(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
板状のワークを搬送する搬送ベルトを備えると共に、前記ワークのバリ取りを行う回転ブラシを、前記搬送ベルトに対して接近離反する方向へ移動自在に備えたバリ取り装置であって、前記搬送ベルトは、ワークを垂直状態に吸着して搬送する搬送ベルトであって、垂直な搬送面にはワークを吸着するための複数の吸着孔を備え、前記搬送面に備えた吸着孔は、搬送面の下部側よりも上部側が密に備えられていることを特徴とするバリ取り装置。
板状のワークを垂直状態に保持してレーザ加工を行うレーザ加工機と、前記レーザ加工機によってレーザ加工された加工ワークを垂直状態に保持して曲げ加工を行う曲げ加工装置と、前記レーザ加工機から前記曲げ加工装置へ加工ワークを垂直状態に保持して搬送するワーク搬送装置とを備えた板材加工システムであって、前記レーザ加工機と前記ワーク搬送装置との間、又は前記ワーク搬送装置と前記曲げ加工装置との間に、加工ワークを垂直状態に保持してバリ取りを行うバリ取り装置を備えていることを特徴とする板材加工システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係るバリ取り装置について説明するに、板状のワークを垂直状態に保持してレーザ加工又は打抜き加工を行い、かつワークを垂直状態に保持して搬送し、曲げ加工を行う板材加工システムにバリ取り装置を適用した場合について説明する。
【0015】
板材加工システム1は、
図1に平面図で示すように、板状のワーク(
図1には図示省略)を垂直状に保持してレーザ加工を行う縦型レーザ加工機3を備えている。そして、上記縦型レーザ加工機3において加工された加工ワークを搬送するワーク搬送方向の下流側には、前記加工ワークを垂直状態に保持して曲げ加工を行う曲げ加工装置5が配置してある。前記縦型レーザ加工機3から前記曲げ加工装置5へ、加工ワークを垂直に保持して搬送するために、ワーク搬送装置7が備えられている。
【0016】
なお、板状のワークを垂直に保持してレーザ加工を行うレーザ加工機やワークの打抜き加工を行う加工機は、例えば特開平6−246474号公報や特開平8−112631号公報等に記載されているように、既に知られた構成である。また、ワークを垂直に保持して曲げ加工を行う曲げ加工装置は、例えば前記特開平8−112631号公報、特許第4102480号公報等に記載されているように、既に知られた構成である。したがって、前記縦型レーザ加工機3及び曲げ加工装置5の構成についての詳細な説明は省略する。
【0017】
さらに、縦型レーザ加工機3と曲げ加工装置5とを備えた板材加工システムにおいて、縦型レーザ加工機3において加工された加工ワークを、垂直に保持して曲げ加工機5へ搬送する板材加工システムは、例えば特開2013−112491号公報に記載されているように、既に知られた構成である。したがって、ワーク搬送装置7の詳細についての説明は省略する。
【0018】
上記特開2013−112491号公報に記載の板材加工システムによれば、縦型レーザ加工機3において、板状のワークを垂直に保持してレーザ加工を行う。そして、レーザ加工された加工ワークを、ワーク搬送装置7によって垂直に保持し、曲げ加工装置5へ搬送することにより、加工ワークを垂直に保持して曲げ加工を行うことができる。
【0019】
しかし、上述の板材加工システムにおいては、加工ワークに生じたバリのバリ取りを行うことなく曲げ加工を行うものである。したがって、曲げ加工された製品にはバリが残ることになる。よって、板状のワークを垂直に保持してレーザ加工等の加工を行い、レーザ加工を行った加工ワークを垂直に保持したまま曲げ加工装置へ搬送して曲げ加工を行う加工システムにおいて、加工ワークのバリ取りを行うことが要望されていた。
【0020】
ここで、前記特許文献1(特開2009−131945号公報)に記載のバリ取り装置を、前記板材加工システムに適用しようとする場合、特許文献1に記載のバリ取り装置は、板状のワークを水平に保持して搬送することによってバリ取りを行う構成である。したがって、特許文献1に記載のバリ取り装置の構成を、ワークを垂直に保持して搬送し、バリ取りを行うバリ取り装置にそのまま適用するには問題がある。
【0021】
そこで、本実施形態に係るバリ取り装置においては、板状のワークを垂直に保持してバリ取りを行うことができる構成としてある。そして、バリ取り装置9は、
図1に示すように、前記縦型レーザ加工機3とワーク搬送装置7との間に配置してある。なお、上記バリ取り装置9は、前記曲げ加工機5において曲げ加工される前に、加工ワークのバリ取りを行えばよいものであるから、ワーク搬送装置7と曲げ加工装置5との間に配置することも可能である。
【0022】
図2,3に概念的、概略的に示すように、本実施形態に係るバリ取り装置9は、ベースフレーム11を備えている。このベースフレーム11上には固定フレーム13が立設してある。この固定フレーム13には、板状のワーク(加工ワーク)Wを垂直状態に吸着して搬送する垂直な搬送面を備えたエンドレス状の搬送ベルト15が回転自在(走行自在)に備えられている。より詳細には、
図4に示すように、前記搬送ベルト15は、加工ワークWの搬送方向であるX軸方向に離隔して前記固定フレーム13に垂直かつ回転自在に備えられた回転軸17A,17B(固定フレーム13に対する回転軸17A,17Bの取付状態は図示省略)に掛回してある。また、搬送ベルト15は、前記固定フレーム13に垂直に備えた複数のガイド部材19によって垂直に保持され案内されている。
【0023】
そして、エンドレス状の前記搬送ベルト15によって囲繞された空間21内には、前記搬送ベルト15の垂直な搬送面側を開口した吸引ボックス23が配置してある。この吸引ボックス23は、前記固定フレーム13に支持されているものであって、この吸引ボックス23には、吸引ブロワなどのごとき吸引手段(図示省略)が接続してある。そして、前記搬送ベルト15には、加工ワークWを吸着するための小孔からなる複数の吸着孔25が備えられている。
【0024】
また、前記搬送ベルト15の下側には、搬送ベルト15の下端縁を案内するベルトガイド27が備えられている。このベルトガイド27は、搬送ベルト15の下端縁を案内支持する機能と、搬送ベルト15の吸着面(搬送面)から加工ワークWが落下したときに、加工ワークWを支持する機能を奏するものである。さらに、前記搬送ベルト15によって吸着され搬送されるときに、加工ワークWが搬送ベルト15から離れるように倒れることを防止するために、前記吸着孔25は、搬送ベルト15の下部側よりも上部側が密になるように備えられている。
【0025】
したがって、前記搬送ベルト15を駆動するサーボモータなどのごとき搬送ベルト用モータ29(
図3参照)を回転駆動すると共に、吸引ブロワを駆動すると、前記搬送ベルト15の垂直な搬送面に加工ワークWを垂直状態に吸着して、X軸方向に搬送できるものである。
【0026】
前記搬送ベルト15によってX軸方向へ吸着搬送される加工ワークのバリ取りを行うために、回転ブラシ31が前記搬送ベルト15に対して接近離反する方向であるY軸方向へ移動調節自在に備えられている。より詳細には、前記ベースフレーム11にはY軸方向のガイド部材33(
図3参照)が備えられており、このガイド部材33には、移動フレーム35がY軸方向へ移動自在に支持されている。この移動フレーム35には、前記回転ブラシ31が回転自在に備えられている。したがって、移動フレーム35は、ブラシフレームと称することもできる。
【0027】
前記回転ブラシ31は、前記搬送ベルト15の垂直な搬送面15Fに対向して一対備えられている。一対の回転ブラシ31A,31Bは、前記搬送ベルト15の搬送面15Fに平行な同一垂直面に配置してある。上記回転ブラシ31A,31Bの回転軸37は、
図2に示すように、上部側が加工ワークWの搬入方向である上流側を指向するように傾斜してある。前記回転軸37の上端側及び下端側は、前記移動フレーム35に取付けた軸受39に回転自在に支承されている。
【0028】
そして、前記各回転軸37の下端部に備えた各プーリ41は、前記移動フレーム(ブラシフレーム)35に装着した各ブラシ用モータ43とそれぞれ連動連結してある。なお、前記加工ワークWの搬送方向の上流側に位置する回転ブラシ31Aは、加工ワークWを送り込むように回転され、下流側に位置する回転ブラシ31Bは逆方向に回転されるものである。したがって、前記回転ブラシ31A,31Bが加工ワークWに接触してバリ取りを行うときに生じた粉塵は、各回転ブラシ31A,31Bの間方向へ飛散されるものであって、外部へ飛散されることが抑制されるものである。
【0029】
前述のごとく、各回転ブラシ31A,31Bが加工ワークWに接触してバリ取りを行うとき、加工ワークWの板厚、材質に対応して、加工ワークWの表面に対するブラシ深さ、すなわち加工ワークWの加工面(切断面)に対する回転ブラシの侵入深さ(バリ取り深さ、回転ブラシの作用深さ)を調節可能に構成してある。すなわち、加工ワークWの板厚、材質に対応して、前記搬送ベルト15における搬送面15Fに対する回転ブラシ31A,31Bの接近距離を制御自在に構成してある。
【0030】
すなわち、前記移動フレーム35をY軸方向に位置制御するために、フレーム移動位置決め装置が備えられている。前記移動フレーム35をY軸方向に移動位置決めする構成として、例えばボールネジ機構(図示省略)が備えられている。そして、このボールネジ機構を回転するために、サーボモータからなるフレーム移動用モータ(
図2,3には図示省略)が備えられている。
【0031】
したがって、前記フレーム移動用モータの回転を制御することにより、前記移動フレーム35に備えた前記回転ブラシ31A,31BをY軸方向に移動位置決めすることができる。そして、前記フレーム移動用モータに備えた位置検出手段としてのロータリーエンコーダによって、Y軸方向の基準位置からの前記回転ブラシ31A,31Bの移動位置を検出することができる。よって、前記フレーム移動用モータの回転を制御することにより、前記搬送ベルト15の搬送面15Fと回転ブラシ31A,31Bとの間隔寸法を所望の間隔に制御できるものである。
【0032】
ところで、
図5(A)に概念的に示すように、ワークW1,W2の板厚が異なると、ワークW1,W2のレーザ加工によって生じたドロス量に起因するバリB1,B2の高さが異なり、ワークの板厚が厚くなると、発生するドロス量が多くなり、バリも高くなる傾向にあることを見出した。すなわち、バリB1,B2の高さが高くなると、ワークW1,W2に対するバリB1,B2の固着力(付着力)もより強固になる傾向にある。したがって、バリ取りをより確実に行うには、バリの高さ、すなわちワークの板厚に対応して回転ブラシ31がワークWに作用するブラシ深さBD1,BD2を調節する。換言すれば、ワークWに対して回転ブラシ31が作用している加工時間T1,T2をワークの板厚に対応して調節する。
【0033】
上述のように、ワークWの板厚に対応してブラシ深さBD1,BD2を調節することにより、回転ブラシ31がワークWに作用している加工時間を調節できることとなり、バリ取りをより確実に行うことができるものである。
【0034】
なお、ワークに対するドロス(バリ)の固着力は、ワークの材質によっても異なるものである。したがって、ワークに対する回転ブラシ31のブラシ深さBD1,BD2及び加工時間T1,T2は、ワークの板厚、材質に対応して調節することが望ましいものである。
【0035】
前述のように、ワークWの板厚に対応してブラシ深さBD1,BD2を調節するには、また、回転ブラシ31の周速度を適正な周速度に調節するには、回転ブラシ31の径を検出する必要がある。この回転ブラシ31の構成は、前記特許文献1に記載の回転ブラシと同様の構成であって公知であるが、理解を容易にするために、回転ブラシ31の構成について概略的に説明する。
【0036】
回転ブラシ31は、
図6(A)に示すごとき円板状のブラシ体45を備えている。上記ブラシ体45は、回転ブラシ31の回転軸37に取付けるための円板47を備えており、この円板47の外周面には、放射方向に延伸した細長い帯状のサンドペーパーなどのごとき複数のブラシ(研磨材)49が周方向に等間隔に備えられている。そして、
図6(B)に示すように、回転ブラシ31の回転軸37に対して、複数のブラシ体45を傾斜した状態に重ねて一体的に取付けることによって、回転ブラシ31が構成してある。したがって、前記回転軸37を回転すると、各ブラシ体45は、回転軸37に対して傾斜した状態を保持して回転されることとなり、かつ前記ブラシ49がワークに作用してワークのバリ取りが行われるものである。
【0037】
前記回転ブラシ31A,31Bの径を検出するために、ブラシ径検出手段51(
図7参照)が備えられている。このブラシ径検出手段51は、光学的にブラシ径を検出するものであって、
図7に概略的に示すように、前記回転ブラシ31A,31Bの一側方には、例えばレーザ光などの検出光LBを回転ブラシ31A,31Bの回転領域に照射(入射)するレーザダイオード(LD)などのごとき検出光照射手段53A,53B,53C,53Dが同一平面内に配置してある。そして、前記回転領域の他側方には、前記回転領域を透過した検出光LBを受光するフォトダイオードなどのごとき複数の受光手段55A,55B,55C,55Dが同一平面内に配置してある。
【0038】
なお、前記各検出光照射手段53A〜53Dは、前記搬送ベルト15の搬送面15Fから所定距離の位置を透過するように、前記固定フレーム13の所定位置に備えられている。そして、各受光手段55A〜55Dは、各検出光照射手段53A〜53Dに対向して固定フレーム13に備えられているものである。そして、前記各検出光照射手段53A〜53Dによる検出光LBの照射方向(入射方向)は、前記回転ブラシ31A,31Bの軸方向、すなわち、回転ブラシ31A,31Bにおける回転軸37の長手方向に対して交差する方向であって、かつ前記ブラシ体45における中心軸に対して傾斜した方向である。換言すれば、重ねた状態にある複数のブラシ体45の回転時に描く複数の回転面を横切る方向に検出光LBを照射するように構成してある。
【0039】
したがって、前述したフレーム移動位置決め装置におけるサーボモータを回転して、回転ブラシ31A,31Bを備えた移動フレーム35をY軸方向に移動すると、
図7(B)に示すように、回転ブラシ31A,31Bを、基準位置(原点位置)0から搬送ベルト15に近接する方向へ移動することができる。そして、前記基準位置0からの回転ブラシ31A,31BのY軸方向への移動位置は、前記サーボモータに備えたロータリーエンコーダ等のごとき位置検出手段によって検出することができるものである。
【0040】
前述のごとく、回転ブラシ31A,31Bを回転しつつ搬送ベルト15に接近する方向へ次第に移動すると、
図8の(A)に示すように、回転ブラシ31A,31Bにおける回転領域の外周縁付近が検出光LBを遮断するようになる。この場合、摩耗等によって各ブラシ49の長さは一定でないので、受光手段55A〜55Dにおいては、
図8の(A)に示すように、所定時間T内においてON,OFFを頻繁に繰り返すことになる。
【0041】
そして、回転ブラシ31A,31Bがさらに搬送ベルト15に近接移動すると、検出光LBは、
図8の(B)に示すように、回転領域の外周縁付近からさらに内側の領域を透過することになる。検出光LBが回転領域の内側を透過するようになると、
図8の(B)に示すように、所定時間T内における受光手段55A〜55DのON,OFFの繰り返しが少なくなる。すなわち、ブラシ49によって遮光される時間が次第に長くなる。
【0042】
その後、回転ブラシ31A,31Bの接近移動がさらに進むと、検出光LBは回転ブラシ31A,31Bの回転領域を透過しなくなる。したがって、NOT回路を介しての受光手段55A〜55Dの出力は、
図8の(C)に示すように、連続してONになる。ところで、前記基準位置0及び検出光LBの照射位置は予め設定した位置であって既知であるから、前述のごとく、受光手段55A〜55Dが検出光LBを受光しなくなったときの回転ブラシ31A,31BのY軸方向の位置を前記位置検出手段によって検出することにより、回転ブラシ31A,31Bの径を演算し求めることができるものである。
【0043】
既に理解されるように、
図8の(A)の状態は、回転ブラシ31A,31Bの回転時に回転ブラシ31A,31Bの外周面から僅かに突出した状態にある複数のブラシ49の先端付近による検出光LBの遮断を検出しているものである。したがって、
図8の(A)の検出状態にあるときの回転ブラシ31A,31Bの径を、回転ブラシ31A,31Bの正確な径に設定することは望ましいものではない。
【0044】
換言すれば、
図8の(C)に示すように、受光手段55A〜55Dが検出光LBを受光しなくなったときにおける回転ブラシ31A,31Bの径を正しい径とすることが望ましいものである。この場合、回転ブラシ31A,31Bにおける外周面は、ワークに対してほぼ均等に作用することになるものである。したがって、受光手段55A〜55Dが検出光LBを受光しなくなったときにおける回転ブラシ31A,31Bの径は、作用径と称することも可能である。
【0045】
また、受光手段55A〜55Dが検出光LBを受光しなくなったときにおける回転ブラシ31A,31Bの外周面は、ワークのバリ取りを効果的に行うことができる有効な径である。したがって、受光手段55A〜55Dが検出光LBを受光しなくなったときにおける回転ブラシ31A,31Bの径は、有効径と称することも可能である。
【0046】
前記バリ取り装置9の動作を制御するために、バリ取り装置9は制御装置57(
図9参照)を備えている。この制御装置57は、例えばコンピュータから構成してあって、CPU59を備えると共に、ワークWの材質に対しての回転ブラシの周速度データ、ワークWの板厚に対応してのバリ取り深さ、すなわち前述のブラシ深さBD1,BD2のデータ、及びワークWの材質、板厚に対応してのワークの送り速度データ等の各データを予め格納した加工条件データベース61を備えている。
【0047】
さらに、制御装置59は各種データを入力する入力手段63を備えると共に、前記各受光手段55A〜55Dが接続してある。そして、前記各検出光照射手段53A〜55Dから各回転ブラシ31A,31Bの回転領域に照射された検出光LBが、各受光手段55A〜55Dによって受光されなくなったときにおける各回転ブラシ31A,31Bの基準位置0からの移動位置のデータを格納する位置記憶メモリ65A〜65Dが備えられている。また、制御装置59には、各種の演算を行う演算手段67が備えられている。したがって、各回転ブラシ31A,31Bの径(作用径)は、前記各位置記憶メモリ65A〜65Dに格納された移動位置のデータに基づいて、演算手段67によって演算されることになる。そして、その演算結果は、ブラシ径メモリ69に格納される。
【0048】
さらに、前記制御装置57には、前記搬送ベルト15を駆動する前記搬送ベルト用モータ29の回転を制御するモータドライバ71Aが接続してあると共に、前記搬送ベルト15に備えた複数の吸着孔25に吸引作用を生じさせる吸引ブロワを駆動するモータドライバ(図示省略)が接続してある。また、前記制御装置57には、前記回転ブラシ31A,31Bを回転するための前記ブラシ用モータ43の回転を制御するモータドライバ71Bが接続してある。
【0049】
また、前記制御装置57には、フレーム移動用モータ73の回転を制御するモータドライバ71Cが接続してある。前記フレーム移動用モータ73は、前記回転ブラシ31A,31Bを回転自在に支持した前記移動フレーム35をY軸方向に移動位置決めする機能を奏するものである。換言すれば、前記フレーム移動用モータ73は、前記搬送ベルト15の搬送面15Fに対する回転ブラシ31A,31Bの接近位置を制御する機能を奏するものである。
【0050】
前記フレーム移動用モータ73はサーボモータから構成してあって、位置検出手段としてのロータリーエンコーダを備えている。したがって、基準位置からの移動フレーム35の移動位置を検出することができるものである。なお、位置検出手段としては、ロータリーエンコーダに限ることなく、移動フレーム35にリニアエンコーダなどのリニアセンサを備えた構成とすることも可能である。
【0051】
以上のごとき構成において、回転ブラシ31A,31Bの径を検出するには、先ず、
図10のステップS1に示すように、予め設定した高速回転でもって回転ブラシ31A,31Bを回転する。回転ブラシ31A,31Bを高速回転すると、回転ブラシ31A,31Bに備えたブラシ49は、遠心力によってほぼ均一に伸びることになる。上述のように、回転ブラシ31A,31Bを高速回転した状態において、フレーム移動用モータ73を回転駆動して、回転ブラシ31A,31Bを基準位置0から搬送ベルト15に接近する方向へ移動する(ステップS2)。
【0052】
上述のように、回転ブラシ31A,31Bが基準位置0から搬送ベルト15方向へ移動されると、ステップS3において、予め設定した移動量をオーバーしたか否かの判別が行われる。そして、YESの場合には、ステップS4において、センサー検出エラーが報知手段75によって報知される。したがって、この場合には、前記検出光照射手段53A〜53D及び受光手段55A〜55Dが正常に作動するか否かの検査を行うことになる。
【0053】
また、前述のように、回転ブラシ31A,31Bが移動されると、ステップS5において、前述したように前記受光手段55A〜55Dが検出光LBを検出しなくなる動作を行うことになる。したがって、検出光照射手段53A〜53D及び受光手段55A〜55Dが正しく動作することが確認される。上述のように動作が確認されると、前記フレーム移動用モータ73が逆回転されて、回転ブラシ31A,31Bは、基準位置0又は、前記検出光LBの位置から予め設定された所定位置に戻されることになる(ステップS6)。
【0054】
その後、フレーム移動用モータ73を駆動して、基準位置0又は前記所定位置から回転ブラシ31A,31Bを、搬送ベルト15に近接する方向へ移動する(ステップS7)。そして、ステップS8A〜S8Dでもって、各検出光照射手段53A〜53Dと各受光手段55A〜55Dとの間において、回転ブラシ31A,31Bの回転領域内を検出光LBが透過したか否かを検出する。そして、検出光LBが透過しなくなった位置データを、ステップS9A〜S9Dにおいて位置記憶メモリ65A〜65Dに格納する。
【0055】
ステップS10においては、全ての位置検出が完了したか否かの判別を行い、ステップS11において、待機位置としての前記所定位置に移動する(戻る)。その後、ステップS12において、前記各位置記憶メモリ65A〜65Dに格納された位置データに基づいて、比較演算手段77において偏摩耗の判定を行う。そして、検出位置の差分が予め設定された値より過大なとき、すなわち回転ブラシ31A,31Bの偏摩耗が大きい場合には、ステップS13においてエラー処理を行う。すなわち、例えば回転ブラシ31A,31Bの交換を行う。
【0056】
前記ステップS12において偏摩耗が小さいと判定したときには、ステップS14において、前記演算手段67によって演算した回転ブラシ31A,31Bの最小径と、予め設定した使用限界径とを比較して、使用限界か否かの判別が行われる。そして、使用限界と判別された場合には、ステップS13においてエラー処理が行われる。前記ステップS14において使用可能と判別されると、ステップS15においてバリ取り加工が開始される。
【0057】
すなわち、加工プログラムメモリ79から必要な加工プログラムが選択されると共に、入力手段63から入力されたワークの材質、板厚に対応して加工条件データベース61から回転ブラシ31A,31Bの周速度データ、バリ取り深さBD1,BD2のデータ、及びワークの送り速度データが加工条件メモリ81に格納される。
【0058】
そして、前記加工条件メモリ81に格納されたワークの送り速度になるように、搬送ベルト用モータ29の回転が制御される。また、回転ブラシ31A,31Bの検出した最小径に基づいて、または、演算手段67によって演算された回転ブラシ31A,31Bの平均径に基づいて、回転ブラシ31A,31Bの周速度が前記加工条件メモリ81に格納された回転ブラシ31A,31Bの周速度データに一致するように、ブラシ用モータ43の回転が制御される。さらに、ワークWに対するバリ取り深さが、加工条件メモリ81に格納されたバリ取り深さデータと一致するように、フレーム移動用モータ73によって、搬送ベルト15の搬送面15Fに対する回転ブラシ31A,31Bの近接位置が制御される。
【0059】
したがって、搬送ベルト15の垂直な搬送面15FにワークWを垂直に吸着して搬送し、かつ回転ブラシ31A,31Bを作用してワークWのバリ取りを行うとき、ワークWの板厚、材質に対応しての回転ブラシ31A,31Bのバリ取り深さ、回転速度(回転ブラシ31A,31Bの周速度)及びワークWの搬送速度が適正に制御されることとなる。したがって、ワークのバリ取りを良好に行い得るものである。
【0060】
以上のごとき説明より理解されるように、本実施形態によれば、ワークは、搬送ベルトにおける垂直な搬送面に吸着されて搬送されるものである。したがって、板状のワークを垂直状態に保持して加工を行うと共にワークの搬送を行う板材加工システムに容易に適用することができるものである。
【解決手段】板状のワークWを搬送する搬送ベルト15を備えると共に、前記ワークのバリ取りを行う回転ブラシ31A,31Bを、前記搬送ベルト15に対して接近離反する方向へ移動自在に備えたバリ取り装置であって、前記搬送ベルト15は、ワークを垂直状態に吸着して搬送する搬送ベルトであって、垂直な搬送面15Aにはワークを吸着するための複数の吸着孔25を備えている。前記搬送面15Fに備えた吸着孔25は、搬送面15Fの下部側よりも上部側が密に備えられている。