【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、このような目的に使用される従来から既知の樹脂の限界に悩まされることなく、前述の需要に応える。特に、本発明は、高官能化ポリマーを含み、平均分子量が十分に高い樹脂ブレンド組成物を提供することにより、優れた引張および伸び特性を達成しつつ、十分な架橋密度も達成して優れた圧縮永久ひずみ特性を提供する。本発明の樹脂ブレンドは、望ましくは、通常の樹脂よりも低い圧縮永久ひずみ特性も提供し、相対的に低い粘度を伴う高い分子量も達成する。従来技術の樹脂組成物は、より良好な圧縮永久ひずみ特性を達成しようとすると、典型的には、引張りおよび伸び強度を失うのに対して、本発明は、反対に圧縮永久ひずみ特性を失わずに、より高い引張りおよび伸び強度を達成する手段を提供するので、多くの用途、例えば、とりわけガスケットおよびシール用途において作用する能力を向上させる。
【0005】
特に、本発明の組成物は、フォームインプレイス(FIP)、キュアインプレイス(CIP)およびモールドインプレイス(MIP)ガスケット用途、ならびに他の多くのシール材および接着剤用途に特に有用である。
【0006】
本発明の高官能化樹脂ブレンド組成物は、平均分子量5,000g/mol以上、望ましくは約10,000〜約100,000g/mol、より望ましくは約30,000〜約50,000g/molを有するポリマーから形成される。望ましくは、樹脂ブレンドを形成するポリマーの多分散度は、約1.01〜約2.50、より望ましくは1.9未満、より一層望ましくは1.8未満である。本発明の樹脂ブレンドから作られる配合物は、望ましくは、配合物全体の約30重量%〜約90重量%の量で、望ましくは配合物全体の約30重量%〜約50重量%の量で樹脂ブレンドを用いる。
【0007】
本発明の樹脂組成物は、様々な制御ラジカル重合法から調製でき、数例を挙げると、本明細書で定義されているSET−LRP法、ATRP法、RAFT法が挙げられるが、それらに限定されない。本発明の樹脂ブレンド組成物は、3個以上の反応性官能基を有し、望ましくは官能性(メタ)アクリレート基で末端封止した多分散度が相対的に狭いポリ(メタ)アクリレートを含み得る。(メタ)アクリレート以外の官能基を、樹脂の使用目的および用途に応じて、末端封止基として用いてもよい。
【0008】
本発明の一態様において、
a)i)少なくとも3個の官能性(メタ)アクリレート基を含有する少なくとも1種のビニルポリマー成分、望ましくは、少なくとも3個の官能性(メタ)アクリレート基を含むポリアクリレート含有ポリマー成分であって、約1.01〜約2.50の多分散度を有する前記ポリマー成分;
ii)約1.01〜約2.50の多分散度を有する少なくとも1種の反応性モノまたはジメタクリレート官能化ポリマー成分
を含む樹脂ブレンド;および
b)場合により、少なくとも1種の共反応性成分
を含む組成物であって、樹脂ブレンドの平均官能性が、約1.8〜約4.0であり、前記樹脂ブレンドのポリマーが、平均分子量約5,000g/mol超を有する、組成物が得られる。望ましくは、樹脂ブレンドは、平均分子量約10,000〜100,000g/molを有する。
【0009】
共反応性成分は多種多様な材料から選択できるが、望ましくは、b)の共反応性成分は約0%〜約50%の量で存在する単官能性または多官能性(メタ)アクリレートである。望ましくは、単官能性または多官能性(メタ)アクリレート成分は、C1〜C20アルキル(メタ)アクリレートの群から選択される、少なくとも1種のアルキル(メタ)アクリレートモノマーを含む。この選択は、本明細書において望ましい本発明の態様のすべてに適用される。
【0010】
より望ましくは、樹脂ブレンドは、エチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、n−ブチルアクリレートおよびそれらの組み合わせから選択される、1種または複数のモノマーのホモポリマーまたはコポリマーを含むポリマー主鎖を含む。この選択は、本明細書において望ましい本発明の態様のすべてに適用される。
【0011】
さらに、本明細書に様々な態様で記載されている樹脂ブレンドは、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドおよびアクリルアミドの置換体、ならびにそれらの組み合わせから選択される1種または複数のユニットを含むポリマーまたはポリマーセグメントを含むことができる。
【0012】
望ましくは、樹脂ブレンドは、硬化成分、例えば、ラジカル開始剤、湿気硬化触媒、熱硬化触媒または嫌気触媒を含む。本発明の樹脂ブレンドから作られた光硬化組成物の場合、硬化剤は光開始剤を含むことになる。有用な光開始剤の例は、本明細書で示されている。
【0013】
本発明の組成物は、組成物全体の約30重量%〜約90重量%の量の樹脂ブレンドを含むことができる。
【0014】
本発明の別の態様において、
i)少なくとも3個の官能性(メタ)アクリレート基を含有する少なくとも1種のビニルポリマー成分、望ましくは、少なくとも3個の官能性(メタ)アクリレート基を含むポリアクリレート含有ポリマー成分であって、約1.01〜約2.50の多分散度を有する前記ポリマー成分;
ii)約1.01〜約2.50の多分散度を有する、少なくとも1種の反応性モノまたはジメタクリレート官能化ポリマー成分;および
b)場合により、少なくとも1種の共反応性成分
の反応生成物である樹脂ブレンド組成物であって、樹脂ブレンドの平均官能性が約1.8〜約4.0であり、前記樹脂ブレンドのポリマーが、平均分子量約5,000g/mol超を有し、組成物が、1つまたは複数の以下の特性
(i)温度70℃で25%圧縮下に70時間曝露させた後の、約35%未満、望ましくは約25%未満、より望ましくは20%未満、より一層望ましくは約10%〜約15%未満の圧縮永久ひずみ;
(ii)ほぼ室温で、約150〜約300(%)の破断伸び;
(iii)約3〜約8(Mpa)の引張強度
を有する、樹脂ブレンド組成物が得られる。
【0015】
本発明のさらに別の態様において、シールを物品に適用する方法であって、
a)i)少なくとも3個の官能性(メタ)アクリレート基を含有する少なくとも1種のビニルポリマー成分、望ましくは、少なくとも3個の官能性(メタ)アクリレート基を含むポリアクリレート含有ポリマー成分であって、約1.01〜約2.50の多分散度を有する前記ポリマー成分;
ii)約1.01〜約2.50の多分散度を有する、少なくとも1種の反応性モノまたはジメタクリレート官能化ポリマー成分;および
b)場合により、少なくとも1種の共反応性成分を加えるステップと、
を含む樹脂ブレンドを含む組成物であって、樹脂ブレンドの平均官能性が、約1.8〜約4.0であり、前記樹脂ブレンドのポリマーが、平均分子量約5,000g/mol超を有する組成物を形成するステップと、
c)前記組成物を、未硬化シールの形成に望ましい形状および厚さで前記物品に堆積させるステップと、
d)前記未硬化シールを別の物品につなぎ合わせ、シールを形成するのに適した硬化系を用いて、シールを形成するのに十分な時間、前記未硬化シールを硬化させるステップと
を含む方法が得られる。
【0016】
本発明のさらに別の態様において、シールを物品に適用する方法であって、
a)i)少なくとも3個の官能性(メタ)アクリレート基を含有する少なくとも1種のビニルポリマー成分、望ましくは、少なくとも3個の官能性(メタ)アクリレート基を含むポリアクリレート含有ポリマー成分であって、約1.01〜約2.50の多分散度を有する前記ポリマー成分;
ii)約1.01〜約2.50の多分散度を有する、少なくとも1種の反応性モノまたはジメタクリレート官能化ポリマー成分;および
iii)場合により、少なくとも1種の共反応性成分
を含む樹脂ブレンドを含む組成物であって、樹脂ブレンドの平均官能性が約1.8〜約4.0であり、前記樹脂ブレンドのポリマーが、平均分子量約5,000g/mol超を有する組成物を形成するステップと、
b)前記組成物を、未硬化シールの形成に望ましい形状および厚さで前記物品に堆積させるステップと、
c)本明細書に記載されている硬化系および硬化機構の1つを使用して前記組成物を硬化させて、前記物品上で硬化組成物、例えば、ガスケットを形成し、第2の物品を、前記硬化組成物と接する状態に配置して、前記物品および前記第2の物品の間にシールを形成するステップと
を含む方法が含まれる。
【0017】
本発明のさらに別の態様において、多官能化樹脂ブレンドを調製する方法であって、
a)モノマー組成物を、前記モノマーのための溶媒中に用意するステップと、
b)モノマー組成物と、
i)少なくとも3以上の官能性を有する少なくとも1種の多官能性開始剤;
ii)少なくとも1種の単官能性または二官能性開始剤;および
iii)第IV族〜第VIII族遷移金属の有機金属化合物または水素化物
を含む組成物とを組み合わせることにより、反応混合物を形成するステップと、
c)生じた混合物を、多官能性ポリマーのブレンドを形成するのに十分な時間にわたり、十分な温度で反応させるステップであって、前記各ポリマーが、約1.01〜約2.50の多分散度を有するステップと、
d)前記ブレンドの前記ポリマーの少なくとも一部を、反応性基で末端封止して、平均官能性約1.8〜約4.0を有するブレンドを形成するステップであって、前記ブレンドのポリマーが、平均分子量約10,000〜約100,000g/molを有するステップと
を含む、方法が提供される。
【0018】
本発明の別の態様において、最初に、制御ラジカル重合を使用してブレンド中の各ポリマーを単独で形成し、次いで単独で官能化させ、次いで、上に記載した特定の適したステップを使用して共にブレンドしてもよい。
【0019】
さらに、本発明の別の態様において、最初に、ブレンドのポリマーを単独で作り、次いで共にブレンドし、続いて、適した末端封止材料を加えて樹脂ブレンドを官能化させてもよい。
【0020】
本発明の別の態様において、多官能化樹脂ブレンドを調製する方法であって、
a)モノマー組成物(本明細書に記載されているモノマーのいずれか、特に(メタ)アクリレートモノマーから)を、前記モノマーに適した溶媒中に用意するステップと、
b)モノマー組成物と、
i)少なくとも3以上の官能性を有する少なくとも1種の多官能性開始剤;
iii)第IV族〜第VIII族の遷移金属の有機金属化合物または水素化物
を含む組成物とを組み合わせることにより、反応混合物を形成するステップと、
c)生じた混合物を、少なくとも3個の官能基、望ましくは少なくとも3個の官能性(メタ)アクリレート基(本出願で言及されている官能性はいずれも有用である可能性があるが)を有する多官能性ポリマーを形成するのに十分な時間にわたり、十分な温度で反応させるステップであって、前記ポリマーが約1.01〜約2.50の多分散度を有するステップと、
d)第2のモノマー組成物(本明細書に記載されているモノマーのいずれか、特に(メタ)アクリレートモノマーから)を、前記モノマーに適した溶媒中に用意するステップと、
e)第2のモノマー組成物と、
ii)少なくとも1種の単官能性または二官能性開始剤;および
iii)第IV族〜第VIII族遷移金属の有機金属化合物または水素化物
を含む組成物とを組み合わせることにより、第2の反応混合物を形成するステップと、
f)ステップe)の生じた混合物を、単官能性または二官能性、望ましくは少なくともモノまたはジ(メタ)アクリレート官能性(本出願で言及されている官能性は、いずれも有用である可能性があるが)を有する官能性ポリマーを形成するのに十分な時間にわたり、十分な温度で反応させるステップであって、前記ポリマーが約1.01〜約2.50の多分散度を有するステップと、
g)ステップc)およびf)の反応で得られた生成物のブレンドを形成するステップと、
h)前記ブレンドの前記ポリマーの少なくとも一部を、反応性基で末端封止して、約1.8〜約4.0の平均官能性を有するブレンドを形成するステップであって、前記ブレンドのポリマーが、平均分子量約10,000〜約100,000g/molを有するステップと
を含む、方法が提供される。
【0021】
上の方法は、特定のモノマーおよびポリマー成分、ならびに本明細書に記載されている他の添加剤のいずれかを用いて使用され、樹脂ブレンドおよびそれから作られる硬化性組成物を形成することができる。
【0022】
本発明の別の態様において、多官能化樹脂ブレンドを調製する方法であって、
a)モノマー組成物(本明細書に記載されているモノマーのいずれか、特に(メタ)アクリレートモノマーから)を、前記モノマーに適した溶媒中に用意するステップと、
b)モノマー組成物と、
i)少なくとも3以上の官能性を有する少なくとも1種の多官能性開始剤;
iii)第IV族〜第VIII族遷移金属の有機金属化合物または水素化物
を含む組成物とを組み合わせることにより、反応混合物を形成するステップと、
c)ステップb)の生じた混合物を、少なくとも3個の官能基、望ましくは少なくとも3個の官能性(メタ)アクリレート基(本出願で言及されている官能性はいずれも有用である可能性があるが)を有する多官能性ポリマーを形成するのに十分な時間にわたり、十分な温度で反応させるステップであって、前記ポリマーが約1.01〜約2.50の多分散度を有するステップと、
d)前記多官能性ポリマーの少なくとも一部分を、反応性基で末端封止して約1.8〜約4.0の平均官能性を達成するステップと、
e)第2のモノマー組成物(本明細書に記載されているモノマーのいずれか、特に(メタ)アクリレートモノマーから)を、前記モノマーに適した溶媒中に用意するステップと、
f)第2のモノマー組成物と、
ii)少なくとも1種の単官能性または二官能性開始剤;および
iii)第IV族〜第VIII族遷移金属の有機金属化合物または水素化物
を含む組成物とを組み合わせることにより、第2の反応混合物を形成するステップと、
g)ステップf)の生じた混合物を、単官能性または二官能性、望ましくは少なくともモノまたはジ(メタ)アクリレート官能性(本出願で言及されている官能性はいずれも有用である可能性があるが)を有する官能性ポリマーを形成するのに十分な時間にわたり、十分な温度で反応させるステップであって、前記ポリマーが約1.01〜約2.50の多分散度を有するステップと、
h)前記単官能性または二官能性ポリマーの少なくとも一部分を、反応性基で末端封止して約1.8〜約4.0の平均官能性を達成するステップと、
i)ステップd)およびh)の反応で得られた生成物のブレンドを形成するステップであって、前記ブレンドが、約1.8〜約4.0の平均官能性を有し、前記ブレンドのポリマーが、平均分子量約10,000〜約100,000g/molを有するステップと
を含む、方法が提供される。
【0023】
上の方法は、特定のモノマーおよびポリマー成分、ならびに本明細書に記載されている他の添加剤のいずれかを用いて使用され、樹脂ブレンドおよびそれから作られる硬化性組成物を形成することができる。
【0024】
本発明の各樹脂ブレンド組成物から作られる配合物は、望ましくは、硬化剤または硬化系を含む。硬化剤または硬化系の選択は、特定の樹脂組成物の使用目的または用途により、主に決定される。樹脂ブレンドと共に機能し、樹脂ブレンドと適合するあらゆる硬化剤または硬化系を用いることができるが、照射硬化(すなわち光硬化)のための硬化剤、熱硬化のための硬化剤およびレドックス反応を含む硬化系、例えば、嫌気性硬化系が特に使用される。
【0025】
湿気硬化剤を用いることもできる。したがって、本明細書に記載されている樹脂ブレンド組成物は、硬化させた生成物を得るために、1つまたは複数の硬化剤または硬化系を含むことができる。
【0026】
いくつかの実施形態において、本発明の反応性樹脂ブレンドから作られる硬化性組成物は、以下の特性
a.)温度70℃で25%圧縮下に70時間曝露させて、約35%未満、望ましくは約25%未満、より望ましくは20%未満、より一層望ましくは約10%〜約15%未満の圧縮永久ひずみ;
b.)室温(約70℃)で約150〜約300(%)の破断伸び;
c.)約3〜約8(Mpa)の引張強度
を有する。