(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
定位入力信号N1が有信号で反位入力信号R1が無信号であるか、反転して前記定位入力信号N1が無信号で前記反位入力信号R1が有信号であるか、又は共に無信号である状態が交代して入力され、有信号である前記定位入力信号N1又は前記反位入力信号R1に対しては有信号の定位制御信号N2又は反位制御信号R2を出力し、前記定位入力信号N1又は前記反位入力信号R1が有信号から無信号になった場合は、定位出力信号N3又は反位出力信号R3ではそれぞれ有信号を維持させる信号処理部と、
有信号である前記定位制御信号N2に対しては有信号である定位出力信号N3を出力する定位リレー部と、
有信号である前記反位制御信号R2に対しては有信号である反位出力信号R3を出力する反位リレー部と、を含む電子リレーであって、
更に、前記定位リレー部は、有信号である前記定位出力信号N3を前記信号処理部にフィードバックし、前記反位リレー部は有信号である前記反位出力信号R3を、前記信号処理部にフィードバックし、
前記信号処理部は、前記フィードバックされた定位出力信号N3及び前記フィードバックされた反位出力信号R3を記憶し、
前記信号処理部は、停電後の復電時において、前記定位入力信号N1が有信号である場合に、前記記憶された定位出力信号N3が無信号であるか、又は前記記憶された反位出力信号R3が有信号である場合、或いは、前記反位入力信号R1が有信号である場合に、前記記憶された反位出力信号R3が無信号であるか、又は前記記憶された定位出力信号N3が有信号である場合には回路異常と判断して入力信号「無し」と区別する、電子リレー。
定位入力信号N1が有信号で反位入力信号R1が無信号であるか、反転して前記定位入力信号N1が無信号で前記反位入力信号R1が有信号であるか、又は共に無信号である状態が交代して入力され、有信号である前記定位入力信号N1又は前記反位入力信号R1に対しては有信号の定位制御信号N2又は反位制御信号R2を出力し、前記定位入力信号N1又は前記反位入力信号R1が有信号から無信号になった場合は、定位出力信号N3又は反位出力信号R3ではそれぞれ有信号を維持させる信号処理部と、
有信号である前記定位制御信号N2に対しては有信号である定位出力信号N3を出力する定位リレー部と、
有信号である前記反位制御信号R2に対しては有信号である反位出力信号R3を出力する反位リレー部と、を含む電子リレーであって、
更に、前記定位リレー部は、有信号である前記定位出力信号N3を前記信号処理部にフィードバックし、前記反位リレー部は有信号である前記反位出力信号R3を、前記信号処理部にフィードバックし、
前記フィードバックされた前記定位出力信号N3及び前記フィードバックされた前記反位出力信号R3について、定位制御信号N2又は反位制御信号R2が生成されると制御開始情報として記憶し、前記フィードバックされた定位出力信号N3及び前記フィードバックされた反位出力信号R3を制御完了情報として記憶し、停電時と制御開始時及び制御完了時との前後関係から適切な方の情報を記憶情報とし、
前記信号処理部は、停電後の復電時において、前記制御開始情報と前記制御完了情報のいずれかに基づいて、前記定位入力信号N1が有信号である場合に、前記記憶情報の定位出力信号N3が無信号であるか、又は前記記憶された反位出力信号R3が有信号である場合、或いは、前記反位入力信号R1が有信号である場合に、前記記憶情報の反位出力信号R3が無信号であるか、又は前記記憶情報の定位出力信号N3が有信号である場合には回路異常と判断して入力信号「無し」と区別する、電子リレー。
【背景技術】
【0002】
鉄道信号保安装置用のリレーは、フェールセイフの原則に適合させるべく、一般の市販リレーとは異なった工夫がなされている。そのうちの一つに、例えば転てつ制御回路や、運転方向設定回路などに用いられる磁気保持リレーがある。磁気保持リレーは、永久磁石による磁気バイアスを加えた状態で、コイルに流す励磁電流の方向を変えることにより、定位接点構成及び反位接点構成を切り替える一種の有極リレーである。定位接点を構成する場合は、コイルの一端側から励磁電流を流して、可動接極子を定位接点に磁気的に吸着させる。可動接極子は、定位接点に吸着した後は、コイルの励磁を絶っても、永久磁石の吸引力により定位接点に吸着し続けることにより、定位の動作状態、即ち、定位接点出力を維持する。
【0003】
反位の動作状態を実現するには、コイルの他端側から励磁電流を供給するように、励磁電流極性を切り替える。これにより、定位接点に吸着していた可動接極子が、初めて定位接点から離れ、反位接点に磁気的に吸着し、反位接点出力を生じる。このような磁気保持リレーは、非特許文献1に記載されている。
【0004】
上述した磁気保持リレーにおける定位側の論理Nについて、コイル電圧で与えられる定位入力信号N1が電圧有り(+V)の状態を論理値1で表現し、電圧無しを論理値0で表現し、また、定位接点出力N3については、可動接極子が定位接点と吸着している状態を論理値1、離れている状態を論理値0で表現する。
【0005】
反位側の論理Rについても、反位接点入力信号N1が電圧有り(−V)の状態を論理値1で表現し、電圧無しを論理値0で表現し、また、反位接点出力R3については、可動接極子が反位接点と吸着している状態を論理値1、離れている状態を論理値0で表現する。
【0006】
この場合、定位接点入力信号N1及び反位接点入力信号R1と、定位接点出力N3及び反位接点出力R3との関係は、次のようになる。(1)(N1、R1)=(0、0)の状態が、(N1、R1)=(1、0)になると、(N3、R3)=(1、0)となる。(2)(N1、R1)=(1、0)の状態が、(N1、R1)=(0、0)になっても、(N3、R3)=(1、0)を維持する。(3)(N1、R1)=(0、0)の状態が、(N1、R1)=(0、1)になると、(N3、R3)=(0、1)となる。(4)(N1、R1)=(0、1)の状態が、(N1、R1)=(0、0)になっても、(N3、R3)=(0、1)を維持する。
【0007】
上述した磁気保持リレーは、フェールセイフ性にすぐれ、信頼性も高く、鉄道信号保安装置用リレーとしての実績もある。しかし、永久磁石を用いた磁気回路を構成する必要があること等から、大型になり、鉄道信号保安装置の小型化という時代的要請に充分に応えることができない。
【0008】
そこで、磁気保持リレーと同一の機能を、電子回路によって実現する電子リレーが検討されている。これまで検討された電子リレーは、例えば、特許文献1に開示されているように、典型的には、フェールセイフなCPU(FS−CPU)と、書換可能な不揮発性メモリと、1つの出力リレーとを備える。そして、入力されたリレー制御信号をFS−CPUによって解読し、リレー制御入力信号が、信号「有り」の状態の場合には、出力リレーを励磁して定位接点出力を生じさせ、信号「無し」の場合に、出力リレーの励磁を解いて、反位接点出力を生じさせる。出力リレーを励磁して定位接点出力を生じさせること、又は、その状態を、出力リレー扛上制御又は動作接点構成といい、出力リレーの励磁を解いて、反位接点出力を生じさせることまたはその状態を、出力リレー落下、又は、復帰接点構成という。
【0009】
停電に対する対策としては、不揮発メモリに出力リレーの制御状態を記憶しておき、一旦、電源が切れた後に復電した際、FS−CPUによって、電源が切れる直前の制御状態を不揮発メモリから読み出すことにより、停電前の接点出力状態に復帰させる。
【0010】
しかし、この電子リレーでは、回路故障によっても、出力リレーの励磁が無くなり(落下)、反位接点出力を生じるので、反位接点出力を生じたことが、リレー制御入力信号「無し」のためなのか、それとも回路故障のためなのかを判断できない。これでは、フェールセイフ性を確保できないし、FS−CPUを用いた技術的意義が失われる。
【0011】
また、定位接点出力及び反位接点出力が、1個の出力リレーの動作接点構成、及び、復帰接点構成の2つの状態であるため、復電からリレー制御が完了するまでの間は、以前の状態と逆の状態を構成してしまうという問題点がある。具体的に説明しよう。
【0012】
例えば、停電直前は、出力リレーの状態が動作接点構成である場合、不揮発メモリはこの動作接点構成を記憶しているが、停電により、出力リレーの状態は、復帰接点構成になる。この状態で復電すると、出力リレーは、まず、復帰接点構成からスタ−トし、次に、不揮発性メモリから記憶状態が読み出され、停電直前における出力リレーの状態である動作接点構成に切り替わり、リレー制御が完了する。つまり、復電からリレー制御が完了するまでの間は、停電直前の動作接点構成とは逆の復帰接点構成になってしまうのである。
【0013】
更に、不揮発メモリの複数箇所に接点状態を記憶した場合、それら全てが正しいときにのみ出力リレーを制御することになるため、書き込み途中に停電を生じた場合には、復電時に起動しないなど、稼働率を低下させる結果になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の課題は、入力信号「無し」と、回路故障とを明確に識別し得るフェールセイフ性の高い電子リレーを提供することである。
【0017】
本発明のもう一つの課題は、復電からリレー制御が完了するまでの間でも、誤った接点出力を生じない電子リレーを提供することである。
【0018】
本発明の更にもう一つの課題は、書き込み途中に停電を生じた場合も、確実に起動しえる電子リレーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述した課題を解決するため、本発明に係る電子リレーは、信号処理部と、定位リレー部と、反位リレー部とを含む。前記信号処理部は、定位入力信号N1、及び、前記定位入力信号N1と反転関係にある反位入力信号R1が供給され、前記定位入力信号N1に対応する定位制御信号N2及び前記反位入力信号R1に対応する反位制御信号R2を出力する。
【0020】
前記定位リレー部は、前記信号処理部から有信号である前記定位制御信号N2が供給されたとき、有信号である定位出力信号N3を出力する。前記反位リレー部は、前記信号処理部から有信号である前記反位制御信号R2が供給されたとき、有信号である反位出力信号R3を出力する。前記信号処理部は、前記定位入力信号N1又は前記反位入力信号R1が無信号から有信号になったとき以外は、前記定位出力信号N3又は前記反位出力信号R3の現状を維持すべく、前記定位リレー部、又は、前記反位リレー部を制御する。
【0021】
本明細書において、有信号とは、レベルが零ではない有意な値を有する信号又はその状態をいい、論理値1で表現する。また、無信号とは、レベルを零とみなし得る信号又はその状態をいい、論理値0で表現する。
【0022】
上述した電子リレーにおいて、まず、定位リレー部、反位リレー部及び回路結線が正常である場合の正常動作について説明する。正常動作は、前述した磁気保持リレーの動作と一致する。まず、説明順序として、定位接点入力信号N1、反位接点入力信号R1、定位接点出力N3及び反位接点出力R3について、(N1、R1)=(0、0)、(N3、R3)=(0、0)の状態から説明する。
【0023】
回路が正常である場合、信号処理部は、論理値1の定位入力信号N1が供給されると、これに対応する定位制御信号N2を出力する。定位リレー部は、信号処理部から論理値1の定位制御信号N2が供給されたとき、論理値1の定位出力信号N3を出力する。定位入力信号N1が論理値1となっている場合には、反位入力信号R1は論理値0になる。この場合は、信号処理部から出力される反位制御信号R2も論理値0であり、反位リレー部は論理値0の反位出力信号R3を出力する。即ち、(N1、R1)=(1、0)で、(N2、R2)=(1、0)、更に、(N3、R3)=(1、0)となる。
【0024】
信号処理部は、定位入力信号N1が無信号から有信号になったとき以外は、定位出力信号N3の現状を維持すべく、定位リレー部を制御するので、一旦、論理値1の定位出力信号N3を生じた定位リレー部は、仮に、定位入力信号N1が有信号(論理値1)から無信号(論理値0)になっても、そのままの状態を維持し、論理値1の定位出力信号N3を出力し続ける。即ち、(N1、R1)=(1、0)の状態が、(N1、R1)=(0、0)になっても、(N3、R3)=(1、0)を維持する。
【0025】
信号処理部は、反位入力信号R1が無信号から有信号になったとき以外は、反位出力信号R3の現状を維持すべく、反位リレー部を制御するので、一旦、論理値1の反位出力信号R3を生じた反位リレー部は、そのままの状態を維持し、論理値1の反位出力信号R3を出力し続ける。論理値0の反位出力信号R3が論理値1になるのは、信号処理部に供給される反位入力信号R1が、論理値0から論理値1になり、これに対応して、信号処理部から論理値1の反位制御信号R2が出力された場合である。即ち、(N1、R1)=(0、0)の状態が、(N1、R1)=(0、1)になったとき、(N3、R3)=(0、1)となる。この反位出力信号R3は、リレー部における落下接点(R接点)出力信号に相当する。
【0026】
なお、反位入力信号R1が論理値1となった場合には、定位入力信号N1は論理値0になる。この場合は、信号処理部から出力される定位制御信号N2は、論理値0であり、定位リレー部は論理値0の定位出力信号N3を出力する。
【0027】
次に、定位リレー部、反位リレー部及び回路結線に異常を生じた場合の動作について説明する。
【0028】
まず、回路に異常が生じたために、反位入力信号R1が論理値1であるにもかかわらず、反位制御信号R2が論理値0になった場合、反位出力信号R3は、正常であれば論理値1になるべきところ、論理値0になる。したがって、論理値1の反位入力信号R1と、論理値0の反位出力信号R3の論理から、回路の異常を検知することができる。つまり、従来、反位入力信号R1が有信号(論理値1)のとき、無信号(論理値0)となっていた反位出力信号R3を、本発明では有信号(論理値1)として与えることに大きな特徴があり、反位入力信号R1の存在と、回路故障とを明確に区別できるようにした点に大きな特徴がある。
【0029】
次に、定位入力信号N1が論理値1であるにもかかわらず、定位制御信号N2が論理値0になった場合、定位出力信号N3は、正常であれば論理値1になるべきところ、論理値0になる。したがって、論理値1の定位入力信号N1と、論理値0の定位出力信号N3の論理から、回路の異常を検知することができる。
【0030】
定位入力信号N1が論理値1である場合において、反位出力信号R3が論理値1になった場合は、論理値1の定位入力信号N1と、論理値1の反位出力信号R3の論理から、回路の異常を検知することができる。
【0031】
反位入力信号R1が論理値1である場合において、定位出力信号N3が論理値1になった場合は、論理値1の反位入力信号R1と、論理値1の定位出力信号N3の論理から、回路の異常を検知することができる。
【0032】
上述した異常時の論理判
断を実行するための具体的手段として、定位リレー部の論理値1の定位出力信号N3を信号処理部にフィードバックすると共に、反位リレー部の論理値1の反位出力信号R3を信号処理部にフィードバックする構成が有効である。信号処理部では、定位入力信号N1、反位入力信号R1、フィードバックされた定位出力信号N3及び同じくフィードバックされた反位出力信号R3の論理判断により、回路の異常及び正常を判断することができる。
【0033】
また、停電後に、停電時のリレー条件を再現する手段として、信号処理部は、フィードバックされた定位出力信号N3及び反位出力信号R3を記憶し、停電後の復電時に、停電時に記憶していた情報に基づいて、定位リレー部又は反位リレー部を制御する構成も有効である。この構成によれば、復電からリレー制御が完了するまでの間でも、誤った接点出力を生じない電子リレーを提供することができる。
【0034】
停電対策の別の手段として、信号処理部は、フィードバックされた定位出力信号N3及びフィードバックされた反位出力信号R3を、制御開始時と制御完了時とに分けて記憶し、停電後の復電時に、制御開始時と制御完了時の記憶情報に基づいて、定位リレー部又は反位リレー部を制御する構成としてもよい。この構成によれば、書き込み途中に停電を生じた場合も、確実に起動しえる電子リレーを提供することができる。
【発明の効果】
【0035】
以上述べたように、本発明によれば、次のような効果を得ることができる。(a)入力信号「無し」と、回路故障とを明確に識別し得るフェールセイフ性の高い電子リレーを提供することができる。(b)復電からリレー制御が完了するまでの間でも、誤った接点出力を生じない電子リレーを提供することができる。(c)書き込み途中に停電を生じた場合も、誤った接点出力を生じない電子リレーを提供することができる。
【0036】
本発明の他の特徴及びそれによる作用効果は、添付図面を参照し、実施例によって更に詳しく説明する。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、本発明に係る電子リレーのブロック図である。
図1を参照すると、本発明に係る電子リレーは、信号処理部1と、定位リレー部2と、反位リレー部3とを含む。
【0039】
信号処理部1は、定位入力信号N1、及び、この定位入力信号N1と反転関係にある反位入力信号R1が供給され、定位入力信号N1に対応する定位制御信号N2及び反位入力信号R1に対応する反位制御信号R2を出力する。図示の信号処理部1は、演算処理部11と、定位情報メモリ部12と、反位情報メモリ部13とを有する。演算処理部11は、定位入力信号N1及び反位入力信号R1が供給され、定位入力信号N1に対応する定位制御信号N2及び反位入力信号R1に対応する反位制御信号R2等を生成すると共に、定位情報メモリ部12及び反位情報メモリ部13との間で、情報の書き込み、読出しを行う。演算処理部11は、フェールセイフなCPU(FS−CPU)によって構成することが好ましい。また、定位情報メモリ部12及び反位情報メモリ部13は、不揮発性メモリで構成することができる。
【0040】
定位入力信号N1及び反位入力信号R1は、転てつ制御回路や、運転方向設定回路などに用いられる磁気保持リレーを、本発明に係る電子リレーによって置換する場合を想定すると、コイル電圧として与えられることになる。この場合には、定位入力信号N1は、入力端子T1が(+極)、入力端子T2が(−極)となる関係で与えられる。反位入力信号R1は、これとは逆に、入力端子T2が(+極)、入力端子T1が(−極)となる関係で与えられる。したがって、定位入力信号N1及び反位入力信号R1は、入力端子T1及び入力端子T2で見た電流方向が、互いに逆になる。
【0041】
定位リレー部2は、信号処理部1から論理値1の定位制御信号N2が供給されたとき、論理値1の定位出力信号N3を出力する。定位制御信号N2は、定位入力信号N1が論理値1の場合、論理値1となる。定位制御信号N2は、一旦、論理値1となった後は、それ自体が論理値0になっても、反位入力信号R1が、論理値0から論理値1にならない限り、論理値1を保持する。
【0042】
図では、定位リレー部2は、その動作の理解のために、コイルを用いたリレー21と、その接点211、212とによって表示してある。接点211、212は、定位制御信号N2が論理値1になり、リレー21のコイルが励磁された場合に動作して接点を閉じる接点である。接点211、212は、点線で表示されているように、同時に連携して動作する。接点211は、出力端子T3、T4に接続される。出力端子T3、T4からは、定位出力信号N3が出力される。接点212の接点情報は、信号処理部1の演算処理部11にフィードバックNfされる。
【0043】
反位リレー部3は、信号処理部1の演算処理部11から論理値1の反位制御信号R2が供給されたとき、論理値1の反位出力信号R3を出力する。反位制御信号R2は、反位入力信号R1が論理値1の場合、論理値1となる。反位制御信号R2は、一旦、論理値1となった後は、それ自体が論理値0になっても、定位入力信号N1が論理値0から論理値1にならない限り、論理値1を保持する。
【0044】
反位リレー部3も、コイルを用いたリレー31と、その接点311、312とによって表示してある。接点311、312は、反位制御信号R2が論理値1になり、リレー31のコイルが励磁された場合に動作して閉じる接点である。接点311、312も、点線で表示されているように、同時に連携して動作する。接点311は、出力端子T5、T6に接続され、出力端子T5、T6から反位出力信号R3が出力される。接点312の接点情報は、信号処理部1の演算処理部11にフィードバックRfされる。
【0045】
信号処理部1は、定位入力信号N1又は反位入力信号R1が無信号(論理値0)から有信号(論理値1)になったとき以外は、定位出力信号N3、及び、反位出力信号R3をの現状を維持すべく、定位リレー部2、及び、反位リレー部3を制御する。
【0046】
次に、上述した電子リレーについて、
図2のフローチャート及び表1を参照して、動作を説明する。表1は、正常時及び異常時について、制御開始時、制御完了時及び出力の定位論理N及び反位論理Rを示す。
【0047】
正常時には、状態1及び状態2が含まれる。状態1では、定位論理Nが論理値1になり、反位論理Rが論理値0になる。状態2では、定位論理Nが論理値0になり、反位論理Rが論理値1になる。状態1、2は、磁気保持リレーについて前に述べた(1)〜(4)の論理動作に対応する。
【0048】
異常時には、状態1、2とは異なる全ての状態が含まれる。表1は、その一例として、制御開始時において、定位論理Nが論理値1、反位論理Rが論理値0である場合(状態1)に、制御完了又は出力に誤りを生じたときの状態3、4を示している。
【0050】
<状態1について> まず、定位論理N及び反位論理Rを(N、R)で表わすものとし、定位入力信号N1及び反位入力信号R1について、(N1、R1)=(0、0)の状態から動作を開始したものとする。この状態で、論理値1の定位入力信号N1が供給されると、(N1、R1)=(1、0)となる。定位入力信号N1が論理値1になると、信号処理部1は、それに対応して、論理値1の定位制御信号N2を生成する。定位制御信号N2が生成されると、制御開始情報が、定位情報メモリ部12に書き込まれる。即ち、(N1、R1)=(1、0)で、(N2、R2)=(1、0)となる。
【0051】
定位リレー部2は、信号処理部1から論理値1の定位制御信号N2が供給されたとき、リレー21のコイルが励磁され、接点211が扛上する。接点211が扛上したことの情報は、接点211と連動する接点212の扛上情報として、演算処理部11にフィードバックNfされる。演算処理部11は、フィードバックNfされた接点212の扛上情報と、論理値1の定位入力信号N1によって与えられるべき制御状態が等しいか否かを判定し、その判定が肯定的である場合は、演算処理部11は、制御完了状態を定位情報メモリ部12に書き込む。そして、制御完了により、出力端子T3、T4から、接点211の接点構成に対応する論理値1の定位出力信号N3が出力される。即ち、(N1、R1)=(1、0)で、(N2、R2)=(1、0)、さらに、(N3、R3)=(1、0)となる。
【0052】
従来の典型的な磁気保持リレーの動作を考慮すると、コイル電圧は、論理値1に相当する電圧有りの状態となった後、電圧無しの論理値0の状態になる。即ち、(N1、R1)=(1、0)の状態から、(N1、R1)=(0、0)の状態になる。
【0053】
入力状態が、(N1、R1)=(0、0)の状態になった場合でも、信号処理部1は、定位入力信号N1が無信号(論理値0)から有信号(論理値1)になったとき以外は、定位出力信号N3の現状を維持すべく、定位リレー部2を制御するので、一旦、論理値1の定位出力信号N3を生じた定位リレー部2は、仮に、(N1、R1)=(0、0)の状態になっても、論理値1の定位出力信号N3を出力し続ける。即ち、(N1、R1)=(1、0)の状態から、(N1、R1)=(0、0)の状態になっても、(N3、R3)=(1、0)を維持する。
【0054】
定位入力信号N1が論理値1となっている場合には、上述したように、反位入力信号R1は論理値0になる。この場合は、信号処理部1から出力される反位制御信号R2も論理値0であり、反位リレー部3の接点311は、落下(論理値0)の状態にある。反位リレー部3は、接点311の落下に対応した論理値0の反位出力信号R3を出力する。接点311が落下したことの情報は、接点311と連動する接点312の落下情報として、演算処理部11に供給され、更に、反位情報メモリ部13に記憶される。
【0055】
したがって、書き込み事項は、定位情報Nに関しては、制御開始時及び制御完了時の定位制御信号N2及び定位出力信号N3が論理値1であること、及び、反位情報Rに関しては、制御開始時及び制御完了時の反位制御信号R2及び反位出力信号R3が論理値0であることである。
【0056】
<状態2について> 次に、状態2では、反位入力信号R1が論理値1で、定位入力信号N1が論理値0になることを除けば、状態1と異なる所はない。即ち、定位入力信号N1及び反位入力信号R1について、(N1、R1)=(0、0)の状態から動作を開始したものとし、この状態で、論理値1の反位入力信号R1が供給されると、(N1、R1)=(0、1)となる。反位入力信号R1が論理値1になると、信号処理部1は、それに対応して、論理値1の反位制御信号R2を生成する。反位制御信号R2が生成されると、制御開始情報が、反位情報メモリ部13に書き込まれる。
【0057】
反位リレー部3は、信号処理部1から論理値1の反位制御信号R2が供給されたとき、リレー22のコイルが励磁され、接点311が扛上する。接点311が扛上したことの情報は、接点311と連動する接点312の扛上情報として、演算処理部11にフィードバックNfされる。演算処理部11は、フィードバックNfされた接点312の扛上情報と、論理値1の反位入力信号
R1によって与えられるべき制御状態が等しいか否かを判定し、その判定が肯定的である場合は、演算処理部11は、制御完了状態を反位情報メモリ部13に書き込む。そして、制御完了により、出力端子T5、T6から、接点311の接点構成に対応する論理値1の反位出力信号R3が出力される。
【0058】
上述したように、反位動作においても、コイル電圧は、論理値1に相当する電圧有りの状態となった後、電圧無しの論理値0の状態、即ち、(N1、R1)=(0、1)の状態から、(N1、R1)=(0、0)の状態になる。
【0059】
入力状態が、(N1、R1)=(0、1)の状態から、(N1、R1)=(0、0)の状態になった場合でも、信号処理部1は、反位入力信号R1が無信号(論理値0)から有信号(論理値1)になったとき以外は、反位出力信号R3の現状を維持すべく、反位リレー部3を制御するので、(N1、R1)=(0、0)の状態になっても、一旦、論理値1の反位出力信号R3を生じた反位リレー部3は、論理値1の反位出力信号R3を出力し続ける。即ち、(N1、R1)=(0、0)で、(N3、R3)=(0、1)を維持する。
【0060】
なお、反位入力信号R1が論理値1となっている場合には、定位入力信号N1は論理値0になる。この場合は、信号処理部1から出力される定位制御信号N2も論理値0であり、定位リレー部2の接点211は、論理値0の落下状態にある。定位リレー部2は、接点211の落下に対応した論理値0の定位出力信号N3を出力する。接点211が落下したことの情報は、接点211と連動する接点212の落下情報として、演算処理部11に供給され、更に、定位情報メモリ部12に記憶される。
【0061】
<状態3、4について> 状態3、4は異常状態に該当する。異常状態は、状態1、2で示す以外の状態の全てが該当する。具体的には、定位リレー部2、反位リレー部3又は回路結線の異常などである。表1では、数ある異常形態のうち、状態3は、制御開始時、定位入力信号N1が論理値1、反位入力信号R1が論理値0である場合において、制御完了時、及び、出力信号の誤りを示し、状態4は、制御開始時、反位入力信号R1が論理値1、定位入力信号N1が論理値0である場合において、反位制御完了時、及び、出力信号の誤りを代表的に示してある。他の異常形態については、当業者であれば、容易に類推できる。
【0062】
まず、状態3において、回路に異常が生じたために、制御開始時、定位入力信号N1が論理値1であるにもかかわらず、定位制御信号N2及び定位出力信号N3が論理値0になったとする。定位出力信号N3が論理値0になっていること、及び、反位出力信号R3が論理値0になっていることは、接点211と連動する接点212を用いたフィードバックNf、及び、接点311と連動する接点312を用いたフィードバックRfにより、信号処理部1で知ることができる。
【0063】
したがって、信号処理部1において、論理値1の定位入力信号N1と、論理値0の定位出力信号N3及び反位出力信号R3との論理から、回路の異常を検知することができる。
【0064】
次に、状態4において、回路に異常が生じたために、制御開始時、反位入力信号R1が論理値1(有信号)であるにもかかわらず、制御完了時の反位制御信号R2及び反位出力信号R3が論理値0(無信号)になったとする。反位出力信号R3が論理値0になっていること、及び、定位出力信号N3が論理値0になっていることは、接点311と連動する接点312を用いたフィードバックRf、及び、接点211と連動する接点212を用いたフィードバックNfにより、信号処理部1で知ることができる。
【0065】
したがって、信号処理部1において、論理値1の反位入力信号R1と、論理値0の反位出力信号R3及び定位出力信号N3との論理から、回路の異常を検知することができる。つまり、従来、反位入力信号R1が有信号(論理値1)のとき、無信号(論理値0)となっていた反位出力信号R3を、本発明では有信号(論理値1)として与え、反位出力信号R3が無信号(論理値0)であることを、回路故障に対応させた点に大きな特徴があり、反位入力信号R1の有信号(論理値1)と、回路故障とを明確に区別できるようにした点に大きな特徴があり、これによって、フェールセーフ性が確保される。
【0066】
<停電後の復電について> この種の電子リレーが、転てつ制御回路や、運転方向設定回路などに用いられることからすれば、停電を生じた後、復電した場合でも、停電直前のリレー条件を正確に再現する必要がある。停電後に、停電時のリレー条件を再現する手段として、信号処理部1は、フィードバックNf、Rfされた定位出力信号N3及び反位出力信号R3を記憶し、停電後の復電時に、停電時に記憶していた情報に基づいて、定位リレー部2又は反位リレー部3を制御する構成とする。この構成によれば、復電からリレー制御が完了するまでの間でも、誤った接点出力を生じない電子リレーを提供することができる。
【0067】
停電から復電に至るプロセスについては、下記の2つのタイプがある。(a)制御開始情報及び制御完了情報が、定位情報メモリ部12又は反位情報メモリ部13に書き込まれた後に停電した場合の復電動作。(b)制御開始情報が定位情報メモリ部12又は反位情報メモリ部13に書き込まれたが、制御完了情報が、定位情報メモリ部12又は反位情報メモリ部13に書き込まれる前に停電した場合の復電動作。
【0068】
まず、上記(a)の停電/復電動作について、
図3のフローチャート及び
図4、
図5のタイムチャートを参照して説明する。
図4を参照するに、信号処理部1は、論理値1の定位入力信号N1が供給(
図4(A))されると、論理値1の定位信号N1に対応する論理値1の定位制御信号N2を出力(
図4(B))する。定位リレー部2では、信号処理部1から論理値1の定位制御信号N2が供給されたとき、リレー21のコイルが励磁され接点211が扛上し、制御が完了する。そして、制御完了により、接点211の接点構成に対応する論理値1の定位出力信号N3が出力(
図4(D))される。演算処理部11は、定位制御開始情報Nm1を定位情報メモリ部12に書き込む(
図4(C))。
【0069】
接点211が扛上したことの情報は、接点211と連動する接点212の扛上情報として、演算処理部11にフィードバックNfされる。演算処理部11は、フィードバックNfされた接点212の扛上情報、即ち、定位制御完了情報Nm2を定位情報メモリ部12に書き込む(
図4(E))。以上の動作は、既に説明した状態1の動作と、実質的に同じである。
【0070】
上述した定位制御状態にある場合において、t11時に停電を生じ、その後、ある時間を経過したt12時に停電から復帰(復電)したものとする。このときの動作は、
図3及び
図5を参照して説明される。復電時t12には、信号処理部1により、まず、定位情報メモリ部12から、書き込まれている定位制御開始情報Nm1及び定位制御完了情報Nm2を読出し、定位制御開始情報Nm1と定位制御完了情報Nm2とが、等しいか否かを判定する。
図4に示す例では、停電を生じたt11時には、定位制御開始情報Nm1及び定位制御完了情報Nm2は論理値1であり、これが定位情報メモリ部12に書き込まれていたので、復電時t12に定位情報メモリ部12から読み出された定位制御開始情報Nm1及び定位制御完了情報Nm2は、共に論理値1(
図5(C)、(E))であり、互いに一致する。
【0071】
定位制御開始情報Nm1及び定位制御完了情報Nm2が互いに一致する場合には、信号処理部1は、論理値1の定位制御信号N2を出力(
図5(B))を生じる。定位リレー部2には、信号処理部1から論理値1の定位制御信号N2が供給され、リレー21のコイルが励磁され、接点211が扛上し、制御が完了する。そして、制御完了により、接点211の接点構成に対応する論理値1の定位出力信号N3が出力(
図5(D))される。この後は、(1)〜(4)の論理動作に移行する。
【0072】
以上の動作により、停電を生じた後、復電した場合でも、停電直前のリレー条件を正確に再現することができる。この動作は、転てつ制御回路や、運転方向設定回路などに用いる電子リレーとしては、極めて有用なものである。
【0073】
復電時t12に定位情報メモリ部12から読み出された定位制御開始情報Nm1及び定位制御完了情報Nm2が互いに一致しない場合は、定位情報メモリ部12に回路故障又は破損などの問題を生じている可能性がある。
【0074】
反位制御動作の場合は、フィードバックNfされた定位出力信号N3及びフィードバックRfされた反位出力信号R3を、制御開始時と制御完了時とに分けて、定位情報メモリ部12及び反位情報メモリ部13に記憶し、停電後の復電時に、定位情報メモリ部12及び反位情報メモリ部13から読み出された制御開始時と制御完了時の記憶情報に基づいて、定位リレー部2又は反位リレー部3を制御する。この構成によれば、書き込み途中に停電を生じた場合も、停電直前のリレー条件を正確に再現することができる。
【0075】
次に、上記(b)の停電/復電動作について、
図6及び
図7を参照して説明する。まず、
図6を参照するに、信号処理部1は、論理値1の定位入力信号N1が供給(
図6(A))されると、論理値1の定位信号N1に対応する論理値1の定位制御信号N2を生成(
図6(B))する。論理値1の定位制御信号N2が生成されたとき、信号処理部1から、定位情報メモリ部12に、論理値1の定位制御開始情報Nm1が書き込まれる(
図6(C))。
【0076】
通常であれば、この後、信号処理部1から、定位リレー部2に対して、論理値1の定位制御信号N2が供給され、接点リレー21のコイルが励磁され、接点211が扛上し、フィードバックNfされた接点212の扛上情報、即ち、定位制御完了情報Nm2を定位情報メモリ部12に書き込むことになるところ、定位制御完了情報Nm2を定位情報メモリ部12に書き込む前のt21時に、停電を生じたものとする。
【0077】
この場合は、リレー21は、その接点211が扛上する前に無励磁となるので、接点211の出力である定位出力信号N3は論理値0(
図6(D))であり、定位制御完了情報Nm2も論理値0(
図6(E))となる。
【0078】
t21時に停電を生じた後、ある時間を経過したt22時に停電から復帰(復電)したものとする。このときの動作は、
図3及び
図7を参照して説明される。復電時t22には、信号処理部1により、まず、定位情報メモリ部12から、書き込まれている定位制御開始情報Nm1及び定位制御完了情報Nm2を読出し、定位制御開始情報Nm1と定位制御完了情報Nm2とが、等しいか否かを判定する。
図6に示す例では、停電を生じたt21時には、定位制御開始情報Nm1は論理値1、定位制御完了情報Nm2は論理値0であり、これが定位情報メモリ部12に書き込まれていたので、復電時t22に定位情報メモリ部12から読み出された定位制御開始情報Nm1は論理値1、定位制御完了情報Nm2は論理値0であり、一致しない。
【0079】
復電時t22に定位情報メモリ部12から読み出された定位制御開始情報Nm1及び定位制御完了情報Nm2が互いに一致しない場合は、(1)〜(4)の論理動作に移行する(
図3)。例えば、状態1の場合を想定した場合は、信号処理部1は、論理値1の定位入力信号N1が供給(
図7(A))されると、論理値1の定位入力信号N1に対応する論理値1の定位制御信号N2を生成(
図7(B))する。演算処理部11は、論理値1の定位制御信号N2が生じたとき、定位制御開始情報Nm1を定位情報メモリ部12に書き込む(
図4(C))。
【0080】
論理値1の定位制御信号N2は、定位リレー部2に供給され、リレー21の接点211が扛上する。接点211が扛上したことの情報は、接点211と連動する接点212の扛上情報として、演算処理部11にフィードバックNfされる。演算処理部11は、フィードバックNfされた接点212の扛上情報、即ち、定位
制御完了情報Nm2を定位情報メモリ部12に書き込む(
図4(E))。
【0081】
<他の実施例> 以上の説明では、定位リレー部2及び反位リレー部3は、共に、励磁コイルを有するリレー21、31によって構成してある。これは、単に、理解を容易化するための表示である。定位リレー部2及び反位リレー部3は、半導体素子を含む回路方式であってもよい。その一例を、
図8に示す。
図8において、
図1に現れた構成部分と対応する部分については、同一の参照符号を付してある。図示された電子リレーにおいて、定位リレー部2は、励磁コイルを有するリレー21、その動作接点211、インターフェース部22、フォトカプラ23、24などを有している。
【0082】
インターフェース部22は、入力側が、データバスを経由して、信号処理部1と接続されており、その出力側には、フォトカプラ23、24が接続されている。フォトカプラ23は定位制御信号N2を伝送するものであり、フォトカプラ24は、フィードバック信号Nfを伝送するためのものである。フォトカプラ23を構成するフォトダイオードに論理値1(有信号)の定位制御信号N2が供給されると、フォトカプラ23を構成するフォトトランジスタが導通し、リレー21のコイルが励磁され、その動作接点211が扛上する。リレー21のコイルが励磁されると、コイル電圧がフォトカプラ24に供給され、そのフォトダイオードが発光し、フォトトランジスタが導通する。これにより、リレー21が励磁されたこと、及び、その動作接点211が扛上したことが、インターフェース部22にフィードバックNfされる。この情報は、データバスによって、信号処理部1に供給される。
【0083】
反位リレー部3も、定位側と同様であって、励磁コイルを有するリレー31、その動作接点311、インターフェース部32、フォトカプラ33、34などを有している。
【0084】
インターフェース部32は、入力側が、データバスを経由して、信号処理部1と接続されており、その出力側には、フォトカプラ33、34が接続されている。フォトカプラ33は反位制御信号R2を伝送するものであり、フォトカプラ34は、フィードバック信号Rfを伝送するためのものである。フォトカプラ33を構成するフォトダイオードに論理値1(有信号)の反位制御信号R2が供給されると、フォトカプラ33を構成するフォトトランジスタが導通し、リレー31のコイルが励磁され、その動作接点311が扛上する。
【0085】
リレー31のコイルが励磁されると、コイル電圧がフォトカプラ34に供給され、そのフォトダイオードが発光し、フォトトランジスタが導通する。これにより、リレー31が励磁されたこと、及び、その動作接点311が扛上したことが、インターフェース部22にフィードバックRfされる。この情報は、データバスによって、信号処理部1に供給される。
【0086】
信号処理部1における信号処理は、基本的には、
図1〜
図7を参照して説明したものと、異なるところはない。ただ、
図8に示した電子リレーの信号処理部1は、その具体的な構成として、A系統及びB系統の2つの系統に対応した処理部11A及び11Bを備えるとともに、照合部113及びチェックリレー114を有している点で異なる。
【0087】
A系統の処理部11Aは、その内部構成として、定位制御部11ANと、反位制御部11ARを有している。定位制御部11ANは、インターフェース部4から供給された定位入力信号N1に基づいて、定位制御信号N2Aを生成し、反位制御部11ARは、インターフェース部4から供給された反位入力信号R1に基づいて、反位制御信号R2Aを生成する。
【0088】
B系統の処理部11Bも、その内部構成として、定位制御部11BNと、反位制御部11BRを有している。定位制御部11BNは、インターフェース部4から供給された定位入力信号N1に基づいて、定位制御信号N2Bを生成し、反位制御部11BRは、インターフェース部4から供給された反位入力信号R1に基づいて、反位制御信号R2Bを生成する。
【0089】
照合部113は、定位制御信号(N2A、N2B)及び反位制御信号(R2A,R2B)を照合し、4つの制御信号(N2A、N2B、R2A,R2B)の間に、論理値(1、1、0、0)又は(0、0、1、1)の論理的関係が成立する場合に、チェックリレー114を動作させる。チェックリレー114が動作すると、その動作接点115が扛上し、定位リレー部2及び反位リレー部3に電源電圧VBが供給され、所定のリレー動作が実行される。
【0090】
図8に示した実施例では、A系統の処理部11Aは、自系統Aのインターフェース部22のみならず、B系統のインターフェース32とも接続されており、B系統の情報も参照するようになっている。処理部11Bも同様であって、自系統Bのインターフェース部32のみならず、A系統のインターフェース22とも接続されており、A系統の情報も参照するようになっている。
【0091】
また、処理部11Aは、定位情報を、定位情報メモリ部12に書き込むと共に、反位情報を、反位情報メモリ部13に書き込む。処理部11Bも同様であって、反位情報を、反位情報メモリ部13に書き込むと共に、定位情報を、定位情報メモリ部12に書き込む。
【0092】
以上、実施の形態を参照して説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々の変形、変更が可能であることは言うまでもない。