度補償アンプであり、多数の増幅段A1...Anのシリーズにより高い利得を成し遂げる。図6は、異なる周波数におけるログアンプ401の入力信号レベルInの関数としての出力電圧Vodetの波形図を示している。
【0019】
ログアンプの出力信号Vodetは、情報を復調するための復調段に送信される。ログアンプ401の同じ出力信号Vodetは、ログアンプ401の出力信号のピークを検出するのに適したピーク検出器402に送信される。ピーク検出器402は、非反転入力端子においてログアンプ401の出力信号を有し、かつダイオード404のアノードに接続された出力を有するオペアンプ403を備えることが好ましく、そのダイオード404は、反転入力端子と抵抗R2の端子とに接続されたカソードを有しており、その抵抗R2は、順に接地GNDに接続するキャパシタC1の端子に接続されている。キャパシタC1に関する時定数は、約1ミリ秒の小さな値を有している。キャパシタC1の端子における電圧Vopeakは、ピーク検出器の出力である。出力信号Vopeakは、信号復調を行うのに適した比較器に送信され、無線周波数トランジスタ202を制御するために回路203により用いられる。抵抗R2は22オームの低い値を有することが好ましく、オペアンプにより信号伝搬の遅延を補償する回路の動作が安定するように働く。
【0020】
最後に、図7においてよりよく示されているように、信号Vodet及びVopeakは、受信された変調信号に含まれる情報をデジタル的に再構築するための復調段106に送信される。比較器501は、振幅変調ASK(振幅偏移変調)又はOOK(オンオフ変調)変調により変調された信号である場合に復調を行う。比較器501は、その非反転入力においては信号Vodetを受信する一方で、その反転入力においては、順に接地GNDに接続するキャパシタC2に接続された抵抗R3を備える回路により仲介された信号Vodetの平均値となる。比較器501の出力信号は、信号Infaskである。出力信号Vopeakは、信号RSSIとして送信される。
【0021】
比較器502は、パルス位置変調PPM又はパルス幅変調PWMにより変調された信号の場合に復調を行う。比較器504は、その非反転入力においては信号Vodetを受信する一方で、その反転入力においては、抵抗R4及びR5から成る抵抗分割器により導出された基準信号となり、信号Vopeakは抵抗R4及びR5列に渡って存在する。抵抗R4及びR5並びにキャパシタC1の値は、出力電圧Vopeakの減衰の時定数を決定する。前述の時定数は、一般的には数ミリ秒のオーダーであるが、受信した信号が、タイヤ圧を送信するために用いられる信号のように、突然の振幅変動により影響される場合には非常に重要となる。比較器502の出力信号は、信号Infppmである。信号Infask、Infppm及びRSSIは、復調段106及び受信機1の出力信号である。
【0022】
特に、本発明に係る受信機は、乗り物、好ましくは自動車に設けられるデータ送受信システムに更に適している。送信器は、自動車の種々のパーツに設けられていてもよく、例えば、バッテリーの隣に、又はタイヤの温度若しくはタイヤ圧についてのデータを送信するためにタイヤ内に設けられる。
【0023】
受信機は、前述のデータを受信し、そのデータをアラーム又はメッセージをディスプレイ上に表示するために中央のコンピュータへ転送するのに適している。
【0024】
パルス位置変調によるタイヤ圧データの送信の場合には、送信される信号は、メッセージの開始を表わし、かつ一般的には3マイクロ秒の幅Wを有する最初のパルスの生成を伴う発振をトリガとして、所定の時間後に開始されることが好ましい。そして他の後続のパルスが生成され、その一時的な位置、つまり1つのパルスと次のパルスの間の時間は、送信される情報の内容を表す。
【0025】
本発明に係る受信機は、パルス位置変調により変調されたデータを受信するために特に適している。
【0026】
本発明によれば、パッケージLTCCとも称せられるパッケージ600を作成することが可能であり、図1〜6に示された受信機1は、図8に示されるように、LTCC(低温同時焼成セラミックス)技術を用いて、セラミックス材基板601内に作成される。受信機は、ピーク検出器402のキャパシタC1と復調器106のキャパシタC2を除いて、セラミックス基板内に統合的に製造される。前述のキャパシタは、ピーク検出器及び復調器の時定数を、受信機の異なる要求に適合させるために、外部からアクセス可能となっている。
【0027】
図9は、本発明の実施形態の変形例に係るパッケージを示している。パッケージは、受信機1に結合されたマイクロコントローラ602を備えており、そのマイクロコントローラ602は、受信したPPM変調信号を管理するのに適している。
【符号の説明】
【0028】
1 受信器
101 アンテナ
103 第1段、第1増幅段
104 SAWフィルタ
106 復調段
203 手段
401 ログアンプ
402 ピーク検出器
403 オペアンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9