特許第6056241号(P6056241)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6056241
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】貯湯給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/02 20060101AFI20161226BHJP
   F24H 1/18 20060101ALI20161226BHJP
   F24H 9/00 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
   F24H9/02 301A
   F24H1/18 A
   F24H9/00 G
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-166509(P2012-166509)
(22)【出願日】2012年7月27日
(65)【公開番号】特開2014-25647(P2014-25647A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年6月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】羽藤 佐一郎
(72)【発明者】
【氏名】福井 秀和
(72)【発明者】
【氏名】森本 量
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 向生
(72)【発明者】
【氏名】谷村 愛隆
(72)【発明者】
【氏名】山本 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】中野 晶夫
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−144438(JP,A)
【文献】 特開平07−144672(JP,A)
【文献】 特開平09−088160(JP,A)
【文献】 特開2001−100576(JP,A)
【文献】 特開2004−283184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/02
F24H 1/18
F24H 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯タンクと、配管系に設けられた開閉弁と、前記貯湯タンクと前記配管系と前記開閉弁とを収納する外装ケースとを備えた貯湯給湯装置において、
前記外装ケースに形成された開口部と、この開口部を閉塞する為の着脱可能な扉部材とを備え、
前記開閉弁は、開弁状態と閉弁状態とに切り換える為の操作部を備えると共に前記操作部の一部が前記開口部から外方へ突出するように前記外装ケースの内部における前記扉部材の近傍部に配置され、
前記扉部材は、前記操作部が通常運転状態のときの操作位置とは異なる操作位置にある場合に前記開口部の閉塞が不可能になる干渉部を備え、
前記扉部材は、前記開閉弁の前記操作部の外形形状と同形状の開孔であって、前記開閉弁が開弁状態又は閉弁状態の場合に前記操作部が挿通可能な開孔を備え、
前記干渉部は、前記扉部材における前記開孔の周囲の壁部の一部からなることを特徴とする貯湯給湯装置。
【請求項2】
前記開閉弁は、前記配管系のうちの給水配管に設けられ、
前記開閉弁が開弁状態の場合に、前記外装ケースに装着された前記扉部材の前記開孔から前記操作部が外方へ突出することを特徴とする請求項1に記載の貯湯給湯装置。
【請求項3】
前記開閉弁は、前記配管系のうちの排水配管に設けられ、
前記開閉弁が閉弁状態の場合に、前記外装ケースに装着された前記扉部材の前記開孔から前記操作部が外方へ突出することを特徴とする請求項1に記載の貯湯給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は貯湯給湯装置に関し、特にメンテナンス終了後に、所定の配管に設けられた開閉弁の操作部を通常運転状態のときの操作位置への戻し忘れを防止可能な貯湯給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
貯湯給湯装置は、一般的に、湯水を貯留する大容量の貯湯タンク、この貯湯タンクに低温の上水を供給する給水配管、前記貯湯タンク内の湯水を出湯する出湯配管、前記貯湯タンク内の湯水を排水する排水配管、前記貯湯タンクの下部から熱源機を経由して貯湯タンクの上部へ水を循環させて加熱する加熱循環配管、これら大部分を収納する直方体状の外装ケースなどを有する。尚、前記熱源機としては、燃料電池発電装置の排熱回収熱交換器やヒートポンプ装置などが活用される。
【0003】
上記の貯湯給湯装置は、長期間の運転に応じて専門の作業員による定期的なメンテナンスを行う必要がある。この種のメンテナンス時には、基本的には給水配管から貯湯タンクへの給水を停止して、貯湯タンク内の湯水を外部に排水し、貯湯タンク内や各種の配管内に内圧が発生しない開放した状態で作業が行われる。
【0004】
このため、給水配管や排水配管などの各種の配管には、その途中部の内部通路を開放状態と閉止状態とに切り換える為のメンテナンス用の開閉弁が設置され、メンテナンス時には、これら開閉弁の操作部(ハンドル)を適宜操作することになる。これら操作部は、主に配管カバーに覆われた外部配管と内部配管とを接続する配管接続部の近傍部に配置されている場合が多い。
【0005】
そこで、メンテナンス時に操作部を操作する為の構造として、例えば、特許文献1には、配管カバーに開閉弁の位置に対応したメンテナンス用の開口部を設け、この開口部に着脱可能な蓋部材を取り付けた構造が開示されている。メンテナンスを行う場合には、配管カバー全体を取り外すことなく、蓋部材を取り外すだけで開閉弁を操作可能になるので、メンテナンス作業が容易に行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012―21695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の構造では、メンテナンス作業が終了した後に、作業員が開閉弁の操作部を戻し忘れて、開閉弁の操作部が通常運転状態のときの操作位置とは異なる操作位置にある状態にも関わらず、メンテナンス用の開口部に蓋部材を取り付けてしまう虞がある。この状態で運転を開始しても、各種の配管に通常運転状態のように低温の上水や湯水が流れずに、貯湯給湯装置が使用できないという問題が生じる。さらに、貯湯給湯装置を復帰させる為には、作業員が再度メンテナンスに向う必要があり手間がかかってしまう。
【0008】
本発明の目的は、メンテナンス終了後に、外装ケース内の開閉弁の操作部を通常運転時のときの操作位置に戻し忘れるのを防止可能な貯湯給湯装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の貯湯給湯装置は、貯湯タンクと、配管系に設けられた開閉弁と、前記貯湯タンクと前記配管系と前記開閉弁とを収納する外装ケースとを備えた貯湯給湯装置において、前記外装ケースに形成された開口部と、この開口部を閉塞する為の着脱可能な扉部材とを備え、前記開閉弁は、開弁状態と閉弁状態とに切り換える為の操作部を備えると共に前記操作部の一部が前記開口部から外方へ突出するように前記外装ケースの内部における前記扉部材の近傍部に配置され、前記扉部材は、前記操作部が通常運転状態のときの操作位置とは異なる操作位置にある場合に前記開口部の閉塞が不可能になる干渉部を備え、前記扉部材は、前記開閉弁の前記操作部の外形形状と同形状の開孔であって、前記開閉弁が開弁状態又は閉弁状態の場合に前記操作部が挿通可能な開孔を備え、前記干渉部は、前記扉部材における前記開孔の周囲の壁部の一部からなることを特徴としている。
【0010】
【0011】
請求項の貯湯給湯装置は、請求項の発明において、前記開閉弁は、前記配管系のうちの給水配管に設けられ、前記開閉弁が開弁状態の場合に、前記外装ケースに装着された前記扉部材の前記開孔から前記操作部が外方へ突出することを特徴としている。
【0012】
請求項の貯湯給湯装置は、請求項の発明において、前記開閉弁は、前記配管系のうちの排水配管に設けられ、前記開閉弁が閉弁状態の場合に、前記外装ケースに装着された前記扉部材の前記開孔から前記操作部が外方へ突出することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、外装ケースに形成された開口部と、この開口部を閉塞する為の着脱可能な扉部材とを備え、開閉弁は、開弁状態と閉弁状態とに切り換える為の操作部を備えると共に扉部材の近傍部に配置され、扉部材は、操作部が通常運転状態のときの操作位置とは異なる操作位置にある場合に開口部の閉塞が不可能になる干渉部を備えたので、メンテナンス等で開閉弁の操作部を操作した後に、この操作部が通常運転状態のときの操作位置に戻されてない場合は、扉部材を外装ケースに装着しようとしても、操作部に干渉部が干渉して開口部を閉塞できなくなる、故に、外装ケース内の開閉弁の操作部の戻し忘れを簡単な構造で防止することができる。
【0014】
そして、開閉弁は、操作部の一部が開口部から外方へ突出するように外装ケースの内部に配置され、扉部材は、開閉弁の操作部の外形形状と同形状の開孔であって、開閉弁が開弁状態又は閉弁状態の場合に操作部が挿通可能な開孔を備え、前記干渉部は、扉部材における開孔の周囲の壁部の一部からなるので、開口部を扉部材で閉塞していても開閉弁の操作部を外部から直接視認できる為、開閉弁の開閉状態を容易に確認することができる。
【0015】
請求項の発明によれば、開閉弁は、配管系のうちの給水配管に設けられ、開閉弁が開弁状態の場合に、外装ケースに装着された扉部材の開孔から操作部が外方へ突出するので、給水配管に設けられた開閉弁の開弁状態への戻し忘れを防止し、メンテナンス終了後に、通常運転状態に復帰した際に貯湯タンク内に給水配管から上水を確実に供給することができる。
【0016】
請求項の発明によれば、開閉弁は、配管系のうちの排水配管に設けられ、開閉弁が閉弁状態の場合に、外装ケースに装着された扉部材の開孔から操作部が外方へ突出するので、排水配管に設けられた開閉弁の閉弁状態への戻し忘れを防止し、メンテナンス終了後に、通常運転状態に復帰した際に貯湯タンク内に貯留された湯水が排水配管から排水されるのを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例1に係る貯湯ユニットの概略構成図である。
図2】外装ケースの斜視図である。
図3】扉部材と開弁状態の第1開閉弁の正面図である。
図4】扉部材と開弁状態の第1開閉弁の断面図である。
図5】扉部材の正面図である。
図6】開弁状態の第1開閉弁の平面図である
図7】開弁状態の第1開閉弁の正面図である。
図8】閉弁状態の第1開閉弁の正面図である。
図9】実施例2に係る扉部材と閉弁状態の第2開閉弁の正面図である。
図10】変更形態に係る扉部材と開弁状態の第1開閉弁の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0019】
先ずは、貯湯給湯装置1の全体構成について簡単に説明する。
図1に示すように、貯湯給湯装置1は、縦長筒状の外周面を有する貯湯タンク3、給水配管4と加熱循環配管5と出湯配管6と排水配管7などの配管系、混合弁8、補助給湯器9、外装ケース10などを有する。
【0020】
尚、この貯湯給湯装置1は、熱交換器11による貯湯タンク3内の湯水を加熱可能な燃料電池発電装置2と、この燃料電池発電装置2と貯湯給湯装置1との間に湯水を循環させる為の加熱循環配管5などと組み合わせることで燃料電池コージェネレーションシステムCが構成されるが、貯湯給湯装置1以外の構成の詳細な説明は省略する。
【0021】
貯湯タンク3は、熱交換器11で加熱された高温の温水を貯留するものであり、耐腐食性に優れたステンレス製の板材で構成されている。貯湯タンク3は、その外面側を覆う保温材を備え、この保温材は、例えば、発泡ポリプロピレン、発泡ポリスチレンなどの樹脂を発泡成形した発泡断熱材で構成され、貯湯タンク3の外面側を覆って貯湯タンク3に貯留された温水の温度低下を防ぐ断熱機能を有する。貯湯タンク3内の複数の貯留層の湯水の温度が複数のタンク湯水温度センサ13a〜13dにより検出される。
【0022】
貯湯タンク3内に貯留された高温の湯水(例えば、80〜90℃)を出湯配管6に供給することができる。貯湯タンク3の下部には、給水配管4の下流端と加熱循環配管5の上流端とが接続される下部通路部14が接続されている。この下部通路部14を介して、給水配管4から低温の上水を貯湯タンク3内に供給することができ、貯湯タンク3内から加熱循環配管5に湯水を流すことができる。
【0023】
給水配管4は、上流側通路部4a、下流側通路部4b、分岐通路部4cを有する。上流側通路部4aの上流端に上水源(図示略)が接続されている。下流側通路部4bの下流端が下部通路部14に接続され、分岐通路部4cの下流端が混合弁8に接続されている。給水配管4の上流側通路部4aには、貯湯タンク3へ低温の上水を供給する為の手動式の第1開閉弁15が設けられており、通常は第1開閉弁15が開弁されていて、上水を貯湯タンク3内に供給するようになっている。
【0024】
貯湯タンク3の下部には、外部に延びる排水配管7が接続されている。排水配管7には、貯湯タンク3内の湯水を排水する為の手動式の第2開閉弁16が設けられており、通常は第2開閉弁16が閉弁されていて、貯湯給湯装置1を長期間運転停止する場合や定期的なメンテナンスを行う場合に、第2開閉弁16は開弁されて貯湯タンク3内の湯水を排水するようになっている。
【0025】
加熱循環配管5は、熱交換器11により加熱される湯水が流れる流路であり、往き通路部5a、戻り通路部5bを有する。往き通路部5aの上流端が下部通路部14に接続され、往き通路部5aの下流端が熱交換器11に接続されている。戻り通路部5bの上流端が熱交換器11に接続され、下流端が貯湯タンク3の上部に接続されている。貯湯タンク3から循環ポンプ12を介して湯水が下部通路部14、加熱循環配管5の往き通路部5aを通り熱交換器11に送られ、熱交換器11で加熱された温水は戻り通路部5bを流れて貯湯タンク3へ戻される。
【0026】
出湯配管6は、高温の湯水が流れる上流側通路部6a、水と高温の湯水が混合された混合湯水が流れる下流側通路部6bを有する。上流側通路部6aの上流端が貯湯タンク3の上部に接続され、上流側通路部6aの下流端が混合弁8に接続されている。下流側通路部6bの上流端が混合弁8に接続され、下流側通路部6bの下流端に給湯栓17が接続されている。混合弁8は、出湯温度が指令温度になるように、混合される水と高温の湯水の流量比が制御される。
【0027】
給水配管4の上流側通路部4aと出湯配管6の下流側通路部6bがバイパス通路18により接続され、このバイパス通路18に高温出湯回避用の安全弁19が設けられている。出湯配管6の下流側通路部6bの途中部には、湯水の熱量が不足している場合に湯水を加熱する為の補助給湯器9が設けられている。
【0028】
補助給湯器9は、ガス給湯器であり、ガスバーナーからなる燃焼部と、この燃焼部に燃焼用空気を供給する為の送風機と、前記燃焼部から発生する燃焼熱によって水を再加熱して湯水を生成する熱交換器などを備え、外部から延びるガス配管21を介して燃焼部にガスが供給される。このガス配管21には手動式の第3開閉弁22(所謂ガス元栓)が設けられており、通常は第3開閉弁22は開弁されていて、燃料ガスを補助給湯器9に供給可能になっている。
【0029】
次に、外装ケース10について説明する。
図2に示すように、外装ケース10は、前側板31、左右1対の側板32,33、後側板34、天側板35などを備えて、薄鋼板製の箱状に構成されている。外装ケース10は、貯湯タンク3、各種の配管5〜7、混合弁8、第1開閉弁15などを収容している。尚、第2,第3開閉弁16,22は、本実施例では、外装ケース10内部に設けられた構造であっても良いし、外装ケース10の外部に設けられた構造であっても良い。
【0030】
外装ケース10を構成する各側板31〜35は、ケーシング部材36に取り付けられている。ケーシング部材36は、貯湯タンク3の外周側の4隅部に配設され且つ縦方向に延びる複数の縦ラック部材36a及びこれら複数の縦ラック部材36aに固定された横方向に延びる横ラック部材36bなどから構成されている。
【0031】
外装ケース10の前側下部には、側面視逆L字状の仕切り板で区画された前方開放状の段差凹み部37が設けられている。この前側板31から後方に後退した段差凹み部37の上壁部37aと奥壁部37bに配管接続部38が設けられている。配管接続部38は、各種の配管5〜7の外部配管と内部配管とを接続する為の複数の配管継手38aを備えている。
【0032】
さらに、図2図4に示すように、外装ケース10は、外装ケース10の一部である段差凹み部37の奥壁部37bに形成されたメンテナンス用の矩形状の開口部41と、この開口部41を閉塞する為の奥壁部37bに着脱可能な矩形板状の扉部材42とを備えている。扉部材42に形成された第1開閉弁15の操作部43の戻し忘れ防止機構40については後述する。外装ケース10には、配管接続部38を覆うように平面視コ字型の配管カバー39が段差凹み部37に取り付けられる。
【0033】
次に、第1〜第3開閉弁15,16,22について説明するが、基本的な構造は同様であるので、以下では、第1開閉弁15についてのみ説明する。
図6図8に示すように、第1開閉弁15は、給水配管4に一体的に設けられた弁本体15aと、この弁本体15aに設けられ且つ弁本体15aの内部通路15cを開放状態と閉止状態とに切り換え可能な弁軸15bと、この弁軸15bの端部に固定され且つ弁軸15bを操作可能な操作部43とを備えている。
【0034】
操作部43は、弁軸15bの端部に固定された中心円板部43aと、この中心円板部43aの対向する端部から外側に延びる帯状の1対の把持部43bとから構成されている。把持部43bは、中心円板部43aに対して直交状に夫々形成されている。第1開閉弁15は、操作部43を図6図7に示す状態から図8に示す状態へ90度回転することにより、弁軸15bを回転させて開弁状態と閉弁状態とに切り換えることができる。尚、第1〜第3開閉弁15,16,22の弁構造は、操作部43の操作を介して開閉状態の切換え可能なものであれば、種々の構造のものが採用可能である。
【0035】
次に、本発明に関する第1開閉弁15の操作部43の戻し忘れ防止機構40について説明する。
図3図5に示すように、戻し忘れ防止機構40は、扉部材42の右側下部に設けられている。戻し忘れ防止機構40は、開弁状態の第1開閉弁15の操作部43の外形形状と同形状の開孔45であって、第1開閉弁15が開弁状態の場合に操作部43が挿通可能な開孔45と、操作部43が通常運転状態のときの操作位置とは異なる操作位置にある場合に開口部41の閉塞が不可能になる干渉部46とを備えている。
【0036】
開孔45は、扉部材42の右側下部に横向きに且つ貫通状に形成されている。開孔45は、第1開閉弁15の弁軸15bと同一軸心状の中心大径孔45aと、この中心大径孔45aから対向する部分から左右方向に延びる1対の直線状孔45bとから構成されている。干渉部46は、扉部材42における開孔45の周囲の壁部の一部から構成されている。即ち、図3図5に示すように、干渉部46は、開孔45の中心大径孔45aの上下壁部から構成されている。
【0037】
第1開閉弁15は、外装ケース10の内部に大部分が収納されるように配置されると共に操作部43の一部が開口部41から外方へ突出するように扉部材42の近傍部に配置されている。即ち、第1開閉弁15が開弁状態の場合には、外装ケース10に装着された扉部材42の開孔45から操作部43が部分的に外方へ突出し、第1開閉弁15が閉弁状態の場合には、扉部材42の干渉部46(開孔45の上下壁部)に操作部43の1対の把持部43bが裏面側から当接するので、扉部材42の装着が不可能になる。
【0038】
扉部材42の下端には、下方に突出する1対の係合突部42aが設けられている。扉部材42を外装ケース10に固定する場合は、1対の係合突部42aを外装ケース10の開口部41の下側壁部に設けられた1対の被係合部に係合し、扉部材42の上端部を開口部41の上側壁部にビス42bを介して固定することで、扉部材42を開口部41を覆うように外装ケース10に取り付けることができる。
【0039】
次に、本発明の貯湯給湯装置1の作用及び効果について説明する。
貯湯給湯装置1のメンテナンスを行う場合、先ずは、外装ケース10から配管カバー39を取り外して配管接続部38を露出させ、次に、外装ケース10の奥壁部37bから扉部材42を取り外して開口部41を開放し、メンテナンス内容に応じて第1開閉弁15の操作部43を操作する。
【0040】
ここで、例えば、貯湯タンク3への上水の供給を停止したい場合、第1開閉弁15の操作部43を操作して、図6図7に示す開弁状態から図8に示す閉弁状態にすることで、貯湯タンク3への上水の供給が停止される。すると、貯湯タンク3内に給水圧が作用しない状態となるので、メンテナンス作業を行うことができる。
【0041】
メンテナンス終了後に、扉部材42を外装ケース10に装着する際に、第1開閉弁15が閉弁状態のままだと、扉部材42を外装ケース10に取り付けようとしても、操作部43の1対の把持部43bが扉部材42の干渉部46(開孔45の上下壁部)に当接し、扉部材42を外装ケース10に取り付けることができない(閉弁状態における1対の把持部43bの位置を示す図3の鎖線参照)。そこで、操作部43を操作して第1開閉弁15を開弁状態に戻すことで、操作部43が扉部材42の開孔45に挿通可能な状態となり、外装ケース10に扉部材42を取り付けることができるので、操作部43の戻し忘れを防止することができる。
【0042】
以上の説明によれば、外装ケース10に形成された開口部41と、この開口部41を閉塞する為の着脱可能な扉部材42とを備え、第1開閉弁15は、開弁状態と閉弁状態とに切り換える為の操作部43を備えると共に扉部材42の近傍部に配置され、扉部材42は、操作部43が通常運転状態のときの操作位置とは異なる操作位置にある場合に開口部41の閉塞が不可能になる干渉部46を備えたので、メンテナンス等で第1開閉弁15の操作部43を操作した後に、この操作部43が通常運転状態のときの操作位置に戻されてない場合は、扉部材42を外装ケース10に装着しようとしても、操作部43に干渉部46が干渉して開口部41を閉塞できなくなる、故に、外装ケース10内の第1開閉弁15の操作部43の戻し忘れを簡単な構造で防止することができる。
【0043】
また、第1開閉弁15は、操作部43の一部が開口部41から外方へ突出するように外装ケース10の内部に配置され、扉部材42は、第1開閉弁15の操作部43の外形形状と同形状の開孔45であって、第1開閉弁15が開弁状態の場合に操作部43が挿通可能な開孔45を備え、干渉部46は、扉部材42における開孔45の周囲の壁部の一部からなるので、開口部41を扉部材42で閉塞していても第1開閉弁15の操作部43を外部から直接視認できる為、第1開閉弁15の開閉状態を容易に確認することができる。
【0044】
さらに、第1開閉弁15は、配管系のうちの給水配管4に設けられ、第1開閉弁15が開弁状態の場合に、外装ケース10に装着された扉部材42の開孔45から操作部43が外方へ突出するので、給水配管4に設けられた第1開閉弁15の開弁状態への戻し忘れを防止し、メンテナンス終了後に、通常運転状態に復帰した際に貯湯タンク3内に給水配管4から上水を確実に供給することができる。
【実施例2】
【0045】
次に、実施例1の貯湯給湯装置1を部分的に変更した実施例2について説明する。実施例1と同様の構成には同様の参照符号を付して説明は省略する。尚、実施例1では、前記実施例1の戻し忘れ防止機構40は、給水配管4に設けられた第1開閉弁15の操作部43に対して適用されているが、本実施例の戻し忘れ防止機構40Aは、配管系のうちの排水配管7に設けられた第2開閉弁16の操作部43Aに対して適用されている。
【0046】
図9に示すように、戻し忘れ防止機構40Aは、閉弁状態の第2開閉弁16の操作部43Aの外形形状と同形状の実施例1の開孔45と同様な開孔45Aであって、第2開閉弁16が閉弁状態の場合に操作部43Aが挿通可能な開孔45Aと、操作部43Aが通常運転状態のときの操作位置とは異なる操作位置にある場合に開口部41の閉塞が不可能になる開孔45Aの上下壁部からなる干渉部46Aとを備えている。
【0047】
第2開閉弁16は、外装ケース10の内部に大部分が収納されるように配置されると共に操作部43Aの一部が開口部41から外方へ突出するように扉部材42Aの近傍部に配置されている。即ち、第2開閉弁16が閉弁状態の場合には、外装ケース10に装着された扉部材42Aの開孔45Aから操作部43Aが外方へ突出し、第2開閉弁16が開弁状態の場合には、扉部材42Aの開孔45Aの上下壁部に操作部43Aの一部が裏面側から当接するので、扉部材42Aの装着が不可能になる(開弁状態の1対の把持部43bを示す図9の鎖線参照)。
【0048】
以上の説明によれば、第2開閉弁16は、配管系のうちの排水配管7に設けられ、第2開閉弁16が閉弁状態の場合に、外装ケース10に装着された扉部材42Aの開孔45Aから操作部43Aが外方へ突出するので、排水配管7に設けられた第2開閉弁16の閉弁状態への戻し忘れを防止し、メンテナンス終了後に、通常運転状態に復帰した際に貯湯タンク3内に貯留された湯水が排水配管7から排水されるのを確実に防止することができる。開口部41を扉部材42Aで閉塞していても第2開閉弁16の操作部43Aを外部から直接視認できる為、第2開閉弁16の開閉状態を容易に確認することができる。
【0049】
次に、前記実施例1,2を部分的に変更する例について説明する。
[1]前記実施例1の戻し忘れ防止機構40は、給水配管4に設けられた第1開閉弁15の操作部43に対して適用され、前記実施例2の戻し忘れ防止機構40は、排水配管7に設けられた第2開閉弁16の操作部43Aに対して適用されているが、これらに限定する必要はなく、配管系のうちのガス配管22に設けられた第3開閉弁21に適用してもよい。
【0050】
この場合、第3開閉弁21は、外装ケース10の内部に大部分が収納されるように配置されると共に操作部43の一部が開口部41から外方へ突出するように扉部材42の近傍部に配置される。この構成によると、ガス配管22に設けられた第3開閉弁21の閉弁状態への戻し忘れを防止し、メンテナンス終了後に、通常運転状態に復帰した際に補助給湯器9にガス配管22からガスを確実に供給することができる。
【0051】
[2]前記実施例1の戻し忘れ防止機構40に、前記実施例2の戻し忘れ防止機構40Aを加えた構造であっても良い。即ち、前記扉部材42は、第1開閉弁15が開弁状態の場合に操作部43が挿通可能な開孔45と、第2開閉弁16が閉弁状態の場合に操作部43Aが挿通可能な開孔45Aとの2つの開孔45,45Aを備えた構造であっても良い。
【0052】
[3]図10に示すように、戻し忘れ防止機構40Bは、前記開孔45を省略し、扉部材42Bの裏面側に固定された上下1対の規制部材46Bからなる干渉部を備えた構成であっても良い。この構成によれば、第1開閉弁15が開弁状態の場合には、扉部材42Bの1対の規制部材46B間に操作部43が挿入されるので、扉部材42を外装ケース10に装着することができる。第1開閉弁15が閉弁状態の場合には、1対の規制部材46Bに操作部43の一部が当接するので、扉部材42を外装ケース10に装着するのが不可能になる。尚、上下1対の規制部材46Bのうちの一方を省略しても良い。
【0053】
[4]前記実施例1,2において、前記開孔45,45Aの位置や向きは、上述した位置や向きに限定する必要はなく、第1〜第3開閉弁15,16,22の設置状態に応じて適宜変更可能である。また、前記開孔45,45Aの形状は、第1〜第3開閉弁15,16,22の操作部43の外形形状に応じて適宜変更可能である。
【0054】
[5]前記実施例1,2では、燃料電池コージェネレーションシステムの燃料電池発電装置を熱源機とする貯湯給湯装置1を例にして説明したが、ヒートポンプやガスエンジンを熱源機とする貯湯給湯装置にも本発明を同様に適用することができる。
【0055】
[6]その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0056】
1 貯湯給湯装置
3 貯湯タンク
4 給水配管
6 出湯配管
7 排水配管
10 外装ケース
15 第1開閉弁
16 第2開閉弁
22 第3開閉弁
41 開口部
42,42A,42B 扉部材
43,43A 操作部
45,45A 開孔
46,46A,46B 干渉部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10