(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コントローラはさらに、前記決定された確率的車両位置に基づいて、車線特有のナビゲーション指示を生成するために前記プログラム命令を実行するように構成される請求項1に記載のシステム。
前記コントローラはさらに、前記決定された確率的車両位置に基づいて車線特有の車線逸脱警告を生成するために前記プログラム命令を実行するように構成される請求項1に記載のシステム。
前記コントローラはさらに、前記決定された確率的車両位置に基づいて、適応巡航指示を生成するために前記プログラム命令を実行するように構成される請求項1に記載のシステム。
【背景技術】
【0002】
[0002]車両位置は、様々な目的のために多くの異なるシステムで使用される。一般的な用途では、車両位置は、所望の場所にナビゲートするために、車両の運転者のための指示を生成するために使用される。このタイプの用途でのどこで曲がるかの指示の生成は、車両の一般的な位置、識別される目的地及び車両位置と目的地との間の利用できる道路のシンボリックマップ(symbolic map)を必要とするにすぎない。
【0003】
[0003]車両ナビゲーションシステムは、一般に、全地球測位システム(GPS)受信機を利用し、GPS受信機は、受信機の位置を正確に計算するために多くのGPS衛星のうちの1つ又は複数から1つ又は複数の信号を取得する。GPS受信機は、様々な衛星から、搬送波、擬似ランダム符号及び変調されたデータからなる信号を取得し、追跡する。受信機は、ローカルに生成された符号とそれぞれの衛星から受信された符号との相互の関係を比較して、符号チップのローカルの生成に対する受信機時刻を対応する符号チップの送信時における衛星時刻に関連付けるタイミング情報を導出する。様々な衛星における様々な信号の受信機時刻と送信時刻との間のタイミング関係は、例えば、地球を中心とした地球固定(ECEF)フレームなどの、衛星と共有される参照フレーム(reference frame)に関して受信機の位置を生成するために、様々な衛星からの変調されたデータと併せて使用することができる。
【0004】
[0004]基本的なGPS受信機は、通常、約5メートル以内で受信機の位置を特定することができ、これはどこで曲がるかの指示のみを提供する基本的なナビゲーション用途にとって十分である。いくつかのより正確なナビゲーションシステムにおいて、ナビゲーションシステムは、近づきつつある方向転換をするために車両が位置する必要のある実際の車線を運転者に知らせる。わずか5メートルの車両位置精度は、近づきつつある曲がり角に対して適した車線に車両があるか否かを確認するには不十分である。
【0005】
[0005]車両位置データはまた、衝突回避を提供する用途に組み込まれてきた。いくつかの車両衝突回避システムでは、システムは、特定の車線内のホスト車両と他の車両の両方の位置を決定し、車両の車線に正確な(lane-precise)位置に基づいて衝突確率を決定する。このタイプのシステムでは、車線は、通常、約4メートル未満の幅を有するので、最大5メートルの誤差を有する車両位置特定では不十分である。
【0006】
[0006]車両衝突回避システム及びより正確なナビゲーションシステムの両方において必要とされるより正確な車両位置データを提供するために、様々な代替手段が研究されてきた。1つのこのような代替手段は差動GPSシステムと呼ばれる。差動GPSシステムでは、ある領域内の受信機のグループが、GPS衛星によって送信される信号の不正確さを解消するために使用される。特定の領域における受信機のための差動補正の組が開発され、位置解を補正するためにGPS受信機によって使用される。一般に、単一の差動補正係数は、受信機及び/又は衛星クロック誤差、衛星の位置のばらつき、電離層及び大気遅延を含む、GPSシステムにおけるほとんどの誤差の主な原因となる。差動GPSシステムを用いる車両位置推定は、誤差を約2メートルに低減することができる。しかし、(密集した都市エリアに特有の)マルチパス環境では、誤差は約50メートルとなる場合がある。
【0007】
[0007]基本的なGPSシステムに対する別の代替手段は地図ベースの位置特定である。Levinsonらによる「Map−Based Precision Vehicle Localization in Urban Environments」、Robotics:Science and Systems Conference 2007によって議論されるように、この手法は、画像ベースの地図に対する車両位置特定を可能にする。このタイプのシステムは、路面の高解像度の画像を使用し、約10〜25cmの位置特定精度を可能にする。このタイプのシステムで必要なセンサは、車両の屋根に搭載されるスキャン光検出測距(Light Detection and Ranging)(LIDAR)センサである。この手法は、必要な事前に記録された画像を格納するために膨大な量のメモリを必要とし、したがって、現在の車両システムのために実現可能であると考えることができない。
【0008】
[0008]視覚ベースの位置特定システムもまた研究されてきた。視覚ベースの位置特定システムは、グローバル座標系にマッピングされた画像のデータベースに対する車両の位置特定を可能にする。Konoligeらの「View−Based Maps」、International Conference on Robotics and Systems 2009、及びCumminsらの「Probabilistic appearance based navigation and loop closing」、International Conference on Robotics and Automation 2007により報告されたように、これらのシステムは、カメラを一次センサとして使用する。大規模な都市環境におけるこれらのシステムの位置特定の精度については報告されていない。
【0009】
[0009]さらに別の手法では、現在の車線に対する車両の位置の検出を可能にする視覚ベースの車線検出システムもまた開発されてきた。これらのシステムは、通常の運転者支援システムにおける最先端の技術である。このタイプのシステムでは、車両前方の車線区分線の位置及びコースが検出される。この情報は、車両が現在の車線を離れる前に運転者に警告したり(車線逸脱警報)、車両を車線に維持したり(車線維持支援)するために使用される。これらのシステムは、通常、現在の車線に対して車両位置を提供するにすぎない。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0017]本発明の原理の理解を促進する目的で、図面に示されて以下の明細書に記載される実施例について参照される。それによって本発明の範囲に対する限定が意図されないことが理解される。さらに、本発明は説明される実施例に対する任意の変更及び修正を含み、本発明が関係する当業者が通常思いつくような本発明の原理のさらなる応用を含むことが理解される。
【0015】
[0018]
図1は、車両102内に配置される車両位置特定システム100の概略図を示す。位置特定システム100は、コントローラ104、ランダムアクセスメモリ(RAM)108、不揮発性データ記憶装置112、ディスプレイ120、音声出力124、触覚出力128、入力装置132、無線周波数(RF)受信機136、全地球測位システム(GPS)受信機138、ネットワーク通信モジュール140、車載入出力(I/O)ポート144、レーダセンサ146、及び1つ又は複数の車両システム148を含む。
【0016】
[0019]コントローラ104は、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、x86及びARMファミリーのマイクロプロセッサを含むマイクロプロセッサ、又は本明細書に開示された機能を実行するように構成された任意の電子デバイスなどの電子処理装置である。コントローラ104は、視覚表示データを生成するためのグラフィック処理ユニット(GPU)及び可聴出力信号の生成のための音声デジタル信号プロセッサ(DSP)を含む、ソフトウェア及びハードウェア機能ユニットを実装することができる。コントローラ104は、1つ又は複数のソフトウェアプログラムに対応する命令を実行するように構成される。
図1は単一のコントローラ104を用いる車両情報システム100を示すが、様々な位置特定システムは1つ又は複数のコントローラを使用することができる。データ記憶装置112、RAM108、RF受信機136、ネットワーク通信モジュール140、車載I/Oポート144及び車両システム148によって提供される機能の一部又は全部は、システムオンチップ(SoC)構成においてハードウェア又はソフトウェアを使用してコントローラ104と統合されてもよい。
【0017】
[0020]RAM108は、コントローラ104がランダムアクセスでメモリデバイスからデータをロードして格納することを可能にする任意の記憶装置によって具現化されてもよい。例示的な実施例は、ダイナミックRAM(DRAM)及びスタティックRAM(SRAM)を含む。RAM108はコントローラ104に動作可能に結合され、コントローラ104はRAM108内にプログラム命令及びデータをロード及び格納してもよい。典型的な実施例では、RAM108は揮発性であり、これはRAM108の内容が電力がないときに消去されることを意味する。
【0018】
[0021]不揮発性データ記憶装置112は、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ、又は外部から供給される電力がない場合にデータを保持するように構成される任意のデジタル記憶装置として実施することができる。データ記憶装置112はコントローラ104と動作可能に結合される。データ記憶装置112は、格納されたデータを読み出し、コントローラ104にデータを提供し、コントローラ104からの書き込みコマンドに応答してデータを書き込む。データ記憶装置112は、1つ又は複数の格納されたプログラム114及び格納されたデータ116を保持するように構成される。格納されたプログラム又はプログラム命令114は、オペレーティングシステム及びオペレーティングシステム内で実行する1つ又は複数のユーザ空間プログラムを実装するための実行可能なコードを含む。例示的なユーザ空間プログラムは、ウェブブラウザ及びウェブサーバを含む。
【0019】
[0022]データ記憶装置112はシンボリックマップ118をさらに格納する。シンボリックマップ118は、道路だけでなく道路の車線の実際の位置を詳述する地図である。これは、単一のラインとして分割されない道路の位置及び2つのライン(各方向につき1つのライン)をもつ分割された道路を詳述するだけの多くの一般的に利用可能なナビゲーション地図とは対照的である。このように、この種類の地図上の各ラインは示された道路区分における組み合わされた車線の中心を表す。シンボリックマップ118は、典型的には、各車線の中心線を詳述することによって、道路区分の各車線の実際の位置を詳述する。そのようなシンボリックマップの一例は、国防総省国防高等研究事業局(DARPA)アーバンチャレンジに関連して説明される。そのチャレンジにおいて使用されるシンボリックマップの説明を含むDARPAアーバンチャレンジに関する詳細は、http://archive.darpa.mil/grandchallenge/index.aspのウェブサイトを介して取得することができる。したがって、本明細書において使用されるとき、「シンボリックマップ」という用語は車線の具体的な(lane-specific)詳細を有する地図を意味する。
【0020】
[0023]格納されたデータ116は、動作において1つ又は複数の格納されたプログラムによって使用するための様々なデータファイルを含む。格納されたデータ116は、格納されたプログラムデータ114においてプログラムのためのユーザインターフェイスのフォーマットを定義する設定データの1つ又は複数のセットを含む。設定データは、ユーザインターフェイスを生成するためのルールを定義するCSSファイル及びXSLTファイルを含むことができる。データ記憶装置112の1つの実施例は、1つのデータ記憶装置が車両102に固定して組み込まれてプログラム命令114を保持する一方で、データを保持する第2のデータ記憶装置が車両102に接続されたり車両102から取り外されたりするように構成される、複数のデータ記憶装置を含む。
【0021】
[0024]ディスプレイ120は、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、又は投影装置などの、少なくとも1つの視覚表示装置を含む。異なる車両構成は、車両102を操作するときに運転者の前に画像を投影するヘッドアップディスプレイを含む、車両102の様々な位置における1つ又は複数の表示装置を含むことができる。コントローラ104は、表示装置120に動作可能に結合され、表示装置120上での又は表示装置120による表示のためのテキスト及びグラフィックに対応する信号を生成する。表示装置120は、生成された信号を視覚出力に変換する。
【0022】
[0025]音声出力124は、典型的には、コントローラ104に動作可能に結合される1つ又は複数の音声スピーカを含む。音声出力124は、出力の前に音声信号を処理するための様々なフィルタ及び増幅器を含んでもよい。コントローラ104は、RF受信機136から受信され又は格納されたデータ116に保持された音声や音楽を含む、音声出力124のための1つ又は複数の音声信号を生成する。音声出力124はまた、コントローラ104が動作中に生成する合成音声信号に対応する音を発する。
【0023】
[0026]触覚出力128は、車両102内に配置されてコントローラ104に動作可能に結合される1つ又は複数の触覚フィードバック装置を含む。触覚出力128は、車両102の運転者にフィードバックを提供するフィードバック力を生成する。触覚フィードバック装置の一般的な例は、自動車においてステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダルに動作可能に結合されるサーボ及びアクチュエータを含む。様々な触覚装置が、航空機の操縦桿やオートバイのハンドルバーを含む、異なる車両における異なる制御装置上に配置することができる。様々な種類のフィードバック力は、運転者によって加えられる動きに抵抗する振動やヒステリシス力を含む。
【0024】
[0027]入力装置132は、ユーザーの操作に応答して信号を生成し、生成された信号をコントローラ104に提供するように構成される。様々なタイプの入力装置132は、ボタン、ノブ、ダイヤル、スイッチ、スライダ、キーパッド、タッチスクリーンデバイス、及び音声入力デバイスを含むが、これらに限定されるものではない。特に、表示装置120は、操作者がディスプレイ120の1つ又は複数の部分に触れてコマンドを入力することを可能にするタッチスクリーンインターフェイスを含んでもよい。音声出力124は、コントローラ104に可聴コマンドを送るマイクロホンの形態の入力装置132と結合されてもよく、コントローラ104は、音声コマンドを識別するために音声認識システムを実施することができる。コントローラ104は、入力装置132から生成された信号を受信することに応答して1つ又は複数のアクションを実行するように構成される。コントローラ104は、信号が生成される時の情報システム100の動作状態に応じて、同一の入力装置によって生成された信号に対して異なるアクションをとることができる。例えば、コントローラ104が運転者に音楽アプリケーションを提示するときにダイヤルが音楽の音量レベルを調整するために使用することができる一方、同じダイヤルが、異なる動作コンテキストにおいて環境制御システムのために温度レベルを調整するのに使用されてもよい。
【0025】
[0028]RF受信機136は、異なる周波数で様々な変調技術を用いた無線周波数放射を受信するように構成される。一般的な例は、アナログAM及びFMラジオ、地上デジタルラジオ、衛星ラジオ、並びに地上及び衛星動画送信を含む。コントローラ104は、RF受信機136から受信したデータを復号して、それぞれ、ディスプレイ120及び音声出力124のための対応する動画信号及び音声信号を生成するように構成されてもよい。代替的な構成では、RF受信機は、ディスプレイ120及び音声出力124のための信号を直接生成してもよく、コントローラ104にメタデータを提供してもよい。メタデータの様々な形態は、音声及び動画のタイトル、アーティスト情報、再生長、音声動画ビットレート、並びにディスプレイ120及び音声出力124を介して運転者に提供され得る他の情報を含む。
【0026】
[0029]GPS受信機138は、約10メートル以下の公称精度を提供する市販のGPS受信機であってもよい。GPS受信機138は、地球上の装置の現在の位置を決定するためにGPS信号を受信する。いくつかの実施例では、格納された地
図118がGPS受信機において提供されてもよい。GPS受信機138は、ディスプレイ120及び/又は音声出力124を介して車両102の搭乗者に対して示唆される指示を提供することができる。
【0027】
[0030]ネットワーク通信モジュール140は、コントローラ104に動作可能に結合され、コントローラ104が1つ又は複数のデジタルネットワークを使用してデータを送受信することを可能にする。典型的な実施例では、ネットワーク通信モジュール140は、車両102が動作している間にコントローラ104が外部データネットワークを使用してデータを送受信することを可能にする無線ネットワークプロトコルを実施する。適切な無線ネットワークの例は、3G及び4Gセルラーデータネットワーク、衛星ベースの通信ネットワーク、任意の適切な無線広域ネットワーク(WWAN)、IEEE802.11無線ネットワークを含む無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、及び車両102での使用に適した任意の無線データ送信規格を含む。コントローラ104は、例えばIPバージョン4又はIPバージョン6を使用するインターネットプロトコル(IP)ベースのプロトコル、伝送制御プロトコル(TCP)及びユーザデータグラムプロトコル(UDP)を含む共通接続レイヤプロトコル、並びに複数のアプリケーションレベルプロトコルを使用してデータパケットを送受信するように構成されてもよい。特に、
図1において具体化されるコントローラ104は、ワールドワイドウェブで一般に使用されるハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)に従ってデータを送受信するように構成される。
【0028】
[0031]入出力(I/O)ポート144は、車両内に配置されて、コントローラ104が車両に近接している1つ又は複数の電子デバイスとの間でデータを送受信することを可能にする。I/Oポート144は、ユニバーサルシリアルバス(USB)などの標準接続タイプや様々な他の有線接続標準を使用する有線接続として実施されてもよい。I/Oポート144はまた、802.11 WLAN及びBluetooth(登録商標)プロトコルを含む無線プロトコルを介して電子デバイスとの通信を可能にする無線ポートであってもよい。I/Oポート144及びネットワーク通信モジュール140は、いくつかの実施例において、共通のハードウェアコンポーネントを共有することができる。
【0029】
[0032]様々な電子デバイスは、I/Oポート144を使用してコントローラ104と通信し、車両の運転者や搭乗者によって運ばれる診断装置や電子デバイスを含む。1つの実施例では、搭乗者は、I/Oポート144を使用してコントローラ104と通信するための通信ハードウェア及びソフトウェアを含むスマートフォンなどのハンドヘルド通信装置を持ち運ぶ。位置特定システム100は、ウェブアプリケーションを実行し、電子デバイスによって提供される設定データを取り出すことができる。
【0030】
[0033]レーダセンサ146は、視野内のレーダ反射面のレンジ及び瞬間的な視線速度を決定するために使用できるデータを生成することができる任意の所望のレーダセンサであってもよい。実質的に任意のレンジ及び視野を有するレーダが位置特定システム100内で用いることができるが、位置特定システム100は、周知の安価なセンサとともに使用できることが有利である。一般的に、許容可能なレーダは、約200メートルのレンジと10から30度の間の視野を持つ車載レーダセンサを含む。
【0031】
[0034]1つ又は複数の車両システム148は、コントローラ104に動作可能に結合される。車両システム148は、車両内に1つ又は複数のセンサ及び計器を含むことができる。自動車における一般的な例は、スピードメータ、タコメータ、燃料計、エンジン温度計、タイヤ圧力計等を含む。コントローラ104はまた、オンボード(搭載された、onboard)診断コンピュータシステムからエラーコード及び診断メッセージを取得するように構成することができ、いくつかの実施例では、コントローラ104は、オンボード診断システムの機能を実施することができる。コントローラ104は、オンボード診断(OBD)プロトコルに対応するトラブルコードを特定し、トラブルコードに対応する普通語の視覚又は音声メッセージを生成することができる。他の車載システムは、調整可能なステアリングコラム、シート、ガス及びブレーキペダル、ミラーを含む自動調整のためのモータを有するコンポーネントを含んでもよい。コントローラ104は、コントローラエリアネットワーク(CAN)通信バス、又は車両のコンポーネントにコマンドを送信し車両内の異なるシステムからデータを受信するのに適した他の通信システムを用いて、車両システム148に動作可能に結合されてもよい。
【0032】
[0035]動作中、コントローラ104は、データ記憶装置からプログラム命令114を取得し、確率的な車両位置を決定するためにプログラム命令114を実行する。本明細書中で使用されるとき、「確率的な車両位置(probabilistic vehicle location)」は、実際の車両位置である可能性が最も高い計算されたGPS位置の誤差エンベロープ内の位置である。確率的な車両位置を決定するための1つの方法を
図2を参照して説明する。
【0033】
[0036]
図2は、不揮発性データ記憶装置112内にシンボリックマップ18を格納すること(ブロック152)で開始するプロセス150を示す。シンボリックマップ118は、車両に設けられた不揮発性データ記憶装置112に格納されてもよいし、又は携帯型GPS受信機におけるなど、別個に得られる不揮発性データ記憶装置112に格納されてもよい。シンボリックマップ118は、建設中に確立される一時的なクロスオーバー車線などの更新された車線データを提供するためにRF受信機136から取得したデータを用いるなどして、定期的に更新することができる。
【0034】
[0037]ブロック154で、検出された物体データがレーダセンサ146から取得される。コントローラ104は、レーダにより検出された物体の各々の速度を決定するために、レーダにより検出された物体のデータを処理する。1つの実施例では、レーダにより検出された物体の絶対速度が決定される。コントローラ104は、レーダにより検出された物体の絶対速度を決定することを支援するために車両システム148からデータを取得してもよい。この目的のために使用され得る車両システムは、オンボード車輪オドメトリ(on-board wheel odometry)、ハンドル角(steering wheel angle)、IMUなどを含む。車両102の動きを相殺することにより、シンボリックマップ118の基準系などの選択された基準系に対してレーダにより検出される物体の絶対速度を決定することができる。
【0035】
[0038]レーダにより検出される物体の各々の速度が決定されると、検出された物体は決定された速度に基づいて分類される(ブロック156)。1つの実施例では、検出された物体の分類は、時速5マイル(MPH)などの単一の速度閾値に基づき、閾値を超える検出された物体が動的な障害物として分類され、閾値未満の物体が静的な物体として分類される。静的な物体は、標識、駐車している車両、フェンスの支柱、障壁、陸橋、しばしば道路のそばで発見される他の移動していない物体を含む。動的な物体は、移動している他の車両のほか、速度閾値を超えて移動している車両でない物体を含む。
【0036】
[0039]いくつかの実施例では、複数の閾値は、検出された物体をよりよく分類するのに有用である。例として、8MPHで移動している検出された物体は、自転車、走っている歩行者、シカ又は電動車両(motorized vehicle)であってもよい。45MPHで移動している検出された物体はほぼ確実に電動車両である。検出されたレーダ信号の強度などのさらなるデータを、検出された物体を分類する際の速度データを増強するために使用することができる。したがって、特定の閾値を超えるレーダ断面(radar cross-section)を有する検出された物体は、検出された物体が非常に低速で移動していても、電動車両として分類することができる。
【0037】
[0040]ブロック158において、車両102のGPS位置が決定され、誤差エンベロープが決定されたGPS位置に関連付けられる。誤差エンベロープが感知された条件に基づいて計算されてもよいし、デフォルトの誤差エンベロープが定義されてもよい。誤差エンベロープは、所定の尤度内で、決定されたGPS位置について、車両102が位置するエリアを規定する。単純な例では、誤差エンベロープは、決定されたGPS位置に関して5メートルの半径の円として定義することができる。この例では、実際の車両位置が誤差エンベロープ内にある可能性は99.9%である。実際には、イントラック誤差(in-track error)は、一定に保たれる車速以外のすべての変数とのクロストラック誤差よりも大きくなるので、移動する車両の誤差エンベロープは一般に円形ではない。
【0038】
[0041]次に、誤差エンベロープ内の可能性のある車両位置のリストが生成される(ブロック160)。可能性のある車両位置は、決定されたGPS位置と可能性のある車両位置との間の横方向のオフセット(クロストラック誤差)を単に指定する1次元のものであってよく、また、GPS位置と可能性のある車両位置との間の横方向のオフセット及び縦方向のオフセット(イントラック誤差)の両方を指定する2次元のものであってもよい。可能性のある車両位置の数は、多くの異なる基準に基づいて選択することができる。精度向上に対する要望として、所与の誤差エンベロープについて可能性のある車両位置の数を増加させてもよい。同様に、所与の所望の精度のために、誤差エンベロープのサイズが大きくなるにつれて、リスト内の可能性のある車両位置の数を増加させてもよい。1つの実施例では、所望の計算速度を維持するために、誤差エンベロープサイズに関わらず、固定数の可能性のある車両位置が生成される。
【0039】
[0042]ブロック162において、可能性のある車両位置のうちの1つが選択され、選択された可能性のある車両位置について、実際の位置確率又は「確率的車両位置スコア(probabilistic vehicle location score)」が生成される(ブロック164)。「確率的車両位置スコア」は、選択された可能性のある車両位置が実際の車両位置である可能性の尺度である。以下でより詳細に論じるように、確率的車両位置スコアは、決定されたGPS位置、検出された物体に関連付けられるレーダデータ、及びシンボリックマップデータを使用して決定される。次に、コントローラ104は、確率的車両位置スコアを有していない何らかの可能性のある車両位置が存在するかどうかを判定する。確率的車両位置スコアを有していない、可能性のある車両位置がある場合、プロセスはブロック162において続行する。可能性のある車両位置のすべてが関連する確率的車両位置スコアを有する場合、方法150は、ブロック168において続行する。
【0040】
[0043]ブロック168において、コントローラ104は、可能性のある車両位置に関連付けられる確率的車両位置スコアを分析する。1つの可能性のある車両位置が他の確率的車両位置スコアよりも高い確率的車両位置スコアを有する場合、その可能性のある車両位置は推定される実際の車両位置(probable actual vehicle location)として特定される。複数の可能性のある車両位置が最も高い実際の位置確率を共有している場合には、コントローラは、最も高い実際の位置確率を共有する、可能性のある車両位置の群の中心を、推定される実際の車両位置として特定してもよい。必要に応じて、生成された確率的車両位置スコアのすべてに基づく極大値の識別などの、可能性のある車両位置スコアのより複雑な分析を使用することができる。
【0041】
[0044]上記のように、決定されたGPS位置、検出された物体に関連付けられるレーダデータ及びシンボリックマップデータを使用して、各々の可能性のある位置について、確率的車両位置スコアが生成される。1つの実施例では、確率スコアは、検出された物体の分類の各々について生成されたアライメントスコア(alignment score)に基づく。この実施例では、選択された車両位置は、以下に記載されるように、シンボリックマップ118を参照して定義される。
【0042】
[0045]例として、
図3は、例示的な時点における車両102からの視界200を示す。視界200において、2つの車両202及び204が対向車線206に位置する一方で、他の車両208は車両102が走行している車線212に隣接する車線210に位置する。また、陸橋214及び道路標識216が視界200に示される。視界200に関連付けられるシンボリックマップの描写220が
図4において提供される。描写220は、したがって、車線の中心線222、224、226、228、230及び232を含む。車線中心線224が
図3のレーン206に関連付けられる一方で、車線中心線226は車線210に関連付けられ、車線中心線228は車線212に関連付けられる。
【0043】
[0046]また、描写220には、決定されたGPS位置242に関連付けられる誤差エンベロープ240が示される。車両102は、レーダセンサ146に関連付けられる視野246を有する誤差エンベロープ240内の選択された車両位置244において
図4に示される。選択された車両位置244は決定されたGPS位置242からオフセットされる。
【0044】
[0047]選択された車両位置244が
図4に示すようにシンボリックマップ118を参照して定義されると、レーダにより検出された物体の各々の位置は、レーダデータに基づいて、選択された車両位置244に対するレーダにより検出された物体の各々の相対的な位置を用いて、シンボリックマップ118を参照して定義される。この相対的な位置は、本明細書において、それぞれのレーダにより検出された物体についての「推定位置(projected location)」と呼ばれる。したがって、
図4を参照すると、車両204が推定位置248において示され、車両208が推定位置250において示され、道路標識216が推定位置252において示される。
【0045】
[0048]したがって、検出された物体のうちの特定の1つについての推定位置は、選択された可能性のある車両位置に基づいて変化する。例えば
図4は、第2の選択された車両位置244’を示し、これは、車両204、車両208及び道路標識216について、それぞれ、推定位置248’、推定位置250’及び推定位置252’をもたらす。したがって、ある選択された可能性のある車両位置(244)について、検出された物体の推定位置が道路車線の中心にあってもよい(例えば、推定位置250を参照)一方で、第2の選択された可能性のある車両位置(244’)について、同じ検出された物体の推定位置が最も近い道路車線の中心から30フィート離れることがある(例えば、推定位置250’を参照)。
【0046】
[0049]プロセス150のブロック156においてレーダにより検出された物体の速度がレーダにより検出された物体を分類するために使用されたことを思い起こすと、レーダにより検出された物体の分類は、推定位置について合理性スコア(reasonableness score)を生成するために使用される。したがって、検出された物体が60MPHで移動している場合、検出された物体は車両である可能性が最も高い。したがって、道路車線の中心に近い動的なレーダにより検出された物体の推定位置(推定位置250)をもたらす選択された可能性のある車両位置(位置244)は、道路車線の中心からより離れた動的なレーダにより検出された物体の推定位置(推定位置250’)をもたらす選択された可能性のある車両位置(位置244’)よりも、実際の車両位置である可能性が高い。
【0047】
[0050]その結果、車線の中心により近い動的な検出された物体の推定位置をもたらす選択された車両位置が、車線の中心からより離れた動的な検出された物体の推定位置をもたらす選択された車両位置よりも高くスコア付けされるような、アルゴリズムが、格納されたデータ116又はプログラム命令114に組み込まれてもよい。したがって、位置244は、推定位置250及び250’のみに基づけば位置244’よりも高いスコアを有するであろうが、位置244は、それぞれ2つの異なる車線中心224及び222であるが車線中心からほぼ同じ距離だけ離れている推定位置248及び248’にのみ基づけば、位置244’とほぼ同じスコアを有することになるであろう。
【0048】
[0051]同様に、車線の中心からより離れた静的な検出された物体の推定位置をもたらす選択された車両位置は、車線の中心により近い静的な検出された物体の推定位置をもたらす選択された車両位置よりも、高くスコア付けされてもよい(例えば、推定位置250及び250’を参照)。
【0049】
[0052]アルゴリズムの複雑さは、忠実さを増すために増加させることができる。例えば、検出された物体を複数の反復にわたって追跡することにより、検出された物体はより良く分類することができる。したがって、例えば停止信号で停止する車両を停止させる場合でも、動的であるとして以前に分類された物体は、「動的」という分類を保ってもよい。したがって、車線の中心に近い動的な物体として以前に分類された停止した車両は、車線の中心に同じ程度に近い現在移動している動的な物体と同じ高さでスコア付けされてもよい。
【0050】
[0053]上記のスコアは、本明細書において、「アライメントスコア(alignment scores)」と呼ばれ、各々の可能性のある車両位置における各々の検出された物体について生成される。一般に、アライメントスコアは、各々の選択された車両位置について、他の選択された車両位置と比較して、レーダにより検出された物体が車線の中心に対してどれだけよく位置しているかをレーダにより検出された物体の分類に基づいて比較する定量的手段を提供する。検出された物体を単に「動的」及び「静的」として分類する実施例におけるアライメントスコアは、以下を使用して表すことができる。
【0052】
ここで、P(d|l)は、評価されている選択された可能性のある車両位置(l)につての特定の動的な動的な物体(d)の動的物体アライメントスコアである。
「dist(d,lane)」は、検出された動的な物体の位置と最も近い車線の中心との間の距離であり、動的な物体の位置は、レーダデータに基づいて車両からの検出された物体の相対的な位置を使用して定義され(「推定位置」)、車線位置はシンボリックマップに基づく。
【0053】
P(s|l)は、評価されている選択された可能性のある車両(l)についての特定の検出された静的な物体(s)の静的物体アライメントスコアであり、
dist(s,lane)は、検出された静的な物体の推定位置と最も近い車線の中心との間の距離である。
【0054】
[0054]選択された可能性のある車両位置についてすべての検出された物体につきアライメントスコアが生成されると、以下の式に従って、各々の検出された物体のアライメントスコアに基づいて、選択された可能性のある車両位置の確率スコアが生成される。
【0056】
ここで「R」は観察されるレーダ測定値である。
[0055]選択された可能性のある車両位置の確率スコアがアライメントスコアに基づいて生成されると、以下に従って、アライメントスコアに基づく確率スコアとGPSデータの両方を用いて、確率的車両位置スコアを生成することができる。
【0060】
は正規化定数であり、「g」は決定されたGPS位置である。
[0056]安定性をもたらし、ノイズを減少させるために、これらのスコアは、時間とともに、P(l
t+1)=αP(l
t)+(1−α)P(l|R
t+1,g
t+1)(0≦α≦1)となるようにフィルタリングされる。これにより、車両位置の円滑な推定が提供される。時刻tにおける車両の位置(確率的車両位置)を推定するためには、最も高いP(l
t)をもつ位置を単に報告すればよい。
【0061】
[0057]したがって、確率的車両位置は、車両が複数車線の道路にある場合でも車両が位置する特定の車線が特定されるような精度で車両の位置を特定する。この精度は、決定されたGPS位置、検出された物体に関連付けられるレーダデータ及びシンボリックマップデータを用いて確率スコアを生成することによって達成される。
【0062】
[0058]推定される実際の車両位置が決定されると、車両位置特定システム100は、車両位置特定システム100によって提供される1つ又は複数の機能とともにその推定される実際の車両位置を使用することができる。例えば、推定される実際の車両位置は、車線特有の(lane-specific)ナビゲーション指示を提供するために使用することができる。したがって、車両102が今度の方向転換をするために適切な車線にない場合、音声出力124が、車線を変更するよう車両の運転者に音声警告を与えるために使用されてもよい。
【0063】
[0059]車線逸脱警告システムを含む車両において、推定される実際の車両位置は、車線逸脱警告に優先順位を付けたり修正したりするために使用することができる。例えば、車両が現在占有されている車線と同じ方向の移動に関連する別の車線に向かう方向に車線を離れていると判定された場合には、軽度の警告(mild warning)が運転者に与えられてもよい。車線でない領域や現在占有されている車線と反対方向の移動に関連付けられる車線に向かう方向に車線を離れるときには、高められた警告(heightened warning)が生成されてもよい。
【0064】
[0060]推定される実際の車両位置は、さらに、適応巡航制御システム(adaptive cruise control systems)を最適化するために使用することができる。例えば、推定される実際の車両位置は、道路地図に対して他の車両の位置をより正確に決定するために、レーダ観測(radar observations)と組み合わせてもよい。これにより、適応巡航制御は、他の車がどの道路の車線を占有しているかを決定し、したがって、現在及び将来の位置の予測を改善して性能を向上させることができる。
【0065】
[0061]本発明は図面及び前述の説明において詳細に図示され説明されたが、それが例示的なものであって、特徴を制限するものではないと考えるべきである。好ましい実施例が提示されたにすぎず、本発明の趣旨の範囲内に入る全ての変更、修正及びさらなる応用が保護されることが望まれることが理解される。