特許第6055817号(P6055817)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6055817
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】ナフチリジンの調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20161219BHJP
【FI】
   C07D471/04 114N
【請求項の数】18
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2014-509568(P2014-509568)
(86)(22)【出願日】2012年5月11日
(65)【公表番号】特表2014-513142(P2014-513142A)
(43)【公表日】2014年5月29日
(86)【国際出願番号】AU2012000533
(87)【国際公開番号】WO2012151640
(87)【国際公開日】20121115
【審査請求日】2015年2月18日
(31)【優先権主張番号】2011901791
(32)【優先日】2011年5月12日
(33)【優先権主張国】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】502386053
【氏名又は名称】バイオノミックス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100107342
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 修孝
(72)【発明者】
【氏名】ダラム、ポール
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー、ジョン、ハーベイ
(72)【発明者】
【氏名】バーナード、ルーク、フリン
【審査官】 清水 紀子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/046135(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0232818(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/143733(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/131669(WO,A1)
【文献】 特表2010−528089(JP,A)
【文献】 米国特許第06229017(US,B1)
【文献】 国際公開第2009/089263(WO,A1)
【文献】 泉屋信夫,ペプチド合成,日本,丸善,1975年10月30日,p.126-31
【文献】 Springfield, Shawn A.; Marcantonio, Karen; Ceglia, Scott; Albaneze-Walker, Jennifer; Dormer, Peter G.; Nelson, Todd D.; Murry, Jerry A.,A Convenient One-Pot Synthesis of 1,8-Naphthyridones,Journal of Organic Chemistry,2003年,Vol.68, No.11,p.4598-9
【文献】 Albaneze-Walker, Jennifer; Murry, Jerry A.; Soheili, Arash; Ceglia, Scott; Springfield, Shawn A.; Bazaral, Charles; Dormer, Peter G.; Hughes, David L.,Practical application of new catalytic methods: a concise synthesis of a potent PDE IV inhibitor,Tetrahedron,2005年,Vol.61, No.26,p.6330-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 471/04
CAplus/CASREACT/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)の化合物の調製方法であって、
【化1】
(式中、
Qは、所望により置換された窒素含有ヘテロシクリルまたは所望により置換された窒素含有ヘテロアリールであり、Yは、C1〜C6アルキル基である)
前記方法が:
a)式(2)の化合物を、
【化2】
式(3)の化合物(式中、RはC1〜C6アルキル基である)を得るのに十分な条件下、
【化3】
酸性活性化剤、非求核塩基、C1〜C6アルキルN、N−C1〜C6ジアルキルアミノアクリレートおよびC1〜C6アルキルアミンを用いて処理すること、
b)工程(a)からの式(3)の化合物のニトロ基を還元し、式(4)の化合物を得ること、
【化4】
c)工程(b)からの式(4)の化合物を、式(5)の化合物を得るのに十分な条件下、
【化5】
2−インダノンおよび適切な還元剤を用いて処理すること、
d)工程(c)からの式(5)の化合物を加水分解し、式(6)の化合物を得ること、および
【化6】
e)式(1)の化合物を得るのに十分な条件下、式(6)の化合物を酸性活性化剤およびQHと反応させることとを含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
工程a)における前記酸性活性化剤が塩化チオニルであり、前記反応が塩素系溶媒中で起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反応を、触媒量のDMF存在下で行う、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記非求核塩基がトリエチルアミン(TEA)である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記C1〜C6アルキル−N,N−C1〜C6ジアルキルアミノアクリレートがエチルN,N−ジメチルアミノアクリレートである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記C1〜C6アルキルアミンがエチルアミンである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ニトロ基の還元工程が、式(3)の化合物を鉄または亜ジチオン酸ナトリウムから選択される適切な還元剤にさらすこと、または式(3)の化合物を、触媒としてパラジウム(Pd)若しくはラネーニッケルを用いて加水分解することを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程(c)における前記還元剤が、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素カリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリエチル水素化ホウ素リチウム、ピリジンボラン、ピコリンボラン、5−エチル−2−メチルピリジンボランおよびtert−ブチルアミン−ボランから選択される、ホウ素を含有する還元剤である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程(c)を、助溶媒として用いられるC1〜C6カルボン酸とともに、有機溶媒の存在下行う、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程(c)をイミンの前記初期生成を伴う2工程の処理として行う、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程(b)において、前記式(4)の化合物を1〜2.5モル当量の2−インダノンで処理する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
工程e)における、前記酸性活性化剤がクロロギ酸アルキルまたは塩酸である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
反応工程(e)を、塩素系溶媒中、TEAの存在下で行う、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
工程(e)が、ジクロロメタン中、0〜20℃の温度において、式(6)の化合物の溶液を1〜2モル当量の塩化チオニルまたは塩化オキサリルを用いて処理することを含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記溶液がジクロロメタンに対して、5〜10%の濃度のDMFを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記QHがモルフォリンである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
工程(a)が、式(2a)の化合物を得るのに十分な条件下、
【化7】
塩素化剤により式(2)の化合物を処理すること、
【化8】
式(2a)の化合物を、非求核塩基およびC1〜C6アルキル−N,N−C1〜C6ジアルキルアミノアクリレートで処理し、式(2b)の化合物を得ること(式中、RおよびR’は独立してC1〜C6アルキルである)、および
【化9】
式(2b)の化合物を、式(3)の化合物を形成するのに十分な条件下、C1〜C6アルキルアミンと反応させることとを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【化10】
(式中、
RおよびYは独立してC1〜C6アルキル基である)
【請求項18】
工程(c)が、式(4)の化合物を、式(5)の化合物を得るのに十分な条件下、2−インダノンおよび適切な還元剤で処理することを含み、
【化11】
【化12】
前記還元剤が、2−メチルピリジンボラン錯体である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2011年5月12日出願のオーストラリア特許出願第2011901791号の利益を主張するものであり、その全内容が引用することにより本明細書の一部とされる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、置換された1,8−ナフチリジン化合物の合成に関する。
【背景技術】
【0003】
WO2008/046136(PCT/AU2007/001566)において、特に、以下の一般クラス(general class)である置換された1,8−ナフチリジン化合物が開示されている。
【化1】
【0004】
これらの化合物は、鎮静副作用を発現することなく精神安定活性を有し、そのため、ジアゼピン(一般的にはValium(R)として知られる)のような1,4−ベンゾジアゼピンクラスの精神安定剤にとって代れる薬学的な魅力を有することが開示されている。
【0005】
実験室規模(すなわちmg規模)において1,8−ナフチリジンの合成が非常に成功している一方で、多量の(例えば、キログラム規模)1,8−ナフチリジンの特定のクラスを生成するためにこの方法を使用することは困難であることが判明している。
【0006】
これが、本発明者らに、現在、本技術分野に存在する欠陥を克服するための新規で規模を拡大させた方法を考案させた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、これらの欠点を対処し、より大きな規模での1,8−ナフチリジンの合成を可能にしようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様において、本発明は、式(1)の化合物の調製方法であって、
【化2】
(式中、
Qは、所望により置換された窒素含有ヘテロシクリルまたは所望により置換された窒素含有ヘテロアリールであり、Yは、低級アルキル基である)
前記方法が:
a)式(2)の化合物を、
【化3】
式(3)の化合物(式中、Rは低級アルキル基である)を得るのに十分な条件下、
【化4】
酸性活性化剤、非求核塩基、低級アルキルN、N−低級ジアルキルアミノアクリレートおよび低級アルキルアミンを用いて処理すること、
b)工程(a)からの式(3)の化合物のニトロ基を還元し、式(4)の化合物を得ること、
【化5】
c)工程(b)からの式(4)の化合物を、式(5)の化合物を得るのに十分な条件下、
【化6】
2−インダノンおよび適切な還元剤を用いて処理すること、
d)工程(c)からの式(5)の化合物を加水分解し、式(6)の化合物を得ること、および
【化7】
e)式(1)の化合物を得るのに十分な条件下、式(6)の化合物を酸性活性化剤およびQHと反応させることとを含む、方法を提供する。
【0009】
他の形態において、本発明は式(3)の化合物を調製する方法であって、
【化8】
(式中、YおよびRは独立して低級アルキル)
前記方法が、
a)式(2)の化合物を、
【化9】
式(2a)の化合物を得るのに十分な条件下、
【化10】
塩素化剤と反応させること、
b)工程a)からの式(2a)の化合物を、非求核塩基および低級アルキルN,N−低級ジアルキルアミノアクリレートで処理し、式(2b)の化合物を得ること(式中、RおよびR’は独立して低級アルキルである)、および
【化11】
c)工程(b)からの式(2b)の化合物を、式(3)の化合物を形成するのに十分な条件下、低級アルキルアミンと反応させることを含む、方法を提供する。
【0010】
更に別の態様において、本発明は式(2b)の化合物およびその塩を提供する
【化12】
(式中、RおよびR’は独立して低級アルキルである)。
【0011】
更に他の態様において、本発明は式(2c)の化合物およびその塩を提供する。
【化13】
【0012】
別の態様において、本発明は、式(1)の化合物の調製方法であって、
【化14】
(式中、Qは、所望により置換された窒素含有ヘテロシクリルまたは所望により置換された窒素含有ヘテロアリールであり、Yは、低級アルキル基である。)
前記方法が
a)式(6)の化合物を、
【化15】
適切な溶媒において、非求核塩基の存在下、酸活性剤と反応させ、反応生成物を、式(1)の化合物を得るのに十分な条件下、QHと反応させること、および
b)工程a)から得られた式(1)の化合物を弱塩基溶液で洗浄し、精製することを含む、方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【0013】
文脈上、他の意味に解すべき場合を除き、本明細書および特許請求の範囲を通じて、用語「を含む(comprise)」およびその変形の「を含む(comprises)」、「を含んでいる(comprising)」は、定まった完全体若しくは工程(stated integer or step)または完全体若しくは工程の集合(group of integers or steps)を包含する意味であると解されるであろうが、他のいかなる定まった完全体若しくは工程や完全体若しくは工程の集合を排除するものではない。
【0014】
本発明は本明細書に記載するように、式(1)の化合物を化学効率および試薬安全性の観点から化学化合物の大量生産の影響を受けやすい新しく高度な方法を用いることにより、本明細書に記載されるように効率的で、kg規模の量の良好な収率で調製することができるという発見に基づいている。
【0015】
単独または組み合わせて用いられる用語「アルキル」は、直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素基を意味する。用語「低級アルキル」は、メチル(Me)、エチル(Et)、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどのような、1〜6の炭素原子を含む基を意味する。
【0016】
用語「アルキニル」は、少なくとも一部が不飽和(すなわち炭素−炭素sp三重結合)である直または分岐鎖の一価の炭化水素基、好ましくは2〜10の炭素原子、より好ましくは2〜6の炭素原子を有し、少なくとも1、特には1〜2の炭素−炭素三重結合を有する炭化水素基を意味する。アルキニル基の例として、エチニル(−C≡CH)、プロパルギル(−CHC≡CH)、ペント−2−イニル(−CH2C≡CCH−CH)などがある。
【0017】
用語「アルケニル」は、少なくとも一部が不飽和(すなわち炭素−炭素sp二重結合)である一価の炭化水素基であって、直鎖または分岐鎖であり、特には2〜10の炭素原子、より特には2〜6の炭素原子を有し、少なくとも1、特には1〜2の炭素−炭素二重結合を有する炭化水素基を意味する。
【0018】
アルケニル基は「シス」および「トランス」配置を有する、または代替的に「E」および「Z」配置を有する基を含む。例として、エテニル(−CH=CH)、n−プロペニル(−CHCH=CH)、イソ−プロペニル(−C(CH)=CH)、ブテ−2−ニル(−CHCH=CHCH)などがある。
【0019】
用語「シクロアルキル」は、単環または多環式縮合環を有する、好ましくは3〜11の炭素原子を含有する環状アルキル基を意味する。このようなシクロアルキル基には、例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチルなどが含まれる。この用語は、また、シクロアルキル基が1以上の芳香族または非芳香族の炭素環またはヘテロ環(例えば、アダマンタニル、インダニル、1,2,3,4,−テトラヒドロナフタレニルなど)と結合した多環系も含む。
【0020】
用語「低級アルキルアミン」とは、「低級アルキル−NH」(低級アルキルは上で定義した)を意味する。
【0021】
いくつかの実施例において、YはC1〜3アルキルである。ある実施例において、Yはメチルまたはエチルである。その他の実施例においてYはエチルである。
【0022】
用語「窒素含有ヘテロアリール」は、一価の芳香族ヘテロシクリル基、好ましくは2〜10の炭素原子を有し、環内に窒素、酸素および硫黄から選択される1〜4のヘテロ原子を有し、少なくともヘテロ原子の1つは窒素である基を意味する。そのようなヘテロアリール基は単環(例えば、ピリジル、ピロリルまたはイミダゾイル)または多縮合環(例えば、インドリニルまたはベンズイミダゾリル)を有しうる。
【0023】
用語「窒素含有ヘテロシクリル」は、単環または多縮合環を有する一価の飽和または不飽和の基であって、好ましくは1〜8の炭素原子、および環内に窒素、酸素および硫黄から選択される1〜4のヘテロ原子を有し、少なくともヘテロ原子の1つは窒素である基を意味する。
【0024】
5員単環窒素含有ヘテロシクリルおよび窒素含有ヘテロアリール基の例として、ピロリル、H−ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、フラザニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、トリアゾリル(1,2,3および1,3,4トリアゾリルを含む)およびテトラゾリルがある。
【0025】
6員単環窒素含有ヘテロシクリルおよび窒素含有ヘテロアリール基の例として、ピリジル、ピペリジニル、モルフォニリル、チオモルフォニリルおよびピペラジニルがある。
【0026】
上記ヘテロシクリルは所望により、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜6ハロアルキル、フェニル、フェニルオキシ、フェニルアルキル、フェニルアルキルオキシ、アミノ、シアノまたは単若しくは二(C1〜6アルキル)アミノのような広範な置換基により置換されたものであり得る。
【0027】
上述したように、窒素含有ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、フェニル、ナフチル、インデニル、アズレニル、フルオレニルおよびアントラセニルのような炭素環式芳香族環またはピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピロリルおよびイミダゾールのようなヘテロアリ−ル環と結合していてもよい。
【0028】
8,9および10員二環式窒素含有ヘテロシクリルおよび窒素含有ヘテロアリール基の例として、1H−チエノ[2,3−c]ピラゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、イソキノリニル、キノリニル、キノキサリニル、ウリジニル、プリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ベンゾトリアジニル、プテリジニル、ピロロピリジンなどがある。
【0029】
これらのヘテロシクリルは、所望により、例えばC1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜6ハロアルキル、シアノ、フェニル、フェニルオキシ、フェニルアルキル、フェニルアルキルオキシ、アミノ、および単若しくは二(C1〜6アルキル)アミノにより置換されていてもよい。
【0030】
Q基として典型的な窒素含有ヘテロシクリルおよび窒素含有ヘテロ芳香族基には、(所望により置換された)ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、アゼチジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、モルフォニリル、チオモルフォニリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリルおよびインドリニルが含まれる。
【0031】
これらの基は、所望により、例えば、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1〜6ハロアルキル、アミノ、フェニル、フェニルオキシ、フェニルアルキル、フェニルアルキルオキシ、シアノ、または単若しくは二(C1〜6アルキル)アミノにより置換されていてもよい。
【0032】
いくつかの実施例において、窒素含有ヘテロアリールまたは窒素含有ヘテロ芳香環基Qは、ピペラジニル、モルフォリニル、ピペリジニルまたはピロリジニルである。ある実施例においてQは、モルフォニリルである。
【0033】
本明細書で用いられる用語「所望により置換された」は、1以上の置換基を含みうる基を意味する。
【0034】
基上の1以上の水素原子は、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、−(CH−C3〜7シクロアルキル、−(CH−C4〜7シクロアルケニル、−(CH−アリール、−(CH−ヘテロシクリル、−(CH−ヘテロアリール、−CS(O)−C1〜6アルキル、−C(Ph)、−CN、−OR、−O(CH1〜6−R、−O−(CH1−6−OR、−OC(O)R、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)OR、−OC(O)NR、−NR、−NRC(O)R、−NRC(O)NR、−NRC(S)NR、−NRS(O)、−NRC(O)OR、−C(NR)NR、−C(=NOR)R、−C(=NOH)NR、−C(O)NR、−C(=NCN)NR、−C(=NR)NR、−C(=NR)SR、−NRC(=NCN)SR、−CONRSO、−C(S)NR、−S(O)、−SONR、−SONRC(O)R、−OS(O)、−PO(OR、−NO、−CN、メルカプトより独立に選択された置換基
(前記、
pは0〜6、qは0〜2であり、R、R、Rはそれぞれ独立して、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜7シクロアルキル、C4〜7シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C1〜6アルキルアリール、C1〜6アルキルヘテロアリールおよびC1〜6アルキルヘテロシクリルから選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、C1〜6アルキルアリール、C1〜6アルキルヘテロアリールまたはC1〜6アルキルヘテロシクリルは、所望により、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、−COH、CF、CN、フェニル、NHおよびNOから選択される1〜6の同一または異なる基により置換されうる
またはRおよびRが同一の窒素原子に結合している場合、それらは該原子と共に結合し、5〜7員窒素含有ヘテロ環を形成する)
により置換されうる。
【0035】
ある実施例において、Yはエチルであり、Qはモルフォニリルである。
【0036】
ある実施例において、本発明の方法は2−クロロ−5−ニトロ−ニコチン酸(式(2))の酸塩化物(式(2a))からの式(2b)のアクリレートエステルの形成およびその後の環化工程(in situ)による式(3)の1,8−ナフチリジン形成を含む。
【0037】
式(2)の化合物の調製は、WO2008/046135に詳述されている。
【0038】
式(2)の置換されたピリジンはShanghai FWD Chemicals Limitedから市販されている。
【0039】
更なる態様において、本発明は、式(2b)の化合物の調製方法であって、
【化16】
(式中、RおよびR’は独立して低級アルキル)
a)式(2a)の化合物を得るのに十分な条件下、
【化17】
式(2)の化合物を、塩素化剤を用いて処理すること、
【化18】
b)工程a)からの式(2a)の化合物を、非求核塩基および低級アルキルN,N−低級ジアルキルアミノアクリレートで処理し、式(2b)の化合物を得ることを含む方法を提供する。
【0040】
いくつかの実施例において、塩素化剤は塩化チオニル、塩化オキサリル、塩化ピバロイル、五塩化リンおよびオキシ塩化リンより選択される。ある実施例において、塩素化剤は塩化チオニルである。
【0041】
いくつかの実施例において、塩素系溶媒中、式(2)の化合物を2〜4価の塩化チオニルで処理する。
【0042】
ある実施例において、塩素系溶媒はクロロホルムである。
【0043】
ある実施例において、反応は、還流状態で行う。
【0044】
ある実施例において、反応は触媒量のDMF(ジメチルホルムアミド)の存在下に行う。
【0045】
ある実施例において、約1〜10%の間のDMF(クロロホルムに対し)を添加し、別の実施例においては、約2〜5%、更に別の実施例においては、約2.5%のDMFを添加する。
【0046】
ある実施例において、式(2)の化合物を還流状態において、クロロホルム中、約2〜4当量の塩化チオニルで処理する。前記クロロホルムは約2〜5%のDMFまたは別の実施例においては約2.5%のDMF(クロロホルムに対し)を含む。
【0047】
ある実施例において、反応の完了は反応混合物の一部をメタノールで処理し、メチルエステルを形成させることにより観察し、エステルおよび酸の相対濃度はHPLCにより測定する。
【0048】
いくつかの実施例において、酸塩化物形成による式(2a)の化合物を得た後、真空中または未反応若しくは過剰の塩素化剤(例えば、塩化チオニル)を除去若しくはその量を少なくとも最小化するように蒸留(または両方)させることにより反応混合物を還元する。
【0049】
酸塩化物(2a)を次いで極性非プロトン溶媒(例えば、アセトニトリル)に溶解し、低級アルキルN,N−低級ジアルキルアミノアクリレート溶液およびトリエチルアミン(TEA)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基)または1,8−ジアザビシクロウンデ−7−セン(DBU)のような非求核有機塩基で処理し、式(2b)の化合物を形成させる。
【0050】
ある実施例において、アクリレートはエチルN,N−ジメチルアミノアクリレート(Alfa Aesarにより市販される)である。
【0051】
ある実施例において、溶媒はアセトニトリルである。
【0052】
他の実施例において、アクリレートは、エチルN,N−ジエチルアミノアクリレートまたはメチルN,N−ジエチルアミノアクリレートである。
【0053】
従って、ある実施例において、R’は共にエチルである。別の実施例においては、R’は共にメチルである。
【0054】
ある実施例において、式(2a)の化合物は約2〜6モル当量のTEAおよび約1.5〜3.0モル当量のエチルN,N−ジメチルアミノアクリレートで処理する。
【0055】
他の実施例において、式(2a)の化合物を約4モル当量のTEAおよび約1.8モル当量のエチルN,N−ジメチルアミノアクリレートで処理する。
【0056】
ある実施例において、酸塩化物(2a)をTEAおよびエチルN,N−ジメチルアミノアクリレートで処理することによる式(2b)の化合物の形成は室温において行われる。
【0057】
ある実施例において、反応は15〜40℃の範囲の温度において、約15℃、約20℃、約30℃、または約40℃のような温度において行われる。
【0058】
ある実施例において、反応は約2.5〜3時間で完了する。HPLCで観察するために、一部(aliquot)をメタノールによりクエンチ(quenched)させることができる。
【0059】
いくつかの実施例において、式(2b)の化合物から式(3)の化合物への閉環反応(または環化反応)は、溶媒として低級アルキルアミンを用いるかまたは(2b)に対して過剰の溶媒混合物中で起こる。
【0060】
ある実施例において、(2b)から(3)への閉環反応(すなわち環化工程)は還流温度において起こる。
【0061】
一実施例において、反応は還流条件下、アセトニトリルを用いて行う。
【0062】
ある実施例において、本反応は50〜100℃の範囲の温度、約50℃、約60℃、約70℃、約80℃、約90℃または約100℃のような温度において行う。
【0063】
この反応の進行により式(3)の化合物を形成し、これに薄層クロマトグラフィ(TLC)、ガスクロマトグラフィ、LCMS測定などの従来技術が続くことができる。
【0064】
いくつかの実施例において、(2b)から(3)への反応工程は、(2b)をエチルアミン溶液で処理することにより行われる。
【0065】
ある実施例において、エチルアミン溶液は、水中のおおよそ70wt%のエチルアミン溶液である。
【0066】
ある実施例において、環化工程における(2b)の低級アルキルアミンに対するモル比は約1:2.5である。
【0067】
この工程がエチルアミンを用いて行われる場合、これは、最終生成物(すなわち式(1)の化合物)においてYはエチルであることが理解されよう。
【0068】
ある実施例において、反応混合物を約25〜30℃まで冷却し、約0〜5℃において、大過剰の水を添加し、約0〜25℃において、2〜4時間静置し、固体物を得る。
【0069】
ある実施例において、固体物を濾過により分離し、水で洗浄し、乾燥させた。
【0070】
更に、式(3)の化合物の任意の精製は、式(3)の1,8−ナフチリジンは通常固体であることを特徴とするため、カラムクロマトグラフィまたは再結晶化を含みうる。
【0071】
ある実施例において、式(3)の化合物の6−ニトロ基は還元条件にさらされ、式(4)の6−アミノ類似化合物を形成する。
【0072】
適切な還元剤は、鉄および亜ジチオン酸ナトリウムを含む。また、還元は触媒としてパラジウム(Pd)またはラネーニッケルを用いて水素化することにより促進させることができる。
【0073】
ある実施例において、還元工程は、式(3)の化合物を、40〜60℃の間、例えば50〜60℃の温度において、鉄および酸性水溶液(例えば塩酸または酢酸)で処理することを含む。
【0074】
他の実施例において、還元工程は、水性溶媒中で、式(3)の化合物を亜ジチオン酸ナトリウムで処理することを含む。
【0075】
ある実施例において、水性溶媒はアセトン/水混合物またはアセトン/塩酸混合物である。
【0076】
ある実施例において、還元は高温、例えば約50〜70℃または約50〜60℃において行う。
【0077】
ある実施例において、式(3)の化合物の還元は、パラジウムまたはニッケル系触媒上における水素化を介して起こる。
【0078】
ある実施例において、触媒は、パラジウム触媒である(例えばPd/C)。
【0079】
他の実施例において、触媒はラネーニッケルである。
【0080】
ある実施例において、反応は極性溶媒、例えばメタノールまたは酸性メタノール中で行う。
【0081】
ある実施例において、溶媒はまた、酢酸または塩酸のような酸を触媒量含む。
【0082】
ある実施例において、還元反応は周囲温度(室温)において、大気圧または1.8〜2.4kg/cmの間の圧力で水素を用いて行う。
【0083】
還元条件に含まれる例:
(i)50℃において、鉄(3.0eqs)および塩酸(4.0eqs)
(ii)55〜60℃において、鉄(3.0eqs)および酢酸(13〜15vol)
(iii)ラネーニッケル、水素、メタノールもしくはDCM+メタノール(1:1)もしくは水メタノールまたは酢酸エチル
(iv)ラネーニッケル、水素、TFAまたはメタノール中の酢酸(15%)
(v)55〜60℃において、3:1のアセトン:水またはアセトン:塩酸(1Nまたは2N)中の亜ジチオン酸ナトリウム(4.0eqs)
(vi)炭素上のパラジウム、水素、(メタノールまたはメタノール+1N塩酸触媒)および
(vii)炭素上の10%パラジウム(湿潤)、水素(2kg/cmの圧力)、メタノール、25〜30℃
【0084】
ある実施例において、還元工程は、触媒としてPd/Cを用いた(3)から(4)への水素化を含む。
【0085】
ある実施例において、式(4)の化合物は相当な純度で、(4)に次の反応工程を施す前に更なる精製を要しないように調製される。
【0086】
この点に関して、反応中間体からの(4)の処理は、単純に層分離手法による(4)の分離を必要とする。
【0087】
式(4)の化合物はまた、カラムクロマトグラフィおよび/または再結晶化(例えばエタノールからの)により更に精製することができる。
【0088】
いくつかの実施例において、式(4)の化合物は、還元的アミノ化により2−インダノン(例えば、Aldrich Chemicalsにより市販される)と反応する。
【0089】
還元的アミノ化反応は、ジクロロメタン若しくは1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン化溶媒またはメタノール、エタノール若しくはイソプロパノールのようなアルコールまたはジメチルスルホキシド、アセトニトリル若しくは酢酸エチルのような極性非プロトン溶媒またはテトラヒドロフラン、ジオキサン若しくは1,2−ジメトキシエタンのようなエーテル中、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素カリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリエチル水素化ホウ素リチウム、ピリジンボラン、ピコリンボラン、5−エチル−2−メチルピリジンボラン、tert−ブチルアミン−ボランを含む(これに限定はされないが)ホウ素含有還元試薬を用いて、ワンポット反応(single pot reaction)で起こすことができる。
【0090】
ある実施例において、酢酸、プロパン酸またはブタン酸のような低級カルボン酸は助溶媒(co-solvent)として用いられる。
【0091】
ある実施例において、還元的アミノ化を二工程においてでも起こすことができる。
【0092】
まず、これに限定されるわけではないが、酢酸、プロパン酸、ブタン酸またはp−トルエンスルホン酸のような低級カルボン酸を含む酸またはアンバーリスト樹脂(Amberlyst resin)およびこれに限定されるわけではないが硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、分子ふるいまたはTiClのような脱水試薬の存在下、例えば、溶媒として、ジクロロメタン、エタノール、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタンまたはジメチルスルホキシドを用いてイミンを形成する。
【0093】
ある実施例において、イミン形成工程は、90〜110℃でトルエンを用いてDean Stark装置で行う。
【0094】
第2の工程において、前記ホウ素含有還元剤を用いて、イミンを第二級アミンへ変えることができる。
【0095】
ある実施例において、還元的アミノ化はハロゲン化溶媒、エーテルまたはアルコールを含む溶媒の混合物中で酢酸を用いて行われる。
【0096】
いくつかの実施例においては、(4)と比較して約1〜2.5モル当量の2−インダノンを用いて反応を行う。
【0097】
ある実施例においては、(4)と比較して約1〜1.6モル当量のホウ化水素またはボラン錯体を用いる。
【0098】
ある実施例においては、反応は、酢酸、プロパン酸またはブタン酸のような低級カルボン酸およびエタノール、メタノール、THF、ジクロロメタン(DCM)または1,2−ジクロロエタン(DCE)のような溶媒を含む溶媒系において、行われる。
【0099】
ある実施例において、低級カルボン酸は酢酸である(AcOH)。
【0100】
ある実施例において、AcOH:DCEの比は約1:1であり、(4)の濃度は約0.04〜0.05Mである。
【0101】
ある実施例において、反応は、不活性雰囲気下(例えば、窒素またはアルゴン)、40℃以下の温度にて行う。
【0102】
ある実施例において、AcOH:EtOHの比は約4:3であり、(4)の濃度は約0.1〜0.2Mである。
【0103】
別の実施例において、AcOH:THFの比は約5:2であり、(4)の濃度は約0.05〜0.15Mである。
【0104】
ある実施例において、式(4)の化合物および2−インダノンを不活性雰囲気下、AcOH:DCE(1:1)の溶媒系へ加えた。
【0105】
ある実施例において、還元剤(例えば、ホウ化水素)を一度に(in a single portion)加える。本反応の進行はTLCにより観察することができる。
【0106】
ある実施例において、式(4)の化合物および2−インダノンを不活性雰囲気下、AcOH:EtOH(4:3)の溶媒系に加える。
【0107】
ある実施例において、還元剤(例えば、2−メチルピリジンホウ素複合体)を一度に(single portion)加える。本反応工程はLCMSにより観察することができる。
【0108】
反応の完了させるために、必用であれば、更なる量の2−インダノンおよび還元剤を加えることができる。
【0109】
一旦完了すると、反応はクエンチ(quenched)(例えば炭化水素ナトリウム溶液を用いて)することができ、また例えば、塩素化溶媒(例えばDCM)またはエーテルのような有機溶媒を用いて抽出することができる。
【0110】
反応生成物(5)は通常、固体であることを特徴とし、再結晶化およびクロマトグラフィにより更に精製される(必用があれば)。
【0111】
したがって、更なる態様において、本発明は、式(5)の化合物の調製方法であって、
【化19】
(式中、RおよびYは独立して低級アルキルである)
a)式(4)の化合物を
【化20】
式(5)の化合物を得るのに十分な条件下、2−インダノンおよび適切な還元剤で処理すること(前記還元剤は2−メチルピリジンボラン錯体である)を含む方法を提供する。
【0112】
式(5)の化合物の加水分解により、式(6)の化合物を得ることは従来の工程により達成される。
【0113】
いくつかの実施例において、加水分解工程は極性溶媒系(例えばメタノールまたはエタノール)中、塩基性条件下(例えば水酸化ナトリウムも用いて)にて行う。
【0114】
ある実施例において、加水分解は式(5)の化合物を、含水NaOH/エタノール溶媒系に溶解することにより行う。
【0115】
ある実施例において、加水分解は室温から約100℃の範囲の温度(例えば、約50〜90℃)において行う。
【0116】
加水分解工程はTLCを用いて観察することができ、一旦完了すると、塩基性溶媒系は適切な酸(例えば、クエン酸)を加えることにより中和することができる。
【0117】
一旦溶媒系が中和されると、酸生成物(例えば、式(6)の化合物)は典型的には不溶性であり、そのため単純濾過により反応混合物から分離することが可能である。
【0118】
必用ならば、更なる精製を再結晶化または他の当該技術分野において公知な手法により達成することが可能である。
【0119】
他の実施例おいては、式(6)の化合物に直接次の工程を施すことができる。
【0120】
別の態様において、本発明の方法は、in situで、式(6)の化合物を酸活性化剤および求核QH基と反応させ、式(1)の化合物1,8−ナフチリジン(式中、Qは所望により置換された窒素含有ヘテロシクリルまたは所望により置換された窒素含有ヘテロアリール)を調製することを含む。
【0121】
適切な活性化剤は、塩化ピバロイル、低級クロロギ酸アルキル、カルボニルジイミダゾール(CDI)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI)、ベンゾトリアゾ−ル−1−イル−オキシ−トリス−(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、ベンゾトリアゾ−ル−1−イル−オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、ヒドロキシベンゾトリアゾ−ル(HOBt)、O−(ベンゾトリアゾ−ル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O−(7−アザベンゾトリアゾ−ル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)およびホスホン酸無水プロパン(T3P)を含む。
【0122】
ある実施例において、活性化剤は、クロロギ酸ギ酸エチル、クロロギ酸ギ酸n−プロピル、クロロギ酸ギ酸イソプロピル、クロロギ酸ギ酸tert−ブチルのようなクロロギ酸アルキルまたは塩化ピバロイルのような酸塩化物である。
【0123】
ある実施例において、反応は、TEA、ヒューニッヒ塩基または4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)のような非求核塩基の存在下、これに限定されるわけではないがDCM、DCE、THFまたはCHCNを含む極性溶媒中において行われる。
【0124】
他の実施例において、式(1)の化合物1,8−ナフチリジン(式中、Qは所望により置換された窒素含有ヘテロシクリルまたは所望により置換された窒素含有ヘテロアリール)を調製する求核QH基との反応の前に、式(6)の化合物を、適切な条件を用いて酸塩化物へ変える。
【0125】
しかしながら、そのようなプロセスケアにおいては、いずれの塩素化工程も望ましくない副産物および生産の減少につながりうる4−オキソ配置における塩素処理が行われないようにする必用があることがわかった。
【0126】
ある実施例において、QHはモルフォリンである。
【0127】
酸塩化物の形成に適した条件として、ジクロロメタン中の式(6)の化合物の溶液を1〜2モル当量の塩化チオニルまたは塩化オキサリルを用いて0〜20℃において処理することを含む。
【0128】
ある実施例において、反応はジメチルホルムアミド(ジクロロメタンに対し5〜10%)の存在下にて行われる。
【0129】
ある実施例において、反応は、周囲温度以下において(例えば〜0〜15℃において)式(6)の化合物を、活性化剤を用いて処理することにより行われ、次いでQH(好ましくは、式(6)の化合物に対し約1〜1.2モル当量)の添加および反応混合物を室温またはそれより少し高く、例えば50℃まで温めることにより行われる。
【0130】
本反応の進行はTLCにより観察することができる。
【0131】
また、本発明者は、最終反応工程から、弱塩基溶液(例えば、炭酸水素ナトリウム水溶液)で反応混合物を洗浄し、過剰の未反応酸(6)を取り除くことにより、式(1)の化合物を高純度で回収することができることを発見した。
【0132】
必用であれば、更なる(1)の精製を従来の手法により行うことができる。
【0133】
ある実施例において、前記方法は少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%または少なくとも70%の全収率を可能とする(グラム規模またはそれより大きな規模において実施した場合において)。
【0134】
ある実施例において、前記方法は少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%または少なくとも70%の全収率を可能とする。(10グラム規模またはそれより大きな規模において実施した場合において)
【0135】
ある実施例において、前記方法は少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%または少なくとも70%の全収率を可能とする。(100グラム規模またはそれより大きな規模において実施した場合において)
【0136】
ある実施例において、前記方法は少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%または少なくとも70%の全収率を可能とする。(500グラム規模またはそれより大きな規模において実施した場合において)
【0137】
ある実施例において、前記方法は少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%または少なくとも70%の全収率を可能とする。(キログラム規模またはそれより大きな規模において実施した場合において)
【0138】
ある実施例において、前記方法は少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%または少なくとも70%の全収率を可能とする。(100キログラム規模またはそれより大きな規模において実施した場合において)
【0139】
前記規模のいずれかに関して、還元的アミノ化工程は、単離された生成物の収率を約60〜80%、例えば約60%、約65%、約70%、約75%または約80%とすることを可能とする。
【0140】
ある実施例において、還元的アミノ化工程は、約65〜80%の単離収率(isolated yield)を可能とする。
【0141】
ある実施例において、本発明の方法は、マルチグラム規模で行われる。
【0142】
ある実施例において、本発明の方法は、キログラム規模において行われる。
【0143】
ある実施例において、本発明の方法は、マルチキログラム規模において行われる。
【0144】
ある実施例において、本発明の方法は、工業的規模(例えば100キログラム以上)において行われる。
【0145】
以下の実施例は本発明を表すものであるがこれらに限定されると解釈されるものではない。
【実施例】
【0146】
【化21】
エチル1−エチル−6−ニトロ−4−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキシレート:
【0147】
工程1:2−クロロ−5−ニトロニコチン酸(5.0kg)を、窒素雰囲気下、25〜30℃において、クロロホルム(20.0L)に添加した。
N,N−ジメチルホルムアミド(500g)および塩化チオニル(6.0kg)を、窒素雰囲気下、25〜30℃において、フラスコに連続的に加え、反応混合物を加熱還流した。
反応を、10.0mLのメタノールで1.0mLの反応混合物をクエンチさせ(quenching)、2−クロロ−5−ニトロニコチン酸(10%以上とすべきではない)に対するHPLCを記録することにより観察した。
反応完了後(〜3時間)、反応マス(reaction mass)を40〜45℃まで冷却し、有機溶媒を、減圧条件下、45℃以下で蒸留した。残査を25〜30℃まで冷却し、25〜30℃において、攪拌しながらアセトニトリル(10.0L)を添加した。
【0148】
工程2:トリエチルアミン(10.0kg)、エチル−3−(N,N−ジメチルアミノ)アクリレートおよびアセトニトリル(12.5L)を、25〜30℃において、ガラス製のフラスコへ加えた。
工程1で調製した酸性塩化物溶液を、25〜30℃において、反応フラスコへ加え、混合物を2.5時間攪拌した。
反応混合物は、0.5mLのメタノールで0.5mLの反応混合物をクエンチさせ(quenching)、2−クロロ−5−ニトロニコチン酸のメチルエステル(5.0%以上とすべきではない)に対するHPLCを記録することにより観察した。
反応完了後(〜4時間)、4.0Lのエチルアミン水溶液(70%)を、反応温度を25〜30℃において維持したまま、ゆっくり添加した(〜2.5時間)。
反応混合物を2.5時間、加熱還流し、アクリル酸エステルを含有する中間体(2.0%以上とすべきではない)に対するHPLCにより観察した。反応は8時間以内に完了することがわかった。反応混合物を、次いで25〜30℃まで冷却し、この温度において3時間維持した。
【0149】
工程3:ガラスライン反応器中で、300.0Lの水を0〜5℃まで冷却し、反応温度を5℃以下に維持したまま、工程2からの反応混合物をそこに注いだ。
反応混合物を、〜3時間0〜5℃に静置し、固体はヌッチェフィルターを通して濾過した。溶媒は真空条件下における濾過により除去した。
ウェットケーキをジエチルエーテル(25.0L)中に分散させ、十分に混合し、ヌッチェフィルターを通して濾過した。
溶媒は真空条件下における濾過により除去し、次いで原料を乾燥用トレーに入れた。
50〜55℃において、熱風乾燥機を用いて固体を水分含量が2.0%以下となるまで乾燥させ、次いで、25〜30℃まで冷却し、固体状の望ましいエステルを収率68%で得た。
1H NMR (DMSO-d6, 500MHz): 1.31(3H, t, J =7.0 Hz), 1.40(3H, t, J =7.0 Hz), 4.27(2H, q, J =7.0 Hz), 4.54(2H, q, J =7.0 Hz), 8.96(1H, s), 9.07(1H, d, J =2.5 Hz), 9.59 (1H, d, J =2.5 Hz). 13C NMR (DMSO-d6, 125MHz): 14.16, 14.53, 46.63, 60.27, 113.00, 121.54, 131.45, 140.97, 147.70, 150.61, 151.22, 163.49, 172.57.
【0150】
【化22】
エチル6−アミノ−1−エチル−4−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキシレート:
反応容器に窒素ガスを連続的に2〜3分間流した。メタノール(255.0L)を窒素雰囲気下、25〜30℃において、反応溶器に加えた。
306gのパラジウム炭素およびエチル1−エチル−6ニトロ−4−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキシレート(5.1kg)を窒素雰囲気下、25〜30℃において、連続的に加えた。
容器の圧力を窒素により1.0kg/cmまで高め、次いで、徐々に開放した。この作業を三度繰り返した。反応容器を水素ガスで満し、圧力を1.0kg/cmまで高め、次いで、徐々に開放した。この作業を三度繰り返し、結果、25〜30℃における水素ガスの圧力は2.0kg/cmまで高まり、その後60〜72時間維持された。
反応の進行は、出発物質(2.0%以上とすべきではない)の消費量およびヒドロキシルアミン中間体(10.0%以上とすべきではない)に対するHPLCにより観察した。
反応の進行が非常に遅かった場合、水素の圧力を徐々に開放し、更に10%のパラジウム炭素(50g)およびメタノール(50.0L)を加え、水素の圧力(2.0kg/cm)を再設した。
反応完了後(64〜75時間)、水素の圧力を徐々に開放し、反応容器を、窒素ガスで1.0kg/cmとなるまで充填した。窒素の圧力を徐々に開放し、ジクロロメタン(128.0L)を加えた。
ヌッチェフィルターにおいて、ハイフローベッド(Hyflow bed)を2.60kgのハイフローおよび29.1Lのジクロロメタンを用いて調製した。濾過水は廃棄した。
反応混合物を、次いで、真空条件下、ハイフローベッドを通して濾過した。ハイフローベッドはメタノール(38.3L)およびジクロロメタン(38.3L)の混合物を用いて洗浄した。
濾過器を再度真空条件下にさらした。濾過水を蒸溜フラスコへ移し、溶媒を真空条件下、50℃以下で蒸発させた。
フラスコを25〜30℃まで冷却し、25〜30℃においてアセトン(25.5L)を加えた。反応混合物を25〜30℃において攪拌し、真空条件下、ヌッチェフィルターを通して濾過した。
この原料を乾燥用トレーに均等に移し、40〜45℃において、熱風乾燥機を用いて、水分含量が0.5%以下となるまで乾燥させ、次いで25〜30℃まで冷却し固体状の望ましい化合物を65%の収率で得た。
1H NMR (DMSO-d6, 500MHz): 1.29(3H, t, J = 8.4Hz), 1.35(3H, t, J =7.0Hz), 4.23(2H, q, J =7.0Hz), 4.43(2H, q, J =7.0Hz), 5.80(2H, s), 7.67(1H, s), 8.26(1H, d, J = 2.0 Hz), 8.67 (1H, s). 13C NMR (DMSO-d6, 125MHz): 14.32, 15.08, 45.81, 59.51, 108.77, 115.12, 123.87, 140.08, 140.67, 143.57, 146.82, 164.69, 173.30.
【0151】
【化23】
エチル1−エチル−6−(インダン−2−イルアミノ)−4−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキシレート
工程1:18.0Lの1,2−ジクロロエタン(水分含量0.1%以下)およびホウ化水素(785g)を、窒素雰囲気下、25〜30℃において連続的にフラスコへ加えた。
反応溶液を0〜5℃まで冷却し、4.30Lの酢酸(水分含量0.1%以下)を、0〜10℃に維持したまま反応フラスコへ徐々に加えた。
この反応混合物を25〜30℃まで温め、この温度を12時間維持した。
【0152】
工程2:1,2−ジクロロエタン(118.8L)、硫酸ナトリウム(19.3kg)およびエチル6−アミノ−1−エチル−4−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキシレート(3.6kg)を、窒素雰囲気下、25〜30℃において、反応容器に連続的に加え、0〜5℃まで冷却した。
2−インダノン(1.80kg)を攪拌下、0〜5℃において反応混合物に加え、これに次いで酢酸(136.8L)を0〜5℃の温度に保ちながら徐々に加えた。
反応混合物を0〜5℃において10〜15分攪拌した。13.8Lのトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム溶液(工程1で調製した)を0〜5℃において、それぞれ4.6Lの3つの受け入れ容器(instalments)に徐々に加え、0〜5℃において2時間攪拌した。
次いで、硫酸ナトリウム(10.1kg)および2−インダノン(878g)を0〜5℃において反応混合物へ連続的に加えた。8.0Lのトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム溶液(工程1で調製した)を0〜5℃において反応混合物に徐々に加え、反応混合物を0〜5℃で10〜12時間維持した。
反応の進行は、出発物質の消失に対するTLCにより観察した。反応完了後(15時間)、真空条件下、60℃以下において溶媒を除去し、反応マスを25〜30℃まで冷却した。
ジクロロメタン(72.0L)を攪拌下、25〜30℃において、反応混合物に添加し、攪拌を20〜30分の間継続した。
次いで、反応混合物のpHを、炭酸水素ナトリウム水溶液(36kgの炭酸水素ナトリウムを324Lの水に溶解することにより調製)により、7〜8に調整し、反応混合物を25〜30℃において、10〜15分攪拌した。
二層は15〜20分間を超えて分離していることができ、次いで有機層が分離した。
水層を36Lのジクロロメタンで二回洗浄し、全ての有機層を溜め、水(2×36L)および塩化ナトリウム溶液(7.2kgの塩化ナトリウムを28.8Lの水に溶解することにより調製)で二回洗浄した。最終的に無水硫酸ナトリウム上において25〜30℃で15〜20分間攪拌することにより乾燥させた。
溶液はヌッチェフィルターを通して濾過した。濾過水を反応容器へ移し、溶媒を真空条件下、40℃以下で蒸発させた。
シリカゲル(25.2kg)をプラグカラム(plugged column)へ加え、粗製反応マスをカラム上へ担持させた。カラムをジクロロメタン(1728.0L)、ジクロロメタン(864L)中の5%酢酸エチル、ジクロロメタン(865L)中の7.5%酢酸エチルおよびジクロロメタン(1500L)中の10%酢酸エチルで溶出した。
画分をTLCにより分析し、同時に純物質を含有する画分を反応容器中へ貯留した。
溶媒を、減圧条件下、45℃以下において蒸留し、残存マスを25〜30℃まで冷却した。
ジエチルエーテル(14.4L)を25〜30℃において反応容器へ加え、2時間攪拌した。反応マスはヌッチェフィルターを通して濾過した。
固体を乾燥用トレーに広げ、35〜40℃において、熱風乾燥機を用いて乾燥させ、2.2kgの望ましい固体状の生成物を得た。
1H NMR (DMSO-d6, 500MHz): 1.29(3H, t, J =7.0Hz), 1.36(3H, t, J = 7.0Hz), 2.84-2.88(2H, m), 3.5-3.39(2H, m), 4.22(2H, q, J = 7.0Hz), 4.31-4.33(1H,m), 4.44(2H, q, J = 7.0Hz), 6.73(1H, d, J = 6.5Hz), 7.16-7.17(2H. m), 7.25-7.27(2H, m), 7.59(1H, d, J = 3.0 Hz), 8.35(1H, d, J =3.0 Hz), 8.68 (1H, s). 13C NMR (DMSO-d6, 125MHz): 14.29, 15.10, 45.85, 53.07, 59.52, 109.00, 112.15, 123.78, 124.60, 126.36, 140.04, 140.69, 141.21, 142.78, 146.65, 164.72, 173.17.
【0153】
【化24】
1−エチル−6−(インダン−2−イルアミノ)−4−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸:
エタノール(42.0L)を25〜30℃において反応用器に加え、次いで攪拌しながらエチル1−エチル−6−(インダン−2−イルアミノ)−4−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキシレート(4.20kg)を加えた。
水酸化ナトリウム水溶液(3.4kgの水素ナトリウムを42.0Lの水に溶解させることにより調製)を25〜30℃において反応混合物に加え、反応温度を50〜55℃に上昇させた。
反応混合物を50〜55℃において2時間攪拌し、反応の進行をTLCにより観察した。加水分解の完了後(〜3時間)、反応マスを25〜30℃まで冷却し、クエン酸水溶液(5.2kgのクエン酸を47.0Lの水に溶解することにより調製)を添加することによりpHを5〜6に調整した。
反応マスを25〜30℃において、20〜25分の間攪拌し、濾過し、固体マスを水(42.0L)及びアセトン(21.0L)で洗浄した。
原料を乾燥用トレーに移し、70〜75℃において、熱風乾燥機で水分含量が1.0%に減少するまで乾燥し、望ましい固体状の化合物(90%)を得た。
1H NMR (DMSO-d6, 500MHz): 1.40(3H, t, J = 7.0Hz), 2.86-2.90(2H, m), 3.37-3.41(2H, m), 4.38(1H, d, J = 5.5 Hz), 4.62(2H, q, J = 7.0Hz), 7.06(1H, d, J = 6.0Hz), 7.17-7.18(2H. m), 7.26-7.27(2H, m), 7.60(1H, d, J = 2.5 Hz), 8.52(1H, d, J =2.0 Hz), 9.00 (1H, s), 15.30(1H, s). 13C NMR (DMSO-d6, 125MHz): 15.19, 46.92, 52.92, 107.12, 109.42, 121.58, 124.63, 126.41, 140.11, 141.12, 143.33, 143.43, 145.93, 166.12, 177.53.
【0154】
【化25】
6−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イルアミノ)−1−エチル−3−(モルフォリン−4−イルカルボニル)−1,8−ナフチリジン−4(1H)−オン
工程1:160.0Lのジクロロメタン(水分含量を0.1%以上とすべきではない)、1−エチル−6−(インダン−2−イルアミノ)−4−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸(4.0kg)およびトリエチルアミン(3.5kg)を窒素雰囲気下、25〜30℃において、反応容器に連続的に加え、反応混合物を10〜15℃まで冷却した。
塩化ピバノイル(4.1kg)を、反応温度を10〜15℃に保ちながら、反応混合物へ徐々に加えた。
次いで、反応温度25〜30℃まで上昇させ、攪拌した。
反応の進行は、出発物質の消失に対するTLCにより観察した。
反応完了後(3〜4時間)、反応混合物を15〜20℃にまで再度冷却し、攪拌し、かつ反応混合物を15〜20℃に保ちながら、モルフォリン(6.0kg)を加えた。
N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(194g)およびDMF(2.0L)を15〜20℃において反応混合物へ加え、加熱還流した。
反応の進行は、ピバノイルエステル中間体の消失に対するTLCにより観察し、12〜13時間以内に完了することが判明した。
反応混合物を15〜20℃まで冷却し、次いで、攪拌しながら重炭酸ナトリウム水溶液(5.6kgの重炭酸ナトリウムを56.0Lの水に溶解することにより調製)を添加することによりクエンチさせた。
有機層を分離し、塩化ナトリウム水溶液(23.0kgの塩化ナトリウムを57.0Lの水に溶解することにより調製)で洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウム(4.0kg)を用いて攪拌することにより乾燥した。
有機層を、ヌッチェフィルターを通して濾過し、硫酸ナトリウムをジクロロメタンで洗浄した。濾過液はフラスコへ移し、真空条件下、40℃以下において蒸発させた。
フラスコ中の結果得られた材料を25〜30℃まで冷却し、ジエチルエーテル(40.0L)に懸濁させた。
分離した固体を、ヌッチェフィルターを用いて濾過し、ジエチルエーテル(8.0L)で洗浄し、単離した湿式固体をジクロロメタン(20.0L)へ溶解した。
次いで、その溶液(10.0L)を、ジクロロメタン(36.0L)次いでジクロロメタン中10Lの10%メタノールを用いてシリカゲルプラグ(10.0kg)を通して濾過した。シリカゲルフィルターは真空条件下、乾燥させた。
同様に、溶液(10.0L)の残部を別のシリカゲルプラグ(10.0kg)を通して濾過した。複合濾過液を真空条件下、40℃以下において蒸発させ、次いで、残留固体を25〜30℃において、攪拌しながら、酢酸エチル(20.0L)に懸濁させた。
分離した固体を、ヌッチェフィルターを通して濾過し、酢酸エチル(4.0L)で洗浄した。フィルターを減圧条件下、乾燥し、次いで、材料を乾燥用トレーに移し、40〜45℃において乾燥させ、2.36kg得た。
1H NMR (DMSO-d6, 500MHz): 1.49 (3H, t, J = 7.2Hz), 2.91(2H, dd, J = 3.5Hz, 16.0 Hz), 3.42-3.47(4H, m), 3.80(6H, s), 4.25-4.26(1H, bd), 4.40-4.48(3H, m), 7.20-7.25(4H, m), 7.82(1H, d, J = 3.0Hz), 8.09 (1H, s), 8.18(1H, d, J = 3.0Hz). 13C NMR (CDCl3, 150MHz): 15.27, 39.87, 43.05, 46.66, 48.09, 53.93, 66.80, 67.40, 113.27, 116.71, 123.22, 124.92, 126.78, 140.87, 141.46, 141.83, 141.90, 143.84, 166.27, 173.38.
【0155】
代替的調製手順
エチル1−エチル−6−(インダン−2−イルアミノ)−4−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキシレート
【化26】
方法A:無水THF(3mL)中のエチル6−アミノ−1−エチル−4−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキシレート懸濁液(262mg、1.0mmol)を酢酸(6mL)に加え、混合物を全ての固体が溶液の状態(40〜45℃まで温める必要があると思われる)になるまで攪拌した。
2−インダノン(210mg、1.6mmol)を反応混合物に添加し、イミン形成が完了(LCMSによる出発物質の消失により示される)(〜30分から1時間)するまで攪拌した。
2−ピコリンボラン錯体(140mg、1.3mmol)を反応混合物へ加え、激しく攪拌し、イミン還元を完了(LCMSによるイミンの消失)させる。
反応混合物をビーカーへ移し、酢酸エチル(20mL)で希釈し、氷冷の水酸化ナトリウム水溶液(1.0M)(〜90mL、酢酸のほぼ90%をクエンチするのに十分な)を加え、次いで、固体重炭酸ナトリウムで塩基性化した。
有機層を分離し、塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させて、減圧下、蒸発乾固した。粗物をジクロロメタン(20mL)中に溶解し、ヘキサン(〜20mL)を滴下し懸濁させた。
分離した固体をジエチルエーテルおよびヘキサンの1/1混合物で洗浄し、黄色の固体物として望ましい化合物を得た(収率:70%、HPLC純度:95%)。
【0156】
方法B:工程1:4mLの1,2−メトキシエタン中のエチル6−アミノ−1−エチル−4−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキシレート懸濁液(261mg、1mmol)を酢酸(8mL)へ加え、混合物を全ての固体が溶液の状態(40〜45℃まで温める必要があると思われる)になるまで攪拌した。
2−インダノン(180mg、1.4mmol)を反応混合物に加え、1時間攪拌した。
反応混合物を無水ジエチルエーテル(10mL)で希釈し、分離した固体を濾過し、冷ジエチルエーテルで洗浄し、真空条件下乾燥させ、暗黄色固体状のイミン(275mg、74%)を得た。
【0157】
工程2:イミン(275mg、0.74mmol)をメタノール(5mL)および酢酸(5mL)中に懸濁し、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(95mg、1.5mmol)を加え、混合物を1時間激しく攪拌した。
反応混合物をビーカーへ移し、酢酸エチル(40mL)で希釈し、氷冷の水酸化ナトリウム水溶液(35mL,2.0M)(酢酸のほぼ90%をクエンチするのに十分な)を添加し、次いで、反応混合物を、固体重炭酸ナトリウムでpH7〜8まで塩基性化した。
有機層を分離し、塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、減圧下、蒸発乾固し、暗黄色の固体物を得た(260mg、95%、HPLC純度:87%)
【0158】
その他の代替的な方法:表1に明記される溶媒中のエチル6−アミノ−1−エチル−4−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキシレート懸濁液を酢酸に加え、混合物を全ての固体が溶液の状態(40〜45℃まで温める必要があると思われる)になるまで攪拌した。
2−インダノンを反応混合物に加え、イミン形成が完了するまで攪拌した(LCMSによる出発物質の消失により示される)(〜30分から1時間)。
反応混合物にボロン還元剤(表1に記載したように)を添加し、激しく攪拌し、イミン還元を完了(LCMS中のイミンの消失)させた。
反応混合物をビーカーへ移し、酢酸エチルで希釈し、氷冷の水酸化ナトリウム水溶液(1.0M)(酢酸のほぼ90%をクエンチするのに十分な)を加え、次いで、更に反応混合物を、固体重炭酸ナトリウムでpH7〜8まで塩基性化した。
有機層を分離し、塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、減圧下、蒸発乾固した。
表1に規定される、粗物はシリカゲルのプラグをDCM中の酢酸エチルの勾配を増大させながら通過し、暗黄色固体状の望ましい生成物を提供した。
【0159】
表1:エチル1−エチル−6−(インダン−2−イルアミノ)−4−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキシレートの調製条件
【表1】
【0160】
代替的調製手順
6−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イルアミノ)−1−エチル−3−(モルフォリン−4−イルカルボニル)−1,8−ナフチリジン−4(1H)−オン
【化27】
方法A:無水DCM(16mL)中の1−エチル−6−(インダン−2−イルアミノ)−4−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸(350mg、1mmol)懸濁液をNEt (280μL,2mmol)へ加え、反応混合物を冷浴中0℃まで冷却した。
エチルクロロギ酸エステル(143μL、1.5mmol)を、シリンジを介して反応混合物へ添加し、反応混合物を10分攪拌した。
冷浴を除去し、反応温度を室温まで上昇できるようにし、反応が完了するよう攪拌した(〜20分)。
反応混合物を再度冷浴中で冷却し、モルフォリン(261mg、3mmol)を、シリンジを介して加えた。
反応混合物を室温で、アミド形成が完了するまで攪拌する(〜30分)。
反応混合物を再度、冷浴中で冷却し、メタノールを数滴添加することによりクエンチし、次いで、酢酸エチルで希釈した。
有機層を炭酸水素ナトリウム(飽和水溶液)、塩水で洗浄し、分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、蒸発乾固した。
粗物をメタノール(5mL)に溶解し、熱水(7mL、〜70℃)を加えた。
分離した固体を濾過し、高真空条件下、乾燥し、望ましい淡黄色固体状の原料(350mg、84%、HPLC純度:99%)を得た。
【0161】
方法B:1/1のDCM/DMF(12mL)中の1−エチル−6−(インダン−2−イルアミノ)−4−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸(248mg、0.7mmol)懸濁液をモルフォリン(400μL,4.6mmol)へ加え、次いで、HATU(305mg、0.8mmol)を一部加えた。
反応混合物を、反応が完了するまで(〜1時間)50℃に加熱した。
反応を炭酸水素ナトリウム(飽和水溶液)でクエンチし、DMCにより抽出した。
抽出物を混合し、水および塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。
粗物は、DMC中のメタノールの勾配(1%〜5%)を増加させながらシリカの小さなプラグを通過し、望ましい淡黄色固体物を得た。