【実施例1】
【0014】
実施例1はラベル用紙として台紙付きラベル用紙を使用するラベル貼付装置を示し、
図1はラベル貼付装置をストレッチ包装機に組み付けた状態を示す正面図で、図中、Aはストレッチ包装機で、商品Wが搬入されると、その商品Wをストレッチフィルムで自動的に包装を行い、排出路に包装済みの商品Wを排出する。そして、そのストレッチ包装機Aで包装を完了した商品Wが排出される排出路の近傍にラベル貼付装置Bが配置され、商品Wにラベルを貼付し得るようになっている。
【0015】
ラベル貼付装置Bは、ラベルを印字発行するラベル発行部B1と、印字発行されたラベルを商品Wに貼付する貼付手段B2とを備えている。
【0016】
ラベル発行部B1は、長尺帯状の台紙1aにラベル用紙1bが一定間隔で剥離可能に仮着されたロール巻きのラベルロール紙1を回転可能に支持するラベルロールセット部2と、そのラベルロールセット部2から引き出したラベルロール紙1のラベル用紙1bに所定事項を印字する印字手段3と、印字済みのラベル用紙1b’を台紙1aから剥離する剥離部材4と、印字済みのラベル用紙1b’が剥離された台紙1aを巻き取る台紙巻き取り軸5を備え、前記台紙巻き取り軸5は印字手段3のプラテンローラ3の回転と同期して回転するように構成されている。
【0017】
印字手段3は、ラベルロール紙1を挟んで配置された印字ヘッド(サーマルヘッド)3aとプラテンローラ3bとで構成され、プラテンローラ3bはステッピングモータ15によって駆動回転される。プラテンローラ3bの駆動回転によりラベルロール紙1が繰出され、印字ヘッド3aによって台紙1a上に仮着されたラベル用紙1bに印字されるように構成されている。
【0018】
また、前記ラベルロールセット部2から印字手段3に至るラベルロール紙1の移動経路上には、台紙1aに仮着されたラベル用紙1bの繰出し方向に沿った長さを計測する計測手段(ギャップセンサ)16が配置されている。
計測手段(ギャップセンサ)16は、台紙1aを挟んで上下に対向配置される発光器と受光器で構成され、ラベル用紙1bが存在する部分と、ラベル用紙が存在しない部分の受光器の受光レベルの変化によって、ラベル用紙1bのラベル長さが計測されるようになっている。そして、この計測手段(ギャップセンサ)16の計測値が後述する判断手段で判断され、ラベル長さが所定長さ以下と判断した場合、前記ラベル繰出し速度が通常の繰出し速度による繰出し所要時間より長い繰出し所要時間となるように制御される。
【0019】
上記構成部材はケース6に収容され、そのケース6における剥離部材4の前方下流側には該剥離部材4で剥離されたラベル用紙1b’を送出するラベル発行口7が開設され、そのラベル発行口7の前方には送出されたラベル用紙1b’を貼付手段B2のラベル吸着部が吸着保持するまで待機保持するラベル保持体8が配置され、該ラベル保持体8の下方には前記ラベル発行口7から送出されるラベル用紙1b’をラベル保持体8の下面に当接させる保持手段9が設けられている。
【0020】
ラベル保持体8は、ケース6の外側面に取付枠10を介して設置され、更にそのラベル保持体8の側方位置には該ラベル保持体8に保持されたラベル用紙1b’を吸着保持して移動し、前記包装済みの商品Wに貼付する貼付手段B2が設けられている。
【0021】
前記取付枠10は、
図2及び
図3に示すように、金属板を側面視略L字形に屈曲形成して構成され、その取付枠10の垂直片10aが前記ケース6に開設したラベル発行口7より上方位置に止ネジで固定され、前記垂直片10aの下端に連設された水平片10bにラベル保持体8がラベル用紙1b’の繰出し方向に向けて略水平状に突出支持されている。
【0022】
前記ラベル保持体8は、前記ラベル発行口7から発行されるラベル用紙1b’の繰出し方向に沿って突出し、且つ該ラベル用紙1b’の繰出し方向と交差するラベル幅方向に間隔をおいて対向配置される一対の平行枠11a,11bとで構成されている。そして、その一対の平行枠11a,11bは、前記取付枠10の水平片10bの長手方向に移動調整可能に止ネジ13で固定されている。
【0023】
前記一対の平行枠11a,11bは金属製平板を用いて平面視略L字形に形成され、前記水平片10b上に載置しネジ止めする短辺部分に、その短辺方向に沿って長孔12が開設され、その長孔12に挿通し前記水平片10bに螺着される止ネジ13を緩めることで、平行枠11a,11bはラベル用紙1b’の幅方向(取付枠10の長手方向)に沿って移動調整可能となる。
【0024】
一対の平行枠11aと11bとの間隔は、該平行枠11a,11bの下面に当接保持され、その平行枠11aと11bとの間に露出するラベル用紙1b’の上面(印字面)に少なくとも貼付手段B2のラベル吸着部が密着し得る間隔とする。
【0025】
また、前記一対の平行枠11a,11bにおける長辺の外側縁(ラベル用紙1b’の幅方向側縁と対向する縁)は、直角下向きに折り曲げてガイド部14が一体に形成されている。このガイド部14にラベル用紙1b’の幅方向側縁が当接することで該ラベル用紙1b’が幅方向へ移動するのが規制され、ラベル用紙1b’は常に一定の位置に保持される。尚、ガイド部14は、平行枠11a,11bにおける長辺の外側縁の全長を直角下向きに折り曲げることなく、長辺の外側縁を部分的に折り曲げて形成してもよい。
【0026】
前記一対の平行枠11a,11bにおける長辺の下面に、ラベル用紙1b’の貼付面とは反対側の面(印字面)を当接させる保持手段9は、前記ラベル発行口7から繰り出されるラベル用紙1b’の貼付面(下面)に対して下方から空気を吹き付ける空気吹き出し装置で、例えば小型の送風ファンで構成されている。尚、保持手段9を構成する空気吹き出し装置は、送風ファンを設置して構成する形態に限らず、吐出空気の発生源を該当箇所以外の場所に配置し、その発生源にホース等を接続し、ホースの端部(空気吹き出し部)をラベル保持体8の下方に配置してもよい。
又、小型の送風ファンは少なくともラベルが発行され、ラベル貼付手段(アプリケータ)B2により吸着されるまでの時間、ラベルをラベル保持体8に保持させるよう作動する。つまり、ラベルの発行信号により送風ファンが回転し、それから前記ラベル貼付手段(アプリケータ)B2により吸着されるまでの間、回転し続ける。尚、送風ファンは、上記タイミングに限らず、ラベル貼付装置Bの電源がONの時、常に空気の吹き出しをするようONに制御してもよい。
【0027】
ラベル貼付手段(アプリケータ)B2は、前記ラベル保持体8に保持されたラベル用紙1b’を吸着保持するラベル吸着部31と、そのラベル吸着部31を初期位置からラベル保持体8の略真上位置へ、更にラベル保持体の位置からラベル用紙1b’を貼付する商品Wの位置まで移動させる移動機構(図示省略)とを備えた今日周知の構造のものである。そして、ラベル用紙1b’を吸着保持するラベル吸着部31は吸引ファンの回転によってラベル用紙吸着面に負圧による吸引力が生じるように構成されており、前記吸引ファンは前記保持手段9を構成する空気吹き出し装置(送風ファン)の空気の吹き出し/停止(ON/OFF)と同様のタイミングでON/OFFするようになっている。
【0028】
図5は
図1に示したラベル貼付装置Bの動作を制御する制御部(マイクロコンピュータ)の電気的構成を示すブロック図で、その構成は、CPU17、フラッシュメモリ18、RAM19、表示・操作部20、インターフェース回路21、プラテンローラ3bを回転させる駆動モータ(ステッピングモータ)15、サーマルヘッド(印字ヘッド)3a、ギャップセンサ(計測手段)16、送風ファン9を備える。
【0029】
前記CPU17は、フラッシュメモリ18に記憶されたプログラムを実行して本ラベル貼付装置Bの動作を統括する中央演算処理装置である。
フラッシュメモリ18は、本ラベル貼付装置Bの制御プログラムや、制御用データ等を記憶する読み出し専用メモリである。
RAM19は、一時的にデータを呼び出して処理する為のワークエリアがあり、その中には、印字データをドットデータに展開するドット展開エリア、ラベルフォーマットファイルから1つのフォーマットデータを呼び出して記憶する呼出フォーマットエリア、商品データ等を呼び出して記憶する呼出商品エリア等がある。また、このRAM19には、ラベル印字のフォーマットが設定されたラベルフォーマットファイル、ラベル印字用の各種商品データが設定された商品ファイル等の他に、ラベル用紙の長さが所定長さ以下である場合にプラテンローラ(ラベル繰出し手段)3bの繰出し速度を制御(変更)する速度制御モード(
図7参照)が記憶されており、電源オフ時も前記ファイルを保持するようにバッテリーでバックアップされている。
【0030】
表示・操作部20は、本ラベル貼付装置Bの操作を行うための入力装置であり、表示部と一体に構成されたタッチパネルになっており、各種のメニュー画面やデータを表示する液晶ディスプレイである。
プラテンローラ3bを駆動回転する駆動モータ(ステッピングモータ)15、サーマルヘッド(印字ヘッド)3aは、ラベル発行部B1の印字手段3を構成し、CPU17の指令に基づいてラベル用紙1bに品名、値段、単価、バーコード等の印字を行い、印字されたラベル用紙1b’は下流側の剥離部材4で台紙1aから剥離されてラベル発行口7に送出される。
ギャップセンサ(計測手段)16は、印字手段3に供給されるラベル用紙1bの繰出し方向の長さを計測するもので、プラテンローラ3bの駆動回転で引き出されるラベルロール紙1の台紙1aに所定間隔をおいて仮着されたラベル用紙1bの繰出し方向の長さを計測し、計測データを前記CPU17に送信する。
送風ファン(保持手段)9は、発行される印字済みのラベル用紙1b’の貼付面(下面)に空気を吹き付けて該ラベル用紙1b’をその上方に配置されたラベル保持体8の下面に押し付け、ラベル用紙1b’が貼付手段B2で吸着されるまで所定の位置に待機させる。
【0031】
前記ギャップセンサ(計測手段)16によって発行されるラベル用紙1bの繰出し方向の長さが計測され、その計測された長さが予め設定した所定長さ(例えば、30mm)以下であるか否かが判断手段(CPU17)で判断され、ラベル用紙1b’の繰出し方向の長さが所定長さ以下と判断された場合、該ラベル用紙1bの印字開始から発行完了(ラベル用紙が台紙から離れる)までの所要時間が、通常の繰出し速度(装置に予め設定した繰出し速度)で繰出した場合に要する繰出し所要時間より長くなるよう、制御手段(CPU17)で繰出し速度を制御する。
即ち、
図6に示すように、ラベル用紙1bの長さに関係なく予め設定された通常の繰出し速度でラベル用紙を繰出した場合の印字開始から発行完了までの所要時間(同図の縦軸)は、同図に実線で示すように、ラベル長さ(同図の横軸)に比例して長くなる。従って、ラベル長さが所定長さ以下の場合はラベル長さに比例して前記所要時間も短くなる。このラベル長さが所定長さ以下の場合に、通常の繰出し速度で繰出した場合に要する所要時間を、繰出し速度を通常の繰出し速度より低速、或いは繰出しを一時停止する等して前記所要時間を長くする(同図の仮想線(a)、(b)、(c)の状態)。尚、ラベル用紙1bの長さが所定長さより長いものについては、通常の繰出し速度で繰出しが行われる。
【0032】
ラベル用紙1bの印字開始から発行完了(ラベル保持体の下面にラベル用紙が当接保持される)までの繰出し所要時間を長くする方法としては、ラベル用紙1bが仮着された台紙1aの移動速度(繰出し速度)を、通常の繰出し速度より遅くする、或いは移動を停止させる等の方法が挙げられる。前者の、ラベル用紙1bの繰出し速度を遅くする方法は、印字仕上がりに影響(文字伸び、印字ムラ等)する為、印字仕上がりに影響が出ない範囲内で遅くする。具体的には、
図7に示すように、ラベル用紙1bの繰出し方向における長さ内の印字領域は通常の繰出し速度で移動させて印字し、印字領域以外の部分(例えば、繰出し方向に対し後端側の余白部分)は通常の繰出し速度より遅い繰出し速度で移動させる。その場合、印字領域以外の部分を移動させる通常の繰出し速度より遅い繰出し速度の形態としては、該当部分を通常の繰出し速度から速度ゼロ(停止)まで直線的に減速して移動させる(
図7(a)参照)、一定の遅い速度で移動させる(
図7(b)参照)等が挙げられる。
前記印字領域の長さは、印字フォーマットに設定された印字データの量等に基づき判別でき、その長さの繰出しはステッピングモータのステップ数によって制御することができる。
【0033】
また、ラベル用紙1bの繰出し速度を変更するタイミングは、印字手段3とラベル発行口7とが近接している場合、印字位置におけるラベル用紙の前記印字領域と余白との境界でもよい。しかし、印字手段3とラベル発行口7とが多少離れている場合は、例えば、ラベル発行口7又は剥離部材4の位置を基準とし、該位置にラベル用紙1bの印字領域と余白部分との境界部が位置した時、或いは前記位置にラベル用紙1bの全長に対し繰出す残りの長さが所定長さ(例えば、10%)に達した時、変更するようにしてもよい。その場合、前記位置(ラベル発行口7又は剥離部材4の位置)にラベル用紙の当該位置が位置したことの判別は、印字手段3とラベル発行口7(又は剥離部材4)との距離は装置の設計時に確定している為、前記ステッピングモータのステップ数によってラベル用紙1bの送り位置を確認することができる。
【0034】
また、後者の繰出しを途中で停止する方法の場合も、前記と同様、印字仕上がりに影響が出ないようにするために印字領域部分は通常の繰出し速度で移動し、印字領域以外の部分については繰出しを一定時間停止し、一定時間が経過した後、繰出しを再開する(
図7(c)参照)。その繰出しを再開する時の繰出し速度は、通常の繰出し速度、或いは通常の繰出し速度より遅い繰出し速度の何れであってもよい。
【0035】
そして、上記した繰出し速度を制御(変更)する速度制御モード(
図7参照)は、RAM19に速度変更ファイルとして記憶されている。尚、RAM19の速度変更ファイルに記憶される速度制御モードは、
図7に示した3種類のモード全てであっても、或いは3種のうちの1つ、又は2つであってもよく、複数のモードが記憶されている場合は、ラベル用紙1bの所定長さに対する短さの割合等に応じてモードを選択するようにしてもよい。例えば、ラベル用紙1bの長さが所定長さに対して最も短いラベル用紙の場合、繰出し所要時間が一番長くなる速度制御モードが選択されるようにする。
また、前記速度制御モードの選択は、前記したように短さの割合等に応じて自動的に選択される方式に限らず、オペレータが表示・操作部20を操作して手動で選択設定するようにしてもよい。
【0036】
次に、ラベル用紙1bに対する印字発行時の繰出し速度の速度制御の流れを
図8のフローチャートに基づいて説明する。尚、以下に示す印字ラベルの送出の流れは、表示・操作部より必要な操作がされてラベル発行の指示がされたところからスタートする流れを示し、且つ、ギャップセンサ(計測手段)16によってラベル用紙1bの長さが計測され、速度制御モードが自動選択される場合を示す。
(ST1)…ラベル用紙1bの繰出し方向の長さが所定長さ以下か、判断される。具体的には、ギャップセンサ16で計測されたラベル長さが、予め設定された所定長さ(例えば、30mm)と比較して短いか判断される。ラベル用紙1bの長さが短い場合(YES)は(ST2)に進み、ラベル用紙1bの長さが長い場合(NO)は(ST3)に進む。
【0037】
(ST2)…ラベル用紙1bの長さが所定長さ以下であるため、繰出し速度を変更する速度制御モードが選択され、ラベル用紙への印字が開始される。尚、速度制御モードの選択は、複数のモードが記憶設定されている場合は、ラベル用紙1bの所定長さに対する短さの割合等に応じてモードが選択されるようにする。本実施例では、ラベル用紙1bの全長に対し繰出しの残り長さが10%に達した時、繰出し速度を変更する速度制御モードが選択された例を示す。
(ST3)…ラベル用紙1bの長さが所定長さより長いため、予め設定された通常の繰出し速度での印字が開始される。印字が終了したラベル用紙1b’は下流側に配置された剥離部材で台紙1aが屈曲されることで該台紙1aから剥離され、ラベル発行口7を通ってラベル保持体の下方位置へ送出される。この時、ラベル保持体8の下方に配置された保持手段(送風ファン)9からラベル用紙1b’の貼付面(下面)に向けて空気が吹き付けられるが、先端が下方に垂れたラベル用紙1b’の後端側は台紙1aに付着されて拘束されている為、下方に垂れた先端部分は空気によって上方に押し上げられ、ラベル保持体8の下面に沿って略水平に当接され、その状態で前方に押し出されてラベル発行が完了される。従って、ラベル用紙1b’はラベル保持体8の所定位置に待機保持される。
【0038】
(ST4)…選択された速度制御モードは、通常の繰出し速度でラベル用紙を移動して印字を行い、ラベル用紙1bの全長に対し繰出し残り長さが10%に達したか判断される。繰出し残り長さが10%に達したと判断された場合(YES)は(ST5)に進み、繰出し残り長さが10%に達していない場合(NO)は10%に達したことが確認されるまで通常の繰出し速度での繰出しが行われる。
(ST5)…繰出し残り長さが10%に達した時点で繰出し手段の繰出し速度が、それまでの通常の繰出し速度より低速に変更され、低速でラベル用紙の繰出し排出が行われる。それにより、ラベル用紙が台紙1aに付着する拘束状態は、繰出し速度が通常の繰出し速度のままで行われた場合に比べて長くなる。よって、ラベル保持体8の下方に配置され、ラベル発行指示により作動する保持手段(送風ファン)9から空気が吹き付けられたとき、ラベル用紙1b’は後端部が台紙1aに付着して拘束された状態にある。従って、先端が下方に垂れたラベル用紙1b’は、下方に垂れた先端側が空気によって上方に押し上げられ、ラベルは水平状態になり、その状態で、ラベル用紙1b’の後端部が台紙1aから離れるようになるので、ラベル用紙が前方に飛翔して保持されるといった不具合は生じない。
よって、発行されるラベル用紙1bの長さが所定長さ以下の短いラベル用紙であっても、ラベル用紙をラベル保持体の所定位置にずれることなく待機保持でき、貼付手段でラベル用紙を正しく吸着保持して対象物に正しく貼付することができる。
【実施例2】
【0039】
実施例2はラベル用紙として台紙レスラベル用紙を使用するラベル貼付装置に関し、
図9はその構成の概略図である。
図9に示すように、22は長尺帯状の台紙レスラベル用紙(連続用紙)22aがロール状に巻かれたラベルロール(ロール紙)で、該ラベルロール22はロール装填部23に回転可能にセットされ、台紙レスラベル用紙22aの引き出し方向下流側には印字ヘッド24aとプラテンローラ24b(用紙繰出し手段)とからなる印字手段24が配置され、更にその印字手段24より下流側近傍にはカッター25、そのカッター25より下流側のケース26に開設したラベル発行口27の手前に繰出しローラ28、更に前記ケース26の外側近傍(下流側)にはラベル保持体29が順次配置されている。
また、前記ラベル保持体29の下方には繰出しローラ28の駆動で送りだされた枚葉状のラベルの下面に空気を吹き付ける送風ファン30(保持手段)が配置されている。
【0040】
前記ラベルロール22は、一方面(上面)が印字面、他方面(下面)が粘着剤が塗布された貼付面である長尺帯状の台紙レスラベル用紙22aが、前記印字面に剥離加工が施されてロール状に巻回されており、ロール装填部23に回転可能に支持される。そして、該ラベルロール22から引き出される台紙レスラベル用紙22aは案内ローラを介して印字手段24の印字ヘッド24aとプラテンローラ24bとの間に供給され、前記プラテンローラ24bの駆動回転により該台紙レスラベル用紙22aが引き出されるようになっている。
【0041】
前記印字手段24の印字ヘッド24aはサーマルヘッドで構成され、該印字ヘッド24aの発熱体を選択的に発熱させて移送される前記台紙レスラベル用紙22aの印字面に印字が施される。また、前記印字ヘッド24aとで台紙レスラベル用紙22aを挾着するプラテンローラ24bは、表面に離型剤がコーティングされており、台紙レスラベル用紙22aの印字面とは反対側の貼付面に塗布されている粘着剤が付着しないようにしてあり、それによって台紙レスラベル用紙22aの送出が円滑に行われるようになっている。尚、台紙レスラベル用紙22aの貼付面に塗布された粘着剤がプラテンローラ24bに付着しにくくする構成は、前記構成に限らず、プラテンローラ24b自体又は該プラテンローラ24bの最外層部分を易剥離性の部材で構成してもよい。そして、前記プラテンローラ24bは駆動モータ(ステッピングモータ)で駆動回転するように構成されている。
【0042】
前記印字手段24でラベル1枚分のデータが印字された台紙レスラベル用紙22aを切断するカッター25は、剪断作用で台紙レスラベル用紙22aを切断する上下一対の帯状の刃体で構成されている。具体的には、直線状に送出される台紙レスラベル用紙22aの下側に配置される固定刃25aと、台紙レスラベル用紙22aの上側に配置され、前記固定刃25aに向けて進退動する可動刃25bとで構成され、前記可動刃25bはモータ(ステッピングモータ)で駆動するように構成されている。
そして、前記カッター25は前記印字手段24の下流側で、プラテンローラ24bに接近して配置されている。
【0043】
ラベル1枚分のデータが印字され、カッター25で切断された枚葉状の台紙レスラベル用紙22aは、該カッター25の下流側に配置された上下一対の繰出しローラ28の駆動でケース26のラベル発行口27の下流側近傍に配置されたラベル保持体29に向けて繰出される。そして、ラベル発行口27から送出されるラベル用紙の貼付面(下面)に、送風ファン(保持手段)30から空気が吹き付けられ、ラベル用紙はラベル保持体29の下面に押し付けられ、貼付手段によって吸着保持されるまで待機保持される。
【0044】
切断発行される枚葉状の台紙レスラベル用紙22aの繰出し方向に沿った長さは、商品ファイルに設定された印字項目のデータ量、及び印字フォーマットから算出することができ、その算出されたラベル用紙の長さが、予め設定した所定長さ(例えば、30mm)以下であるか制御部(マイクロコンピュータ)の判断手段(CPU)で判断される。そして、切断発行される台紙レスラベル用紙22aの長さが所定長さ以下と判断された場合、プラテンローラ24b及び繰出しローラ28の繰出し速度は、通常の繰出し速度より低速(一時停止を含む)に制御される。
【0045】
切断された枚葉状の台紙レスラベル用紙22aをラベル発行口27より下流側に排出する繰出しローラ28は、印字手段24のプラテンローラ24bと同期して回転するように構成されている。そして、ラベル用紙22aが上下一対の繰出しローラ28によって挟持され拘束状態下では、前記送風ファン(保持手段)30から空気の吹き付けを受けても該ラベル用紙22aは飛翔せず、下方に垂れた先端部が上方に押し上げられ、ラベル保持体29の下面に略水平状に押し付けられた状態で所定位置まで排出される。
【0046】
しかし、発行されるラベル用紙22aの繰出し方向の長さが所定長さ(例えば、30mm)以下の短いラベル用紙である場合に、プラテンローラ24b及び繰出しローラ28が予め設定された通常の繰出し速度で駆動した場合、前記短いラベル用紙は繰出しローラ28の挟持から解放されると略同時に送風ファン(保持手段)30から空気の吹き付けを受ける状態となる。それにより、ラベル用紙22aは下向きに垂れた先端部で風を受けて前方に飛翔し、所定位置より前方にずれた位置に保持される。その結果、貼付手段の吸着部との相対位置もずれ、ラベル用紙を正しく吸着保持することができないという事態が生じ、対象物に対してラベル用紙を正しい位置に貼付することができないことになる。
【0047】
しかし、本装置は発行するラベル用紙の繰出し方向の長さが所定長さ以下の短いラベル用紙である場合、繰出しローラ28の繰出し速度が、通常の繰出し速度より遅い繰出し速度の速度制御モードに切り替わって駆動される。それにより、前記繰出しローラ28がラベル用紙22aを挟持する拘束状態(時間)が、通常の繰出し速度によるラベル用紙を挟持する拘束状態(時間)より長くなる。よって、ラベル発行口27から排出されるラベル用紙22aに対して送風ファン(保持手段)30から空気が吹き付けられる時、該ラベル用紙22aは繰出しローラ28に挟持された拘束状態にあり、通常の繰出し速度の場合に生じたラベル用紙が飛翔し、保持位置がずれるのを防止できる。
【0048】
繰出しローラ28の繰出し速度を、通常の繰出し速度より遅い速度制御モードへ切り替える動作は、前記した実施例1と同様、制御部に記憶された速度変更ファイルから選択されて実行される。そして、速度変更ファイルに設定された速度制御モードが一つである場合はそれが選択実行されるが、複数の速度制御モードが記憶されている場合は、ラベル用紙22aの所定長さに対する短さの割合等に応じて速度制御モードを選択するようにしてもよい。
【0049】
また、選択された速度制御モードでラベル用紙を排出する場合、台紙レスラベル用紙がカッター25で切断された状態のままでは、切断された枚葉状のラベル用紙は後端側が繰出しローラ28で挟持されているため拘束状態に維持される。この切断完了時のカッター25からラベル発行口27までの間に位置するラベル用紙を、前記繰出しローラ28の駆動でラベル発行口27外に移動させる。この区間の移動を行う繰出しローラ28の速度が前記選択された速度制御モードにおける低速(通常の繰出し速度より遅い速度)で駆動される。それにより、繰出しローラ28で挟持される拘束時間が長くなり、排出されるラベルが飛翔するのを防止し、保持位置がずれるのを防止できる。
この実施例2に示すラベル貼付装置においては、前記したように台紙レスラベル用紙から所定長さの枚葉状のラベル用紙をカッター25で切断する際、プラテンローラ24b及び繰出しローラ28の駆動は停止されるため、この場合の速度制御モードとしては繰出し速度を一旦停止し、再度起動させる前記速度制御モード(
図7(c)参照)が好適である。尚、
図7(a)、(b)に示す速度制御モードの通常の繰出し速度から低速に変化する地点に停止時間を設けることで、該速度制御モードでのラベル用紙の排出も可能となる。
【0050】
本発明は図示した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で適宜変更可能である。
(1)実施の形態(実施例1)では、発行されるラベル用紙の長さを印字手段より上流位置に配置したギャップセンサで計測する例を示したが、これに限定されず、例えば、商品ファイルに設定された印字項目のデータ量、及びそれら印字項目の印字フォーマットによって算出してもよい。
(2)実施の形態では、速度変更ファイルに記憶される速度制御モードとして、ラベル長さ(全長)に対し残りの排出長さが所定の割合(例えば、10%)に達した時点で、それまでの繰出し速度(通常の繰出し速度)を減速、又は停止して、繰出し所要時間を長くする形態を示したが、これに限定されず、例えば、印字開始から通常の繰出し速度より低速の繰出し速度で繰出す方法、或いは、ラベル用紙の繰出し方向に沿って存在する非印字部分を速度制御する方法等でもよい。
(3)実施の形態(実施例1)では、印字手段を備えたラベル貼付装置の例を示したが、これに限定されず、印字手段を備えないラベル貼付装置でもよいものである。即ち、予め所定事項が印字されたラベル(例えば、POPラベル)が台紙に剥離可能に仮着されたラベルロールを用い、剥離部材で台紙を屈曲し、ラベル用紙を台紙から剥離するラベル貼付装置においても同様の効果が期待できるものである。
【0051】
前記実施の形態で示したラベル貼付装置に関し、以下の付記を開示する。
(付記1)
ラベル繰出し手段によってラベル発行口から発行されるラベルの繰出し方向前方位置に、発行されるラベルの貼付面と反対側の面が当接するラベル保持体が配置され、そのラベル保持体の下方に前記ラベルの貼付面に空気を吹き付けて前記ラベルを前記ラベル保持体に保持させる保持手段を備え、更に、前記ラベル保持体が保持するラベルを吸着保持して対象物に貼付する貼付手段を備えたラベル貼付装置において、
前記発行されるラベルの繰出し方向に沿う長さが所定長さ以下であるかを判断する判断手段と、
前記ラベル繰出し手段のラベル繰出し速度を制御する制御手段と、
を備え、
前記発行されるラベルのラベル長さが前記判断手段で所定長さ以下と判断された場合、前記制御手段は、該ラベルを通常のラベル繰出し速度で繰出した場合の繰出し所要時間より長い繰出し所要時間となるよう前記ラベル繰出し手段の繰出し速度を制御することを特徴とするラベル貼付装置。
(付記2)
前記制御手段による繰出し速度の制御は、前記所定長さ以下のラベルを、前記ラベル発行口から排出完了する直前の速度を、それまでの繰出し速度に比べて低速にすることを特徴とする付記1記載のラベル貼付装置。
具体的には、例えば、印字開始から所定長さまでを通常速度で繰出し、残りの長さ区間を通常速度より低速に減速して繰出す。更に、通常速度より低速に減速する場合、徐々に減速する方法、一定速度に保って減速する方法等、何れの方法でもよい。
(付記3)
前記制御手段による繰出し速度の制御は、前記ラベルの長さ方向に沿う非印字部分の繰出し速度を減速制御することを特徴とする付記1又は2記載のラベル貼付装置。
具体的には、例えば、ラベルの長さ方向における印字部分は通常速度で繰出し、非印字部分(ラベルの長さ方向の前後に位置する空白部分、印字領域内に存在する空白部分等)では繰出しを所定時間(例えば、1秒以内)停止し、所定時間が経過した後、再度通常速度で繰出す方法、更に、通常速度より低速に減速する場合、徐々に減速する方法、一定速度に保って減速する方法等、何れの方法でもよい。
(付記4)
前記繰出し速度を減速制御する非印字部分は、前記ラベルの繰出し方向に沿う後端近傍の空白部分であることを特徴とする付記3記載のラベル貼付装置。