【実施例】
【0013】
上記自動車用収納構造にかかる実施例について、
図1〜
図7を参照して説明する。
図1に示すごとく、自動車用収納構造1は、自動車用内装部材2の室内側表面に形成された開口穴27に対して、下端部に設けられた支軸36(
図2)によって回動する収納蓋3が開閉可能に配設されたものである。
収納蓋3は、開口穴27を閉じる蓋本体部31と、蓋本体部31の下端部から裏面側へ延設されて収納物6を受ける受け部32とを有している。自動車用内装部材2には、開口穴27における上側部分の奥側の位置において、上方に向かうにつれて手前側に傾斜する収納壁23が形成されている。
収納壁23における上側位置の左右両側であって、収納壁23と直交する方向において一対の側壁部33の上端縁を収納壁23に向かって投影した投影線332よりも左右方向における内側の位置には孔部24が形成されている。収納蓋23を閉じる際に、受け部32に縦向きに置かれた収納物6の上端部の一部が孔部24の周辺部と当接する。
【0014】
以下、さらに詳細に説明する。
図7に示すごとく、本例の自動車用収納構造1は、自動車の室内の前方側に設けられたインストルメントパネル51において、運転席53の前方に配されたステアリング52の右側下方に設けられている。
図1及び
図2に示すごとく、自動車用収納構造1における収納蓋3は、自動車用内装部材2の開口穴27を閉じる蓋本体部31と、蓋本体部31の下端部から裏面側へ延設されて収納物6を受ける受け部32と、蓋本体部31及び受け部32の左右方向に配された端部同士をそれぞれつなぐ一対の側壁部33とを有している。収納蓋3における、受け部32及び側壁部33は、自動車用内装部材2における開口穴27の奥側に配置されている。
【0015】
また、
図2及び
図3に示すごとく、収納蓋3は、支軸36を中心として回動することによって開口穴27を開閉可能に構成されている。支軸36は、側壁部33における蓋本体部31と受け部32とが接続された角部35の内側の部位に形成され、自動車用内装部材2に対して、収納蓋3を回動可能に支持している。
蓋本体部31は、開口穴27の内側に嵌め込まれることにより開口穴27を閉じるよう構成されている。また、収納蓋3の上端には、手前側の下方に折り返された取手部311が形成されている。
【0016】
受け部32は、蓋本体部31の下端部から裏面側へ延設される受け本体321と、受け本体321における奥側の端部から上方に折れ曲がって延設された補助壁322とを有している。
図4に示すごとく、一対の側壁部33は、受け部32と反対側に配された上端縁331から受け部32に向かうにつれて、側壁部33同士の間隔が狭くなるように傾斜して形成されている。これにより、縦向きに置かれた収納物6が、近接する側壁部33側に傾いた際に、側壁部33の傾斜に沿って収納物6を滑らせて、収納物6を横向きに倒すことができる。これにより、収納物6をより容易に横向きに倒すことができる。
【0017】
図1に示すごとく、自動車用内装部材2は、インストルメントパネル51の一部を構成するものであり、インストルメントパネルにおける運転席側の位置に設けられている。自動車用内装部材2は、自動車用収納構造1を構成する開口部27と、機能部品4を配置する配置部28とを形成している。自動車用内装部材2は、開口部27及び部品配置部28の周囲を囲うように配された枠体21と、枠体21の内側に配され、上方に向かうにつれて手前側に傾斜し、蓋本体部31との間隔が狭くなる収納壁23とを有している。
枠体21には、自動車用内装部材2をインストルメントパネル51へと固定するための固定部213が形成されている。尚、自動車用内装部材2は、インストルメントパネル51と一体的に形成されていてもよい。
【0018】
図1〜
図3に示すごとく、収納蓋3を配設した部位の上側であって、収納壁23の奥側(上側)の部品配置部28には、機能部品4が配されている。本例の機能部品4は、ETC車載機である。そして、機能部品4との干渉を避けるために収納壁23は、収納蓋3の蓋本体部31と対向する下端部29の上端部から手前側に傾斜する状態で折れ曲がって形成されている。また、収納壁23は、機能部品4に対して平行な状態で形成されている。
【0019】
収納壁23の手前側(下側)には、枠体21と収納壁23とによって囲まれた開口穴27が形成されている。開口穴27の奥側(前方側)は、車両の前方側に向かって窪んでおり、収納蓋3の蓋本体部31によって開口穴27を閉じた際には、収納蓋3の受け部32及び側壁部33が開口穴27の奥側に配される。
【0020】
図1〜
図3に示すごとく、収納壁23は、左右両側に配された一対の孔部24と、1つの侵入防止孔26とを有している。
侵入防止孔26は、収納壁23における一対の孔部24よりも下側の位置で、左右方向の中央位置において、下側に向かって上下に長い形状に形成されている。収納蓋3の受け部32における補助壁部322の先端部からは、侵入防止爪34が延設されており、収納蓋3を開いた際に、侵入防止爪34が侵入防止孔26に挿入される。これにより、収納壁23と収納蓋3との隙間にカード等が入り込むことを防止することができる。
【0021】
図5に示すごとく、一対の孔部24は、収納壁23における上側位置の左右両側の位置であって、一対の投影線332の内側の位置に形成されている。一対の投影線332は、一対の側壁部33の上端縁331を、収納壁23と直交する方向において、収納壁23に投影したものである。本例の各孔部24の下端部241における左右方向の外側の位置には、中心側に向かうにつれて下降傾斜した傾斜部242が形成されている。
【0022】
次に本例の作用効果について説明する。
自動車用収納構造1は、機能部品4が収納壁23の奥側に配されており収納壁23と蓋本体部31との間隔が、上方に向かうにつれて狭くなるといった特殊な構造を採用せざるを得ない。自動車用収納構造1は、このような場合に、細長い形状を有するライターやリモコン等の収納物6が収納されるときの課題を解決するものである。具体的には、上記特殊な構造において、収納壁23における上側位置の左右両側の位置であって、投影線332よりも内側の位置に孔部24を形成している。そして、この孔部24により、次の優れた作用効果を得ることができる。
【0023】
図3に示すごとく、収納蓋3を開き、開口穴27が開放された状態で、収納蓋3の受け部32上に載置した細長い形状の収納物6は、この受け部32の左右方向の端部位置において、縦向きに置かれた状態となる場合がある。この状態で、開口穴27を収納蓋3によって閉じるように、支軸36を回転中心として収納蓋3を回動させると、蓋本体部31と収納壁23との間において、収納物6の上端部の一部が蓋本体部31と収納壁23とに挟まれようとする。このとき、自動車用収納構造1においては、
図2及び
図6に示すごとく、収納物6の上端部が孔部24の周辺部に当接することになる。これにより、収納蓋3を閉じようとする力を、収納物6を左右方向の中心側へ横向きに倒そうとする力に変換することができる。そのため、収納蓋3により開口穴27を閉じる動作によって収納物6を横向きに倒すことができ、収納物6が収納蓋3と収納壁23との間で挟まれることを防止することができる。
【0024】
尚、収納物6は、孔部24の周辺部に当接して、上端部から左右方向の中心側に倒れることもあれば、孔部24の周辺部に当接して、下端部が左右方向の中心側に滑って、この中心側に倒れることもあると考えられる。
【0025】
以上のごとく、本例の自動車用収納構造1によれば、自動車用内装部材2の収納壁23と収納蓋3との間隔が上方に向かうにつれて狭くなるといった場合において、細長い形状の収納物6を収納するときにも、この収納物6が自動車用内装部材2の収納壁23と収納蓋3との間に挟まれてしまうことを防止することができる。
【0026】
上記実施例においては、収納壁23には、孔部24を貫通形成した。これ以外にも、
図8に示すごとく、収納壁23には、孔部24の代わりに収納壁23の一部を奥側に窪ませた凹部25を形成することもできる。
また、孔部24の下端部における左右方向の外側の一部に傾斜部242を形成した。これ以外にも、例えば、
図9に示すごとく、下端部241の全体を傾斜部242としてもよい。また、傾斜部242における傾斜角度は適宜設定することができる。