(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
スパイラル状に形成され且つ昇り勾配に設定した前記搬送路に前記姿勢変更部を設けた搬送体を備え、前記姿勢変更部を昇り勾配に設定している請求項1に記載のパーツフィーダ。
前記搬送路のうち、少なくとも前記姿勢変更部よりも上流側の前記搬送床面、前記始端領域搬送床面、前記中間領域搬送床面、前記終端領域搬送床面、及び前記姿勢変更部よりも下流側の前記搬送床面を、ワークの搬送速度が略一定となる昇り勾配に設定している請求項2に記載のパーツフィーダ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、搬送路の一部に突出して設けた干渉部材や噴出気体をワークに当てることでワークの姿勢を変更する構成を採用した場合、ワークに対する干渉部材や噴出気体の当たり具合(ワークが受ける押圧力)に差異が生じ易く、全てのワークを確実に姿勢変更させることが困難であるという問題や、搬送路上に設けた干渉部材や搬送路に形成した気体噴出用の孔にワークが引っ掛かり、ワーク詰まりが生じ得るという問題があった。
【0008】
また、搬送中のワークを反転させる構造として、実開昭64−024029号公報に、外周面に周方向に沿って180度旋回しながら軸方向に延伸する螺旋状の周回搬送溝を形成した半円筒状部材を主体とし、周回搬送溝を半円筒状部材の外側から被覆するカバーを半円筒状部材に取り付けることで形成されるトンネル状の螺旋溝に沿ってワークを搬送させることでワークの姿勢を反転できるように構成された反転装置が開示されている。
【0009】
しかしながら、このような反転装置は、トンネル状の螺旋溝にワークを通過させる構成であるため、一旦螺旋溝の入口から入ったワークは出口を通過するまでは螺旋溝の外部とは遮断され、螺旋溝を通過中のワークの姿勢をカメラなどの機器又はユーザ自身によって監視・観察して把握することは困難であり、例えば螺旋溝のある位置における姿勢が適切な姿勢ではないと判別したワークを螺旋溝の中途位置において螺旋溝の外部へ排出して螺旋溝よりも上流側へ戻す処理(リターン処理)が不可能である。
【0010】
また、上述した反転装置は、半円筒状部材の外周面に形成した周回溝にカバーを被覆してなるトンネル状の螺旋溝に沿ってワークを搬送させることでワークを180度回転させるものであるため、この反転処理に要する螺旋溝の距離、言い換えれば姿勢変更に要するワークの搬送距離が、半円筒状部材の軸方向に沿った水平面内で完結または略完結する搬送路に沿ってワークを搬送させることでワークの姿勢を変更させることが可能な態様と比較して、当然のことながら長くなってしまい、姿勢変更に要する時間の短縮化という点で改善の余地がある。さらにまた、上述した反転装置は、螺旋溝の上流端においてワークの上方を被覆し得るカバーを、螺旋溝の下流端ではワークの搬送床面として機能させる構成を採用しているため、このようなカバーが必須の部材となり、その分だけ部品点数が多くなる。
【0011】
さらに、このような反転装置は、上記公報の第6図からも容易に把握できるように、螺旋溝の入口を出口よりも相対的に高い位置に設定し、螺旋溝を通過するワークをパーツフィーダの振動に加えてワーク自身の自重によって加速しながら反転させるという技術的思想を採用したものである。このように、ワークを反転させる際の搬送速度を、反転させる前の時点の搬送速度よりも速くなるような下り勾配の搬送路をワークが搬送すれば、当然のことながら反転処理中や反転処理後におけるワーク同士の間隔が、反転処理前の間隔よりも広がってしまい、単位時間あたりのワーク排出量の低下、すなわちワークの搬送処理効率の低下を招来する。特に、反転装置よりも上流側の搬送路である入口側案内溝と、下流側の搬送路である出口側案内溝との間に半円筒状部材を主体とする反転装置を設置し、半円筒状部材の外周面に形成した螺旋溝にワークを通過させる構成であれば、半円筒状部材の外周面を周回しながら姿勢変更するワークの搬送速度を、入口側案内溝や出口側案内溝を通過する際の搬送速度と一致させることは設計上極めて困難であると考えられる。
【0012】
本発明は、このような点に着目したものであって、主たる目的は、部品点数の簡素化を実現しつつ、ワークを比較的短い搬送距離で姿勢変更させることができるとともに、姿勢変更中のワークを姿勢変更部外から観察したり、必要であればリターン処理することも可能なパーツフィーダ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち本発明は、搬送床面及び側面を有する搬送路を振動させて搬送対象物であるワークを
、ボウルフィーダの側面に沿って登り傾斜のスパイラル状に形成された搬送路に沿って所定の搬送先へ搬送可能なパーツフィーダに関するものである。またワークとしては、例えば電子部品などの微小部品を挙げることができるが、電子部品以外のワークであってもよい。
【0014】
そして、本発明に係るパーツフィーダは、搬送路に設けられて通過するワークの姿勢を変更可能な姿勢変更部として、姿勢変更部よりも上流側の搬送床面に対して平面視で連続する始端領域搬送床面と、ワークの搬送方向に沿った搬送軸回りに始端領域搬送床面を所定方向に漸次回転させて形成した始端領域変化側面と、姿勢変更部内における搬送方向上流側直近の搬送床面に対して平面視で連続する中間領域搬送床面と、中間領域送床面を搬送軸回りに始端領域変化側面と同一方向又は逆方向に漸次回転させて形成した中間領域変化側面と、一又は複数の中間領域搬送床面のうち搬送方向最下流側の中間領域搬送床面及び姿勢変更部よりも下流側の搬送床面に対して平面視で連続する終端領域搬送床面とを有するものを適用し、これら各面に接触又は近接しながら搬送方向に沿って
漸次上方へ搬送されて姿勢変更部を通過するワークの姿勢を搬送軸回りに90度以上回転した姿勢に変更可能に構成し
、姿勢変更部は、先端部が平坦な切削具を用いた切削処理によって形成されたものであり、始端領域搬送床面及び始端領域変化側面は、切削具を、ボウルフィーダに対してワークの搬送方向に沿って移動させながら、先端部が徐々にボウルフィーダの径方向外側を向くように傾動させる切削処理によって連続して形成されたものであり、中間領域搬送床面及び前記中間領域変化側面は、切削具を、ボウルフィーダに対してワークの搬送方向に沿って移動させながら、先端部が徐々に前記ボウルフィーダの径方向外側を向くように傾動させる切削処理によって連続して形成されたものであることを特徴としている。
【0015】
なお、本発明のパーツフィーダでは、姿勢変更部を構成する中間領域搬送床面及び中間領域変化側面はそれぞれ1つずつであってもよいし、複数ずつであってもよい。中間領域搬送床面及び中間領域変化側面をそれぞれ1つずつ有する姿勢変更部であれば、「姿勢変更部内における搬送方向上流側直近の搬送床面に対して平面視で連続する中間領域搬送床面」は、始端領域搬送床面に対して平面視で連続する搬送床面であり、複数の中間領域搬送床面及び中間領域変化側面を有する姿勢変更部であれば、最上流の中間領域搬送床面は、始端領域搬送床面に対して平面視で連続する搬送床面であり、最上流の中間領域搬送床面以外の中間搬送床面は、搬送方向上流側直近の中間搬送床面に対して平面視で連続する搬送床面である。また、中間領域変化側面は、中間領域送床面を搬送軸回りに始端領域変化側面と同一方向に漸次回転させて形成したものであってもよいし、中間領域送床面を搬送軸回りに始端領域変化側面と逆方向に漸次回転させて形成したものであってもよい。さらに、中間領域変化側面を複数備えた姿勢変更部であれば、全ての中間領域変化側面が、中間領域送床面を搬送軸回りに始端領域変化側面と同一方向又は逆方向に漸次回転させて形成したものであってもよいし、或いは中間領域送床面を搬送軸回りに始端領域変化側面と同一方向に漸次回転させて形成した中間領域変化側面と、中間領域送床面を搬送軸回りに始端領域変化側面と逆方向に漸次回転させて形成した中間領域変化側面とを備えた姿勢変更部を採用することもできる。
【0016】
本発明に係るパーツフィーダの技術的特徴である姿勢変更部は、搬送路の一部を形成するものである。そして、本発明に係るパーツフィーダは、姿勢変更部においてワークの搬送方向に平面視で連続してワークの走行面として機能する始端領域搬送床面、中間領域搬送床面及び終端領域搬送床面のうち、少なくとも始端領域搬送床面及び中間領域搬送床面をそれぞれ搬送方向に沿ってワークの搬送軸回りに漸次回転させた面に設定し、これら始端領域搬送床面、中間領域搬送床面をそれぞれ途中で始端領域変化側面、中間領域変化側面に変化させるとともに、これら始端領域搬送床面、中間領域搬送床面がそれぞれ始端領域変化側面、中間領域変化側面に変化する途中で、中間領域搬送床面、終端領域搬送床面をそれぞれ始端領域搬送床面、中間領域搬送床面に連続するように形成しているため、全体として回転を伴いながら連続する走行面を有する姿勢変更部を実現することができ、このような姿勢変更部を通過するワークの姿勢を円滑且つ適切に変更させることができる。
【0017】
特に、本発明のパーツフィーダであれば、搬送中のワークに対して、例えば搬送路の一部に突出して設けた部材(ワイパー状の干渉部材等)や気体を当てることでワークの姿勢を変更する態様と比較して、ワークに対する干渉部材や気体の当たり具合(ワークが受ける押圧力)に差異が生じて全てのワークを確実に姿勢変更させることができないという不具合や、搬送路上に設けた干渉部材や、搬送路の搬送床面または側面に形成した気体噴出用の孔にワークが引っ掛かってワークの詰まり現象が生じるという不具合を回避することができ、ワークの円滑な搬送及び姿勢変更を実現することができる。
【0018】
さらに、本発明に係るパーツフィーダでは、姿勢変更部を通過するワークに対して搬送床面の上方或いは側面に対向する方向からアクセス可能な構造(従来技術で示したトンネル状の螺旋溝とは異なり、姿勢変更部を構成する搬送床面や側面が姿勢変更部外に開放された構造)を採用することもでき、このような構造であれば例えば姿勢変更部を通過中のワークに対して搬送床面の上方或いは側面に対向する方向から観察して把握したり、姿勢変更部内のある位置における姿勢が適切な姿勢ではないと判別したワークを開放された方向から姿勢変更部外へ排出して姿勢変更部よりも上流側へ戻すことも可能になり、実用性・機能性の向上に役立つ。
加えて、本発明に係るパーツフィーダであれば、水平面内において姿勢変更部の始端と終端を結ぶ仮想の搬送軸上に連続する始端領域搬送床面、始端領域変化側面、中間領域搬送床面、中間領域変化側面及び終端領域搬送床面に沿ってワークを搬送させるように構成しているため、例えば、姿勢変更部の始端と終端を結ぶ仮想の搬送軸を螺旋状に周回する搬送路(周回搬送路と称す)に沿ってワークを搬送させる構成と比較して、相対的に短い搬送距離でワークの姿勢変更を実現できるとともに、周回搬送路に沿ってワークを搬送させる構成であれば必須であるワーク落下防止用カバーも不要になり、部品点数の簡素化を図ることができる。
【0019】
本発明のパーツフィーダの好適な一例としては、スパイラル状に形成され且つ昇り勾配に設定した搬送路を有する搬送体(ボウルフィーダ)を備えたものを挙げることができる。この場合、姿勢変更部を昇り勾配に設定すれば、ワークをスパイラル状の搬送路に沿って漸次上方へ搬送する搬送体において、姿勢変更部の直前まで昇り勾配に設定された搬送路に沿って搬送されたワークを姿勢変更時も引き続いて漸次上方へ搬送することができ、ワークを下降させながら姿勢変更させる態様と比較して、一旦下降したワークを再び姿勢変更前の高さ位置まで上昇させる搬送路が不要であり、搬送路全体の経路長の短縮化、ひいては搬送処理能力の向上を図ることができる。なお、「姿勢変更部を昇り勾配に設定している」とは、少なくとも姿勢変更部における始端領域搬送床面、中間領域搬送床面、及び終端領域搬送床面を昇り勾配に設定しているという意味である。
【0020】
特に、本発明に係るパーツフィーダにおいて、搬送路のうち、少なくとも姿勢変更部よりも上流側の搬送床面、始端領域搬送床面、中間領域搬送床面、終端領域搬送床面、及び姿勢変更部よりも下流側の搬送床面を、ワークの搬送速度が略一定となる昇り勾配に設定すれば、下り勾配に設定した走行面に沿ってワークを搬送させながら姿勢変換を実現する態様であれば生じ得る不具合、つまり、ワークの姿勢変換時に搬送方向に隣り合うワーク同士の間隔が広がり、搬送効率(ワーク排出能力)が低下するという不具合や、前記各搬送床面の昇り勾配を相互に異ならせた態様であれば生じ得る不具合、つまり、搬送方向に沿ったワーク同士の間隔が狭くなり、ワーク同士の干渉やワーク詰まりが発生するという不具合を防止することができ、ワーク搬送効率の向上に役立つ。
【0021】
また、本発明に係るパーツフィーダの製造方法は、上述の姿勢変更部を含む搬送路全域を切削具を用いた切削処理によって形成し、少なくとも、連続して変化する始端領域搬送床面及び始端領域変化側面を1つの切削具を用いた切削処理によって形成する第1次切削処理工程と、連続して変化する中間領域搬送床面及び中間領域変化側面を1つの切削具を用いた切削処理によって形成する第2次切削処理工程とを経ることを特徴としている。
【0022】
このようなパーツフィーダの製造方法であれば、例えば板状の部材をスパイラル状に湾曲変形させたり、切断・溶接等加工して立体的な搬送路を製造する方法と比較して、搬送路を簡単に製造することができる。特に、第1次切削処理工程及び第2次切削処理工程を経ることによって、連続して変化する始端領域搬送床面及び始端領域変化側面の組、及び中間領域搬送床面及び中間領域変化側面の組それぞれを形成することができ、好適である。なお、本発明に係るパーツフィーダの製造方法は、少なくとも第1次切削処理工程及び第2次切削処理工程を経るものであればよく、第2次切削処理工程の回数は、連続して変化する中間領域搬送床面及び中間領域変化側面の組数と同数になる。また、第1次切削処理工程と第2次切削処理工程でそれぞれ用いる切削具は同じものであってもよいし、各工程用に用意した専用の切削具であってもよい。さらにまた、終端領域搬送床面を切削処理によって形成する工程は、第2次切削処理工程に対して非連続な処理工程(第2次切削処理工程で用いた切削具と同じ切削具であるか否かを問わず、第2次切削処理工程に続く一連の処理ではない処理工程)であってもよいし、第2次切削処理工程に連続して行う処理(第2次切削処理工程で中間領域変化側面を形成し終えた姿勢にある切削具をそのまま使用して終端領域搬送床面を形成する処理工程)であってもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、姿勢変更部を、ワークの搬送方向に沿って連続する上述の始端領域搬送床面、始端領域変化側面、中間領域搬送床面、中間領域変化側面及び終端領域搬送床面によって形成しるという技術的思想を採用することによって、比較的短い搬送距離で各ワークを搬送軸回りに確実に姿勢変更させることが可能であり、搬送路を所定方向から被覆するカバーが不要である点で部品点数の簡素化をも実現可能なパーツフィーダ及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0026】
本実施形態に係るパーツフィーダXは、全体構成模式図である
図1に示すように、例えば電子部品等のワークWを搬送路(後述するボウル搬送路5、リニア搬送路31)上において振動により移動させながら所定の搬送先(供給先)に搬送する装置である。本実施形態のパーツフィーダXは、収容したワークWをスパイラル状の搬送路(以下「ボウル搬送路5」と称す)に沿って整列させながら搬送するボウルフィーダ1(本発明の「搬送体」に相当)と、ボウルフィーダ1内にワークWを供給するホッパ2と、ボウル搬送路5に連続する直線状の搬送路(以下「リニア搬送路31」と称す)に沿ってワークWを搬送先に搬送するリニアフィーダ3とを備えている。
【0027】
ホッパ2及びリニアフィーダ3は、周知のものを適用することができる。
【0028】
ホッパ2は、ボウルフィーダ1に供給するワークWを内部空間に貯留し、先端部S1をボウルフィーダ1の貯留部4の上方に臨ませた漏斗状のワーク吐出部21からボウルフィーダ1に対してワークWを吐き出す(供給する)ものである。なお、ホッパ2は、図示しない起振源によって所定の振幅が与えられた場合に、ワーク吐出部21からボウルフィーダ1に対してワークWを吐き出すように構成されている。
【0029】
リニアフィーダ3は、ボウルフィーダ1に形成した搬送路(ボウル搬送路5)に搬送されたワークWを振動によってリニア搬送路31の終端まで搬送して所定の搬送先に供給可能なものである。このリニアフィーダ3には、オーバーフロー時やワークWが所定の搬送姿勢ではないと判別した場合にその対象となるワークW(オーバーフローとなるワークWや所定搬送姿勢ではないと判別したワークW)をボウル搬送路5に戻すリターン部32(リターン用搬送路)を備えている。
【0030】
ボウルフィーダ1は、
図1及び
図2(
図1ではボウルフィーダ1の平面視外縁形状だけを示し、
図2ではボウルフィーダ1の一部拡大平面図である)に示すように、平面視略円形の鉢状をなし、底面に形成され多数のワークWを貯留可能な貯留部4と、貯留部4の周縁部における所定部分を始端5aとして側面13に沿って登り傾斜の螺旋状に形成したボウル搬送路5とを備えたものである。本実施形態のパーツフィーダXは、図示しない起振源によってボウルフィーダ1に振動を発生させるように構成している。起振源としては、例えば、電磁吸引力を作用させてボウルフィーダ1に対して高振動数の捩り振動を発生させる電磁駆動部を挙げることができる。この起振源によりボウルフィーダ1に対して振動を発生させることによって、ボウルフィーダ1内に収容されたワークWをボウル搬送路5に沿って移動させることができる。なお、リニアフィーダ3に振動を発生させる起振源と、ボウルフィーダ1に振動を発生させる起振源とはそれぞれ個別のものであることが好ましいが、共用することも可能である。
【0031】
貯留部4は、例えば中心側を径方向外側よりも高くなるように設定し、ボウルフィーダ1の振動や貯留部4内に収容されているワークWの自重及びボウルフィーダ1の振動によってワークWを径方向外側へ移動させるものである。
【0032】
ボウル搬送路5は、始端5aが貯留部4に連続しており、終端がリニアフィーダ3に形成したリニア搬送路31の始端に連続するものである。ボウル搬送路5は、全域に亘って、上向き面W2である搬送床面と、搬送床面のうちボウルフィーダ1の径方向外側の縁部に連続して上方に延伸し且つ搬送中のワークWの一部が接触し得る側面(側壁面)とによって構成され、搬送床面及び側面は何れも凹凸の無いフラットな平坦面である。本実施形態のボウル搬送路5は、全域に亘って所定の昇り勾配に設定されている。具体的には、ワークWが常に略一定速度でボウル搬送路5上を移動できるようにボウル搬送路5の昇り勾配、より具体的には搬送床面の昇り勾配を適宜設定している。なお、ボウル搬送路5のうち、次に説明する姿勢変更部6よりも上流側に形成した搬送床面51、及び姿勢変更部6よりも下流側に形成した搬送床面52は何れも例えばボウルフィーダ1の径方向外側に向けて下方に傾斜させた平坦な面に設定したものである。
【0033】
そして、本実施形態のボウル搬送路5の所定領域には、
図2に示すように、ワークWの搬送姿勢を変更可能な姿勢変更部6を形成している。この姿勢変更部6は、始端領域搬送床面61、始端領域変化側面62、中間領域搬送床面63、中間領域変化側面64及び終端領域搬送床面65とを用いて構成したものである。
【0034】
始端領域搬送床面61は、ボウル搬送路5のうち姿勢変更部6を形成した所定領域よりも上流側の搬送床面51に対して段差無く平面視で連続する搬送床面である。この始端領域搬送床面61は、
図3〜
図5(
図3は
図2のa−a線端面模式図であり、
図4は
図2のb−b線端面模式図であり、
図5は
図2のc−c線端面模式図である)に示すように、ワークWの搬送方向WAに沿った搬送軸回りに所定方向に漸次回転を伴って径方向内側に向けて下方に傾斜させた平坦な面となり、水平面に対する傾斜角度が所定角度よりも大きくなった時点で始端領域変化側面62として機能する。すなわち、始端領域搬送床面61は、搬送方向WAに向かってボウルフィーダ1の径方向外側の縁部を径方向内側の縁部よりも徐々に高くなるような捻りを伴って連続的に延伸することにより始端領域変化側面62に変化する。なお、
図3以降の各図では、説明の便宜上、ボウルフィーダ1の切断面に付すべき平行斜線(ハッチング)を省略している。
【0035】
本実施形態では、
図5〜
図8(
図6は
図2のd−d線端面模式図であり、
図7は
図2のe−e線端面模式図であり、
図8は
図2のf−f線端面模式図である)に示すように、始端領域搬送床面61が始端領域変化側面62に変化する途中から、平面視において始端領域搬送床面61に連続する中間領域搬送床面63を形成している。この中間領域搬送床面63は、始端領域搬送床面61に段差無く連続し、且つワークWの搬送方向WAに沿った搬送軸回りに始端領域変化側面62と同一方向に漸次回転を伴ってボウルフィーダ1の径方向内側に向けて下方に傾斜させた平坦な面となり、水平面に対する傾斜角度が所定角度よりも大きくなった時点で中間領域変化側面64として機能する。すなわち、中間領域搬送床面63は、搬送方向WAに向かってボウルフィーダ1の径方向外側の縁部を径方向内側の縁部よりも徐々に高くなるような捻りを伴って連続的に延伸することにより中間領域変化側面64に変化する。
【0036】
ここで、本発明の中間領域搬送床面63は、「姿勢変更部内における搬送方向WA上流側直近の搬送床面に対して平面視で連続する搬送床面」であり、本実施形態では、「始端領域搬送床面」が「姿勢変更部内における搬送方向WA上流側直近の搬送床面」に相当する。また、本実施形態の姿勢変更部6は、1組の中間領域搬送床面63及び中間領域変化側面64を有するものである。
【0037】
終端領域搬送床面65は、中間領域搬送床面63が中間領域変化側面64に変化する途中から、中間領域搬送床面63に段差なく平面視で連続するように形成したものである。この終端領域搬送床面65は、ボウル搬送路5のうち姿勢変更部6を形成した所定領域よりも下流側の搬送床面52に対して段差無く平面視で連続するものである。ここで、本発明の終端領域搬送床面65は、「一又は複数の中間領域搬送床面のうち搬送方向WA最下流側の中間領域搬送床面に対して平面視で連続する搬送床面」であり、本実施形態では、中間領域搬送床面63が1つだけであるため、この中間領域搬送床面63に対して平面視で連続するように終端領域搬送床面65を形成している。また、本実施形態の終端領域搬送床面65は、中間領域搬送床面63との境界箇所において、ボウルフィーダ1の径方向外側に向けて下方に傾斜させた平坦な面であり、姿勢変更部6よりも下流側の搬送床面52に向かって延伸しながらワークWの搬送軸回りに傾斜角度が小さくなるような方向(水平面に近付く方向)に漸次回転を伴って捻りを伴って連続的に延伸している。しかしながら、この終端領域搬送床面65は、上述した始端領域搬送床面61や中間領域搬送床面63と異なり、連続的に側面に変化することはない。また、本実施形態では、
図7及び
図8に示すように、終端領域搬送床面65と中間領域変化側面64の相対角度を一定値(例えば90度)に設定している。したがって、中間領域搬送床面63との境界部分においてボウルフィーダ1の径方向外側を向く終端領域搬送床面65の勾配がワークWの搬送方向WAに沿ってワークWの搬送軸回りに緩くなる方向(水平面に近付く方向)に漸次変化することに伴って、終端領域搬送床面65との境界部分においてボウルフィーダ1の径方向内側を向く中間領域搬送床面63の勾配はワークWの搬送方向WAに沿ってワークWの搬送軸回りにきつくなる方向(水平面に直交する方向)に漸次変化する。
【0038】
本実施形態では、姿勢変更部6を含むボウル搬送路5全体を切削処理によって形成している。ここで、ボウル搬送路5のうち姿勢変更部6の各部を形成する切削処理について説明する。
【0039】
本実施形態の切削処理で用いる切削具Sは、
図9(
図9は
図3に示すボウル搬送路5の切削処理工程を示す模式図である)に示すように、先端部S1がこの切削具Sの軸線方向Sa(切削具Sの長手方向と同一方向)に対して平坦な周知のものである。このような切削具Sを用いて姿勢変更部6を形成するには、
図9及び
図10(
図10は
図9のA領域拡大図である)に示すように、始端領域搬送床面61を形成すべき位置に、切削具Sをその軸線方向Saが水平面(水平線)に対して所定角度となる姿勢で押し当てて切削処理を開始する。本実施形態では、始端領域搬送床面61のうち少なくとも始端(上流端)が水平面と平行な面となるよう切削姿勢(第1次切削初期姿勢(1))に設定している。
【0040】
そして、ボウルフィーダ1に対して切削具SをワークWの搬送方向WAに沿って移動させながら切削具Sの先端部S1が徐々にボウルフィーダ1の径方向外側を向くように所定角度ずつ倒す(寝かせる)方向に切削具Sの切削姿勢を変更すると、
図11及び
図12(
図11は
図4に示すボウル搬送路5の切削処理工程を示す模式図であり、
図12は
図11のB領域拡大図である)に示すように、切削面である始端領域搬送床面61の傾斜勾配が徐々に大きくなり、最終的に第1次切削初期姿勢(1)に対して所定角度まで倒す方向に切削具Sの切削姿勢を変更することによって、
図13及び
図14(
図13は
図5に示すボウル搬送路5の切削処理工程を示す模式図であり、
図14は
図13のC領域拡大図である)に示すように、始端領域搬送床面61から連続的に変化してなる始端領域変化側面62を形成することができる。本実施形態では、
図10、
図12及び
図14に示すように、第1次切削初期姿勢(1)にある切削具S(
図12及び
図14では想像線(相対的に細い2点鎖線)で示している切削具S)の先端部S1のうち、ボウルフィーダ1の径方向内側のエンドを中心点SAとして切削具Sを所定方向に傾動させて、始端領域搬送床面61及び始端領域変化側面62を一連の切削処理により形成している。特に、本実施形態では、第1次切削初期姿勢(1)にある切削具Sを所定方向に例えば65度傾動させることによって、始端領域搬送床面61及び始端領域変化側面62を形成している(第1次切削処理工程)。
【0041】
第1次切削処理工程に引き続いて、中間領域搬送床面63及び中間領域変化側面64を切削具Sで形成する第2次切削処理工程を行う。第2次切削処理工程は、先ず、始端領域搬送床面61が始端領域変化側面62に変化する途中の所定位置であって且つ中間領域搬送床面63を形成すべき位置に、切削具Sをその軸線方向Saが水平面(水平線)に対して所定角度となる姿勢で押し当てて切削処理を開始する。本実施形態では、
図13及び
図14に示すように、中間領域搬送床面63のうち少なくとも始端(上流端)が、当該位置における第1次切削処理終了時点の切削具Sの軸線方向Saに平行な面となるように切削具Sの第2次切削初期姿勢(2)を設定している。なお、
図13及び
図14では、説明の便宜上、第2次切削処理工程で用いる切削具Sを、第1次切削初期姿勢(1)の切削具Sを示す2点鎖線よりも相対的に太い2点鎖線で示している。具体的に、この第2次切削初期姿勢(2)は、切削具Sの先端部S1のうちボウルフィーダ1の径方向内側のエンドがボウルフィーダ1の径方向外側のエンドよりも高くなる姿勢であり、第2次切削初期姿勢(2)で切削処理した切削面は、ボウルフィーダ1の径方向外側を向く傾斜面になる。
【0042】
そして、ワークWの搬送方向WAに沿って移動させながら切削具Sの先端部S1が徐々にボウルフィーダ1の径方向外側を向くように所定角度ずつ倒す方向に切削具Sの切削姿勢を変更すると、
図15及び
図16(
図15は
図6に示すボウル搬送路5の切削処理工程を示す模式図であり、
図16は
図15のD領域拡大図である)に示すように、所定の時点で切削具Sの先端部S1のうちボウルフィーダ1の径方向外側のエンドがボウルフィーダ1の径方向内側のエンドよりも高くなる姿勢となり、この姿勢で切削処理して形成した切削面は、ボウルフィーダ1の径方向内側を向く傾斜面になる。
【0043】
さらに、切削具SをワークWの搬送方向WAに沿って移動させながら所定角度ずつ倒す(寝かせる)方向に切削具Sの切削姿勢を変更すると、
図17及び
図18(
図17は
図7に示すボウル搬送路5の切削処理工程を示す模式図であり、
図18は
図17のE領域拡大図である)に示すように、径方向外側を向く切削面の傾斜角度は徐々に大きくなり、切削面の傾斜角度が所定角度よりも大きくなった時点で、その切削面は中間領域搬送床面63としてではなく中間領域変化側面64として機能することになる。そして、最終的に第2次切削初期姿勢(2)に対して所定角度まで切削具Sの切削姿勢を変更することによって、
図19及び
図20(
図19は
図8に示すボウル搬送路5の切削処理工程を示す模式図であり、
図20は
図19のF領域拡大図である)に示すように、中間領域搬送床面63から連続的に変化してなる中間領域変化側面64を形成することができる。本実施形態では、第2次切削初期姿勢(2)にある切削具Sの先端部S1のうち、ボウルフィーダ1の径方向内側のエンドを中心点SBとして切削具Sを所定方向に傾動させて、中間領域搬送床面63及び中間領域変化側面64を一連の切削処理により形成している。特に、本実施形態では、第2次切削初期姿勢(2)にある切削具Sを所定方向に例えば90度傾動させることによって、中間領域搬送床面63及び中間領域変化側面64を形成している(第2次切削処理工程)。なお、
図16、
図18及び
図20には、第2次切削初期姿勢(2)にある切削具Sを想像線(相対的に細い2点鎖線)で示している。
【0044】
第2次切削処理工程に引き続いて、終端領域搬送床面65を切削具Sで形成する第3次切削処理工程を行う。第3次切削処理工程は、図示しないが、先ず、中間領域搬送床面63が中間領域変化側面64に変化する途中の所定位置であって且つ終端領域搬送床面65を形成すべき位置に、第1次・第2次切削処理工程で用いた切削具Sと同様の切削具をその軸線方向が水平面に対して所定角度となる姿勢で押し当てて切削処理を開始する。本実施形態では、終端領域搬送床面65が、第2次切削処理終了時の切削具Sの軸線方向Saに平行な面となるように切削具の第3次切削初期姿勢を設定している。具体的に、この第3次切削初期姿勢は、切削具の先端部のうちボウルフィーダ1の径方向内側のエンドがボウルフィーダ1の径方向外側のエンドよりも高くなる姿勢であり、この姿勢で切削処理した切削面は、ボウルフィーダ1の径方向外側を向く傾斜面になる。そして、切削具を搬送軸回りに徐々に回転させながらワークWの搬送方向WAに沿って移動させることによって、中間領域搬送床面63に連続する終端領域搬送床面65を形成することができる。
【0045】
この第3次切削処理工程によって形成した終端領域搬送床面65は、ボウル搬送路5のうち姿勢変更部6を形成した領域よりも下流側の搬送床面52に段差なく平面視で連続するものである。なお、第3次切削処理工程で終端領域搬送床面65を形成した切削具を終端領域搬送床面65の終端から引き続いてそのまま搬送方向WAに沿って移動させることで、姿勢変更部6よりも下流側の搬送床面52を連続して形成することもできる。これに準じて、上述した始端領域搬送床面61及び始端領域変化側面62を形成する第1時切削処理工程は、姿勢変更部6よりも上流側の搬送床面51を形成するために用いた切削具を上流側の搬送床面51の終端から引き続いて搬送方向WAに沿って移動させて行う切削処理であってもよい。
【0046】
以上に述べた第1次切削処理工程、第2次切削処理工程及び第3次切削処理工程によって姿勢変更部6を形成することができる。このように、本実施形態では、切削具Sを用いた切削処理によって姿勢変更部6を含むボウル搬送路5を形成している。特に、本実施形態に係る姿勢変更部6は、各搬送床面61,63,65の上方や、各側面62,64に対向する方向を姿勢変更部6の外部に開放したオープン構造にしており、これら開放されている方向から各面61,62,63,64,65にアクセス可能に構成している。
【0047】
また、本実施形態では、このようなボウル搬送路5の所定箇所に適宜のワーク姿勢選別手段を設け、ワーク姿勢選別手段によって所定の姿勢(例えば長尺のワークWであればその長手方向が搬送方向WAに一致している姿勢)であるワークWのみを搬送方向WA下流側に搬送し、所定の姿勢ではないワークWを貯留部4へ戻す(落下させる)ように構成している。ワーク姿勢選別手段の好適な設定箇所としては、例えば、ボウル搬送路5のうち、姿勢変更部6や姿勢変更部6よりも上流側の所定箇所を挙げることができるが、ボウル搬送路5のうち姿勢変更部6よりも下流側の所定箇所に設定することも可能である。本実施形態のパーツフィーダXは、ボウル搬送路5の終端をリニアフィーダ3に設けたリニア搬送路31の始端に連続するように接続して、姿勢を揃えたワークWをリニアフィーダ3に搬送(供給)できるように構成している。
【0048】
なお、ワーク姿勢選別部としては、搬送路の一部に他の部分よりも幅を狭めた狭小部によって構成した態様や、搬送路上におけるある時点のワークの姿勢を検知機器(センサ素子)によって検知し、その検知情報に基づいてワークの姿勢を判別して所定の条件を満たさないワークを搬送路外へ排出するように構成した態様を挙げることができる。また、検知機器としては、ファイバセンサ、光電センサ、レーザ、近接スイッチ、タッチセンサ等を適用することができる。また、ワーク姿勢選別部として、搬送路上におけるある時点のワークの姿勢をカメラ等の撮像手段によって撮影し、その撮影した画像情報に基づいてワークの姿勢を判別して所定の条件を満たさないワークを搬送路外へ排出するように構成した態様を採用することもできる。
【0049】
次に、本実施形態に係るパーツフィーダXによるワークWの搬送処理手順について説明する。
【0050】
先ず、本実施形態のパーツフィーダXでは、ホッパ2のワーク吐出部21から所定量のワークWをボウルフィーダ1の貯留部4に投入する。このワークW投入時のタイミングや投入するワークWの量は、ユーザの操作に基づいてユーザ自身が決定して行うように設定してもよいし、適宜の制御部(コントローラ)が所定の記憶部に予め記憶されているプログラムに従って行ったり、ユーザから入力される情報に基づいて自動で決定して行うように設定してもよい。
【0051】
本実施形態のパーツフィーダXは、ホッパ2からパーツフィーダXの貯留部4にワークWを供給する前後の適宜のタイミングで、起振源によりボウルフィーダ1を振動させる。本実施形態のパーツフィーダXは、貯留部4内に収容されているワークWをこの振動で径方向外側へ移動させて、ボウル搬送路5の始端5aに到達させることができ、ボウル搬送路5の始端5aに到達したワークWを所定の昇り勾配に設定したボウル搬送路5に沿って順次搬送する。搬送中に振動によってワークWが受ける搬送力のうち径方向外側へ向かう力と搬送床面51の傾斜によって、ワークWは、自重でその時点において下方を向く面が搬送床面51(搬送床面51、始端領域搬送床面61、中間領域搬送床面63、終端領域搬送床面65、搬送床面52)に接触した状態で支持されるとともに、ボウルフィーダ1の径方向外側を向く面が側面(姿勢変更部6よりも上流側の側面、始端領域変化側面62、中間領域変化側面64、姿勢変更部6よりも下流側の側面)に接触または近接した状態でボウル搬送路5の終端5b側に向けて搬送される。
【0052】
本実施形態に係るボウルフィーダ1では、姿勢変更部6よりも上流側及び下流側のボウル搬送路5に沿って搬送するワークWを搬送方向WAに沿った搬送軸回りに姿勢変更させない一方で、姿勢変更部6よりも上流側のボウル搬送路5から姿勢変更部6に到達して姿勢変更部6を通過するワークWを搬送軸回りに所定角度だけ回転させて姿勢変更させるように構成している。
【0053】
なお、本実施形態では、姿勢変更部6よりも上流側のボウル搬送路5における所定箇所にワーク姿勢選別手段を設け、姿勢変更部6よりも上流側のボウル搬送路5に沿って搬送されるワークWのうち、所定の姿勢で搬送されていないワークWはワークW姿勢選別手段によって貯留部4に戻される。したがって、姿勢変更部6に到達したワークWは全てまたはほぼ全てが所定の姿勢を向いている。
【0054】
ここで、姿勢変更部6においてワークWが姿勢変更する過程及び作用を説明する。姿勢変更部6よりも上流側のボウル搬送路5から姿勢変更部6に到達したワークWは、
図21に示すように、この時点におけるワークWの下向き面W1(以下「変更初期姿勢の下向き面W1」と称す)が始端領域搬送床面61のうち水平な面に設定した始端部分に接触した状態で支持された姿勢となる。なお、以下の説明では、姿勢変更部6よりも上流側のボウル搬送路5から姿勢変更部6に到達したワークWの姿勢を変更初期姿勢とし、
図21に示すように、変更初期姿勢の下向き面W1に対向する面を「変更初期姿勢の上向き面W2」とし、ボウルフィーダ1の径方向内側を向く面、径方向外側を向く面をそれぞれ「変更初期姿勢の内向き面W3」、「変更初期姿勢の外向き面W4」とする。また、姿勢変更部6を通過しながら姿勢変更するワークWの挙動は、これら各面(変更初期姿勢の下向き面W1、変更初期姿勢の上向き面W2、変更初期姿勢の内向き面W3、変更初期姿勢の外向き面W4)の向きや、ワークWの一部を構成する
特定部品又は
特定部分(以下では「特定部Wa」と称す)の位置に着目することで容易に把握することができる。
【0055】
本実施形態に係るボウルフィーダ1では、姿勢変更部6よりも上流側のボウル搬送路5から姿勢変更部6に到達したワークWは、特定部Waをボウルフィーダ1の径方向外側に向けた姿勢となる。そして、始端領域搬送床面61に支持された状態で搬送方向WAに沿って搬送されるワークWは、ボウルフィーダ1の径方向内向きに漸次傾斜する始端領域搬送床面61の傾斜角度に応じて
図22に示すように、徐々に搬送軸回りに回転した姿勢になる。そして、始端領域搬送床面61から始端領域変化側面62に変化する途中で形成した中間領域搬送床面63に到達したワークWは、
図23に示すように、変更初期姿勢の下向き面W1が始端領域変化側面62に接触した状態で支持されるとともに、変更初期姿勢の内向き面W3が中間領域搬送床面63に接触した状態で支持される姿勢となる。本実施形態では、この時点におけるワークWの姿勢が、変更初期姿勢に対して搬送軸回りに例えば65度回転した姿勢となるように設定している。
【0056】
引き続き、変更初期姿勢の内向き面W3が中間領域搬送床面63に支持された状態で搬送方向WAに沿って搬送されるワークWは、
図24及び
図25に示すように、中間領域搬送床面63がボウルフィーダ1の径方向外向きの傾斜面からボウルフィーダ1の径方向内向きの傾斜面へと徐々に変化し、その傾斜角度を漸次大きくして中間領域変化側面64に変化することに伴って、搬送軸回りにさらに回転した姿勢になる。そして、本実施形態のボウルフィーダ1は、中間領域搬送床面63から中間領域変化側面64に変化する途中で形成した終端領域搬送床面65に到達したワークWを、
図25及び
図26に示すように、変更初期姿勢の内向き面W3が中間領域変化側面64に接触した状態で支持するとともに、変更初期姿勢の上向き面W2が終端領域搬送床面65に接触した状態で支持したまま終端領域搬送床面65の終端、すなわち姿勢変更部6の終端に向かって搬送する。この際、中間領域搬送床面63との境界部分ではボウルフィーダ1の径方向内向きの傾斜面である終端領域搬送床面65が、ワークWの搬送方向WAに沿って水平面に近づく傾斜面へと徐々に変化しているため、ワークWの姿勢も搬送軸回りに回転することになる。また、本実施形態の姿勢変更部6では、中間領域変化側面64が終端領域搬送床面65の終端まで終端搬送床面65との相対角度を一定(図示例では90度)に保ったま
ま延伸しているため、ワークWを安定した状態で搬送しながら姿勢変更させることができる。
【0057】
以上の過程を経て終端領域搬送床面65の終端、すなわち姿勢変更部6の終端まで搬送されたワークWの姿勢は、変更初期姿勢に対して搬送軸回りに例えば90度以上回転した姿勢(以下、「変更完了姿勢」と称す)となる。本実施形態では、ワークWの変更完了姿勢が、変更初期姿勢に対して搬送軸回りに例えば155度回転した姿勢(以下、「変更完了姿勢」と称す)となるように設定している。
【0058】
本実施形態に係るボウルフィーダ1は、姿勢変更部6の終端領域搬送床面65を姿勢変更部6よりも下流側の搬送床面52に連続させているため、姿勢変更部6の終端まで搬送しながら所定の姿勢に揃えたワークWを姿勢変更部6よりも下流側の搬送床面52に沿ってボウル搬送路5の終端まで整列させて搬送することができる。そして、本実施形態のパーツフィーダXは、ボウル搬送路5の終端に到達したワークWをリニアフィーダ3のリニア搬送路31の始端から終端に向かって搬送することによって、所定の姿勢に揃えたワークWを所定の搬送先(供給先)に供給することができる。
【0059】
このように、本実施形態に係るパーツフィーダXは、ボウル搬送路5の所定領域に姿勢変更部6を形成し、この姿勢変更部6において搬送方向WAに連続する始端領域搬送床面61、中間領域搬送床面63及び終端領域搬送床面65に沿ってワークWを搬送するように構成している。そして、始端領域搬送床面61、中間領域搬送床面63及び終端領域搬送床面65をそれぞれ搬送方向WAに沿ってワークWの搬送軸回りに漸次捻った面に設定し、始端領域搬送床面61、中間領域搬送床面63はそれぞれ途中で始端領域変化側面62、中間領域変化側面64に変化させるとともに、これら始端領域搬送床面61、中間領域搬送床面63がそれぞれ始端領域変化側面62、中間領域変化側面64に変化する途中で、中間領域搬送床面64、終端領域搬送床面65を始端領域搬送床面61、中間領域搬送床面63に連続するように形成しているため、全体として滑らかに連続する搬送床面(走行面)を構成することができ、このような搬送床面上を搬送するワークWをスムーズ且つ適切に姿勢変更させることができる。
【0060】
また、搬送中のワークWに対して、例えば搬送路の一部に突出して設けた部材(ワイパー状の干渉部材等)や気体を当てることでワークの姿勢を変更する態様であれば、ワークに対する干渉部材や気体の当たり具合(ワークが受ける押圧力)に差異が生じ易く、全てのワークを確実に姿勢変更させることができないおそれがあったり、搬送路上に設けた干渉部材や、搬送路の搬送床面または側面に形成した気体噴出用の孔にワークが引っ掛かって詰まるおそれがあった。それに対して、本実施形態に係るパーツフィーダXは、搬送方向WAに連続する始端領域搬送床面61、始端領域変化側面62、中間領域搬送床面63、中間領域変化側面64及び終端領域搬送床面65に沿ってワークWを搬送させることでワークWを確実に姿勢変更させることができるとともに、姿勢変更させる過程でワークが引っ掛かり得る要素を各搬送床面61,63,65及び側面62,64に設けたり、形成する必要がなく、ワークの円滑な搬送を実現することができる。
【0061】
特に、本実施形態に係るパーツフィーダXは、水平面内において姿勢変更部の始端と終端を結ぶ仮想の搬送軸上に連続する始端領域搬送床面61、始端領域変化側面62、中間領域搬送床面63、中間領域変化側面64及び終端領域搬送床面65に沿ってワークWを搬送させるように構成しているため、例えば、姿勢変更部の始端と終端を結ぶ仮想の搬送軸をスパイラル状に周回する搬送路(周回搬送路と称す)に沿ってワークを搬送させる構成と比較して、相対的に短い搬送距離でワークの姿勢変更を実現できるとともに、周回搬送路に沿ってワークを搬送させる上記構成であれば必須であるワーク落下防止用カバーも不要であり、部品点数の簡素化を図ることが可能である。
【0062】
さらにまた、本実施形態に係るパーツフィーダXは、姿勢変更部6を含むボウル搬送路5全域を上方及び一方の側方(上述した実施形態であればボウルフィーダの径方向内側)に開放した構成を採用しているであるため、例えばこれらの方向から姿勢変更部を通過するワークの姿勢変更をカメラなどの機器又はユーザ自身によって監視・観察して把握したり、ある位置における姿勢が適切な姿勢ではないと判別したワークを開放された方向から姿勢変更部外へ排出して姿勢変更部よりも上流側へ戻すことが可能である。
【0063】
しかも、本実施形態に係るパーツフィーダXは、ボウル搬送路5の一部を構成する姿勢変更部6の走行面61,63,65を、姿勢変更部6よりも上流側の搬送床面51や姿勢変更部6よりも下流側の搬送床面52と同一またはほぼ同一の昇り勾配に設定し、姿勢変更部6を通過するワークWの搬送速度が、姿勢変更部6よりも上流側の搬送床面51や姿勢変更部6よりも下流側の搬送床面52を通過するワークWの搬送速度と同じ速度となるように構成しているため、姿勢変更部6の走行面61,63,65を下り勾配に設定した場合であれば生じ得る不具合、すなわち、搬送方向WAに隣り合うワークW同士の間隔が広がることに伴って搬送効率(ワーク排出能力)が低下するという不具合や、姿勢変更部6よりも上流側の搬送床面51、姿勢変更部6の各搬送床面61,63,65の姿勢変更部6よりも下流側の搬送床面52昇り勾配を相互に異ならせた態様であれば生じ得る不具合、すなわち、搬送方向WAに沿ったワークW同士の間隔が狭くなり、ワークW同士の干渉やワーク詰まりが発生するという不具合を防止・抑制することができ、各ワークWを適切な間隔を保った状態で順序良く一定の搬送速度でボウル搬送路5の終端に向かって搬送することが可能である。
【0064】
このように、搬送方向WAに沿ったワークW同士の良好な間隔を保ったまま各ワークWを搬送軸回りに確実に姿勢変換可能な姿勢変更部6を所定領域に有するボウル搬送路5を、本実施形態では切削具Sを用いた複数回の切削処理によって形成しているため、例えば板状の部材をスパイラル状に湾曲変形させてボウル搬送路を形成する態様や、鉄材を切断・溶接等加工して立体的なボウル搬送路を作り上げる態様(製缶加工)と比較して、容易に製造することができる。
【0065】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、中間領域変化側面として、中間領域送床面を搬送軸回りに始端領域変化側面と逆方向に漸次回転させて形成したものを採用することができる。上述した実施形態に準じたボウル搬送路にこのような中間領域変化側面を有する姿勢変更部を設けた場合、この姿勢変更部における中間領域搬送床面は、始端領域搬送床面に段差無く連続し、且つワークの搬送方向に沿った搬送軸回りに始端領域変化側面と逆方向に漸次回転を伴ってボウルフィーダの径方向外側に向けて下方に傾斜させた平坦な面となり、水平面に対する傾斜角度が所定角度よりも大きくなった時点で中間領域変化側面として機能する。すなわち、中間領域搬送床面は、搬送方向に向かってボウルフィーダの径方向内側の縁部を径方向外側の縁部よりも徐々に高くなるような捻りを伴って連続的に延伸することにより中間領域変化側面に変化する。
【0066】
また、上述した実施形態では、中間領域搬送床面及び中間領域変化側面をそれぞれ1つずつ有する姿勢変更部を例示したが、中間領域搬送床面及び中間領域変化側面をそれぞれ複数有する姿勢変更部を構成することもできる。
ここで、本発明の中間領域搬送床面は、「搬送路のうち姿勢変更部内における搬送方向上流側直近の搬送床面に対して平面視で連続する中間領域搬送床面」である。したがって、例えば中間領域搬送床面及び中間領域変化側面の組を2組有する姿勢変更部であれば、上流側の中間領域搬送床面は、搬送路のうち姿勢変更部内における搬送方向上流側直近の搬送床面、つまり始端領域搬送床面に対して平面視で連続するものであり、下流側の中間領域搬送床面は、搬送路のうち姿勢変更部内における搬送方向上流側直近の搬送床面、つまり上流側の中間領域搬送床面に対して平面視で連続するものである。また、上流側の中間領域変化側面は、上流側の中間領域送床面を搬送軸回りに始端領域変化側面と同一方向又は逆方向に漸次回転させて形成したものであり、下流側の中間領域変化側面は、下流側の中間領域送床面を搬送軸回りに始端領域変化側面と同一方向又は逆方向に漸次回転させて形成したものである。
【0067】
また、本発明の終端領域搬送床面は、「一又は複数の中間領域搬送床面のうち搬送方向最下流側の中間領域搬送床面に対して少なくとも平面視で連続するもの」であり、中間領域搬送床面を2つ有する姿勢変更部であれば、終端領域搬送床面は、下流側の中間領域搬送床面に対して少なくとも平面視で連続するものになる。
【0068】
また、例えば中間領域搬送床面及び中間領域変化側面の組を3組以上有する姿勢変更部であれば、上流側から順番に第1次中間領域搬送床面,第2次中間領域搬送床面…最終次中間領域搬送床面、及び第1次中間領域変化側面,第2次中間領域変化側面…最終次中間領域変化側面として、上記条件に合致するように各中間領域搬送床面、各中間領域変化側面、及び終端領域搬送床面を形成すればよい。
【0069】
また、姿勢変更部を形成する各面の捻り度合いを適宜設定することによって、姿勢変更部の始端にあるワークの姿勢(変更初期姿勢)に対する姿勢変更部の終端に到達したワークの姿勢(変更完了姿勢)の搬送軸回りの回転角度が90度以上360度以下、若しくは必要であれば360度以上の適宜の角度となるように構成することができる。
【0070】
上述した実施形態では、ワークの変更初期姿勢を規定する始端領域搬送床面の始端部分を水平面に設定した態様を例示したが、始端領域搬送床面の始端部分を水平ではない傾斜面に設定してもよい。
【0071】
姿勢変更部を含む搬送路全域又は一部が、上方にのみ(搬送床面に対向する方向にのみ)開放された構成であってもよい。さらにはまた、姿勢変更部の走行面(搬送床面)を、姿勢変更部よりも上流側の搬送床面や姿勢変更部よりも下流側の搬送床面とは異なる昇り勾配に設定したり、或いは降り勾配に設定しても構わない。なお、本発明のパーツフィーダは、姿勢変更部の走行面を、水平または略水平な面に設定した態様を除外するものでもない。
【0072】
また、本発明の搬送体としてリニアフィーダを適用することもできる。この場合、直線上の搬送路(リニア搬送路)の所定領域に姿勢変更部を形成すればよい。
【0073】
また、搬送対象物であるワークは、LED等の各種LEDや、LED以外の電子部品、あるいは食品など電子部品以外のものを搬送対象物としてもよい。
【0074】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。