特許第6056244号(P6056244)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6056244
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】指針式計器装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/28 20060101AFI20161226BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
   G01D11/28 L
   G01D11/28 B
   B60K35/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-168030(P2012-168030)
(22)【出願日】2012年7月30日
(65)【公開番号】特開2014-25865(P2014-25865A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石橋 靖
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 寿朗
【審査官】 榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−128257(JP,A)
【文献】 特開2002−178789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/28
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する第一の表示部材と、前記第一の表示部材の前記開口部から視認可能な第二の表示部材と、前記第一の表示部材を照明する照明光を発する発光素子と、前記照明光を前記第一の表示部材の後面側に導く導光部材と、前記導光部材の内周端面から前記照明光が前記第二の表示部材に照射させることを防止する環状の遮光壁を有する遮光部材と、を備え、
前記導光部材は前記内周端面に連なる傾斜面を有し、前記内周端面が前記遮光壁よりも低くなっていると共に、
前記第一の表示部材の前記開口部は、前記遮光部材側に屈曲しているオーバーハング形状になっていることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記第一の表示部材に形成された指標部を指示する指針と、前記指針を回動させる指針駆動部と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記第二の表示部材を照明する第二の発光素子を備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記傾斜面は、前記内周端面に連なる湾曲形状をしていることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記遮光壁は、前記第一の表示部材の後面に当接していることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の表示部材を備えた車両用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶表示パネルを備えた車両用表示装置が種々提案されており、例えば特許文献1に開示されている。斯かる車両用表示装置は、液晶表示パネルの前側に表示板(目盛板)を配設したものであり、この表示板は液晶表示パネルを取り囲む内周を有している。表示板は、光源からの照明光によって透過照明される。車両用表示装置には、回路基板に実装された光源からの光を導光する導光部材が表示板の背後に必要となり、導光部材からの光が液晶表示パネルに漏れることを防ぐ遮光部材が配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−181301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、遮光部材に成型歪み等があるため、表示板と遮光部材との間に隙間が生じて、導光部材からの光が液晶表示パネルに漏れて、視認性を損なう虞があるという問題を有していた。
本発明は、この問題に鑑みなされたものであり、導光部材からの光漏れを防止できる車両用表示装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、開口部12bを有する第一の表示部材12と、前記第一の表示部材12の前記開口部12bから視認可能な第二の表示部材10と、前記第一の表示部材12を照明する照明光を発する発光素子15と、前記照明光を前記第一の表示部材12の後面側に導く導光部材16と、前記導光部材16の内周端面16cから前記照明光が前記第二の表示部材10に照射させることを防止する環状の遮光壁19bを有する遮光部材19と、を備え、前記導光部材16は前記内周端面16cに連なる傾斜面16dを有し、前記内周端面16cが前記遮光壁19bよりも低くなっていると共に、前記第一の表示部材12の前記開口部12bは、前記遮光部材19側に屈曲しているオーバーハング形状になっているものである。
【0006】
また、本発明は、前記第一の表示部材12に形成された指標部12aを指示する指針8と、前記指針8を回動させる指針駆動部6と、を備えたものである。
【0007】
また、本発明は、前記第二の表示部材10を照明する第二の発光素子14を備えたものである。
【0008】
また、本発明は、前記傾斜面16dは、前記内周端面16cに連なる湾曲形状をしているものである。
【0009】
また、本発明は、前記遮光壁19bは、前記第一の表示部材12の後面に当接しているものである。
【発明の効果】
【0010】
導光部材に傾斜面を形成し、導光部材の内周端面を遮光壁よりも低くしたことにより、導光部材から第二の表示部材に照明光を漏れる虞を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態を示す正面図。
図2】同上実施形態を示す断面図。
図3】同上実施形態を示す要部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面に基づいて、本発明を車両用指示計器に適用した一実施形態を説明する。車両用指示計器は、指針式計器G及び表示器Dを備えている。
【0013】
指針式計器Gと表示器Dの前方には、遮蔽部材1が配置されている。遮蔽部材1は、例えば遮光性の合成樹脂材料からなり、指針式計器Gの所要部を露出し、不要部を隠蔽する開口が形成されている。遮蔽部材1の前方には、例えば透光性の合成樹脂材料からなるフロントカバー2が設けられ、埃等の進入を防いでいる。
【0014】
指針式計器Gと表示器Dの後方には、計器ケース3、回路基板4、リアカバー5がそれぞれ位置している。計器ケース3は、指針式計器Gや表示器Dを組み付け固定する有底枠体からなる剛体であって、遮蔽部材1、フロントカバー2、回路基板4、リアカバー5を直接的または間接的に装着するコア部品となるものである。
【0015】
回路基板4は、計器ケース3の背後に配置される硬質のプリント配線基板である。回路基板4の背面にはステッピングモータからなる指針駆動部6が装着され、この指針駆動部6に設けられた回動可能な回動軸7は回路基板4を貫通して前方に延び、その先端部に指針8が圧入固定されている。また、回路基板4の前面側であって回動軸7の周りには、指針8を照明するための例えば発光ダイオードからなる指針用光源9が配置されている。リアカバー5は、回路基板4の背面を覆ってこれを保護するものである。
【0016】
次に、指針式計器Gと表示器Dの詳細構造について説明する。指針式計器Gには、回路基板4の背後側に電気的に連結され、且つ機械的に組み付け固定される指針駆動部6が設けられているとともに、この指針駆動部6に設けられた回動軸7の先端部には指針8が圧入固定されている。
【0017】
指針8は、表示器Dの後方に位置し、実質的に観察者側から視認されない第1の指針部8aと、表示器Dの前方に位置し実質的に観察者側から視認される第2の指針部8bとに分割形成され、これら第1の指針部8aと第2の指針部8bとを連結するための連結部材8cとで構成され、第1の指針部8aと第2の指針部8bとは共に透明な合成樹脂材料からなり、連結部材8cは例えば遮光性の合成樹脂材料によって形成されている。
【0018】
第1の指針部8aは、表示器Dの側面から背面にかけて迂回して延びる棒状体からなり、指針用光源9から入光した光をその長手方向に向けて反射する反射部(図示せず)と、回動軸7に沿って延び回動軸7に圧入固定される第1の指針部8aのボス部8dとを備え、ボス部8dとは反対側となる自由端部は、第2の指針部8b部分に対向している。
【0019】
第2の指針部8bは、表示板12に沿って延びる棒状の指示部であり、その背面または前面には着色層が設けられている。連結部材8cは、第1の指針部8a,第2の指針部8bとのそれぞれを部分的に収納する概略箱形の形状をなしている。
【0020】
このように構成される指針式計器Gは、表示器Dの後方を迂回して表示器Dの前方に至り、指針駆動部6に設けられた回動軸7の回転に伴い、回動軸7を基準として表示器Dの外周を回動する。指針用光源9の点灯時には、第1の指針部8aを通じて第2の指針部8bに光が導かれ、第2の指針部8bが光輝する。
【0021】
表示器Dは、液晶表示パネル10と、この液晶表示パネル10を保持する枠状のホルダー11と、このホルダー11の前面側に配置される表示板12と、前記ホルダー11の背後側に配置される光源設置用の回路基板13と、この回路基板13上に配置された液晶表示パネル10を透過照明する光源14と、表示板12を透過照明する光源15とで構成されている。各光源14,15は、例えば発光ダイオードからなるものである。
【0022】
液晶表示パネル10は、例えばSTN(Super Twisted Nematic)やTN(Twisted Nematic)等のLCDパネルからなり、様々な情報(例えば外気温情報、走行距離情報、燃費情報からなる車両情報や例えばナビゲーション情報からなる交通情報)を表示する。
【0023】
表示板12は、液晶表示パネル10の外周に沿って配置され、指針8の指示対象となる指標部12a(目盛や文字など)と、液晶表示パネル10の表示エリアである所要部を露出するための切り欠き形成した表示窓部12bとを有し、この表示窓部12bから液晶表示パネル10が視認されるものである。表示板12は、液晶表示パネル10の上側外周に位置して配設されている。表示板12は、指標部12aが透過性、それ以外が遮光性に形成された透過型印刷表示板である。表示板12の表示窓部12bは、オーバーハング形状になっており、遮光部材19側に屈曲している。
【0024】
ホルダー11は、例えば光反射性の良好な白色の合成樹脂材料からなり、フロントカバー2側から見た外形形状は、表示板12の形状に対応する横向きの略D字形である。枠状のホルダー11には、表示板12に対応する第1の照明室R1と、液晶表示パネル10に対応する第2の照明室R2とが形成されている。
【0025】
第1の照明室R1は、指標部12aの配列形状に沿った円弧形状に形成され、その前方側には表示板12が配置され、また背面側には発光ダイオードからなる光源15が配置され、さらに表示板12と光源15との間には、導光部材16が配置されている。
【0026】
導光部材16は、第1の照明室R1に沿った円弧形状に形成されている。導光部材16は、光源15の照明光を導入する受光部16aと、この受光部16aから受光した光線を表示板12の指標部12aを透過照明するために表示板12の板面に沿って延びて設けられる導光部16bと、を有している。遮光部材19は、導光部材16の導光部16bの端面部16cから洩れ出ようとする光線を遮蔽するものである。導光部材16は、内周端面16cに連なる湾曲形状の傾斜面16dを有している。遮光部材19は、液晶表示パネル10に平行な底壁19aと、遮光壁19bとを有しており、遮光壁19bは表示板12後面に当接している。導光部材16の内周端面16cは、遮光部材19の遮光壁19bよりも低くなっている。
【0027】
回路基板13は、その前面側に光源14,15が装着されており、枠状のホルダー11の背後に固定用のビス18を介して組み付け固定されることで、光源14と光源15とが各照明室R1,R2内に位置するようになっている。ホルダー11は、液晶表示パネル10、表示板12、導光部材16、回路基板13をそれぞれ結合する中核部品となるものである。
【0028】
本実施形態によれば、導光部材16に傾斜面16dを形成し、導光部材16の内周端面16cを遮光壁19bよりも低くしたことにより、導光部材16から液晶表示パネル10に照明光を漏れる虞を低減することができる。なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、導光部材16の傾斜面16dは湾曲形状であったが、平面であっても良い。
【符号の説明】
【0029】
6 指針駆動部
8 指針
10 液晶表示パネル(第二の表示部材)
12 表示板(第一の表示部材)
12a 指標部
12b 表示窓部(開口部)
14 光源(第二の発光素子)
15 光源(発光素子)
16 導光部材
16c 内周端面
16d 傾斜面
19 遮光部材
19b 遮光壁
図1
図2
図3