特許第6056254号(P6056254)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6056254
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/34 20060101AFI20161226BHJP
   H01M 2/14 20060101ALI20161226BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20161226BHJP
   H01M 10/058 20100101ALN20161226BHJP
【FI】
   H01M2/34 B
   H01M2/14
   H01M10/04 Z
   !H01M10/058
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-179394(P2012-179394)
(22)【出願日】2012年8月13日
(65)【公開番号】特開2014-38736(P2014-38736A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2014年10月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】西原 寛恭
(72)【発明者】
【氏名】南形 厚志
【審査官】 松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−079466(JP,A)
【文献】 特開2013−012428(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/111256(WO,A1)
【文献】 特開2013−161632(JP,A)
【文献】 特開2011−049066(JP,A)
【文献】 特開2004−063347(JP,A)
【文献】 特開2011−155001(JP,A)
【文献】 特開2012−155888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/34
H01M 2/14
H01M 10/04
H01M 10/058
H01G 11/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極活物質が塗布された正極活物質層、及び前記正極活物質が塗布されていない正極未塗工部を有する正極電極と、負極活物質が塗布された負極活物質層、及び前記負極活物質が塗布されていない負極未塗工部を有する負極電極とを備え、前記正極電極と前記負極電極との間にセパレータを介在した状態で積層された電極組立体が、ケース本体と蓋とで構成されたケース内に収容され、前記電極組立体と電気を授受する正極端子及び負極端子が前記蓋から突出した状態で設けられた蓄電装置において、
前記正極端子、及び前記正極未塗工部の双方と電気的に接続された正極導電部材と、
前記負極端子、及び前記負極未塗工部の双方と電気的に接続された負極導電部材と、
前記電極組立体の少なくとも下面及び側面を覆う絶縁フィルムと、
前記電極組立体以外に前記ケース内に収容されるケース内部材と、を備え、
前記絶縁フィルムは、舌片状の取付用タブが設けられており、前記絶縁フィルムは、該取付用タブによって前記ケース内部材に固定又は係止される取付部を有し、
前記ケース内部材には、
前記正極導電部材及び前記負極導電部材を含み、
前記取付部は、一対の前記取付用タブが前記正極導電部材及び前記負極導電部材のうち少なくとも何れか一方の上面を覆うように重ね合わされてテープで接合されているか、前記取付用タブがテープで前記正極導電部材及び前記負極導電部材のうち少なくとも何れか一方に直接的に接合されているか、もしくは、前記取付用タブが前記正極導電部材及び前記負極導電部材のうち少なくとも何れか一方の被係止部に引っ掛けられてテープで前記絶縁フィルムに接合されていることにより、前記絶縁フィルムは、前記正極導電部材及び前記負極導電部材のうち少なくとも何れか一方に固定又は係止されており、
前記絶縁フィルムは、前記電極組立体の荷重を支えていることを特徴とする蓄電装置。
【請求項2】
正極活物質が塗布された正極活物質層、及び前記正極活物質が塗布されていない正極未塗工部を有する正極電極と、負極活物質が塗布された負極活物質層、及び前記負極活物質が塗布されていない負極未塗工部を有する負極電極とを備え、前記正極電極と前記負極電極との間にセパレータを介在した状態で積層された電極組立体が、ケース本体と蓋とで構成されたケース内に収容され、前記電極組立体と電気を授受する正極端子及び負極端子が前記蓋から突出した状態で設けられた蓄電装置において、
前記正極端子、及び前記正極未塗工部の双方と電気的に接続された正極導電部材と、
前記負極端子、及び前記負極未塗工部の双方と電気的に接続された負極導電部材と、
前記電極組立体の少なくとも下面及び側面を覆う絶縁フィルムと、
前記電極組立体以外に前記ケース内に収容されるケース内部材と、を備え、
前記絶縁フィルムは、舌片状の取付用タブが設けられており、前記絶縁フィルムは、該取付用タブによって前記ケース内部材に固定又は係止される取付部を有し、
前記ケース内部材には、
前記正極導電部材及び前記負極導電部材と、
前記ケースと前記正極導電部材、及び前記ケースと前記負極導電部材を絶縁する絶縁部材と、を含み、
前記絶縁部材は、前記正極導電部材及び前記負極導電部材に嵌め込まれており、前記取付部は、前記絶縁部材の上面において前記取付用タブ同士がテープで接合されているか、前記取付用タブがテープや接着剤で前記絶縁部材に直接的に接合されているか、もしくは、前記取付用タブが前記絶縁部材の被係止部に係止されていることにより、前記絶縁フィルムは、前記絶縁部材に固定又は係止されており、
前記絶縁フィルムは、前記電極組立体の荷重を支えていることを特徴とする蓄電装置。
【請求項3】
正極活物質が塗布された正極活物質層、及び前記正極活物質が塗布されていない正極未塗工部を有する正極電極と、負極活物質が塗布された負極活物質層、及び前記負極活物質が塗布されていない負極未塗工部を有する負極電極とを備え、前記正極電極と前記負極電極との間にセパレータを介在した状態で積層された電極組立体が、ケース本体と蓋とで構成されたケース内に収容され、前記電極組立体と電気を授受する正極端子及び負極端子が前記蓋から突出した状態で設けられた蓄電装置において、
前記正極端子、及び前記正極未塗工部の双方と電気的に接続された正極導電部材と、
前記負極端子、及び前記負極未塗工部の双方と電気的に接続された負極導電部材と、
前記電極組立体の少なくとも下面及び側面を覆う絶縁フィルムと、
前記電極組立体以外に前記ケース内に収容されるケース内部材と、を備え、
前記絶縁フィルムは、舌片状の取付用タブが設けられており、前記絶縁フィルムは、該取付用タブによって前記ケース内部材に固定される取付部を有し、
前記ケース内部材には、
前記正極導電部材及び前記負極導電部材と、
前記ケースと前記正極導電部材、及び前記ケースと前記負極導電部材を絶縁する絶縁部材と、を含み、
前記絶縁部材は、前記正極導電部材及び前記負極導電部材に嵌め込まれており、
前記取付部は、前記取付用タブが前記絶縁部材と前記正極導電部材及び前記負極導電部材の間に挟まれて形成されていることにより、前記絶縁フィルムは、前記電極組立体の荷重を支えていることを特徴とする蓄電装置。
【請求項4】
正極活物質が塗布された正極活物質層、及び前記正極活物質が塗布されていない正極未塗工部を有する正極電極と、負極活物質が塗布された負極活物質層、及び前記負極活物質が塗布されていない負極未塗工部を有する負極電極とを備え、前記正極電極と前記負極電極との間にセパレータを介在した状態で積層された電極組立体が、ケース本体と蓋とで構成されたケース内に収容され、前記電極組立体と電気を授受する正極端子及び負極端子が前記蓋から突出した状態で設けられた蓄電装置において、
前記正極端子、及び前記正極未塗工部の双方と電気的に接続された正極導電部材と、
前記負極端子、及び前記負極未塗工部の双方と電気的に接続された負極導電部材と、
前記電極組立体の少なくとも下面及び側面を覆う絶縁フィルムと、
前記電極組立体以外に前記ケース内に収容されるケース内部材と、を備え、
前記絶縁フィルムは、舌片状の取付用タブが設けられており、前記絶縁フィルムは、該取付用タブによって前記ケース内部材に固定又は係止される取付部を有し、
前記ケース内部材には、
前記ケースと前記正極端子、及び前記ケースと前記負極端子を絶縁する端子絶縁部材を含み、
前記端子絶縁部材は、前記正極導電部材及び前記負極導電部材に取り付けられており、前記取付部は、前記取付用タブがテープや接着剤で前記端子絶縁部材に直接的に接合されているか、もしくは、前記取付用タブが前記端子絶縁部材に設けられた被係止部に係止されていることにより、前記絶縁フィルムは、前記端子絶縁部材に固定又は係止されており、
前記絶縁フィルムは、前記電極組立体の荷重を支えていることを特徴とする蓄電装置。
【請求項5】
前記取付部は、前記電極組立体を覆う絶縁フィルムを重ねて形成されている請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記蓄電装置は、二次電池である請求項1〜請求項のうち何れか一項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁フィルムで覆った電極組立体をケースに収容した蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
EV(Electric Vehicle)やPHV(Plug in Hybrid Vehicle)などの車両には、原動機となる電動機への供給電力を蓄える蓄電装置としてリチウムイオン電池などの二次電池が搭載されている。この種の二次電池は、例えば、特許文献1に開示されている。図14に示すように、二次電池100は、ケース本体101に電極組立体102を収容し、そのケース本体101の開口部103を蓋104によって閉塞している。そして、電極組立体102は、正極リード部105及び負極リード部106を介して蓋104から外部に突出する電極端子107,108に電気的に接続されている。また、電極組立体102は、絶縁フィルム109で覆われた状態でケース本体101に収容されている。
【0003】
また、電極組立体102の各リード部105,106と電極端子107,108は、例えば、特許文献1,2に開示されるように、溶接などによって接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−338304号公報
【特許文献2】特開平9−120836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電極組立体102の各リード部105,106と電極端子107,108を溶接した場合、電極組立体102は、溶接部位を介して蓋104と接続された状態となる。そして、図14に示すように、底部の対向部位に開口部103を設けたケース本体101に電極組立体102を挿入する場合、その電極組立体102は、蓋104にぶら下がった状態でケース本体101に挿入される。このため、電極組立体102の挿入時には、電極組立体102の荷重が各リード部105,106と電極端子107,108の溶接部位に付加されることになる。そして、各リード部105,106は、アルミニウム箔や銅箔などの金属箔で構成されている。したがって、電極組立体102の荷重を溶接部位で支えることができなかった場合には、各リード部105,106が破れ、適切な集電効率を得ることができない虞があった。
【0006】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、適切な集電効率を得られる蓄電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、正極活物質が塗布された正極活物質層、及び前記正極活物質が塗布されていない正極未塗工部を有する正極電極と、負極活物質が塗布された負極活物質層、及び前記負極活物質が塗布されていない負極未塗工部を有する負極電極とを備え、前記正極電極と前記負極電極との間にセパレータを介在した状態で積層された電極組立体が、ケース本体と蓋とで構成されたケース内に収容され、前記電極組立体と電気を授受する正極端子及び負極端子が前記蓋から突出した状態で設けられた蓄電装置において、前記正極端子、及び前記正極未塗工部の双方と電気的に接続された正極導電部材と、前記負極端子、及び前記負極未塗工部の双方と電気的に接続された負極導電部材と、前記電極組立体の少なくとも下面及び側面を覆う絶縁フィルムと、前記電極組立体以外に前記ケース内に収容されるケース内部材と、を備え、前記絶縁フィルムは、舌片状の取付用タブが設けられており、前記絶縁フィルムは、該取付用タブによって前記ケース内部材に固定又は係止される取付部を有し、前記ケース内部材には、前記正極導電部材及び前記負極導電部材を含み、前記取付部は、一対の前記取付用タブが前記正極導電部材及び前記負極導電部材のうち少なくとも何れか一方の上面を覆うように重ね合わされてテープで接合されているか、前記取付用タブがテープで前記正極導電部材及び前記負極導電部材のうち少なくとも何れか一方に直接的に接合されているか、もしくは、前記取付用タブが前記正極導電部材及び前記負極導電部材のうち少なくとも何れか一方の被係止部に引っ掛けられてテープで前記絶縁フィルムに接合されていることにより、前記絶縁フィルムは、前記正極導電部材及び前記負極導電部材のうち少なくとも何れか一方に固定又は係止されており、前記絶縁フィルムは、前記電極組立体の荷重を支えていることを要旨とする。
【0008】
これによれば、電極組立体を覆う絶縁フィルムを蓋における電極組立体側の面やケース内部材に固定又は係止することで、絶縁フィルムは電極組立体に吊り下げられる。このため、蓋に電極組立体をぶら下げた状態で固定したとしても、電極組立体の荷重を絶縁フィルムで支えることができる。そして、電極組立体の荷重により、正極端子と電気的に接続される正極未塗工部や負極端子と電気的に接続される負極未塗工部が破れることを抑制し得る。したがって、適切な集電効率を得ることができる。
【0010】
また、正極導電部材や負極導電部材に絶縁フィルムを固定又は係止させることで、正極未塗工部や負極未塗工部に付加される電極組立体の荷重をより適切に低減させることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、正極活物質が塗布された正極活物質層、及び前記正極活物質が塗布されていない正極未塗工部を有する正極電極と、負極活物質が塗布された負極活物質層、及び前記負極活物質が塗布されていない負極未塗工部を有する負極電極とを備え、前記正極電極と前記負極電極との間にセパレータを介在した状態で積層された電極組立体が、ケース本体と蓋とで構成されたケース内に収容され、前記電極組立体と電気を授受する正極端子及び負極端子が前記蓋から突出した状態で設けられた蓄電装置において、前記正極端子、及び前記正極未塗工部の双方と電気的に接続された正極導電部材と、前記負極端子、及び前記負極未塗工部の双方と電気的に接続された負極導電部材と、前記電極組立体の少なくとも下面及び側面を覆う絶縁フィルムと、前記電極組立体以外に前記ケース内に収容されるケース内部材と、を備え、前記絶縁フィルムは、舌片状の取付用タブが設けられており、前記絶縁フィルムは、該取付用タブによって前記ケース内部材に固定又は係止される取付部を有し、前記ケース内部材には、前記正極導電部材及び前記負極導電部材と、前記ケースと前記正極導電部材、及び前記ケースと前記負極導電部材を絶縁する絶縁部材と、を含み、前記絶縁部材は、前記正極導電部材及び前記負極導電部材に嵌め込まれており、前記取付部は、前記絶縁部材の上面において前記取付用タブ同士がテープで接合されているか、前記取付用タブがテープや接着剤で前記絶縁部材に直接的に接合されているか、もしくは、前記取付用タブが前記絶縁部材の被係止部に係止されていることにより、前記絶縁フィルムは、前記絶縁部材に固定又は係止されており、前記絶縁フィルムは、前記電極組立体の荷重を支えていることを要旨とする。
【0012】
これによれば、正極導電部材や負極導電部材とケースを絶縁する絶縁部材に絶縁フィルムを固定又は係止させることで、正極未塗工部や負極未塗工部に付加される電極組立体の荷重をより適切に低減させることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、正極活物質が塗布された正極活物質層、及び前記正極活物質が塗布されていない正極未塗工部を有する正極電極と、負極活物質が塗布された負極活物質層、及び前記負極活物質が塗布されていない負極未塗工部を有する負極電極とを備え、前記正極電極と前記負極電極との間にセパレータを介在した状態で積層された電極組立体が、ケース本体と蓋とで構成されたケース内に収容され、前記電極組立体と電気を授受する正極端子及び負極端子が前記蓋から突出した状態で設けられた蓄電装置において、前記正極端子、及び前記正極未塗工部の双方と電気的に接続された正極導電部材と、前記負極端子、及び前記負極未塗工部の双方と電気的に接続された負極導電部材と、前記電極組立体の少なくとも下面及び側面を覆う絶縁フィルムと、前記電極組立体以外に前記ケース内に収容されるケース内部材と、を備え、前記絶縁フィルムは、舌片状の取付用タブが設けられており、前記絶縁フィルムは、該取付用タブによって前記ケース内部材に固定される取付部を有し、前記ケース内部材には、前記正極導電部材及び前記負極導電部材と、前記ケースと前記正極導電部材、及び前記ケースと前記負極導電部材を絶縁する絶縁部材と、を含み、前記絶縁部材は、前記正極導電部材及び前記負極導電部材に嵌め込まれており、前記取付部は、前記取付用タブが前記絶縁部材と前記正極導電部材及び前記負極導電部材の間に挟まれて形成されていることにより、前記絶縁フィルムは、前記電極組立体の荷重を支えていることを要旨とする。これによれば、絶縁フィルムの固定力を強めることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、正極活物質が塗布された正極活物質層、及び前記正極活物質が塗布されていない正極未塗工部を有する正極電極と、負極活物質が塗布された負極活物質層、及び前記負極活物質が塗布されていない負極未塗工部を有する負極電極とを備え、前記正極電極と前記負極電極との間にセパレータを介在した状態で積層された電極組立体が、ケース本体と蓋とで構成されたケース内に収容され、前記電極組立体と電気を授受する正極端子及び負極端子が前記蓋から突出した状態で設けられた蓄電装置において、前記正極端子、及び前記正極未塗工部の双方と電気的に接続された正極導電部材と、前記負極端子、及び前記負極未塗工部の双方と電気的に接続された負極導電部材と、前記電極組立体の少なくとも下面及び側面を覆う絶縁フィルムと、前記電極組立体以外に前記ケース内に収容されるケース内部材と、を備え、前記絶縁フィルムは、舌片状の取付用タブが設けられており、前記絶縁フィルムは、該取付用タブによって前記ケース内部材に固定又は係止される取付部を有し、前記ケース内部材には、前記ケースと前記正極端子、及び前記ケースと前記負極端子を絶縁する端子絶縁部材を含み、前記端子絶縁部材は、前記正極導電部材及び前記負極導電部材に取り付けられており、前記取付部は、前記取付用タブがテープや接着剤で前記端子絶縁部材に直接的に接合されているか、もしくは、前記取付用タブが前記端子絶縁部材に設けられた被係止部に係止されていることにより、前記絶縁フィルムは、前記端子絶縁部材に固定又は係止されており、前記絶縁フィルムは、前記電極組立体の荷重を支えていることを要旨とする。これによれば、端子絶縁部材を利用して絶縁フィルムを固定又は係止させることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の蓄電装置において、前記取付部は、前記電極組立体を覆う絶縁フィルムを重ねて形成されていることを要旨とする。これによれば、絶縁フィルムの固定力を強めることができる。
【0017】
請求項に記載の発明は、請求項1〜請求項のうち何れか一項に記載の蓄電装置において、前記蓄電装置は、二次電池であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、適切な集電効率を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施形態の二次電池の分解斜視図。
図2】正極電極、負極電極及びセパレータを示す斜視図。
図3】絶縁フィルムで覆った電極組立体の全体を示す斜視図。
図4】ケース本体に電極組立体を挿入する様子を示す模式図。
図5】第2の実施形態の電極組立体を示す斜視図。
図6】絶縁フィルムで覆った電極組立体の全体を示す斜視図。
図7】第3の実施形態の電極組立体を示す斜視図。
図8】端子絶縁部材を示す斜視図。
図9】絶縁フィルムで覆った電極組立体の全体を示す斜視図。
図10】第4の実施形態の電極組立体の一部を示す正面図。
図11】絶縁フィルムで覆った電極組立体の全体を示す斜視図。
図12】第5の実施形態の端子絶縁部材を示す斜視図。
図13】絶縁フィルムで覆った電極組立体の全体を示す斜視図。
図14】背景技術における二次電池の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1図4にしたがって説明する。
図1に示すように、蓄電装置としての二次電池10には、ケース11に電極組立体12が収容されている。ケース11は、有底四角筒状のケース本体13と、ケース本体13に電極組立体12を挿入する開口部14を塞ぐ矩形平板状の蓋15とからなる。ケース本体13と蓋15は、何れも金属製(例えば、ステンレスやアルミニウム)である。また、本実施形態の二次電池10は、その外観が角型をなす角型電池である。また、本実施形態の二次電池10は、リチウムイオン電池である。
【0021】
図2に示すように、電極組立体12は、シート状の正極電極16と、シート状の負極電極17と、正極電極16と負極電極17の間を絶縁するセパレータ18と、を有する。そして、電極組立体12は、複数枚の正極電極16と複数枚の負極電極17との間にセパレータ18を介在した状態で交互に積層して構成される。すなわち、電極組立体12には、正極電極16と、負極電極17と、セパレータ18とからなる組が複数組、設けられている。本実施形態の電極組立体12は、正極電極16、負極電極17及びセパレータ18を積層することにより、直方体状に構成される。直方体状の電極組立体12は、図1に示すように、電極組立体12をケース11に収容した場合に蓋15の内面(電極組立体12側の面)に面する上面12aと、上面12aと対向しかつケース本体13の底壁の内面に面する下面12bと、上面12a及び下面12bに連設される側面12c,12d,12e,12fからなる6面体となる。側面12c,12dは、電極組立体12をケース11に収容した場合に電極組立体12の積層方向Tで対向するケース本体13の側壁の内面に面する。また、側面12e,12fは、電極組立体12をケース11に収容した場合に電極組立体12の積層方向Tに直交する方向で対向するケース本体13の側壁の内面に面する。
【0022】
図2に示すように、正極電極16は、正極金属箔(本実施形態ではアルミニウム箔)19と、その両面に正極活物質を塗布してなる正極活物質層20を有する。また、正極電極16の一端としての縁部16aには、正極金属箔19からなる正極集電タブ21が突出するように設けられている。正極集電タブ21は、正極活物質が塗布されていない正極未塗工部を構成する。また、正極集電タブ21は、電極組立体12を構成する各正極電極16において同位置に同一形状で形成されている。
【0023】
図2に示すように、負極電極17は、負極金属箔(本実施形態では銅箔)22と、その両面に負極活物質を塗布してなる負極活物質層23を有する。また、負極電極17の一端としての縁部17aには、負極金属箔22からなる負極集電タブ24が突出するように設けられている。負極集電タブ24は、負極活物質が塗布されていない負極未塗工部を構成する。また、負極集電タブ24は、電極組立体12を構成する各負極電極17において同位置に同一形状で形成されている。また、負極集電タブ24は、正極電極16と負極電極17を積層する場合に正極集電タブ21とは積層方向Tにおいて重ならない位置に設けられている。
【0024】
そして、電極組立体12を構成する各正極電極16は、それぞれの正極集電タブ21が積層方向Tに沿って列状に配置されるように積層される。同様に、電極組立体12を構成する各負極電極17は、それぞれの負極集電タブ24が、正極集電タブ21と重ならないように積層方向Tに沿って列状に配置されるように積層される。そして、各正極集電タブ21は、図1に示すように、電極組立体12における積層方向Tの一端から他端までの範囲に集められて正極集電タブ群25とされる。また、各負極集電タブ24も同様に、図1に示すように、電極組立体12における積層方向Tの一端から他端までの範囲に集められて負極集電タブ群26とされる。正極集電タブ群25と負極集電タブ群26は、電極組立体12の積層方向Tに折り曲げられている。
【0025】
正極集電タブ群25には、矩形板状の正極導電部材27が溶接によって接合されている。そして、正極集電タブ群25と正極導電部材27には、溶接による接合部Yが形成されている。また、負極集電タブ群26には、矩形板状の負極導電部材28が溶接によって接合されている。そして、負極集電タブ群26と負極導電部材28には、溶接による接合部Yが形成されている。正極導電部材27及び負極導電部材28の溶接には、例えば抵抗溶接が用いられる。抵抗溶接は、溶接部に大電流を流すことによって生じる抵抗熱で接合対象物を加熱するとともに、同時に大きな荷重を与えて接合対象物を溶接する方法である。
【0026】
そして、正極導電部材27には、電極組立体12と電気を授受する正極端子29が接合されている。これにより、正極導電部材27は、正極端子29と正極未塗工部をなす正極集電タブ群25とを電気的に接続する。つまり、正極導電部材27は、正極端子29と正極集電タブ群25の双方と電気的に接続されている。また、負極導電部材28には、電極組立体12と電気を授受する負極端子30が接合されている。これにより、負極導電部材28は、負極端子30と負極未塗工部をなす負極集電タブ群26とを電気的に接続する。つまり、負極導電部材28は、負極端子30と負極集電タブ群26の双方と電気的に接続されている。
【0027】
正極端子29は、一部がケース11外に露出する正極端子部31と、正極端子部31の雄ねじ部31aが螺合される雌ねじ部32aを有する正極端子台32から構成される。また、負極端子30は、一部がケース11外に露出する負極端子部33と、負極端子部33の雄ねじ部33aが螺合される雌ねじ部34aを有する負極端子台34から構成される。そして、正極端子29は、蓋15に所定の間隔をあけて並設された一対の貫通孔35に絶縁リング36を介在させた状態で雄ねじ部31aを挿通させるとともに、雌ねじ部32aに螺合させることによって正極端子部31と正極端子台32が一体化される。つまり、正極端子29は、正極導電部材27を介して電極組立体12と電気的に接続される。同様に、負極端子30は、貫通孔35に絶縁リング36を介在させた状態で雄ねじ部33aを挿通させるとともに、雌ねじ部34aに螺合させることによって負極端子部33と負極端子台34が一体化される。つまり、負極端子30は、負極導電部材28を介して電極組立体12と電気的に接続される。なお、絶縁リング36は、正極端子29及び負極端子30をケース11から絶縁する。
【0028】
そして、正極端子部31と正極端子台32を接続した正極端子29、及び負極端子部33と負極端子台34を接続した負極端子30は、それぞれが蓋15から突出した状態で設けられる。また、電極組立体12は、正極端子29及び負極端子30がそれぞれ電気的に接続されることにより、蓋15に対して固定される。つまり、蓋15と電極組立体12は、正極端子部31と正極端子台32の接続、及び負極端子部33と負極端子台34の接続により、一体化される。本実施形態では、正極導電部材27、負極導電部材28、正極端子台32、及び負極端子台34が、電極組立体12以外にケース11内に収容されるケース内部材となる。
【0029】
また、電極組立体12は、その外面の一部が絶縁フィルム37で覆われた状態でケース本体13に収容される。絶縁フィルム37は、その全体が平面視四角状をなし、電極組立体12において正極集電タブ群25及び負極集電タブ群26を設けた上面12aを除く、下面12b及び側面12c〜12fの5面を覆うことが可能な大きさである。絶縁フィルム37は、電極組立体12をケース本体13に収容した場合に、電極組立体12の下面12b及び各側面12c〜12fが面するケース本体13の壁面との間に介在し、電極組立体12とケース本体13を絶縁する。
【0030】
図3に示すように、電極組立体12を覆う絶縁フィルム37は、電極組立体12の側面12e,12f側、及び上面12a側において絶縁フィルム37同士が重ね合わされて、粘着テープPで接合される。絶縁フィルム37には、図1に示すように、電極組立体12を覆った時に正極集電タブ群25及び負極集電タブ群26に対応する位置のそれぞれに舌片状の取付用タブ38が設けられている。そして、絶縁フィルム37は、図3に示すように、電極組立体12の側面12dを覆う絶縁フィルム37の面から延びる取付用タブ38と、電極組立体12の側面12cを覆う絶縁フィルム37の面から延びる取付用タブ38とが、正極集電タブ群25及び負極集電タブ群26をそれぞれ覆うように取り付けられる。具体的に言えば、正極集電タブ群25に対応する位置に設けられた一対の取付用タブ38は、正極集電タブ群25及び正極導電部材27を覆うように重ね合わされて粘着テープPで接合される。また、負極集電タブ群26に対応する位置に設けられた一対の取付用タブ38は、負極集電タブ群26及び負極導電部材28を覆うように重ね合わされて粘着テープPで接合される。これにより、絶縁フィルム37は、電極組立体12を覆い、かつ電極組立体12に吊り下げられた状態で取り付けられる。本実施形態では、重ねられた取付用タブ38が取付部となり、その取付用タブ38が固定部として機能することで、絶縁フィルム37をケース内部材である正極導電部材27及び負極導電部材28に固定する。
【0031】
以下、本実施形態の作用を説明する。
図4に示すように、電極組立体12を覆う絶縁フィルム37を、当該絶縁フィルム37の取付用タブ38が正極導電部材27及び負極導電部材28をそれぞれ覆うように取り付けている。このため、絶縁フィルム37は、正極端子29及び負極端子30によって蓋15と電極組立体12が固定されると、電極組立体12とともに蓋15に固定されることになる。つまり、絶縁フィルム37は、電極組立体12に吊り下げられた状態となる。
【0032】
したがって、図4に示すように、電極組立体12をケース本体13に挿入する場合であっても、電極組立体12の荷重は、当該電極組立体12を覆う絶縁フィルム37で支えることが可能となる。具体的に言えば、電極組立体12の荷重は、正極導電部材27及び負極導電部材28を覆うように固定した絶縁フィルム37の取付用タブ38で支えられる。このため、電極組立体12を蓋15に対してぶら下げた状態で固定したとしても、正極集電タブ群25と正極導電部材27の接合部Y、及び負極集電タブ群26と負極導電部材28の接合部Yに付加される電極組立体12の荷重は低減される。その結果、正極集電タブ群25を構成する正極集電タブ21や、負極集電タブ群26を構成する負極集電タブ24に付加される荷重が低減され、破れなどが抑制される。
【0033】
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)電極組立体12を覆う絶縁フィルム37を正極導電部材27及び負極導電部材28に固定することで、絶縁フィルム37を電極組立体12に吊り下げることができる。このため、蓋15に電極組立体12をぶら下げた状態で固定したとしても、電極組立体12の荷重を絶縁フィルム37で支えることができる。そして、電極組立体12の荷重により、正極集電タブ群25(正極集電タブ21)や負極集電タブ群26(負極集電タブ24)が破れることを抑制し得る。したがって、適切な集電効率を得ることができる。
【0034】
(2)正極導電部材27は正極集電タブ群25との接合部Yを有し、負極導電部材28は負極集電タブ群26との接合部Yを有する。このため、蓋15に電極組立体12をぶら下げた状態で固定した場合には、これらの接合部Yに電極組立体12の荷重が付加されることになる。しかし、本実施形態の構成では、絶縁フィルム37を電極組立体12に吊り下げているので、接合部Yに付加される電極組立体12の荷重を低減させることができる。
【0035】
(3)また、本実施形態の電極組立体12は、正極集電タブ群25及び負極集電タブ群26を曲げる構成である。このため、電極組立体12と、正極導電部材27や負極導電部材28との固定構造を設けないと、蓋15に対して電極組立体12をぶら下げた時の正極集電タブ群25及び負極集電タブ群26の自由度が大きく、正極集電タブ群25や負極集電タブ群26が破れる可能性が高い。しかし、絶縁フィルム37を電極組立体12に吊り下げることで、電極組立体12と、正極導電部材27や負極導電部材28との固定構造が構築されるため、破れ難い構造となる。
【0036】
(4)また、蓋15に対して電極組立体12をぶら下げた時に正極集電タブ群25や負極集電タブ群26へ付加される荷重が低減されることで、電極組立体12の扱いが容易となる。したがって、電極組立体12の挿入作業性などが向上し、二次電池10の生産効率を向上させることができる。
【0037】
(5)また、絶縁フィルム37を正極導電部材27や負極導電部材28に固定することで、正極集電タブ群25や負極集電タブ群26に付加される電極組立体12の荷重をより適切に低減させることができる。また、正極導電部材27や負極導電部材28は、二次電池10を構成するために必要な部品であり、ケース11内に設けられているので、絶縁フィルム37を固定する部品を別途、設ける必要が無く、製造コストの増加を抑制できる。
【0038】
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施形態を図5及び図6にしたがって説明する。
以下に説明する実施形態では、既に説明した実施形態と同一構成について同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0039】
図5に示すように、本実施形態の電極組立体12は、当該電極組立体12をケース11に収容した際、正極導電部材27及び負極導電部材28とケース11を絶縁する絶縁部材40を備えている。絶縁部材40は、樹脂製である。そして、絶縁部材40は、平面視矩形板状の本体部41を有し、その本体部41の延びる方向に沿う両側部から一対の脚部42が垂下されている。
【0040】
そして、絶縁部材40は、両脚部42の間に正極導電部材27及び負極導電部材28を嵌め込むように正極導電部材27及び負極導電部材28に載置される。また、絶縁部材40は、正極導電部材27及び負極導電部材28を跨ぐように正極導電部材27及び負極導電部材28に載置される。つまり、絶縁部材40は、正極導電部材27及び負極導電部材28に嵌め込み可能であって、正極導電部材27及び負極導電部材28を跨いで載置可能な大きさで構成されている。本実施形態では、正極導電部材27、負極導電部材28、正極端子台32、及び負極端子台34に加えて絶縁部材40が、電極組立体12以外にケース11内に収容されるケース内部材となる。
【0041】
図6に示すように、本実施形態の電極組立体12は、第1の実施形態と同様に、その外面の一部が絶縁フィルム37で覆われる。本実施形態の絶縁フィルム37には、電極組立体12を覆った時に正極導電部材27及び負極導電部材28に載置される絶縁部材40に対応する位置に舌片状の取付用タブ38が設けられている。そして、絶縁フィルム37の両取付用タブ38は、正極導電部材27及び負極導電部材28と絶縁部材40の間に挟まれて固定される。つまり、電極組立体12を覆う絶縁フィルム37は、正極導電部材27及び負極導電部材28の上に両取付用タブ38を配置し、その上から絶縁部材40が正極導電部材27及び負極導電部材28に嵌め込まれることにより、正極導電部材27及び負極導電部材28と絶縁部材40の間に挟まれて固定される。これにより、絶縁フィルム37は、電極組立体12を覆い、かつ電極組立体12に吊り下げられた状態で取り付けられる。本実施形態では、絶縁部材40と正極導電部材27及び負極導電部材28の間に挟まれた取付用タブ38が取付部となり、その取付用タブ38が固定部として機能することで、絶縁フィルム37をケース内部材である絶縁部材40に固定する。
【0042】
以下、本実施形態の作用を説明する。
電極組立体12をケース本体13に挿入する場合、電極組立体12の荷重は、正極導電部材27及び負極導電部材28と絶縁部材40の間に挟まれて固定された絶縁フィルム37によって支えられる。したがって、電極組立体12を蓋15に対してぶら下げた状態で固定したとしても、正極集電タブ群25と正極導電部材27の接合部Y、及び負極集電タブ群26と負極導電部材28の接合部Yに付加される電極組立体12の荷重は低減される。
【0043】
したがって、本実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(4)に加えて、以下に示す効果を得ることができる。
(6)正極導電部材27や負極導電部材28とケース11を絶縁する絶縁部材40に絶縁フィルム37を固定させることで、正極集電タブ群25や負極集電タブ群26に付加される電極組立体12の荷重をより適切に低減させることができる。
【0044】
(7)絶縁フィルム37を、正極導電部材27及び負極導電部材28と、絶縁部材40とで挟持して固定するので、その固定力を強めることができる。
(8)また、絶縁部材40を利用して絶縁フィルム37を固定するので、絶縁フィルム37を固定する部品を別途、設ける必要が無く、製造コストの増加を抑制できる。
【0045】
(第3の実施形態)
次に、本発明を具体化した第3の実施形態を図7図9にしたがって説明する。
図7に示すように、本実施形態の電極組立体12は、当該電極組立体12をケース11に収容した際、正極端子29の正極端子台32及び負極端子30の負極端子台34とケース11を絶縁する一対の端子絶縁部材45を備えている。端子絶縁部材45は、樹脂製である。
【0046】
図8に示すように、端子絶縁部材45は四角板状の接続部46を有し、その接続部46には一側部に開口するU字状の切欠部47が形成されており、その切欠部47の両側に正極端子台32の雌ねじ部32a及び負極端子台34の雌ねじ部34aを挟んで支持する一対の挟持片部48が設けられている。また、端子絶縁部材45の接続部46には、切欠部47の開口側とは反対側の一側部から垂下する壁部49を有し、その壁部49には接続部46に対して垂下方向に所定の間隔をあけるとともに、接続部46と平行に突出する四角板状の突出板部50が設けられている。突出板部50は、接続部46との間で正極導電部材27と正極端子台32、又は負極導電部材28と負極端子台34を挟み込むことが可能な間隔を有するように壁部49に設けられている。
【0047】
そして、端子絶縁部材45は、切欠部47内に正極端子台32の雌ねじ部32aを挿通させて一対の挟持片部48で挟み込むとともに、接続部46と突出板部50とで正極導電部材27及び正極端子台32を挟み込むように取り付けられる。また、端子絶縁部材45は、切欠部47内に負極端子台34の雌ねじ部34aを挿通させて一対の挟持片部48で挟み込むとともに、接続部46と突出板部50とで負極導電部材28及び負極端子台34を挟み込むように取り付けられる。本実施形態では、正極導電部材27、負極導電部材28、正極端子台32、及び負極端子台34に加えて端子絶縁部材45が、電極組立体12以外にケース11内に収容されるケース内部材となる。
【0048】
図9に示すように、本実施形態の電極組立体12は、各実施形態と同様に、その外面の一部が絶縁フィルム37で覆われる。本実施形態の絶縁フィルム37には、電極組立体12を覆った時に正極導電部材27と正極端子台32に取り付けられる端子絶縁部材45、及び負極導電部材28と負極端子台34に取り付けられる端子絶縁部材45のそれぞれに対応する位置に舌片状の取付用タブ38が設けられている。そして、各端子絶縁部材45に対応する位置に設けられた一対の取付用タブ38は、各端子絶縁部材45に粘着テープPで接合される。これにより、絶縁フィルム37は、電極組立体12を覆い、かつ電極組立体12に吊り下げられた状態で取り付けられる。本実施形態では、絶縁フィルム37の取付用タブ38が取付部となり、その取付用タブ38が固定部として機能することで、絶縁フィルム37を端子絶縁部材45に固定する。
【0049】
以下、本実施形態の作用を説明する。
電極組立体12をケース本体13に挿入する場合、電極組立体12の荷重は、各端子絶縁部材45に固定された絶縁フィルム37によって支えられる。したがって、電極組立体12を蓋15に対してぶら下げた状態で固定したとしても、正極集電タブ群25と正極導電部材27の接合部Y、及び負極集電タブ群26と負極導電部材28の接合部Yに付加される電極組立体12の荷重は低減される。
【0050】
したがって、本実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(4)に加えて、以下に示す効果を得ることができる。
(9)端子絶縁部材45を利用して絶縁フィルム37を固定するので、絶縁フィルム37を固定する部品を別途、設ける必要が無く、製造コストの増加を抑制できる。
【0051】
(第4の実施形態)
次に、本発明を具体化した第4の実施形態を図10及び図11にしたがって説明する。
図10及び図11に示すように、本実施形態において絶縁フィルム37は、取付用タブ38を、端子絶縁部材45が取り付けられた正極導電部材27と突出板部50の間に挿通させ、その挿通させた取付用タブ38を引き出した側の絶縁フィルム37に粘着テープPで接合している。同様に、絶縁フィルム37は、取付用タブ38を、端子絶縁部材45が取り付けられた負極導電部材28と突出板部50の間に挿通させ、その挿通させた取付用タブ38を引き出した側の絶縁フィルム37に粘着テープPで接合している。本実施形態において絶縁フィルム37には一側部側に取付用タブ38が設けられており、その取付用タブ38を電極組立体12の積層方向Tで対向する側面12cと側面12dを掛け渡して固定している。これにより、絶縁フィルム37は、電極組立体12を覆い、かつ電極組立体12に吊り下げられた状態で取り付けられる。本実施形態では、正極導電部材27と突出板部50の間、及び負極導電部材28と突出板部50の間に挿通されて突出板部50に係止される取付用タブ38が取付部となり、係止部として機能する。
【0052】
以下、本実施形態の作用を説明する。
電極組立体12をケース本体13に挿入する場合、電極組立体12の荷重は、各端子絶縁部材45の突出板部50に係止された絶縁フィルム37によって支えられる。したがって、電極組立体12を蓋15に対してぶら下げた状態で固定したとしても、正極集電タブ群25と正極導電部材27の接合部Y、及び負極集電タブ群26と負極導電部材28の接合部Yに付加される電極組立体12の荷重は低減される。本実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(4)に加えて、第3の実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【0053】
(第5の実施形態)
以下、本発明を具体化した第5の実施形態を図12及び図13にしたがって説明する。
図12に示すように、本実施形態の端子絶縁部材51は、切欠部47と挟持片部48を有する接続部46と、切欠部47の開口側とは反対側の一側部から垂下する壁部52を有している。壁部52には、一側部に開口するU字状の切欠部53が形成されている。また、壁部52の下端には、切欠部53によって被係止部としての係止片部54が形成されている。そして、端子絶縁部材51は、切欠部47内に正極端子台32の雌ねじ部32aを挿通させて一対の挟持片部48で挟み込むことで、正極導電部材27及び正極端子台32に取り付けられる。また、端子絶縁部材51は、切欠部47内に負極端子台34の雌ねじ部34aを挿通させて一対の挟持片部48で挟み込むことで、負極導電部材28及び負極端子台34に取り付けられる。本実施形態では、正極導電部材27、負極導電部材28、正極端子台32、及び負極端子台34に加えて端子絶縁部材51が、電極組立体12以外にケース11内に収容されるケース内部材となる。
【0054】
図13に示すように、本実施形態の電極組立体12は、各実施形態と同様に、その外面の一部が絶縁フィルム37で覆われる。本実施形態の絶縁フィルム37には、電極組立体12を覆った時に正極導電部材27と正極端子台32に取り付けられる端子絶縁部材45の係止片部54、及び負極導電部材28と負極端子台34に取り付けられる端子絶縁部材45の係止片部54のそれぞれに対応する位置に舌片状の取付用タブ38が設けられている。そして、各端子絶縁部材51に対応する位置に設けられた一対の取付用タブ38は、端子絶縁部材51の切欠部53内に挿通されるとともに係止片部54に引っ掛けられ、その係止片部54で折り返された後に絶縁フィルム37に粘着テープPで固定されている。これにより、絶縁フィルム37は、電極組立体12を覆い、かつ電極組立体12に吊り下げられた状態で取り付けられる。本実施形態では、端子絶縁部材51の切欠部53に挿通されて係止片部54に係止される取付用タブ38が取付部となり、係止部として機能する。
【0055】
以下、本実施形態の作用を説明する。
電極組立体12をケース本体13に挿入する場合、電極組立体12の荷重は、各端子絶縁部材51の係止片部54に係止された絶縁フィルム37によって支えられる。したがって、電極組立体12を蓋15に対してぶら下げた状態で固定したとしても、正極集電タブ群25と正極導電部材27の接合部Y、及び負極集電タブ群26と負極導電部材28の接合部Yに付加される電極組立体12の荷重は低減される。本実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(4)に加えて、第3,第4の実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【0056】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 電極組立体12を覆う絶縁フィルム37は、固定部となる取付用タブ38のみで固定しても良いし、係止部となる取付用タブ38のみで係止しても良い。また、固定部となる取付用タブ38と係止部となる取付用タブ38の両方を設け、絶縁フィルム37を電極組立体12に取り付けても良い。例えば、第1の実施形態の構成と、第4の実施形態の構成又は第5の実施形態の構成を組み合わせても良い。また、第2の実施形態の構成と、第4の実施形態の構成又は第5の実施形態の構成を組み合わせても良い。
【0057】
○ また、絶縁フィルム37は、固定部となる取付用タブ38を複数設け、電極組立体12に取り付けても良い。例えば、第1の実施形態の構成と第3の実施形態の構成を組み合わせても良い。また、第2の実施形態の構成と第3の実施形態の構成を組み合わせても良い。
【0058】
○ また、絶縁フィルム37は、係止部となる取付用タブ38を複数設け、電極組立体12に取り付けても良い。例えば、第4の実施形態の構成と第5の実施形態の構成を組み合わせても良い。
【0059】
○ 絶縁フィルム37は、蓋15の内面に固定又は係止しても良い。例えば、蓋15の内面に対して取付用タブ38を粘着テープPで固定しても良い。また、蓋15の内面に取付用タブ38を引っ掛けることが可能な被係止部を設け、その被係止部に取付用タブ38を係止しても良い。
【0060】
○ 絶縁フィルム37は、正極導電部材27や負極導電部材28に係止しても良い。つまり、正極導電部材27や負極導電部材28に取付用タブ38を引っ掛けることが可能な被係止部を設け、その被係止部に取付用タブ38を係止しても良い。
【0061】
○ 絶縁フィルム37は、正極導電部材27及び負極導電部材28の何れか一方に固定又は係止しても良い。
○ 絶縁フィルム37は、正極導電部材27や負極導電部材28に対して直接的に粘着テープPで接合しても良い。
【0062】
○ 絶縁フィルム37は、絶縁部材40の上面において取付用タブ38同士を粘着テープPで接合しても良い。また、絶縁フィルム37は、絶縁部材40に対して直接的に粘着テープPで接合しても良い。また、絶縁フィルム37は、絶縁部材40に係止しても良い。つまり、絶縁部材40に取付用タブ38を引っ掛けることが可能な被係止部を設け、その被係止部に取付用タブ38を係止しても良い。
【0063】
○ 絶縁部材40は、正極導電部材27と負極導電部材28のそれぞれに取り付け可能な構成でも良い。つまり、絶縁部材40を二つの部材に分離し、正極導電部材27と負極導電部材28のそれぞれに取り付けても良い。
【0064】
○ 電極組立体12を絶縁フィルム37によって覆う部位を変更しても良い。例えば、下面12b、及び側面12c,12dの3面を絶縁フィルム37で覆っても良い。また、下面12b、及び側面12e,12fの3面を絶縁フィルム37で覆っても良い。すなわち、絶縁フィルム37によって覆う電極組立体12の部位は、全面又は一部の面でも良い。
【0065】
○ ケース11には、正極導電部材27、負極導電部材28、正極端子29(正極端子台32)及び負極端子30(負極端子台34)を設け、絶縁部材40や端子絶縁部材45,51については設けても良いし、設けなくても良い。つまり、絶縁部材40や端子絶縁部材45,51は、正極導電部材27などの電気部品とケース11との絶縁が確保されていれば、設けなくても良い。
【0066】
○ 粘着テープPによる接合に代えて、接着剤による接着としても良い。
○ 正極集電タブ群25や負極集電タブ群26を折り曲げ構造としなくても良い。
○ 実施形態のような積層型の二次電池10に限らず、帯状の正極電極と帯状の負極電極を捲回して層状に積層した捲回型の二次電池に適用しても良い。なお、捲回型の二次電池においても、正極電極と負極電極の間はセパレータを介在させて絶縁される。そして、捲回型の二次電池に適用する場合は、実施形態のように正極集電タブ21と負極集電タブ24が形成されていれば良い。
【0067】
○ 実施形態において、正極電極16、及び負極電極17の形状を変更しても良い。例えば、正面視正方形に形成しても良い。
○ 実施形態の二次電池10は、リチウムイオン二次電池であったが、これに限らず、他の二次電池であっても良い。要は、正極活物質層と負極活物質層との間をイオンが移動するとともに電荷の授受を行うものであれば良い。
【0068】
○ 実施形態の二次電池10は、車両として自動車に搭載しても良いし、産業用車両に搭載しても良い。また、定置用の蓄電装置に適用しても良い。
【符号の説明】
【0069】
10…二次電池、11…ケース、12…電極組立体、13…ケース本体、15…蓋、16…正極電極、17…負極電極、18…セパレータ、20…正極活物質層、21…正極集電タブ、23…負極活物質層、24…負極集電タブ、25…正極集電タブ群、26…負極集電タブ群、27…正極導電部材、28…負極導電部材、29…正極端子、30…負極端子、37…絶縁フィルム、38…取付用タブ、40…絶縁部材、45,51…端子絶縁部材。
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