(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記環状形チャネルの表面は、第1地点における第1曲率半径と、第1地点から周方向に離間された第2地点における第2曲率半径とを有する丸味を帯びた移行部を有し、第1曲率半径は第2曲率半径とは異なっている、請求項1に記載の容器。
【背景技術】
【0002】
ポリマー容器を形成するためのブロー成形法は当業において周知である。ブロー成形ポリマー容器は、炭酸清涼飲料、ならびにピーナッツバターおよびマヨネーズなどの低温充填食品のような多くの食品貯蔵用途において金属およびガラス容器の代わりとなっている。しかしながら、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)容器のような特定の従来技術の容器は、容器が有意な収縮および変形を受けて容器を使用不能にするような97°C(207°F)を上回る温度に容器が充填または加熱される場合の製品の貯蔵および加工の用途における金属およびガラス容器の代わりにはなっていない。
【0003】
ガラスの代替へのさらなる進出は、低温殺菌、高温殺菌、およびレトルトのような食品加工用途において所望されている。低温殺菌としては、ビールおよび茶のような液体製品の殺菌が挙げられる。高温殺菌プロセスは、より遅い伝熱率を有し、100°Cを超える温度を必要とするピクルスのような固体食品向けのものである。レトルトプロセスは、低酸製品を低温殺菌するためのものであり、100°C〜130°Cの温度と、水を液体状態に維持するのに十分な圧力とを必要とする。
【0004】
非常に多くの食品貯蔵用途において、ポリマー容器は高温の液体または固体物質で充填され、該容器は蓋をされ、次いで冷まされる。容器内部の体積変化を補償するためには、ドーム、胴部および底パネルを含む容器の側壁上の様々な位置に圧力補償フィーチャを提供することが知られている。圧力補償フィーチャは、圧力変化に応答して、必要に応じて体積を減少または増大させるように動く。特許文献1〜6は、底パネルの他の部分と比較した場合に軸線方向に最も内側の地点まで延びる中心に配置された略逆円錐形の上げ底部分(push−up section)を有する、容器の底パネル上の体積補償フィーチャを開示している。前記上げ底部分は略S字型パネルによって起立リングに接続されている。S字型パネルは容器内の負圧を補償するために反転する。特許文献2は、S字型パネル上における複数の軸線方向に離間された周方向に延びる溝であって、壁の全厚を通って延在し、かつ該溝の反対側においてリブを形成する溝、または複数の周方向および軸線方向に離間されたくぼみをさらに開示している。前記底パネルは、前記容器の軸線を中心として対称的に配置されている。
【0005】
特許文献7〜9は、静圧下では、底パネルは凸状である、すなわち軸線方向外方に延在し、容器内が特定の圧力に達すると、底パネルが凹状形態に飛び移る、すなわち軸線方向内方に延在する、ポリマー容器用の圧力補償基部を開示している。
【0006】
特許文献10は、ブロー成形容器を製造する方法および装置を開示している。2つの側型(side mold)および基部型(base mold)を有する型アセンブリ内にパリソンが載せられる。前記パリソンを型アセンブリの表面と接触させて膨張させ、可動領域を有する底壁を備えた容器を形成する。前記可動領域は、支持面に対して下方に凸状であり、中心に配置されたくぼみを有する。前記膨張工程が完了した後、容器の軸線に沿って往復並進運動するように前記基部型内に装備されたロッドは、ロッド端部が前記可動領域のくぼみと係合して、前記可動領域を、支持面に対して容器の内部へと軸線方向内方に再配置するように、軸線方向内方に移動される。
【0007】
特許文献11は、圧力補償のための逆転可能な基部を有するプラスチック容器を開示している。圧力パネルは、容器に深く入り込んでおり(deeply set into)、容器の内部容積を縮小し、かつホットフィルプロセスの間に生み出される真空力を補償するために、外側傾斜位置と、内側傾斜位置との間で可動である。前記圧力パネルは、容器の長手方向軸線に平行またはほぼ平行である内壁によって起立リングに接続されている。外側傾斜位置と内側傾斜位置との間の圧力パネルの移動を容易にするために、前記圧力パネルは、内壁と圧力パネルとの間に位置するヒンジ構造を備えることができる。前記圧力パネルはイニシエータ部分およびコントロール部分を有し得る。前記コントロール部分は、イニシエータ部分よりも、直立平面に対して、より急勾配の角度を有する。特許文献11は、より小さな角度の傾斜およびより大きな角度の傾斜の領域を形成するように、溝付き領域(fluted regions)に分割された圧力パネルをさらに開示している。
【0008】
本発明のこれらおよび他の態様ならびに特質について、以下の図面および添付する明細書を参照して検討する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】瓶型容器のための型穴上に載せられた予備成形物を示す側面図。
【
図3】概して丸底の圧力緩和部分を有するヒンジ型基部の実施形態を示す下面図。
【
図5】概して丸底の圧力緩和部分を有するヒンジ型基部の別の実施形態を示す下面図。
【
図7】概して丸底の圧力緩和部分を有するヒンジ型基部の別の実施形態を示す下面図。
【
図9】概して丸底の圧力緩和部分を有するヒンジ型基部の別の実施形態を示す下面図。
【
図11】略正方形の圧力緩和部分を有するヒンジ型基部の実施形態を示す下面図。
【
図13】略正方形の圧力緩和部分を有するヒンジ型基部の別の実施形態を示す下面図。
【
図15】8つの半径方向ヒンジと、2つの周方向ヒンジとを有する円形圧力緩和部分を有するヒンジ型基部を示す下面図。
【
図17】真空下の圧力条件下における線a−aに沿って得られた
図5の容器上のヒンジ基部の側面図。
【
図18】静圧下の圧力条件下における線a−aに沿って得られた
図5の容器上のヒンジ基部の側面図。
【
図19】陽圧下の圧力条件下における線a−aに沿って得られた
図5の容器上のヒンジ基部の側面図。
【
図20】伸張ロッドがブロー型に部分的に挿入された状態にあるブローステーション(blow station)の断面における側面図。
【
図21】ブロー型に完全に挿入されて、中間容器を過伸帳状態に引き伸ばしている伸張ロッドを有するブローステーションの断面における側面図。
【
図22】伸張ロッドおよびプッシュアップ部材による底部容器の形成を示すブローテーションの断面における側面図。
【
図23】後退位置にあるツーピースのプッシュアップ部材を備えた、開放状態にあるブロー型を有するブローステーションの断面における側面図。
【
図24】ブロー型は閉鎖位置へ移動し、プッシュアップの第1部分は成形位置にあり、第2部分は後退位置にある状態のブローステーションの断面における側面図。
【
図25】ブロー型は閉鎖位置にあり、プッシュアップの第1部分および第2部分は成形位置にある状態のブローステーションの断面における側面図。
【
図26】プッシュアップの第1部分および第2部分が型穴に挿入された状態にある、開放位置に移るブロー型の側面図。
【
図27】プッシュアップの第1部分は型穴に挿入されており、第2部分は後退位置にある状態の、開放位置にあるブロー型の側面図。
【
図28】プッシュアップの第1部分および第2部分が後退位置にある状態で、開放位置に移動しているブロー型の側面図。
【
図29】漸進型または波型の緩和速度を有する容器の基部の側断面図。
【
図30】漸進型または波型の緩和速度を有する容器の基部の側断面図。
【
図31】漸進型または波型の緩和速度を有する容器の基部の側断面図。
【
図32】漸進型または波型の緩和速度を有する容器の基部の側断面図。
【
図33】漸進型または波型の緩和速度を有する容器の基部の側断面図。
【
図34】漸進型または波型の緩和速度を有する容器の基部の側断面図。
【
図35】略正方形起立リング内に略円形圧力緩和部分を備えた波形または漸進的基部の下面図。
【
図37】略正方形起立リング内に略正方形圧力緩和部分を備えた波形または漸進的基部の下面図。
【
図39】基部が完全に反転された状態の真空下の圧力条件下における容器上の代表的な波形基部の側面図。
【
図40】基部が部分的に反転された状態の真空下の圧力条件下における容器上の代表的な波形基部の側面図。
【
図41】静圧条件下の圧力条件下における容器上の代表的な波形基部の側面図。
【
図42】陽圧下の圧力条件下における容器上の代表的な波形基部の側面図。
【
図43】容器が沸騰水で充填されて蓋をされた場合の、
図5および
図17〜
図19に示した圧力補償パネルを有する容器の撓み曲線のプロットであって、Y軸上にミリメートル(mm)でプロットされた静止位置から測定された圧力パネルの撓みの距離と、X軸上にヘクトパスカル(hPa)でプロットされた容器の内部圧力の量とを有するプロットを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は多くの異なる形で具体化可能であるが、本開示は本発明の原理の例示と見なされるべきであり、本発明を例示する特定の実施形態に限定することは意図されていないという了解のもと、本発明の特定の実施形態が図面に示され、本願において詳細に記載される。
【0014】
本発明は、依然として容器に高い透明性を与えるとともに、改善された熱的性質を有する、ポリマー容器用の、より好ましくは結晶性ポリマー容器用の圧力補償基部を提供する。適当な結晶性ポリマーとしては、例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)のホモポリマーおよびフタル酸系コポリマー(phthalic based copolymer)(「PET」)、ポリオレフィン、ポリプロピレンおよびポリエチレンが挙げられる。適当なポリオレフィンとしては、オレフィンのホモポリマー、およびオレフィン、エーテル、エステル、アミドのコモノマーおよび当業者に周知の他のコモノマーとオレフィンのコポリマーが挙げられる。適当なポリエチレンとしては、エチレンのホモポリマーおよびコポリマーが挙げられ、また高密度、中密度および低密度ポリエチレンも挙げられる。
【0015】
本発明の好ましい形態において、前記容器は、0.72〜約0.86の固有粘度を有するPET樹脂から製造される。適当なPET樹脂としては、イーストマン ケミカル カンパニー(Eastman Chemical Company)によって販売されているPARASTAR樹脂、ウェルマン インコーポレイテッド(Wellman, Inc.)によって販売されているPET樹脂、およびM&Gポリマーズ(M&G Polymers)によって販売されているCLEAR TUF樹脂を含むボトルグレードのPET樹脂が挙げられる。本発明の結晶性ポリマー容器は、本発明から逸脱することなく、任意の幾何学的配置、形状または大きさを有することができ、円形、楕円形、多角形、不規則形である容器を含むことができる。適当な容器は、瓶型、缶型、カラフ、広口、および当業者に既知の他の型の容器であり得る。前記容器の適当なフィーチャとしては、圧力吸収フィーチャ、グリップ増強フィーチャ、肩部、バンパー、仕上げ、チャイム(chimes)、起立リング、首部分、および当業者に公知の他のものが挙げられる。
【0016】
図1は、略円筒状側壁2と、圧力補償底部4と、フランジ部分8によって囲まれた開放上部(open top)6とを有する缶1の形態にある本発明の1つの容器を示している。
図2は、円錐頂部14、フィニッシュ部分16、肩部分18、第1バンパー部分20、側壁または胴部分22、底部分24、および第2バンパー部分26を有する瓶型容器を形成するための型穴10および予備成形物12を示している。圧力補償底部4は、支持構造を形成し、かつ第1外径3を有する起立リング27を有する(
図3)。軸線方向内方に延びる直立壁29は、水平支持線に対して約80°超の、好ましくは約80°〜約90°の角度を形成する。直立壁29の上端54に架かっているのは、起立リング第1直径の約70%〜約95%、より好ましくは約80%〜約95%、最も好ましくは約85%〜約93%の第2直径7(
図3)を有する圧力補償パネル28である。本発明の容器は、食品産業および化学工業において一般に用いられ、例えば118.3mL〜3785.4mL(4oz〜128oz)を収容することができる容積を備える。しかしながら、本発明はこの容積範囲に限定されるものではない。
【0017】
本発明の好ましい形態において、前記容器は、ブロー型ステーション(blow mold station)を備えた統合プラットホーム(integrated platform)上で形成される。統合プラットホームとは、予備成形物12がブロー型穴に沿って形成されるという意味である。したがって、非統合プラットホームに必要とされるように、予備成形物を好ましい配向温度に再加熱する必要はない。さらに、非統合プラットホームでは、予備成形物は時間とともに含水量が増大することがあり、これは望ましくない。従って、総合システムの予備成形物は、形成され、冷却され、次いで所望の配向温度に再加熱され、よって多数の熱履歴を有する予備成形物とは異なり、単一の熱履歴を有する。本発明の好ましい形態において、予備成形物は、約30ppm未満の含水量を有する。
【0018】
図2の本発明の好ましい形態において、単一の熱履歴の予備成形物12は、ガラス転移温度(「Tg」)より高い温度、より好ましくは73°C〜250°C、より好ましくは150°C〜240°C、好ましくは30°C〜230°C、最も好ましくは30°C〜200°Cの範囲内、およびそれらの中の任意の範囲または範囲の組み合わせ内の温度を有するブローステーションのブロー型穴10内に配置される。前記容器は、約2秒〜約20秒、より好ましくは約2秒〜15秒、より好ましくは約2秒〜約12秒、より好ましくは4秒〜12秒、最も好ましくは、約6秒〜約12秒にわたって金前記型内に留まる。熱的安定性が高められたPET容器を形成する好ましい方法のより詳細な説明について、
図23〜28図および同時係属中の本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第12/564,845号を参照して以下に述べる。前記特許文献は参照により余すところなく本願に援用され、本願の一部分をなす。
【0019】
本発明の好ましい形態において、前記容器は様々な厚さの側壁を有し、より好ましくは、圧力補償パネル28の厚さは、側壁2(
図1),22(
図2)の厚さより薄い。本発明の1つの好ましい形態において、圧力パネル28の厚さは、側面パネル2,22の厚さよりも約30%〜約60%薄い。基部領域の壁厚は変化し得るが、食品容器用途については、基部領域の壁の厚さは約0.305mm〜約0.406mm(約0.012”〜約0.016”)である。
【0020】
本発明の好ましい形態において、圧力補償基部は、圧力下において漸進的に歪むこと(progressively yielding)ができる。
図3〜
図14は、ヒンジによって分割されたパネルをそれぞれ有する圧力補償基部4の様々な実施形態を示している。従って、この種の圧力補償基部は時にヒンジ型基部30と称される。
図29〜
図32は、漸進的に歪む非対称(assymetric)構造を有する圧力補償基部4の様々な実施形態を示している。この種の底部は時に波形基部(wave base)と称され得る。本発明の好ましい形態では、前記ヒンジ型基部および波型基部の双方が圧力差を補償し、その結果、胴部分は、窪み、リブまたは他の圧力補償フィーチャのような圧力補償構造によって中断されない連続面を有する。本発明の別の好ましい形態において、本発明の圧力補償基部4は、容器の他のすべての表面が圧力補償フィーチャを含まないことを可能にする。
【0021】
本発明の好ましい形態において、ヒンジ型基部30は、溝34によって分割された少なくとも2つのパネル32と、中心に配置された上げ底部分36とを有する。本発明は、例えば1〜100本のヒンジを含む任意の数のヒンジを有することを企図する。前記ヒンジは、軸線方向、周方向、または弦に沿って(「弦方向(chordally)」)、およびこれらの任意の組み合わせを含む任意の方向の線に沿って延在し得る。また、前記溝は基部の軸線方向内方に、基部の軸線方向外方に延在し得る。溝は、好ましい形態では、反対側の壁面を中断することなく、基部の壁の厚さの一部分を通る溝として示されており、2つのパネルがそれに沿って屈曲し得る線を提供する。しかしながら、前記溝はまたパネルの全厚を通って延び、反対面で直立したリブを形成し得ることも考えられる。本発明は、すべての軸線方向内方に延びる溝を有する基部30、すべての軸線方向外方に延びる溝を備えた側面、または軸線方向内方延びる溝と軸線方向外方に延びる溝の組み合わせを備えた側面を有することを企図する。
【0022】
図3、
図4、
図11、および
図12は、周方向に離間され、かつ半径方向に延びる8本のヒンジ34と、8つのパネル32とをそれぞれ有するヒンジ型の丸底容器および角底容器をそれぞれ示している。本発明の好ましい形態において、半径方向ヒンジは、互いからほぼ均等に離間されており、8本のヒンジの場合には、各ヒンジは40度ずつ隣接するヒンジから離間されている。半径方向に延びるヒンジは、本発明の好ましい形態では、圧力補償パネルの直径を越えては延在せず、より好ましくは、直立壁に接することなく、直立壁に近接して開始し、上げ底部分36の手前で終了する。前記溝の長さは、起立リング27の第1直径3の約85%〜約100%である。前記溝は、好ましくは約0.762mm〜約2.03mm(約0.030インチ〜約0.080インチ)、より好ましくは約0.889mm〜約1.65mm(約0.035インチ〜約0.065インチ)、最も好ましくは約0.889mm〜約1.14mm(0.035インチ〜約0.045インチ)の幅を有する。前記溝はまた、約1.14mm〜約3.05mm(約0.045インチ〜約0.120インチ)、より好ましくは約1.27mm〜約2.54mm(約0.050インチ〜約0.100インチ)、最も好ましくは約1.4mm〜約2.03mm(約0.055インチ〜約0.080インチ)の深さを有する。
【0023】
図5、
図6、
図13、および
図14は、周方向に離間され、かつ半径方向に延びる8本のヒンジ34と、その半径方向に延びるヒンジの各々と該半径方向ヒンジの長さの中間部分に沿って交差する周方向に延びるヒンジ38との組み合わせをそれぞれ有するヒンジ型の丸底容器および角底容器をそれぞれ示している。周方向ヒンジ38は同心的に配置されており、起立リングの直径の約45%〜約75%の直径を有する。2本以上の周方向ヒンジ38(
図15および
図16)を含む、互いから半径方向に離間された付加的な周方向ヒンジ38を提供することが考えられる。同様に、
図7〜
図10は類似しているが、8本の代わりに12本の半径方向ヒンジを備えた構造を示している。
【0024】
図4、
図6、
図8、
図10、
図12および
図14は、本発明の1つの好ましい形態において、容器が静圧にある場合、パネル32は半径方向外側の端から半径方向内側の端へ軸線方向外方にテーパーをなす湾曲外面40を有する。半径方向内側の端は、上げ底部分36に近接して終了する。
【0025】
図17〜
図19は、容器内の様々な圧力条件下におけるヒンジ型基部を示している。
図43は、
図5および
図17〜
図19に示した圧力補償パネルを有する容器について、容器が沸騰水で充填され、蓋をされた場合における撓み曲線のプロットを示しており、静止位置から測定された圧力パネルの撓み(deftection)の距離はY軸上にミリメートル(mm)でプロットされており、容器の内部圧力の量はX軸上にヘクトパスカル(hPa)でプロットされている。
図17は、容器内の真空圧または負圧を補償するために完全に反転した圧力緩和パネル(pressure relief panel)を示している。圧力補償パネルは多数のヒンジおよびパネル32を有するため、前記パネルは、容器の内部と容器の外部との間の圧力差に応じて、漸進的に歪むか、または同時に歪むことができる。
図17〜
図19は歪み過程における終了点を示している。静圧または陽圧環境にある場合(
図18および
図19)には、パネル52の中央部分36は直立周壁29の頂部54よりも下方に位置し、真空状態下の場合(
図17)には、中央部分52は周壁29の頂部54よりも上方に位置する。
【0026】
本発明の好ましい形態において、前記容器が静圧にある場合(
図18)、水平線とパネル32の底面との間に形成される角度αは、15°〜45°、より好ましくは18°〜約35°、最も好ましくは約20°〜約33°の範囲内にある。さらに、本発明の好ましい形態において、平均曲率半径を表わす線50の間の角度β(パネル上の最高地点(軸線方向に最も内側の地点)と最下地点(軸線方向に最も外側の地点)との間に描かれた)は、5°〜約30°、より好ましくは約10°〜25°、最も好ましくは約10°〜約20°の範囲内にある。
【0027】
容器が真空(
図17)下にある場合、本発明の好ましい形態では、角度β’は角度βよりも2°〜15°、より好ましくは2°〜約10°だけ大きくなる。また、本発明の好ましい形態において、角度β’は、10°〜約45°、より好ましくは約13°〜約33°、最も好ましくは約13°〜約25°の範囲内にある。
【0028】
容器が陽圧下(
図19)にある場合、角度α’は約20°〜約50°、より好ましくは約23°〜約45°、最も好ましくは約25°〜約40°になる。また、本発明の好ましい形態において、角度β”は、15°〜約40°、より好ましくは約15°〜約33°、最も好ましくは約15°〜約30°の範囲内にある。
【0029】
容器が静圧下にある場合(
図18)、約6.35cm〜約7.62cm(約2.500インチ〜約3.000インチ)の起立リング27の直径を有する容器について、支持表面から中心点36までの距離Aは、約4.57mm〜約9.14mm(約0.180インチ〜約0.360インチ)になる。したがって、起立リングの直径に対する距離Aの比は、約7:1〜約17:1になる。
【0030】
容器が負圧下にある場合(
図17および
図43)、圧力補償パネルは、
図43に示すように撓む。
容器が陽圧下にある場合(
図19)、約6.8cm(2.678インチ)の起立リング直径を有する容器について、距離A”は約1.27mm〜約2.79mm(約0.050インチ〜約0.110インチ)になる。したがって、(A−A”)/起立リング直径の比は約27:1〜約38:1になる。さらに、A”とA’との間の差は、前記パネルの屈曲範囲を画定し、約6.8cm(2.678インチ)の起立リングの直径を有する容器については、起立リング直径に対する屈曲範囲の比が約4:1〜約6:1になるように、前記屈曲範囲は約1.14cm〜約1.63cm(0.450インチ〜約0.640インチ)になる。
【0031】
本発明の1つの好ましい形態において、前記容器はブロー押出プロセス(blown extrusion process)で形成される。その場合、予備成形物がブロー型に挿入され、完成容器の軸線方向寸法よりも大きな軸線方向寸法を有し、かつ容器の上げ底部分を形成する中間容器に吹き込まれる。
図20〜
図22は、前記中間容器の所望形状を有する型穴74を画定する壁72を有する1つの好ましいブロー型ステーション70を示している。プッシュアップ部材または金型インサート76は、型穴74の底壁を形成し、型穴(
図20および
図21)の外部の第1位置から軸線方向内方の第2位置(
図23)に型穴の軸線に沿って並進往復運動するように取り付けられている。プッシュアップ部材は、
図3〜
図19を参照して上記で検討した所望の圧力補償基部を形成するのに必要な表面プロファイルを有する外面77を有する。
図20〜
図22はまた、予備成形物のブロー型ステーション70への運搬の間に、予備成形物の頂部を保持するためのキャリヤ78も示している。
【0032】
図20〜
図22は、型穴の軸線に沿って並進往復運動するように取り付けられた伸張ロッド80を示している。
図20に示す第1位置において、伸張ロッド80は、最初に予備成形物の底部分82と接触する。次に、前記予備成形物は型穴の内面と接触するように吹き込まれて、中間容器84を形成する。伸張ロッド80は第2位置に移動され、そこで伸帳ロッド80は、過伸帳位置または過伸帳容器を画定するように、中間容器84を軸線方向に完成容器の所望の軸線方向寸法を越えて伸帳させる。前記容器は、軸線方向に沿って、完成容器の軸線方向寸法よりも約15mm〜40mm、より好ましくは約20mm〜約35mm、最も好ましくは約20mm〜約30mm過剰に伸帳される(96)。
図22は、中間容器を過剰伸帳時よりも小さな軸線方向寸法に伸帳させるために軸線方向内方に前進したプッシュアップ部材76を示している。
【0033】
図23〜28は、第1部分98と第1部分98の周りに同軸上に配置された第2部分100とを有するツーピースのプッシュアップアセンブリ76’を有する以外は、
図20〜
図22に関して検討したブローステーションとすべての点において同一であるブローステーションの第2実施形態を示している。
図23〜
図25は型を閉鎖する際の3つの連続した工程を示しており、
図26〜
図28は型を開放する際の3つの連続した工程を示している。
【0034】
図23は、互いから分離されて間隙102を形成する第1部分および第2部分101a,101bを有するブロー型を示している。第1部分および第2部分101a,101bは、開放位置から閉鎖位置へ往復並進運動(reciprocal translational movement)を行うように取り付けられている。
図23に示した開放位置にある場合には、完成した容器(図示せず)が型から取り外され、新たな予備成形物が挿入される。閉鎖位置にある場合には、容器をブロー成形するプロセスが行われる。
【0035】
第1プッシュアップ部分および第2プッシュアップ部分98,100はまた、互いから独立して、後退位置から成形位置へ往復並進運動を行うように取り付けられている。本発明の好ましい形態において、プッシュアップ部分は、第1型部分および第2型部分101a,101bが移動する線に交わる線、さらにより好ましくは前記線に本質的に直交する線に沿って移動する。本発明の別の好ましい形態において、第1プッシュアップ部分および第2プッシュアップ部分98,100の双方は、軸線方向において、独立して型から離れたり、独立して型内に進入したりすることができる。すなわち、第1部分および第2の部分は、互いから独立して、型穴の内側の位置と型穴の外側の位置との間において往復並進運動を行うように取り付けられている。本発明の好ましい形態において、第1部分および第2部分98,100は、後退位置から成形位置へ、独立して軸線方向に型穴内へと移動させることができる。
図23は、後退位置にある第1部分および第2部分98,100を示しており、
図24は、第1部分98は後退位置にある状態で、成形位置にある第2部分100を示している。
図25は成形位置にある第1部分および第2部分98,100の双方を示している。
【0036】
第1部分98は、容器の底の1つの環状部分を形成するための表面99を有し、第2部分100は前記底部分の第2環状部分を形成するための表面101を有し、第2部分は、好ましくは第1部分の周りに同心的に配置されている。より好ましくは、第1部分98は、
図1〜
図19に関して上記で検討したフィーチャを備えた環状壁29の軸線方向内方の底パネルの部分を形成するための表面99を有する。第2部分100は、起立リング27から直立壁29までの軸線方向内方の、直立壁29を含む底パネルの部分を形成する。
【0037】
本発明は型を閉鎖(
図23〜
図25)および開放(
図26〜
図28)するための3つの工程を提供する。
図23は、第1開放位置にある前記型の2つの部分101a,101bを示しており、2つのプッシュアップ部分98,100はそれらの後退位置にある。
図24は、軸線方向内方に成形位置へと移動した第1プッシュアップ部分98と、その後退位置に留まっている第2プッシュアップ部分100とを有する、矢印の方向に第2閉鎖位置へ移動した後の前記型の2つの部分101a,101bを示している。第2閉鎖位置では、起立リングおよび垂直壁が形成される。
図25は、それらの成形位置にある2つのプッシュアップ部分98,100を有する第3閉鎖位置にある前記型の2つの部分101a,101bを示している。第3閉鎖位置では、可撓性パネル壁が形成されて、完成容器が形成される。
【0038】
図26は、前記型の2つの部分101a,101bは開放位置に移動しており、2つのプッシュアップ部分98,100はそれらの成形位置にあることを示している。完成容器は、周囲条件に曝露され冷却し始める。
図27は次の工程を示しており、2つの型部分が開放位置にある間に、第1プッシュアップ部分98はその後退位置に移動され、一方、第2プッシュアップ部分100はその成形位置に留まって、完成容器への支持を提供し続ける。
図28は、開放位置にある2つの型部分を示しており、2つのプッシュアップ部分98,100は双方ともそれらの後退位置にある。したがって、
図28に示されるブローステーションの位置は、
図23に示したのと同一の位置である。完成容器が型から取り出され、新たな予備成形物が挿入されるのはこの時点であり、前記プロセスは繰り返される。
【0039】
図29図〜
図34は、側壁部分29と、接触リング114と、接触リングから半径方向内側に離間された軸線方向内方に延びる圧力緩和部分116とを有する、波型基部110の6つの実施形態を示している。圧力緩和部分116の1つの部分は第1圧力下で歪み、圧力緩和部分の第2部分は第1圧力とは異なる第2圧力下で歪む(
図37〜
図40参照)ように、圧力緩和部分116は静
圧条件下では断面寸法において非対称である。本発明の1つの好ましい形態では、圧力緩和部分116は、第1のほぼ垂直に延びる壁118と、第1の半径方向内側に延びる丸味を帯びた移行部120と、第2のほぼ垂直に延びる壁122と、第2の半径方向内側に延びる丸味を帯びた移行部124と、第1移行パネル126と、第2移行パネル127と、中央上げ底部128とを有する。第1および第2移行パネル126,127は、中央上げ底部128を囲むほぼ環状形(toroidal−shaped)のチャネル129を画定する。第2の丸味を帯びた移行部124は180°離間された部分124a,124bを有する。第1部分124aの曲率半径は、非対称圧力緩和パネルを画定するために、部分124bの曲率半径とは異なる。したがって、最大値と最小値との間に曲率半径勾配が存在する。本発明の1つの好ましい形態において、最大曲率半径と最小曲率半径とは120°隔てられており、本発明の別の形態では180°隔てられている。
図29〜
図34は180°の実施形態を示している。最大値および最小値が120°隔てられている実施形態では、最小曲率から最大曲率へ移る1つの120°パネルと、最大曲率から最小曲率へ移る第2の120°部分と、曲率半径に変化がない最終的な第3の120°部分とが存在する。第1移行部120は、対向する丸味を帯びた部分130,132と、それらの部分の間に位置する直線部分134とを有する。
【0040】
180°の実施形態において、曲率半径勾配により、第1移行パネルおよび第2移行パネル126,127は、圧力緩和部分116の形状を非対称にするように、少なくとも1つの寸法において異なる幾何学的配置を有する。120°の実施形態では、最小値から最大値に上方へ傾斜した表面を有する第1パネルと、最大値から最小値へ下方に傾斜した表面を備えた第2パネルと、全表面に対して一定の曲率半径を備えた本質的に平坦な第3パネルとの、3つの異なる形状のパネルが存在する。
図29および
図31は、互いとは異なるパネルの曲率半径を備えた、略凹面、または半円形の移行パネル126,127を有する。より具体的には、
図29および
図31では、第2移行パネル127は第1移行パネル126より軸線方向により深い形状を有し、従って、容器内の負圧下における歪みに対してはより大きな抵抗を示し、容器内の正圧下における歪みに対してはより小さい抵抗を示す。
【0041】
本発明の別の好ましい形態では、圧力緩和パネルは、周壁の頂部に沿った様々な周方向に離間された地点で第2移行部からのパネルの傾きにおいて、最大値と最小値との間における傾斜角勾配を画定するように差を有するために、静
圧条件下において非対称である。
図30および
図34において、移行パネル126,127は第1脚部136および第2脚部138を有する。第1脚部は概して下方へ傾斜しており、直線に沿って内方に延びている。また第2の脚部は丸味を帯びている。下方に傾斜した線は、水平線(半径方向)と、約5度〜約45度、より好ましくは約10度〜約30度の角度αを形成する。非対称性は、第1移行パネルおよび第2移行パネル126,127の各々の第1脚部の角度αが異なることに起因する。
【0042】
本発明の好ましい形態において、第1パネルおよび第2パネル126,127の間の角度αの差は、約3度〜約30度、より好ましくは約5度〜約20度である。
図27の第1移行パネルおよび第2移行パネル126,127の角度αは、15°および27°である。
【0043】
図35および
図36は概して丸形を有する圧力緩和部分116を示しており、
図37および
図38は、略正方形を有する圧力緩和部分116を示している。
図35〜
図38の接触リングは、丸い頂点を備えた略正方形である。しかしながら、圧力緩和部分および接触リングの双方は、本発明の範囲から逸脱することなく、円形、楕円形、多角形、および不規則な他の形状を有し得ることが企図されることが理解されるはずである。
【0044】
本発明の好ましい形態において、上げ底128は、概して、第1地点から、その第1地点から軸線方向内方に位置する第2時点へと軸線方向内方にテーパーをなすほぼ垂直に延びる壁142を有し、かつほぼ平坦な頂壁144を有する円錐台である。本発明の好ましい形態において、上げ底128の頂壁144は約1.59cm〜約2.86cm(約0.625インチ〜約1.125インチ)の範囲内にある距離146だけ、第2移行部126を越えて軸線方向内方に延在する。
【0045】
図39〜
図42は様々な圧力条件にある代表的な波形基部を示している。
図39は、容器内の真空または負圧に応答して、完全に反転した第1移行パネルおよび第2移行パネル126,127を示している。
図40は、上げ底部分の上面が軸線147と角度βをなすようにさせている反転し始めた第1移行パネル126を示している。
図41は、容器内の圧力が大気圧にあるときの基部を示している。
図42は、容器内の正圧に応答して、軸線方向外方に屈曲した基部を示している。
【0046】
改善された気体または水蒸気透過率を必要とする容器については、その物質が容器の意図した使用に対して悪影響を有さないのであれば、バリア層またはコーティングを用いることができる。適当な1つのコーティング材は、プラズマ堆積のような技術を用いて、容器の表面上、好ましくは内面上に、堆積されたケイ素酸素コーティング(SiOx)である。他の適当なバリア材およびコーティングは当業者に周知である。
【0047】
本発明はポリマー容器を形成する方法を提供し、前記方法は、(1)チャンバと、一端において前記チャンバへの開口とを有するブロー型を提供する工程と、前記ブロー型は開放位置と閉鎖位置との間を可動であり、前記開口内には前記チャンバを閉鎖するようにプッシュアップ部材が配置され、前記プッシュアップ部材は容器の底壁を画定するために前記チャンバ内に延在する表面を有することと、(2)前記ブロー型内に予備成形物を挿入する工程と、(3)前記予備成形物を前記チャンバに対して吹き込んで容器を形成する工程とを含む。前記容器は、基部と、前記基部は支持構造を画定する外周部分を有することと、前記支持構造から半径方向内側に離間され、水平線と約80°超の角度を形成する軸線方向内方に延びる周壁と、前記周壁の端部を閉鎖する圧力補償パネルと、該圧力補償パネルは、容器の容積を変更するために、前記パネルの中央部分が周壁の頂部より下方に位置する第1位置から前記中央部分が周壁の頂部より上方に位置する第2位置に容器の軸線に沿って可動であることと、前記パネル上の複数の周方向に離間された半径方向溝とを有する。
【0048】
本発明はまた、押出ブロー型からブロー成形容器を解放する方法も提供する。該方法は、(1)チャンバと、一端において前記チャンバへの開口とを有するブロー型を提供する工程と、前記ブロー型は、開放位置と閉鎖位置との間を可動であり、かつ前記チャンバ内に配置された容器を有することと、(2)ブロー型の底壁を形成するように前記開口内に配置され、かつ第1部分および第2部分を有するツーピースのプッシュアップアセンブリを提供する工程と、(3)ブロー型を開放位置に移動させる工程と、(4)第2部分が前記型内に残ったまま、第1部分を前記型から引き出す工程と、(5)前記型から第2部分を引き出す工程と、(6)前記チャンバから容器を取り出す工程とを含む。
【0049】
前記より、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、多数の変更および改変が実施されてもよい。当然のことながら、本願に示した特定の装置に関して制限がないことが意図されるか、または推測される。もちろん、添付する特許請求の範囲によって、すべてのそのような変更を特許請求の範囲内に存するように包含することが意図される。