【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の教示によると、上記の技術的問題は、受入領域軸線に少なくとも部分的に平行に変位可能な押しユニットが少なくとも1つ設けられた、分離不能管継手を製作するための汎用押圧ジョーによって解決される。
【0016】
上記押圧ジョーは受入領域軸線に少なくとも部分的に平行に変位可能な押しユニットを少なくとも1つ有するという事実により、受入領域軸線を横切る方向への旋回運動にも拘らず、挿入された1つ以上のワークの受入領域軸線に沿った押圧手順が汎用押圧ジョーによって容易に実現される。これにより、押しユニットは、受入領域軸線に平行な押圧手順を可能にする。ここで、結合具において力を偏向させるために、高く延在する摺動面を設けて結合具の直径を増やす必要はない。代わりに、結合具を小さな直径で構成できるので、材料の節約により製作に好都合な省スペースの結合具を提供できる。押しユニットの、受入領域軸線に平行であって、少なくとも一方のジョー半体に対して少なくとも部分的に平行な運動によって、ワーク、例えば結合具または結合具の構成要素、を直接移動できるので、結合具の摺動面によって力を偏向させる必要はない。この結果、従来技術の軸方向押圧機に比べ、取り扱いがより容易な押圧ジョーの提供も可能である。当該押圧ジョーは、結合具以外のワークの押圧にも使用可能である。
【0017】
「受入領域軸線に少なくとも部分的に平行な変位」という表現は、この方向に、部分的および/または一時的であっても、押しユニットが移動できることを意味していると理解されたい。また、押しユニットは、例えば、受入領域軸線に平行であると当時に受入領域軸線を横切る方向への運動を行えるので、この運動の少なくとも1つの成分は受入領域軸線に平行である。この結果、押しユニットは、特に、受入領域軸線に平行な、または受入領域軸線に一致する、ワーク軸線に少なくとも部分的に平行にも移動する。押しユニットは、ほぼ直線的に変位可能であることが好ましい。
【0018】
少なくとも一方のジョー半体(好ましくは両ジョー半体)を枢支するための少なくとも1つの旋回軸は、この少なくとも1つの旋回軸を設けることができるマウントを用いて実現できることが好ましい。この点に関して、下側ジョー半体は、上側ジョー半体を枢支する旋回軸とは別個の旋回軸によっても枢支可能である。ただし、この点に関して、これら旋回軸は、ほぼ平行に配置されることが好ましい。
【0019】
少なくとも一方のジョー半体は、少なくとも1つの旋回軸を中心として、受入領域軸線をほぼ横切る方向に枢動可能であるので、受入領域軸線と少なくとも1つの旋回軸とはほぼ平行である。
【0020】
押圧対象のワークは、好ましくは基体とこの基体に押し付けることができるプレススリーブとから成る結合具であることが好ましい。次に、例えば、この結合具基体に管材を導入できる。次に、プレススリーブを結合具基体および/または管に押し付けることによって、受入領域軸線に平行に押圧手順が行われる。すなわち、軸方向の押圧手順が行われる。このプレススリーブによって、半径方向内向きの一様な力が結合具基体および/または管材に加えられる。
【0021】
本発明による押圧ジョーの一構成によると、上側ジョー半体は第1の上側ジョー四分体と第2の上側ジョー四分体とを有し、下側ジョー半体は第1の下側ジョー四分体と第2の下側ジョー四分体とを有する。この点に関して、第1のジョー四分体は、第2のジョー四分体とは少なくとも部分的に独立に、閉じることができる。換言すると、第1のジョー四分体は、互いに対向する第1の下側および上側ジョー四分体から成るジョー対を形成し、第2のジョー四分体は、互いに対向する第2の下側および上側ジョー四分体から成るジョー対を形成する。ただし、これらジョー四分体を少なくとも1つの共通旋回軸によって枢支することもできる。ただし、上側ジョー四分体は1つの旋回軸によって枢支され、下側ジョー四分体は別の旋回軸によって枢支されることが好ましい。上側ジョー半体は下側ジョー半体に対して鏡面対称に構成され、ひいては両上側ジョー四分体は対応する両下側ジョー四分体に対して鏡面対称に構成されることが好ましい。
【0022】
ジョー四分体を設けることによって、用途固有の押圧の実現が可能になる。すなわち、例えばタイミングおよび/または空間的に異なる押圧を構成できる。したがって、例えば、時間的に第1のジョー四分体の後に、第2のジョー四分体を閉じることができる。第1および第2のジョー四分体を適切に構成することによって、第1および第2のジョー四分体にそれぞれ異なる機能を設けることもできる。4つより多い数のジョー部分を設けることも可能である。
【0023】
押圧ジョーの特に好適な一構成によると、特に、受入領域軸線に少なくとも部分的に平行な押しユニットの変位が受入領域軸線をほぼ横切る方向への少なくとも1つの第2のジョー四分体の閉運動に少なくとも部分的にカップリングされるように、押しユニットと当該少なくとも1つの第2のジョー四分体との間にカップリングがもたらされる。
【0024】
これにより、押しユニットの変位は、特に単純な方法で実現可能であり、押圧ジョーの閉運動に統合可能である。したがって、押しユニットの更なる作動、例えば外部からの作動、は不要である。更に、既に入手可能な、半径方向押圧用に構成された押圧機を軸方向の押圧に用いることもできる。受入領域軸線をほぼ横切る方向への、または少なくとも1つの旋回軸を横切る方向への、少なくとも1つの第2のジョー四分体の旋回運動が受入領域軸線に少なくとも部分的に平行な、押しユニットの変位を引き起こすように、例えば機械的な力の偏向によって、カップリングを実現することができる。この点に関して、このカップリングは、例えば、接触面、継手を介して、および/または空気圧手段によって、行えるが、これだけに限定されるものではない。このカップリングにより、押しユニットと少なくとも1つの第1のジョー四分体とを一体構造にする必要はない。押しユニットは、第2の上側ジョー四分体と第2の下側ジョー四分体とにカップリングされることが好ましい。
【0025】
押しユニットと少なくとも1つの第2のジョー四分体とが少なくとも部分的にカップリングされるという事実は、例えば、少なくとも1つの第2のジョー四分体の閉運動中にのみ、または閉運動中に部分的にのみ、カップリングが起こり得ることを意味する。したがって、押圧手順中にカップリングを時間的に制限できる。したがって、例えば、受入領域軸線に平行な押しユニットの変位を起こさずに、少なくとも1つの第2のジョー四分体の閉運動を起こすことができる。
【0026】
第2の上側ジョー四分体が第1の上側ジョー四分体に対して移動するとき(押しユニットと上側第1のジョー四分体との間にカップリングがもたらされる場合)、または第2の下側ジョー四分体が第1の下側ジョー四分体に対して移動するとき(押しユニットと下側第1のジョー四分体との間にカップリングがもたらされる場合)にのみ、受入領域軸線に少なくとも部分的に平行に押しユニットが変位されると都合がよい。
【0027】
押圧ジョーの有利な一構成によると、このカップリングは、押しユニットに、および少なくとも1つの第2のジョー四分体に、設けられた、互いに適合化され、かつ受入領域軸線に対して傾斜した接触面によって実現される。この結果、特に単純で費用効率の良い方法でカップリングを実現できる。更に、対応するジョー四分体の、受入領域軸線をほぼ横切る方向への閉運動から押しユニットの変位への変換は、接触面の傾斜によって調整可能である。
【0028】
相互に適合化された両接触面は、力の効率的な伝達を実現するために、押圧手順全体にわたって、すなわち、第2のジョー四分体が開いているとき、更には第2のジョー四分体が閉じているとき、互いに接触していることが好ましい。これら接触面は、摺動を促進するように構成可能であると都合がよい。
【0029】
これら接触面が受入領域軸線に対して少なくとも30°、好ましくは少なくとも40°、特に好ましくは少なくとも45°、および/または最大80°、好ましくは最大70°、特に好ましくは最大60°傾斜しているとき、小型の押圧ジョーによって特に効率的な力の伝達を実現可能であることが見出された。
【0030】
この点に関して、これら接触面の好適な傾斜角は、押圧対象のワークに応じて、特に押圧対象の管の呼び幅に応じて、可変である。この傾斜角が上方に制限される場合、軸方向の押圧中に、受入領域軸線に平行な押しユニットの十分な運動、すなわち、十分なストローク、を保証できる。この傾斜角が下方に制限される場合、力の十分な伝達を実現できる。更に、より大きな傾斜角の場合、押圧ジョーのよりコンパクトな構成を実現できる。
【0031】
本発明による押圧ジョーの別の構成によると、第2のジョー四分体は、受入領域軸線に沿って第1のジョー四分体からずらして配置される。このように軸方向にずらすことによって、第1のジョー四分体による、および/または第2のジョー四分体による、押圧を、例えば時間および/または位置的に異なるように、特に容易に構成できる。
【0032】
この点に関して、第1のジョー四分体は受入領域軸線をほぼ横切る方向に、ほぼ第1の平面に位置付けられ、かつ第2のジョー四分体は受入領域軸線をほぼ横切る方向に、ほぼ第2の平面に位置付けられると都合がよい。換言すると、第1および第2のジョー四分体は、何れの場合も、受入領域軸線の放射平面に位置決めされる。これにより、特に上側ジョー半体と下側ジョー半体との間に形成された受入領域をほぼ2つの部分領域に分割できる。第1の部分領域において、第1のジョー四分体は、例えば内側輪郭を介して、挿入されるワークに作用することができる。第2の部分領域において、第2のジョー四分体は、例えば押しユニットを介して、挿入されるワークに影響を及ぼすことができる。
【0033】
この点に関して、平面の概念は広範に解釈されるものとする。その理由は、ジョー四分体は、軸線方向に、すなわち受入領域軸線の方向に、有限の広がりを全く有しないからである。この点に関して、この構成の意味の範囲内で、それぞれ異なる平面に位置決めされた各ジョー四分体は、受入領域軸線の方向に、部分的に重なり合う、および/または互いに係合し合うこともできる。ただし、少なくとも1つの旋回軸の領域において、および/または、場合によってはジョー四分体の後端に設けられた入口輪郭の領域において、第1および第2のジョー四分体は受入領域軸線の方向に重なり合わないことが好ましい。
【0034】
第1のジョー四分体が圧締用ジョーとして構成される場合、1つ以上のワークを第1のジョー四分体に対して固定できる。これらの圧締用ジョーは、1つ以上のワークを、特に受入領域軸線の方向に、すなわち軸線方向に、固定できる。したがって、例えば、結合具の基体または管材を圧締できる。この点に関して、圧締は、摩擦係止と確実な形状係止との両方によって実現可能である。同様に、圧締された1つ以上のワークを変形させることができる。この固定手順の結果として、特に単純かつ有効な押圧を、特に押しユニットによって、実現できる。例えば、押しユニットが押圧手順を受入領域軸線の方向に行っているとき、押圧対象の1つ以上のワークを外力によって受入領域軸線の方向の所定位置に保持する必要がない。
【0035】
この目的のために、圧締用ジョーとして構成された第1のジョー四分体は、特に、受入領域の少なくとも一部を画成する、圧締用プロファイルとして構成された内側輪郭を有することができる。この輪郭は、特に、ほぼ円筒形であり、例えば、挿入されたワークを固定するための突条または特定のプロファイルを有することができる。
【0036】
第1のジョー半体は、特に、受入領域軸線をほぼ横切る方向への前記第1のジョー四分体の閉運動によって、受入領域軸線をほぼ横切る方向への、すなわちほぼ半径方向内向きの、力を生じるように、構成される。
【0037】
特に、このコンテキストにおいては、第1のジョー四分体の閉運動が受入領域軸線に少なくとも部分的に平行な押しユニットの変位より時間的に前に行われるように、各ジョー四分体が構成されると特に好ましい。これにより、例えば、プレススリーブが押しユニットによって押される前に、例えば、結合具基体が適切に固定されることが保証される。
【0038】
本発明による押圧ジョーの別の構成は、第1のジョー四分体が第1の入口形状を有し、第2のジョー四分体が第2の入口形状を有し、第1の入口形状と第2の入口形状とは互いに異なる形状であることを特徴とする。これにより、時間的に適合化される運動、特に第1および第2のジョー四分体の閉運動、を特に単純な方法で実現可能である。したがって、例えば、第1のジョー四分体の部分的または完全な閉運動を最初にもたらし、その後に第2のジョー四分体が閉運動を行うことができる。
【0039】
ただし、第2のジョー四分体が完全に閉じられる前に、第1のジョー四分体が少なくとも完全に閉じられると特に好ましい。結果として、受入領域軸線に少なくとも部分的に平行な押しユニットの変位を、第1のジョー四分体の閉運動に対して時間的にずらすことができる。この結果、例えば、挿入されたワークを最初に圧締または押圧してから、別のワークまたはこのワークの別の部分の、受入領域軸線に少なくとも部分的に平行な変位を押しユニットによって行うことができる。
【0040】
受入領域軸線をほぼ横切る方向への押しユニットの運動が少なくとも1つの第1のジョー四分体の運動にカップリングされるように、押しユニットと対応する少なくとも1つの第1のジョー四分体との間に案内手段が設けられる場合、第1のジョー四分体の閉運動と共に変位される1つ以上のワークに押しユニットを当てがうことができる。案内手段は、特に、受入領域軸線にほぼ平行に延びるレールおよびガイドボルトの形態で設けられ、受入領域軸線に平行な運動を押しユニットに行わせることができる。したがって、特に、第1のジョー四分体が閉じているとき、押しユニットは受入領域軸線に少なくとも部分的に平行に変位され得る。案内手段は、案内手段が規定する経路からの押しユニットの逸脱を防止することもできる。
【0041】
この場合、受入領域軸線を横切る方向への押しユニットの運動は第1のジョー四分体によって決められるのに対し、受入領域軸線にほぼ平行な押しユニットの変位は、好ましくは、第2のジョー四分体によって決められる。
【0042】
例えば、受入領域軸線に平行な押圧手順の後で押しユニットが自動的に開始位置に戻るように、ばね偏倚された案内手段を設けることも可能である。
【0043】
押しユニットは、好ましくは、第1のジョー四分体に向けて押され、特に、第1のジョー四分体の受容部に少なくとも部分的に押し込まれる。これにより、特に省スペースの押圧ジョーの提供が可能である。
【0044】
有利な一構成によると、押圧ジョーは、押しユニットが上側押し要素と下側押し要素とを有することを特徴とする。したがって、下側押し要素を下側ジョー半体に対応付け、上側押し要素を上側ジョー半体に対応付けることができる。これにより、一様な力をワークに、例えば受入領域軸線に平行に変位されるプレススリーブに、加えることもできる。2つより多い数の押し要素を有する押しユニットを設けることも可能である。
【0045】
本発明の第2の教示によると、上記目的は、本発明による押圧ジョーと、基体およびプレススリーブを有する結合具とから成るシステムによって達成される。本システムにおいては、受入領域軸線に少なくとも部分的に平行な押しユニットの運動によってプレススリーブが結合具基体に少なくとも部分的に押し付けられ得るように、押圧ジョーの受入領域は結合具の基体に適合化され、押圧ジョーの押しユニットはプレススリーブに適合化される。
【0046】
プレススリーブに適合化された押しユニットを設けることにより、受入領域軸線に少なくとも部分的に平行な押しユニットの運動によってプレススリーブを結合具基体に少なくとも部分的に押し付けることができるため、単純な方法でシステムが設けられ、受入領域軸線または結合具軸線の方向に押圧手順を行うことができる。ここで、プレススリーブの軸線、結合具基体の軸線、および受入領域軸線は、少なくとも押圧ジョーが閉じているとき、一致することが好ましい。
【0047】
この点に関して、押しユニットは、結合具基体へのプレススリーブの押し付けを容易にする。プレススリーブを結合具基体に直接押し付ける必要はない。その間に更なる結合具部品または管材を設けることも可能である。
【0048】
結果として、結合具の直径を増大させる高く延在する摺動面を結合具に設ける必要がない。代わりに、結合具、特にプレススリーブ、を小さな直径で構成できるので、材料の節約により製作に有利な省スペースの結合具を提供できる。更に、従来技術のシステムに比べ、取り扱いが容易なシステムを提供できる。
【0049】
例えば、押しユニットの内側輪郭に設けられた、プレススリーブの後方で係合可能な、および/または対応する凹部に係合可能な、半径方向内向きの複数の突起によって押しユニットを適合化できる。代わりに、または加えて、押しユニットに対応する、半径方向外向きに係合する複数の突起をプレススリーブに設けることもできる。
【0050】
押圧ジョーは、特に、好ましくは結合具の基体を固定する第1のジョー四分体の適合化によって、結合具の基体に適合化される。
【0051】
本発明によるシステムの更なる構成および利点については、本発明による押圧ジョーの説明および従属請求項を参照されたい。
【0052】
本発明の第3の教示によると、上記目的は、押圧ジョーを用いて、特に本発明による押圧ジョーを用いて、分離不能管継手を製作する方法によって達成される。本方法によると、押圧ジョーを作動させることによって、押圧ジョーの受入領域に位置決めされた結合具基体が固定され、結合具基体の固定後、受入領域軸線に少なくとも部分的に平行な、押圧ジョーの押しユニットの運動によって、プレススリーブが結合具基体に押し付けられる。
【0053】
本発明による方法は、単純な方法での軸方向の押圧と結合具の小型化とを同時に可能にする。結合具基体の固定と受入領域軸線に少なくとも部分的に平行な押しユニットの運動とによって軸方向の押圧を生じさせるので、高く延在する結合具または大型の軸方向押圧機を用いる必要がない。
【0054】
押圧ジョーの第1の上側および下側四分体によって管材が好都合に固定され、押圧ジョーの第2の下側および上側四分体の閉運動によって、受入領域軸線に少なくとも部分的に平行な押しユニットの運動が生じる。これら方策は、特にコンパクトな押圧ジョーの使用を可能にする、実施が簡単で特に確実な方法を提供する。
【0055】
以下により詳細に記載されているように、上記の方法は、結合具と管材との間の金属封止接合の形成に特に適している。
【0056】
本発明の第4の教示によると、上記の目的は、少なくとも1つの金属管との金属封止接合のための結合具によって達成される。本結合具は、金属製の結合具基体と、好ましくはプレスリングの形態の、プレススリーブとを有し、結合具基体は、接合対象の管の外径に適合化された内径を有する円筒形ソケットを有し、プレススリーブはソケットの一端を受け入れるための受入部分を一端に有し、プレススリーブは押圧部分を有し、押圧部分の内側プロファイルは、結合具基体の外径より小さな直径まで軸線方向に先細になり、開始位置において、結合具基体はプレススリーブに部分的に挿入されており、押圧部分の内側プロファイルは、結合具基体への軸方向の変位中に、ソケットの端縁を接合対象の管の外径より小さな内径まで先細にできる。
【0057】
押圧手順中、本発明による結合具の場合、結合具基体の円筒形ソケットの、好ましくは滑らかでバリの無い、端縁が半径方向内向きに変形または鍔出しされる。これにより、所謂封止用フランジが形成される。したがって、この押圧手順の結果として、円筒形ソケットの端縁の周囲全体が刃縁になる。したがって、押圧前に設けられる刃縁または食い込み突条が不要である。
【0058】
本発明のコンテキストにおいて、用語「円筒」または「円筒形の」は、直線状の円筒を意味すると理解されたい。最も頻繁に見られる円形の円筒に加え、円形以外の領域を有する円筒も含まれる。したがって、本発明は、円形−円筒形の結合具基体および管に限定されない。
【0059】
したがって、上記の結合具は、最も単純な形状の構成要素のみを必要とするので、極めて経済的に製作可能である。これにより、結合具のための据え付けスペースが最小化され、その結果として、特に、据え付け後の断熱費を削減できる。
【0060】
また、管と結合具基体とが同じ材料から成る場合は、押圧によって単一材料製の継手を製作可能である。したがって、上記結合具は、その用途が結合具の材料によってのみ限定されるので、広範な適用分野を有する。この点に関して、例えば、銅、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼、赤ブロンズ、ならびに適したプラスチック材料が材料として可能である。
【0061】
上記の結合具のプレススリーブは、更なる補助なしに自己保持によって結合具基体の外周に留まるように、結合具の基体に押し付けられることが好ましい。この目的のために、結合具基体との軽いプレス嵌めが生じるように、受入部分の内側プロファイルの内径を構成できる。この目的のために、内径を十分に適合化できる、または内面を粗面化できる。これにより、工場においてプレススリーブを結合具基体に不動に接続できるので、現場での接続を回避できる。
【0062】
受入部分は好ましくは円筒形であるので、結合具基体のソケットが円筒形の受入部分に沿って受け入れられ、そこに保持される。
【0063】
プレススリーブの受入部分が先細になるように、特に浅い角度で円錐形に延在する内側プロファイルを有するように、プレススリーブの受入部分を構成することも可能である。この場合、プレススリーブの受入部分の開口部の断面は結合具基体のソケットの外径より大きいので、挿入が容易である。次に、挿入中、ソケットは受入部分内に案内され、最終的に、受入部分の先細断面により、プレススリーブはソケットの外周にしっかりと載る。
【0064】
更に好適には、押圧部分は円錐形の、または丸みを帯びた、または張り出した内側プロファイルを有する。何れにせよ、この内側プロファイルにより、プレススリーブが押し付けられると、ソケットの端縁が半径方向内向きに押し込まれて鍔出しされることが保証される。この点に関して、円錐状に偏向する内側プロファイルとしての形状が好適である。その理由は、連続的に行われる一様な鍔出しが保証されるからである。ただし、内側輪郭が丸みを帯びているか、または張り出している場合は、プレススリーブが押し付けられているとき、内側の勾配が増加するので、より短い変位経路で、より大きな鍔出しを実現可能である。更に、この場合、ソケットの端縁が管の材料に食い込む角度がより急角度である。
【0065】
更に好適には、プレススリーブの軸方向アライメントに対する、ひいては管自体に対する、押圧部分の角度はほぼ1〜30°、好ましくは10〜20°、である。この角度は、何れの場合も、使用される材料に、および形成される結合具基体および管壁のサイズ比率に、適合化される。
【0066】
プレススリーブは、結合具基体の材料より硬質の材料から成る。特に、材料は、金属、例えば銅、ステンレス鋼、亜鉛めっき鋼、および赤ブロンズ、から成ることが好ましい。適したプラスチック材料も可能である。押圧部分の表面は、プレススリーブと同じ材料から成ることが好ましい。
【0067】
結合具基体のソケットを一様に形成するために、押圧部分の表面は、ソケットがプレススリーブの材料には食い込まないが、管の、特に金属管の、材料に確実に食い込むことを保証するべく硬化されることが好ましい。多層管が用いられる場合、通常、外層はプラスチック材料から成り、複合構造の中心に配置される層は金属から成る。この場合、結合具基体の整形によって永久封止が生じるまで、整形が必要である。この目的のために、内側金属層も少なくとも部分的に成形される程度まで、結合具基体の鍔出しが必要になり得る。
【0068】
上記のように、受入部分の内側プロファイルが先細になる場合、受入部分と押圧部分とは一様な内側輪郭で延在可能であり、例えばこの2つの部分の間の少なくとも移行領域において、同一の勾配を有し得る。したがって、受入部分と押圧部分とは、内側輪郭の変化によって互いに区別することはできず、それぞれの機能によってのみ互いを識別することが可能である。特に、プレススリーブの内側には、開口部の領域に受入部分を形成すると共に、そこに内側で隣接する押圧部分を形成する内側先細部分を設けることができる。
【0069】
基体とプレススリーブとから成る上記の結合具は、あらゆる種類の軸方向押し工具に適している。押圧中、唯一の重要な要因は、プレススリーブを結合具の基体のソケットに軸方向に押し付けることである。軸方向の運動は、端縁の周囲への一様な鍔出し、ひいては一様な押圧結果、を保証する。
【0070】
特に、上記の押圧ジョーでは、押しユニットによって結合具を押圧できる。この目的のために、結合具基体は、押圧ジョーの第1のジョー対による圧締のための圧締部分を有することが好ましい。圧締部分が弾性範囲内でのみ変形される、かつ押圧ジョーの解放後に押圧ジョーが開始位置に戻る、力で圧締を行うことができる。
【0071】
ただし、この圧締動作は、圧締部分の領域に部分押圧をもたらすこともできるので、回転対称な整形ばかりでなく、結合具基体に対する管の捻れを防止するために、多角形の形態の、特に六角形の形態の、整形も可能である。この整形は、継手の機械的強度を高めるが、封止式の成形には役立たない。
【0072】
更に、特許文献1による押圧ジョーを用いた押圧手順も可能である。この種の押圧ジョーは、押圧プロファイルの両側に斜めの輪郭を有する一対のジョーを有する。押圧ジョーの圧縮により、互いに対して斜角で偏向する2つの係合面が互いに向かって移動され、これにより、軸方向の押圧を可能にする。この目的のために、プレススリーブは斜めに偏向する支持面を有し、結合具基体は、好ましくは周方向の窪みに配置された、反対方向に延在する支持面を有する圧締リングを有する。
【0073】
更に好適には、結合具基体には、より小さな直径を有する、公知の方法で止め子としての役割を果たす部分がソケットに隣接して設けられる。したがって、接合対象の管をこの止め子まで結合具に挿入できるので、押圧前に、結合具によって管の申し分ない案内が保証される。
【0074】
上記の結合具の更なる利点は、押圧されていないとき、密着していない点である。結合具基体のソケットと管との間の継手が未押圧の状態では、非可撓性の封止材料は望ましくない封止を生じさせ得ない。したがって、本発明による結合具が取り付けられた管路が加圧下で試験されるとき、未押圧状態の結合具は密着していない。軸方向の押圧の完了時にのみ、封止が生じる。
【0075】
上記の結合具は単純な形状によって識別される。この形状は、他ならぬその単純さ故に、結合具と管との間の金属封止接合のために驚くほど良好な押圧結果をもたらす。この理由により、それ自体が公知の半田結合具を結合具基体として用いることができる。挿入された管に半田結合具を、半田付けせずに、プレススリーブを軸方向に押すことによって、固定および金属封止される方法で接合するために更に設ける必要があるのは、プレススリーブだけである。
【0076】
本発明による結合具の使用方法は、実質的に無制限である。したがって、これら結合具は、一方では、例えば飲料水配管設備および加熱用配管設備の部門において公知の解決策を経済的な解決策に置き換えることができる。他方、本発明に基づき軸方向に押圧される金属封止結合具は、以下の応用分野においても初めて使用可能である。即ち、冷凍施設、工業施設、特に天然ガスパイプライン、原油パイプライン、およびガソリンパイプライン、ならびに化学工業施設、ソーラープラント、医療ガスを通すための施設内プラントにおいて、または航空宇宙産業においても使用可能である。
【0077】
本発明の第5の教示によると、上記の目的は、結合具を金属管に金属封止式に接合する方法によって達成される。本方法によると、受入部分を有するプレススリーブが結合具基体の円筒形ソケットの外周に配置され、円筒形ソケットに管が挿入され、押圧ジョーによってプレススリーブが軸方向にソケットに押し付けられ、プレススリーブの内側に構成された先細の押圧部分によってソケットの端縁が半径方向内向きに変形され、ソケットの端縁は、刃縁として、管の材料に食い込む。
【0078】
したがって、本発明による方法は、押圧ジョーの特定の構成に関係なく、実施可能である。必要なことは、力の伝達ために必要な結合具の各要素と押圧ジョーとが互いに適合化されていることだけである。
【0079】
本発明による方法、本発明による押圧ジョー、本発明によるシステム、および本発明による結合具の更なる構成および利点に関しては、対応する従属請求項および以下の説明を参照されたい。
【0080】
以下においては、図面に例示されている一実施形態に言及して本発明をより詳細に説明する。