特許第6055863号(P6055863)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6055863押圧ジョー、分離不能管継手の製作方法、結合具、および押圧ジョーと結合具とから成るシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6055863
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】押圧ジョー、分離不能管継手の製作方法、結合具、および押圧ジョーと結合具とから成るシステム
(51)【国際特許分類】
   B25B 27/02 20060101AFI20161219BHJP
   F16L 33/20 20060101ALI20161219BHJP
   F16L 21/06 20060101ALI20161219BHJP
   B21D 39/06 20060101ALI20161219BHJP
【FI】
   B25B27/02 A
   F16L33/20
   F16L21/06
   B21D39/06 B
【請求項の数】7
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2015-75629(P2015-75629)
(22)【出願日】2015年4月2日
(62)【分割の表示】特願2015-518901(P2015-518901)の分割
【原出願日】2013年3月12日
(65)【公開番号】特開2015-172437(P2015-172437A)
(43)【公開日】2015年10月1日
【審査請求日】2015年4月20日
(31)【優先権主張番号】102012105655.2
(32)【優先日】2012年6月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506425723
【氏名又は名称】フィーガ ゲー エム ベー ハー ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Viega GmbH & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】フランク ホフマン
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/068888(WO,A1)
【文献】 米国特許第03375026(US,A)
【文献】 西独国特許出願公開第02332241(DE,A)
【文献】 特公昭53−029849(JP,B1)
【文献】 米国特許第04089453(US,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01347226(EP,A2)
【文献】 特開昭56−009026(JP,A)
【文献】 特開平10−128561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 33/20
B21D 39/06
F16L 21/06
B25B 5/00 − 7/22
B25B 25/00 − 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの金属管との金属封止接合のための結合具であって、前記結合具は、
−金属製の結合具基体(54)と、
−プレススリーブ(56、58)と、
を有し、
−前記結合具基体(54)は、接合対象の前記管(80)の外径に適合化された内径を有する円筒形ソケット(82、84)と円筒形端縁とを有し、
−前記プレススリーブ(56、58)は、その一端に、前記ソケット(82、84)の端部を受け入れるための受入部分(86)を有し、
−前記プレススリーブ(56、58)は押圧部分(88)を有し、前記押圧部分(88)の内側プロファイルは、前記結合具基体(54)の外径より小さな直径になるまで、前記結合具の軸線方向に先細になり、
前記プレススリーブ(56、58)の軸方向の変位の開始位置において、前記結合具基体(54)は前記プレススリーブ(56、58)に部分的に挿入されており、
−前記押圧部分(88)の前記内側プロファイルは、前記結合具基体(54)への前記プレススリーブ(56、58)の前記軸方向の変位中に、前記ソケット(82、84)の前記端縁を内側に鍔出しでき、更に前記ソケット(82、84)の前記端縁を接合対象の前記管(80)の前記外径より小さな内径になるまで先細にできる、
結合具。
【請求項2】
前記受入部分(86)は円筒形であるか、または先細形状である、
ことを特徴とする請求項1に記載の結合具。
【請求項3】
前記押圧部分(88)は円錐形の、または丸みを帯びた、または張り出した内側プロファイルを有する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の結合具。
【請求項4】
−第1の上側ジョー四分体(4a)と第2の上側ジョー四分体(6a)とを有する上側ジョー半体(2a)と、
−第1の下側ジョー四分体(4b)と第2の下側ジョー四分体(6b)とを有する下側ジョー半体(2b)と、
−少なくとも一方のジョー半体(2a、2b)を枢支する少なくとも1つの旋回軸と、
−前記上側ジョー半体(2a)と前記下側ジョー半体(2b)との間に形成された受入領域(22)であって、受入領域軸線(24)を有する受入領域(22)と、
を有し、
−少なくとも一方のジョー半体(2a、2b)は開位置と閉位置との間で、前記受入領域軸線(24)をほぼ横切る方向に枢動可能である、
押圧ジョーの互いに対向する前記第1の上側ジョー四分体(4a)と前記第1の下側ジョー四分体(4b)からなる第1のジョー対(4a、4b)により、
圧締される圧締部分(92)を有する前記結合具基体(54)を備える、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の結合具。
【請求項5】
−前記プレススリーブ(56、58)は、前記プレススリーブを前記結合具基体(54)に対して軸方向に押圧できる押圧ジョー(102、108)の斜めに偏向する面(104、110)を支持する斜めに偏向する支持面(94)を有し、
−前記結合具基体(54)は、前記プレススリーブ(56、58)の前記支持面(94)の反対方向に延在すると共に、前記押圧ジョー(102、108)の前記斜めに偏向する面(104、110)と反対方向に位置合わせされた前記押圧ジョー(102、108)の斜めに偏向する面(106、112)を支持する支持面(100)を有する圧締リング(98)を有する、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の結合具。
【請求項6】
−前記圧締リング(98)は、周方向の窪み(96)に配置される、
ことを特徴とする請求項5に記載の結合具。
【請求項7】
結合具(50)を金属管(80)に金属封止接合する方法であって、
−受入部分(86)を有するプレススリーブ(56、58)が結合具基体(54)の、円筒形の端縁を有する円筒形ソケット(82、84)の外周に配置され、
−前記円筒形ソケット(82、84)に管(80)が挿入され、
−前記プレススリーブ(56、58)は、押圧ジョー(2a、2b;102、108)によって、前記ソケット(82、84)に軸方向に押し付けられ、
−前記プレススリーブ(56、58)の内側に形成された先細の押圧部分(88)によって、前記ソケット(82、84)の前記端縁が半径方向内向きに変形され、
−前記ソケット(82、84)の前記端縁が刃縁(89)として前記管(80)の前記材料に押し込まれる、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離不能管継手を製作するための押圧ジョーであって、上側ジョー半体と、下側ジョー半体と、少なくとも一方のジョー半体を枢支する少なくとも1つの旋回軸と、上側ジョー半体と下側ジョー半体との間に形成された、受入領域軸線を有する受入領域とを有し、当該少なくとも一方のジョー半体は、開位置と閉位置との間で、受入領域軸線をほぼ横切る方向に枢動可能である、押圧ジョーに関する。本発明は、基体とプレススリーブとを備えた結合具と、本発明による押圧ジョーから成るシステムとに更に関する。本発明は、更に、押圧ジョーを用いて分離不能管継手を製作する方法と、結合具を金属管に金属封止式に接合する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
上記種類の押圧ジョー、結合具、システム、および方法は、従来技術から、例えば飲料水設備または加熱用設備の部門から、既に公知である。この点に関して、「分離不能管継手」とは、具体的には、分離および再連結されるべく構成されていない継手、すなわち最早分離できないか、または分離が困難な、具体的には、管継手の個々のワークを破壊しなければ分離できない継手を意味するものと理解されたい。
【0003】
この管継手は、できる限り単純かつ確実に製作可能であることと、高い耐密度をできる限り長期間保証することを目的とする。押圧ジョーまたは方法は、結合具、管、ソケットなどのワークをほぼ半径方向に、すなわち受入領域の軸線を横切る方向に、押圧するために用いられることが好ましい。この点に関して、受入領域軸線は、両ジョー半体の間に広がる領域に対してほぼ垂直に延在する。受入領域が円筒形の場合、受入領域の軸線は、この円筒の軸線にほぼ一致する。ワークが受入領域に導入されると、受入領域軸線とワーク、例えば管または結合具の、軸線とは、少なくとも両ジョー半体が閉じているとき、ほぼ一致する。両ジョー半体のグリッパー状の閉運動は、少なくとも部分的に重なり合うように受入領域に配置された2つ以上のワーク、例えば結合具と管、を変形させ、この結果として、これらワークを互いに分離不能に接合し合う。
【0004】
押圧ジョーの閉運動には、押圧機が用いられることが多い。この押圧機に押圧ジョーが装着される。押圧機は、受入領域を形成する両ジョー半体の前端を閉じるために、押圧ジョーの両ジョー半体の後端の間にボルトまたはローラを押し込む。代わりに、または加えて、押圧ジョーの、例えば手作業による、作動を目的とすることもできる。「上側」と「下側」(例えば、ジョー半体)の区別は限定的であると理解されてはならない。実際、押圧ジョーは、必要に応じて、空間的に配置可能である。
【0005】
ただし、従来技術の押圧手順は不都合であり得る。例えば、この目的のために設けられた押圧ジョーまたは方法は、押圧対象のワークに対する全体的に一様な押圧力の付与を著しく困難にする。この押圧手順の前、管および結合具は、好ましくは回転対称の、ほぼ丸い形状を有する。ただし、この対称性は、管と結合具との間の接合箇所に非均等に加わる押圧力のために、押圧手順後は狂っていることもあり得る。これは、特に継手の機能性を損ない得る。
【0006】
更に、押圧手順中に応力が加わるワークの材料、特にプラスチック材料または金属、は、押圧力に向かって慣性を示し得る。この、復元力の形態の、慣性は、押圧手順によって変形された材料がワークの初期状態または初期構造を少なくとも部分的に再現しようとすることを意味し得る。このため、半径方向内向きにのみ働く押圧方法の使用者は、所望の押圧結果を得るために、例えば、半径方向内向きに加わる押圧力を増大させる必要がある。ただし、これは、押圧対象のワークの材料に対する、意図された程度を超えた、ひいては基本的に望ましくない、要求を表す。
【0007】
上記の諸問題は、特に所謂軸方向の押圧方法を用いることによって解決、または少なくとも低減、可能である。ここで、「軸方向の」とは、押圧対象のワークがワーク軸線または受入領域軸線に少なくとも部分的に沿って移動されることを意味する。変形されるワークの復元特性も原則として軸線方向に働くが、ワークの軸方向範囲は半径方向範囲より通常長いため、材料にかかる応力の増大効果を最小化できる。
【0008】
ただし、この種の軸方向の押圧のための押圧工具は、軸方向に押圧される領域を広く取り囲む必要があるので、極めて大型で嵩張る。この理由により、例えば、特許文献1は、半径方向の押圧のための押圧工具は、この工具上の、および結合具上の、傾斜した押圧面によって、受入領域軸線に沿った軸方向の押圧も実現できる方法を開示している。したがって、受入領域軸線を横切る方向への両ジョー半体の運動にも拘らず、受入領域軸線に沿って結合具を押圧できる。
【0009】
ただし、押圧力の変換または偏向には、結合具の外周面に傾斜面によって設けられた特定の経路が必要である。この点に関して、問題は、傾斜した押圧面により結合具の直径が増すため、直径が大幅に増加した結合具が必要であることである。この結果、一方では、より大型の、相対的に扱い難い結合具になり、他方では、材料消費の増加、すなわち結合具の製作コストの上昇、をもたらす。
【0010】
軸方向に押圧される上記の結合具は、通常、可撓性材料、特にエラストマー、製の封止要素を用いる。同様に、2つの金属製ワークの間に封止部を有する結合具、所謂、軸方向の押圧による金属封止結合具、は公知である。押圧前、軸方向に押圧されるこれら結合具は、半径方向内向きに突出する刃縁または突条を複数有し、押圧中、接合対象の管の材料に食い込んで封止部を形成する。したがって、これら結合具の構造は複雑であり、製作費用がかさむ。この種の結合具は、特許文献2、特許文献3、および特許文献4から公知である。
【0011】
また、極めて単純な構造の半田結合具も昔から公知であった。半田結合具は、単純な管材から成り、その内径は、通常、そこに接合される管材の内径と同じである。この半田結合具の少なくとも一端はソケットとして、その内径が接合対象の管の外径にほぼ一致するように、所定の受入部分にわたって拡径される。次に、この拡径された部分に、すなわちソケットに、接合対象の管が挿入され、結合具と管材とは半田によって材料結合式に接合される。
【0012】
この理由により、半田結合具は、広範な用途を有し、その製作コストが低いために、押圧結合具の経済的な代替品である。半田結合具は半田ゆえに金属封止とみなされるが、半田結合具は、管の金属と半田の金属とが異なるために、材料純度を有しない。更に、手間の掛かる結合具の半田付けを現場で行う必要があり、一方では、極めて時間が掛かり、他方では、周囲の状況によっては行えない。このように、金属封止式でありながら、経済的に匹敵する、種々の技術的用途のための押圧結合具は存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2008 010 083(A1)号
【特許文献2】米国特許第5,114,191号
【特許文献3】独国特許出願公告第100 26 083(C1)号
【特許文献4】独国特許出願公告第101 05 013(C1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記に鑑みて、本発明の目的は、受入領域の軸線を横切る方向への押圧を容易にすると同時に、ワーク、特に結合具、の小型化を可能にする押圧ジョー、押圧ジョーを用いたシステム、方法、および結合具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の教示によると、上記の技術的問題は、受入領域軸線に少なくとも部分的に平行に変位可能な押しユニットが少なくとも1つ設けられた、分離不能管継手を製作するための汎用押圧ジョーによって解決される。
【0016】
上記押圧ジョーは受入領域軸線に少なくとも部分的に平行に変位可能な押しユニットを少なくとも1つ有するという事実により、受入領域軸線を横切る方向への旋回運動にも拘らず、挿入された1つ以上のワークの受入領域軸線に沿った押圧手順が汎用押圧ジョーによって容易に実現される。これにより、押しユニットは、受入領域軸線に平行な押圧手順を可能にする。ここで、結合具において力を偏向させるために、高く延在する摺動面を設けて結合具の直径を増やす必要はない。代わりに、結合具を小さな直径で構成できるので、材料の節約により製作に好都合な省スペースの結合具を提供できる。押しユニットの、受入領域軸線に平行であって、少なくとも一方のジョー半体に対して少なくとも部分的に平行な運動によって、ワーク、例えば結合具または結合具の構成要素、を直接移動できるので、結合具の摺動面によって力を偏向させる必要はない。この結果、従来技術の軸方向押圧機に比べ、取り扱いがより容易な押圧ジョーの提供も可能である。当該押圧ジョーは、結合具以外のワークの押圧にも使用可能である。
【0017】
「受入領域軸線に少なくとも部分的に平行な変位」という表現は、この方向に、部分的および/または一時的であっても、押しユニットが移動できることを意味していると理解されたい。また、押しユニットは、例えば、受入領域軸線に平行であると当時に受入領域軸線を横切る方向への運動を行えるので、この運動の少なくとも1つの成分は受入領域軸線に平行である。この結果、押しユニットは、特に、受入領域軸線に平行な、または受入領域軸線に一致する、ワーク軸線に少なくとも部分的に平行にも移動する。押しユニットは、ほぼ直線的に変位可能であることが好ましい。
【0018】
少なくとも一方のジョー半体(好ましくは両ジョー半体)を枢支するための少なくとも1つの旋回軸は、この少なくとも1つの旋回軸を設けることができるマウントを用いて実現できることが好ましい。この点に関して、下側ジョー半体は、上側ジョー半体を枢支する旋回軸とは別個の旋回軸によっても枢支可能である。ただし、この点に関して、これら旋回軸は、ほぼ平行に配置されることが好ましい。
【0019】
少なくとも一方のジョー半体は、少なくとも1つの旋回軸を中心として、受入領域軸線をほぼ横切る方向に枢動可能であるので、受入領域軸線と少なくとも1つの旋回軸とはほぼ平行である。
【0020】
押圧対象のワークは、好ましくは基体とこの基体に押し付けることができるプレススリーブとから成る結合具であることが好ましい。次に、例えば、この結合具基体に管材を導入できる。次に、プレススリーブを結合具基体および/または管に押し付けることによって、受入領域軸線に平行に押圧手順が行われる。すなわち、軸方向の押圧手順が行われる。このプレススリーブによって、半径方向内向きの一様な力が結合具基体および/または管材に加えられる。
【0021】
本発明による押圧ジョーの一構成によると、上側ジョー半体は第1の上側ジョー四分体と第2の上側ジョー四分体とを有し、下側ジョー半体は第1の下側ジョー四分体と第2の下側ジョー四分体とを有する。この点に関して、第1のジョー四分体は、第2のジョー四分体とは少なくとも部分的に独立に、閉じることができる。換言すると、第1のジョー四分体は、互いに対向する第1の下側および上側ジョー四分体から成るジョー対を形成し、第2のジョー四分体は、互いに対向する第2の下側および上側ジョー四分体から成るジョー対を形成する。ただし、これらジョー四分体を少なくとも1つの共通旋回軸によって枢支することもできる。ただし、上側ジョー四分体は1つの旋回軸によって枢支され、下側ジョー四分体は別の旋回軸によって枢支されることが好ましい。上側ジョー半体は下側ジョー半体に対して鏡面対称に構成され、ひいては両上側ジョー四分体は対応する両下側ジョー四分体に対して鏡面対称に構成されることが好ましい。
【0022】
ジョー四分体を設けることによって、用途固有の押圧の実現が可能になる。すなわち、例えばタイミングおよび/または空間的に異なる押圧を構成できる。したがって、例えば、時間的に第1のジョー四分体の後に、第2のジョー四分体を閉じることができる。第1および第2のジョー四分体を適切に構成することによって、第1および第2のジョー四分体にそれぞれ異なる機能を設けることもできる。4つより多い数のジョー部分を設けることも可能である。
【0023】
押圧ジョーの特に好適な一構成によると、特に、受入領域軸線に少なくとも部分的に平行な押しユニットの変位が受入領域軸線をほぼ横切る方向への少なくとも1つの第2のジョー四分体の閉運動に少なくとも部分的にカップリングされるように、押しユニットと当該少なくとも1つの第2のジョー四分体との間にカップリングがもたらされる。
【0024】
これにより、押しユニットの変位は、特に単純な方法で実現可能であり、押圧ジョーの閉運動に統合可能である。したがって、押しユニットの更なる作動、例えば外部からの作動、は不要である。更に、既に入手可能な、半径方向押圧用に構成された押圧機を軸方向の押圧に用いることもできる。受入領域軸線をほぼ横切る方向への、または少なくとも1つの旋回軸を横切る方向への、少なくとも1つの第2のジョー四分体の旋回運動が受入領域軸線に少なくとも部分的に平行な、押しユニットの変位を引き起こすように、例えば機械的な力の偏向によって、カップリングを実現することができる。この点に関して、このカップリングは、例えば、接触面、継手を介して、および/または空気圧手段によって、行えるが、これだけに限定されるものではない。このカップリングにより、押しユニットと少なくとも1つの第1のジョー四分体とを一体構造にする必要はない。押しユニットは、第2の上側ジョー四分体と第2の下側ジョー四分体とにカップリングされることが好ましい。
【0025】
押しユニットと少なくとも1つの第2のジョー四分体とが少なくとも部分的にカップリングされるという事実は、例えば、少なくとも1つの第2のジョー四分体の閉運動中にのみ、または閉運動中に部分的にのみ、カップリングが起こり得ることを意味する。したがって、押圧手順中にカップリングを時間的に制限できる。したがって、例えば、受入領域軸線に平行な押しユニットの変位を起こさずに、少なくとも1つの第2のジョー四分体の閉運動を起こすことができる。
【0026】
第2の上側ジョー四分体が第1の上側ジョー四分体に対して移動するとき(押しユニットと上側第1のジョー四分体との間にカップリングがもたらされる場合)、または第2の下側ジョー四分体が第1の下側ジョー四分体に対して移動するとき(押しユニットと下側第1のジョー四分体との間にカップリングがもたらされる場合)にのみ、受入領域軸線に少なくとも部分的に平行に押しユニットが変位されると都合がよい。
【0027】
押圧ジョーの有利な一構成によると、このカップリングは、押しユニットに、および少なくとも1つの第2のジョー四分体に、設けられた、互いに適合化され、かつ受入領域軸線に対して傾斜した接触面によって実現される。この結果、特に単純で費用効率の良い方法でカップリングを実現できる。更に、対応するジョー四分体の、受入領域軸線をほぼ横切る方向への閉運動から押しユニットの変位への変換は、接触面の傾斜によって調整可能である。
【0028】
相互に適合化された両接触面は、力の効率的な伝達を実現するために、押圧手順全体にわたって、すなわち、第2のジョー四分体が開いているとき、更には第2のジョー四分体が閉じているとき、互いに接触していることが好ましい。これら接触面は、摺動を促進するように構成可能であると都合がよい。
【0029】
これら接触面が受入領域軸線に対して少なくとも30°、好ましくは少なくとも40°、特に好ましくは少なくとも45°、および/または最大80°、好ましくは最大70°、特に好ましくは最大60°傾斜しているとき、小型の押圧ジョーによって特に効率的な力の伝達を実現可能であることが見出された。
【0030】
この点に関して、これら接触面の好適な傾斜角は、押圧対象のワークに応じて、特に押圧対象の管の呼び幅に応じて、可変である。この傾斜角が上方に制限される場合、軸方向の押圧中に、受入領域軸線に平行な押しユニットの十分な運動、すなわち、十分なストローク、を保証できる。この傾斜角が下方に制限される場合、力の十分な伝達を実現できる。更に、より大きな傾斜角の場合、押圧ジョーのよりコンパクトな構成を実現できる。
【0031】
本発明による押圧ジョーの別の構成によると、第2のジョー四分体は、受入領域軸線に沿って第1のジョー四分体からずらして配置される。このように軸方向にずらすことによって、第1のジョー四分体による、および/または第2のジョー四分体による、押圧を、例えば時間および/または位置的に異なるように、特に容易に構成できる。
【0032】
この点に関して、第1のジョー四分体は受入領域軸線をほぼ横切る方向に、ほぼ第1の平面に位置付けられ、かつ第2のジョー四分体は受入領域軸線をほぼ横切る方向に、ほぼ第2の平面に位置付けられると都合がよい。換言すると、第1および第2のジョー四分体は、何れの場合も、受入領域軸線の放射平面に位置決めされる。これにより、特に上側ジョー半体と下側ジョー半体との間に形成された受入領域をほぼ2つの部分領域に分割できる。第1の部分領域において、第1のジョー四分体は、例えば内側輪郭を介して、挿入されるワークに作用することができる。第2の部分領域において、第2のジョー四分体は、例えば押しユニットを介して、挿入されるワークに影響を及ぼすことができる。
【0033】
この点に関して、平面の概念は広範に解釈されるものとする。その理由は、ジョー四分体は、軸線方向に、すなわち受入領域軸線の方向に、有限の広がりを全く有しないからである。この点に関して、この構成の意味の範囲内で、それぞれ異なる平面に位置決めされた各ジョー四分体は、受入領域軸線の方向に、部分的に重なり合う、および/または互いに係合し合うこともできる。ただし、少なくとも1つの旋回軸の領域において、および/または、場合によってはジョー四分体の後端に設けられた入口輪郭の領域において、第1および第2のジョー四分体は受入領域軸線の方向に重なり合わないことが好ましい。
【0034】
第1のジョー四分体が圧締用ジョーとして構成される場合、1つ以上のワークを第1のジョー四分体に対して固定できる。これらの圧締用ジョーは、1つ以上のワークを、特に受入領域軸線の方向に、すなわち軸線方向に、固定できる。したがって、例えば、結合具の基体または管材を圧締できる。この点に関して、圧締は、摩擦係止と確実な形状係止との両方によって実現可能である。同様に、圧締された1つ以上のワークを変形させることができる。この固定手順の結果として、特に単純かつ有効な押圧を、特に押しユニットによって、実現できる。例えば、押しユニットが押圧手順を受入領域軸線の方向に行っているとき、押圧対象の1つ以上のワークを外力によって受入領域軸線の方向の所定位置に保持する必要がない。
【0035】
この目的のために、圧締用ジョーとして構成された第1のジョー四分体は、特に、受入領域の少なくとも一部を画成する、圧締用プロファイルとして構成された内側輪郭を有することができる。この輪郭は、特に、ほぼ円筒形であり、例えば、挿入されたワークを固定するための突条または特定のプロファイルを有することができる。
【0036】
第1のジョー半体は、特に、受入領域軸線をほぼ横切る方向への前記第1のジョー四分体の閉運動によって、受入領域軸線をほぼ横切る方向への、すなわちほぼ半径方向内向きの、力を生じるように、構成される。
【0037】
特に、このコンテキストにおいては、第1のジョー四分体の閉運動が受入領域軸線に少なくとも部分的に平行な押しユニットの変位より時間的に前に行われるように、各ジョー四分体が構成されると特に好ましい。これにより、例えば、プレススリーブが押しユニットによって押される前に、例えば、結合具基体が適切に固定されることが保証される。
【0038】
本発明による押圧ジョーの別の構成は、第1のジョー四分体が第1の入口形状を有し、第2のジョー四分体が第2の入口形状を有し、第1の入口形状と第2の入口形状とは互いに異なる形状であることを特徴とする。これにより、時間的に適合化される運動、特に第1および第2のジョー四分体の閉運動、を特に単純な方法で実現可能である。したがって、例えば、第1のジョー四分体の部分的または完全な閉運動を最初にもたらし、その後に第2のジョー四分体が閉運動を行うことができる。
【0039】
ただし、第2のジョー四分体が完全に閉じられる前に、第1のジョー四分体が少なくとも完全に閉じられると特に好ましい。結果として、受入領域軸線に少なくとも部分的に平行な押しユニットの変位を、第1のジョー四分体の閉運動に対して時間的にずらすことができる。この結果、例えば、挿入されたワークを最初に圧締または押圧してから、別のワークまたはこのワークの別の部分の、受入領域軸線に少なくとも部分的に平行な変位を押しユニットによって行うことができる。
【0040】
受入領域軸線をほぼ横切る方向への押しユニットの運動が少なくとも1つの第1のジョー四分体の運動にカップリングされるように、押しユニットと対応する少なくとも1つの第1のジョー四分体との間に案内手段が設けられる場合、第1のジョー四分体の閉運動と共に変位される1つ以上のワークに押しユニットを当てがうことができる。案内手段は、特に、受入領域軸線にほぼ平行に延びるレールおよびガイドボルトの形態で設けられ、受入領域軸線に平行な運動を押しユニットに行わせることができる。したがって、特に、第1のジョー四分体が閉じているとき、押しユニットは受入領域軸線に少なくとも部分的に平行に変位され得る。案内手段は、案内手段が規定する経路からの押しユニットの逸脱を防止することもできる。
【0041】
この場合、受入領域軸線を横切る方向への押しユニットの運動は第1のジョー四分体によって決められるのに対し、受入領域軸線にほぼ平行な押しユニットの変位は、好ましくは、第2のジョー四分体によって決められる。
【0042】
例えば、受入領域軸線に平行な押圧手順の後で押しユニットが自動的に開始位置に戻るように、ばね偏倚された案内手段を設けることも可能である。
【0043】
押しユニットは、好ましくは、第1のジョー四分体に向けて押され、特に、第1のジョー四分体の受容部に少なくとも部分的に押し込まれる。これにより、特に省スペースの押圧ジョーの提供が可能である。
【0044】
有利な一構成によると、押圧ジョーは、押しユニットが上側押し要素と下側押し要素とを有することを特徴とする。したがって、下側押し要素を下側ジョー半体に対応付け、上側押し要素を上側ジョー半体に対応付けることができる。これにより、一様な力をワークに、例えば受入領域軸線に平行に変位されるプレススリーブに、加えることもできる。2つより多い数の押し要素を有する押しユニットを設けることも可能である。
【0045】
本発明の第2の教示によると、上記目的は、本発明による押圧ジョーと、基体およびプレススリーブを有する結合具とから成るシステムによって達成される。本システムにおいては、受入領域軸線に少なくとも部分的に平行な押しユニットの運動によってプレススリーブが結合具基体に少なくとも部分的に押し付けられ得るように、押圧ジョーの受入領域は結合具の基体に適合化され、押圧ジョーの押しユニットはプレススリーブに適合化される。
【0046】
プレススリーブに適合化された押しユニットを設けることにより、受入領域軸線に少なくとも部分的に平行な押しユニットの運動によってプレススリーブを結合具基体に少なくとも部分的に押し付けることができるため、単純な方法でシステムが設けられ、受入領域軸線または結合具軸線の方向に押圧手順を行うことができる。ここで、プレススリーブの軸線、結合具基体の軸線、および受入領域軸線は、少なくとも押圧ジョーが閉じているとき、一致することが好ましい。
【0047】
この点に関して、押しユニットは、結合具基体へのプレススリーブの押し付けを容易にする。プレススリーブを結合具基体に直接押し付ける必要はない。その間に更なる結合具部品または管材を設けることも可能である。
【0048】
結果として、結合具の直径を増大させる高く延在する摺動面を結合具に設ける必要がない。代わりに、結合具、特にプレススリーブ、を小さな直径で構成できるので、材料の節約により製作に有利な省スペースの結合具を提供できる。更に、従来技術のシステムに比べ、取り扱いが容易なシステムを提供できる。
【0049】
例えば、押しユニットの内側輪郭に設けられた、プレススリーブの後方で係合可能な、および/または対応する凹部に係合可能な、半径方向内向きの複数の突起によって押しユニットを適合化できる。代わりに、または加えて、押しユニットに対応する、半径方向外向きに係合する複数の突起をプレススリーブに設けることもできる。
【0050】
押圧ジョーは、特に、好ましくは結合具の基体を固定する第1のジョー四分体の適合化によって、結合具の基体に適合化される。
【0051】
本発明によるシステムの更なる構成および利点については、本発明による押圧ジョーの説明および従属請求項を参照されたい。
【0052】
本発明の第3の教示によると、上記目的は、押圧ジョーを用いて、特に本発明による押圧ジョーを用いて、分離不能管継手を製作する方法によって達成される。本方法によると、押圧ジョーを作動させることによって、押圧ジョーの受入領域に位置決めされた結合具基体が固定され、結合具基体の固定後、受入領域軸線に少なくとも部分的に平行な、押圧ジョーの押しユニットの運動によって、プレススリーブが結合具基体に押し付けられる。
【0053】
本発明による方法は、単純な方法での軸方向の押圧と結合具の小型化とを同時に可能にする。結合具基体の固定と受入領域軸線に少なくとも部分的に平行な押しユニットの運動とによって軸方向の押圧を生じさせるので、高く延在する結合具または大型の軸方向押圧機を用いる必要がない。
【0054】
押圧ジョーの第1の上側および下側四分体によって管材が好都合に固定され、押圧ジョーの第2の下側および上側四分体の閉運動によって、受入領域軸線に少なくとも部分的に平行な押しユニットの運動が生じる。これら方策は、特にコンパクトな押圧ジョーの使用を可能にする、実施が簡単で特に確実な方法を提供する。
【0055】
以下により詳細に記載されているように、上記の方法は、結合具と管材との間の金属封止接合の形成に特に適している。
【0056】
本発明の第4の教示によると、上記の目的は、少なくとも1つの金属管との金属封止接合のための結合具によって達成される。本結合具は、金属製の結合具基体と、好ましくはプレスリングの形態の、プレススリーブとを有し、結合具基体は、接合対象の管の外径に適合化された内径を有する円筒形ソケットを有し、プレススリーブはソケットの一端を受け入れるための受入部分を一端に有し、プレススリーブは押圧部分を有し、押圧部分の内側プロファイルは、結合具基体の外径より小さな直径まで軸線方向に先細になり、開始位置において、結合具基体はプレススリーブに部分的に挿入されており、押圧部分の内側プロファイルは、結合具基体への軸方向の変位中に、ソケットの端縁を接合対象の管の外径より小さな内径まで先細にできる。
【0057】
押圧手順中、本発明による結合具の場合、結合具基体の円筒形ソケットの、好ましくは滑らかでバリの無い、端縁が半径方向内向きに変形または鍔出しされる。これにより、所謂封止用フランジが形成される。したがって、この押圧手順の結果として、円筒形ソケットの端縁の周囲全体が刃縁になる。したがって、押圧前に設けられる刃縁または食い込み突条が不要である。
【0058】
本発明のコンテキストにおいて、用語「円筒」または「円筒形の」は、直線状の円筒を意味すると理解されたい。最も頻繁に見られる円形の円筒に加え、円形以外の領域を有する円筒も含まれる。したがって、本発明は、円形−円筒形の結合具基体および管に限定されない。
【0059】
したがって、上記の結合具は、最も単純な形状の構成要素のみを必要とするので、極めて経済的に製作可能である。これにより、結合具のための据え付けスペースが最小化され、その結果として、特に、据え付け後の断熱費を削減できる。
【0060】
また、管と結合具基体とが同じ材料から成る場合は、押圧によって単一材料製の継手を製作可能である。したがって、上記結合具は、その用途が結合具の材料によってのみ限定されるので、広範な適用分野を有する。この点に関して、例えば、銅、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼、赤ブロンズ、ならびに適したプラスチック材料が材料として可能である。
【0061】
上記の結合具のプレススリーブは、更なる補助なしに自己保持によって結合具基体の外周に留まるように、結合具の基体に押し付けられることが好ましい。この目的のために、結合具基体との軽いプレス嵌めが生じるように、受入部分の内側プロファイルの内径を構成できる。この目的のために、内径を十分に適合化できる、または内面を粗面化できる。これにより、工場においてプレススリーブを結合具基体に不動に接続できるので、現場での接続を回避できる。
【0062】
受入部分は好ましくは円筒形であるので、結合具基体のソケットが円筒形の受入部分に沿って受け入れられ、そこに保持される。
【0063】
プレススリーブの受入部分が先細になるように、特に浅い角度で円錐形に延在する内側プロファイルを有するように、プレススリーブの受入部分を構成することも可能である。この場合、プレススリーブの受入部分の開口部の断面は結合具基体のソケットの外径より大きいので、挿入が容易である。次に、挿入中、ソケットは受入部分内に案内され、最終的に、受入部分の先細断面により、プレススリーブはソケットの外周にしっかりと載る。
【0064】
更に好適には、押圧部分は円錐形の、または丸みを帯びた、または張り出した内側プロファイルを有する。何れにせよ、この内側プロファイルにより、プレススリーブが押し付けられると、ソケットの端縁が半径方向内向きに押し込まれて鍔出しされることが保証される。この点に関して、円錐状に偏向する内側プロファイルとしての形状が好適である。その理由は、連続的に行われる一様な鍔出しが保証されるからである。ただし、内側輪郭が丸みを帯びているか、または張り出している場合は、プレススリーブが押し付けられているとき、内側の勾配が増加するので、より短い変位経路で、より大きな鍔出しを実現可能である。更に、この場合、ソケットの端縁が管の材料に食い込む角度がより急角度である。
【0065】
更に好適には、プレススリーブの軸方向アライメントに対する、ひいては管自体に対する、押圧部分の角度はほぼ1〜30°、好ましくは10〜20°、である。この角度は、何れの場合も、使用される材料に、および形成される結合具基体および管壁のサイズ比率に、適合化される。
【0066】
プレススリーブは、結合具基体の材料より硬質の材料から成る。特に、材料は、金属、例えば銅、ステンレス鋼、亜鉛めっき鋼、および赤ブロンズ、から成ることが好ましい。適したプラスチック材料も可能である。押圧部分の表面は、プレススリーブと同じ材料から成ることが好ましい。
【0067】
結合具基体のソケットを一様に形成するために、押圧部分の表面は、ソケットがプレススリーブの材料には食い込まないが、管の、特に金属管の、材料に確実に食い込むことを保証するべく硬化されることが好ましい。多層管が用いられる場合、通常、外層はプラスチック材料から成り、複合構造の中心に配置される層は金属から成る。この場合、結合具基体の整形によって永久封止が生じるまで、整形が必要である。この目的のために、内側金属層も少なくとも部分的に成形される程度まで、結合具基体の鍔出しが必要になり得る。
【0068】
上記のように、受入部分の内側プロファイルが先細になる場合、受入部分と押圧部分とは一様な内側輪郭で延在可能であり、例えばこの2つの部分の間の少なくとも移行領域において、同一の勾配を有し得る。したがって、受入部分と押圧部分とは、内側輪郭の変化によって互いに区別することはできず、それぞれの機能によってのみ互いを識別することが可能である。特に、プレススリーブの内側には、開口部の領域に受入部分を形成すると共に、そこに内側で隣接する押圧部分を形成する内側先細部分を設けることができる。
【0069】
基体とプレススリーブとから成る上記の結合具は、あらゆる種類の軸方向押し工具に適している。押圧中、唯一の重要な要因は、プレススリーブを結合具の基体のソケットに軸方向に押し付けることである。軸方向の運動は、端縁の周囲への一様な鍔出し、ひいては一様な押圧結果、を保証する。
【0070】
特に、上記の押圧ジョーでは、押しユニットによって結合具を押圧できる。この目的のために、結合具基体は、押圧ジョーの第1のジョー対による圧締のための圧締部分を有することが好ましい。圧締部分が弾性範囲内でのみ変形される、かつ押圧ジョーの解放後に押圧ジョーが開始位置に戻る、力で圧締を行うことができる。
【0071】
ただし、この圧締動作は、圧締部分の領域に部分押圧をもたらすこともできるので、回転対称な整形ばかりでなく、結合具基体に対する管の捻れを防止するために、多角形の形態の、特に六角形の形態の、整形も可能である。この整形は、継手の機械的強度を高めるが、封止式の成形には役立たない。
【0072】
更に、特許文献1による押圧ジョーを用いた押圧手順も可能である。この種の押圧ジョーは、押圧プロファイルの両側に斜めの輪郭を有する一対のジョーを有する。押圧ジョーの圧縮により、互いに対して斜角で偏向する2つの係合面が互いに向かって移動され、これにより、軸方向の押圧を可能にする。この目的のために、プレススリーブは斜めに偏向する支持面を有し、結合具基体は、好ましくは周方向の窪みに配置された、反対方向に延在する支持面を有する圧締リングを有する。
【0073】
更に好適には、結合具基体には、より小さな直径を有する、公知の方法で止め子としての役割を果たす部分がソケットに隣接して設けられる。したがって、接合対象の管をこの止め子まで結合具に挿入できるので、押圧前に、結合具によって管の申し分ない案内が保証される。
【0074】
上記の結合具の更なる利点は、押圧されていないとき、密着していない点である。結合具基体のソケットと管との間の継手が未押圧の状態では、非可撓性の封止材料は望ましくない封止を生じさせ得ない。したがって、本発明による結合具が取り付けられた管路が加圧下で試験されるとき、未押圧状態の結合具は密着していない。軸方向の押圧の完了時にのみ、封止が生じる。
【0075】
上記の結合具は単純な形状によって識別される。この形状は、他ならぬその単純さ故に、結合具と管との間の金属封止接合のために驚くほど良好な押圧結果をもたらす。この理由により、それ自体が公知の半田結合具を結合具基体として用いることができる。挿入された管に半田結合具を、半田付けせずに、プレススリーブを軸方向に押すことによって、固定および金属封止される方法で接合するために更に設ける必要があるのは、プレススリーブだけである。
【0076】
本発明による結合具の使用方法は、実質的に無制限である。したがって、これら結合具は、一方では、例えば飲料水配管設備および加熱用配管設備の部門において公知の解決策を経済的な解決策に置き換えることができる。他方、本発明に基づき軸方向に押圧される金属封止結合具は、以下の応用分野においても初めて使用可能である。即ち、冷凍施設、工業施設、特に天然ガスパイプライン、原油パイプライン、およびガソリンパイプライン、ならびに化学工業施設、ソーラープラント、医療ガスを通すための施設内プラントにおいて、または航空宇宙産業においても使用可能である。
【0077】
本発明の第5の教示によると、上記の目的は、結合具を金属管に金属封止式に接合する方法によって達成される。本方法によると、受入部分を有するプレススリーブが結合具基体の円筒形ソケットの外周に配置され、円筒形ソケットに管が挿入され、押圧ジョーによってプレススリーブが軸方向にソケットに押し付けられ、プレススリーブの内側に構成された先細の押圧部分によってソケットの端縁が半径方向内向きに変形され、ソケットの端縁は、刃縁として、管の材料に食い込む。
【0078】
したがって、本発明による方法は、押圧ジョーの特定の構成に関係なく、実施可能である。必要なことは、力の伝達ために必要な結合具の各要素と押圧ジョーとが互いに適合化されていることだけである。
【0079】
本発明による方法、本発明による押圧ジョー、本発明によるシステム、および本発明による結合具の更なる構成および利点に関しては、対応する従属請求項および以下の説明を参照されたい。
【0080】
以下においては、図面に例示されている一実施形態に言及して本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1】押圧ジョーの一実施形態のジョー半体が開いている状態の斜視図である。
図2】第1のジョー四分体が部分的に閉じた図1の押圧ジョーを示す。
図3a】第1のジョー四分体が閉じた図2の押圧ジョーの図である。
図3b】第1のジョー四分体が閉じた図2の押圧ジョーの別の図である。
図3c】第1のジョー四分体が閉じた図2の押圧ジョーの別の図である。
図4a】第2のジョー四分体も閉じた図3の押圧ジョーの図である。
図4b】第2のジョー四分体も閉じた図3の押圧ジョーの別の図である。
図4c】第2のジョー四分体も閉じた図3の押圧ジョーの別の図である。
図5】ジョー半体が開いた図1の押圧ジョーを結合具と共に示す斜視図である。
図6a】結合具が完全に挿入されて第1のジョー四分体が閉じた図5の押圧ジョーと結合具の図である。
図6b】結合具が完全に挿入されて第1のジョー四分体が閉じた図5の押圧ジョーと結合具の別の図である。
図6c】結合具が完全に挿入されて第1のジョー四分体が閉じた図5の押圧ジョーと結合具の別の図である。
図7a】第2のジョー四分体が閉じた図6の押圧ジョーと結合具の図である。
図7b】第2のジョー四分体が閉じた図6の押圧ジョーと結合具の別の図である。
図7c】第2のジョー四分体が閉じた図6の押圧ジョーと結合具の別の図である。
図8】本発明による結合具の第1の実施形態の押圧前の斜視図である。
図9図8の結合具の断面図である。
図10】本発明による結合具の第1の実施形態の押圧後の斜視図である。
図11図10の結合具の断面図である。
図12】本発明による結合具の第2の実施形態の押圧前の断面図である。
図13図12の結合具の押圧後の断面図である。
図14図14a〜14dは、本発明によるプレススリーブの内側プロファイルの一形状を示す。
図15】本発明による結合具の第3の実施形態の押圧前の斜視図である。
図16】押圧ジョーが当てがわれた図14の結合具の断面図である。
図17】本発明による結合具の第3の実施形態の押圧後の斜視図である。
図18図16の結合具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0082】
以下においては、図1〜7を参照して、本発明による押圧ジョー1、システム、および方法を例によって説明する。図8〜18は、本発明による結合具の複数の実施形態を示す。
【0083】
図1は、押圧ジョー1の一実施形態のジョー半体2a、2bが開いている状態の斜視図である。押圧ジョー1の上側ジョー半体2aは、第1の上側ジョー四分体4aと第2の上側ジョー四分体6aとから成る。下側ジョー半体2bは、第1の下側ジョー四分体4bと第2の下側ジョー四分体6bとから成る。図1には、ジョー半体2a、2bが開いている、すなわち第1のジョー四分体4a、4bと第2のジョー四分体6a、6bとが全開位置にある、押圧ジョー1が示されている。マウント8は、上側ジョー四分体4a、6aを枢支する上側旋回軸8aと、下側ジョー四分体4b、6bを枢支する下側旋回軸8bとを有する。
【0084】
第1のジョー四分体4a、4bの各々は、押圧機のための入口形状12を形成する後端10a、10bを有する。同様に、第2のジョー四分体6a、6bの後端14a、14bは、押圧機のための入口形状16を形成する。第1のジョー四分体4a、4bの前端18a、18bと第2のジョー四分体6a、6bの前端20a、20bとの間に受入領域22が形成される。受入領域22は、受入領域軸線24を有する。受入領域軸線24は、マウント8の旋回軸8aおよび8bにほぼ平行に延びる。結果として、受入領域軸線に沿ってずらして配置された第1のジョー四分体4a、4bと第2のジョー四分体6a、6bとは、受入領域軸線24を横切る方向へ、および旋回軸8a、8bを横切る方向へ、一平面内でそれぞれ枢動可能である。
【0085】
押圧ジョー1は、上側押し要素26aと下側押し要素26bとを有する押しユニット26を更に備える。押しユニット26の上側押し要素26aは、案内手段28aによって第1の上側ジョー四分体4aに連結される。下側押し要素26bは、案内手段28bによって第1の下側ジョー四分体4bに連結される。案内手段28a、28bは、受入領域軸線24にほぼ平行に延びるガイドレールまたはガイドボルトとして構成される。押し要素26a、26bは、案内手段28a、28bによって、第1のジョー四分体4a、4bの対応する受容部30a、30bの中に移動できる。図1には、第1のジョー四分体4a、4bの外に移動された位置にある押しユニット26が示されている。
【0086】
押しユニット26の上側押し要素26aと第2の上側ジョー四分体6aとの間にカップリング32aがもたらされ、押しユニット26の下側押し要素26bと第2の下側ジョー四分体6bとの間にカップリング32bがもたらされる。図示の実施形態において、カップリング32a、32bは、何れの場合も、押しユニット26の押し要素26a、26bの、および第2のジョー四分体6a、6bの、互いに適合化された接触面34a、34b、36a、36bとして実現される。この点に関して、上側押し要素26aに配置された接触面34aは、第2の上側ジョー四分体6aの接触面36aに接触し、下側押し要素26bに配置された接触面34bは、第2の上側ジョー四分体6bの接触面36bに接触する。以降の図から明らかになるように、カップリング32a、32bにより、受入領域軸線24にほぼ平行な押しユニット26の変位は、受入領域軸線24をほぼ横切る方向への第2のジョー四分体6a、6bの閉運動に部分的にカップリングされる。
【0087】
受入領域22は、ほぼ2つに分割される。圧締用プロファイルが設けられた第1のジョー四分体4a、4bの、受入領域22を画定する内側輪郭38は、ワーク、特に結合具基体、を受入領域軸線の方向に圧締または固定可能な第1の部分領域を形成する。押しユニット26の押し要素26a、26bによって画定される、受入領域22の第2の部分領域においては、押しユニット26によってワーク、特にプレススリーブ、を受入領域軸線24またはワーク軸線に平行に移動させることができる。押しユニット26は、この目的のために適切に適合化された内側輪郭40を有する。
【0088】
図2は、第1のジョー四分体2a、2bが部分的に閉じた図1の押圧ジョー1を示す。この状態において、圧締および/または押圧手順を開始せずに、押圧ジョー1を特に1つ以上のワークに当てがうことができる。第1のジョー四分体4a、4bの、入口形状12を形成する後端10a、10bを押し離すことによって、第1のジョー四分体4a、4bは殆ど完全に閉じられる。この点に関して、第2のジョー四分体6a、6bの入口形状16は、第2のジョー四分体6a、6bの後端14a、14bの近傍において、第1のジョー四分体4a、4bの入口形状12と同様に構成される。この結果、第2のジョー四分体6a、6bも、初めは、第1のジョー四分体4a、4bに平行に閉じられる。これにより、第2の上側ジョー四分体6aと第1の上側ジョー四分体4aとは、互いに対して移動していない。同じことは下側ジョー四分体4b、6bにも当てはまる。これは、特に、図1に示されているように、第1のジョー四分体4a、4bに設けられた凹部41a、41bに第2のジョー四分体6a、6bがまだ嵌入していないという事実からも認識できる。
【0089】
受入領域軸線24をほぼ横切る方向への第1のジョー四分体4a、4bの運動により、押し要素26a、26bも受入領域軸線24をほぼ横切る方向に相応に動かされている。この点に関して、第2の上側ジョー四分体6aと上側押し要素26aとは互いに対して同じ位置を有する。したがって、同じことは、第2の下側ジョー四分体6bと下側押し要素26bにも当てはまる。したがって、押しユニット26は、受入領域軸線24の方向に移動されていない。
【0090】
図3a〜cは、第1のジョー四分体4a、4bが閉じた図2の押圧ジョー1のさまざまな図である。最初に、図3aは斜視図である。図2と対照的に、第1のジョー四分体4a、4bは完全に閉じている。第1のジョー四分体4a、4bの前端18a、18b、ならびに押し要素26a、26bは、互いに対接している。第1のジョー四分体4a、4bの内側輪郭38と押しユニット26の内側輪郭40とは、周方向に閉じられる受入領域22を形成する。
【0091】
図3bに示されている側面図は、受入領域24がほぼ円形の断面を有することを示す。ただし、例えば、楕円形または多角形の断面も可能である。
【0092】
第2のジョー四分体6a、6bの入口形状16は、第2のジョー四分体6a、6bの前端20a、20bの方向に先細になり、第1のジョー四分体4a、4bの入口形状12より狭まる。互いに異なる入口形状12、16により、押圧機は、第2のジョー四分体6a、6bを第1のジョー四分体4a、4bより時間的に遅らせて閉じることができる。
【0093】
図3cは、受入領域22の領域においてジョー四分体4a、4b、6a、6bの前端18a、18b、20a、20bを通る図3bの線IIIcに沿った断面を示す。第2のジョー四分体6a、6bは、既に完全に閉じている第1のジョー四分体4a、4bより開いている。図1に比べると、押し要素26a、26bは、受入領域軸線24に平行には未だ動かされていない。押しユニット26は、第1のジョー四分体4a、4bから離れている。押し要素26aおよび26bの接触面34a、34bは、第2のジョー四分体6aおよび6bの対応する接触面36aおよび36bに既に接触している。受入領域軸線24に対する接触面34a、34b、36a、36bの角度はほぼ50°である。
【0094】
図4a〜cは、図3の押圧ジョー1を図3に似た図で示しているが、第2のジョー四分体6a、6bは閉じている。図4aは押圧ジョー1の斜視図であり、図4bは側面図を示す。図3と対照的に、受入領域軸線24を横切る方向への更なる移動により、第2のジョー四分体6a、6bも完全に閉じている。これは、特に、第2のジョー四分体6a、6bの、更に押し離されている後端14a、14bから認識可能である。結果として、前端20a、20bは、第1のジョー四分体4a、4bに設けられた凹部41a、41bに嵌入する。受入領域軸線24をほぼ横切る方向への第2のジョー四分体6a、6bの閉運動により、第2のジョー四分体6a、6bは、対応する第1のジョー四分体4a、4bに対して移動する。この結果、上側押し要素26aの接触面34aは、第2の上側ジョー四分体6aの接触面36aに沿って摺動し、下側押し要素26bの接触面34bは、第2の下側ジョー四分体6bの接触面36bに沿って摺動する。案内手段28a、28bにより、押しユニット26の押し要素26a、26bは、受入領域軸線24を横切る方向への運動の自由がないため、第2のジョー四分体6a、6bと押し要素26a、26bとの間のカップリングによって、押し要素26a、26bは受入領域軸線24に平行に移動して受容部30a、30bに入る。
【0095】
図4cは、図3cと同様に、図4bの線IVcに沿った断面を示す。図3cと対照的に、受入領域軸線を横切る方向への第2のジョー四分体6a、6bの閉運動によって押し要素26a、26bは案内手段28a、28bに沿って第1のジョー四分体4a、4bに向かって移動されているので、押しユニット26の押し要素26a、26bは第1のジョー四分体4a、4bに当たって動きが阻止されている。
【0096】
図5は、特に、図1の押圧ジョーを示す。押圧ジョー1の説明に関しては、図1〜4を参照されたい。図1と対照的に、図5は、結合具50の形態のワークを更に示す。結合具50は、結合具基体54と、この結合具基体に取り付けられた2つのプレススリーブ56および58とを備える。結合具50は、ほぼ管状である。ジョー半体2a、2bが開位置にあるとき、軸線52を有する結合具50を、受入領域軸線24を横切る方向に、受入領域22に導入できる。
【0097】
図3a〜cと同様に、図6a〜cは、第1のジョー四分体4a、4bが閉じた図5の押圧ジョー1および結合具50のさまざまな図である。第1のジョー四分体4a、4bが閉じているとき、結合具50の軸線52は、受入領域軸線24に一致する。第1のジョー四分体4a、4bの内側輪郭38は、結合具50の基体54の外周面に適合化されている。したがって、第1のジョー四分体4a、4bが閉位置にあるとき、内側輪郭38は基体54を圧締する。この点に関して、ワーク軸線52を横切る方向に結合具基体54を押圧することも可能である。ただし、結合具基体54がワーク軸線52の方向に、または受入領域軸線24の方向に、移動しないように押圧ジョー1に対して固定されるように、圧締動作のみが行われることが好ましい。
【0098】
図6a〜cに示されている押し要素26の位置において、押しユニット26はプレススリーブ56の後方で係合する。押しユニット26の内側輪郭40に設けられた、プレススリーブ56の後方で係合する、上側および下側の押し要素26aおよび26bの半径方向内向きの突起44a、44bによって、押しユニット26は適合化されている。
【0099】
ここで第2のジョー四分体6a、6bが受入領域軸線24を横切る方向にそれぞれの閉位置に移動されると、カップリング32a、32bにより、押しユニット26は受入領域軸線24にほぼ平行に移動され、その結果として、プレススリーブ56は、結合具50の軸線52の方向に結合具の基体に押し付けられる。結果として、例えば、結合具50に挿入された管(図示せず)を、結合具50と共に、押圧できる。
【0100】
この状態は、図7a〜cに示されている。図7a〜cは、図4a〜cと同様に第2のジョー四分体6a、6bが閉じた、図6の押圧ジョー1と結合具50のさまざまな図である。
【0101】
図7cから分かるように、次に、位置付けられているだけのプレススリーブ58を、結合具50を180°回転させて受入領域22に導入することによって、プレススリーブ56と同じ方法で押圧ジョー1によって結合具基体54に押し付けることができる。
【0102】
図7aおよび7bは、押圧機70を更に示している。入口形状12、16を形成する後端10a、10bおよび14a、14bの間にローラ70a、70bを導入することによって、押圧ジョーは徐々に閉じられる。図7に示されている押圧ジョー1の位置において、押圧ジョーは既に完全に閉じている。すなわち、押圧機70のローラ70a、70bは、第1のジョー四分体4a、4bならびに第2のジョー四分体6a、6bが完全に閉じるまで、入り込んでいる。
【0103】
その後、全てのジョー四分体4a、4b、6a、6bを、例えば手で、一緒に開くことができるので、押圧された結合具50から押圧ジョー1を取り外すことができる。これにより、分離不能管継手を製作できる。
【0104】
以下においては、図8〜18を参照して、本発明による結合具をより詳細に説明する。
【0105】
図8〜11は、本発明による結合具50の第1の実施形態を、何れの場合も、斜視図と断面図とで示す。
【0106】
結合具50は、少なくとも1つの金属管80との金属封止接合のために設けられる。結合具の金属基体54は、円筒形ソケット82を有する。その内径は、接合対象の管80の外径に適合化されている。これにより、管80の図示の端部は、結合具基体54に接合するために、ソケット82に挿入可能である。
【0107】
更に、結合具基体54の左手に示されている端部に、プレスリングの形態のプレススリーブ56が設けられる。結合具基体54の他端にもソケット84が設けられる。ソケット84は、ソケット82がプレススリーブ56および管80と協働するのと同じように、プレススリーブ58および管80と協働する。この理由により、以下においては、ソケット82とその動作モードのみを説明する。
【0108】
プレススリーブ56は、その一端に、ソケット82の端部を受け入れるための受入部分86を有する。これにより、ソケット82に対するプレススリーブ56の精密な位置付けと同時に申し分のない保持を実現するための、ソケット82へのプレススリーブ56の部分的な押し付けが可能になる。したがって、図8および図9に示されている開始位置において、結合具基体54はプレススリーブ56に部分的に挿入されている。この点に関して、プレススリーブ56がソケット82の表面に位置付けられたときに、受入部分86の内側輪郭が自己保持を生じることが好ましい。この目的のために、ソケット82との軽いプレス嵌めが生じるように、内径を選択できる。同様に、自己保持効果を生じさせるために、受入部分86の内側輪郭に粗面を設けることができる。
【0109】
更に、プレススリーブ56は押圧部分88を有する。押圧部分88の内側プロファイルは、その直径が結合具基体54の外径より小さくなるまで、軸線方向に先細になる。したがって、押圧部分88の内側プロファイルは、結合具基体54への軸方向の変位中に、ソケット82の端縁を、接合対象の管80の外径より小さな内径になるまで、先細にすることができる。
【0110】
この状態は、図10および11に示されている。プレススリーブ56に挿入された、結合具基体56のソケット82は、半径方向内向きに成形または鍔出しされるので、ソケット82の端縁は管80の材料に食い込む。これにより、封止用フランジの形態の刃縁89がソケット82の周囲全体にわたって形成され、結合具基体54と管80との間に金属封止接合が形成される。
【0111】
したがって、円筒形の結合具50または円筒形ソケット82の直線状端縁は、この押圧手順によって、周方向の刃縁89に整形される。
【0112】
プレススリーブ36および管80と協働するソケット82を有する、左手に示されている結合具基体54の上記の動作モードは、右手に示されているソケット84、プレススリーブ58、および管80にも同様に当てはまる。
【0113】
図12(押圧前)および図13(押圧後)は、本発明による結合具50の第2の実施形態を示す。この実施形態において、結合具基体54は、その一端にのみ、ソケット54とプレススリーブ56とを有し、右手に示されている端部は挿入端90として構成されている。この点に関して、結合具基体の形状は直線状として図示されている。また、湾曲した弧、T字片、またはアーマチュアも結合具基体として可能である。
【0114】
図8〜13に示されているように、受入部分86は円筒形である。したがって、受入部分86の軸方向の案内により、ソケット82の精密な位置付けが可能であり、これにより、良好な、一様な押圧結果が得られる。
【0115】
更に、図8〜11にも示されているように、押圧部分88は円錐形である。結果として、ソケット82の端部が一様に整形される。この場合、受入部分86と押圧部分88との間に周縁87が延びる。
【0116】
図14は、断面形状がそれぞれ異なる受入部分86、押圧部分88、およびプレススリーブ56の可能な内側輪郭を示す。
【0117】
図14aは、図8〜13の内側輪郭を示す。これらの図において、受入部分86の内側輪郭は円筒形であり、押圧部分88の内側輪郭は円錐形である、
【0118】
図14bは、内側輪郭全体が円錐形で形成され、受入部分86と押圧部分88の勾配が同じであるため、これら2つの部分を直接区別できない内側輪郭を示す。したがって、一様に偏向した内側輪郭において、第1の部分が受入部分86と称され、その隣接部分が押圧部分88と称され、それぞれの部分はそれぞれの機能を引き受ける。平坦な勾配により、受入部分86はソケット(この図に不図示)を自己保持式に受け入れることができるので、プレススリーブ54を結合具基体(この図に不図示)に事前に取り付けておくことができる。
【0119】
図14cでは、受入部分86は同じく円筒形であるが、押圧部分88は丸みを帯びているか、または張り出している。丸みを帯びているか張り出しているかの区別は、押圧部分88の湾曲した内側輪郭のために選択される半径方向経路に応じて決まる。
【0120】
最後に、図14dは、受入部分86と押圧部分88の両方が軸線方向に湾曲した内側輪郭を有するプレススリーブ54を示す。これにより、挿入されたソケットは最初にプレススリーブ内に案内されて漸次挿入され、その後に次第に内向きに成形される。
【0121】
図示の各実施形態において、各円錐面は軸線方向に対して傾斜して示されている。この点に関して、好適な角度範囲は1から30°であり、特に10から20°である。
【0122】
図8〜13に示されている結合具は、図1〜7に関連して説明した本発明による押圧ジョーを用いた軸方向の押圧に適している。この押圧手順は、特に図5図6c、および図7cから分かる。
【0123】
この目的のために、結合具基体54は、上記の押圧ジョーの第1のジョー対4a、4bによる圧締のための圧締部分92を有する。圧締部分92は、プレススリーブ56に挿入された結合具基体54の部分に隣接する。
【0124】
ジョー対4a、4bによる軸方向への圧締によって、結合具基体54は管80と一緒に固定されるので、その後、プレススリーブ56を結合具基体54の表面に押し付けることができる。この理由により、最初に結合具基体54が固定され、その後にのみ、プレススリーブ56軸方向に押圧される。
【0125】
押圧ジョー4a、4bは、圧締部分92の部分的押圧も可能である。すなわち、特定の構造を結合具基体54に部分的に永久成形できる。この点に関して、押圧を回転対称に行うことも、または、結合具基体54に対する管80の捻れを防止するために、多角形、特に六角形、の形態に行うこともできる。圧締部分92の領域における押圧は継手の機械的強度を向上させるが、結合具基体54に対するプレススリーブ56の軸方向の押圧の代用にはならない。
【0126】
既述のように、上記の結合具50の押圧手順は、本発明による押圧ジョーの使用に限定されない。本発明による結合具50には、他の形態の軸方向の押圧も使用可能である。
【0127】
この一例が図15〜18に第3の実施形態として示されている。これらの図では、結合具50の上記と同じ要素には同じ参照符号が用いられている。この理由により、上記の各実施形態との相違点にのみ言及する。
【0128】
第3の実施形態は、特許文献1に記載されているように、押圧ジョーによる軸方向への押圧が可能である。
【0129】
開始位置において結合具基体54に押し付けられているプレススリーブ56は、斜めに偏向した支持面94を有する。更に、結合具基体54は、周方向の窪み96に配置された圧締リング98を有する。圧締リング98は、支持面94の反対方向に位置合わせされた支持面100を有する。圧締リング98は、金属製の結合具基体54の表面に位置付け可能であるように、少なくとも部分的に可撓性である。それにも拘らず、圧締リング98は、以下に説明するように、軸方向の押圧力に対して当接機能をもたらすために十分な抵抗力を有する。
【0130】
図16は、結合具50に加え、押圧ジョー102を示す。押圧ジョー102は、互いに反対方向に位置合わせされた2つの支持面104および106を有する。支持面104はプレススリーブ56の支持面94と協働し、支持面106は圧締リング98の支持面100に押し当てられる。
【0131】
支持面110および112を有する同一構成の押圧ジョー108は、プレススリーブ56の反対側に載る。この場合、支持面110はプレススリーブ56支持面94と協働し、支持面112は圧締リング98の支持面100と協働する。
【0132】
押圧中、2つの押圧ジョー102および108は互いに向かって移動され、斜めの支持面は互いに沿って摺動する。その結果、プレススリーブ56は結合具基体54に押圧される。この点に関して、圧締リング98は当接面として機能する。図17および図18は、プレススリーブ56が押圧された状態を示す。
【0133】
図15〜18は、図8〜11のように、第2のプレススリーブ58をそれぞれ示す。プレススリーブ58も斜めに偏向する支持面を有し、圧締リング98もそれに対応する支持面を有する。したがって、プレススリーブ98も、圧締リング98と上記の押圧ジョー102および108とが相応に当てがわれたとき、これらよって軸方向に押圧可能である。
【0134】
図8〜13および図15〜18に示されている結合具基体54は、例えば半田結合具として、構成可能である。したがって、経済的に製作可能なこれら結合具は、本発明により、軸方向に容易に金属封止式に押圧可能である。
【0135】
最後に、図示の各実施形態において、挿入される管80に対する止め子が、周方向の窪み114によって、または肩部116によって、または圧締リング98用の窪み96によって、結合具基体54に形成される。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図5
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図7c
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18