特許第6055843号(P6055843)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6055843単一の溶融物からの様々なプラスチック製品を形成するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6055843
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】単一の溶融物からの様々なプラスチック製品を形成するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 47/50 20060101AFI20161219BHJP
   B29C 47/74 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   B29C47/50
   B29C47/74
【請求項の数】21
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-550301(P2014-550301)
(86)(22)【出願日】2012年11月28日
(65)【公表番号】特表2015-503470(P2015-503470A)
(43)【公表日】2015年2月2日
(86)【国際出願番号】US2012066730
(87)【国際公開番号】WO2013101377
(87)【国際公開日】20130704
【審査請求日】2015年11月6日
(31)【優先権主張番号】61/582,313
(32)【優先日】2011年12月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599168648
【氏名又は名称】ユニベーション・テクノロジーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100156476
【弁理士】
【氏名又は名称】潮 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ダウディ・エイ・エイブ
(72)【発明者】
【氏名】サイモン・ジェイ・ホワイト
【審査官】 辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−009526(JP,A)
【文献】 特開2005−059370(JP,A)
【文献】 特公昭43−020779(JP,B1)
【文献】 米国特許第05372765(US,A)
【文献】 特開2011−245790(JP,A)
【文献】 特開昭60−214919(JP,A)
【文献】 特開2001−105472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C47/00−47/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の溶融物から様々なプラスチック製品を形成するためのシステムであって、
次の構成を備える主押出機システムと:
プラスチック樹脂を溶融し、溶融物を形成するように構成された押出機;
該押出機内の該溶融物に添加剤を供給するように構成された添加システム;
該溶融物の少なくとも一部分を第2製品押出機システムに送るように構成されたダイバータシステム;及び
迂回されなかった溶融物から第1プラスチック製品を成形するように構成された第1ダイ;
次の構成を備える該第2製品押出機と:
該溶融物と添加剤とをブレンドし、第2製品溶融物を形成するように構成された製品押出機;
製品添加剤を該第2製品押出機に供給するように構成された添加剤供給装置;及び
第2製品溶融物から第2プラスチック製品を成形するように構成された第2ダイ;
を備え、該第2製品押出機が該主押出機の容量と比較して75%以下の容量を有するシステム。
【請求項2】
前記ダイバータシステムが、複数の製品押出機のそれぞれに前記溶融物の少なくとも一部分を送るように構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2製品押出機が前記主押出機の容量と比較して50%以下の容量を有する、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2製品押出機が、等量の材料について前記主押出機よりも低い電力需要を有する、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項5】
前記主押出機システムが溶融ポンプをさらに備える、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2製品押出機システムが溶融ポンプを備えない、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項7】
第1又は第2ダイが引抜成形パイプダイを含む、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1又は第2ダイが、シートダイ、フィルムダイ又はシートダイ/フィルムダイの組合せを含む、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1又は第2ダイがインフレートフィルムダイを含む、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項10】
前記添加剤供給装置が液体注入システムを備える、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項11】
前記添加剤供給装置が溶融ポンプ供給装置を備える、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項12】
次の構成:
前記溶融物と製品添加剤とをブレンドし、第3製品溶融物を形成するように構成された第3製品押出機;
該製品添加物を該第3製品押出機に供給するように構成された添加剤供給装置;及び
該第3製品溶融物から第3プラスチック製品を成形するように構成された第3ダイ
を備える第3製品押出機システムを備える、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項13】
単一の溶融プロセスで様々なプラスチック製品を製造するための方法であって、
第1押出機内でプラスチック樹脂を溶融して第1溶融物を形成させ;
該第1溶融物の少なくとも一部分を第二押出機に送り、ここで、送られなかった該第1溶融物の任意の部分を第1プラスチック製品に成形し;
該第2押出機において添加剤を該溶融物とブレンドして第2溶融物を形成させ;そして
該第2溶融物から第2プラスチック製品を成形すること
を含み、該第2押出機が該第1押出機の容量と比較して75%以下の容量を有する方法。
【請求項14】
第1プラスチック製品としてペレットを成形することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2プラスチック製品としてパイプを成形することを含む、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2押出機内で黒色着色剤と前記溶融物とをブレンドすることを含む、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項17】
前記添加剤が安定剤、鎖切断剤、架橋剤又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項18】
前記添加剤が着色剤、充填剤、強化材料、光安定剤、加工助剤又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項19】
前記第1押出機から前記溶融物の一部分を第3押出機に移すことを含み、ここで、該第3押出機は、該溶融物に添加剤をブレンドして第3溶融物を形成するように構成され、しかも、該第3押出機は、該第3溶融物から第3プラスチック製品を成形するように構成される、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項20】
単一の溶融物から複数のプラスチック製品を製造するための方法であって、
主押出機内で樹脂を溶融して溶融物を形成させ;
該溶融物と添加剤とをブレンドし;
該溶融物の少なくとも一部分を複数の製品押出機のそれぞれに送り;
迂回されなかった主押出機内の溶融物の部分からプラスチック製品を成形し;
該複数の製品押出機のそれぞれにおいて複数の添加物と該溶融物とをブレンドし;そして
該複数の製品押出機のそれぞれから他のプラスチック製品を成形すること
を含む方法。
【請求項21】
前記製品押出機のそれぞれが異なるプラスチック製品を成形する、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明、単一の初期溶融物から複数のプラスチック製品を形成するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
着色プラスチック製品は、3工程プロセスで製造される場合が多く、各工程は異なる設備で行われている。最初のプロセスにおいて、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンその他の樹脂といったプラスチック樹脂が製造施設で合成され、そして販売のためにペレット化される。第2工程において、別の施設でこのペレット化樹脂が着色剤マスターバッチなどの添加剤と混練され、そして成形されて着色ペレットになる。ここで使用するときに、マスターバッチとは、顔料又は他の添加剤を高濃度、例えば70重量%程度でブレンドされる材料のことである。最終工程において、着色プラスチックペレットが成形されてパイプ、シート、フィルム、ボトル等の最終製品になる。いくつかの状況では、着色剤は、プラスチック製品を製造する施設で樹脂とブレンドされる場合がある。
【0003】
汚染の危険性のため、着色剤は、一般に製造施設では使用されず、またさらに一般には、着色製品の他に非着色製品を製造するために使用される大型の押出機では使用されない。このように、色配合施設は、従来、関連する中間貯蔵施設と取扱い施設とを有する完全に別個の施設であった。別個の配合設備を建設しかつ維持することは非常に費用がかかる場合があり、20〜30万米ドル以上程度の費用がかかる場合が多い。したがって、より低コストの着色製品形成用システムが有益であろう。
【0004】
いくつかの用途では、異なる特性を有する樹脂を混合させることに関連する問題を解決するために、連続押出機が様々な混合環境を提供するために使用されてきた。例えば、小型のサイドフィード押出機を、それよりも大型の配合押出機に供給するために、マスターバッチなどの添加剤を溶融するために使用することができる。別の例では、第1押出機は、樹脂を迅速に溶融させるための積極的な混合環境を提供することができる。その後、溶融樹脂を、より影響を受けやすい樹脂にブレンドするために長期間にわたって穏やかな環境を与える第2押出機に供給することができる。この種の装置を使用する用途は、低分子量ポリエチレンと高分子量ポリエチレンとをブレンドするように構成された二峰性ブレンドラインである。例えば、米国特許第7815360号には、第1押出機が下部に位置する押出機への結合を通して溶融物を排出する2軸型押出機を有する材料処理加工工場が記載されている。複数の連続又は段階押出機を有する他のシステムが、例えば欧州特許出願公開第1005411B1号、米国特許第3261056号及び独国特許出願公開第2304088A号に記載されている。
【0005】
副押出機を使用して供給物を溶融させ又はコンパウンドを形成し、その後、このものを重合系とブレンドするための主押出機に押し入れる多数のシステムが開発されている。例えば、米国特許出願公開第2009/0057621号には、導電性組成物及びこれらの組成物の形成方法が記載されている。記載された方法では、溶融マスターバッチを、第1押出機において第1重合体と混合させる。この第1重合体は、溶融マスターバッチの溶融粘度よりも低い溶融粘度を有し、そしてこの溶融マスターバッチの溶融粘度を減少させて減少粘度溶融マスターバッチを形成させる。この減少粘度溶融マスターバッチを第2押出機で第2重合体と混合させて導電性組成物を形成させる。
【0006】
米国特許出願公開第2008/0093763号には、多色繊維・プラスチック複合材料並びにこの複合材料を形成するためのシステム及び方法が記載されている。この用途では、複数の配合押出機を使用して溶融物を形成させ、このものをベース重合体とブレンドするための主押出機に入れる。
【0007】
これらのシステムに加えて、任意の数の他のシステムは、とりわけ、ドイツのシュトゥットガルトのコペリオン社から市販されている(ZS−Bという商品名で)システムを含めて、主押出機に溶融材料を供給するために副押出機を使用することができる。しかし、従来のシステムの全ては、単一のプラスチック製品をブレンドし成形するために溶融材料を混合するように構成されている。そのため、従来のシステムは、第1押出機内で形成された溶融物の全てを第2押出機に送るように構成されている。
【0008】
上記のように、着色プラスチックの成形は、一般に多段階プロセスで行われ、各工程の間に樹脂をペレット化し、そして冷却する。これにより、天然又は無着色の樹脂と色との交互汚染の危険性が低下し又はなくなる場合があるが、これは、樹脂を複数の熱履歴にさらすことになる。また、その後の入熱工程は、UV、熱及び他の過酷な環境からプラスチック樹脂を保護するために使用される添加剤を枯渇させ、その結果、追加の添加剤がプロセス/製造工程を継続するのに必要となる場合がある。さらに、別個の中間貯蔵施設及び配合施設を建設するコストは、着色樹脂及び製品のコストを実質的に増加させ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7815360号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1005411号明細書
【特許文献3】米国特許第3261056号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第2304088号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2009/0057621号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2008/0093763号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、着色プラスチックを形成するため方法を改善する要望が依然として存在する。さらに、単一の溶融流れから様々なプラスチック製品を形成することを可能にする方法に対する要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
概要
ここで記載するのは、単一の溶融物から様々なプラスチック製品を形成するためのシステムである。このシステムは、プラスチック樹脂を溶融して溶融物を形成させるように構成された押出機と、該押出機内において該溶融物に添加剤を供給するように構成された添加剤系とを備える主押出機システムを備えることができる。第1ダイは、溶融物から第1プラスチック製品を形成するように構成される;ダイバータシステムは、溶融物の少なくとも一部を副製品押出成形機システムに送るように構成される。この副製品押出機システムは、溶融物と製品添加剤とをブレンドして第2製品溶融物を形成するように構成された第2製品押出機を備える。添加剤供給装置は、製品添加剤を第2製品押出機に供給するように構成され、第2ダイは、製品溶融物から第2プラスチック製品を形成するように構成される。
【0012】
別の実施形態は、単一の溶融工程で2種のプラスチック製品を製造するための方法を提供する。この方法は、第1押出機内でプラスチック樹脂を溶融して溶融物を形成し、そして該溶融物の少なくとも一部分を第2押出機に移し、ここで、移されない該溶融物の任意の部分を第1プラスチック製品に成形する。この第2押出機内で添加剤と第2溶融物とをブレンドして第2溶融物を形成させ、そしてこの第2溶融物から第2プラスチック製品を成形する。
【0013】
別の実施形態は、単一の溶融物から複数のプラスチック製品を製造するための方法を提供する。この方法は、主押出機内で樹脂を溶融して溶融物を形成させ、そして添加剤と該溶融物とをブレンドすることを含む。この溶融物の少なくとも一部分を、多数の製品押出機のそれぞれに送る(迂回させる)。送られなかった主押出機内の溶融物の一部分からプラスチック製品を成形する。多数の添加剤を、製品押出機のそれぞれにおける溶融物とブレンドし、そして製品押出機のそれぞれから他のプラスチック製品を成形する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、単一の溶融物から様々なプラスチック製品を形成するために使用できる押出システムのブロック図である。
図2図2は、単一の溶融物から2つの異なるペレット化プラスチック製品を形成するために使用できる2つの押出機システムの概略図である。
図3図3は、単一の溶融物からペレット化プラスチック製品及びパイプ製品を成形するために使用できる2つの押出機システムの概略図である。
図4図4は、単一溶融物からペレット化プラスチック製品及びシート又はフィルム製品を成形するために使用できる2つの押出機システムの概略図である。
図5図5は、単一の溶融物から3種のプラスチック製品を製造するために使用できる3つの押出機システムの概略図である。
図6図6は、単一の溶融物から複数のプラスチック製品を製造するための方法のプロセス流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
ここで記載するのは、単一の初期溶融物から複数のプラスチック製品を形成するための方法及びシステムである。例えば、一次押出機は、樹脂を溶融し、そして特に安定剤などの一般的な添加物にブレンドするように構成できる。第1押出機からの溶融物の一部分を1つ以上の副押出機に向けることができると同時に、溶融物の残りの部分を、プラスチック製品を成形するためにペレタイザー又は他のシステムに送ることができる。副押出機において、着色剤、充填剤などの他の添加剤を溶融物とブレンドして製品溶融物を形成することができる。その後、製品溶融物をペレタイザー、引抜成形パイプダイ、シートダイ、又はフィルムダイに移動させて第2プラスチック製品を成形することができる。
【0016】
この構成は、従来のシステムに対する多数の利点を提供する。例えば、副押出機は、供給物がすでに溶融しているので、非常に低い馬力要件を具備することができる。一次押出機に使用される主要な添加剤、供給物及びフィーダーシステムを二重化する必要はない。重合体の総熱曝露又は熱履歴は、実質的に減少するところ、これは、安定剤の消費量を低下させ、かつ、性能特性を改善させることができる。
【0017】
樹脂に及ぼす有益な影響に加えて、多数の物流の利点を達成することができる。例えば、混合施設での中間天然物のオフライン貯蔵及び取り扱いを省略することができる。施設の設置面積、すなわち、設置に必要なスペースは、ペレタイザーを有する2台の押出機の設置よりも25%少なくなる場合がある。副押出機が圧力下で溶融供給物を与えられるときに、溶融ポンプは、第2押出機には必要とされない場合がある。さらに、人件費及び光熱費を減らすことができる。
【0018】
押出システム
図1は、単一の溶融物から様々なプラスチック製品を形成するために使用できる押出システム100のブロック図である。押出システム100では、樹脂102を、軟化プラスチックを形成するための主押出機システム104に供給する。本明細書で使用するときに、この軟化プラスチックを「溶融物」106という。樹脂102は、ペレット状、球形、溶液の状態又は任意の他の形態であることができる。例えば、押出成形システム100はプラスチック製造設備に配置することができ、その際、主押出機システム104は、樹脂を処理してペレットなどのプラスチック製品108にするように設計される。別の例として、押出成形システム100は、多数のプラスチック製品108を製造するように構成された、プラスチック配合工場に配置できる。樹脂102は、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、スチレン・ブタジエン共重合体又は任意の数の他の材料を含むことができる。例えば、一実施形態では、樹脂102は、パイプ、バッグ及び他の用途に使用される高密度ポリエチレン樹脂である。
【0019】
主押出機システム104としては、例えばドイツのシュトゥットガルトのコペリオン社がZSKという商品名で販売する二軸押出機及び東京の神戸製鋼所株式会社がLCMという商品名で販売するツインローターミキサーを含めて、あらゆる溶融処理加工押出機及び任意のデザインの液化押出機を挙げることができる。現在の技術で使用することができる他の押出機は、米国コネチカット州ポーカタックのデイビッド・スタンダードLLC及びドイツのハノーバーのKraussMaffei Berstorff社によって販売されている。他の供給者からのあらゆる一軸又は二軸押出機を使用することができるため、これらは、単なる例示であることが分かる。
【0020】
主添加剤110は、溶融物106に配合するための主押出機システム104に添加できる。主添加剤110は、固体供給装置、液体供給装置又は溶融押出ポンプにより添加できることろ、これらは、場合によっては添加剤を溶融し、そしてそれを主押出機システム104に押し入れることのできる押出機スクリューを使用する。主添加剤110は、主安定剤、副安定化剤など、並びに天然又は非着色製品で使用できるあらゆる添加剤を含むことができる。あらゆる他の添加剤を、光安定剤、架橋剤などの主添加剤110として使用することができる。しかし、いくつかの実施形態では、主添加剤110は、主押出機システム104から来る溶融物106から形成されたプラスチック製品108を汚染しないように、着色剤を含まない。
【0021】
主押出機システム104で形成される溶融物106の部分112を1個以上の副押出機システム114(ここでは生成物押出機システムと呼ぶこともできる)に供給することができる。副押出機システム114において、着色剤及び添加剤116を溶融物106の部分112とブレンドして追加の溶融物流れ118を形成することができる。着色剤及び添加剤116は、着色剤、充填剤又は主押出機システム104に添加された場合にプラスチック製品108の後のバッチを汚染する可能性のある他の添加剤を含んでもよく、場合によっては、溶融物106の全てを使用して追加の溶融物流れ118を形成することができ、そのためプラスチック製品108のいずれも製造されない。
【0022】
一実施形態では、着色剤及び添加剤116は、例えば、カーボンブラックと樹脂とをブレンドすることによってマスターバッチに形成された黒色着色剤を含む。マスターバッチを、ペレット供給装置を介して副押出機システム114に供給することができる。いくつかの実施形態では、溶融物供給装置は、例えば、マスターバッチを溶融し、そしてこれを副押出機システム114に押し入れる一軸押出機使用して、マスターバッチを添加するために使用できる。他の実施形態では、着色剤及び添加剤116は、液体供給システムで添加される液体着色剤などの他のタイプの着色剤を含むことができる。着色剤及び添加剤116は、着色剤に限定されるものではなく、光安定剤、充填剤、補強材料、ブレンドに使用される他の樹脂などのようなあらゆる他の材料を含むことができる。
【0023】
溶融物106及び着色剤及び添加剤116の部分112を副押出機システム114内で混合して製品溶融物118を形成させる。その後、製品溶融物118を使用して追加のプラスチック製品120を形成することができる。これらのプラスチック製品120としては、例えば、ペレット、パイプ、シート、フィルム又はあらゆる他の製品を挙げることができる。実施形態で使用できる押出機システムの例を、図2〜5に関連してさらに説明する。
【0024】
図2は、例えば、単一の溶融物106から2つの異なるペレット化プラスチック製品、例えばペレット204及び202を形成するために使用できる2つの押出機システム200の概略図である。同様の番号が付けられた項目は、図1に関して説明したとおりである。主添加剤110を主押出機104内で樹脂102とブレンドした後に、溶融物106を分流弁206に供給する。分流弁206は溶融物106のための3つの流路を制御することができ、これは、アクチュエーター210によって移動するピストン208によって制御できる。第1流路212は、溶融物106を溶融ポンプ214に移動させ、該ポンプは、溶融物106をスクリーンパック216に強制的に通す。スクリーンパック216を使用して固形異物を除去することができるのみならず、溶融物106からゲル化又は架橋樹脂を除去することもできる。スクリーンパック216から、溶融物106を、水中ペレタイザー218などのペレタイザーに供給することができる。その後、ペレット202を水中ペレタイザー218からの水流220から分離することができる。主押出機104からの溶融物106を処理するために使用される装置は、示された構成に限定されるものではない。あらゆる他の構成及び機器のタイプを本明細書に開示される技術で使用することができると解される。
【0025】
主押出機104から始まり、ペレット202を形成する製造ラインをメインライン222と呼ぶことができる。メインライン222は、例えば、着色剤その他の充填剤を有しない一般的な添加物のみを有する樹脂を製造する100%天然のラインとすることができる。分流弁206の第2位置は、例えば絶縁及び加熱ライン224を介して、溶融物106の一部112を副押出機114に吐出することができる。
【0026】
着色剤及び添加剤116は、例えば、図1に関して説明したように、副押出機114に供給できる。着色剤及び添加剤116とブレンドされた溶融物112は、製品溶融物118を形成する。副押出機114から、製品溶融物118を溶融ポンプ226に供給できる。副押出機114は、樹脂を溶融させる必要がないので、副押出機114からの圧力は、溶融ポンプ226を使用せずに製品溶融物118を下流の装置に通すのに十分であると考えられる。同じ理由で、副押出機114のための電力需要は、同等の製造速度について主押出機104よりも低くてもよい。スクリーンパック228を使用して固体汚染物質及びゲルを除去することができる。その後、製品溶融物118をペレタイザー230などのダイに送って最終プラスチック製品であるペレット204を成形することができる。副押出機114及びそれに関連する機器は、メインライン222を汚染する危険なしに、メインライン222と同時に別のプラスチック製品を成形することができる第2製品ライン232を形成する。
【0027】
メインライン222と第2ライン232のサイズの比は、望ましいと考えられる製品の組み合わせによって決定される。例えば、メインライン222は、100%の容量について50%のターンダウンで評価でき、例えば、メインライン222は、最高速度の50%程度に低く動作できる。いくつかの実施形態では、メインライン222からの全ての製品を最適の着色生成物として製造すべき場合には、第2ライン232は同じ速度で評価できる。
【0028】
第2ライン232は、天然対着色のペレットの所望の製品スレートに応じてメインライン222の100%未満の割合で生成するように設計できる。例えば、第2ライン232は、全割合の50%までの割合とすることができる。この実施形態では、50%の総容量を超えるメインライン222の部分であれば、メインライン222において、例えばペレット202としてのプラスチック製品に成形できる。他の実施形態では、副押出機114は、主押出機に対する他の割合、例えばメインライン222の容量の100%以下又は75%以下又は50%以下又は25%以下の割合とすることができる。このシステムでは、副押出機114に添加される着色剤又は添加剤116は、主押出機104から形成されたペレット202を汚染することがない。
【0029】
分流弁206は、2つの位置には限定されない。第3位置において、溶融物106の少なくとも一部分を廃棄物流れ223として放出することができる。この位置は、主押出機104、副押出機114又はその両方の開始中に使用できる。他の実施形態では、流れ223は第3押出機ラインに至ることができる。
【0030】
図3は、単一の溶融物106からペレット化プラスチック製品202及びパイプ製品302を成形するために使用できる2つの押出機システム300の概略図である。同様の符号は、図1及び2に関して説明したとおりである。ここに示される技術及びシステムは、2つのペレット化プラスチック製品を成形することに限定されるものではない。図3に示す例では、副押出機からの製品溶融物を、引抜パイプダイなどのパイプダイ304に通してパイプ製品302を成形する。この例では、溶融物供給装置306を使用して副押出機114に着色剤及び添加剤116を添加する。このように、メインライン222を使用して、例えば天然樹脂としてペレット202を成形することができると同時に、パイプライン308を使用してパイプ製品302を成形することができる。
【0031】
図4は、単一の溶融物106からペレット202及びシート又はフィルム製品402を成形するために使用できる2つの押出機システム400の概略図である。同様の符号は図1図3に関して説明したとおりである。この例では、副押出機114からの製品溶融物をシート又はフィルムダイ404に通し、そしてロールスタック406に押し出してシート又はフィルム製品402を得る。あらゆる他のダイを使用して、副押出機114から様々なプラスチック製品を得ることができる。さらに、メインライン222は、ペレット202には限定されないが、所望の製品構成によってはこれを使用して他の製品を製造することができる。これらのシステムは、2つのラインに限定されないが、図5に関して説明したように、これらを任意の数の副押出機114と共に使用することができる。
【0032】
図5は、単一の溶融物106から3種のプラスチック製品を生成するために使用できる押出機システム500の概略図である。同様の符号は前の図1〜4に関して説明したとおりである。押出機システム500において、メインライン222における誘導弁502は、溶融物106を3つの部分に分割するように構成されている。第1部分504を使用して、メインライン222の機器に供給し、ペレット202を形成することができる。第2部分506を使用して、第2ライン508における副押出機114に供給し、第2ペレット化製品510を形成することができる。第3部分512を使用して、第3ライン514における別の副押出機114に供給し、第3ペレット化製品516を形成することができる。第2ライン508で使用される着色料又は添加物116は、第3ライン514で使用される着色剤又は添加剤とは異なっていてよいため、異なるペレット化プラスチック製品、例えば、ペレット202、510及び516を溶融物106から形成することができる。さらに、副押出機114は、構造、容量、添加剤系、ダイ又は任意の他の特徴の点で異なることができる点に留意することができる。
【0033】
押出機システム500は、3つのライン222、508及び514には限定されないが、主押出機104からの溶融物106を効果的に供給できる任意の数のラインを使用してもよい。さらに、ライン222、508及び514は、ペレットを製造することに限定されないが、図3及び図4に関して説明したように、パイプ、シート、フィルム等といった他の任意の数のプラスチック製品製造するために使用できる。したがって、ここで説明する技術を使用して一体化プラスチック製造設備を提供することができ、その際、主押出機104を使用して、基本的な添加剤を含む溶融物106を形成するために反応器系において製造された顆粒状樹脂102又は他の樹脂フォームを処理加工し、その後、販売のために、着色ペレットなどの他の製品を製造するように構成された他の押出ラインに溶融物の一部を提供する。
【0034】
プラスチック製品を成形するための方法
図6は、単一の溶融物から複数のプラスチック製品を生成するための方法600のプロセス流れ図である。この方法は、ここで説明した構成又は第1押出機が第2押出機に溶融物の一部を供給すると共に、溶融物の別の部分でプラスチック製品を製造する能力を保持することのできる他の構成のいずれかを使用して実施できる。
【0035】
方法600は、ブロック602で、主押出機内でのプラスチックの溶融から始まる。上記のように、これは反応器系から顆粒の状態で製造された樹脂とすることができる。さらに、この樹脂は、主押出機内で液化する溶液とすることができる。ブロック604に示されるように、添加剤をこの溶融物に取り入れる。これらの添加剤は、特に安定剤及び架橋剤といった、天然プラスチックに使用される基本的な添加剤とすることができる。ブロック606において、プラスチック製品を、主押出機で形成されたプラスチック溶融物から成形することができる。
【0036】
ブロック608では、溶融物の一部分を副押出機に移す。ブロック610では、着色剤、充填剤などの追加の添加剤を副押出機内の溶融物に配合する。ブロック612では、プラスチック製品を副押出機内の溶融物から成形する。上述したように、このような製品は、ペレット、パイプ、シート、フィルム又はあらゆる他の製品を含むことができる。
【0037】
定義
ここで使用するときに、「押出機」とは、プラスチック溶融物を形成し、そしてこのプラスチック溶融物と添加剤とをブレンドするための装置のことである。押出機は、スクリューとバレルの内面との間に最小の隙間を有するバレル内に配置される一軸又は二軸を有することができる。各スクリューは、バレルとスクリューとの間に開口部を形成する、螺旋状のリッジ又はフライトを有する。フライトの深さは、樹脂に加えられるせん断及び応力を変化させるように制御でき、ここで、フライトが浅ければ、より高い応力環境が生じる。スクリューのシャフトをモータで回転させると、プラスチックがフライト内で剪断され、プラスチックを溶融又は加熱し、そしてこれをバレルの下に押しやる摩擦が生じる。二軸押出機におけるスクリューのフライトは、通常噛み合っており、その際、各スクリューは、完全に他のスクリューで拭われ、より効果的なブレンド環境を作り出し、そして溶融物をバレルの下に効果的に汲み出す。プラスチックは、バレルの端部にある開口部から、特に溶融ポンプ、ペレタイザー及びダイといった下流の装置に押し出される。押出機は、固体プラスチック樹脂からプラスチック溶融物を形成するように構成される標準的な押出機であることができ、又は溶液状のプラスチックから溶媒を除去し、プラチック溶融物を形成するように構成された脱揮押出機であることができる。ここで説明した実施形態は、押出機には限定されないが、重合体ミキサーを使用することもできる。重合体ミキサーは、樹脂に剪断力を付与するための逆回転非噛み合いブレンド部材を使用し、溶融物を形成し、そして添加剤にブレンドするシステムである。
【0038】
ここで使用するときに、「添加システム」とは、材料をブレンドするための押出機に供給するように構成された装置及び支持装置のことである。この添加システムは、押出機内でプラスチック溶融物に固体ペレットを添加するように構成されたペレット供給装置を備えることができる。他のタイプの添加システムは、添加剤を溶融し、そしてこの添加剤溶融物を、プラスチック溶融物とブレンドするために押出機に押し入れるように構成された一軸押出機を使用することができる。別のタイプの添加剤供給装置は、液体添加剤を押出機に押し入れるためにポンプを使用できる。押出機のスクリューは、例えば、添加箇所でのフライトの深さを増大させることにより添加剤の添加を容易にするための低圧領域を有することができる。
【0039】
ここで使用するときに、「ダイ」とは、プラスチックを押し出して特定の形状にするためにプラスチック押出ラインの端部に設置される形成開口部のことである。基本的な構成では、水中ペレタイザーにおけるペレタイザーダイは、プラスチックを細いストランドとして押し出すように構成される。ダイの面に対して設置された回転ナイフがストランドを小さなほぼ丸形のペレットに切断し、これらのペレットは、水流によってダイ面から運び出される。別の例示ダイは、プラスチックパイプを形成するために使用される。このダイにおいて、中央ピース又はマンドレルが、塑性流動のための環状空間を創り出す。押し出されたプラスチックは、ダイの近傍から取り出され、そして、多くの場合水との接触により冷却されてパイプが硬化する。実施形態で使用することができる他のタイプのダイとしては、シート及びフィルムダイ(これらのダイでは、プラスチックは、広い平坦なシートとして冷却ロール上に押出される)及びインフレーションフィルムダイ(このダイでは、プラスチックは、閉じ込められた気泡の周りにある環状部の外に押し出される)が挙げられる。
【0040】
本明細書で使用ときに、「添加剤」とは、プラスチックに有益な特性を付与する又はプラスチックの使用量を減少させるために添加される材料のことである。添加剤としては、主安定剤、副安定剤、着色剤、架橋剤、鎖切断剤、充填剤、強化材料及び他の多くの材料を挙げることができる。安定剤とは、自動酸化反応を阻害し、処理加工中の熱損傷に対してさらに抵抗性のあるプラスチックを作製し、そして用途において寿命を延ばすために溶融したプラスチックに添加する化学化合物のことである。主安定剤は、反応鎖を破壊するラジカルを捕捉するように形成された初期ラジカル種と反応する。ヒンダードフェノールが主安定剤として使用される場合が多い。副安定剤は、自動酸化に対する抵抗性をさらに向上させるために主安定剤と共同して添加される安定剤である。副安定剤は、一般に、酸化反応の間に形成され得る過酸化物を分解することによって機能する。三価のリン化合物が副安定剤として使用される場合が多い。
【0041】
所定の用途では、樹脂の分子量を変更することが好ましい場合がある。鎖切断添加剤を添加して樹脂の総分子量を低下させることができ、又は、架橋剤を添加して樹脂の総分子量を増加させることができる。
【0042】
着色剤は、プラスチックに特定の色を付与するために使用される添加剤であり、このものは無機又は有機染料であることができる。着色剤はマスターバッチに作製される場合が多く、その際、染料の70%ほどが最終目的のプラスチックに関連するプラスチックに配合される。したがって、ポリエチレンプラスチックに色を加えるためのマスターバッチは、通常、ポリエチレンベース樹脂を使用して作製される。
【0043】
本技術は、様々な変更及び代替形態を受けやすいと共に、上記の例示的な実施形態は単なる例示として示されている。しかし、この技術は、ここで開示された特定の実施形態に限定されるものではないことと理解すべきである。実際に、本技術は、添付の請求の範囲及びその真の精神の範囲内にある全ての別法、変更及び均等物を含む。
【符号の説明】
【0044】
100 押出システム
102 樹脂
104 主押出機システム
106 溶融物
108 プラスチック製品
110 主添加剤
114 副押出機システム
116 着色剤及び添加剤
120 プラスチック製品
200 押出機システム
202 ペレット
206 分流弁
208 ピストン
210 アクチュエーター
214 溶融ポンプ
216 スクリーンパック
218 ペレタイザー
220 水流
222 メインライン
230 ペレタイザー
232 第2ライン
300 押出機システム
302 パイプ製品
304 パイプダイ
400 押出機システム
402 シート又はフィルム製品
404 シート又はフィルムダイ
406 ロールスタック
500 押出機システム
502 誘導弁
504 第1部分
506 第2部分
508 第2ライン
510 第2ペレット化製品
512 第3部分
514 第3ライン
516 第3ペレット化製品
図1
図2
図3
図4
図5
図6