(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6055873
(24)【登録日】2016年12月9日
(45)【発行日】2016年12月27日
(54)【発明の名称】超小型広角レンズ
(51)【国際特許分類】
G02B 13/04 20060101AFI20161219BHJP
【FI】
G02B13/04 D
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-122483(P2015-122483)
(22)【出願日】2015年6月18日
(65)【公開番号】特開2016-9190(P2016-9190A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2015年6月18日
(31)【優先権主張番号】103121411
(32)【優先日】2014年6月20日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】515166495
【氏名又は名称】オーラス テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】AURAS Technology Co., Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】フアン シ−ファ
【審査官】
堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭58−080611(JP,A)
【文献】
特開平02−188709(JP,A)
【文献】
特開平08−122632(JP,A)
【文献】
特開平10−020188(JP,A)
【文献】
特開平11−142730(JP,A)
【文献】
特開2004−061763(JP,A)
【文献】
特開2008−152210(JP,A)
【文献】
特開2009−047947(JP,A)
【文献】
特開2009−151191(JP,A)
【文献】
特開平11−305123(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0145819(US,A1)
【文献】
特開2004−289572(JP,A)
【文献】
特開2011−109495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00−17/08
G02B 21/02−21/04
G02B 25/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その光軸方向に沿って物体端から結像端まで順に、
負の屈折力を有する第一レンズと、
正の屈折力を有する第二レンズと、
絞りと、
正の屈折力を有する第三レンズと、
正の屈折力を有する第四レンズと、
負の屈折力を有する第五レンズとを順に備える超小型広角レンズであって、
前記第一レンズの物体側表面は凸面であり、且つ結像側表面は凹面であり、前記第二レンズの物体側表面は凹面であり、且つ結像側表面は凸面であり、前記第三レンズの物体側表面は平面であり、且つ結像側表面は凸面であり、第四レンズの物体側表面及び結像側表面は共に凸面であり、第五レンズの物体側表面は凹面であり、且つ結像側表面は凸面であり、また、前記超小型広角レンズは、以下の材料の条件(1)〜(4)の内の少なくとも何れか1つを満たし、
(1)0<V1−V2<20、
(2)1.78<I5<2.2、16<V5<35、
(3)0.75<I3/I1<0.95、1.05<I5/I1<1.25、15<V3−V1<40、且つ20<V1−V5<45、
(4)1.65<I2<2.2、35<V2<70、V4−V5>20、且つI5−I4<0.4、
ここでは、V1は前記第一レンズのアッベ数(ABBE)であり、V2は前記第二レンズのアッベ数であり、V3は前記第三レンズのアッベ数であり、V4は前記第四レンズのアッベ数であり、V5は前記第五レンズのアッベ数であり、I1は前記第一レンズの屈折率であり、I2は前記第二レンズの屈折率であり、I3は前記第三レンズの屈折率であり、I4は前記第四レンズの屈折率であり、I5は前記第五レンズの屈折率であることを特徴とする超小型広角レンズ。
【請求項2】
下述の条件式をさらに満たし:−3.2<f/f1<−0.78、ここに、fは超小型広角レンズ全体の焦点距離であり、f1は前記第一レンズの焦点距離であることを特徴とする、請求項1に記載の超小型広角レンズ。
【請求項3】
下述の条件式をさらに満たし:1<f/f4<2、ここに、fは超小型広角レンズ全体の焦点距離であり、f4は前記第四レンズの焦点距離であることを特徴とする、請求項1に記載の超小型広角レンズ。
【請求項4】
下述の条件式をさらに満たし:f1/f2<0、また、f1は前記第一レンズの焦点距離であり、f2は前記第二レンズの焦点距離であることを特徴とする、請求項1に記載の超小型広角レンズ。
【請求項5】
被写体をその上に結像させるための電子感光素子をさらに備え、且つ前記超小型広角レンズは下述の条件式をさらに満たし:1<ImgH/f<2、ここに、ImgHは前記電子感光素子の有効画素数領域の対角線の長さの半分であり、fは超小型広角レンズ全体の焦点距離であることを特徴とする、請求項1に記載の超小型広角レンズ。
【請求項6】
被写体をその上に結像させるための電子感光素子をさらに備え、且つ前記超小型広角レンズは下述の条件式をさらに満たし:TTL/ImgH<3、ここに、TTLは前記第一の物体側表面から光軸にある前記電子感光素子までの距離であり、ImgHは前記電子感光素子の有効画素数領域の対角線の長さの半分であることを特徴とする、請求項1に記載の超小型広角レンズ。
【請求項7】
前記第二レンズと前記第三レンズとの間に設置される絞りをさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の超小型広角レンズ。
【請求項8】
前記第五レンズと結像面との間に設置され、複数の光雑音のフィルタリングを行う赤外線フィルターをさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の超小型広角レンズ。
【請求項9】
前記第一レンズ、前記第二レンズ、前記第三レンズ、前記第四レンズ、及び前記第五レンズは共にガラス材質で製造されることを特徴とする、請求項1に記載の超小型広角レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超小型広角レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子設備は人間工学に符合させるように、軽量化、薄型化、小型化が進んでいる。このため、レンズモジュールも小型化させることでモバイル装置、車載装置、スポーツ用装置、安全監視装置等の分野の製品に応用可能にしている。さらに、レンズモジュールが小型化する趨勢にあっても、消費者はなおレンズに広い視野角(Field of View、 FOV)を求めており、より広い視野範囲での撮影が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】台湾特許出願公開第I416197号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した従来の技術では、即ち、レンズの視野角が90度より大きい場合、結像に収差が生じやすく再現性が失われる。収差や再現性等の問題を克服するために、レンズには複数のレンズを採用して補完する必要があるが、これではレンズの厚さが増してしまい、小型化の要求に応えられない。よって、如何に小型化と視野角とを両立させ、さらには高い結像品質を達成させるかが、現在本分野での重要な研究課題となっている。例えば、特許文献1に示すように、レンズ中の複数のレンズの複数の焦点距離の間の関係規範のみ記載されているが、前記複数のレンズの材質及び材質同士の相関関係に対する複数の光学パラメータ、例えばアッベ数(ABBE number)、屈折率等はなお研究が進んでいない。
【0005】
また、従来の小型化されたレンズでは、後方焦点距離(最後のレンズから焦点平面までの距離)が短過ぎるため、レンズモジュールはCOB(Chip On Board)パッケージング方式により装設させねばならない。但し、COBパッケージング方式を採用すると製造コストが増加する。なお、過去の小型化されたレンズでは、内部のレンズは多くの場合においてプラスチック材質で製造されるため、光度の損耗が大きく、獲得された映像が暗くなった。
【0006】
そこで、本発明者は上記の欠点が改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、合理的設計で上記の課題を効果的に改善する本発明の提案に到った。
【0007】
本発明は、以上の従来技術の課題を解決するためになされたものである。即ち、本発明の目的は、超小型広角レンズを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る超小型広角レンズは、その光軸方向に沿って物体端から結像端まで順に、
負の屈折力を有する第一レンズと、正の屈折力を有する第二レンズと、
正の屈折力を有する第三レンズと、正の屈折力を有する第四レンズと、
負の屈折力を有する第五レンズとを順に備える超小型広角レンズであって、
前記超小型広角レンズは、以下の材料の条件(1)〜(4)の内の少なくとも何れか1つを満たし、
(1)0<V1−V2<20、(2)1.78<I5<2.2、16<V5<35、且つ前記第五レンズの物体側表面及び結像側表面はそれぞれ凹面及び凸面で(3)0.75<I3/I1<0.95、1.05<I5/I1<1.25、15<V3−V1<40、且つ20<V1−V5<45、(4)1.65<I2<2.2、35<V2<70、V4−V5>20、且つI5−I4<0.4、ここでは、V1は前記第一レンズのアッベ数(ABBE)であり、V2は前記第二レンズのアッベ数であり、V3は前記第三レンズのアッベ数であり、V4は前記第四レンズのアッベ数であり、V5は前記第二レンズのアッベ数であり、I1は前記第一レンズの屈折率であり、I2は前記第二レンズの屈折率であり、I3は前記第三レンズの屈折率であり、I4は前記第四レンズの屈折率であり、I5は前記第五レンズの屈折率であることを特徴とする。
【0009】
好ましい実施態様において、超小型広角レンズは下述の条件式をさらに満たし:−3.2<f/f1<−0.78、ここに、fは超小型広角レンズ全体の焦点距離であり、f1は前記第一レンズの焦点距離である。
【0010】
好ましい実施態様において、前記超小型広角レンズは下述の条件式をさらに満たし:1<f/f4<2、ここに、fは超小型広角レンズ全体の焦点距離であり、f4は前記第四レンズの焦点距離である。
【0011】
好ましい実施態様において、前記超小型広角レンズは下述の条件式をさらに満たし:f1/f2<0、また、f1は前記第一レンズの焦点距離であり、f2は前記第二レンズの焦点距離である。
【0012】
好ましい実施態様において、前記超小型広角レンズは、被写体をその上に結像させるための電子感光素子をさらに備え、且つ前記超小型広角レンズは下述の条件式をさらに満たし:1<ImgH/f<2、ここに、ImgHは前記電子感光素子の有効画素数領域の対角線の長さの半分であり、fは超小型広角レンズ全体の焦点距離である。
【0013】
好ましい実施態様において、超小型広角レンズは、被写体をその上に結像させるための電子感光素子をさらに備え、且つ前記超小型広角レンズは下述の条件式をさらに満たし:TTL/ImgH<3、ここに、TTLは前記第一の物体側表面から光軸にある前記電子感光素子までの距離であり、ImgHは前記電子感光素子の有効画素数領域の対角線の長さの半分である。
【0014】
好ましい実施態様において、超小型広角レンズは前記第二レンズと前記第三レンズとの間に設置される絞りをさらに備える。
【0015】
好ましい実施態様において、超小型広角レンズは前記第五レンズと結像面との間に設置され、複数の光雑音のフィルタリングを行う赤外線フィルターをさらに備える。
【0016】
好ましい実施態様において、超小型広角レンズはPLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)パッケージング方式により装設される。
【0017】
好ましい実施態様において、前記第一レンズ、前記第二レンズ、前記第三レンズ、前記第四レンズ、及び前記第五レンズは共にガラス材質で製造される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、各レンズの焦点距離間の相互関係及び各レンズの材料の光学パラメータ間の相互関係を標準化することで、レンズが体積が小さくても視野角が広く保たれ、高い結像品質及び製造コストが低いという長所を兼ね備える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る超小型広角レンズの構成を示す概念図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る超小型広角レンズ1の光学データ表を示す。
【
図3】
図2に示す光学データ表により得られた変調伝達関数(MTF)の曲線図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【0021】
以下、本発明の具体的な実施形態について添付図面に基づき説明する。
図1は本発明の好ましい実施態様に係る超小型広角レンズの構成を示す概念図である。超小型広角レンズ1は光軸19の方向に沿って物体端(被写体端)から結像端まで順に、第一レンズ11と、第二レンズ12と、絞り16と、第三レンズ13と、第四レンズ14と、第五レンズ15とを備える。超小型広角レンズ1が被写体(図示せず)の撮影を行う場合、光線が第一レンズ11、第二レンズ12、絞り16、第三レンズ13、第四レンズ14、及び第五レンズ15を経由した後に結像面10に投射される。本実施態様では、超小型広角レンズ1は電子感光素子18及び赤外線フィルター17をさらに備え、電子感光素子18は結像面10の箇所に設置され、前記被写体をその上に結像させるために使用される。赤外線フィルター17は第五レンズ15と結像面10との間に設置され、不要な光雑音のフィルタリングに用いられ、光学性能を向上させる。
【0022】
また、第一レンズ11は負の屈折力を有し、その物体側表面S1は凸面であり、且つ結像側表面S2は凹面である新月型レンズであり、超小型広角レンズ1の視野角を広げる。また、第二レンズ12は正の屈折力を有し、その物体側表面S3は凹面であり、且つ結像側表面S4は凸面のレンズであり、第一レンズ11を透過した光線が発生させる収差の校正に用いられ、光線を集束させて絞り16に伝送させ、絞り16により受光した光線の収差の対称及び平衡の調整が行われる。なお、第三レンズ13は正の屈折力を有し、その物体側表面S5は平面であり、且つ結像側表面S6は凸面のレンズであり、絞り16を透過した光線を集束させると共に第四レンズ14に伝送させる。さらに、第四レンズ14は正の屈折力を有し、その物体側表面S7及び結像側表面S8は共に凸面のレンズであり、第三レンズ13を透過した光線を集束させると共に第五レンズ15に伝送させる。第五レンズ15は負の屈折力を有し、その物体側表面S9は凹面であり、且つ結像側表面S10は凸面の反新月型レンズであり、第四レンズ14を透過した光線が発生させる収差の校正に用いられ、光線の調整を行って電子感光素子18に伝送させる。
【0023】
更に、超小型広角レンズ1は下述の焦点距離の条件を満たす:−3.2<f/f1<−0.78。fは超小型広角レンズ全体1の焦点距離であり、f1は第一レンズ11の焦点距離である。経験的に言えば、このような設計により超小型広角レンズ1の視野角が広がり、第一レンズ11の製造も容易になる。また、超小型広角レンズ1は下述の焦点距離の条件をさらに満たす:1<f/f4<2。f4は第四レンズ14の焦点距離であり、経験から言えば、この設計により超小型広角レンズ1の総収差を平衡化させ、且つ第四レンズ14の製造が容易になる。なお、超小型広角レンズ1は下述の焦点距離の条件をさらに満たす:1<ImgH/f<2。ImgHは電子感光素子18の有効画素数領域の対角線の長さの半分であり、ソフトウェアシミュレーションの結果では、この設計により超小型広角レンズ1の視野角が広がる。なお、超小型広角レンズ1は下述の焦点距離の条件をさらに満たす:TTL/ImgH<3。TTLは第一レンズ11の物体側表面S1から光軸にある電子感光素子18までの距離であり、ソフトウェアシミュレーションの結果によれば、このような設計により超小型広角レンズ1の体積を縮小できる。さらに、超小型広角レンズ1は下述の焦点距離の条件をさらに満たす:f1/f2<0。f2は第二レンズ12の焦点距離であり、このような設計は、第一レンズ11の焦点距離と第二片レンズの焦点距離との正負を反対にすることを目的とし、ソフトウェアシミュレーションの結果によれば、これにより超小型広角レンズ1の総収差を減少させる。
【0024】
さらに、超小型広角レンズ1は下述の材料の条件を満たす:0<V1−V2<20。V1は第一レンズ11のアッベ数(ABBE)であり、V2は第二レンズ12のアッベ数であり、ソフトウェアシミュレーションの結果によれば、この設計により超小型広角レンズ1の総色収差を減少可能である。また、超小型広角レンズ1は下述の材料の条件をさらに満たす:1.78<I5<2.2。I5は第五レンズ15の屈折率であり、ソフトウェアシミュレーションの結果に従うと、このような設計により超小型広角レンズ1の体積が微小であっても、超小型広角レンズ1の総収差を減少させることができ、且つ超小型広角レンズ1が好ましいフォーカス能力を保有する。なお、超小型広角レンズ1は下述の材料の条件をさらに満たす:16<V5<35。V5は第五レンズ15のアッベ数であり、ソフトウェアシミュレーションの結果によると、この設計により超小型広角レンズ1の体積が非常に小さくとも小超小型広角レンズ1の総色収差を減少させることができる。
【0025】
続いて、超小型広角レンズ1は下述の材料の条件をさらに満たす:0.75<I3/I1<0.95。I1は第一レンズ11の屈折率であり、I3は第三レンズ13の屈折率であり、ソフトウェアシミュレーションの結果に基づくと、このような設計により超小型広角レンズ1の総収差を減少させ、且つ超小型広角レンズ1中の各レンズの収差を相相互補完させる。また、超小型広角レンズ1は下述の材料の条件をさらに満たす:1.05<I5/I1<1.25。ソフトウェアシミュレーションの結果では、この設計により超小型広角レンズ1の総収差を減少させ、且つ超小型広角レンズ1中の各レンズの収差を相互補完させることが可能である。また、超小型広角レンズ1は下述の材料の条件をさらに満たす:15<V3−V1<40。V1は第一レンズ11のアッベ数であり、V3は第三レンズ13のアッベ数であり、ソフトウェアシミュレーションの結果によれば、この設計により超小型広角レンズ1の総色収差を減少させ、且つ超小型広角レンズ1中の各レンズの色収差の相互補完が可能になる。なお、超小型広角レンズ1は下述の材料の条件をさらに満たす:20<V1−V5<45。
【0026】
続いて、超小型広角レンズ1は下述の材料の条件をさらに満たす:1.65<I2<2.2。I2は第二レンズ12の屈折率であり、ソフトウェアシミュレーションの結果によれば、この設計により超小型広角レンズ1の体積が非常に小さくとも、超小型広角レンズ1の総収差を減少させ、さらに超小型広角レンズ1が好ましいフォーカス能力を有することが可能である。なお、超小型広角レンズ1は下述の材料の条件をさらに満たす:35<V2<70。V2は第二レンズ12のアッベ数であり、ソフトウェアシミュレーションの結果によると、この設計により超小型広角レンズ1の体積が極小さくても、超小型広角レンズ1の総色収差を減少させることができる。また、超小型広角レンズ1は下述の材料の条件をさらに満たす:V4−V5>20。V4は第四レンズ14のアッベ数であり、V5は第五レンズ15のアッベ数であり、ソフトウェアシミュレーションの結果では、このような設計により超小型広角レンズ1の総色収差を減少させ、且つ超小型広角レンズ1中の各レンズの色収差を相互補完可能になる。なお、超小型広角レンズ1は下述の材料の条件をさらに満たす:I5−I4<0.4。I4は第四レンズ14の屈折率であり、I5は第五レンズ15の屈折率であり、ソフトウェアシミュレーションの結果に従うと、この設計により超小型広角レンズ1の総収差を減少させ、且つ超小型広角レンズ1中の各レンズの収差も相互補完できる。
【0027】
ちなみに、上述のソフトウェアシミュレーションの方式は本技術分野に習熟する者ならば、例えば、超小型広角レンズの総収差を主光線及び辺縁光線の特定の各パラメータに基づいて(位置、角度、或いは屈折率等)整合させて計算を行いシミュレーション結果を獲得することができ、よってここでは詳述しない。
【0028】
図2は本発明の好ましい実施形態に係る超小型広角レンズ1の光学データ表を示す。本実施形態では、超小型広角レンズ全体1の焦点距離f=2.07mmであり、且つ第一レンズ11の焦点距離f1=−2.47mmであり、故に二者の関係式は:f/f1=−0.84となる。また、第四レンズ14の焦点距離f4=1.59mmであり、従って超小型広角レンズ全体1の焦点距離f及び第四レンズ14の焦点距離f4の関係式は:f/f4=1.3である。
【0029】
さらに、本実施形態では、電子感光素子18の有効画素数領域の対角線の長さの半分ImgH=2.84mmであり、よって超小型広角レンズ全体1の焦点距離f及び電子感光素子18の有効画素数領域の対角線の長さの半分ImgHの関係式は:ImgH/f=1.37である。また、第一レンズ11の物体側表面S1から光軸19にある電子感光素子18までの距離TTL=7.49mmであり、故に第一レンズ11の物体側表面S1から光軸19にある電子感光素子18までの距離TTL及び電子感光素子18の有効画素数領域の対角線の長さの半分ImgHの関係式は:TTL/ImgH=2.64である。なお、第二レンズ12の焦点距離f2=11.5mmであり、第一レンズ11の焦点距離f1及び第二レンズ12の焦点距離f2の関係式は:f1/f2=−0.21である。
【0030】
なお、本実施形態では、第一レンズ11のアッベ数V1=54.7であり、第二レンズ12のアッベ数V2=40.8であり、故に二者の関係式は:V1−V2=13.9である。
【0031】
また、本実施形態では、第一レンズ11の屈折率I1=1.73であり、第三レンズ13の屈折率I3=1.49であり、故に二者の関係式は:I3/I1=0.86である。なお、第五レンズ15の屈折率I5=1.85であり、よって第五レンズ15の屈折率I5及び第一レンズ11の屈折率I1の関係式は:I5/I1=1.07である。なお、第三レンズ13のアッベ数V3=70.2であり、よって第三レンズ13のアッベ数V3及び第一レンズ11のアッベ数V1の関係式は:V3−V1=15.5である。さらに、第五レンズ15のアッベ数V5=23.7であり、故に第一レンズ11のアッベ数V1及び第五レンズ15のアッベ数V5の関係式は:V1−V5=31である。
【0032】
続いて、本実施形態では、第二レンズ12の屈折率I2=1.88であり、第二レンズ12のアッベ数V2=40.8である。なお、第四レンズ14のアッベ数V4=54.7であり、第五レンズ15のアッベ数V5=23.7であり、従って第四レンズ14のアッベ数V4及び第五レンズ15のアッベ数V5の関係式は:V4−V5=31である。また、第四レンズ14の屈折率I4=1.73であり、故に第五レンズ15の屈折率I5及び第四レンズ14の屈折率I4の関係式は:I5−I4=0.12である。
【0033】
図3は
図2に示す光学データ表により得られた変調伝達関数(MTF)の曲線図である。
図3の縦軸座標は光学伝達関数値を表し、超小型広角レンズの解像力を示す、即ち、超小型広角レンズが被写体の質感を如実に再現する能力を表し、業界では結像品質に関する重要な指標である。また、
図3の横軸座標は空間周波数を表し、即ち、単位長さ内に含まれる色度の縞の数を表す。なお、図中の接線成分T(tangential)は超小型広角レンズの接線(即ち、線の方向は電子感光素子の中心と同心円に接する方向)に対する解像力を表し、図中の動径成分S(sagittal)は超小型広角レンズの動径線(即ち、線の方向は電子感光素子の中心から外に向かう方向に沿う)に対する解像力を表す。
図3は角度がそれぞれ0度(degree)、24度(degree)、40度(degree)、56度(degree)、72度(degree)、及び80度(degree)の場合の接線成分T及び動径成分Sの異なる空間周波数での光学伝達関数値を表示する。
【0034】
図中から分かるように、本発明に係る超小型広角レンズは小型化及び広い視野角という長所以外にも、極めて好ましい結像品質をさらに有し、光学伝達関数曲線図を如何に判読するかは、本技術分野に習熟する者にとっては既知のものであり、よって詳述は省く。
【0035】
このほか、本発明に係る超小型広角レンズ1の、第一レンズ11〜第五レンズ15の内の何れか1つのレンズはガラス材質で製造されるか、プラスチック材質で製造される。好ましくは、制限するわけではないが、第一レンズ11〜第五レンズ15は共にガラス材質で製造され、これにより超小型広角レンズ1の光度の損耗を低下させ、獲得された映像が明瞭になり、且つ解析度も13Mから18Mまで向上する。
【0036】
ちなみに、本発明に係る超小型広角レンズ1の後方焦点距離(即ち、第五レンズ15から結像面10までの距離)が十分あり、よってLCC( Leadless Chip Carrier)パッケージング方式により装設するのみで、例えばCLCC(Ceramic Leadless Chip Carrier)パッケージングやPLCC(Plastic Leadless Chip Carrier)パッケージング等により装設することで、レンズの製造コストを削減可能である。
【0037】
従って、本明細書に開示された実施例は、本発明を限定するものではなく、説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の思想と範囲が限定されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲により解釈すべきであり、それと同等の範囲内にある全ての技術は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈すべきである。
【符号の説明】
【0038】
1 超小型広角レンズ
10 結像面
11 第一レンズ
12 第二レンズ
13 第三レンズ
14 第四レンズ
15 第五レンズ
16 絞り
17 赤外線フィルター
18 電子感光素子
19 光軸
S1 第一レンズの物体側表面
S2 第一レンズの結像側表面
S3 第二レンズの物体側表面
S4 第二レンズの結像側表面
S5 第三レンズの物体側表面
S6 第三レンズの結像側表面
S7 第四レンズの物体側表面
S8 第四レンズの結像側表面
S9 第五レンズの物体側表面
S10 第五レンズの結像側表面
S11 赤外線フィルターの表面
S12 赤外線フィルターの表面
f 超小型広角レンズ全体の焦点距離
f1 第一レンズの焦点距離
f2 第二レンズの焦点距離
f4 第四レンズの焦点距離
I1 第一レンズの屈折率
I2 第二レンズの屈折率
I3 第三レンズの屈折率
I4 第四レンズの屈折率
I5 第五レンズの屈折率
V1 第一レンズのアッベ数
V2 第二レンズのアッベ数
V3 第三レンズのアッベ数
V4 第四レンズのアッベ数
V5 第五レンズのアッベ数
T 接線成分
S 動径成分
ImgH 電子感光素子の有効画素数領域の対角線の長さの半分
TTL 第一レンズの物体側表面から光軸にある電子感光素子までの距離