(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1つまたはそれ以上の薬作用物質の送達を与えるために少なくともプライミングモードと薬物送達モードとを有する、1つまたはそれ以上の薬作用物質を投与するための手持ち式インスリン注射ペンであって、
該ペンを制御してプライミング動作を実行するように動作可能なコントローラと、プライミング動作の起動のためのユーザ・インターフェースとを備え、該コントローラは、薬剤の複数の間欠的用量によってプライミング動作を実行するように動作可能であり、間欠的用量の数は、該ユーザ・インターフェースによるプライミング動作の起動に依存し、該複数の間欠的用量は、該ユーザ・インターフェースによるプライミング動作の起動の前に該コントローラによりあらかじめ設定されたプライミング用量のシーケンスを含む、上記手持ち式インスリン注射ペン。
コントローラは、プライミング履歴を記憶するための、および用量投与履歴を記憶するための、少なくとも1つのメモリを有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の手持ち
式インスリン注射ペン。
コントローラは、所与のプライミング動作のための間欠的用量の数をあらかじめ設定された値に制限するように動作可能である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の手持ち式インスリン注射ペン。
それぞれが薬剤カートリッジを保持するための第1の薬剤カートリッジ保持器と第2の薬剤カートリッジ保持器とを備える、請求項9に記載の手持ち式インスリン注射ペン。
第1の方策は、前記第1の薬剤カートリッジ保持器と前記第2の薬剤カートリッジ保持器のうちの一方の薬剤カートリッジからプライミング動作を実行することであり、第2の方策は、第1の薬剤カートリッジ保持器と第2の薬剤カートリッジ保持器の両方の薬剤カートリッジからプライミング動作を実行することである、請求項10に記載の手持ち式インスリン注射ペン。
第2の方策は、第1の薬剤カートリッジ保持器と第2の薬剤カートリッジ保持器のうちの一方の薬剤カートリッジからの、他方の薬剤カートリッジとは異なる速度でのプライミングを含む、請求項11に記載の手持ち式インスリン注射ペン。
1つまたはそれ以上の薬作用物質の送達を与えるために少なくともプライミングモードと薬物送達モードとを有する、該1つまたはそれ以上の薬作用物質を排出するための手持ち式インスリン注射ペンを制御する方法であって、
プライミング動作を実行するように該ペンを制御するステップと、
ユーザ・インターフェースによるプライミング動作の起動に応じて、該ユーザ・インターフェースによるプライミング動作の起動の前に該コントローラによりあらかじめ設定されたプライミング用量のシーケンスを含む薬剤の複数の間欠的用量を投与するステップとを含む上記方法。
【背景技術】
【0002】
特定の疾患状態は、1つまたはそれ以上の異なる薬剤を使用する治療を必要とする。いくつかの薬物化合物は、最適な治療用量を送達するために、互いとの特定の関係で送達される必要がある。本特許出願は、単一薬剤デバイスに適用可能であるが、併用療法が望ましい、しかしそれだけに限らないが安定性、治療成績の低下、および毒性などの理由で単一配合物では可能でない場合に特に有益である。
【0003】
たとえば、場合によっては、糖尿病患者を、GLP−1またはGLP−1類似物などのグルカゴン様ペプチド−1(第2の薬物または副薬剤とも呼ばれることがある)と共に、長時間作用型インスリン(第1の薬剤または主薬剤とも呼ばれることがある)で治療することが有益なことがある。
【0004】
したがって、使用者が実行するのが簡単で薬物送達デバイスの複雑な物理的な操作を伴わない単回の注射または送達工程で1つまたはそれ以上の薬剤を送達するためのデバイスを提供することが求められている。併用療法デバイスの場合、提案する薬物送達デバイスは、2つ以上の活性薬作用物質に対する別個の貯蔵容器またはカートリッジ保持器を設ける。その場合、これらの活性薬作用物質のみが、単一の送達手順の間に患者に併用および/または送達される。これらの活性薬品は、組み合わされた用量で一緒に投与してもよいし、あるいは、これらの活性薬品は順次相次いで組み合わせてもよい。
【0005】
薬物送達デバイスはまた、薬剤の量を変える機会を考慮に入れる。たとえば、1つの流体の量は、注射デバイスの特性を変更する(たとえば、使用者変更可能な用量を設定すること、またはデバイスの「固定」用量を変更すること)ことによって変えることができる。第2の薬剤の量は、さまざまな副薬含有パッケージを製造し、それぞれの変種が異なる体積および/または濃度の第2の活性薬品を含むことによって、変更することができる。
【0006】
薬物送達デバイスは、単一の投薬インターフェースを有することができる。このインターフェースは、単一薬剤デバイスの場合はリザーバと、または併用療法デバイスの場合は1次リザーバおよび少なくとも1つの薬作用物質を含む薬剤の2次リザーバと流体連通するように構成することができる。薬物投薬インターフェースは、2つ以上の薬剤がシステムを出て患者に送達可能なある種の出口とすることができる。
【0007】
デバイスが併用療法に適用可能な場合、別々のユニットとして、または混合ユニットとしての化合物の組み合わせは、両頭針アセンブリを介して身体に送達することができる。これは、使用者の観点からは標準的なニードル・アセンブリを使用する現在入手可能な注射デバイスに厳密に適合する形で達成される組み合わせ薬物注射システムを提供する。1つの可能な送達手順は、以下の工程を必要とすることがある:
【0008】
1.投薬インターフェースを電気機械式注射デバイスの遠位端に付ける。この投薬インターフェースは、第1の近位針と、第2の近位針とを備える。第1の針および第2の針はそれぞれ、主化合物を含む第1のリザーバおよび副化合物を含む第2のリザーバを穿刺する。
【0009】
2.両頭針アセンブリなどの用量投薬器を投薬インターフェースの遠位端に付ける。このようにして、ニードル・アセンブリの近位端は、主化合物と副化合物の両方と流体連通する。
【0010】
3.主化合物の所望の用量を注射デバイスから、たとえばグラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)によってダイヤルを回す/設定する。
【0011】
4.使用者が主化合物の用量を設定した後、マイクロプロセッサにより制御される制御ユニットが、副化合物の用量を決定または計算することができ、好ましくは、この第2の用量を、前もって記憶された治療用量プロファイルに基づいて決定または計算することができる。次に使用者によって注射されるのは、薬剤のこの計算された組み合わせである。この治療用量プロファイルは、使用者により選択可能とすることができる。
【0012】
5.場合により、第2の用量を計算した後、デバイスを着装(armed)状況にしてもよい。このような任意選択の着装状況では、これは、制御パネル上の「OK」ボタンを押すおよび/または保つことによって達成することができる。この状況は、組み合わされた用量を投薬するためにデバイスを使用できるようになる前に、所定の期間より長い期間提供することができる。
【0013】
6.次に、使用者は、用量投薬器の遠位端(たとえば、両頭針アセンブリ)を所望の注射部位に挿入するまたは当てる。注射ユーザ・インターフェース(たとえば、注射ボタン)を起動することによって、主化合物と副化合物(と、場合によっては第3の薬剤)の組み合わせの用量を投与する。
【0014】
両方の薬剤は、1つの注射針または用量投薬器によって1つの注射工程で送達することができる。これは、2回の別個の注射の投与と比較して使用者が行う工程の減少に関して、使用者に便利な利益をもたらす。
【0015】
上述のタイプの医療用デバイスの実際の使用に際して、これらの医療用デバイスが単回の薬剤送達を意図したものであろうと複数回の薬剤送達を意図したものであろうと、状況によってはデバイスのプライミングを確実にすることが望ましい場合がある。
【0016】
知られている薬剤送達デバイスは、薬剤を患者に投与する前にデバイスまたはリザーバから空気を排出するためのプライミング機能を有する。デバイスは、効果的なプライミング動作を提供すると見なされる、使用者が調整できないあらかじめ設定された体積の薬剤を排出するように動作可能である。しかし、固定のプライミング薬剤の体積が、特定の環境では、適切なプライミングが行われたとして使用者を安心させるのに十分でないことがある。これは、たとえば、使用者が異なる大きさの針を選択する場合に生じることがある。使用者が大きな針を選択する場合、あらかじめ設定された用量プライミング中に排出される薬剤が不十分であることがある。すなわち、単回のプライミングでは気泡を完全に押し出すのに十分でないことがある。
【0017】
したがって、本発明は、上述の医療用デバイスにおける不適切なプライミングのリスクの低下ならびに同時に使用者によるプライミング機能の制御の向上という技術的な問題に直面する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、上述の問題点を軽減することである。さらなる目的は、薬剤送達デバイスの使用者プライミングを簡略化することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の第1の態様によれば、1つまたはそれ以上の薬作用物質の送達を与えるためにプライミングモードと薬物送達モードとを有する、1つまたはそれ以上の薬作用物質を投与するための薬剤送達デバイスが提供され、このデバイスは、デバイスを制御しプライミング動作の起動のためのプライミング動作を実行するように動作可能なコントローラと、ユーザ・インターフェースとを備え、このコントローラは、薬剤の複数の間欠的用量(intermittent dose)によってプライミング動作を実行するように動作可能であり、間欠的用量の数は、ユーザ・インターフェースによる起動に依存する、薬剤送達デバイスが提供される。
【0020】
本発明を実施するデバイスでは、複数の間欠的用量は、プライミング用量の所定のシーケンスを含むことができ、間欠的用量間の時間は、コントローラのメモリに記憶されたタイミング・プロトコルに従って、経時的に増加または減少することができる。さらに、間欠的用量の薬剤の量は、同様に、コントローラのメモリに記憶された間欠的用量体積のプロファイルに応じて、経時的に増加または減少する(たとえば、0.5単位−0.1単位−0.1単位またはこの逆など)ことができる。
【0021】
ユーザ・インターフェースは、使用者によるプライミング動作の起動を容易にするためのプライミングおよび/または用量ボタンを備えることができる。コントローラは、場合により、プライミング履歴を記憶するためのメモリと、用量投与履歴を記憶するための別個のメモリとを備える。これらの別個のメモリは、プライミングおよび用量投与の記憶をそれぞれ提供する。あるいは、プライミング履歴および用量投与履歴は単一メモリ内の異なるレコードに記憶することができる。一実施形態では、コントローラは、不注意により薬剤カートリッジを空にすることを回避するために、所与のプライミング動作のための間欠的用量の数をあらかじめ設定された値、たとえば5つの低用量に制限するように動作可能である。コントローラは、メモリに記憶された異なるプライミング方策から選択するように動作可能とすることができ、そのため、デバイスは、プライミング履歴に応じて、「どのように」プライミングするかを知っている。
【0022】
一実施形態では、それぞれが薬剤カートリッジを保持するための第1の薬剤カートリッジ保持器と第2の薬剤カートリッジ保持器とを備えることができる。第1の方策は、前記第1の薬剤カートリッジ保持器と前記第2の薬剤カートリッジ保持器のうちの一方の薬剤カートリッジからプライミング動作を実行できることであり、第2の方策は、第1の薬剤カートリッジ保持器と第2の薬剤カートリッジ保持器の両方の薬剤カートリッジからプライミング動作を実行できることである。後者の場合、第2の方策は、第1の薬剤カートリッジ保持器と第2の薬剤カートリッジ保持器のうちの一方の薬剤カートリッジからの、他方の薬剤カートリッジとは異なる速度でのプライミングを含むことができる。コントローラによって実施される方策は、たとえば薬剤カートリッジの一方が他方より大きい、デバイスの動作状況に依存することができる。
【0023】
本発明の実施形態は、リザーバまたはカートリッジ内に貯蔵された単一薬剤を有する単一療法デバイスに適用可能である。しかし、1つまたはそれ以上の薬作用物質が、第1のリザーバおよび第2のリザーバ内に貯蔵された第1の薬剤および第2の薬剤を含む併用療法デバイスの場合、薬剤は、同じであってもよいし、互いと異なってもよい。デバイスは、使用者が1つまたはそれ以上の薬作用物質の適切な用量を設定するための用量設定機構と、患者への薬作用物質(複数可)の自動的送達または手動送達のための駆動機構とを有することができる。デバイスは、たとえば音響信号によって実現することができる、ディスプレイ上の対応するメッセージによって、デバイスをプライミングすることを使用者に促すプロンプトを備えることができる。
【0024】
本発明の実施形態は、使用者がプライミング動作をある程度制御することを可能にする。したがって、使用者または患者によって望まれるプライミング動作を、空気および/または以前の用量からの残留薬剤が患者に薬剤を注射する前に取り除かれるという自信を持って実行することができる。使用者によりプライミングボタンが連続的に起動されること(すなわち押し続けること)または使用者によりプライミングボタンが数回押されることによって、1滴または数滴の薬剤がデバイスの針の先端に見えるまで使用者が待機することが可能である。使用者は、プライミング動作を実行したと使用者が満足するまで、プライミングボタンを引き続き起動することができる。プライミング動作中の薬剤の間欠的用量は、十分なプライミングがいつ行われたかを認識するための、および針の先端から過剰量の薬剤を排出する前に使用者が作動するプライミングボタンを解除するための時間を使用者に与える。
【0025】
本発明の一実施形態は、栓検出機能も提供することができる。この場合、プライミング機能を実行するためのユーザ・インターフェースの起動により、デバイスのピストン・ロッドを栓の方へ前進させることもできる。別の実施形態では、コントローラは、プライミング体積または間欠的用量プロファイルをランダムに設定するように動作可能であることができる。これは、間欠的用量の1つまたはそれ以上の大きさまたは体積の計算に使用するための、「乱数の種(random seed)」すなわち乱数発生器によって生成される乱数を使用することによって行うことができる。プライミング体積は、プライミングメニューから、場合により使用者によるユーザ・インターフェースの起動のドウェル時間(dwell time)(すなわち、プライミングボタンがどれくらい長く押されたか)に応じて、選択可能とすることができる。基本的な構成前セットがプライミングメニューにあってもよい。これらの選択肢は、異なるサイズの針がデバイスと共に使用されることが企図されている場合に有益なことがある。
【0026】
本発明の第1の態様を実施するデバイスは、デバイスから出口への流体連通を提供するための分離可能な投薬インターフェースを含むことができる。この出口は、ニードル・ハブの取付け部を含むことができる。デバイスは、デバイスからのニードル・ハブおよび/または投薬インターフェースの取付けまたは分離を感知することが可能とすることができる。本発明を実施するデバイスでは、所定の状態は、投薬インターフェースがデバイスに取り付けられていると識別され、デバイスへの投薬インターフェースの取付け以降に薬剤の用量がデバイスから投薬されていないとき、投薬インターフェースプライミング状態として識別され得る。これらの場合、コントローラは、1つまたはそれ以上の薬剤の用量を患者に注射するためのデバイスの使用に備えて空気がニードル・ハブおよび/または投薬インターフェースから追い出されたことを確実にするまたは使用者に確信を与えるために、プライミング機能を要求するように動作可能であり得る。
【0027】
複数の薬作用物質リザーバまたはカートリッジを収容できるデバイスは、2つの薬作用物質を含む薬剤リザーバまたはカートリッジを保つための第1の保持器と第2の保持器とを含むことができ、この2つの薬作用物質は同じであってもよいし、互いと異なってもよい。薬剤リザーバまたはカートリッジは、単独の薬剤(単一の薬物化合物)を含んでも、あらかじめ混合された薬剤(一緒に調製された複数の薬物化合物)を含んでもよい。第1の保持器と第2の保持器とを有するデバイスのための投薬インターフェースは、第1の保持器および第2の保持器から一体的出口への流体連通を提供するための分岐(bifurcated)コンジットを備えることができる。ニードル・ハブは、この一体的出口に取外し可能に取り付けることができる。コントローラは、デバイスがプライミングモードであるとき、ならびにデバイスが薬物送達モードであるとき、同時におよび/または連続して薬作用物質を患者に排出するように動作可能である。
【0028】
制御ユニットは、好ましくは、ボタンなどの入力手段ならびにデジタル・ディスプレイまたは音響ユニットなどの出力手段を有する制御パネルを備える。この入力手段は、使用者から入力を受け取るように構成することができ、出力手段は、情報、許容可能な機能/許可されない機能、使用者へのプロンプトまたはガイダンスを使用者に示すように構成することができる。
【0029】
プライミング機能を実行すると、デバイスはプライミングモードの使用可能性を維持しながら薬物送達モードに設定され得、それによって、使用者は、追加のプライミングを実行するためにプライミングモードを選択することもできるし、薬物送達モードに進むこともできる。このモードでは、使用者がディスプレイおよびトグルまたはボタンを介して適切な指示を選択することによって追加のプライミングを選んだ場合、コントローラは、連続した用量の間で、またはデバイスの以前のプライミング以降に経過した時間が、たとえば1時間から24時間の間に設定された所定の値より短いことを条件に、第1の保持器および第2の保持器の薬剤リザーバまたはカートリッジのうちの指定されたものからデバイスをプライミングすることができる。この動作機能は、薬剤リザーバまたはカートリッジのうちの指定されていないものから薬剤を保存することであり、この薬剤リザーバまたはカートリッジは、使用者による任意選択のプライミングによって投薬することができる。連続した用量の間で、またはデバイスの以前のプライミング以降に経過した時間が、たとえば1時間から24時間の間に設定された所定の値より長いとき、使用者が追加のプライミングを選んだ場合、コントローラは、第1の保持器および第2の保持器の薬剤リザーバまたはカートリッジの両方からデバイスをプライミングするように動作可能であり得る。この結果、デバイスは、用量送達モードを設定する前にニードル・ハブまたは投薬インターフェース内の薬剤を新たにする。
【0030】
複数の薬剤を有するデバイスでは、コントローラは、プライミング機能中に投薬されるある薬剤の量または供給源を別の薬剤の量または体積より少なくするように制御するよう構成することができる。このようにして、より高価な薬剤のプライミングにより投薬される量またはより小さなリザーバもしくはカートリッジ内に含まれる量を減少させるまたは最小限に押させることができる。言い換えれば、コントローラは、より安価なまたは体積のよい少ない薬剤をプライミングモード中に優先的に投薬することができる。コントローラは、場合により、使用者の自由選択でデバイスがプライミングされるときにリザーバまたはカートリッジのうちの1つのみから薬剤を投薬するようにプログラムすることができる。
【0031】
コントローラは電子制御ユニットを含むことができ、この電子制御ユニットは、少なくとも、センサ・ユニットから信号を受け取るように構成された評価ユニットを備えることができる。この構成では、センサ・ユニットは、薬剤またはカートリッジ保持器の位置および/またはデバイス内で薬剤リザーバもしくはカートリッジを保持するために設けられたロッキング・デバイスのロッキング状況に依存して信号を評価ユニットに送るように構成された電子センサまたは電気機械センサとすることができる。薬剤リザーバの適切な挿入に依存して信号を評価ユニットに送るように構成されたセンサ・ユニットも存在することがある。薬剤リザーバの充填レベルに依存して信号を評価ユニットに送るように構成されたセンサ・ユニットがさらに存在することがある。センサ・ユニットと評価ユニットは1つの構成要素であってもよい。
【0032】
デジタル・ディスプレイは、カートリッジ保持器が開いているかどうか、および何のタイプの薬剤で充填されたどの薬剤リザーバを、開いたカートリッジ保持器に挿入しなければならないかを示すように構成することができる。同様に、デジタル・ディスプレイおよび音響ユニットは、薬剤リザーバがそれぞれのカートリッジ保持器に適切に挿入されていないかどうかを示すように構成することができる。出力手段は、薬剤リザーバの充填レベルに関する情報を示すようにさらに構成することができる。
【0033】
本発明の別の態様によれば、1つまたはそれ以上の薬作用物質の送達を与えるためにプライミングモードと薬物送達モードとを有する、1つまたはそれ以上の薬作用物質を投与するための薬剤送達デバイスを制御するための方法であって:プライミング動作を実行するようにそのデバイスを制御するステップと;ユーザ・インターフェースの起動に応じて薬剤の複数の間欠的用量を投与するステップとを含む方法が提供される。
【0034】
コントローラは、マイクロプロセッサ制御ユニット、たとえば、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などとして実施することができる。コントローラは、プログラム・メモリ内に記憶されたプログラム・コード(たとえば、ソフトウェアまたはファームウェア)を実行することができ、メイン・メモリを使用して、たとえば中間結果を記憶する。たとえば、プログラム・メモリは、コンピュータ・プログラムがコントローラ上で実行されたときに本発明による方法を実行するためのプログラム・コードを有するコンピュータ・プログラムを備えることができる。このコンピュータ・プログラムは、たとえばインターネットなどのネットワークを介して、たとえば配信可能とすることができる。このコンピュータ・プログラムは、たとえば、コンピュータ可読媒体内に記憶可能またはコード化可能とすることができる。
【0035】
本発明の別の態様によれば、プロセッサ上での実行時に、1つまたはそれ以上の薬作用物質を投与するための薬剤送達デバイスを制御するように、および、このデバイスを以下のように制御するように動作可能であるコードを含むコンピュータ・プログラムが提供される:プライミング動作を実行する;および、ユーザ・インターフェースの起動に応じて薬剤の複数の間欠的用量を投与する。
【0036】
本発明のさらに別の態様によれば、コンピュータ上での実行時に、1つまたはそれ以上の薬作用物質を投与するための薬剤送達デバイスを以下のように制御する命令で符号化されたコンピュータ可読媒体が提供される:プライミング動作を実行する;および、ユーザ・インターフェースの起動に応じて薬剤の複数の間欠的用量を投与する。
【0037】
薬剤送達デバイスは、注入デバイスまたは注射デバイス、たとえば携帯型インスリン注射ペンとすることができる。本発明を実施する薬剤送達デバイスは、医療関係者によって、または患者自身によって使用されることができる。一例として、1型糖尿病および2型糖尿病は、たとえば1日1回または複数回のインスリン用量の注射によって患者自身により治療することができる。第1の保持器および第2の保持器は、互いと異なる薬作用物質、たとえば一方に速効型インスリン薬作用物質および他方に長時間作用型インスリン薬作用物質を含む薬剤リザーバまたはカートリッジを保つように構成することができる。第1の保持器および第2の保持器は、好ましくは、使用者が適切な薬作用物質を適切な保持器内に確実に配設するようにするために互いと異なるような大きさにされる。本発明の実施形態では、コントローラは、デバイスの動作を実行するように、ならびにデバイスの所定の状態および所定でない状態を識別するようにソフトウェアによってプログラムされることができる。
【0038】
本発明の種々の態様の上記ならびに他の利点は、添付の図面を適切に参照して以下の詳細な説明を読めば、当業者には明らかになるであろう:
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1に示される薬物送達デバイスは、近位端16から遠位端15まで延びる本体14を備える。遠位端15には、取外し可能な端部キャップまたはカバー18が設けられる。この端部キャップ18と本体14の遠位端15は協働して、スナップ嵌めまたはフォーム・フィット(form fit)連結を提供し、したがって、カバー18が本体14の遠位端15上で摺動すると、キャップと本体外面20の間のこの摩擦嵌めによって、注意しないとカバーが本体から落ちるのが防止される。
【0041】
本体14は、マイクロプロセッサ制御ユニットと、電気機械的ドライブ・トレインと、薬剤リザーバまたはカートリッジを保持するための単一の保持器とを含む。端部キャップまたはカバー18をデバイス10から(
図1に示されるように)取り外すと、投薬インターフェース201が本体14の遠位端15に取り付けられ、このインターフェースには用量投薬器(たとえば、ニードル・アセンブリ)が取り付けられている。投薬インターフェース201は、ニードル・アセンブリとデバイス内に保持される薬剤リザーバとの間の流体連通を提供する。薬物送達デバイス10は、単一のニードル・アセンブリによって薬剤の計算された用量を投与するために使用することができる。
【0042】
制御パネル領域60が本体14の近位端の近傍に設けられる。好ましくは、この制御パネル領域60は、組み合わされた用量を設定および注射するように使用者により操作できる複数のヒューマン・インターフェース要素に加えて、デジタル・ディスプレイ80を備える。この配置では、制御パネル領域は、第1の用量設定ボタン62と、第2の用量設定ボタン64と、記号「OK」で示される第3のボタン66とを備える。さらに、本体の最近位端に沿って、注射ボタン74も設けられている(
図1の斜視図では見えない)。カートリッジ・ホルダ40は、本体14に取外し可能に取り付けることができ、単一のカートリッジ保持器(図示せず)を含んでよい。
【0043】
図2に示される実施形態は、同様に本体14に取外し可能に取り付けることができるカートリッジ・ホルダ40が少なくとも2つのカートリッジ保持器50および52を含むことができることを除いて、
図1の実施形態に類似した要素を有する。各保持器は、ガラス・カートリッジなどの1つの薬剤リザーバを含むように構成される。好ましくは、各カートリッジは、異なる薬剤を含む。
【0044】
さらに、デバイス内部に保持されるニードル・アセンブリと薬剤リザーバの間の流体連通を提供するための投薬インターフェースは、
図2に示される薬物送達デバイスの遠位端に取り付けることができる。
図4に関して説明するように、一配置では、この投薬インターフェース200は、カートリッジ・ホルダ40の遠位端42に取外し可能に取り付けられた外側本体210を含む。
図1の実施形態について言えば、同様に投薬インターフェース201の遠位端214が設けられ、好ましくはニードル・ハブ216を備える。このニードル・ハブ216は、従来のペン型注射ニードル・アセンブリなどの用量投薬器を取外し可能に薬物送達デバイス10に取り付けることができるように構成することができる。
【0045】
デバイスの電源を投入すると、
図1および
図2の実施形態のデジタル・ディスプレイ80が明るくなり、特定のデバイス情報、好ましくはカートリッジ・ホルダ40内に含まれる薬剤(複数可)に関する情報を使用者に提供する。たとえば、使用者は、
図1の単一の薬剤または
図2の主薬剤(薬物A)と副薬剤(薬物B)の両方に関する特定の情報を持つ。
【0046】
図3に示されるように、第1のカートリッジ保持器50、および第2のカートリッジ保持器52は、蝶番式カートリッジ保持器を備える。これらの蝶番式保持器を使用することによって、使用者は、カートリッジにアクセスすることができる。
図3は、第1の蝶番式カートリッジ保持器50が開位置にある、カートリッジ・ホルダ40の斜視図を示す。
図3は、第1の保持器50を開き、それにより第1のカートリッジ90へのアクセスを有することによって、使用者が第1のカートリッジ90にどのようにアクセスできるかを示す。
図1のカートリッジ・ホルダ40は、
図2の実施形態の保持器50または52のどちらかに類似した単一の保持器を備える。
【0047】
インターフェース200と共に使用できる用量投薬器またはニードル・アセンブリも示されており、保護用外側キャップ(図示せず)内に設けられる。
図4に示される投薬インターフェース200が、カートリッジ・ホルダ40に連結されて示されている。投薬インターフェース200とカートリッジ・ホルダ40の間の軸方向取付け手段は、スナップ・ロック、スナップ嵌め、スナップ・リング、突起の付いた(keyed)スロット、およびこのような連結の組み合わせを含む、当業者に知られている任意の軸方向取付け手段とすることができる。投薬インターフェースとカートリッジ・ホルダの間のこの連結または取付けは、特定のハブが対応する薬物送達デバイスのみに確実に取付け可能であるようにする、コネクタ、止め具、スプライン、リブ、溝、点(pip)、クリップ、および設計上の同様な特徴などの追加の特徴(図示せず)も含んでよい。このような追加の特徴は、対応しない注射デバイスへの不適切な2次カートリッジの挿入を防止する。
【0048】
図4は、ニードル・アセンブリ400も示す。これは、両頭針406とハブ401とを有する。両頭針またはカニューレ406は、ニードル・ハブ401内に固定的に取り付けられる。このニードル・ハブ401は、ニードル・ハブ401を投薬インターフェース200上にねじ込むことができるネジ付き(図示せず)内壁を備え、投薬インターフェース200は、1つの好ましい配置では、遠位ハブに沿って対応する外側ネジ山を備える。スナップ・ロック、ネジ山によって着脱されるスナップ・ロック、バヨネット・ロック、フォーム・フィット、または他の類似の連結配置などの代替の着脱可能なコネクタを設けてもよい。両頭針406は、第1のまたは遠位穿刺端405が注射部位(たとえば、使用者の皮膚)を穿刺するための注射部材を形成するように、ニードル・ハブ401を通して中央に取り付けられる。同様に、第2のまたは近位穿刺端407がアセンブリ400の反対側から突出する。この第2の端407は、投薬インターフェース200のセプタム270を穿刺する。
【0049】
投薬インターフェース200は、
図4に断面で示されている。この1つの好ましい配置では、このインターフェース200は以下のものを備える:a)主外側本体210;b)第1の内側本体220;c)第2の内側本体230;d)第1の穿刺針240;e)第2の穿刺針250;f)バルブ・シール260;およびg)セプタム270。
【0050】
投薬インターフェース200は、カートリッジ・ホルダ40上に設けられた突出部217および投薬インターフェース上に設けられた対応する凹部218によって、カートリッジ・ホルダ40に取外し可能に連結するように構成される。これらは協働して、締まり嵌め、フォーム・フィット、またはスナップ・ロックを投薬インターフェース200とカートリッジ・ホルダ40の間に形成する。あるいは、当業者が理解できるように、投薬インターフェースとカートリッジ・ハウジング40を軸方向に連結する他の任意の類似の連結トレインも使用することができる。
【0051】
投薬インターフェース200およびカートリッジ・ホルダ40の遠位端は、カートリッジ・ハウジングの遠位端上に軸方向に摺動できる軸方向に係合するスナップ・ロックまたはスナップ嵌めの配置を形成するように作用する。一代替配置では、投薬インターフェース200は、不注意による投薬インターフェースの交差使用を防止するようにコーディング機能を備えることができる。すなわち、ハブの内側本体は、1つまたはそれ以上の投薬インターフェースの不注意による交差使用を防止するように幾何学的に構成されることができる。
【0052】
さらに、
図4で分かるように、第1の内側本体220の近位端の近傍の近位面226は、近位穿刺端部分244を備える少なくとも第1の近位に設置された穿刺針240を持つように構成することができる。同様に、第1の内側本体220は、近位穿刺端部分254を備える第2の近位に設置された穿刺針250を持つように構成される。第1の針240、および第2の針250は両方とも、第1の内側本体220の近位面226にしっかりと取り付けられる。
【0053】
好ましくは、この投薬インターフェース200は、バルブ配置をさらに備える。このようなバルブ配置は、第1のリザーバおよび第2のリザーバ内にそれぞれ含まれる第1の薬剤および第2の薬剤の交差汚染を防止するように構築することができる。好ましいバルブ配置は、第1の薬剤および第2の薬剤の逆流および交差汚染を防止するように構成することもできる。
【0054】
1つの好ましいシステムでは、投薬インターフェース200は、バルブ・シール260の形をしたバルブ配置を含む。このようなバルブ・シール260は、保持チャンバ280を形成するように、第2の内側本体230によって画成される空洞231内に設けることができる。好ましくは、空洞231は第2の内側本体230の上面に沿って存在する。このバルブ・シールは、第1の流体溝264および第2の流体溝266の両方を画成する上面を備える。たとえば、
図4は、第1の内側本体220と第2の内側本体230の間に着座するバルブ・シール260の位置を示す。注射工程中に、このシール・バルブ260は、第1の経路内の主薬剤が第2の経路内の副薬剤に移行するのを防止しながら、第2の経路内の副薬剤が第1の経路内の主薬剤に移行するのも防止する助けとなる。好ましくは、このシール・バルブ260は、第1の逆止め弁262と、第2の逆止め弁268とを備える。したがって、第1の逆止め弁262は、第1の流体経路264たとえばシール・バルブ260内の溝に沿って移動する流体がこの経路264へと戻るのを防止する。同様に、第2の逆止め弁268は、第2の流体経路266に沿って移動する流体がこの経路266へと戻るのを防止する。
【0055】
第1の溝および第2の溝264、266は一緒に、それぞれ逆止め弁262および268に向かって収斂し、次に、出力流体経路または保持チャンバ280を提供する。この保持チャンバ280は、穿刺可能なセプタム270と共に画成される第1の逆止め弁262、と第2の逆止め弁268の両方の第2の内側本体の遠位端によって画成される内側チャンバによって画成される。図示のように、この穿刺可能なセプタム270は、第2の内側本体230の遠位端部分と外側本体210のニードル・ハブによって画成される内面との間に設置される。
【0056】
保持チャンバ280は、インターフェース200の出口ポートで終わる。この出口ポート290は、好ましくは、インターフェース200のニードル・ハブの中央に位置し、穿刺可能なシール270を静止位置に維持する助けとなる。したがって、両頭針アセンブリがインターフェース(両頭針406など)のニードル・ハブに取り付けられると、出力流体経路は、両方の薬剤を、取り付けられたニードル・アセンブリと流体連通させることができる。
【0057】
薬物送達デバイスの遠位端の上で外側本体210を軸方向に摺動させると、投薬インターフェース200が多目的デバイスに取り付けられる。このようにして、第1の針240と第2の針250の間でそれぞれ第1のカートリッジの主薬剤と第2のカートリッジの副薬剤との流体連通を生じることができる。
図4は、カートリッジ・ホルダ40の遠位端42上に取り付けられた投薬インターフェース200を示す。カートリッジ・ホルダ40は、第1の薬剤92を含む第1のカートリッジ90と第2の薬剤102を含む第2のカートリッジ100とを有するように示されている。
【0058】
インターフェース200が最初にカートリッジ・ホルダ40の遠位端の上に取り付けられるとき、第1の穿刺針240の近位穿刺端244が第1のカートリッジ90のセプタムを穿刺し、それにより第1のカートリッジ90の主薬剤92と流体連通して存在する。第1の穿刺針240の遠位端も、バルブ・シール260によって画成される第1の流体経路溝264と流体連通する。
【0059】
同様に、第2の穿刺針250の近位穿刺端254は第2のカートリッジ100のセプタムを穿刺し、それにより第2のカートリッジ100の副薬剤102と流体連通して存在する。この第2の穿刺針250の遠位端も、バルブ・シール260によって画成される第2の流体経路溝266と流体連通する。
【0060】
医療用デバイス10を初めて使用するとき、投薬インターフェース200の第1の流体コンジット264、および第2の流体コンジット266および保持チャンバ280ならびにニードル・ハブ400のカニューレ406内に空気があることは明らかであろう。したがって、薬剤がニードル・ハブ400の遠位端に見えるまでコンジットを通して薬剤を排出することによってデバイス10をプライミングすることが望ましい;それによって、カートリッジ90、100と患者に挿入されるカニューレ406の端の間の流体連通チャネルから空気が確実に追い出されるようになる。そのうえ、カートリッジ90、100の一方または両方の取り替えの場合、保持器50、52のどちらか一方がロック解除される前に投薬インターフェース400を取り外すことが、デバイス内にプログラムされる機能要件であることがある。この場合、デバイス10は、カートリッジの取り替えおよび投薬インターフェース200または新しい投薬インターフェース200の取り替えの後のプライミングを必要とする。プライミング中に充填するべき投薬インターフェース200内のコンジットの容積は、1μl程度とすることができる。
【0061】
図5は、医療用デバイス10を断面図で示す。2つのカートリッジ保持器50および52は閉位置で示されている。保持器50は薬剤リザーバ620を含むように構成され、保持器52は薬剤リザーバ622を含むように構成される。リザーバ620、622は、ガラス、金属、またはプラスチック・カートリッジであってよい。リザーバ622は、リザーバ620より小さな直径とこれより短い長さを有してよい。カートリッジ・ホルダ40は、2つのロッキング・デバイス600および602をさらに備えることができる。ロッキング・デバイス600および602は、カートリッジ保持器50、52をフォーム・フィットさせるように閉位置にロックできるラッチとして設計されてよい。ロッキング・デバイス600および602は、保持器ドアまたはカートリッジ解除ボタン504および506の動作によって解除またはロック解除することができる。保持器ドアまたはカートリッジ解除ボタン504および506は、機械的または電気機械的に機能することができる。
【0062】
カートリッジ・ホルダ40は、2つのカートリッジ保持器ばね608および610をさらに含み、カートリッジ保持器ばね608および610は、カートリッジ保持器50および52の閉位置において、カートリッジ保持器に弾性ばね力を及ぼす。ロッキング・デバイス600および602を解除することによって、ばね力は、カートリッジ保持器50および52を開位置に動かす。カートリッジ保持器50は、ピボット軸受612でカートリッジ保持器ハウジングに蝶番により取り付けられ、カートリッジ保持器52は、ピボット軸受614でカートリッジ保持器ハウジングに蝶番により取り付けられる。それによって、カートリッジ保持器50、52は、ピボット軸受612、614のまわりを閉位置と開位置の間で枢動可能である。
【0063】
保持器50および52のそれぞれのための保持器センサを設け、それぞれの薬剤カートリッジ620、622の挿入状況および/またはカートリッジ保持器50および52の閉鎖状況を検出するように構成することができる。
図5の実施形態では、カートリッジ・ホルダ40内に設けられる保持器センサは、保持器50および52それぞれが閉位置または開位置にあるかどうか感知するための位置センサ613および615を備えるように示されている。別個のカートリッジ・センサまたは検出スイッチ616および618はそれぞれ、保持器50および52内のカートリッジの有無を感知するために設けられる。位置センサ613、615は、保持器ドア・ラッチ600、602とは別の場所にあるデバイス内に位置する。
【0064】
デバイス10はコントローラ700をさらに備え、コントローラ700は、以下で
図7および8を参照してより詳細に説明するように、デバイスの機能を実行するためのソフトウェアをその中にプログラムされたマイクロプロセッサ制御ユニットであってよい。コントローラ700は評価ユニットを備えることができ、この評価ユニットは、少なくともメモリ・ブロック、たとえば第1のレコードおよび第2のレコード702a、702bを記憶するためのメモリ・ブロックを備える。コントローラ700は、位置センサ613および615から、ならびにカートリッジ検出スイッチ616および618から信号を受け取るように構成することができる。第1のレコード702aはプライミング履歴を記憶することを目的とし、第2のレコードはデバイスの用量履歴を記憶することを目的とする。これらの履歴は、コントローラ700によってプライミングおよび用量投与の計算で別々に使用することができる。評価ユニットおよびメモリ・レコード702a、702bはまた、カートリッジ620、622の充填レベルを判定するように構成されたセンサから信号を受け取るように構成することができる。
【0065】
コントローラ700は、好ましくは、ユーザ・インターフェース、たとえば制御パネル領域60に連結される。好ましくは、ユーザ・インターフェースまたは制御パネル領域60は、デジタル・ディスプレイ80などの出力手段と、たとえば用量設定ボタン62および64、または
図6に参照番号67で指示される記号「OK」で示されるボタン66(
図1〜3の実施形態では異なる位置で示される)を備える、キーボードなどの入力手段とを備える。主本体14の近位端には、さらなる注射ボタン74が設けられる。
【0066】
図5は、一対のドライブ・トレイン624および625も示す。この対の第1のドライブ・トレイン624は、ギア628によってピストン・ロッド627を駆動するモータ626を含む。ドライブ・トレイン624は、カートリッジ620から薬剤を投薬するためにコントローラ700の制御下でピストン・ロッド627を駆動させるように動作可能である。第2のドライブ・トレイン625は、同様にコントローラ700の制御下でカートリッジ622から薬剤を投薬するために、第2のギア機構631によってピストン・ロッド630を駆動するためのモータ629を含む。
【0067】
図6は、医療用送達デバイス10においてカートリッジを交換する方法を示す。工程800では、医療用デバイス10のコントローラ700は、カートリッジ保持器50内のカートリッジが空であると判断し、そのためコントローラ700は「カートリッジ交換または取り替えモード」に入る。したがって、デジタル・ディスプレイ80は、薬物Bが空であることを示す。同様に、工程800では、デジタル・ディスプレイ80は、大きな直径と長い長さとを有するカートリッジ620を、交換を必要とするカートリッジであると示す。
【0068】
使用者がカートリッジ・ホルダ40にアクセスできるようになる前に、デバイスは、工程802において、使用者に投薬インターフェースを取り外すように指示する。これは、デジタル・ディスプレイ80上に示される。工程800および802で示されるデジタル・ディスプレイ80上の表示は、一定の期間中に交互に替わることができる。その後、工程802において、投薬インターフェース200をカートリッジ・ホルダ40から取り外す。
【0069】
工程804では、コントローラ700は、投薬インターフェース200がカートリッジ・ホルダ40から取り外されていると判断する。さらに、工程804において、投薬インターフェース200がカートリッジ・ホルダ40に取り付けられていながらコントローラ700がロック解除不可能状況にある場合に、コントローラ700は、ロッキング・デバイス600および602をロック解除可能状況へと動作させることができる。同時に、デジタル・ディスプレイ80は、交換するべきカートリッジに対応するカートリッジ解除ボタン604を動作させるように示す。使用者がカートリッジ解除ボタン604を押すと、コントローラ700は、駆動機構624にピストン・ロッド627をカートリッジ620から引っ込め、ピストン・ロッド627をカートリッジ620から引っ込めるとき、工程806でディスプレイ上に「待ってください」指示を表示する。ピストン・ロッド627を完全に引っ込めると、モータ626は失速し、ロッキング・デバイス600をロック解除されたまたは/解除された状態へとトリガするように信号がコントローラ700に送られ、したがって、カートリッジ解除ボタン604がカートリッジ保持器50を開くことを可能にする。モータの失速時に、駆動機構を監視するためのエンコーダ(図示せず)は、コントローラ700によって「データ・リセット」状況にされる。また、このとき、一度にカートリッジ保持器50、52の一方のみが開くことができるように、ロッキング・デバイス602がこれより前にロック解除不可能状況へと動作されていない場合、これが行われる。
【0070】
工程808では、カートリッジ保持器50は、カートリッジ保持器ばね608によって閉位置から開位置に押し込まれる。弾性ばね力の助けなしにカートリッジ保持器50が使用者によって開位置に引き出されることも可能である。カートリッジ保持器50を開くとすぐに、検出スイッチ616が、一致した信号をコントローラ700に送る。その後、デジタル・ディスプレイ80が、薬物Bで充填された新しいカートリッジ622を挿入することを示し、大きな直径と長い長さとを有するカートリッジを示す。
【0071】
カートリッジ保持器50が開いたことはコントローラ700によって感知され、その後、カートリッジの取り替え後にカートリッジ保持器50が使用者によって閉鎖されるとき、ロッキング・デバイス600のリセットを可能にする距離だけピストン・ロッド627を前進させるのに十分な時間モータ626が動かされる。保持器50に結び付けられた検出スイッチ616は、保持器50内のカートリッジ620の存在を検出する。その後の工程810では、カートリッジ保持器50は手動で閉位置へと動かされ、閉位置では、カートリッジ保持器50はロッキング・デバイス600によってロックされる。閉位置では、検出スイッチ616は、対応する信号をコントローラ700に送る。そのうえ、挿入されたカートリッジの挿入状況は、デジタル・ディスプレイ80上に示すことができる。新しいカートリッジ620を保持器50内に配設した後、使用者は保持器50を閉鎖し、検出スイッチ616は、カートリッジが存在することをコントローラ700に信号で知らせる。ラッチまたはロッキング・デバイス600は、いつ保持器50が閉鎖されたかをコントローラに信号で知らせることができる。上記で説明したカートリッジ交換方法は、他のカートリッジ622、および上記で説明した工程800〜810に対応する工程のルーチンによるカートリッジ保持器52内へのその取り替えに適用可能である。そのカートリッジも空である場合、これは、工程800と同様にディスプレイ80上に示されるが、薬物Bの代わりに薬物Aを示す。
【0072】
デバイス10を使用すると、コントローラ700は、一連のステータス・チェックを実行して、投薬インターフェースがデバイス上にあるかどうか判断する。投薬インターフェースがデバイス上にない場合は、コントローラは、使用者に投薬インターフェースを取り付けるように促す。投薬インターフェースがデバイス上にある場合は、コントローラは、投薬インターフェースを取り付けて以降薬剤の用量が投薬されたかどうか確認する。いずれの方法においても、以下でより詳細に説明するように、プライミング動作を実行することができる。
【0073】
最初に、デバイスは、たとえば薬物Aカートリッジまたは薬物Bカートリッジのどちらかがそれぞれの保持器50、52内にない、
図6の工程804に示される状態にあることがある。使用者は、上記で説明した方法で薬物カートリッジを挿入し、したがって、両方を装着したとき、ディスプレイは、工程810で「カートリッジが装着された」を表示することによってこれを示す。カートリッジ620、622の一方または両方をデバイスに装着することに続いて、コントローラ700は、プロンプト「投薬インターフェースを取り付ける」を表示することができ、その後、使用者は投薬インターフェース200をカートリッジ・ホルダ40に取り付けることができ、そこで、以下で説明するプライミング動作を実行することができる。
【0074】
デバイスが薬剤カートリッジを含むとき、コントローラ700は、たとえば少なくとも1つのスイッチまたはセンサによって、カートリッジ・ホルダ40上での投薬インターフェース200の取付け(または、取り付けられていない)を感知する。投薬インターフェースが検出されない場合、コントローラ700は、カートリッジ・ホルダ40への投薬インターフェース200の取付けを促す。投薬インターフェースの取付け後、コントローラ700は、デバイス10を強制的プライミングモードに設定する。このプライミングモードは、カートリッジ・ホルダ40に取り付けられている投薬インターフェース200内に存在し得る空気を追い出す助けとなる。コントローラ700が投薬インターフェースの存在を感知した場合、投薬インターフェースを取り付けた以降デバイスによる投与が実行されていない場合には、強制的プライミング動作が必要とされる。これによって、使用者が投薬インターフェースを取り付け、次いで、その後までさらなる処置が行われない可能性が生じる。後にデバイス上で切り換えると、強制的プライミング用量が依然として必要とされる。しかし、デバイス起動時に、コントローラ700が、投薬インターフェースを取り付けて以降に用量が送達されたこと、または投薬インターフェースを取り付けて以降に強制的プライミング工程がすでに実行されたことを感知した場合、強制的プライミングは必要とされなくてよく、その場合、用量機能は使用可能であり、使用者はプライミングまたは用量という選択肢を有する。
【0075】
したがって、コントローラ700は、デバイス10の以下の状態または動作状況を識別するように動作可能なソフトウェアを含むことができる:
a.投薬インターフェース200がカートリッジ・ホルダ40と取り付けるようになったことの検出;
b.投薬インターフェースのプライミング状態;
c.薬物送達モードの状態;
d.第1のあらかじめ設定された値Tdsより長いまたは短い薬剤の前回の用量以降の期間Td;および
e.第2のあらかじめ設定された値Tpsより長いまたは短いプライミング動作以降の期間Tp。
【0076】
図7は流れ図であり、これを参照して、本発明を実施するデバイスの動作シーケンスを以下のように説明する。デバイス10は工程900で電源投入または始動され、その後、工程905でコントローラ700は、投薬インターフェース200がカートリッジ・ホルダ40に取り付けられているかどうか決める。投薬インターフェース200がカートリッジ・ホルダ40に取り付けられていない場合、コントローラ700は、ディスプレイ80に、「投薬インターフェースを取り付ける」などの適切なプロンプトを使用者に対して表示させる。投薬インターフェース200の取付け時に、コントローラは、投薬インターフェース200をカートリッジ・ホルダ40と付着させる状態を工程910として識別する。工程910で、投薬インターフェース200が取り付けられていると判断された場合、コントローラ700は工程920で、デバイス10を「投薬インターフェースプライミング状態」すなわち強制的プライミングに設定し、これによって、デバイスのいくつかの所定の状態の1つが形成される。この状態では、デバイス10の薬物送達モード状態は、デバイスの強制的プライミングがデバイスにより実行できるように、コントローラ700によって無効にされる。この状態は、用量の選択肢を利用不可能にするコントローラ700のソフトウェアによってディスプレイ80上に示されることができる。したがって、用量設定ボタン62、64は、この状態では使用不能である。ディスプレイ80は、プライミングコマンドまたはプロンプトを示すことができる。ソフトウェアは、「OK」ボタン66が押されたことを認識し、プライミング動作を実行する。このプライミング動作は、コントローラ700内にプログラムされたソフトウェアによって制御される。工程925では、強制的プライミング動作が完了したことを判断する。強制的プライミング動作が完了していない場合、使用者がデバイスをプライミングするプロンプトが表示される。動作が正常に完了した場合、工程930で用量機能が使用可能にされ、工程945では、用量またはプライミングという選択肢が使用者に与えられる。
【0077】
工程905で、投薬インターフェースがすでにデバイスに取り付けられている場合、コントローラは、強制的プライミング動作が必要とされるかどうか決定する必要があり、使用者は、プライミングする選択肢を有することができる。そのため、工程905において、「はい」という答えであった場合、工程915では、コントローラ700は、投薬インターフェース200をデバイスに取り付けて以降に薬剤用量がデバイスにより送達されたかどうか判断する。そうでない(すなわち、工程915で「いいえ」という答えであった)場合、上記で説明したように、強制的プライミング動作が必要とされ、コントローラは工程920に進む。一方、工程915での答えが「はい」であった場合、工程930では用量機能が使用可能とされ、工程945では、プライミングまたは用量という選択肢が使用者に与えられる。
【0078】
2つの薬剤カートリッジを有するデバイスの場合、プライミング動作の実行中でのカートリッジからの薬剤の送達は同時であってもよいし、連続であってもよい。ソフトウェアは、薬剤の設定量または用量をそれぞれのカートリッジ620、622から排出するように駆動機構624、625を制御する。カートリッジが異なる大きさ/容量の場合、一方のカートリッジから送達される量または用量は、他方と比較して異なるまたは変えてもよい。プライミング用量は、好ましくは、薬剤がニードル・ハブ400の遠位端に見えるのに十分であるようにあらかじめ設定される。工程925では、強制的プライミング動作の完了を判断し、その後、工程930では、デバイス10の薬物送達モード状態を使用可能にする。
【0079】
工程945では、コントローラ700内のソフトウェアは、使用者の、任意選択のプライミング機能または用量送達機能の選択を受け取る。工程945で用量選択が行われた場合、コントローラ700は、工程946で、薬剤用量の設定を容易にする用量設定ルーチンを実施する。設定された用量が工程947で注射ボタン74の作動時に送達される。
【0080】
工程945で、任意選択のプライミング動作が選択された場合、コントローラ700内のソフトウェアは、コントローラ700により識別される動作状態によって決まるデバイスから排出されるべき薬剤のあらかじめ設定された量を選択する。単一薬剤リザーバデバイスの場合、任意選択のプライミングモード中に排出されるべき薬剤のあらかじめ設定された量は、デバイスの識別された状態に応じて異なるようにコントローラソフトウェアによって選択することができる。たとえば、あらかじめ設定された量は、以前の用量が患者に送達されて以降に所定の期間が経過したとき、ある値とすることができ、またはデバイスの以前のプライミング以降に所定の期間が経過したとコントローラが識別した場合、異なる値とすることができる。薬剤カートリッジを取り替えたと識別される場合、さらなる値を設定することができる。
【0081】
図2〜5に示されるものなどの二重カートリッジまたは薬剤リザーバデバイスの場合、あらかじめ設定された量を任意選択のプライミングモード中に変えることは、いくつかのあらかじめプログラムされたデバイス状態のうちのどれがコントローラ700のソフトウェアによって識別されるかに応じて一方または両方のリザーバから薬剤を排出することによって達成することができる。コントローラ700のソフトウェアは、以下のものを識別する:a)工程950において、デバイスからの薬剤の前回の投与以降に第1のあらかじめ設定された値Tdsより長いまたは短い期間Tdが経過したかどうか;およびb)工程955において、前回のプライミング動作以降の期間Tpが第2のあらかじめ設定された値Tpsより長いまたは短いかどうか。TdがTdsより長い場合、またはTpがTpsより長い場合、任意選択のプライミングが、薬剤のあらかじめ設定された量を両方のカートリッジから投薬するようにコントローラ700によって実施され(工程960)、それによって投薬インターフェース200を効果的に「新しくする」。
【0082】
コントローラ700のソフトウェアが、TdがTdsより短く、TpがTpsより短い、の両方を識別した場合、コントローラ700のソフトウェアは、薬剤カートリッジのうちの一方のみからの任意選択のプライミングを行う(工程965)。この任意選択のプライミング中に薬剤が排出されるカートリッジは、好ましくは、その中に含まれる薬剤を保存するために、容積の少ないカートリッジである。TdsおよびTpsのどちらかまたは両方の値は、たとえば24時間に設定することができるが、異なるTdsまたはTpsの期間を、構成またはセット・アップ中のデバイス向けの医療用途に適切と思われる1時間から24時間の間の任意の時間または別の期間に設定することができる。
【0083】
任意選択のプライミング動作中に投与される間欠的用量の数は、注射を実行するデバイス内で、おそらく針先端において数滴で識別される、十分な薬剤をプライミングしたと使用者が満足するまたは確信するまで、使用者が制御することができる。使用者がボタン74を起動する時間が長くなると、投与される間欠的用量は多くなる。
【0084】
プライミング機能を遂行するカートリッジ(複数可)内に不十分な薬剤が残っている場合、コントローラは、
図6に示されるルーチンを実施して、空の1つまたはそれ以上のカートリッジを取り替えすることを使用者に促す。これによって、投薬インターフェースの取外し(
図6の802を参照されたい)が行われ、これにより、投薬インターフェースの再取付け時に強制的プライミング機能が引き起こされる。
【0085】
図8a〜8dは、いくつかの実施形態によるプライミング動作を達成するために投与することができる間欠的用量プロファイルの例を示す。これらのタイミング図は、x−軸上にタイミング「t」を、y−軸に沿って薬剤の相対的体積すなわち量「v」を示す。
図8aでは、複数の間欠的用量は所定のプライミング用量のシーケンスを含むことができ、第1の間欠的用量パルスの間の時間はその後の時間より長い。
図8bでは、後の用量パルス同士の間の時間、この場合は3番目のパルスと4番目のパルスの間の時間は、先行するパルス同士の間の時間より長い。タイミング・プロトコルは、さらなるメモリ・ブロックに保存されてもよいし、コントローラ700によって記録されてもよい。
図8cは、初期用量における薬剤の量がその後の用量における薬剤の量より多い間欠的用量シーケンスを示し、逆のシナリオが
図8dに示されている。タイミング・プロトコルと同様に、量プロファイルは、コントローラの評価ユニットおよびメモリ702a、702bに保存することができる。
図8a〜8dは4つの用量シーケンスを示すが、所与のプライミング動作において投与される回数は、これより多くてもよいし、少なくてもよい。この回数は、これが連続的起動であろうと間欠的起動であろうと、用量ボタンが起動される時間によって決定することができ、それによって、使用者に、ある程度のプライミング動作の制御を与える。
【0086】
間欠的用量プロファイルはまた、より複雑であってもよい。例示的な一実施形態では、間欠的用量プロファイルは、
図8cに示される高用量で始まるが、次に、増加する間隔で、薬剤の減少する量のさらなる用量を提供する。別の例示的な一実施形態では、間欠的用量プロファイルは、増加する間欠的用量で始まり、用量の量をもう一度減少させる。間欠的用量の量、用量のタイミング、および用量の量のさらなる変化が可能であり得る。
【0087】
ユーザ・インターフェースは、使用者によるプライミング動作の起動を容易にするためのプライミングおよび/または用量ボタンを備えることができる。コントローラは、場合により、プライミング履歴および用量投与履歴をそれぞれ記憶するための別個の第1のメモリおよび第2のメモリ702a、702bを備える。別個のメモリは、プライミングおよび用量投与の記憶をそれぞれ提供する。あるいは、コントローラは、単一メモリ内の別個のレコードにプライミング履歴および用量投与履歴を記憶することができる。
【0088】
一実施形態では、コントローラは、不注意により薬剤カートリッジを空にすることを回避するために、所与のプライミング動作のための間欠的用量の数をあらかじめ設定された値、たとえば5つの低用量に制限するように動作可能である。コントローラは、メモリに記憶された異なるプライミング方策から選択するように動作可能であることができ、そのため、デバイスは、たとえばプライミング履歴に応じて、「どのように」プライミングするかを知る。
【0089】
プライミング機能は、プライミングボタンが押されている限りのみ実行することができる。たとえば、プライミングボタンを押すと、
図8a〜8dに示されるプライミングシーケンスの1つを始めることができる。任意の間欠的用量の後で、たとえば第2の間欠的用量の後でプライミングボタンを解放すると、そのシーケンスが停止する。したがって、使用者は、いつでも、たとえば一滴の薬剤が針の先端に見えたとき、シーケンスを停止することができる。先に説明したように、コントローラは、間欠的用量の数をたとえば4つの用量に制限するように構成することができる。したがって、シーケンスの最後(たとえば4番目)の間欠的用量がデバイスから押し出された後にプライミングボタンが依然として押された場合、そのプライミングショット(shot)でさらなる間欠的用量は押し出されない。
【0090】
例示的な一実施形態では、プライミングするための間欠的用量プロファイルをデバイスのメニューで選択または構成することができる。このようなメニューは
図1〜3に示されるデバイスのディスプレイ80に示すことができ、選択は、ボタン62、64、66などの制御パネル領域80内のボタンのうちの1つを押すことによって行うことができる。
たとえば、ディスプレイは、1単位、1.5単位、および2単位などの、プライミングのための薬物または薬剤の総量の選択肢を示すことができ、この選択肢は、「O.K.」ボタン66を押すことにより使用者が選択することができる。さらに、ディスプレイは、プライミングのためのランダムな量、たとえば1単位と2単位の間のランダムな量を持つ選択肢を示すことができる。他の実施形態では、プライミングのためのプロファイルは、選択のためにディスプレイ80上に示すことができる。たとえば、ディスプレイは、
図8に示される1つまたはそれ以上の間欠的用量プロファイルを示してもよいし、上記で説明した他の任意のプロファイルを示してもよい。「オプション」メニュー項目は、プロファイルの構成を可能にすることができる。たとえば、間欠的プライミング用ショットの最大数を選択するための選択肢は、たとえば2つの間欠的プライミング用ショットと7つの間欠的プライミング用ショットの間で選択することができる。さらに、各間欠的プライミング用ショットの大きさを選択するための選択肢は、たとえば0.1単位、0.2単位、または0.5単位の間で選択することができる。例示的な一実施形態では、間欠的プライミング用ショットの間のタイミングも選択することができる。たとえば、第1の間隔は0.5秒であるように選択することができ、その後の全ての間隔は0.3秒であるように選択することができる。このようにして、間欠的プライミングは、患者の個々のニーズに合わせて選択および/または構成することができ、投与されるべき薬剤またはデバイスに取り付けられる針の大きさに依存することもできる。
【0091】
動作シーケンス、たとえば、
図6〜8の動作シーケンスは、CD−ROM970またはメモリ・スティック975などのコンピュータ可読媒体に保存することができるコンピュータ・プログラムによって実行することができる。
【0092】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで1実施態様において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、癌、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための、少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0093】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンが、Asp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられ、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0094】
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−Y−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−Y−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0095】
エキセンジン−4は、たとえば、エキセンジン−4(1−39)、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドを意味する。
【0096】
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
ここで、基−Lys6−NH2は、エキセンジン−4誘導体のC−末端と結合してもよく;
【0097】
または以下の配列のエキセンジン−4誘導体
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28 Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28 Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28 Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5,desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれかのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0098】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0099】
多糖類としては、たとえば、グルコアミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体または上述の多糖類の硫酸化された、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容可能なそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウム塩がある。
【0100】
抗体は、基本的な構造が共通している、免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。それらはアミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能ユニットは、免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIgユニットのみを含む)であり;分泌型抗体は、また、IgAとして2つのIgユニットを有する二量体型、硬骨魚IgMのような4つのIgユニットを有する四量体型または哺乳類IgMのような5つのIgユニットを有する五量体型があり得る。
【0101】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖;システイン残基の間のジスルフィド結合により結合された2つの同一の重鎖および2つの同一の軽鎖からなる「Y」型分子である。各重鎖は約440アミノ酸長であり;各軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、それらの折り畳みを安定化する鎖内(intrachain)ジスルフィド結合を含む。各鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは、約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて、異なったカテゴリ(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインとその他の電荷アミノ酸の間の相互作用により一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0102】
α、δ、ε、γ、およびμで示される5つの型の哺乳動物Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の型は抗体のアイソタイプを定義しており;これらの鎖はそれぞれIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM抗体で見られる。
【0103】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なる;αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含むが、μおよびεは約550個のアミノ酸を含む。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(CH)と可変領域(VH)とを有する。ある種では、定常領域は、同じアイソタイプの全ての抗体において本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し;重鎖μおよびεは、4個の免疫グロブリン領域から構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なったB細胞で生成された抗体において異なるが、単一のB細胞またはB細胞クローンにより生成された全ての抗体に対しては同一である。各重鎖の可変領域は約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0104】
哺乳類において、λおよびκと指定される2つのタイプの免疫グロブリン軽鎖が存在する。軽鎖は2つの連続したドメイン:1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各々の抗体は、常に同一である2つの軽鎖を有する;哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλのうちの1タイプのみ存在する。
【0105】
全ての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所定の抗体の独特の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域により決定される。より具体的には、可変のループ状で、3つの軽鎖(VL)および3つの重鎖(VH)は、抗原への結合、すなわち、その抗原特異性に原因がある。これらのループは、相補性決定領域(CDR)として参照される。VHドメインおよびVLドメインからのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終の抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組み合わせであり、それぞれ単独のみではない。
【0106】
「抗体フラグメント」は、上記で定義したように、少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、フラグメントが誘導される完全な抗体と本質的に同一の機能および特異性を示す。パパインによる限定されたタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。それぞれ1つの完全なL鎖と約半分のH鎖とを含む2つの同一アミノ末端フラグメントは、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間でジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物と、補体結合と、FcR結合部位とを含む。限定されたペプシンの消化により、Fabフラグメント(piece)とH−H鎖間ジスルフィド結合を有するヒンジ領域との両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが生じる。F(ab’)2は、抗原結合に対して2価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断され得る。さらに、重鎖と軽鎖の可変領域は、単一鎖可変フラグメント(scFv)を形成するために共に縮合できる。
【0107】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩がある。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類金属、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)を有する塩であり、ここで、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されるC6〜C10ヘテロアリール基である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17編、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0108】
薬学的に許容可能な溶媒和物は、たとえば、水和物である。