【課題を解決するための手段】
【0006】
その目的のために、本発明は、
射出形成され、繊維質がその中に均一に分散することで強化される生体内骨肉インプラントであり、以下の物質から構成される生体内インプラントに適合する部材を開示するものである:
−
ポリエーテルエーテルケトンから成る熱可塑性有機バインダー(熱可塑性ポリマー);および
−
ポリ(アミド−イミド)から成る繊維質を含むファイバーチャージ(帯電繊維)
;および
−カルシウムとリン酸塩とから形成される電荷成分
ここでは、
ファイバーチャージ(帯電繊維)(330、220)の表面層は、活性された表面層を含むとともに厚みが2000ナノメートルに等しいか、または、それ以上であり、活性された表面層の繊維質は、該部材の
全体または一部にわたり
基質内のバインダー(210)から剥離露出している。
【0007】
繊維質とは、厚さ比10以上の長さのマイクロファイバー、ナノファイバー、または、ナノチューブを意味する。マイクロファイバーは、マイクロメーターまたはミクロンの厚さの繊維質であり、すなわち、実質的な厚さは10
-6メーターから10
-5メーターの範囲からなる。ナノファイバーとナノチューブは、ナノメーターの厚さの繊維質であり、すなわち、実質的な厚さは10
-9メーターから10
-8メーターの範囲からなる。
【0008】
剥離した表面の
繊維質は、
繊維質の層の中で、導管(通路)として作用し、毛細管現象によって有機液体を運ぶ隙間の形成を可能にすることにより、
表面からの細胞定着を促進させている。繊維質自体の性質もまた、吸収作用により有機液体の輸送に有利に働き、効果を促進させることを可能にしている。
【0009】
本発明は、以下に説明する効果的な実施例によって実施する事が可能であり、個々的に、又は、技術的に作動可能なものの組み合わせによることも考えられる。
【0010】
効果的(好都合)に、熱可塑性バインダーはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)からなり、生物学的適合性が特性として知られている。
【0011】
さらに効果的には、
ファイバーチャージ(帯電繊維)は、芳香族ポリアミドのポリマーで作られた繊維質からなり、高い機械的特性と優れた生物学的適合特性とが融合されているものである。
【0012】
より詳細には、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)の射出成形温度に近いガラス質遷移温度を備えたポリ(アミド−イミド)ファイバーは、入射注入中の変形が容易であることにより、それが比較的長い場合であっても、インプラントにおける繊維質の均質分布が可能となる。
【0013】
表面の剥離による
繊維質の導管(通路)効果は、少なくとも2μmの厚さの層にすることにより得ることが出来るので、換言すれば、プラスチック射出
成形から得られるインプラントで剥離効果のない表面の微小孔から成るものより著しく
良いものが得られる。
【0014】
効果的(好都合)に、インプラントを形成する物質(material)は、繊維質に加え、カルシウムとリン酸塩から
なる電荷成分
を含む。これらの吸収性のある化合物がオッセオインテグレーションと治癒に有利に働くことになる。
【0015】
効果的(好都合)に、カルシウム系
化合物の電荷
成分は、六角形のβ構造からなるリン酸三カルシウムCa
3(PO
4)
2から構成されている。これらのリン酸三カルシウムの化合物は、射出
成形の工程中に吸収性のある不定比カルシウム・アパタイト結晶に変形する。
【0016】
効果的(好都合)に、インプラント可能な部材を形成する物質(material)は、ゼオライト電荷も含むことが可能である。ゼオライトは、インプラント環境および、その環境におけるイオン結合において静電気接続を促進する。そのような電荷は、さらに、物質(material)を放射線不透過性にすることを促進する。
【0017】
効果的(好都合)に、
ファイバーチャージ(帯電繊維)は、ケイ酸カルシウム(Ca
2SiO
4)から成る。これらの繊維質が部材の表面に存在することにより、インプラント環境における間質液の吸収が促進され、その結果、その部材の表面が細胞定着する。
【0018】
本発明は、このようなインプラントを製造する方法にも関するものであり、その方法は以下の工程からなる:
a)押出成形と造粒形成(granulation)による、
ポリエーテルエーテルケトンポリマーと
、ポリ(アミド−イミド)ファイバーチャージ(帯電繊維)
と、カルシウムとリン酸塩とから形成される電荷成分と、が混合された粒状体を形成する工程;
b)前記工程(ステップ)(a)で得られた粒状体を、
噴射(注入)温度(injection temperature)がガラス質繊維温度と同等かまたはそれ以上の温度で、適切な形状からなるキャビティを有する金型へ注入することによる部材の成形;
c)前記工程(ステップ)(b)で得られたブランク(形成された未処理のインプラント合成部材)を、
該部材表面の繊維質を剥離するために超音波酸洗槽へ適切な時間だけ浸漬(submitting)する。
【0019】
プラスチック射出成形法は、成形作業の最終工程で仕上がりの寸法となったこの種のインプラントを、多量にコスト効率良く生産することを可能にする。また更に、金型内に入り込む物質(material)の流れによって繊維質を方向付ける(direct)ことが可能であるため、これにより、インプラントの形状が複雑な場合であっても、最適な補強効果を得る事ができる。
【0020】
槽内の化学的効果と超音波の機械的効果とを組み合わせた物理・化学的処理により、射出成形法に関連するいかなる汚染も除去し、望ましい伝導効果を得ることが出来る繊維質の剥離を表面に作るために、インプラントの表面の酸
洗い/洗浄を同時にすることを可能にしている。
【0021】
繊維質に加えて、カルシウムとリン酸塩の化合物で構成された部材(a part)を得るために、本発明は更に、粒状体または化合物を製造する方法に関連する、以下の工程から成るものである:
− ポリマー・バインダーをパウダー状の化合物と混合し、押出
成形および造粒
形成(granulation)により、第一粒状体または第一化合物を作成する;そして
− 射出
成形工程で使用できる粒状体が形成されるように、第二の押出成形と造粒
形成(granulation)工程の間に、当該第一粒状体を
繊維質と混合する。
− 効果的(好都合)に、第一粒状体が成形されている間にゼオライトチャージを導入することもまた可能である。
【0022】
ファイバーチャージ(帯電繊維)は、5%〜15%の混合物の質量率の範囲が効果的(好都合)である。その比率により、最終部材は大幅に補強(強化)される結果となり、同時に注入法を使用して製造することが可能となり、また、バインダーがカルシウムおよび/またはゼオライトを含む化合物により
帯電しているか否かにかかわらず、射出
成形と造粒
形成(granulation)または合成(compounding)によっても、繊維質とポリマーバインダーを混合することが可能となる。
【0023】
本発明は、プラスチック射出
成形により繊維強化インプラントを製造するための
造粒形成(granulate)または化合物(compound)に関するものであり、
造粒形成(granulate)の組成は以下のとおりである:
− ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)ポリマー・バインダー、
− カルシウムとゼオライトを
の電荷を含む化合物
が質量率10%〜20%、
− 5%〜15%のファイバーチャージ(
帯電繊維)。
このタイプの粒状体は、本発明に係るプラスチック射出成形による製造の工程(ステップ)(b)において、直接使用することが可能である
【0024】
本発明にかかる
造粒形成(granulate)の第一の実施例では、
ファイバーチャージ(帯電繊維)はポリ(アミド−イミド)から構成された繊維質からなり、ガラス体遷移温度はPEEKの注入温度と同等か、またはそれ以下である。
【0025】
本発明にかかる
造粒形成(granulate)の第二の実施例では、
ファイバーチャージ(帯電繊維)はケイ酸カルシウム(Ca
2SiO
4)の繊維からなる。
【0026】
続いて酸洗いされ、効果的(好都合)に、受容環境においてオッセオインテグレーションを促進させる表面をその上に形成する。
【0027】
効果的(好都合)に、槽に続く酸洗いは、以下に詳述する工程(順序)によって実施される。
− 超音波にさらして鉄を含んでいる粒子を除外減少させるために溶液槽に浸漬する。
− 超音波にさら
されるバインダー
を溶剤に浸漬させるが、繊維質に関しては不活性である。
【0028】
第一の槽は、射出成形機や射出成形金型から、金属粒子の付着した表面の汚染を除去することを可能にする。単にバインダーを溶解することにより、第二の槽は、超音波の複合作用により、表面における
繊維質と母材(基質matrix)に分離
(電荷の)または剥離を創出することを可能にする。酸は、表面にあるカルシウムまたはゼオライトを含む化合物の繊維質および/または電荷を減少させる効果もあるので、槽の順番は重要となる。第一の酸による攻撃反応により、それに続く溶剤の反応で、これらの化合物が再び表面に出現する。
【0029】
効果的(好都合)な実施例によれば、更に具体的に実施例で好ましくは、インプラントを構成する物質は、繊維質と、PEEK母材(基質matrix)のカルシウムを含む化合物とゼオライトの電荷とからなり、酸洗い工程は、以下に示す槽における浸漬により構成される。
− 塩酸
浸漬工程− アセトン
浸漬工程− 過酸化水素
浸漬工程【0030】
水の槽ですすぎ洗い
して分けられ、そのすすぎ槽もまた超音波にさらされる。最後の過酸化水素槽は、特に、本発明によるインプラント可能部がケイ酸カルシウムファイバー(繊維)を含んでいる場合、その部材の表面に出現する繊維質の表面にシリカ(ケイ酸SiO2)層を形成することを可能にする。湿気を吸収することにより、該シリカ層がインプラント表面の有機溶剤の誘導を促進させる。