(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を
図1〜
図14を用いて説明する。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
【0023】
(画像形成装置の概略)
まず、
図1を用いて、実施形態に係る画像読取装置100を含む電子写真方式の複合機200(画像形成装置に相当)の概略を説明する。
図1は複合機200の概略構成を示す正面視模型的断面図である。
【0024】
図1に示すように、本実施形態に係る複合機200は上方に画像読取装置100を有する。画像読取装置100は搬送読取用コンタクトガラス11(コンタクトガラスに相当)又は載置読取用コンタクトガラス12上面に向け光を照射し、反射光に基づきイメージセンサー15により原稿を読み取って画像データを生成する画像読取部1と、画像読取部1の上方に設けられ、画像読取部1に対し上下方向に開閉し、搬送読取用コンタクトガラス11に向けて原稿を搬送する原稿搬送部2を含む。尚、画像読取装置100の詳細は後述する。
【0025】
又、
図1に破線で示すように、画像読取部1の正面側に操作パネル3が設けられる。操作パネル3は複合機200の設定用のキーを表示し、タッチパネル式であり、使用者の入力を受け付ける液晶表示部30を有する。又、液晶表示部30はジャムや用紙切れ等のエラー等の複合機200の状態を表示できる。又、コピー部数等の数字入力を行うためのテンキー部31や、コピー実行を指示するためのスタートキー32等が操作パネル3に配される。
【0026】
そして、
図1に示すように、本実施形態の複合機200は本体内部に、給紙部4a、搬送部4b、画像形成部5a、中間転写部5b、定着部5c等を備える。複数の給紙部4aはそれぞれ、各サイズ(例えば、A4、B4等のA型、B型用紙等)、各種用紙(例えば、コピー用紙、再生紙、厚紙、OHPシート等)を複数枚収容する。各給紙部4aはそれぞれ回転駆動する給紙ローラー41を備える。印刷時、いずれかの給紙部4aの給紙ローラー41が回転し、1枚ずつ搬送部4bに用紙を送り込む。
【0027】
搬送部4bは装置内で用紙を搬送する通路である。そして、搬送部4bには、用紙の案内のためのガイド板や、用紙搬送時に回転駆動する搬送ローラー対42(
図1おいて、上方から42a、42b、42cの計3つ)や、搬送される用紙を画像形成部5aの手前で待機させ、形成されたトナー像の転写タイミングに合わせ用紙を送り出すレジストローラー対43等が設けられる。又、定着完了後の用紙を排出トレイ44に排出する排出ローラー対45も設けられる。
【0028】
画像形成部5aは複数の画像形成ユニット50(ブラック用の50Bk、イエロー用の50Y、シアン用の50C、マゼンタ用の50M)と露光装置51を含む。露光装置51は画像読取部1で読み取られた画像データ等に基づき、レーザ光を点消灯しつつ出力し、各感光体ドラムを走査露光する。各画像形成ユニット50は回転駆動可能に支持された感光体ドラムや、感光体ドラムの周囲に配設された帯電装置、現像装置、清掃装置等を備える。そして、各画像形成ユニット50と露光装置51によって、感光体ドラムの周面上にトナー像が形成される。
【0029】
中間転写部5bは各画像形成ユニット50からトナー像の1次転写を受け、用紙に2次転写を行う。中間転写部5bは各1次転写ローラー52Bk〜52M、中間転写ベルト53、駆動ローラー54、複数の従動ローラー55a、55b、2次転写ローラー56、ベルト清掃装置57等で構成される。各1次転写ローラー52Bk〜52Mと対応する各感光体ドラムは無端状の中間転写ベルト53を挟み込む。各1次転写ローラー52Bk〜52Mには、転写用電圧が印加され、トナー像は中間転写ベルト53に転写される。
【0030】
中間転写ベルト53は駆動ローラー54や各1次転写ローラー52Bk〜52M等に張架される。そして、中間転写ベルト53はモーター等の駆動機構(不図示)に接続される駆動ローラー54の回転駆動により周回する。又、駆動ローラー54と2次転写ローラー56は中間転写ベルト53を挟み込む。各画像形成ユニット50で形成されたトナー像(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの各色)は順次、ずれなく重畳して中間転写ベルト53に1次転写された後、所定の電圧を印加された2次転写ローラー56により、シートに転写される。
【0031】
定着部5cは用紙に転写されたトナー像を定着させる。定着部5cは主として、発熱体を内蔵する加熱ローラー58とこれに圧接する加圧ローラー59からなる。用紙が、加熱ローラー58と加圧ローラー59のニップを通過すると、トナーが溶融・加熱され、トナー像が用紙に定着する。定着部5cからの排出用紙は排出トレイ44に送られる。
【0032】
(画像読取装置100の構成)
次に、
図2を用いて、実施形態に係る画像読取装置100の一例を説明する。
図2は画像読取装置100の一例を示す模型的断面図である。
【0033】
まず、原稿搬送部2は読み取りを行う原稿を1枚ずつ、自動的に連続して搬送読取用コンタクトガラス11に搬送する。原稿搬送部2は原稿搬送方向上流側から順に、原稿トレイ21、原稿供給ローラー22、原稿搬送路23、複数の原稿搬送ローラー対24、原稿排出ローラー対25、原稿排出トレイ26等を備える。又、原稿搬送部2は
図2の紙面奥側を支点として画像読取部1に上下方向に開閉自在に取り付けられ、画像読取部1の各コンタクトガラスを上方から押さえるカバーとして機能する。
【0034】
尚、搬送読取用コンタクトガラス11の上面には、白色板27が設けられる。原稿は搬送読取用コンタクトガラス11と白色板27の間を通過しつつ搬送される。言い換えると、白色板27は原稿搬送におけるガイドとして機能する。そして、原稿が搬送されていないときに読取を行うと、イメージセンサー15は白色板27を読み取ることになる。
【0035】
読み取りを行う複数枚の原稿は原稿トレイ21に載置される。そして、原稿供給ローラー22は原稿トレイ21に載置された原稿のうち最上位の原稿に当接する。例えば、スタートキー32が押された等、原稿読取を行う旨の入力が複合機200に入力されると、原稿供給ローラー22は原稿搬送路23に原稿を1枚ずつ送り出す。
【0036】
原稿トレイ21から送り出された原稿は複数の原稿搬送ローラー対24やガイドに導かれ、画像読取部1上面に設けられた搬送読取用コンタクトガラス11の上面を通過する。この通過の際、画像読取部1が読取を行う。そして、読取が完了した原稿は原稿排出ローラー対25から原稿排出トレイ26に排出される(原稿搬送経路を2点鎖線で図示)。尚、上記の各回転体(原稿供給ローラー22、原稿搬送ローラー対24、原稿排出ローラー対25)は原稿搬送モーター28(
図4参照)を駆動源として回転する。
【0037】
次に、本実施形態における画像読取部1を説明する。
図1や
図2に示すように、画像読取部1は箱形の筐体を有する。そして、画像読取部1の上面左側に、主走査方向(
図2の紙面に垂直な方向)を長手方向とし、透明板状の搬送読取用コンタクトガラス11が配される。そして、画像読取部1の上面で搬送読取用コンタクトガラス11の右側に、透明板状の載置読取用コンタクトガラス12が配される。書籍等の原稿を1枚ずつ読み取るとき、使用者は原稿搬送部2を持ち上げ、読取面を下向きにして、載置読取用コンタクトガラス12に原稿を載置する。
【0038】
又、
図2に示すように、画像読取部1の筐体内に、第1移動枠61(光学部、読取部に相当)、第2移動枠62(光学部、読取部に相当)、ワイヤー63(移動部に相当)、巻取ドラム64(移動部に相当)、レンズ14(読取部に相当)と、原稿に照射された光が入射され、1ライン毎に原稿を読み取り、画像データを生成するためのイメージセンサー15(読取部に相当)等が配される。そして、第1移動枠61、第2移動枠62、レンズ14、イメージセンサー15等が原稿の読み取りを行う読取部となる。
【0039】
第1移動枠61は主走査方向に沿って原稿に光を照射する光源610(光学部、読取部に相当)と下方に第1ミラー611(光学部、読取部に相当)を支持する。尚、光源610として、LEDランプや蛍光管(例えば、冷陰極管)によるランプなどを用いることができ、特にランプの種類に制限はない。そして、第2移動枠62は上方に第2ミラー622(光学部、読取部に相当)を、下方で第3ミラー623(光学部、読取部に相当)を支持する。又、第1移動枠61は第2移動枠62の上方に配される。尚、光源610、第1ミラー611、第2ミラー622、第3ミラー623は主走査方向(
図2の紙面垂直方向)に延びる形状である。
【0040】
複数本のワイヤー63が、第1移動枠61及び第2移動枠62には取り付けられる(尚、
図2では、便宜上、ワイヤー63は1本のみ図示)。又、ワイヤー63の他端は巻取ドラム64に接続される。巻取ドラム64は巻取モーター65(移動部に相当、
図4参照)を駆動源とする。巻取モーター65の正逆回転により、巻取ドラム64は正逆回転する。これにより、第1移動枠61と第2移動枠62を水平方向に自在に移動させることができる。尚、各移動枠(第1移動枠61と第2移動枠62)の位置による光源610からイメージセンサー15までの光路長の差を少なくするため、画像読取部1内部では複数のプーリー(不図示)が設けられる。そして、ワイヤー63の張り方とプーリーに対するワイヤー63の架け回しは第1移動枠61と第2移動枠62で異なっており、例えば、第1移動枠61の移動距離を1とすると、第2移動枠62の移動距離は0.5とされる(第1移動枠61の方が速く移動される)。
【0041】
光源610から発せられた光は搬送読取用コンタクトガラス11上の原稿に当たり反射する。第1ミラー611、第2ミラー622、第3ミラー623は反射させつつ反射光をレンズ14に導く。レンズ14は反射光を集光しイメージセンサー15に入射する。例えば、イメージセンサー15はライン状に受光素子70(光電変換素子)を複数並べたラインセンサー7を含む(詳細は後述)。
【0042】
そして、イメージセンサー15の各受光素子70(各画素)は反射光のレベル(受光量)に応じてアナログの電気信号に変換する。原稿の主走査方向(原稿搬送方向と垂直な方向)にライン単位で読取が行われ、ライン単位の読取を副走査方向(原稿搬送方向)に連続して繰り返し行って、1枚の原稿が読み取られる。
【0043】
ここで、具体的な原稿読取動作の一例を説明しておく。まず、原稿搬送部2により搬送される原稿の読取の場合、巻取モーター65が駆動し、第1移動枠61と第2移動枠62は搬送読取用コンタクトガラス11の下方位置に固定される。そして、通過する原稿に対し光源610は光を照射する。一方、載置読取用コンタクトガラス12上に載置された原稿を読み取る場合、光源610を点灯させつつ第1移動枠61及び第2移動枠62を巻取ドラム64やワイヤー63等により、ホームポジションから
図2の右方向に水平に移動させる。そして、イメージセンサー15による、走査動作を、順次原稿先頭から後端まで連続的に行うことで、原稿全体が読み取られ、原稿画像が電気信号に変換される。
【0044】
(複合機200のハードウェア構成)
次に、
図3に基づき本発明の実施形態に係る複合機200のハードウェア構成の一例を説明する。
図3は複合機200のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0045】
まず、複合機200には、複合機200の全体の制御を司る主制御部201が設けられる。主制御部201には、中央演算処理装置として、CPU202が設けられる。又、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)やHDD(Hard disk drive)やフラッシュROM等の不揮発性と揮発性のメモリーからなる記憶装置203が、主制御部201内(主制御部201外でもよい)に設けられる。
【0046】
記憶装置203は複合機200を制御するためのプログラム、データ等を記憶する。主制御部201は記憶装置203のプログラムやデータを利用して、各部を制御し、印刷を行わせる。尚、主制御部201は全体制御や通信制御や画像処理を行うメイン制御部や、トナー像形成制御や各種回転体を回転させるモーター等のON/OFF等を行い、印刷を制御するエンジン制御部等、機能ごとに分割して複数種設けられてもよい。
【0047】
又、主制御部201には、画像読取装置100から出力される画像データに基づき、画像処理を行う画像処理部204が設けられる。例えば、画像処理部204はASICや画像メモリー等で構成され、濃度変換処理や、拡大縮小処理や、回転処理や、画像データの圧縮、伸張処理などの各種画像処理を行える。尚、画像処理部204はその他の画像処理(例えば、枠消し処理)等を行うこともできるが、公知の画像処理を行えるものとして説明を割愛する。
【0048】
そして、主制御部201は給紙部4a、搬送部4b、画像形成部5a、中間転写部5b、定着部5c、操作パネル3等と接続される。主制御部201は用紙搬送やトナー像形成等、各部の動作制御を行う。又、操作パネル3での設定やコピー実行指示は主制御部201に伝達される。主制御部201は画像読取装置100とも接続される。例えば、コピー実行時等、主制御部201は画像読取装置100に対して動作指示を与え、原稿の画像データを画像読取部1から受け取り、画像データに基づき、画像形成部5aにトナー像形成(印刷)を行わせる(コピー)。
【0049】
又、複合機200には、外部との通信インターフェイスとしての通信部205を含む。例えば、通信部205は外部のコンピューター300(例えば、パーソナルコンピューターやサーバー)やFAX装置400と、ネットワークやケーブルや公衆回線を介して通信を行う。例えば、通信部205はネットワークやケーブルや公衆回線と接続するための複数のコネクタや、通信制御用のコントローラー、チップ、モデム等の通信用回路を含む。この通信部205により、複合機200はコンピューター300等から画像データや印刷の設定データを含む印刷用データを受け、印刷を行うことができる(プリンタ機能)。又、画像読取部1で原稿を読み取って得られた画像データを外部のコンピューター300やFAX装置400に送信することができる(スキャン、送信機能)。
【0050】
(画像読取装置100のハードウェア構成)
次に、
図4、
図5に基づき、実施形態に係る画像読取装置100のハードウェア構成の一例を説明する。
図4は画像読取装置100の構成の一例を示すブロック図である。
図5はイメージセンサー15の構成の一例を示す説明図である。
【0051】
上述したように、本実施形態の画像読取装置100は原稿搬送部2と画像読取部1を含む。そこで、まず、原稿搬送部2から説明する。
【0052】
原稿搬送部2はコピー機能や送信機能を用いるため、原稿の読み取りを行うとき、原稿トレイ21に載置された原稿を搬送読取用コンタクトガラス11に向けて、1枚ずつ連続的、自動的に搬送する。原稿搬送部2はADF(Auto Document Feeder)と呼ばれることもある。
【0053】
そして、原稿搬送部2には、原稿搬送部2の動作の制御を行う原稿搬送制御部20が設けられる。原稿搬送制御部20は上述の主制御部201や読取制御部10と通信可能に接続される。例えば、原稿搬送制御部20は中央演算処理装置としてのCPUや、制御用のプログラムやデータを記憶するROM、RAMを含む基板である。原稿搬送制御部20は主制御部201等と通信を行い、又、主制御部201や読取制御部10からの原稿搬送開始の指示を受け、原稿搬送部2の動作制御を行う。例えば、主制御部201から原稿の読取指示があった場合、原稿搬送モーター28を駆動させ、原稿供給ローラー22や原稿搬送ローラー対24等を回転させる。
【0054】
次に、画像読取部1を説明する。まず、画像読取部1には、画像読取部1の動作の制御を行う読取制御部10が設けられる。読取制御部10は上述の主制御部201や原稿搬送制御部20と通信可能に接続される。そして、読取制御部10は主制御部201からの指示、信号を受け、原稿の読み取りを行う。読取制御部10は処理装置としてのCPUやASICを含む基板である。
【0055】
そして、読取制御部10には、画像読取装置100の制御に必要なプログラム、データを記憶するROM、RAMを含む記憶部16が通信可能に接続される。尚、記憶部16は読取制御部10に実装される形態でもよい。
【0056】
そして、例えば、操作パネル3のスタートキー32が押された場合等、コピー機能や送信機能を用いるため、原稿の読み取りを行うとき、主制御部201の指示を受け、読取制御部10は画像読取部1内の各部材の動作制御や、読取で得られた画像データの主制御部201への送信制御を行う。
【0057】
又、読取制御部10は巻取モーター65と接続される。これにより、巻取モーター65の回転を制御し、巻取ドラム64を回転させ、各移動枠(第1移動枠61、第2移動枠62)を水平方向に移動させる。例えば、巻取モーター65はパルスモーターである。
【0058】
そして、読取制御部10は各移動枠を移動させる分だけのパルスを巻取モーター65に入力する。これにより、読取制御部10から受けたパルス数だけ巻取モーター65が回転し、各移動枠が移動する。言い換えると、読取制御部10は巻取モーター65の回転を制御して、副走査方向での各移動枠の移動を制御する。
【0059】
読取制御部10はイメージセンサー15による読み取りでの副走査方向での1ラインの幅の単位で各移動枠を移動させられる(例えば、600dpiならば42.3μm単位)。言い換えると、1パルスにより各移動枠が移動する距離(分解能)は少なくともイメージセンサー15の副走査方向での読取幅の整数分の1以下である。これにより、搬送読取用コンタクトガラス11内でのイメージセンサー15の読取ライン8の位置を1画素単位(1ライン単位)でずらすことができる。
【0060】
又、読取制御部10は光源610を点灯させる点灯回路612やイメージセンサー15やA/D変換部17(生成部に相当)や補正処理部18等と接続され、主制御部201からの指示に応じ、原稿の読み取りを行うべき旨の指示、言い換えると、駆動すべき旨の指示を与える。
【0061】
点灯回路612は光源610を点灯させる回路である。例えば、光源610がLEDの場合、点灯回路612はLEDに直流電流を流す回路である。又、光源610が蛍光管(例えば、冷陰極管)の場合、例えば、点灯回路612はインバーターである。そして、読取制御部10は主制御部201からの読み取り開始の指示に基づき、点灯回路612に光源610を点灯させる。
【0062】
イメージセンサー15は原稿に照射された光を受け、各画素についてR(Red)、G(Green)、B(Blue)、Bk(Black/White)の4種のアナログの電気信号を出力する。各画素の電気信号の大きさは受光量に応じ異なる。
【0063】
ここで、
図5を用いて、本実施形態に係るイメージセンサー15の構成を説明する。例えば、本実施形態のイメージセンサー15は600dpiでの読み取りが可能である。そして、
図5に示すように、イメージセンサー15には、主走査方向(複合機200の前後方向、原稿搬送方向と垂直な方向)にのびるラインセンサー7が4つ設けられる。
【0064】
例えば、各ラインセンサー7は
図4に示すように、ラインセンサー7Bk(白黒読取用)、ラインセンサー7B(ブルー)、ラインセンサー7G(グリーン)、ラインセンサー7R(レッド)の順に設けられる。尚、各色の配置、順番は入れ替えてもよい。尚、以下の説明では、Bk、B、G、Rの色の区別を示す符号を省略し、単にラインセンサー7と称することがある。そして、4つのラインセンサー7を同時に動作させることができる。
【0065】
本実施形態の画像読取装置100、複合機200では、白黒(白黒モード)で原稿読み取りを行うか、カラー(カラーモード)で原稿の読み取りを行うかを操作パネル3で設定することができる。従って、操作パネル3は原稿読み取りでのカラー設定(白黒モードとカラーモードの選択)を受け付ける入力部として機能する。
【0066】
そして、白黒(白黒モード)での読み取りを行うとき、ラインセンサー7Bkを用いて原稿の読み取りがなされる。言い換えると、白黒での読み取りを行うとき、ラインセンサー7Bkの出力に基づき画像データが生成される。
【0067】
一方、カラー(カラーモード)での読み取りを行うとき、ブルーのラインセンサー7B、グリーンのラインセンサー7G、レッドのラインセンサー7Rを用いて原稿の読み取りがなされる。言い換えると、カラーでの読み取りを行うとき、ラインセンサー7B、ラインセンサー7G、ラインセンサー7Rの出力に基づき、R、G、Bの画像データが生成される。又、主制御部201の画像処理部204はR、G、Bの画像データから輝度情報(白黒を示す情報)を生成できる。
【0068】
そして、
図5に示すように、4本の各ラインセンサー7は相互に平行に配される。そして、各ラインセンサー7には、それぞれ受光素子70(光電変換素子)がライン状に並べられる。例えば、ラインセンサー7B、ラインセンサー7G、ラインセンサー7Rには、それぞれの色ごとに色分解フィルタが設けられる。一方、ラインセンサー7Bkには、色分解フィルタは設けられていない。
【0069】
又、
図5に示すように、例えば、カラー読取用のラインセンサー7Bとラインセンサー7Gの間隔とラインセンサー7Gとラインセンサー7Rの間隔は等しくされる(間隔D1)。又、本実施形態のイメージセンサー15では、白黒読取用のラインセンサー7Bkとブルーのラインセンサー7Bの間隔D2は間隔D1の2倍である。
【0070】
又、読取制御部10はホームポジションセンサーHSと接続される。ホームポジションセンサーHSは第1移動枠61がホームポジションに到達したことを検知するセンサーである。第1移動枠61はジョブが完了するとホームポジションに戻る。ホームポジションは任意に定めることができるが、例えば、載置読取用コンタクトガラス12と搬送読取用コンタクトガラス11の間の下方とされる。尚、第1移動枠61の位置に応じて第2移動枠62の位置は予め決まっているので、第1移動枠61をホームポジションにあわせることにより、第2移動枠62もホームポジションに戻るといえる。
【0071】
又、例えば、ホームポジションからどれだけ移動させた範囲が、第1移動枠61が搬送読取用コンタクトガラス11の下方に位置するか(イメージセンサー15の読取ライン8が搬送読取用コンタクトガラス11上に位置する範囲)を示す情報が、記憶部16に記憶される。原稿を搬送して読み取りを行うとき(搬送読取用コンタクトガラス11を通過する原稿を読み取るとき)、読取制御部10はイメージセンサー15内の各ラインセンサー7の読取ライン8が搬送読取用コンタクトガラス11内に収まる範囲内で、第1移動枠61を移動させ、第1移動枠61や第2移動枠62を搬送読取用コンタクトガラス11の下方で固定する。
【0072】
又、読取制御部10は載置読取用コンタクトガラス12に載置された原稿の読み取りを行うとき、巻取モーター65を動作させ、ホームポジションから第1移動枠61や第2移動枠62を載置読取用コンタクトガラス12の左端から右端方向に移動させる。
【0073】
又、A/D変換部17はイメージセンサー15によって得られた各画素のアナログの電気信号の転送を受けて、量子化を行ってディジタル信号に変換し、画像データを生成する。これにより、濃度を示す画素値が各画素に与えられる。例えば、A/D変換部17はR、G、B、Bkについて、例えば、それぞれ8〜10ビットに量子化を行う。
【0074】
補正処理部18はA/D変換部17が出力した画像データを受け、画像処理を施す。尚、本実施形態では、補正処理部18を画像読取部1に、画像処理部204を主制御部201に設ける例を説明する。しかし、例えば、画像処理部204を本体側に一つだけ設け、1つだけ設けた画像処理部204に、本説明での補正処理部18の処理と画像処理部204の処理を行わせるようにしてもよい。
【0075】
補正処理部18は画像データの処理のための作業領域であるワークメモリや画像処理用の回路を含む。補正処理部18は画像データに対し、ガンマ補正やシェーディング補正等、光源610やイメージセンサー15等の特性に由来する歪みを補正する。そして、補正処理部18によって処理された画像データは画像メモリー10mに蓄えられた後、主制御部201に転送される。更に、主制御部201は印刷を行うとき、画像処理部204による画像処理後の画像データを露光装置51に送信し、画像データに基づく印刷(トナー像形成)を行わせる。あるいは、主制御部201は送信を行うとき、画像処理部204による画像処理後の画像データを通信部205に送信し、外部のコンピューター300等への送信を行わせる。
【0076】
又、画像読取部1には、異常画素検知部19(検知部に相当)が設けられる。異常画素検知部19はイメージセンサー15の出力(A/D変換部17が生成し補正処理部18が処理した画像データ)に基づき、各ラインセンサー7が読み取った画像データでの黒筋を発生させる異常画素(通常よりも暗くなっている画素)を検知する。例えば、異常画素検知部19は原稿読取前や、原稿読取中の原稿間で、白色板27をイメージセンサー15(各ラインセンサー7)が読み取ったときの各色の画像データに基づき筋が発生しているか否かを検知する。この筋の検知の詳細は後述する。
【0077】
(搬送読取用コンタクトガラス11での読取ライン8の位置)
次に、
図6を用いて、本実施形態の各ラインセンサー7の搬送読取用コンタクトガラス11での読み取りを行うラインの位置を説明する。
図6は各ラインセンサー7の搬送読取用コンタクトガラス11での読取ライン8の位置の一例を示す拡大説明図である。
【0078】
図6は搬送読取用コンタクトガラス11及び第1ミラー611を複合機200の正面側(前側)から見た模式的な図である。尚、便宜上、光源610や第2移動枠62等の図示は省略している。
【0079】
原稿搬送部2により搬送される原稿の読み取りを行うとき、第1移動枠61は搬送読取用コンタクトガラス11の下方に位置される。そして、搬送読取用コンタクトガラス11内での各ラインセンサー7が読み取りを行うライン(読取ライン8)の位置は上述のイメージセンサー15内の各ラインセンサー7の配置に応じ、本実施形態では、右側から順に白黒の読取ライン8Bk、ブルーの読取ライン8B、グリーンの読取ライン8G、レッドの読取ライン8Rとなる。
【0080】
本実施形態では、600dpiで原稿を読み取る。そのため、各ラインセンサー7の読取幅(原稿での1ラインの幅、1画素の1辺の長さ)は約42.3μmである(23.4mm(1インチ)÷600)。そして、1画素が各ラインセンサー7の各受光素子70に対応する。コンタクトガラスや原稿での一辺が42.3μmの範囲はレンズ14によって縮小され、受光素子70のピッチに変換される。
【0081】
又、例えば、カラーの読取ライン8の間隔D3(R−G間、G−B間)は1画素(1ライン)の12倍、すなわち42.3[μm]×12≒0.5[mm]とされる(ライン12本分)。そのため、イメージセンサー15のカラー用の各ラインセンサー7の間隔D1も約0.5mmをレンズ14の縮小率で割った長さとなる。尚、白黒の読取ライン8Bkとブルーの読取ライン8Bの間隔D4は例えば、1画素の24倍、すなわち42.3[μm]×24≒1.0[mm]とされる(ライン24本分)。
【0082】
(黒筋検知の概要)
次に、
図4、
図6を用いて、本実施形態での黒筋検知(異常画素検知)の概要を説明する。
【0083】
本実施形態の画像読取部1には、搬送読取用コンタクトガラス11上の各色の読取ライン8に、黒筋の発生の原因となるキズや汚れの存在が有るか無いかを検知する異常画素検知部19が設けられる(
図4参照)。
【0084】
異常画素検知部19は白色板27を読み取ったときの各ラインセンサー7の出力に基づく画像データにより、黒筋を発生させる異常画素の有無を判断する。本来、白色板27を読み取ったので、主走査1ラインの画像データ内の各画素の画素値は全て白色を示す値となるはずである。しかし、搬送読取用コンタクトガラス11に汚れ(例えば、埃、ゴミ、糊、インクなど)やキズがあれば、読取ライン8内の汚れやキズに対応する位置の画素の画素値は汚れやキズが無い部分に比べて暗くなる(グレーや黒)。そして、原稿を読み取ると、画像データには副走査方向に黒筋(濃いライン)が現れ、画質を低下させる要因となる。
【0085】
そこで、異常画素検知部19は白色板27を読み取ったときの各色のそれぞれの画像データ(例えば、主走査1ライン分)内に、予め定められた閾値よりも暗い(濃い、黒い)方向の画素値を有する画素が存在するか否かを確認する。例えば、予め定められた閾値は画像読取部1内の記憶部16に記憶される。そして、異常画素検知部19は記憶部16に記憶された閾値を読み出し、各色について、黒筋を発生させる異常な画素値を有する異常画素が画像データに含まれているか否か(存在するか否か)を検知する。
【0086】
尚、異常画素の検知の正確性を高めるため、同じ位置で白色板27を数回〜数十回(例えば、10回)読み取り、異常画素検知部19は読み取りで得られた各画像データについて、各ラインセンサー7の1ライン分の画像データ内での異常画素の有無を判断し、予め定められた回数以上(例えば、5回以上)、同じ位置に異常画素があれば、異常画素があると判断してもよい。あるいは、異常画素検知部19は読み取りで得られた各画像データについて、各画素の画素値の平均値をとり、平均値と閾値を比較してラインの画像データ内に異常画素が有るか否かを検知してもよい。尚、異常画素を検知できれば、異常画素検知の処理手順は上記に限られない。
【0087】
異常画素検知部19は異常画素が含まれる色と異常画素が含まれない色を示す情報を読取制御部10に通知する。言い換えると、異常画素検知部19は搬送読取用コンタクトガラス11での読取ライン8上にキズや汚れが存在する色(ラインセンサー7)やキズや汚れに対応する画素の位置を読取制御部10に通知する。
【0088】
もし、異常画素検知部19が白色板27の読み取りで得られた各色(各ラインセンサー7)の画像データ内に異常画素の存在を検知したとき、読取制御部10は、各ラインセンサー7の搬送読取用コンタクトガラス11での読取ライン8の位置がキズや汚れやゴミ等のない位置となるように、巻取モーター65を動作させ、各移動枠を移動できる。例えば、読取制御部10は、各色の読取ライン8の間隔D3の単位(本実施形態では、12画素分)で、第1移動枠61を移動させる。この場合、読取ライン8の位置をキズや汚れ等を避ける位置にするため、読取制御部10は巻取モーター65に12の整数倍のパルスを与え、12ライン分(12画素分)、第1移動枠61を移動させる(詳細は後述)。
【0089】
(黒筋発生回避制御の流れ)
次に、
図7〜
図12を用いて、本実施形態のカラー読取での黒筋発生を回避するための制御の流れの一例を説明する。
図7、
図8は、カラー読取での(カラーモード)による原稿読取開始前の黒筋発生回避制御の流れの一例を示すフローチャートである。
図9は各ラインセンサー7の読取ライン8の位置を基準ライン位置9とした状態の一例を示す拡大説明図である。
図10は基準色のラインセンサー7Bの読取ライン8Bの位置を隣接する色の基準ライン位置9Gとした状態の一例を示す拡大説明図である。
図11は基準色のラインセンサー7Bの読取ライン8Bの位置を隣接しない色の基準ライン位置9Rとした状態の一例を示す拡大説明図である。
図12は基準色のラインセンサー7Bの読取ライン8Bの位置を白黒読取用のラインセンサー7Bkの基準ライン位置9Bkとした状態の一例を示す拡大説明図である。尚、一連の処理を
図7と
図8に分割して示している。
【0090】
まず、本実施形態の画像読取装置100では、原稿をカラーで読み取るとき、ブルーのラインセンサー7Bと、グリーンのラインセンサー7Gと、レッドのラインセンサー7Rが用いられる。言い換えると、読取制御部10はカラー読取のとき、ラインセンサー7B、ラインセンサー7、ラインセンサー7Rを動作させ、ラインセンサー7B、ラインセンサー7、ラインセンサー7Rの出力結果に基づき画像データを生成する。そして、画像処理部204により、各色の画像データから白黒(輝度)の画像データも生成される。尚、読取制御部10は白黒読取のとき、白黒読取用のラインセンサー7Bkを動作させ、ラインセンサー7Bkの出力結果に基づき画像データを生成する。
【0091】
尚、原稿をカラーで読み取るか、白黒で読み取るかの設定は、操作パネル3が設定を受け付ける。操作パネル3でなされた設定に応じ、読取制御部10は読み取りに必要なラインセンサー7を駆動させる。
【0092】
以下、
図7、
図8を用いて、原稿搬送部2から原稿を搬送させてカラーで原稿読取を行うときの黒筋発生回避の流れを説明する。まず、
図7のスタートは操作パネル3でスタートキー32が押され、コピーや送信のため、原稿搬送部2から原稿を搬送させてカラーで原稿読取を開始する時点である。
【0093】
原稿搬送部2から原稿を搬送させてカラーで原稿読み取りを開始するに際し、まず、読取制御部10は各色のラインセンサー7の搬送読取用コンタクトガラス11上の読取ライン8の位置が予め定められた基準ライン位置9となるように各移動枠を移動させる(ステップ♯1)。言い換えると、読取制御部10はホームポジションから基準読取位置に各移動枠を移動させる。例えば、ホームポジションから各移動枠をどれだけ移動させた位置が、基準読取位置であるかを示す情報が、記憶部16に記憶される。読取制御部10は記憶部16の情報を読み出し、巻取モーター65を制御して、基準読取位置となるように各移動枠を移動させる。
【0094】
ここで、
図9を用いて基準ライン位置9、基準読取位置について説明する。
図9において、黒丸印で示すように、本実施形態の画像読取装置100では、各色のラインセンサー7について、搬送読取用コンタクトガラス11上の読取ライン8の基準となる位置(基準ライン位置9)が予め定められている。
図9では、レッドのラインセンサー7Rの読取ライン8Rの基準となる位置を基準ライン位置9Rとして示し、グリーンのラインセンサー7Gの読取ライン8Gの基準となる位置を基準ライン位置9Gとして示し、ブルーのラインセンサー7Bの読取ライン8Bの基準となる位置を基準ライン位置9Bとして示し、白黒読取用のラインセンサー7Bkの読取ライン8Bkの基準となる位置を基準ライン位置9Bkとして示す。
【0095】
各読取ライン8間の間隔に応じ、レッドの基準ライン位置9Rとグリーンの基準ライン位置9Gとの間隔と、グリーンの基準ライン位置9Gとブルーの基準ライン位置9Bとの間隔は、上述の間隔D3と等しくなる(12ライン分)。又、ブルーの基準ライン位置9Bと白黒読取用の基準ライン位置9Bkとの間隔は、上述の間隔D4と等しくなる(24ライン分)。
【0096】
例えば、各色の基準ライン位置9は設計上、仕様上、精度や被写界深度との関係で最も適切に搬送読取用コンタクトガラス11上を通過する原稿を読み取ることができる位置に設定される(予め定められる)。言い換えると、例えば、基準ライン位置9に各色の読取ライン8の位置をあわせると、画質が最もよくなるように基準ライン位置9が設定される。そして、各色のラインセンサー7の読取ライン8の位置を対応する基準ライン位置9に併せた(状態)が基準読取位置である。
図9は読取制御部10が巻取モーター65を制御して基準読取位置となるように各移動枠を移動させた状態を示す。
【0097】
そして、原稿搬送部2に原稿を搬送させてカラー読取を行うに際し、読取制御部10は各色のラインセンサー7の読取ライン8の位置が基準読取位置となるように、巻取モーター65を制御して各移動枠を移動させる(ステップ♯1)。そして、読取制御部10は光源610を点灯させ、イメージセンサー15を駆動させる等、各移動枠等を含む光学部やイメージセンサー15等を含む読取部を動作させ、白色板27の読み取りを読取部に行わせる(ステップ♯2)。
【0098】
続いて、読取制御部10は白色板27を読み取ることで得られたカラーの各色の画像データの内、何れかの画像データに異常画素が有るか否かの検知を(各色のイメージセンサー15の何れかがキズや汚れを読み取ったか否か)異常画素検知部19に行わせる(ステップ♯3)。言い換えると、異常画素検知部19は各色の画像データ内のいずれかに異常画素が有るか否かを確認する(ステップ♯3)。
【0099】
もし、異常画素が有る場合(ステップ♯3のYes)、現在の状態のまま読み取りを行っても黒筋が発生してしまうので、読取制御部10は巻取モーター65を制御して、基準色の読取ライン8の位置が基準色に隣接する色の基準ライン位置9となるように、各移動枠の移動を開始させる(ステップ♯4)。
【0100】
ここで、
図10を用いて、基準色に隣接する色の基準ライン位置9への基準色の読取ライン8の位置の移動を説明する。
【0101】
まず、基準色はカラー読取で用いる複数色のラインセンサー7B、7G、7Rのうち、読取ライン8の位置が副走査方向で端にある色である。本実施形態では、ブルーを基準色として説明する。尚、レッドを基準色としてもよい。
【0102】
そして、読取制御部10は巻取モーター65を制御して、基準色(ブルー)の読取ライン8Bの位置が基準色に隣接する色(グリーン)の基準ライン位置9Gとなるように、各移動枠を移動させる。
図10は、基準色(ブルー)の読取ライン8Bの位置をグリーンの基準ライン位置9Gとした状態の一例を示す。言い換えると、読取制御部10は巻取モーター65を制御して、ブルーの読取ライン8Bの位置を、基準色(ブルー)の基準ライン位置9Bから基準色(ブルー)に最も近い色であるグリーンの基準ライン位置9Gの位置に向けての移動を開始させる(ステップ♯4)。
【0103】
そして、基準色(ブルー)の読取ライン8Bがグリーンの基準ライン位置9Gとなるように各移動枠を移動させている間、読取制御部10は読取部に白色板27の読み取りを行わせ、読取制御部10はブルーの基準ライン位置9Bとグリーンの基準ライン位置9Gの間隔内の主走査方向でのライン(例えば、12ライン分)のうち、異常画素が検知されない(異常画素がない)ラインである無検知読取ラインが有るか否かを確認する(ステップ♯5)。
【0104】
そして、基準色(ブルー)の読取ライン8Bの位置が基準色に隣接する色(グリーン)の基準ライン位置9Gとなる位置への各移動枠の移動が完了する(ステップ♯6)。そして、読取制御部10は光学部やイメージセンサー15等の読取部を動作させ、白色板27の読み取りを読取部に行わせる(ステップ♯7)。
【0105】
続いて、読取制御部10は基準色(ブルー)の読取ライン8Bがグリーンの基準ライン位置9Gにある状態で、白色板27を読み取ることで得られた各色の画像データのうち何れかの色の画像データに異常画素が有るか否かの検知を異常画素検知部19に行わせる(ステップ♯8)。
【0106】
もし、異常画素が有る場合(ステップ♯8のYes)、現在の状態のまま読み取りを行っても黒筋が発生してしまうので、読取制御部10は巻取モーター65を制御して、基準色(ブルー)の読取ライン8の位置が基準色に隣接しないカラー読取用の色(レッド)の基準ライン位置9となるように、各移動枠の移動を開始させる(ステップ♯9)。
【0107】
ここで、
図11を用いて、基準色(ブルー)に隣接しないカラー読取用の色(レッド)の基準ライン位置9Rへの基準色の読取ライン8Bの位置の移動を説明する。
【0108】
読取制御部10は巻取モーター65を制御して、基準色(ブルー)の読取ライン8Bの位置がカラー読取用で基準色に隣接しない色(レッド)の基準ライン位置9Rとなるように、各移動枠を移動させる。その結果、グリーンの基準ライン位置9Gからレッドの基準ライン位置9Rに向けての基準色の読取ライン8Bの位置の移動が開始される。
【0109】
そして、
図11は基準色(ブルー)の読取ライン8Bの位置をレッドの基準ライン位置9Rとした状態の一例を示す。言い換えると、読取制御部10は基準色(ブルー)には隣接しない基準ライン位置9Rに向けて、巻取モーター65を制御して、ブルーの読取ライン8Bの位置(各移動枠)の移動を開始させる(ステップ♯9)。
【0110】
このように、カラーモードでの全色の画像データのいずれにも異常画素がないことが検知されるまで、読取制御部10は巻取モーター65等により各移動枠(光源610やランプ)を移動させて、基準色の読取ライン8Bの位置を順番に他の色の基準ライン位置9G、Rに移動させる移動処理を行わせる。
【0111】
そして、基準色(ブルー)の読取ライン8Bがレッドの基準ライン位置9Rとなるように各移動枠を移動させている間、読取制御部10は読取部に白色板27の読み取りを行わせ、読取制御部10はグリーンの基準ライン位置9Gとレッドの基準ライン位置9Rの間隔内の主走査方向でのライン(例えば、12ライン分)のうち、異常画素が検知されない(異常画素がない)ラインである無検知読取ラインが有るか否かを確認する(ステップ♯10)。
【0112】
そして、基準色(ブルー)の読取ライン8Bの位置が基準色に隣接しないカラー読取用の色(レッド)の基準ライン位置9Rとなる位置への各移動枠の移動が完了する(ステップ♯11)(フローは
図7から
図8へ)。そして、読取制御部10は光学部やイメージセンサー15等の読取部を動作させ、白色板27の読み取りを読取部に行わせる(ステップ♯12)。
【0113】
続いて、読取制御部10は基準色(ブルー)の読取ライン8Bがレッドの基準ライン位置9Rにある状態で、白色板27を読み取ることで得られた各色の画像データのうち何れかの色の画像データに異常画素が有るか否かの検知を異常画素検知部19に行わせる(ステップ♯13)。
【0114】
もし、異常画素が有る場合(ステップ♯13のYes)、基準色(ブルー)の読取ライン8Bの位置をカラー読取のいずれのラインセンサー7の基準ライン位置9としても黒筋が発生する。
【0115】
そこで、異常画素が有ったとき(ステップ♯13のYes)、読取制御部10はブルーの基準ライン位置9Bとグリーンの基準ライン位置9Gの間に無検知読取ラインが有るか否かを確認する(ステップ♯14)。尚、基準ライン位置9Bと基準ライン位置9Gの間の各ラインが無検知読取ラインであるか否か(基準ライン位置9Bと基準ライン位置9Gの間の各ラインに異常画素が含まれるか否か)は既にステップ♯5で認識されている。
【0116】
もし、B−G間に無検知読取ラインがあれば(ステップ♯14のYes)、読取制御部10は巻取モーター65を制御して、ブルーの読取ライン8Bの位置が基準ライン位置9Bと基準ライン位置9Gの間の無検知読取ラインの位置(異常画素が検知されなかった位置)となるように各移動枠を移動させる(ステップ♯15)。これにより、原稿読取前の黒筋発生回避のための制御は終了し、原稿搬送制御部20は原稿搬送モーター28を動作させ、読取制御部10は光源610を点灯させるとともにイメージセンサー15を動作させて読取部による原稿読取を行わせる(エンド)。
【0117】
一方、基準ライン位置9Bと基準ライン位置9G間に無検知読取ラインが無ければ(ステップ♯14のNo)、読取制御部10はグリーンの基準ライン位置9Gとレッドの基準ライン位置9Rの間に無検知読取ラインが有るか否かを確認する(ステップ♯16)。尚、基準ライン位置9Gと基準ライン位置9Rの間の各ラインが無検知読取ラインであるか否か(基準ライン位置9Gと基準ライン位置9Rの間の各ラインに異常画素が含まれるか否か)は既にステップ♯10で認識されている。
【0118】
もし、G−R間に無検知読取ラインがあれば(ステップ♯16のYes)、読取制御部10は巻取モーター65を制御して、ブルーの読取ライン8Bの位置が基準ライン位置9Gと基準ライン位置9Rの間の無検知読取ラインの位置(異常画素が検知されなかった位置)となるように各移動枠を移動させる(ステップ♯17)。これにより、原稿読取前の黒筋発生回避のための制御は終了し、原稿搬送制御部20は原稿搬送モーター28を動作させ、読取制御部10は読取部による原稿読取を行わせる(エンド)。
【0119】
一方、基準ライン位置9Gと基準ライン位置9R間に無検知読取ラインが無ければ(ステップ♯16のNo)、ブルーの基準ライン位置9Bからレッドの基準ライン位置9Rにかけて汚れやキズがあると考えられる。そこで、読取制御部10は基準色(ブルー)の読取ライン8Bの位置がブルーの基準ライン位置9Bからみて、レッドの基準ライン位置9Rと反対側に位置するブラックの基準ライン位置9Bkとなるように各移動枠を移動させる(ステップ♯18)。尚、読取制御部10は基準色の基準ライン位置9Bからみて、基準色の読取ライン8Bの位置がブラックの基準ライン位置9Bkからさらに離れた位置となるように各移動枠を移動させてもよい。これにより、少しでも黒筋の発生確率を小さくすることができる。
【0120】
ここで、
図12を用いて、白黒読取用の基準ライン位置9Bkへの基準色(ブルー)の読取ライン8Bの位置の移動を説明する。カラー読取用の各色の基準ライン位置9B、9G、9Rに基準色の読取ライン8Bkに移動させても異常画素があるとき、及び、基準ライン位置9B―基準ライン位置9G間にも、基準ライン位置9Gと基準ライン位置9R間にも無検知読取ラインが無かったとき、読取制御部10は巻取モーター65を制御し、最終的に、基準色(ブルー)の読取ライン8Bの位置が白黒読取用の基準ライン位置9Bkとなるように各移動枠を移動させる。そのため、レッドの基準ライン位置9Rから白黒読取用の基準ライン位置9Bkに向けての基準色の読取ライン8Bの位置の移動が開始される。
【0121】
そして、
図12に示すように、読取制御部10は基準色(ブルー)の読取ライン8Bの位置を白黒読取用の基準ライン位置Bkとした状態とする。そして、原稿読取前の黒筋発生回避のための制御は終了し、原稿搬送制御部20は原稿搬送モーター28を動作させ、読取制御部10は読取部による原稿読取を行わせる(エンド)。
【0122】
尚、ステップ♯3、ステップ♯8、ステップ♯13において、異常画素検知部19が何れの色の画像データでも異常画素を検知しないとき(カラーの全色の画像データに異常画素が存在しないとき、ステップ♯3のNo、ステップ♯8のNo、ステップ♯13のNo)、現在の各移動枠の位置で原稿を読み取れば黒筋が発生しないと考えられる。そこで、ステップ♯3、ステップ♯8、ステップ♯13において、異常画素検知部19が何れの色の画像データでも異常画素を検知しないとき、読取制御部10は現在の各移動枠の位置(各色の読取ライン8の位置)で原稿の読取を行うと設定する(ステップ♯19)。そして、原稿読取前の黒筋発生回避のための制御は終了し、原稿搬送制御部20は原稿搬送モーター28を動作させ、読取制御部10は読取部による原稿読取を行わせる(エンド)。
【0123】
(黒筋発生回避制御の流れ)
次に、
図13、
図14を用いて、本実施形態の画像読取装置100での白黒読取時の黒筋発生を回避するための制御の流れの一例を説明する。
図13は、原稿読取時の異常画素の有無を記憶する制御の流れの一例を示すフローチャートである。
図14は、原稿読取開始時の黒筋発生回避制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【0124】
まず、本実施形態の画像読取装置100(読取制御部10)は白黒読取のとき、前回の原稿読取時の各移動枠(第1移動枠61)の位置のとき、各色の画像データに黒筋を発生させる異常画素が含まれたか否かを示す有無情報を、第1移動枠61の位置情報に関連付けて記憶させる(例えば、記憶部16が記憶)。そして、位置情報に関連付けた有無情報の記憶を、次の原稿読取のとき、1枚目の原稿読取からの黒筋発生の回避に利用する。
【0125】
尚、ワイヤー63の架け回しにより、第1移動枠61の位置に対する第2移動枠62の位置は予め決まっているので、第2移動枠62の位置を位置情報と扱うこともできるが、本実施形態では、第1移動枠61の位置に基づく位置情報を扱うものとして説明する。
【0126】
そこで、白黒での原稿読取のときにおける第1移動枠61の位置情報に関連付けた有無情報の記憶制御の流れを説明する。尚、第1移動枠61の位置情報に関連付けた有無情報の記憶は原稿搬送部2から複数の原稿が搬送されている間(例えば、原稿と原稿の間)でも行える。しかし、例えば、原稿に付着するインクや糊や修正液などの汚れの原因物が、原稿搬送中に搬送読取用コンタクトガラス11に付着することも考えられる。そこで、本説明では原稿トレイ21に載置された原稿のうち、最終ページの読み取り完了に伴い、第1移動枠61の位置情報に関連付けて有無情報を記憶する例を説明する。
【0127】
まず、
図13のスタートは原稿搬送部2を用いた白黒での原稿読取(白黒読取用のラインセンサー7Bkによる原稿読取)が開始された時点である。そして、読取制御部10は原稿トレイ21に載置された原稿のうち、最終のページの原稿読み取りか否かを確認する(ステップ♯21)。この最後のページの原稿の読み取りか否かは、原稿検知センサー29(
図4参照)の出力に基づき判断される。例えば、原稿検知センサー29は、原稿トレイ21の上面に設けられる反射型や透過型の光センサーである。原稿検知センサー29は、原稿トレイ21上の原稿の存在を検知しているときと検知していないときで出力が変化する。尚、原稿検知センサー29は、光センサーに限られず、原稿の存在の有無を検知できるものであればよい。
【0128】
原稿搬送制御部20は、原稿搬送中、原稿検知センサー29の出力を確認し、原稿トレイ21から原稿が無くなったことを検知する。原稿搬送制御部20は、原稿トレイ21から原稿が無くなったことを読取制御部10に通知する。この通知があったとき、読取制御部10は、最後のページの原稿読み取りであると認識する。
【0129】
もし、最終ページで無ければ(ステップ♯21のNo)、読取制御部10は、原稿搬送制御部20からの通知を待ち続ける(ステップ♯21のループ)。尚、このループの間、読取制御部10や原稿搬送制御部20は、原稿の読み取りの制御を行い、原稿の各ページの読み取りがなされる。
【0130】
一方、最終ページであれば(ステップ♯21のYes)、読取制御部10は、各移動枠(第1移動枠61等)を移動させないで、原稿が通過してから、白色板27の読み取りをイメージセンサー15に行わせる(ステップ♯22)。このとき、全色のラインセンサー7が読み取りを行う。尚、白色板27の読み取りの間、読取制御部10は光源610を点灯させる。
【0131】
そして、異常画素検知部19は、各色のラインセンサー7の出力に基づき生成された各色の画像データ(例えば、主走査1ライン分の画像データ)内に、黒筋を発生させる異常画素が存在するか否かを確認する(ステップ♯23)。
【0132】
そして、読取制御部10は、異常画素検知部19の検知結果に基づき、現在の第1移動枠61の位置情報(ホームポジションからの移動量、例えば、ホームポジションからのパルス数)に関連付けて、各色について異常画素の有無を示す有無情報を記憶部16に記憶させる(ステップ♯24)。
【0133】
例えば、全色の画像データに異常画素が含まれていなければ、読取制御部10は、第1移動枠61の位置情報に関連付けて全色について異常画素が含まれない旨の有無情報を記憶部16に記憶させる。又、例えば、レッドの画像データのみに異常画素が存在すれば、読取制御部10は、第1移動枠61の位置情報に関連付けてレッドには異常画素が含まれ、レッド以外の色(白黒、ブルー、グリーン)には異常画素が含まれない旨の有無情報を記憶部16に記憶させる。これにより、位置情報と有無情報の記憶制御は終了する(エンド)。
【0134】
次に、
図14に基づき、原稿搬送部2に原稿を搬送させて白黒で原稿読取を行うときの黒筋発生回避制御の流れを説明する。
図14のスタートは、主制御部201が画像読取装置100(読取制御部10や原稿搬送制御部20)に対して、原稿読取開始要求が合った旨を通知した時点である。例えば、コピーや画像データの送信等のため、操作パネル3のスタートキー32が押されたことが、原稿読取開始要求となる。このとき、主制御部201は、操作パネル3での読み取りの色設定(白黒モードでの読み取りか、カラーモードでの読み取りか)を示す情報を合わせて読取制御部10に通知する。
【0135】
この通知を受け、白黒読取のとき、読取制御部10は、記憶部16に記憶された前回の読み取りでの第1移動枠61の位置情報と有無情報を確認する(ステップ♯31)。そして、読取制御部10は、有無情報に基づき前回の読み取りでの第1移動枠61の位置で、何れかの色の画像データ内で異常画素を検出したか否かを確認する(ステップ♯32)。
【0136】
もし、異常画素が無ければ(ステップ♯32のNo)、読取制御部10は、前回の読み取りでの位置情報に基づき、巻取モーター65を回転させ、前回の読み取り位置が搬送前位置となるように第1移動枠61を移動させる(ステップ♯33)。
【0137】
一方、異常画素があり(ステップ♯32のYes)、黒筋が発生しそうであれば、読取制御部10は、前回の読み取りとは異なる位置を搬送前位置として第1移動枠61を移動させる(ステップ♯34)。尚、後述するように、いずれかの色の画像データに異常画素が検知されたときの第1移動枠61の位置を示す異常位置情報と、異常画素が検知された色を示す異常色情報を記憶部16に累積して記憶させておくことができる。そこで、ステップ♯34で搬送前位置に第1移動枠61を移動させるとき、読取制御部10は、異常位置情報に基づき、いずれの色でも異常画素が検知されていない位置を搬送前位置として、第1移動枠61を移動させる。
【0138】
いずれにしても、搬送読取用コンタクトガラス11内でキズや汚れ等のない可能性が高い位置に、各色の搬送読取用コンタクトガラス11上の各ラインセンサー7の読取ライン8が設定される。
【0139】
そして、読取制御部10は、搬送前位置に第1移動枠61を固定した状態で、光源610を点灯させ、イメージセンサー15の全てのラインセンサー7に白色板27の読み取りを行わせる(ステップ♯35)。そして、異常画素検知部19が、各色の画像データに基づき主走査方向のライン上に黒筋を発生させる異常画素の検知を行う(ステップ♯36)。
【0140】
読取制御部10は異常画素検知部19の検知結果を受けて、白黒のラインセンサー7Bkの画像データに異常画素が含まれているかを確認する(ステップ♯37)。言い換えると、読取制御部10はラインセンサー7Bkの搬送読取用コンタクトガラス11での読取ライン8上にキズや汚れ等や有るか否かを確認する(ステップ♯37)。
【0141】
もし、白黒のラインセンサー7Bkの画像データに異常画素が含まれていなければ(ステップ♯37のNo)、読取制御部10は、搬送前位置を原稿読み取りの実行位置と設定する(ステップ♯38)。言い換えると、読取制御部10は、第1移動枠61を搬送前位置で固定したまま白黒用のラインセンサー7Bkを用いて、原稿の読み取りを行わせる。
【0142】
一方、白黒のラインセンサー7Bkの画像データに異常画素が含まれていれば(黒筋が発生するのであれば、ステップ♯37のYes)、読取制御部10は、異常画素検知部19の検知結果に基づき、カラー読取用のラインセンサー7(ラインセンサー7B、ラインセンサー7G、ラインセンサー7R)の画像データに異常画素が含まれているかを確認する(ステップ♯39)。
【0143】
もし、画像データに異常画素が含まれていない色が有れば(ステップ♯39のNo)、読取制御部10は、異常画素が含まれていない色の搬送読取用コンタクトガラス11での読取ライン8の位置が白黒用のラインセンサー7Bkの読取ライン8Bkの位置となるように、巻取モーター65を制御して、各移動枠(第1移動枠61)を移動させる(ステップ♯40)。
【0144】
一方、全色の画像データに異常画素が含まれていれば(ステップ♯39のYes)、読取制御部10は、第1移動枠61を移動させ、搬送前位置からずらした位置を原稿読み取りの実行位置と設定する(ステップ♯41)。例えば、読取制御部10は、移動後の各色の搬送読取用コンタクトガラス11上での読取ライン8の位置が、搬送前位置でのいずれの色の搬送読取用コンタクトガラス11上での読取ライン8の位置と重複しない位置に第1移動枠61を移動させる。あるいは、読取制御部10は、異常画素が検知されたことの無い位置に第1移動枠61を移動させてもよい。
【0145】
そして、ステップ♯40とステップ♯41の後、読取制御部10は、異常画素が検知されたときの第1移動枠61の位置を示す異常位置情報と、異常画素が検知された色を示す異常色情報を記憶部16に記憶させる(ステップ♯42)。そして、ステップ♯24の後、本制御が終了し、実際に、原稿搬送部2が原稿搬送を開始し、画像読取部1は原稿の読み取りを開始する(エンド)
【0146】
このようにして、本実施形態に係る画像読取装置100は、原稿をコンタクトガラス(搬送読取用コンタクトガラス11)に向けて搬送する原稿搬送部2と、コンタクトガラスと搬送される原稿を挟むように設けられる白色板27と、カラー読取用の少なくとも3色分のラインセンサー7(例えば、ラインセンサー7B、7G、7R)を含むイメージセンサー15と、コンタクトガラス及び白色板27に向けて主走査方向に沿って光を照射し、反射光をイメージセンサー15に導く光学部(第1移動枠61、第2移動枠62、光源610、第1ミラー611、第2ミラー622、第3ミラー623等)と、を含む読取部と、光学部を副走査方向で移動させる移動部(巻取モーター65、巻取ドラム64、ワイヤー63等)と、イメージセンサー15の出力に基づき、各色の画像データを生成する生成部(A/D変換部17)と、画像データに基づき黒筋を発生させる異常画素の有無を検知する検知部(異常画素検知部19)と、を含み、それぞれのラインセンサー7のコンタクトガラス上での読取ライン8(例えば、8B、8G、8R)の基準の位置である基準ライン位置9(基準ライン位置9B、9G、9R)が予め定められており、原稿の読み取り開始前、移動部は検知部がカラー読取用のそれぞれのラインセンサー7の出力に基づく各色の画像データ内に異常画素が無いと検知するまで、副走査方向での端の色である基準色(例えば、ブルー)のラインセンサー7(例えば、ラインセンサー7B)の読取ライン8(例えば、8B)の位置を、他の色の基準ライン位置9(例えば、基準ライン位置9Gや基準ライン位置9R)となるように基準色に近い色から順番に光学部を移動させる移動処理を行い、移動処理により、基準色のラインセンサー7の読取ライン8の位置を他の色の基準ライン位置9に移動させるごとに、読取部は読取を行うとともに、検知部は各色の画像データ内に異常画素が有るか否かを検知し、基準色のラインセンサー7の読取ライン8の位置を、各色の画像データ内に異常画素が無い他の色の基準ライン位置9に移動させた状態で、原稿搬送部2は原稿を搬送し、読取部は原稿の読み取りを行う。
【0147】
これにより、カラー読取用のラインセンサー7(例えば、7B、7G、7R)のそれぞれの読取ライン8(例えば、8B、8G、8R)上の全てに汚れやキズが無い状態としてうえで、原稿読取が実行される。従って、読み取った原稿の画像データでの黒筋発生確率を下げることができる。又、移動処理は原稿読取開始前になされ、各色のラインセンサー7の読取ライン8の位置は、原稿の読取開始前に汚れやキズの無い位置にあわされるので、原稿の1枚目から黒筋の発生を無くすことができる。又、設計上、基準ライン位置9(基準ライン位置9B、9G、9R)は精度や被写界深度との関係で最も読み取り結果が良くなるように(例えば、ぼけが少ないように)設定されるところ、少なくとも基準色(例えば、ブルー)のラインセンサー7(例えば、ラインセンサー7B)の読取ライン8(例えば、読取ライン8B)の位置を他の色の基準ライン位置9(例えば、基準ライン位置9G、基準ライン位置R)にあわせるので、読み取りで得られた原稿の画像データの画質低下を避けるようにして原稿の読み取りを行うことができる。
【0148】
又、読取部は、基準色(例えば、ブルー)の読取ライン8(例えば、読取ライン8B)の位置を基準色の基準ライン位置9(例えば、基準ライン位置9B)から基準色に隣接する色の基準ライン位置9(例えば、基準ライン位置9G)となるように移動させている間、読み取りを行い、検知部(異常画素検知部19)は基準色の基準ライン位置9から基準色に隣接する色の基準ライン位置9までの間に、各色の画像データ内に異常画素が無いラインである無検知読取ラインがあるか否かを確認し、基準色の読取ライン8の位置を何れの色の基準ライン位置9に移動させても各色の画像データ内に異常画素が有るとき、移動部(巻取モーター65、巻取ドラム64、ワイヤー63等)が基準色の読取ライン8の位置を無検知読取ラインの位置となるように光学部(第1移動枠61、第2移動枠62、光源610、第1ミラー611、第2ミラー622、第3ミラー623等)を移動させた後、原稿搬送部2は原稿を搬送し、読取部は原稿の読み取りを行う。これにより、各色の読取ライン8(例えば、8B、8G、8R)の位置は基準ライン位置9(基準ライン位置9B、9G、9R)からずれるものの、全色の読取ライン8の位置を、画像データに黒筋を発生させる汚れやキズが無い位置にあわせることができる。従って、1枚目の原稿から、原稿の読み取りにより得られる画像データや、画像データに基づく印刷物での黒筋の発生を無くすことができる。
【0149】
又、基準色(例えば、ブルー)の読取ライン8(例えば、読取ライン8B)の位置を基準色に隣接しない色の基準ライン位置9(例えば、基準ライン位置9R)となるように移動処理を行っている間、読取部は読取を行い、検知部(異常画素検知部19)は移動前の色の基準ライン位置9(例えば、基準ライン位置9G)から移動後の色の基準ライン位置9(例えば、基準ライン位置9R)までの間に無検知読取ラインがあるか否かを確認し、基準色の読取ライン8の位置を何れの色の基準ライン位置9に移動させても各色の画像データ内に異常画素が有り、又、基準色の基準ライン位置9から基準色に隣接する色の基準ライン位置9までの間に無検知読取ラインが無いとき、移動部(巻取モーター65、巻取ドラム64、ワイヤー63等)が基準色以外の色の基準ライン位置9どうしの間で確認された無検知読取ラインの位置となるように光学部(第1移動枠61、第2移動枠62、光源610、第1ミラー611、第2ミラー622、第3ミラー623等)を移動させた後、原稿搬送部2は原稿を搬送し、読取部は原稿の読み取りを行う。これにより、基準色の基準ライン位置9からの移動距離は比較的長くなるものの、全色の読取ライン8(例えば、8B、8G、8R)の位置を、画像データに黒筋を発生させる汚れやキズが無い位置にあわせることができる。従って、1枚目の原稿から、原稿の読み取りにより得られる画像データや、画像データに基づく印刷物での黒筋の発生を無くすことができる。
【0150】
又、イメージセンサー15は白黒読取用のラインセンサー7(ラインセンサー7Bk)を含み、基準色(例えば、ブルー)の読取ライン8(例えば、読取ライン8B)の位置を何れの色の基準ライン位置9(基準ライン位置9B、9G、9R)に移動させても各色の画像データ内に異常画素が有り、又、いずれの基準ライン位置9の間でも無検知読取ラインがないとき、移動部(巻取モーター65、巻取ドラム64、ワイヤー63等)は基準色の読取ライン8の位置を予め定められた白黒読取用のラインセンサー7用の基準ライン位置9(基準ライン位置9Bk)となるように光学部(第1移動枠61、第2移動枠62、光源610、第1ミラー611、第2ミラー622、第3ミラー623等)を移動させた後、原稿搬送部2は原稿を搬送し、読取部は原稿の読み取りを行う。これにより、かなり広範囲にコンタクトガラス(搬送読取用コンタクトガラス11)に汚れやキズがついているとき、各イメージセンサー15の読取ライン8(例えば、8B、8G、8R)の位置を、汚れやキズが付着している可能性が低い位置とすることができる。又、上述のように、設計上、基準ライン位置9は最も読み取り結果が良くなるように設定されるところ、基準色のラインセンサー7の読取ライン8の位置を、白黒読取用のラインセンサー7の基準ライン位置9にあわせるので、読み取りで得られた原稿の画像データの画質低下を避けるようにして原稿の読み取りを行うことができる。
【0151】
又、移動部(巻取モーター65、巻取ドラム64、ワイヤー63等)は、原稿の読み取り開始前、各ラインセンサー7(例えば、7B、7G、7R)の読取ライン8(例えば、8B、8G、8R)の位置が基準ライン位置9(基準ライン位置9B、9G、9R)となる基準読取位置に光学部(第1移動枠61、第2移動枠62、光源610、第1ミラー611、第2ミラー622、第3ミラー623等)を移動させ、検知部(異常画素検知部19)は基準読取位置で読取部が読み取りを行うことにより得られた各色の画像データ内に異常画素が有るか否かを検知し、各色の画像データ内に異常画素が有るとき、移動部は移動処理を行い、各色の画像データ内に異常画素が無いとき、基準読取位置の状態で原稿搬送部2は原稿を搬送し、読取部は原稿の読み取りを行う。これにより、各ラインセンサー7の読取ライン8の位置をそれぞれ基準ライン位置9とし、異常画素が検知されず、黒筋が発生しなければ、各色の読取ライン8の位置を理想的な位置とした状態で原稿の読み取りを行うことができる。
【0152】
又、画像形成装置(例えば、複合機200)は、上述の画像読取装置100を含む。これにより、全てのカラー用のラインセンサー7(例えば、7B、7G、7R)の読取ライン8(例えば、8B、8G、8R)上に汚れやキズが無い状態としてうえで原稿読取が実行されるので、黒筋のない原稿の画像データに基づき印刷を行うことができる。又、原稿の1枚目から黒筋の発生が防がれる。従って、カラーの読み取りで黒筋が生じない高画質の画像形成装置を提供することができる。
【0153】
又、白黒モードでの読み取りに関しては、本実施形態の画像読取装置100は、原稿をコンタクトガラス(搬送読取用コンタクトガラス11)に向けて搬送する原稿搬送部2と、コンタクトガラスと搬送される原稿を挟むように設けられる白色板27と、主走査方向のラインの読み取りを行うイメージセンサー15と、コンタクトガラスを通過する原稿に主走査方向に沿って光を照射し、原稿からの反射光をイメージセンサー15に導く光学部(第1移動枠61、第2移動枠62)と、光学部を副走査方向で移動させる移動部(巻取モーター65、巻取ドラム64、ワイヤー63等)と、イメージセンサー15の出力に基づき、画像データを生成する生成部(A/D変換部17)と、画像データに基づき黒筋を発生させる異常画素を検知する検知部(異常画素検知部19)と、前回の読み取りでの光学部の位置情報と、位置情報に対応させて前回の読み取りでの異常画素の有無を示す有無情報を記憶する記憶部16と、を有し、原稿の読み取り開始前、移動部は、有無情報に基づき、前回の読み取りで異常画素が無ければ前回の原稿読み取りと同じ位置であり、前回の読み取りで異常画素が有れば前回の原稿読み取りと異なる位置である搬送前位置に光学部を移動させ、光学部は搬送前位置でコンタクトガラスに向けて光を照射し、イメージセンサー15は読み取りを行い、異常画素検知部19は、搬送前位置での画像データでの異常画素の有無を検知し、移動部は、異常画素検知部19が異常画素の存在を検知しないとき、原稿読取開始に際して光学部を移動させず、異常画素検知部19が異常画素の存在を検知したとき、原稿読取開始前に光学部を搬送前位置と異なる位置に移動させる。
【0154】
移動部(巻取モーター65、巻取ドラム64、ワイヤー63等)は、搬送前位置に光学部(第1移動枠61、第2移動枠62)を移動させる。これにより、イメージセンサー15がコンタクトガラス(搬送読取用コンタクトガラス11)内で読み取りを行うライン位置(読取ライン8の位置)を、筋を発生させるようなキズや汚れの無い可能性が高い位置に合わせることができる。従って、読み取った画像データでの黒筋発生確率を下げることができる。又、原稿の読取開始前に、前もって搬送前位置でのコンタクトガラスでの読取ライン8でのキズや汚れの有無を確認し、黒筋発生のおそれが無ければ搬送前位置のまま原稿の読み取りが開始され、黒筋発生のおそれが有れば光学部が移動される。従って、原稿読取開始前にラインの読み取りを1回行うだけで、イメージセンサー15のコンタクトガラスでの読取ライン8の位置を、筋が発生しない位置にあわせることができ、原稿の1枚目からの黒筋の発生を無くすことができる。
【0155】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。