特許第6055849号(P6055849)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6055849カルボキシビニルポリマー含有ナノ粒子懸濁物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6055849
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】カルボキシビニルポリマー含有ナノ粒子懸濁物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/165 20060101AFI20161219BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20161219BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20161219BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20161219BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20161219BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20161219BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20161219BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   A61K31/165
   A61K9/10
   A61K47/32
   A61K47/02
   A61K47/36
   A61P27/02
   A61K47/38
   A61K47/18
【請求項の数】17
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-73(P2015-73)
(22)【出願日】2015年1月5日
(62)【分割の表示】特願2012-542157(P2012-542157)の分割
【原出願日】2010年12月1日
(65)【公開番号】特開2015-61886(P2015-61886A)
(43)【公開日】2015年4月2日
【審査請求日】2015年1月5日
(31)【優先権主張番号】61/266,368
(32)【優先日】2009年12月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508185074
【氏名又は名称】アルコン リサーチ, リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】マスード エー. チョウハン
(72)【発明者】
【氏名】マレー ゴーシュ
(72)【発明者】
【氏名】バーラム アスゲリアン
(72)【発明者】
【氏名】ウェズレー ウェーシン ハン
【審査官】 近藤 政克
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5864433(JP,B2)
【文献】 特表2003−528797(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/132294(WO,A1)
【文献】 特表2008−540533(JP,A)
【文献】 特表2005−521690(JP,A)
【文献】 特開2007−119456(JP,A)
【文献】 Int J Pharm,2007年,vol.340, no.1-2,p.126-33
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/165
A61K 9/10
A61K 47/02
A61K 47/18
A61K 47/32
A61K 47/36
A61K 47/38
A61P 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.1w/v%〜0.5w/v%の濃度のカルボマー;
0.1w/v%〜0.4w/v%の濃度のガー;
0.4w/v%〜2.0w/v%の濃度のボレート;ならびに
25℃で0.001w/v%〜0.1w/v%の水溶性を有する、わずかに可溶性の粒子化合物、
を含有し、該化合物は0.25w/v%から0.35w/v%の濃度のネパフェナクである、局所投与可能な水性眼用懸濁組成物。
【請求項2】
前記組成物が5.0〜7.2のpHを有するために充分な量のpH調整剤をさらに含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が250mOsm/kg〜350mOsm/kgの浸透圧重量モル濃度を有するために充分な量の張度調整剤をさらに含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記カルボマーが、0.4w/v%の濃度で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
0.005w/v%〜0.1w/v%の濃度の摩砕剤をさらに含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記摩砕剤が界面活性剤またはポリマーである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記摩砕剤がカルボキシメチルセルロースナトリウムである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
金属塩化物塩の張度調整剤をさらに含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記金属塩化物塩が、0.4w/v%の濃度の塩化ナトリウムである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
非イオン性ヒドロキシル化合物を張度調整剤としてさらに含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
防腐剤とキレート剤との両方をさらに含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記防腐剤が、0.005w/v%の濃度の塩化ベンザルコニウムであり、そして前記キレート剤が、0.01w/v%の濃度のエデト酸二ナトリウムである、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記ボレートがホウ酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
0.4w/v%のカルボマー、0.2w/v%のガー、0.5w/v%のホウ酸、および0.3w/v%のネパフェナクを含有する、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
患者において眼障害を処置するための、請求項1に記載の組成物であって、該組成物は該患者に局所投与されることを特徴とする、組成物。
【請求項16】
前記眼障害が、
眼の表面および網膜の障害、緑内障、眼乾燥、眼の表面の疼痛、ブドウ膜炎、強膜炎、上強膜炎、角膜炎、外科的に誘導される炎症、眼内炎、虹彩炎、萎縮性黄斑変性、色素性網膜炎、医原性網膜症、網膜裂孔および網膜円孔、黄斑浮腫、類嚢胞黄斑浮腫、糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性網膜症、鎌状赤血球網膜症、網膜の静脈および動脈の閉塞、視神経症、滲出性黄斑変性、血管新生緑内障、角膜新生血管形成、毛様体炎、鎌状赤血球網膜症、ならびに翼状片
からなる群より選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
a)0.3w/v%のネパフェナク;
b)0.4w/v%のカルボマー;
c)0.2w/v%のガー;
d)0.5w/v%のホウ酸;
e)0.06w/v%のカルボキシメチルセルロースナトリウム;
f)0.4w/v%の塩化ナトリウム;
g)0.5w/v%のプロピレングリコール;
h)組成物が7.0のpHを有するために充分な量のpH調整剤;
i)0.005%(w/v)の塩化ベンザルコニウム;
j)0.01%のエデト酸二ナトリウム;および
k)精製水、
から本質的になる、局所投与可能な眼用懸濁組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、米国特許法第119条のもとで、米国仮特許出願番号61/266,368(2009年12月3日出願)に対する優先権を主張する。この米国仮特許出願の全内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、眼への薬物送達のための組成物に関し、そしてより特定すると、カルボキシビニルポリマー、ガラクトマンナン、およびボレートを含有するナノ粒子懸濁物に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
目の適応症のための医薬品の局所投与は、一般に、使用の容易さおよび患者のコンプライアンスのために好ましい。生理学的に適合性のpHおよび浸透圧重量モル濃度を有する水溶液は、このクラスの送達系の代表的なものである。しかし、多くの薬剤は、水性のビヒクルに比較的不溶性であるので、懸濁物として送達されなければならない。しばしば、このような剤は、角膜組織に良好に浸入しない。懸濁物は、この剤が充分な濃度で角膜組織に入り得る前に、希釈され得るか、または涙液膜によって眼から流され得る。
【0004】
従って、わずかに可溶性の薬剤の全体的なバイオアベイラビリティを改善し、そして標的組織でのこのような剤の濃度を増大させるために、種々の技術が使用されている。局所に付けられる溶液の角膜での保持時間を増大させるために、この溶液の粘度を増大させることは、バイオアベイラビリティの増大を常にもたらすわけではなく、実際には、角膜へのこの薬剤の浸入を遅くし得る。例えば、米国特許出願番号11/429,736(2006年5月8日出願、発明の名称「Suspension Formulations of Nepafenac and other Ophthalmic Drugs for the Topical Treatment of Ophthalmic Disorders」)を参照のこと。
【0005】
ガラクトマンナン−ボレートゲル化系を利用する眼用組成物が、以前に記載されている。Asgharianに対する特許文献1(発明の名称「Ophthalmic compositions containing galactomannan polymers and borate」)は、このような系を記載し、そしてその全体が本明細書中に参考として援用される。
【0006】
わずかに可溶性の薬剤(例えば、ネパフェナク(nepafenac))の角膜への浸入を増強させる眼用組成物は、米国特許出願番号11/430,239(2006年5月8日出願、発明の名称「Suspension Formulations of Nepafenac and other Ophthalmic Drugs for Topical Treatment of Ophthalmic Disorders」)に開示されている。この‘239出願は、活性医薬品の良好な角膜浸入性を有する組成物における、ポロキサマーまたはメロキサポール(meroxapol)界面活性剤、およびグリコール張度調整剤の使用を記載する。これらの組成物は、カルボキシビニルポリマーを含有しない。
【0007】
特許文献2は、眼乾燥を処置するための眼用ゲル懸濁物を開示する。これらの懸濁組成物は、長期間にわたって眼内でゲルのままであり、そして水および1種以上の眼用粘滑薬または血管収縮薬を放出する。これらの懸濁組成物は、同等の球直径で50μm以下の粒径を有する、水に不溶性の軽く架橋したカルボキシル含有ポリマーを含有する。この粘滑薬は、好ましくは、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、デキストラン70、ゼラチン、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリソルベート80、プロピレングリコール、ポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドンのうちの少なくとも1つである。カルボキシル含有ポリマーとして特に好ましいものは、CARBOPOL(登録商標)976である。これらの懸濁組成物は、処方箋薬物を含有しない。
【0008】
特許文献3は、滴の形態での容易な投与を可能にするために適切な低い粘度を有するが、眼内で迅速にゲル化して持続性の薬物放出を提供する、眼用薬物の懸濁組成物を開示する。これらの懸濁組成物は、約3〜約6.5のpHで処方され、そして水に不溶性のカルボキシル含有ポリマー(1種以上のカルボキシル含有モノエチレン性不飽和モノマーと、約5重量%未満の架橋剤とを重合させることにより調製される)を含有する。CARBOPOL(登録商標)976およびポリカルボフィルが、適切なカルボキシル含有ポリマーの例として確認されている。これらの処方物は、これらのポリマーの熱ゲル化(thermogelling)特性に起因して、眼内でゲル化する。イオン交換樹脂が、1つの型のアジュバントとして、これらの懸濁組成物に含有され得る。粘滑薬が、これらの懸濁組成物において使用するために適切な多くの型の医薬のうちの1つとして確認されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,403,609号明細書
【特許文献2】米国特許第5,188,826号明細書
【特許文献3】米国特許第5,192,535号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の簡単な要旨)
本発明は、一般に、わずかに可溶性の粒子化合物(例えば、薬剤)、カルボキシビニルポリマー、ガラクトマンナン、およびボレートを含有する、局所水性眼用ナノ粒子懸濁物に関する。本発明の好ましい組成物は、アリルスクロースまたはアリルペンタエリトリトールと架橋したアクリル酸のカルボキシビニルポリマー、ガー、およびホウ酸を含有する、ネパフェナク懸濁物である。
【0011】
本発明の組成物は、生理学的に適合性であり、そして頻繁でない投薬間隔(例えば、1日に1回または2回)においてさえも、わずかに可溶性の粒子化合物(例えば、ネパフェナク)に良好なバイオアベイラビリティを提供する。カルボキシビニルポリマー溶液の粘度を維持することは、一般に非常に困難である。なぜなら、カルボキシビニルポリマーにより与えられる粘度は、塩濃度に非常に感受性であるからである。従って、このような溶液はしばしば、塩化ナトリウムを含有しない。しかし、涙液膜は比較的高濃度の塩化ナトリウムを含有するので、カルボキシビニルポリマー溶液の粘度は代表的に、眼に局所的に付けられると低下する。本発明者らは、カルボキシビニルポリマー溶液がガラクトマンナンおよびボレートもまた含有する場合、このカルボキシビニルポリマー溶液の粘度が維持され得ることを見出した。本発明の、カルボキシビニルポリマー、ガラクトマンナン、およびボレートの組成物は、眼に付けられる場合に安定な粘度を有し、そしてわずかに可溶性の粒子化合物の良好なバイオアベイラビリティを提供する。本発明者らはまた、50nm〜700nmという減少した粒径が、局所眼用懸濁物を使用して、標的組織におけるこのような化合物のバイオアベイラビリティを改善することを見出した。
【0012】
上記簡単な要旨は、本発明の特定の実施形態の特徴および技術的利点を広範に記載する。さらなる特徴および技術的利点は、以下の発明の詳細な説明に記載される。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
0.1w/v%〜0.5w/v%の濃度のカルボキシビニルポリマー;
0.1w/v%〜0.4w/v%の濃度のガラクトマンナン;
0.4w/v%〜2.0w/v%の濃度のボレート;ならびに
わずかに可溶性の粒子化合物であって、該化合物は、25℃で0.001w/v%〜0.1w/v%の水溶性、および50nm〜700nmの粒径を有する、わずかに可溶性の粒子化合物、
を含有する、局所投与可能な水性眼用懸濁組成物。
(項目2)
前記組成物が5.0〜7.2のpHを有するために充分な量のpH調整剤をさらに含有する、項目1に記載の組成物。
(項目3)
前記組成物が250mOsm/kg〜350mOsm/kgの浸透圧重量モル濃度を有するために充分な量の張度調整剤をさらに含有する、項目1に記載の組成物。
(項目4)
前記わずかに可溶性の粒子化合物が、0.1w/v%〜1.0w/v%の濃度のネパフェナクである、項目1に記載の組成物。
(項目5)
前記カルボキシビニルポリマーが、0.4w/v%の濃度のカルボマーである、項目1に記載の組成物。
(項目6)
0.005w/v%〜0.1w/v%の濃度の摩砕剤をさらに含有する、項目1に記載の組成物。
(項目7)
前記摩砕剤が界面活性剤またはポリマーである、項目6に記載の組成物。
(項目8)
前記摩砕剤がカルボキシメチルセルロースナトリウムである、項目7に記載の組成物。
(項目9)
金属塩化物塩の張度調整剤をさらに含有する、項目1に記載の組成物。
(項目10)
前記金属塩化物塩が、0.4w/v%の濃度の塩化ナトリウムである、項目9に記載の組成物。
(項目11)
非イオン性ヒドロキシル化合物を張度調整剤としてさらに含有する、項目1に記載の組成物。
(項目12)
防腐剤とキレート剤との両方をさらに含有する、項目1に記載の組成物。
(項目13)
前記防腐剤が、0.005w/v%の濃度の塩化ベンザルコニウムであり、そして前記キレート剤が、0.01w/v%の濃度のエデト酸二ナトリウムである、項目12に記載の組成物。
(項目14)
前記カルボキシビニルポリマーがカルボマーであり、前記ガラクトマンナンがガーであり、前記ボレートがホウ酸であり、そして前記わずかに可溶性の粒子化合物が、0.1w/v%〜1.0w/v%の濃度のネパフェナクである、項目1に記載の組成物。
(項目15)
0.4w/v%のカルボマー、0.2w/v%のガー、0.5w/v%のホウ酸、および0.3w/v%のネパフェナクを含有する、項目14に記載の組成物。
(項目16)
前記ネパフェナクが、400nmの平均粒径を有する、項目15に記載の組成物。
(項目17)
患者において眼障害を処置する方法であって、該患者に項目1に記載の組成物を局所投与する工程を包含する、方法。
(項目18)
前記眼障害が、
眼の表面および網膜の障害、緑内障、眼乾燥、眼の表面の疼痛、ブドウ膜炎、強膜炎、上強膜炎、角膜炎、外科的に誘導される炎症、眼内炎、虹彩炎、萎縮性黄斑変性、色素性網膜炎、医原性網膜症、網膜裂孔および網膜円孔、黄斑浮腫、類嚢胞黄斑浮腫、糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性網膜症、鎌状赤血球網膜症、網膜の静脈および動脈の閉塞、視神経症、滲出性黄斑変性、血管新生緑内障、角膜新生血管形成、毛様体炎、鎌状赤血球網膜症、ならびに翼状片
からなる群より選択される、項目17に記載の方法。
(項目19)
a)0.3w/v%の50nm〜700nmの粒径を有するネパフェナク;
b)0.4w/v%のカルボマー;
c)0.2w/v%のガー;
d)0.5w/v%のホウ酸;
e)0.06w/v%のカルボキシメチルセルロースナトリウム;
f)0.4w/v%の塩化ナトリウム;
g)0.5w/v%のプロピレングリコール;
h)組成物が7.0のpHを有するために充分な量のpH調整剤;
i)0.005%(w/v)の塩化ベンザルコニウム;
j)0.01%のエデト酸二ナトリウム;および
k)精製水、
から本質的になる、局所投与可能な眼用懸濁組成物。
(項目20)
0.1w/v%〜0.5w/v%のカルボマーを含有する局所眼用組成物が眼に局所的に付けられる場合に、該局所眼用組成物の粘度を維持する方法であって、該方法は、
該組成物中0.1w/v%〜0.4w/v%の濃度のガラクトマンナンを与えるために充分なガラクトマンナン、および該組成物中0.4w/v%〜0.6w/v%の濃度を与えるために充分なボレートを添加する工程
を包含する、方法。
(項目21)
前記組成物が5.0〜7.2のpHを有する、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記組成物が、わずかに可溶性の粒子化合物をさらに含有する、項目20に記載の方法。
(項目23)
前記わずかに可溶性の粒子化合物が、0.3w/v%の濃度のネパフェナクである、項目22に記載の方法。
【0013】
本発明およびその利点のより完全な理解は、添付の図面の図と一緒に以下の説明を参照することにより、得られ得る。図において、同じ参照番号は、同じ特徴を示す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、局所ネパフェナク処方物の投与後の、ウサギの虹彩の毛様体におけるアムフェナク(ネパフェナク代謝産物)の濃度を示すグラフである。
図2図2aおよび図2bは、局所ネパフェナク処方物の投与後の種々の時点における、ウサギの眼房水および虹彩の毛様体におけるアムフェナクの濃度を示すグラフである。
図3図3aおよび図3bは、局所ネパフェナク処方物を付けた後のウサギの眼房水および虹彩の毛様体における、ネパフェナクおよびアムフェナクの濃度対時間のプロットの曲線下面積を示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
本発明の組成物は、カルボキシビニルポリマーを含有する。これらのカルボキシビニルポリマーは、約50,000ダルトン〜約6百万ダルトンのおよその分子量を有する。これらのポリマーは、カルボン酸官能基を有すると特徴付けられる。好ましいカルボキシビニルポリマーとしては、水溶性カルボマーおよび水膨潤性カルボマーが挙げられる。多くのこのようなカルボマーは、商品名CARBOPOL(登録商標)のもとで、Lubrizol Corporationから入手可能である。カルボマーポリマーは、架橋したアクリル酸ベースのポリマーである。これらは、アリルスクロースまたはアリルペンタエリトリトールと架橋している。カルボマーコポリマーは、アクリル酸C10〜30アルキルで修飾され、アリルペンタエリトリトールと架橋した、アクリル酸のポリマーである。本発明の組成物において使用するために好ましいカルボマーは、アリルスクロースまたはアリルペンタエリトリトールと架橋したアクリル酸のポリマーであり、これは、CARBOPOL(登録商標)974Pとして市販されている。本発明の懸濁組成物中に存在するカルボキシビニルポリマーの量は、約0.1w/v%〜1.0w/v%の範囲、好ましくは0.1w/v%〜0.5w/v%の範囲、そして最も好ましくは、0.4w/v%である。
【0016】
カルボキシビニルポリマーに加えて、本発明の組成物は、ガラクトマンナン−ボレート系を水溶液中で利用する。ホウ酸陰イオンは、ガラクトマンナン分子のシス−ジオール基に縮合し、そして2つ目のガラクトマンナン分子と架橋し得る。ボレートとガラクトマンナンとの架橋は、とりわけpHなどの要因により影響を受け、そしてこのような架橋は次に、その溶液の粘度に影響を与える。
【0017】
本発明において使用され得るガラクトマンナンの型は代表的に、ガーゴム、イナゴマメガムおよびタラガム(tara gum)から誘導される。本明細書中で使用される場合、用語「ガラクトマンナン」とは、主構造成分としてマンノース部分もしくはガラクトース部分、または両方の基を含む、上記天然ガムまたは類似の天然ガムもしくは合成ガムから誘導された多糖類をいう。本発明の好ましいガラクトマンナンは、α−D−ガラクトピラノシル単位が(1−6)結合によって結合した、(1−4)−β−D−マンノピラノシル単位の線状鎖から構成される。
【0018】
好ましいガラクトマンナンに関して、D−ガラクトース対D−マンノースの比は変化するが、一般に、約1:2〜1:4である。約1:2のD−ガラクトース:D−マンノース比を有するガラクトマンナンが、最も好ましい。さらに、多糖類の他の化学修飾されたバリエーションもまた、「ガラクトマンナン」の定義に含まれる。例えば、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルおよびカルボキシメチルヒドロキシプロピルでの置換が、本発明のガラクトマンナンに対してなされ得る。ガラクトマンナンの非イオン性バリエーション(例えば、アルコキシ基およびアルキル基(C1〜C6)を含むもの)は、軟らかいゲルが望ましい場合に特に好ましい(例えば、ヒドロキシプロピル置換)。非シスヒドロキシル位での置換が、最も好ましい。本発明のガラクトマンナンの非イオン性置換の一例は、約0.4のモル置換(molar substitution)を有するヒドロキシプロピルガーである。陰イオン性置換もまた、ガラクトマンナンに対してなされ得る。陰イオン性置換は、強い応答性のゲルが望ましい場合に、特に好ましい。ガラクトマンナンは代表的に、本発明の処方物中に、約0.01w/v%〜約10w/v%の濃度、好ましくは約0.1w/v%〜約2.0w/v%の濃度、そして最も好ましくは約0.1w/v%〜約0.4w/v%の濃度で存在する。本発明の好ましいガラクトマンナンは、ガー、天然ガー、およびヒドロキシプロピルガーである。本発明の好ましい実施形態において、天然ガーは、約0.2w/v%の濃度で存在する。天然ガー(例えば、USP、またはTIC Gums,Inc.から得られる一般等級の天然ガー粉末)は、特に好ましい。特に好ましい天然ガーを製造するためのプロセスは、同時係属中の米国特許出願番号12/701,339(発明の名称「Process for Purifying Guar」、2010年2月5日出願)に開示されている。
【0019】
本発明の組成物において使用され得るボレート化合物としては、ホウ酸ならびに他の薬学的に受容可能な塩(例えば、ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)およびホウ酸カリウム)が挙げられるが、これらに限定されない。ボレートは代表的に、0.2w/v%〜2.0w/v%の濃度、より好ましくは0.4w/v%〜0.6w/v%の濃度、そして最も好ましくは約0.5w/v%で存在する。本明細書中で使用される場合、用語「ボレート」とは、薬学的に適切な全ての形態のボレート(ホウ酸、ならびにアルカリ金属ホウ酸塩(例えば、ホウ酸ナトリウムおよびホウ酸カリウム)が挙げられるが、これらに限定されない)をいう。ホウ酸は、本発明の実施形態において使用される好ましいボレートである。
【0020】
本発明の特定の水性組成物は、薬学的に有効な量のネパフェナクまたは他のわずかに可溶性の粒子化合物を含有する。本明細書中で使用される場合、「水にわずかに可溶性」または「わずかに可溶性の粒子化合物」とは、25℃で0.001w/v%〜0.1w/v%の範囲の水への溶解限度を有する、化合物または薬剤を意味する。ネパフェナクは、公知の非ステロイド性抗炎症化合物であり、公知の方法により作製され得る。例えば、米国特許第5,475,034号および同第4,313,949号を参照のこと。その全内容は、本明細書中に参考として援用される。ネパフェナクは、2−アミノ−3−ベンゾイルフェニル酢酸としてもまた公知である。ネパフェナク、ならびに他の3−ベンゾイルフェニル酢酸のアミド誘導体およびエステル誘導体の、眼の炎症および疼痛を処置するための局所使用は、米国特許第5,475,034号に開示されている。本発明のネパフェナク組成物は一般に、0.1w/v%〜1.0w/v%、好ましくは0.25w/v%〜0.35w/v%、そして最も好ましくは約0.3w/v%のネパフェナクを含有する。
【0021】
本発明者らは、本発明の特定の組成物において、ネパフェナクの粒径を減少させることにより、ネパフェナクのバイオアベイラビリティが増強されることを見出した。従って、好ましい組成物は、50nm〜700nmの平均粒径、100nm〜600nmのより好ましい平均粒径、および400nmの最も好ましい平均粒径を有する。ナノメートルおよびサブミクロンの薬物の粒子を製造する方法は、公知であり、摩砕、高圧均質化、または溶液からの小さい結晶の形成が挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
本発明の実施形態において使用され得る他のわずかに可溶性の粒子化合物としては、非ステロイド性抗炎症化合物、炭酸脱水酵素インヒビター、抗真菌剤、ホスホジエステラーゼIVインヒビター、レセプターチロシンキナーゼインヒビター、rhoキナーゼインヒビター、ブラジキニンアゴニスト、CNPアゴニスト、H1/sykキナーゼインヒビター、VEGFインヒビター、抗体およびそのフラグメント、TNF−αインヒビター、ハロゲン化アミノ酸などのハロゲン化化合物、ならびにステロイドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
本発明の組成物は、被験体の眼に付けるために、眼科的に適切である。これらの滴は、単回用量アンプルから送達され得、この単回用量アンプルは、好ましくは滅菌され得、従って、この処方物の静菌成分を不必要にし得る。あるいは、これらの滴は、多回用量瓶から送達され得、この多回用量瓶は、好ましくは、処方物が送達される際にこの処方物からあらゆる防腐剤を抽出するデバイスを備え得る。このようなデバイスは、当該分野において公知である。
【0024】
本発明の組成物は、1種以上のさらなる賦形剤および/または1種以上のさらなる活性成分(例えば、薬剤)を必要に応じて含有し得る。薬学的組成物において一般的に使用される賦形剤としては、粘滑薬、張度剤、防腐剤、防腐助剤、キレート剤、緩衝剤、および界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。他の賦形剤としては、可溶化剤、粘度調整剤、安定剤、快感増強剤、ポリマー、皮膚軟化薬、pH調整剤および/または滑沢剤が挙げられる。
【0025】
本発明の組成物は、金属塩化物塩(例えば、塩化ナトリウム)または非イオン性張度調整剤(例えば、プロピレングリコールもしくはヒドロキシル化合物)を、さらなる張度調整剤として必要に応じて含有する。適切な緩衝剤としては、ホスフェート、アセテートなど、およびアミノアルコール(例えば、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP))が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい組成物において、金属塩化物塩(例えば、塩化ナトリウム)が、0.15w/v%〜0.5w/v%の濃度で、最も好ましくは0.4w/v%で存在する。
【0026】
本明細書中に記載される組成物は、1種以上の防腐剤を含有し得る。眼科的に受容可能な多くの防腐剤が公知であり、そしてベンザルコニウムハロゲン化物およびポリクオタニウム−1(polyquaternium−1)が挙げられるが、これらに限定されない。最も好ましい防腐剤は、塩化ベンザルコニウム(「BAC」)およびポリクオタニウム−1である。塩化ベンザルコニウムの場合、この防腐剤は、好ましくは0.001%〜0.02%の量、そして最も好ましくは0.005%の量で存在する。
【0027】
本発明の組成物は、蒸発および/または疾患により引き起こされる涙液のあらゆる高張性と戦う目的で、好ましくは、等張性またはわずかに低張性である。このことは、張度剤がこの処方物の浸透圧重量モル濃度を、1キログラムあたり250ミリ浸透圧モル〜350ミリ浸透圧モル(mOsm/kg)のまたはその近くレベルにすることを必要とし得る。本発明の組成物は一般に、250mOsm/kg〜350mOsm/kgの範囲の浸透圧重量モル濃度を有する。これらの眼用組成物は一般に、滅菌水溶液として処方される。用語「水(性)」とは、代表的に、その処方物が50重量%より多い水、より好ましくは75重量%より多い水、そして特に、90重量%より多い水である、水性処方物を表わす。
【0028】
本発明の水性組成物は、1種以上の緩衝剤(例えば、リン酸緩衝剤(例えば、リン酸二ナトリウムおよびリン酸一ナトリウム)ならびにクエン酸緩衝剤)を必要に応じて含有する。この緩衝剤は、その組成物の目標pHに基づいて選択され、この目標pHは一般に、pH5.0〜8.5の範囲である。組成物の目標pHは、選択される眼用薬物に依存する。ネパフェナクの場合、望ましいpHは、好ましくは5.0〜7.2であり、そして最も好ましくは6.0である。眼科的に受容可能なpH調整剤は公知であり、そして塩酸(HCl)および水酸化ナトリウム(NaOH)が挙げられるが、これらに限定されない。1つの特に好ましい実施形態において、組成物のpHは、5.8〜6.8である。
【0029】
非イオン性摩砕剤(milling agent)(例えば、チロキサポール、ポリソルベート80、およびカルボキシメチルセルロースナトリウム)が、本発明の特定の実施形態において含まれ得る。存在する場合、このような摩砕剤は、本発明の組成物中で0.005w/v%〜0.1w/v%の濃度を有する。
【0030】
適切なキレート剤としては、エデト酸二ナトリウム;エデト酸三ナトリウム;エデト酸四ナトリウム;およびジエチレンアミンペンタ酢酸が挙げられる。最も好ましいものは、エデト酸二ナトリウムである。含有される場合、このキレート剤は代表的に、0.001w/v%〜0.1w/v%の量で存在する。エデト酸二ナトリウムの場合、このキレート剤は、好ましくは、0.01%の濃度で存在する。
【0031】
本発明の組成物は、多くの眼障害を処置するために使用され得る。これらの障害としては、眼の表面および網膜の障害、緑内障、眼乾燥、眼の表面の疼痛、ブドウ膜炎、強膜炎、上強膜炎、角膜炎、外科的に誘導される炎症、眼内炎、虹彩炎、萎縮性黄斑変性、色素性網膜炎、医原性網膜症、網膜裂孔および網膜円孔、黄斑浮腫(例えば、類嚢胞黄斑浮腫)、糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性網膜症、鎌状赤血球網膜症、網膜の静脈および動脈の閉塞、視神経症、滲出性黄斑変性、血管新生緑内障、角膜新生血管形成、毛様体炎、鎌状赤血球網膜症、ならびに翼状片が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、1日1回投与される。本発明の特定の組成物の増強されたバイオアベイラビリティは、ネパフェナク含有組成物の1日1回の投薬を可能にする。この投薬計画は、患者のコンプライアンスおよび首尾よい処置の見込みを改善する。しかし、これらの組成物はまた、任意の投与頻度(1週間に1回、5日に1回、3日に1回、2日に1回、1日に2回、1日に3回、1日に4回、1日に5回、1日に6回、1日に8回、毎時間、またはより高い頻度が挙げられる)での投与のために処方され得る。このような投薬頻度はまた、治療計画に依存して、様々な持続時間にわたって維持される。特定の治療計画の持続期間は、1回の投薬から、数ヶ月または数年間に及ぶ計画まで変わり得る。当業者は、特定の適応症についての治療計画の決定に馴染んでいる。
【0033】
本発明の特定の局面は、多数の利点を有する。ゲル化組成物は、無色透明なゲルを形成し、視覚を妨害しない。これらのゲルは、眼に付けられる場合、小さいpH変化によって活性化される。さらに、ガーおよびカルボマーポリマーは、オートクレーブ処理される場合にくもり点を有さないので、容易な滅菌を与える。これらのポリマーはまた、一般に使用される多くの賦形剤と適合性である。
【0034】
以下の実施例は、本発明の選択された実施形態をさらに説明するために与えられる。
【実施例】
【0035】
(実施例1)
【0036】
【表1】
(実施例2)
【0037】
【表2】
(実施例3)
図1は、carbopol中0.3w/v%のネパフェナクの処方物(FID114971)およびcarbopol/ガー/ボレート中0.3w/v%のネパフェナクの処方物(FID114949)と比較した、市販のネパフェナクの0.1w/v%懸濁物(NEVANAC(登録商標))の投与後の、ウサギの虹彩の毛様体(ICB)におけるアムフェナク(ネパフェナク代謝産物)の濃度を示すグラフである。このグラフは、carbopol/ガー/ボレートの処方物が、carbopolのみを含有する類似の処方物よりも良好なバイオアベイラビリティを提供することを実証する。NEVANACの処方物は、carbopol/ガー/ボレートの処方物と比較して、ICB中により低い量のアムフェナクを含んだ。
【0038】
(実施例4)
ネパフェナクおよびその代謝産物であるアムフェナクの分布を、ニュージーランド白ウサギにおいて研究した。ウサギに両側で投薬し、屠殺し、そして眼房水(AH)および虹彩の毛様体(ICB)の組織を、LC/MS/MSを使用して分析した。図2aおよび図2bに示される各時点についてのデータは、6つのウサギの眼から測定された濃度の平均である。1日3回(TID)投薬された動物は、8時間空けて3用量を4日間受け、5日目の朝に1用量を受けた。1日1回(QD)投薬された動物は、1用量を5日間受けた。
【0039】
図2aおよび図2bは、ネパフェナク処方物の投与後の種々の時点における、ウサギの眼房水および虹彩の毛様体におけるアムフェナクの濃度を示すグラフである。図3aおよび図3bは、局所ネパフェナク処方物を付けた後のウサギの眼房水および虹彩の毛様体における、ネパフェナクおよびアムフェナクの濃度対時間のプロットの曲線下面積を示す棒グラフである。これらの図は、試験したcarbopol/ガーのネパフェナク処方物が一貫して、現在市場に出ているネパフェナク処方物およびcarbopolのみを含む処方物よりも高いバイオアベイラビリティをもたらしたことを示す。眼への局所投与の際に、carbopol/ガーのネパフェナク処方物(FID 114949)は、carbopolのみの処方物(FID 104045)よりも高いバイオアベイラビリティを示した。ネパフェナクの粒径が約400nmまで減少させられる場合、ナノ粒子のcarbopol/ガーの処方物(FID 115535)は、より大きい粒径を有する処方物よりも増大したバイオアベイラビリティを示した。全てのcarbopol/ガーの処方物は、図2aおよび図2bに示されるように、全ての時点において、眼房水および虹彩の毛様体でのより高いアムフェナク濃度をもたらした。
【0040】
ネパフェナクのcarbopol/ガーのナノ懸濁物を、以下の様式で作製した。2000mLのガラス容器に、200gの2% CARBOPOL(登録商標)974Pのストック溶液を取った。これに、5gのホウ酸、4gの塩化ナトリウムおよび約200gの精製水を順番に添加した。よく撹拌して溶解させ、そしてpHを7.0に調整した。これに、ガーの0.5%ストック溶液を400g添加し、そして徹底的に混合した。この溶液に、5gのプロピレングリコール、5gの1%塩化ベンザルコニウムストック溶液および10gの1% EDTA二ナトリウムストック溶液を添加した。この溶液のpHを確認し、そして精製水を添加することにより950gに調整した。この溶液を121℃で35分間オートクレーブ処理した。冷却して、CMC溶液中5%ネパフェナクのストックスラリーを60g添加した。得られた溶液をよく撹拌し、そして精製水によって、100%のバッチサイズになるために充分な量にした。
【0041】
このネパフェナクスラリーを、以下の様式で作製した。1000mLのガラス容器内で、10gのカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)7LF PHを2時間水和させ、次いで121℃で35分間オートクレーブ処理した。ネパフェナクの3%〜5%スラリーを、上記CMC溶液中で無菌的に調製した。この懸濁物を、ハンドヘルドホモジナイザーで5000RPM〜10000RPMで10分間、均質化した。次いで、このスラリーを、Netszch Minicer High Energy Mill(HEM)で、0.2mmのZrビーズを140mL使用して、クリーンルーム内で3000RPMで30分間、無菌的に摩砕して、目標粒径を達成した。得られたスラリーの粒径を確認した。
【0042】
本発明およびその実施形態が詳細に記載された。しかし、本発明の範囲は、本明細書中に記載されたいずれかのプロセス、製造、組成物、化合物、手段、方法、および/または工程の特定の実施形態に限定されることは意図されない。種々の改変、置換およびバリエーションが、本発明の趣旨および/または本質的な特徴から逸脱することなく、開示される材料に対してなされ得る。従って、添付の特許請求の範囲は、本明細書中に開示されるプロセス、製造、組成物、化合物、手段、方法、および/または工程に対する改変、置換、およびバリエーションを、その範囲に含むことが意図される。本明細書中に記載された全ての特許および刊行物は、各個々の刊行物が参考として援用されると明示的に個々に示されるのと程度まで、本明細書中に参考として援用される。

図1
図2
図3