特許第6056075号(P6056075)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三星電子株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6056075-現像装置 図000002
  • 特許6056075-現像装置 図000003
  • 特許6056075-現像装置 図000004
  • 特許6056075-現像装置 図000005
  • 特許6056075-現像装置 図000006
  • 特許6056075-現像装置 図000007
  • 特許6056075-現像装置 図000008
  • 特許6056075-現像装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6056075
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】現像装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20161226BHJP
【FI】
   G03G15/08 235
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-269319(P2012-269319)
(22)【出願日】2012年12月10日
(65)【公開番号】特開2014-115462(P2014-115462A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2015年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】村松 智
(72)【発明者】
【氏名】大野 学
【審査官】 飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−097046(JP,A)
【文献】 特開平08−146754(JP,A)
【文献】 特開2010−224183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
F16C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に凹凸部を有し、前記凹凸部にトナーを充填する現像ローラと、
前記現像ローラにトナーを供給するトナー供給部と、
前記現像ローラの表面に当接することによって前記現像ローラに充填されるトナーの量を規制する規制部と、を備え、
前記現像ローラの表面の凹部は、前記現像ローラの回転方向に対して傾斜した方向に延在する第1凹部と、前記回転方向又は前記第1凹部が延在する方向とは異なる方向に延在する第2凹部と、前記第1凹部及び前記第2凹部に連続しており前記回転方向に延在する第3凹部と、を含んでおり、
前記第1凹部の前記現像ローラの回転軸方向の幅をa、前記第2凹部の前記回転軸方向の幅をb、前記第3凹部の前記回転軸方向の幅をc、とすると、
0.7≦c/(a+b)≦1.4
を満たす現像装置。
【請求項2】
前記第1凹部の前記現像ローラの回転軸方向の幅をa、前記第2凹部の前記回転軸方向の幅をb、前記第3凹部の前記回転軸方向の幅をc、とすると、
0.9≦c/(a+b)≦1.2
を満たす請求項に記載の現像装置。
【請求項3】
前記現像ローラを前記現像ローラの回転軸方向で切断した場合における前記第1凹部の幅と前記第2凹部の幅との和は、前記回転軸方向で切断した場合における前記第3凹部の幅と略一致する請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記現像ローラの表面における凹部の深さをh、トナーの平均粒径をd、とすると、
d<h<3d
を満たす請求項1〜のいずれか一項に記載の現像装置。
【請求項5】
前記現像ローラからトナーの供給を受ける感光体ドラムを備え、
前記現像ローラの回転速度は、前記感光体ドラムの回転速度の1.0倍以上3.0倍以下である請求項1〜のいずれか一項に記載の現像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面にトナーを保持する凹凸部が形成された現像ローラを備える現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トナーによって現像を行う技術として、例えば特許文献1に記載されているものが知られている。特許文献1に記載された現像装置は、円筒状又は円柱状を成し、その外周面にトナーを担持するための凹凸部を有する現像ローラを備えている。この現像ローラには、現像ローラの回転方向に対して45度傾斜する方向に延在する複数の凹部と、回転方向に対して上記の凹部の逆方向に45度傾斜する方向に延在する複数の凹部と、が形成されている。これらの凹部が互いに交差して多数形成されることにより、図8に示されるような菱形状の凸部が多数形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4618303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述したような現像ローラ表面の凹凸部は、回転位置によって凹部の断面積が変動する構成となっている。具体的には、図8に示されるように、A−A断面の凹部の幅とB−B断面の凹部の幅とが異なっている。このように凹部の幅にばらつきが生じると、現像ローラの回転位置によってトナーの充填量にばらつきが生じる。トナーの充填量にばらつきが生じると、濃淡がばらついた画像が生成されることとなり、このことが画像を劣化させる一因となる。
【0005】
また、前述したような現像ローラにおいては、回転方向に対して45度傾斜する方向に延在する凹部と逆方向に45度傾斜する方向に延在する凹部との交差点にトナーが停滞するという問題がある。具体的には、図8に示されるように、凸部の頂点Xにトナーが停滞しやすくなっており、このようにトナーが停滞すると、頂点Xを起点に停滞したトナーの領域が広がることになり、帯電不良を生じさせる虞がある。また、トナーの停滞により、現像ローラの表面が汚れたり、あるいはトナーが飛散したりする問題も発生する。
【0006】
また、トナーが現像ローラの表面に停滞するとトナーの固着を引き起こし、トナーの搬送不良が生じることとなる。これによって、画像にスジが入ったり濃淡変動が生じたりする問題も発生する。更に、ローラの表面にトナーが停滞していると、現像後の残トナーがトナー回収手段によって回収されにくくなり、新しいトナーが供給されたときに帯電不良を発生する、という問題も生じさせる。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、現像ローラ表面へのトナーの停滞を防止すると共に画像の質を向上させた現像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の現像装置は、表面に凹凸部を有し、凹凸部にトナーを充填する現像ローラと、現像ローラにトナーを供給するトナー供給部と、現像ローラの表面に当接することによって現像ローラに充填されるトナーの量を規制する規制部と、を備えている。現像ローラの表面の凹部は、現像ローラの回転方向に対して傾斜した方向に延在する第1凹部と、回転方向又は第1凹部が延在する方向とは異なる方向に延在する第2凹部と、第1凹部及び第2凹部に連続しており回転方向に延在する第3凹部と、を含んでおり、第1凹部の現像ローラの回転軸方向の幅をa、第2凹部の回転軸方向の幅をb、第3凹部の回転軸方向の幅をc、とすると、0.7≦c/(a+b)≦1.4を満たす
【0009】
この現像装置では、現像ローラ表面の凹部として、傾斜する第1凹部及び第2凹部に連続して回転方向に延在する第3凹部が設けられている。このように、回転方向に延在する第3凹部を有することにより、回転位置による凹部の幅の変動が小さくなるので、トナーの充填量のばらつきと画像の濃淡のばらつきとを防止することができる。また、回転方向に延びる第3凹部を有することによってトナーが回転方向に移動しやすくなるので、トナーの停滞が抑えられる。従って、トナーの停滞に伴う問題が発生しないので画像の質を向上させることができる。
【0010】
また、第1凹部の現像ローラの回転軸方向の幅をa、第2凹部の回転軸方向の幅をb、第3凹部の回転軸方向の幅をc、とすると、0.7≦c/(a+b)≦1.4を満たしており、傾斜する第1凹部及び第2凹部の幅の和と回転方向に延在する第3凹部の幅とが近くなるので、回転位置による凹部へのトナー充填量を均一にすることができる。また、上記a,b,cの値が0.9≦c/(a+b)≦1.2を満たす場合、第1凹部及び第2凹部の幅の和と第3凹部の幅とがより近くなるため、トナー充填量をより均一にすることができるので画像の質をより向上させることができる。
【0011】
また、現像ローラを現像ローラの回転軸方向で切断した場合における第1凹部の幅と第2凹部の幅との和は、回転軸方向で切断した場合における第3凹部の幅と略一致してもよい。この場合、現像ローラの回転位置が変化しても凹部に充填されているトナーの量に変動がないため、濃淡のばらつきの発生をより確実に防止することができ、画像の質をより一層向上させることができる。
【0012】
また、現像ローラの表面における凹部の深さをh、トナーの平均粒径をd、とすると、d<h<3dを満たしていてもよい。この場合、凹部に充填されるトナーの個数が3個未満となり、凹部を深くしすぎないことでトナーの固着が発生しにくくなるので、フィルミングの発生を防止できると共に現像装置の寿命を延ばすことができる。
【0013】
また、現像ローラからトナーの供給を受ける感光体ドラムを備え、現像ローラの回転速度は、感光体ドラムの回転速度の1.0倍以上3.0倍以下であってもよい。この場合もトナーの固着が発生しにくくなるので、フィルミングの発生を防止し現像装置の寿命を延ばすことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、現像ローラ表面へのトナーの停滞を防止すると共に画像の質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る現像装置の概略構成図である。
図2図1の現像装置の現像ローラを示す側面図である。
図3図2の現像ローラの表面を一部拡大して示した図である。
図4】現像ローラ上のトナーの量と印刷枚数との関係を示すグラフである。
図5】第1〜第3凹部の幅とトナー固着発生時間との関係を示すグラフである。
図6】凹部の深さとトナーのかぶりの濃度との関係を示すグラフである。
図7】第1〜第3凹部の幅とトナー固着発生時間との関係を示すグラフである。
図8】従来の現像ローラの表面を拡大して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
本実施形態に係る現像装置20は、レーザビームプリンタなどの画像形成装置に搭載される装置である。現像装置20を備えた画像形成装置は、現像装置20による現像により、マゼンダ、イエロー、シアン、ブラックの各色を用いてカラー画像を形成する。画像形成装置は、トナー像を形成する現像ローラ21を備えた現像装置20のほかに、用紙を搬送する記録媒体搬送ユニットと、トナー像を用紙に二次転写する転写ユニットと、周面に画像が形成される静電潜像担持体である感光体ドラム40と、トナー像を用紙に付着させる定着ユニットとを備えている。
【0018】
このような画像形成装置に被記録画像の画像信号が入力されると、画像形成装置の制御部は、受信した画像信号に基づいて、帯電ローラにより感光体ドラム40の表面を所定の電位に均一に帯電させる。その後、露光ユニットにより感光体ドラム40の表面にレーザ光を照射して静電潜像を形成する。
【0019】
一方、現像装置20では、現像室内にあるトナーをトナー供給ローラ23により現像ローラ21に担持させる。そして、現像ローラ21の回転によりトナーが感光体ドラム40と対向する領域まで搬送されると、現像ローラ21に担持されたトナーが感光体ドラム40の周面上に形成された静電潜像に移動し、静電潜像が現像される。こうして形成されたトナー像は、感光体ドラム40と転写ベルトとが対向する領域において、感光体ドラム40から転写ベルトへ一次転写される。転写ベルトには、4個の感光体ドラム40上に形成されたトナー像が順次積層されて、1つの積層トナー像が形成される。そして、積層トナー像は、記録媒体搬送ユニットによって搬送された用紙に二次転写される。その後、積層トナー像が二次転写された用紙は、定着ユニットへ搬送されて溶融定着され、画像形成装置の外部へ排出される。
【0020】
ここで、図1に示されるように、現像装置20は、前述した現像ローラ21のほかに、トナー供給ローラ(トナー供給部)23と、ブレード(規制部)24と、アジテータ25と、を備えている。
【0021】
トナー供給ローラ23は、現像ローラ21にトナーを供給するために設けられたものであり、トナー供給ローラ23の一部が現像ローラ21に接触している。トナー供給ローラ23の表面には、アジテータ25から供給されたトナーが付着しており、トナー供給ローラ23の表面が現像ローラ21の表面S(図2,3参照)に当接することによって、トナー供給ローラ23から現像ローラ21にトナーが供給され現像ローラ21に現像剤を担持させる。トナー供給ローラ23の表面は弾性部材から構成されているため、トナー供給ローラ23を現像ローラ21に当接させたときに好適にトナーを現像ローラ21に供給することができる。また、トナー供給ローラ23はトナーの供給と同時に、感光体との現像ニップを通過して現像に使用されたトナーを現像ローラ21から剥ぎ取り、トナーが長時間現像ローラ21上に滞留することで帯電量の過上昇防止する機能も持ち合わせている。
【0022】
ブレード24は、現像ローラ21に当接することによって現像ローラ21に充填されるトナーの量を規制する。ブレード24は、その一部が現像ローラ21の表面Sに接触しており、現像ローラ21の表面Sがブレード24に当接しながら回転するので、現像ローラ21上の余剰トナーを掻き落とすことができる。その結果、溝の部分にのみトナーを担持し、頂面にトナーがない状態にすることができ、ブレード24がトナーに与えるストレスを最小限にすることができる。また、溝形状が規則正しい形状のため、溝の内部のみにトナーが充填されることにより、ローラ上の単位面積当たりのトナーの担持量を均一にすることができる。
【0023】
アジテータ25は、トナータンク22内のトナーを図の左方向に移動させ、トナー供給ローラ23を介して常時トナーを現像ローラ21に供給できるようにする。アジテータ25は、軸部に羽根部材25aが取り付けられた構成となっており、羽根部材25aが軸部の回りを回転してトナーを移動させる。
【0024】
図2に示されるように、現像ローラ21は、長尺状に延びて形成された円柱状のローラであり、現像ローラ21の表面Sにトナーが担持されるようになっている。以下では、現像ローラ21の回転軸方向をX方向とし、現像ローラ21の回転方向をY方向として説明する。
【0025】
図3は、現像ローラ21の表面Sの一部を拡大して示す図である。図3に示されるように、現像ローラ21の表面Sには多数の凹凸が形成されており、現像ローラ21の表面Sの凹部にトナーが入り込むことによってトナーが担持される。現像ローラ21の表面Sの凹部は、Y方向に対して約45度傾斜する方向に延在する第1凹部Aと、第1凹部Aが延在する方向に対して約90度傾斜する方向に延在する第2凹部Bと、第1凹部A及び第2凹部Bに連続しておりY方向に延在する第3凹部Cと、を含んでいる。このように、現像ローラ21の表面Sには、Y方向に対して傾斜する第1、第2凹部A,Bと、凹部A,Bに連続しておりY方向に延在する第3凹部Cと、が設けられていることにより、X方向に対して対称かつY方向に対して対称な六角形状の凸部が多数形成された態様となっている。
【0026】
この現像装置20では、Y方向に延在する第3凹部Cを有することにより、現像ローラ21の回転位置による凹部の幅の変動が小さくなるので、現像ローラ21へのトナーの充填量のばらつきと、画像の濃淡のばらつきと、を防止することができる。また、Y方向に延在する第3凹部Cを有することによってトナーがY方向に移動しやすくなるので、トナーの停滞が抑えられる。従って、トナーの停滞に伴う問題が発生しないので画像の質を向上させることができる。具体的には、図4に示されるように、従来の現像ローラでは、画像形成装置を長期間使用してプリント枚数が増加すると、現像ローラ上のトナー充填量が減少しフィルミングが発生する。しかしながら、本実施形態の現像ローラ21では、プリント枚数が増加しても現像ローラ21上のトナー充填量が減少せずフィルミングのような事象は発生しない。よって、画像形成装置1の寿命を延ばすことができる。
【0027】
また、図3に示されるように、第1凹部AのX方向の幅をa、第2凹部BのX方向の幅をb、第3凹部CのX方向の幅をc、とすると、0.7≦c/(a+b)≦1.4を満たしている。よって、Y方向に対して傾斜する第1凹部Aと第2凹部Bとの幅の和a+bと、Y方向に延在する第3凹部Cの幅cと、が近いので、現像ローラ21の回転位置による第1、第2及び第3凹部A,B,Cへのトナー充填量を均一にすることができる。また、上記a,b,cの値が0.9≦c/(a+b)≦1.2を満たす場合、第1凹部A及び第2凹部Bの幅の和a+bと、第3凹部Cの幅cとがより近くなるため、トナー充填量をより均一にすることができるので画像の質をより向上させることができる。
【0028】
また、現像ローラ21をX方向で切断した場合における第1凹部Aの幅aと第2凹部Bの幅bとの和は、X方向で切断した場合における第3凹部Cの幅cと略一致してもよい。この場合、現像ローラ21の回転位置が変化しても第1、第2及び第3凹部A,B,Cに充填されているトナーの量に変動がないため、濃淡のばらつきの発生を確実に防止することができ、画像の質をより一層向上させることができる。
【0029】
このように、c/(a+b)の値を1に近づけることにより現像ローラ21へのトナーの停滞が抑えられるため、図5及び図7に示されるように、トナー固着発生時間を長くして画像形成装置の寿命を延ばすことができる。また、第1、第2及び第3凹部A,B,Cの深さ(溝の深さ)をh、トナーの平均粒径をd、とすると、d<h<3dを満たすことが好ましい。この場合、図5のグラフに示されるように、トナー固着発生時間を長くすることができるので、画像形成装置の寿命を更に延ばすことができる。
【0030】
また、例えばトナーの平均粒径を7μmとすると、図6に示されるように、第1、第2及び第3凹部A,B,Cの深さが21μm未満の場合に、用紙の非画像部(地肌部)にトナーが付着するかぶり(地肌汚れ)の発生頻度が低くなり、かぶり濃度を目標値以下にすることができる。このように、h<3dを満たす場合には、凹部に充填されるトナーの個数が3個未満となる。すなわち、トナーが平均的に2層担持されている状態であるため、トナーが現像ローラ21またはブレードと接触する確率が高いので、トナーの帯電均一性が向上し、(弱帯電トナーや逆帯電トナーに起因する)かぶりの発生を最小限に抑えることができる。さらに本発明の現像ローラ表面形状と組み合わせることによって、画像濃度変動も少なく、かぶりのない良好な画像を長期に渡り維持することができる。
【0031】
また、感光体ドラム40の回転速度に対する現像ローラ21の回転速度の比をvとすると、図7に示されるように、vを3.0以下にすることでトナーの固着発生時間を長くすることができる。更に、現像ローラ21による現像能力を考慮するとvは1.0以上であることが好ましい。このように、現像ローラ21の回転速度は、感光体ドラムの回転速度の1.0倍以上3.0倍以下であることが好ましく、この場合、トナーの固着が発生しにくくなるので、高い画像濃度を維持しつつ、フィルミングの発生を防止し現像装置の寿命を延ばすことができる。
【0032】
以上、本発明の現像装置は、その趣旨を逸脱しない範囲において、適宜変更可能である。すなわち、現像ローラ21の表面Sに形成された第1、第2凹部A,Bの傾斜角度は45度でなくてもよく、要は現像ローラ21の回転方向であるY方向に対して傾斜していればよい。
【0033】
また、現像装置20が搭載される装置として画像形成装置を例示したが、画像形成装置以外の装置に現像装置20を搭載してもよい。
【0034】
また、現像ローラ21の凹凸形状の製作方法としては、従来公知のエッチング、また、転造加工により製作することができる。転造加工については、図3の凹凸が逆のパターンを設けた円筒状の金型を作製し、現像ローラとなる円筒素材に押し当てながら回転することによって図3の凹凸形状を作製することができる。さらにエッチングまたは転造加工終了後に、凹凸表面に無電解ニッケルめっき、電気めっき、硬質クロームめっき等を施す。めっき処理によって、前記加工後の凹凸の角部の微小なバリや傷を滑らかにすると同時に、表面の硬度を上げて耐摩耗性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0035】
20…現像装置、21…現像ローラ、23…トナー供給ローラ(トナー供給部)、24…ブレード(規制部)、40…感光体ドラム、S…表面、A…第1凹部、B…第2凹部、C…第3凹部、a…第1凹部Aの幅、b…第2凹部Bの幅、c…第3凹部Cの幅。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8